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2023年 これから価格高騰しそうな高級腕時計
最終更新日:
高級時計において、「値崩れしないこと」は非常に大切なアドバンテージ。
別の時計が欲しくなった時や現金化したい時、二束三文の買取価格で納得することはできませんよね。
再販に有利で資産価値が高いというと、ロレックスやパテックフィリップがまず挙げられますが、今回は東京銀座にある腕時計専門店GINZA RASINのスタッフが、「これから価格高騰しそう」な注目モデルに照準を絞ってご紹介いたします。
時間とお金をかけて購入する大切な一本。
より「損をしない」、でも人とは違った、上手な時計選びのお手伝いをさせてください。
※掲載する情報は2023年1月現在のものとなります。
目次
これから価格高騰しそうな高級腕時計~ロレックス編~
圧倒的再販価値と買取率を誇るロレックス。実際、投資目的で買う方も多いです。
国内外を問わないネームバリューや外観のカッコよさだけではなく、ロレックスの非常に高い技術力は「長く使用すること」を前提とした時計作りに注力されているため、中古であっても実用性を維持できることが値崩れしない大きな理由。
また、生産終了、言わば「型落ち」の中のモデルの多くが定価より高額買取に至るプレミア現象も、ロレックスならではです。
ちなみに現在、新型コロナウイルスなどの社会情勢によって高級時計の相場が全体的に上昇していますが、ロレックスはやはり別格。他の追随を許さない情報幅は、ここへきて値崩れしづらさ・資産価値の高さを改めて証明していると言えます。
ちなみになぜ高級腕時計相場が全体的に上がっているか。
様々な要因がありますが、一つには消費が高級嗜好品に向かっていることが挙げられます。
最近では新型コロナウイルス禍においてもじょじょに経済活動を復活させており、一方まだレジャーや飲食での消費が完全回復したとは言い難い状況です。そのため高級腕時計や宝飾品といった、高額品への消費が一気に加速することとなりました。
さらに「ロレックス投資」とか「ロレックスマラソン」が大きな話題にのぼり、大手メディアも取り上げるようになったことも、背景として大きいでしょう。
加えて、新型コロナウイルスの影響で各ブランドが生産数を削減せざるをえない状況に陥っています。国際間の人流も制限されていることから思うように海外仕入れもかなわず、結果としてブランド側の意図しない「生産調整」が行われ、高すぎる需要に追い付かないといった事情も見受けられます。現在は正常化しつつあるとは言え、影響は色濃くあります。
こういった背景に加えて、ロレックスの需要は変わらず一定で、むしろ「高くてもリセールバリューが良いから買いたい」「これ以上高騰してしまう前に買っておこう」といった消費者マインドが価格を後押ししており、ロレックスの資産価値・再販価値を下支えしているのです。
一方で全てのモデルが全く相場高騰というわけではなく、下がり傾向のモデルもいくつかあります。もっとも、ここ最近の上昇率が凄まじかったので、いったん落ち着いた、という見方もありますが・・・
先行き不透明感からか所有するロレックスを売りに走ったユーザーも多く、状態の良い個体が比較的よく出回っています。
つまり、今「価格高騰しそうなロレックス」に狙いを定めて買っておけば、今後社会情勢が変わってさらにロレックス相場が上昇した時、思わぬ儲けを手にできるかもしれない、ということです!!
以上を踏まえたうえで、「これから価格高騰しそうなロレックス」をご紹介いたします!
①ロレックス デイトナ 116520
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径 40.0mm
全重量:141g
文字盤:ブラック
インデックス:バー
ムーブメント:Cal.4130
パワーリザーブ:72時間
防水性能:100m
中古市場での価格が定価を大きく上回ることで有名なデイトナ。
Ref.116520は2000年~2016年にかけ、長い期間デイトナの定番モデルとして君臨し、ロレックス初の自社製クロノグラフムーブメントCal.4130を搭載した、同社にとって意義深いモデルでもあります。
製造期間が長かったので、時期によってデザインや機能性に若干の違いがあることも特徴の一つです。
「すでに価格高騰しているのでは?」と思う方もいらっしゃるでしょう。
確かにデイトナは前述の通り相場が定価を大きく上回る「プレミアモデル」として有名であり、歴代モデルどれをとっても破格の買取価格が提示されています。
でも、まだ上げ切っていない、とも言えます。なぜなら116520は他のプレミアモデルと異なり、製造時期が後期の方が買取価格は高く設定されています。つまり、今後年数を経るごとにコンディションの良好な個体が市場から減少していき、そういったモデルは凄まじく価格を高騰させるポテンシャルを秘めているのです。
特に今後の価格高騰が見込まれるのが、116520の最終品番(ランダムシリアルにあたる)です。製造期間は大体2010年頃~となります。
さらにランダムシリアルの中でも、先代ギャランティ(2014年頃~)、新型クラスプ(2015年頃~、従来の梨地から鏡面仕上げへ)、クロマライト夜光(2013年頃~)の個体は既に価格高騰が顕著です。
※2014年以降、116520に付帯され始めた保証書
※新クラスプ
上記個体は2019年6月に最高値にあたる300万円を記録しました。ロレックス相場が落ち着いた今現在でも、平均相場が250万円~270万円台と高値安定。しかしながら、まだ価格高騰する、と思われます。なぜなら年々状態の良い個体が減っているため。
むしろ、今が最後の買い時と言っていいかもしれません。
特に最終品番などの仕様でなくとも、116520自体が常時300万円前後~となっております。
ちなみに2017年にこちらの記事を一度執筆しているのですが、その当時はまだ200万円以下の個体が豊富に出回っていました。さらにその二・三年ほど前は100万円~120万円程度の相場感・・・つまり、わずか5年程度のうちに、200万円以上の価格高騰を果たしているのです!!
逆に数年前に購入した方は今売れば買値を大きく上回って売れることでしょう。
また、Ref.116520の前のモデル・Ref.16520もプレミア価格を持ちます。
②ロレックス デイトナ 16520
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径 40.0mm
全重量:126g
文字盤:ブラック
インデックス:バー
ムーブメント:Cal.4030
パワーリザーブ:52時間
防水性能:100m
初の自動巻きデイトナとなり、かのゼニスの名機・エルプリメロを改良したムーブメントを搭載していることで有名な16520。前項でご紹介した116520の一世代前のモデルとなります。
このCal.4030を搭載したモデルを「敢えて」選ぶファンからは、エルプリデイトナと称されることもあります。
ただ、こちらも1988年~2000年までと長寿命な製造期間を持っており、生産終了してしばらくは高値とは言え落ち着いた相場を維持していました。
もちろん一部個体-初期の200タキ225タキベゼルや段落ちダイヤル、中期頃のブラウンアイ等-はもともと高値で、市場でもめったに見かけることはありませんでした。
ちなみに200タキおよび225タキは、タキメーターの最大値が通常の「400」ではなく200または225になった仕様の個体です。
段落ちは12時位置のプリントの5列目「COSMOGRAPH」だけが少し行間を空けて下がった位置に配置された仕様、ブラウンアイはインダイアルの色味がブラウンに色焼けした個体です。
16520のレア仕様の詳細は下記をご覧ください。
さらに、最終品番と思われるP番(2000年頃)は既に600万円前後、その一つ前にあたるA番(1999年頃)は500万円近くになることも。このA番とP番は前述したレア個体と異なりぱっと見では他の個体と違いがわかりません。ただ、生産終了したロレックスが価格高騰しやすいとは言え、「ただ存在しているだけで価値がある」みたいな超稀少アンティークと異なり、製造期間が新しいほど重宝されやすい傾向にあります。
では、A番より前の通常16520は、価格高騰しないのか?
もちろんNOです。むしろ、通常個体こそが「これから価格高騰しそうなロレックス」です。
2014年頃には、通常の16520は大体100万円前後~売買されていました。2017年には160万円程度~。そして2023年現在、「360万円前後」となっています。わずか4年で200万円程度も価格高騰しています。
繰り返しになりますが、年々状態の良い個体が減少していること。加えて、ロレックスにはえてして起こりがちなのですが、一部個体に人気が出ると、それまで落ち着いていた個体もつられて人気が上昇する、という現象が要因と考えられます。
さらに生産終了ロレックスは研究によって年々詳細に体系化されており、今後再評価される個体が出てくるでしょう。
以上を鑑みれば、デイトナ 16520はどの個体も今以上の価格高騰の道をたどる、と予測できるのではないでしょうか。
③ロレックス GMTマスターII 116710BLNR
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径 40.0mm
全重量:152g
文字盤:ブラック
インデックス:クロマライト
ムーブメント:Cal.3186
パワーリザーブ:48時間
防水性能:100m
デイトナと次いでロレックス価格高騰の立役者となっているのが、GMTマスターIIです。
さらに、一世代前の116710LN(2013年~2019年)へのここ数年の熱視線は、留まるところを知りません。
GMTマスターIIは、2018年に登場した赤青ベゼルの126710BLRO、次いで翌年に青黒ベゼルの126710BLNRが登場したことで、116710系は完全廃盤となりました。
このモデルチェンジの主な目的はムーブメント移行で、旧キャリバーCal.3186→新キャリバーCal.3285となります。
ただ、次世代の126710BLNRは116710BLNRと大きく外装を変えてはおらず、青黒ベゼルはそのまま踏襲されることとなります。3列オイスターブレスレットからジュビリーブレスレットへと変更されましたが、いい感じに新旧で需要が分散したためか、どちらも大幅な相場のアップダウンは見られませんでした。
むしろ、赤青ベゼルのリバイバルとして2018年にリリースされた126710BLROの価格高騰が凄まじく、比較的BLNRは安定していました。
しかしながらGMTマスターII 116710BLNRの底力が今、発揮されています。
と言うのも、前述の通り新型コロナウイルスなどの社会情勢によって価格下落の煽りを受けているロレックスはいくつかありますが、実は116710BLNR、バーゼルワールド2019で相場が上昇して以降、ずっとその高値をキープしているのです。ちなみに2022年5月~9月にかけてもロレックス相場が下落したのですが、あまりその煽りを受けなかったのも116710BLNRでした。
状態の良いものだと2023年1月現在で既に200万超えの相場で、126710BLROや126710BLNRを凌ぐ勢いです。
さらに、最近かなり品薄でなかなか仕入れが難しい状況で、この動向が続けば中古であってもさらに価格高騰することは想像に難くありません。
ちなみに黒ベゼルの116710LNは製造期間が2010年~2018年とBLNRより長いことに加え、「定番」といった様相から人気はあるものの116710BLNRに比べれば価格高騰においては脇役的立ち位置でした。
しかしながら現行GMTマスターIIには黒ベゼルのラインナップがなくなったことなどから、にわかに相場が上昇。今後、ますます稀少価値が高まる可能性があります。
なお、116710LNの中でも、V番(初期)にのみ見られる「スティックダイアル」(“GMT-MASTER II”の「II」に上下の横棒が無い個体)は、今でも超稀少ロレックスとしてプレミア価格を記録しています。
④ロレックス GMTマスター 16750
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径 40.0mm
全重量:110g
文字盤:ブラック
インデックス:トリチウム夜光
ムーブメント:Cal.
パワーリザーブ:48時間
防水性能:100m
「ヴィンテージ」「ポストヴィンテージが熱い」
そんな声をよく聞きます。
ヴィンテージはいわゆるアンティーク時代で、明確な定義はありませんが1980年代~1970年代以前に製造された個体を指すことが多いです。対してポストヴィンテージはその後年、1980年代~1990年代頃に生産されていた個体、と言った意味合いとなります。
この時代のロレックスの良いところは、「現行にはない外装や風合いを楽しめる」こと!中にはデイトナなどオークション級のプレミア価格の個体が存在しますが、現行よりも割安で自分だけのロレックスを選択できることが多く、一部のファンから根強い人気を誇ってきました。
ただ、「割安」だったのは過去の話です。何度か言及しているように、ロレックスは生産終了すると価格高騰しやすい傾向にあり、加えて近年ロレックス人気がどんどん広がっていったことから、一般ユーザーからも「ヴィンテージ」「ポストヴィンテージ」への需要が高まり、結果として全体的に相場が上昇している形です。
そんな中でも狙い目なのが、GMTマスター 16750です。
16750はGMTマスターの第三世代に当たります。
先ほどGMTマスターIIをご紹介しましたが、もともとは1955年に第二時間帯の表示が可能なGMTマスターが誕生し、後年1988年に第三時間帯までの表示を可能にしたGMTマスターIIがリリースされた、という経緯があります。16750は、前者のGMTマスターの中のモデルで、1980年頃~1988年頃まで製造されました。
この16750、現在人気が凄まじいモデルのうちの一つです。当店でもヴィンテージロレックスの中では売上高3位で、特にレア仕様などがない個体であっても相場は約160万円ほど。
16750はGMTマスターの中でもかなり現代的なスペックを有するのが、この人気と価格高騰の秘訣でしょう。と言うのも、第三世代より防水性が100mにアップ×また、ムーブメントも3000番台にあたるCal.3075に移行しており、大幅なスペックアップが図られているのです。
こういった経緯に加えて、バーゼルワールド2018および2019でGMTマスターIIに大々的なテコ入れが加わって注目度が上がっていることから、さらに16750への需要が高まっていることが考えられます。
GMTマスター自体がコンスタントに人気が高いので、これから価格高騰するモデルの代表格のようなものが16750でしょう。
なお、製造期間がそこまで長くないこともあり、16520などと比べて品番や仕様による分類はシンプルです。
ただ、前期型のフチなし(インデックスにメタル製のフレームがないタイプ)の方が後期型のフチありよりも若干ですが高値で取引されています。
また、1980年代に製造された黒文字盤にまま見られる「スパイダーダイアル」(いい感じに文字盤がひび割れた経年変化)も、価格高騰しやすい仕様の一つです。
⑤ロレックス エクスプローラーII 216570
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径 42.0mm
全重量:156g
文字盤:ブラック
インデックス:クロマライト
ムーブメント:Cal.3187
パワーリザーブ:48時間
防水性能:100m
エクスプローラーIIは、エクスプローラーIの上位モデルです。
「洞窟探検家のために」というコンセプトのもとに生まれ、付属の24時間針とメタルベゼルを使って昼夜表示および第二時間帯表示を可能にしています。
こちらの現行216570は、2011年に誕生した第四世代に当たります。
エクスプローラーI・IIともに「価格高騰」とは若干縁遠かったのですが、2019年に入ってにわかに上昇。なぜなら、「生産終了」がにわかに叫ばれていたためです。
なぜ生産終了の噂が立っていたか。それは、エクスプローラーIIとGMTマスターIIは一蓮托生の関係にあったためです。
エクスプローラーIIに搭載されているムーブメントCal.3187は、GMTマスターIIに搭載されてきたCa.3186のテンプの耐震装置をパラフレックスという最新の振動減衰装置を備え、耐衝撃性が飛躍的に上がった仕様です。現在GMTマスターIIがCal.3285への完全移行を果たしており、このままエクスプローラーIIのためだけに3187を製造し続けることは合理的ではありません。
そこで、エクスプローラーIIもまたモデルチェンジとなり、216570が生産終了になるのではないか、と。
実際に2021年4月発表となったロレックス新作で、新型エクスプローラー Ref.226570がローンチ。これに伴い、大方の予想通り216570は生産終了となりました。
とは言え、2018年・2019年の新型GMTマスターIIや、2020年の新型サブマリーナが出た時ほどまでの相場高騰にはならなかったことは事実です。
もともとエクスプローラーIIは定番外しゆえか、実勢相場も比較的落ち着いていたこと(もちろんあくまでスポーツロレックスの中で、となり、216570も長らく定価超えのプレミアム相場ではありました)。
加えて新型モデルは先代と比べて、デザイン面では大きく変わらなかったことが、背景としてあるのでしょう。
※2021年に発表された新型エクスプローラーII 226570
そのため旧型216570も、新作発表前夜の3月末などは一時期180万円台を記録していましたが、2023年1月現在は130万円台~140万円台といった程度に落ち着いています。
しかしながら「高止まり」の状態にあり、なかなか相場が下がってきません。
かつてエクスプローラーII 216570は、ロレックス相場が上昇し始めた時でも70万円~80万円が平均的な並行店でもプライスレンジでした。
生産終了によって今後、市場での流通量はますます低減されていくであろうことが予測できます。
そのため「下がる要素」は見つからず。急騰はしていませんが、「生産終了したロレックスの相場は上がる」といったこれまでの方程式通り、今後ジワジワと価値が上がっていくことは想像に難くありません。
さらに言うと、デイトナやGMTマスターIIなどの人気モデルが価格高騰しすぎてしまい、まだ相場が落ち着いているエクスプローラー系に需要が流れつつある、という背景もあります。
こういった手堅い人気と「生産終了」のエッセンスが加わって、今後さらに価格が高騰すると思われます。
まだ流通量も豊富なうちに、買っておくべき一本ではないでしょうか。
なお、黒・白ともに大きく人気は変わりませんが、白文字盤の方が相場が高くなります。
⑥ロレックス エクスプローラーII 16550
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径 40.0mm
全重量:125g
文字盤:ブラック
インデックス:トリチウム夜光
ムーブメント:Cal.3085
パワーリザーブ:48時間
防水性能:100m
最新エクスプローラーIIへの需要が高まるのと連動して、過去モデルもまたフィーチャーされています。
こちらの16550は1980年代に登場したエクスプローラーⅡの第二世代で、製造期間は1984年頃~1988年頃と言われているのですが、さらにその中でも二年ほどしか生産されなかったという、超稀少モデル!
なぜこれほどまでに製造期間が短いかには諸説あります。
ただ、一説に搭載されたCal.3085に初期不良が多かったからではないか、と語られることがあります。
初代エクスプローラーII Ref.1655はCal.1575が搭載されていましたが、第二世代より振動数を上げて高精度化に貢献した3000番台キャリバーへと移行されました。ちなみにその後すぐに第三世代 Ref.16570にて、Cal.3185に載せ替えられることとなります。
しかしながら、今出回っているCal.3085搭載機(GMTマスターII 16760も)が他の年式の古いロレックスと比べて性能が劣るかと言うと、そんな話は聞きません。
むしろこちらの16550の稀少性からコレクターズアイテムとしての側面が強く、かつ現行エクスプローラーIIのデザインコードの元祖と言われていることから、やはり価格高騰が著しいモデルとなります。
特にレアな仕様などなければ大体130万円前後~販売されています。
一方で時計専門店でもあまり見かけることが無く、他のプレミアモデルに比べると派手さはありませんが、今後エクスプローラーII全体が価格高騰すれば、徐々に頭角を現わしそうな大穴と言えるでしょう。
なお、「センタースプリット」「スパイダーダイアル」「アイボリーダイアル」は既に価格高騰しており、立派なプレミア価格です。
⑦ロレックス エクスプローラーII 16570
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径 40.0mm
全重量:125g
文字盤:ホワイト
インデックス:トリチウム/ルミノバ
ムーブメント:Cal.3185/Cal.3186
パワーリザーブ:48時間
防水性能:100m
前項でご紹介した16550の稀少価値が高いことから、これまで5桁のスポーツロレックス(いわゆるポストヴィンテージ)の中で唯一価格が高騰していないモデルであった16570。
エクスプローラーIIの第三世代にあたり、1991年~2011年までと約20年間にも渡って製造された超ロングセラーモデルです。
これだけ長い製造期間ゆえか流通量が比較的豊富で、2018年頃までは平均相場60万円台と、「安く買えるロレックス」の代表的なモデルでした。
しかしながら他のエクスプローラーII同様、近年はジワジワと価格が高騰し始めており、伸びしろに期待が持てます。
現在、黒、白文字盤ともに100万円前後、さらに「コンディションが良好」(特に品番の指定はないが、製造年が新しいものほど顕著)などともなれば、130万円前後で販売されております。
何度も繰り返しになりますが、年々状態の良い個体は少なくなっていっているので、今後「ガツンと」ではなく「ジワジワと」かもしれませんが、価格高騰しそうな高級時計として挙げられます。
ちなみに、状態抜きにして当店の某バイヤーが「狙い目」と語るのが、1998年以前に製造された夜光にトリチウムが使われている・またはシングルバックルモデルです。
とりわけトリチウムはミソ。現在夜光塗料に採用されているルミノバは何十年経っても変色しないという性質を持ちますが、トリチウムは時間の経過と共にベージュに変色する特性があり、アンティークな趣を楽しむことができます。
今はまだ比較的手ごろな価格ですが、それでもシングルバックル&オールトリチウム個体は160万円前後となることも!ロレックス投資をしてみたい方にもオススメのモデルです。
⑧ロレックス エクスプローラーI 14270
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径 40.0mm
全重量:141g
文字盤:ブラック
インデックス:バー
ムーブメント:Cal.4130
パワーリザーブ:72時間
防水性能:100m
エクスプローラーIもまたエクスプローラーIIと同様、近年価格高騰が目覚ましいモデルです。
前述のように、デイトナやGMTマスターIIなどの「花形」が価格高騰しすぎてしまい、需要が流れてきていることが考えられます。
そんなエクスプローラーⅠの第4世代で、月9ドラマ ラブジェネレーションで木村拓哉さんが着用したことで有名なRef.14270。1990年~2000年まで製造されました。
日本国内でのロレックス人気の火付け役とも言うべきモデルですね。
ケース直径36mmはサイズ。
前述した新型エクスプローラーIIと同時にエクスプローラーIもモデルチェンジが行われましたが、従来の39mmサイズから36mmにサイズダウンしたことで大きな話題となりましたね。そのためケースサイズ36mm時代のエクスプローラーIの、人気がにわかに高まっています。
また、ブレスレット仕様がシングルロック時代とダブルロック時代が混在していることも特徴です。
左:シングルロック 右:ダブルロック
実用性はダブルロックの方が優れていますが、価値が上昇しているのはシングルロックの方。これで夜光がトリチウムのままの個体は、今後の価格高騰に期待大です。
ムーブメントはCal.3000(Ref.114270以降はCal.3130 )が搭載されています。
さらに、ロレックスは偽造防止のために風防の6時位置に王冠マークの透かしを入れていますが(2007年よりルーレット刻印)、Ref.14270まではそれが無いといった、まさに価格高騰しそうなレアなディテールの差が。
市場での数も豊富に流通しており、今ならまだ価格は安定傾向にあります。
それでも現在既に80万円前後~110万円台と、決して安くはありません。ほんの1年前はまだ70万円台で購入できる個体もあったことを鑑みれば、順調に価格高騰していると言えるでしょう。
なお、14270の中でブラックアウトと呼ばれる、3・6・9のインデックスに白いラインがない個体は既に価格が目覚ましく高騰しています。中でもロゴがシルバーに印字された「シルバーレター」の稀少性はきわめて高いです。
⑨ロレックス サブマリーナ デイト 16800
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径 40.0mm
全重量:128g
文字盤:ブラック
インデックス:トリチウム夜光
ムーブメント:Cal.3035
パワーリザーブ:48時間
防水性能:100m
ロレックスきっての人気モデル「サブマリーナ」も、価格高騰ネタには欠かせません。
ただ、現行116610LNおよび116610LVは既に相場を上げており、価格高騰としては有名どころかと思います。
そこで、ポストヴィンテージのうちの一つ「16800」をピックアップしてみました!
このサブマリーナ 16800は、デイト付きサブマリーナの第二世代にあたり、1980年~1986年まで製造されていました。このモデルよりサブマリーナに300m防水がレギュラースペックとして搭載されるようになり、また逆回転防止ベゼルの採用も16800を発端とします。
現在の平均相場は130万円~170万円台となります。
もう十分価格高騰していますが、さらなる相場上昇が見込める理由は、レアポイントを多く兼ね備える、ということが挙げられます。
先ほどご紹介したGMTマスター 16750と同様に「フチなし」インデックスを有している点(前期型のみ)。
デイト機能を搭載したサブマリーナのセカンドモデルで、逆回転防止ベゼルを初採用し、よりプロユースに近づいたという歴史的事実。
Ref.168000を挟んで、サブマリーナデイト第4世代であるRef.16610への過渡的な役割であり、生産年数が6年ほどと短いことなど、コレクターズアイテムとして価格高騰しやすい側面を多数有しているのです。
実際、2016年頃までは50~60万円程度で購入できましたが、2018年辺りをきっかけに一気に100万円超えの個体が出回るようになる、と言った上昇率です。この2018年頃までは前述した「フチなし」個体が相場の平均を押し上げていたのですが、現在はフチなし・フチありともに100万円超えの相場が当たり前になっています。
サブマリーナ自体の人気に牽引されて、今後ますます価格が上がってもおかしくない代表的モデルの一つとなります。
なお、このすぐ後に「トリプルゼロ」と呼ばれるRef.168000が登場します。
1986年~1989年頃にのみ製造された個体で、この時代のリファレンスは5桁であるにもかかわらず唐突に6桁になっていること。加えてロレックス自体がしばしば16800と168000を混同しているような扱い(168000の個体のギャランティに16800表記、など)をしていることから、非常にミステリアスな存在として語られています。
ただ、16800と大きく外装を変えていないこともあり、相場は150万円前後~と同程度。
もっともサブマリーナ全体や16800の相場がさらに上昇したとき、16800はつられて価格高騰する可能性が高く、要チェックモデルであることは間違いありません。
⑩ロレックス シードゥエラー 116600
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径 40.0mm
全重量:173g
文字盤:ブラック
インデックス:クロマライト
ムーブメント:Cal.3135
パワーリザーブ:48時間
防水性能:1220m
サブマリーナの上位機種として、1220m防水という驚くべきプロスペックを携えて誕生したシードゥエラー。
それを凌ぐディープシー(3900m防水)の誕生により、2008年に惜しまれつつ生産終了しました。
しかしその6年後の2014年、ニューモデルとなって再び登場したのがこちらのRef.116600です。4,000フィート(1220m)防水表記にあやかって、シードゥエラー4000といった呼ばれ方もされていますね。
シードゥエラー自体は一度生産終了しているとは言え1967年から続く歴史を持ちます。
しかしながらこちらの116600、2017年のバーゼルワールドでRef.126600が誕生したことにより型落ち、わずか3年の製造期間となりました。
もともとは地味な立ち位置であった116600ですが、この稀少性ににわかに注目が集まります。
2017年に登場したシードゥエラー 126600は通称「赤シード」と呼ばれる、初代意匠(SEA DWELLERのロゴが赤くなった仕様)を踏襲したことで大きな話題を呼んだため、既存のシードゥエラーが再評価されたことも影響したのでしょう。
これまでとはうってかわって116600の価格が高騰。
平均相場は170万円台~、状態の良いもの・新型仕様のもの(とりわけ鏡面バックル)に至っては、200万円超えの相場を叩き出しています。
この勢いは、現行126600に肉薄しています。
今後、年を経れば経るほどに「製造期間わずか3年」が効いてくるでしょう。
⑪ロレックス シードゥエラー 16600
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径 40.0mm
全重量:149g
文字盤:ブラック
インデックス:トリチウム夜光
ムーブメント:Cal.3035
パワーリザーブ:48時間
防水性能:1220m
もう一つ、シードゥエラーから「価格高騰しそうなロレックス」をご紹介いたします!
シードゥエラー第三世代で、1990年頃から2008年まで製造されました。
ディープシーの誕生により生産終了、2014年に前述のRef.116600が誕生するまでは「最後のシードゥエラー」として語られていたものです。
なお、前世代までのシードゥエラーとの大きな違いは、当時としては最新型ムーブメントであったCal.3135が搭載されていたことです。
耐久性やメンテナンス効率がアップし、より実用に適したシードゥエラーとなりました。夜光もトリチウムからルミノバへと変更されています。
ただ、大幅な値動きはなかったモデルでもあります。外装が歴代シードゥエラーと比べて大きく変わらず、特筆すべき点がなかったことが影響していたかもしれません。
しかしながら2017年にシードゥエラー誕生50周年を迎えたことから再び価格高騰、とりわけ時計愛好家たちの耳目を集めつつあります。
ここ3年ほどで価格は30万円~50万円近く値上がり。
現在の平均相場は140万円前後~ですが、生産本数が少ないM品番やV品番の価格高騰が顕著で、個体によっては200万円を超えることが珍しくありません。
ここ数年で相場が上がっているモデルは、その天井をまだ知らない感があります。
そのため、まだ買いやすい今のうちが狙い目ではないでしょうか。
これから価格高騰しそうな高級腕時計~パテックフィリップ編~
ロレックスと並んで文句なしの高い資産価値を誇るパテックフィリップ。
世界時計メーカーの御三家として君臨し、長い歴史の中で名実ともに世界一を誇り続けてきた老舗です。
美技ともに最高峰の一本いっぽんを生産するパテックフィリップは、日用品ではなく「芸術品」「資産」として購入される方もいるほどです。
中古市場では、低価格帯のものでもゆうに車一台買えるような高値で取引、買取率もロレックスと肩を並べます。
とりわけ価格高騰の主役と言えるが、「ノーチラス」と「アクアノート」です。
どちらもパテックフィリップのスポーツラインとなります。
パテックフィリップはほとんど全てのモデルで価値が落ちづらいと言われていますが、この二つのシリーズは別格です。
ロレックス同様に正規店で手に入れることはほぼ不可能。並行輸入店でも必ず売ってるかと聞かれればそうではなく、中古ですら入荷が難しい状況が続いています。
ちなみに、前項で軽く言及しましたが、ロレックスは転売対策を近年強化しています。そのうちの一つ「人気モデルはおひとり様一転限りで、購入後5年間は同社の人気モデルを買えない」という取り決めが始まりました。パテックフィリップも、これに追随する形となり、ノーチラスの購入制限がスタートしています。
一時期新型コロナウイルスの影響によって「相場が下がった」「需要が低減した」と言われるにもかかわらずパテックフィリップの流通量は一向に増えず、稀少性は増すばかりです。
そんなパテックフィリップの中でも、これからさらに価格高騰しそうなモデルをご紹介いたします!
①パテックフィリップ ノーチラス 5711/1A
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:縦 38.0mm × 横 43.0mm
全重量:118g
文字盤:ブラックブルーまたはホワイト
インデックス:バー
ムーブメント:Cal.324SC
パワーリザーブ:45時間
防水性能:120m
ノーチラスはパテックフィリップ初のスポーツウォッチとして1976年に誕生しました。
その心は、「タキシードにもウェットスーツにもマッチする時計を」。
ラインが強調されたケース、ブレスレットおよびエンドピースとシームレスになったラグ、ケース両サイドの「耳」は時計の堅牢性を守る一方で、きわめて薄く上品な造りをしていることで、スポーツウォッチとは思えないエレガンスをも湛えています。
そんなノーチラスは誕生からいくつかのモデルチェンジを重ねてきましたが、現行の5711系は2006年に誕生しました。
ピンクゴールドやホワイトゴールド製モデルもラインナップされていますが、一番人気はステンレススティールの5711/1Aです。
出典:https://www.patek.com/en/home
前世代までのRef.3800がケース直径37mmであった一方で、5711は直径43mm×縦38mmにアップサイジング。にもかかわらず非常に薄いため、ノーチラス特有のエレガンスは堅持されています。
さらにムーブメントには名器と名高いCal.324SC(2019年以降は順次Cal.26-330 scに移行)が搭載されており、5711より採用されたシースルーバックから心行くまで鑑賞することができるようになりました。
この類を見ない美しいスポーツウォッチに世界中が魅了されており、品薄パテックフィリップの代表格としても語られます。
高すぎる需要に供給が全く追いついておらず、2019年は実勢相場が1000万円を記録しました。定価は3,575,000円ですので、約2.8倍です。
いくらパテックフィリップほどの雲上ブランドとは言え、ステンレススティール製モデルの相場がよもや1000万円超になるとは・・・誰もが「さすがにここが天井だろう」と考えましたが、その大方の予想は裏切られることになります。
なぜなら2020年、にわかに5711/1A-011、ノーチラス 白文字盤の生産終了が発表されたのです。次いで2021年、青文字盤の5711/1A-010もカタログから姿を消すこととなりました。
以降、5711/1Aは両文字盤で一気に価格高騰。
現在白文字盤・ブルー文字盤ともに一般市場に出回ることはほとんどなく、いずれも間もなく2000万円を迎えるかという、驚くべき実勢相場を記録しています。
前述の通り、中古すら全く市場に流通していない今、価格高騰は青天井。どこまで上がるのかといった声がそこかしこで聞かれます。
なお、2021年新作モデルとして、新バリエーションとなるオリーブグリーン文字盤のRef.5711/1A-014がリリースされました。
出典:https://www.patek.com/en/home
しかしながらパテックフィリップによると、どうもこのグリーンノーチラスの製造期間は一年のみのようです。
ノーチラス 5711/1Aの後継機が用意されているかどうかはわかりません。
しかしながら今後の価格高騰に期待するにせよ、本当に欲しい方にせよ、今のうちに買っておいた方が良い高級時計と言えるでしょう。
②パテックフィリップ ノーチラス 3800/1A
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径 37.0mm
全重量:94g
文字盤:ブラックブルーなど
インデックス:バー
ムーブメント:Cal.330SC
パワーリザーブ:45時間
防水性能:120m
1981年~2006年まで製造されていた、一世代前の37mmノーチラスが、こちらの3800/1Aです。
ノーチラス全体が価格高騰しており、こちらもご多聞に漏れず、なのですが、実はまだまだ相場を上げ切っていないとも言えます。
なぜなら3800は約25年ときわめて長い製造期間を持つため、比較的よく流通していること。加えて現行と異なり文字盤バリエーションが結構豊富で、需要が分散しがちなことが原因です。
しかしながら、これから価格高騰しそうな高級時計として挙げさせていただきます。むしろ、投機目的の方は、かなり狙い目なモデルだと思います。
なぜなら、ロレックスの解説でも言及したように、過去のモデルは年月を経るほどに状態の良い個体が市場から減少していき、いやがおうにも相場を上げてしまうためです。
3800の生産終了から既に14年が経とうとしているため、今後ますます稀少性は高まるばかりでしょう。
さらに、近年では小径ケースが流行しているため、過去のモデルの人気が高まっていること。パテックフィリップの相場高騰につられていることなどから、ジワジワと相場が上昇しています。
「相場を上げ切っていない」と申し上げましたが、現在の平均相場は、コンディションや文字盤にもよりますが既に700万円台~となっております。
さらに市場から姿を消していく前に、気になる方はぜひ押さえておきましょう!
③パテックフィリップ ノーチラス プチコンプリケーション 5712/1A
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径43.0mm
全重量:125g
文字盤:ブラックブルー
インデックス:バー
ムーブメント:Cal.240PS IRM C LU
パワーリザーブ:48時間
防水性能:120m
パテックフィリップと言えば、やはり複雑機構の作り手としての顔をイメージされる方も少なくないでしょう。
そんなパテックフィリップならではのスピリットが詰まったノーチラスと言えば、こちらのRef.5712/1Aです。ポインターデイト、ムーンフェイズ、パワーリザーブと様々な機能を付加した多機能モデル「プチコンプリケーション」となります。
ちなみに前述した5711の同級生にあたる2006年生まれで、5711とともにパテックフィリップ人気を牽引し続けてきました。
こちらも5711同様、既に価格高騰しており、現在の平均相場は1400万円前後~。
ちなみに2018年には650万円ほどでしたので、ここ数年で凄まじい上昇率を記録したことがわかります。
これだけ価格が上がっているにもかかわらず、需要が下がる気配がありません。
事実、2020年の当店でのパテックフィリップの三番人気はこちらのモデルでした。
今でもその人気ぶりは健在で、入荷すると本当にすぐなくなってしまいますし、再入荷のお問い合わせも非常によく頂きます。
誕生から10年以上経ってもなおこれだけ人気を誇るモデルは、今後もますますの需要を維持することは間違いありません。
むしろ、世界情勢が落ち着き、再び中国・インドなどで高級時計人気が高まれば、今後さらに価格高騰をし、もはや青天井のお値段となってしまうかもしれません。
誰でもが手を出せるモデルではありませんが、誰しもを魅了してやまず、それが価格に如実に反映され続けています。
④パテックフィリップ アクアノート エクストララージ 5167/1A-001
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径 40.8mm
全重量:142g
文字盤:ブラック
インデックス:アラビア
ムーブメント:Cal.324SS
パワーリザーブ:45時間
防水性能:120m
ノーチラスとともにパテクフィリップの価格高騰を担うアクアノート。
実はその歴史は結構新しくて、1997年に誕生します。
また、パテックフィリップのスポーツライン第二弾といった形でリリースされたのですが、かつてはノーチラスの影に隠れがちで、「知る人ぞ知る」といった立ち位置が長かったシリーズです。
もちろんその出来栄えはさすがパテックフィリップ。
基本はステンレススティール製ながら、多角形ケースは柔らかな丸みを帯びており、非常に優美。
文字盤の独特なデザインもエレガンスで、唯一無二の独創性が交わります。
ノーチラスよりもスポーティーテイストが強化されており、それでいてシンプルなカラトラバをも踏襲した、スポーティー・エレガンスといった様相です。
このアクアノートの価格が上昇し始めたのは、2018年に入ってからです。
ノーチラス人気につられた、というのもあるし、時計業界全体が空前絶後のスポーツウォッチブームに入ったことも大きかったでしょう。
でも、実際のところは、アクアノート自体が評価されているからに他なりません。
当店では2020年のパテックフィリップ一番人気はアクアノートの当モデルでしたし、今後もそれが続きそうな勢いです。
中古販売価格は600万円台~、状態によっては700万円を大きく超える相場感となっておりますが、ここからなかなか下がってきません。
さらに、現在ノーチラスの価格高騰が凄まじく、さすがに諦めて別のモデルを購入しよう、という方がアクアノートに流れてきています。この流れが続けばさらにアクアノートの価格高騰が加速して、ノーチラスをも凌ぐ人気モデルとなってしまうのではないでしょうか。
まとめ
一生に一本の時計を持つことも魅力的ですが、年齢や社会的地位、シーンに合わせて装いを変えることを求められる男性は少なくありません。
決して安くはない買い物である高級時計。
もしどれにしようか迷っているなら、こうした「資産価値」を一つの基準にしてみてはいかがでしょうか。
自分が愛用していた時計が、また別のユーザーに長く愛される。
それは、他のブランド品にはない、高級時計の味わい深さの一端のように思います。
当記事の監修者
池田裕之(いけだ ひろゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン 課長
39歳 熊本県出身
19歳で上京し、22歳で某ブランド販売店に勤務。 同社の時計フロア勤務期に、高級ブランド腕時計の魅力とその奥深さに感銘を受ける。しばらくは腕時計販売で実績を積み、29歳で腕時計専門店へ転職を決意。銀座ラシンに入社後は時計専門店のスタッフとして販売・買取・仕入れを経験。そして2018年8月、ロレックス専門店オープン時に店長へ就任。時計業界歴17年