「ミリタリーウォッチは、通常の時計とどこか違うのか?」
「ミリタリーウォッチは、日常使いに本当に適しているのか?」
実用性が高く、ファッション性にも優れたミリタリーウォッチは、各ブランドからも様々なモデルが販売されており、人気が高いカテゴリーの腕時計です。しかし、上記のような疑問や不安点を持っている人たちも一定数居ると思います。ミリタリーウォッチとはどんな時計なのか、詳しく紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
ミリタリーウォッチとは?
ミリタリーウォッチは、その名の通り軍隊で使用されている腕時計が由来です。しかし軍隊の中だけで完結する訳では無く、腕時計の歴史にも密接に関わっています。特にミリタリーウォッチの黎明期は、腕時計の発展にも同様に大きく貢献していることが特徴です。
黎明期のミリタリーウォッチは、懐中時計から実用性を求めて腕時計へと変貌して現在に至っています。まずはミリタリーウォッチの歴史的な背景から詳しく解説していきましょう。
ミリタリーウォッチの歴史
画像引用:ハミルトン公式サイト
ミリタリーウォッチの発祥は第一次世界大戦(1914年から1918年)からという説が最も有力です。ミリタリーウォッチを多く輩出してきた時計ブランド、ハミルトンは公式HPに同社が1914年からアメリカ軍へ腕時計の提供を始めたと明記しています。
さらにハミルトンは前述した懐中時計(ポケットウォッチ)から腕時計へとミリタリーウォッチが変貌していった事も以下のように記述しています。
第二次世界大戦以降もハミルトンはアメリカ軍へ腕時計の提供を続け、ミリタリーウォッチを代表するブランドとして、揺るぎない地位を構築して現在に至りました。同社の記述は他のブランドでの歴史的事実とも整合性が取れます。
世界初の腕時計と言われるカルティエのサントスは1904年に開発され、1911年に一班発売されました。
ハミルトンの上記公式HPの記述は、カルティエのサントスの誕生年からも矛盾が無く、ミリタリーウォッチの始まりはこの1914年の第一次世界大戦からとみてほぼ間違いありません。
第二次世界大戦以降になると、各国軍全体の支給時計以外で特殊部隊用時計としてミリタリーウォッチを納品するブランド(ロレックスやブランパン)も増えてきました。これは第二次世界大戦後の機雷などの不発弾処理で、ダイバーが活躍するシーンが増えてきた事に深く関わっています。
以下に知られている代表的なミリタリーウォッチの一覧を表にしました。ただミリタリーウォッチは軍用品である性質上、広く一般に対しては各国軍もブランドも公表していません。実際には下記の表以上に多くのミリタリーウォッチがあったと考えられます。
代表的なミリタリーウォッチ(含むパイロットウォッチ、ダイバーズウォッチ)
ブランド | コレクション | 軍 | 年代 |
---|---|---|---|
ハミルトン | カーキフィールド | アメリカ軍 | 1914年~ |
IWC | マークシリーズ | イギリス空軍 | 1940年代 |
ロレックス | サブマリーナー | イギリス海軍他 | 1950年代 |
ブランパン | フィフティ・ファゾムス | フランス海軍他 | 1950年代 |
ミリタリーウォッチのメリット
多くの愛好家から支持されるミリタリーウォッチのメリットとは、どんな点なのでしょう。なんとなく良いと思うより、具体的なメリットを把握しておくと、比較検討が容易になり購入する時にモデルを絞る事ができます。
以下に具体的なメリットを詳しく記述しますので、購入時の参考にしてください。
汎用性の高さ
ミリタリーウォッチの最大のメリットは、汎用性の高さです。ミリタリーウォッチの黎明期は軍隊で使用する事を目的で製造されました。一般的に考えても軍隊は陸海空によって、求められる機能は若干異なります。
しかし、過酷な環境下で使用する事は同じです。その過酷な環境下で使用するためには耐久性が求められます。また軍隊の性質上、極力メンテナンスが不要である事が重要です。仮に故障しても簡単に修理できることが不可欠になります。
そのために部品も共通化して、汎用性を高めておくと現場で即座に対応することが可能です。また汎用性を高めておけば、大量生産も可能で最終的にトータルコストの削減もできます。
汎用性を高めることは現代の腕時計に限らず、全ての工業製品に当てはまる手法です。現代の腕時計の生産現場でもパーツを共通化してコスト削減に努めているブランドを数多く見ます。
現代においてもミリタリーウォッチは商品の性質上高価な価格設定ができない時計です。この汎用性の高さは、ミリタリーウォッチの現代に伝わる伝統なのかも知れません。
トレンドに左右されることない普遍性
一般人の目線からすれば、トレンドに左右されることない普遍性の高いデザインも忘れてはいけません。ミリタリーウォッチは「実用性を追求すると、デザインはここに落ち着く」を体現するような腕時計です。
黒文字盤が多いのは、視認性以外にも色の劣化がしにくく、コストも低い事が挙げられます。さらに前項で触れたように汎用性の高さから黒がミリタリーウォッチに多く採用されているのも理由でしょう。
ミリタリーウォッチは軍用規格に基づき作られている
ミリタリーウォッチは軍用規格に基づき作られた時計であり、明確な数値基準のもとで製造された時計である事もメリットの一つです。各国軍隊は物資の調達に基準を設けておりそれらの基準を満たさないものは、採用されません。
全てのミリタリーウォッチが軍用規格に基づいている訳ではありませんが、各国軍に正規採用されたミリタリーウォッチであるならば、軍用規格を満たしています。
ミリタリーウォッチを購入する時には、その製品がどこの軍隊で採用されたかを調べて、可能な範囲で軍用規格を調べてみるのも、購入の楽しみが増すはずです。
ミリタリーウォッチのデメリット
ミリタリーウォッチには前述したメリット以外にも、デメリットも存在することを忘れてはいけません。デメリットも把握したうえで、希望モデルを探すとより納得のいくミリタリーウォッチが発見できます。
資産価値が落ちやすい
ミリタリーウォッチのデメリットとしては、資産価値が落ちやすい事が特徴です。特に中古の場合、ミリタリーウォッチはアクティブに使用されている製品がほとんどで、傷がついている物が多くなっています。
そのためコンディションによっては、価値が落ちる事は避けて通れません。
またミリタリーウォッチは、希少性という部分を期待する事は難しいでしょう。前述したように、汎用性の高い腕時計ゆえに同じ物が多くみられます。歴史上の著名な人物が装着していたミリタリーウォッチ以外は、価値が高くつくことはそんなに無いでしょう。
選べる時計が限られる
ミリタリーウォッチのもう一つのデメリットとして、選択肢が少ない事も忘れてはいけません。そもそも、ミリタリーウォッチはラインナップが限られており、全てのブランドがミリタリーウォッチを扱っていない事もその要因の一つです。
ミリタリーウォッチを含む軍の物資や軍用品は、前述したように軍用規格が定められており、おのずと取り扱う業者が限定されます。この事で、選べる選択肢が限られる事はどうしても避けられない事が現実です。
そして汎用性が高いゆえに同じモデルを大量生産していることが、多くみられます。このことも選択肢が限られる要因の一つになっていることは、忘れてはいけません。
ミリタリーウォッチの選び方
さて、具体的なミリタリーウォッチの選び方はどこに着目したら良いのか?
様々な要素の中からこれだけは押さえておきたいポイントを記述します。
デザインを重視して選ぶ
画像引用:ハミルトン 公式インスタグラム
ミリタリーウォッチを選ぶ際に重視するのは、時計本体のデザインです。一見するとどれも同じデザインに見えるミリタリーウォッチですが、ディテール(細部)をよく見るとその違いに気が付きます。
ケースの外観もラグの長さが違ったり、全体的に丸みを強調しているデザインもあるなどよく見ると多種多様なデザインです。全体のデザインを重視して選ぶのが王道でしょう。これらの違いは製造した年代やブランドによって発生します。
そのためできるだけ異なる年代やブランドに着目して探すと、デザインの違いがわかるはずです。
搭載されている機能で選ぶ
画像引用:ハミルトン 公式インスタグラム
各国軍に採用された正式なミリタリーウォッチであれば、ある程度のスペックは満たされていますが、付加されている機能で選ぶとより良いミリタリーウォッチを選ぶ事ができます。
まず一番に欲しい機能はクロノグラフです。ミリタリーウォッチとクロノグラフは切っても切れない関係にあります。戦場では時間計測は作戦の遂行において重要な役割を果たします。
他にはテレメータ機能と言われる機能を持ったクロノグラフがある事も特徴です。これは光の速度と音の伝わる速度の差を利用して距離を測る機能になります。
大砲の閃光時にスタートボタンを押して着弾の時の音がした時に計測を止めると目標物までの距離がわかる機能です。このテレメータ機能は現行品のボールウォッチやオメガ、ユンハンスでも採用しています。
通常のミリタリーウォッチのクロノグラフでは、速度が計測できるタキメーターが無い、計測のみに特化したモデルが多いのが特徴です。タキメーターが無い事を残念に思う人も居るかもしれません。
しかし、ミリタリーウォッチならではの機能を備えたモデルも存在します。ミリタリーウォッチを購入する時はテレメーター機能を備えたモデルがあることも覚えておくと選択肢が増えて、自身に相応しいモデルが見つかるかもしれません。
使われている素材で選ぶ
アンティークやヴィンテージのミリタリーウォッチでは使用している素材はステンレスが主流ですが、近年のミリタリーウォッチには新素材を採用しているブランドが多く見られます。
ステンレスよりも軽量で、硬いセラミックを採用するブランドもあり、他にはチタンを採用するブランドも出るなど、使用している素材にもぜひ注目して欲しいです。これらセラミックやチタンを採用したミリタリーウォッチは重量が軽くなり実用性が増します。
また現代のミリタリーウォッチのようにアウトドアで使用する事を考えている人たちにとって、軽量である事は魅力的です。またチタンやセラミックは擦り傷に強いことを忘れてはいけません。
笹薮を抜けたり、ロッククライミングでは、ステンレスより硬いケース素材の方が擦り傷が時計ケースに付きにくく重宝します。可能であれば、これら素材にも着目してミリタリーウォッチを選ぶ方がより良い製品に出会えるはずです。
アウトドア用途なら防水性も確認
我々一般ユーザーがミリタリーウォッチを使用する場合、多くの人はアウトドアでの用途を考える場合が多いかもしれません。そのような目的ではミリタリーウォッチの防水性は購入前にしっかりと確認すると安心です。
ミリタリーウォッチは一定以上の防水性は、担保されています。しかし、アウトドアではラフティングやカヌーなどで使用する場合もあるはずです。
ミリタリーウォッチでは最低限100M防水を備えている製品が、多くなっています。しかし前述したラフティングなどでは、もう少し高い防水性があった方が安心です。急流などでは想定以上に水圧がかかることがあります。100M防水のミリタリーウォッチだからといって過信しないほうが、安心です。
ミリタリーウォッチのおすすめモデル
以下にミリタリーウォッチのおすすめモデルを紹介します。いずれも信頼性の高いブランドばかりです。
ブランド名だけ聞いても、ミリタリーウォッチの信頼性が増すと思います。ぜひ、購入時の参考にしてください。
パネライ ルミノールマリーナ1950 3days PAM00392
素材: ステンレススティール / SS
ケース:直径 42mm (リューズ含まず)
駆動方式: 自動巻き / Self-Winding
付属品: 外箱 / 内箱 / 取扱説明書 / 保証書(発行日付 2017年4月) / 工具 / ピン
パネライは1935年よりイタリア海軍へ潜水用時計の試作品を提供して以降、イタリア海軍向け専用ブランドとして、1993年まで一般向けの販売をしていませんでした。そんなパネライの一般向け販売用時計の第一号として発表されたのが、ルミノール マリーナです。
パネライの中でも最も人気あるモデルの一つで、ミリタリーウォッチでもありますが、人気ダイバーウォッチとして、陸上でも使えるユーティリティさがこのモデルの魅力です。
さらに現代では当たり前になっている、「ロングパワーリザーブ」ムーブメントの採用にも積極的だったのがこのパネライです。大型ケースゆえに、ロングパワーリザーブ用のツインバレルを搭載しやすかった事も背景にあったかもしれません。
また、ロングパワーリザーブにすることで、リューズ操作を減らすことでユーザーの誤操作を減らしていた可能性も考えられます。とはいえロングパワーリザーブは腕時計を複数所持している人たちにとっては間違いなく重宝する機能です。
実用性を追及するミリタリーウォッチのDNAは間違いなく、このパネライ・ルミノール マリーナにも継承されている事は、間違いありません。
IWC パイロットウォッチ マーク18 トップガン “SFTI” 世界限定500本 IW324711
素材: チタン / TI × セラミック / CE
ケース:直径 41mm (リューズ含まず)
駆動方式: 自動巻き / Self-Winding
付属品: 外箱 / 内箱 / 取扱説明書 / 保証書(発行日付 2022年6月)
イギリス空軍用パイロットウォッチをこれまでも多く提供してきた、IWCの代表的なモデル、マーク18は、ミリタリーウォッチらしくないところがこのモデルの魅力です。
しかし細部に注目するとスペックは本格的なミリタリー仕様になっていることがわかります。
ドーム型風防に無反射コーティングを施し、風防があることを感じさせない視認性の良さがこのモデルの魅力です。
このドーム型風防は光の反射を防止して、敵機からの発見を防ぐのが狙いになります。またケース内部には、耐磁機能を持った軟鉄製のインナーケースによって、ムーブメントをコクピット内の磁気から守る構造になっています。
実用的でありながら高級時計の雰囲気を漂わせるこのマーク18は、そのギャップがこの時計の最大の魅力なのかもしれません。
ハミルトン|カーキーフィールドメカ
画像引用:ハミルトン 公式サイト
カーキーフィールドメカは、ミリタリーウォッチブランドとして、長い実績があるハミルトンの中でもバリエーションも多く、シンプルかつベーシックな雰囲気を持つモデルです。
現行品モデルとしてミリタリーウォッチの系譜を残すこのモデルは、幅広いシーンで使えます。
現在はスウォッチグループ傘下のブランドで、製造拠点もスイスに移し、その高い品質はスイス製時計としてより強固なものとなっている事が特徴です。また近年は映画の中で多く登場するブランドとして、活躍の場を広げています。
セイコー|プロスペック・ダイバースキューバ
画像引用:セイコー 公式サイト
セイコー プロスペック・ダイバースキューバはアウトドア用、過酷な環境向けの時計として1950年代より発売されてきた時計です。
プロスペックの中には、他にはマリンマスター、マリンマスタープロフェッショナルがあります。プロスペックはこれまで各国軍に納品されたという公式情報はありません。
しかし、プロスペックは自衛隊関係者や著名探検家からも支持されている、信頼性の高いコレクションです。
その信頼性の高さから、ダイバースキューバーは国立極地研究所に時計を寄贈して、南極観測の越冬隊員たちが極寒の厳しい条件下の探査活動で、このプロスペックダイバースキューバーを実際に使用しています。
プロスペック ダイバースキューバーは、これまで1967年から1969年の南極観測越冬隊に提供した実績がありました。中断期間を経て2021年の第63次越冬隊より隊員への提供を復活させています。
ジン 556.IM Sinn
素材:ステンレススティール/SS
ケース:直径 38.5mm (リューズ含まず)
駆動方式:自動巻き/Self-Winding
付属品:外箱/内箱/取扱説明書/保証書/専用工具
根強いファンが多いジンは、正式名称が「ジン特殊時計」であり、プロユースに特化した時計造りを信条としてきたドイツの時計ブランドです。その中でも556シリーズはアラビア数字とバーインデックスを組み合わせた、個性的なミリタリーウォッチになります。
ドイツ空軍の教官であった、ヘルムート・ジン氏が創設したジンは、パイロットウォッチに強みを持つブランドです。シンプルな外観にドイツ工業規格に基づく時計製造を心掛けてきた同社の時計は、ドイツらしい質実剛健で職人魂が感じられるブランドになります。
黒のダイアルと夜光塗料のインデックスという、ミリタリーらしい外観を持つジンはドイツを代表するミリタリーウォッチの代表格ブランドと言っても過言ではありません。
国ごとのミリタリーウォッチの特徴
ミリタリーウォッチは、各国軍の軍用規格に基づき製造されるため、お国柄が現れやすいジャンルの時計でもあります。
以下に世界各国のミリタリーウォッチの特徴を紹介しますので、参考にしてください。
アメリカ製のミリタリーウォッチ
アメリカ製のミリタリーウォッチは、汎用性とコストパフォーマンスを重視した軍用規格をメーカーに求めていることが特徴です。そのため、ムーブメントには機械式の他に戦後はクォーツムーブメントを搭載した腕時計を積極的に採用しています。
また、アメリカ軍の規模が大きく大量生産が可能なモデル、大量生産ゆえに大規模な予算が必要なため、コストパフォーマンスを最も重視しています。ハミルトンの公式HPによると、1942年から1945年までの3年間で、100万個以上の時計をアメリカ軍に納品しました。
多くの納品実績のあるハミルトンのカーキフィールドは、現行モデルでも販売価格が抑えられています。これもコストパフォーマンスを抑える伝統を継承していると想像できます。
イギリス製のミリタリーウォッチ
イギリス製のミリタリーウォッチは、精度と視認性にフォーカスしている事が特徴です。イギリス軍はアメリカ軍より規模は小さいですが、これまでの大戦で連合国の中でも大きな戦果をあげてきた軍隊になります。
SAS(特別空挺部隊)を初めとする少数精鋭の部隊が高い専門性を活かした、作戦を得意とする文化を持っている事が特徴です。ミリタリーウォッチにおいてもそれは同じで、彼らのミリタリーウォッチの選び方は、性能重視になります。
彼らがIWCのパイロットウォッチ、マーク11を選んできたのはそういった文化的な背景がある事が要因でしょう。そのためか、コストパフォーマンスはアメリカ軍ほど意識していないと思われます。
またスペック以外に伝統も大切にしていることが特徴です。IWCと長年パートナーシップを結んでいる事にも伝統や歴史を重んじているイギリス軍の軍風が感じられます。
第二次世界大戦でのイギリス空軍の名機「スピットファイアー」は、現行のIWCのパイロットウォッチの中にも「スピットファイアー」モデルがある位、IWCと英国空軍との関係性は現在も密接です。
ドイツ製のミリタリーウォッチ
ドイツ製のミリタリーウォッチは第二次世界大戦以前は明確な軍用規格が無い製品がほとんどで、納品ブランドも様々であった事が特徴です。民用品を集め軍が刻印を押した腕時計をミリタリーウォッチに仕上げているだけでした。
明確な軍用規格が定められたのが第二次世界大戦以降で、それ以降は堅牢性があって、高精度で技術力の高いものがミリタリーウォッチとして採用されます。
現在はジンに代表されるブランドが、高い技術力のあるミリタリーウォッチを製造しています。
日本製のミリタリーウォッチ
日本製のミリタリーウォッチは、コストパフォーマンスが重要で、次に実用性を重視することが特徴です。そして日本人らしくその2つのバランス感を大切にしている気がします。
デザインは総じてシンプルですが、市販品を使うのでは無くオリジナルデザインを登用する傾向があるようです。納品業者(ブランド)としては、セイコーが圧倒的に多く現在もセイコーが引き続き製造して納品しています。
自衛隊全体としてのミリタリーウォッチではなく、部隊ごとにそれぞれの用途に併せて規格を設定してコスト面を重視しつつ機能を満たして、納品しているようです。
ミリタリーウォッチのお手入れ方法
ミリタリーウォッチのお手入れ方法は、一般の時計と大差はありません。しかし使用頻度や過酷な環境下で使う事が多いので、マメに手入れする事をお勧めします。特に重要なのが汚れを落とす事です。汚れを残したままにしておくと、その部分から素材が腐食して、最終的にムーブメントに影響を及ぼす事もあります。
我々一般ユーザーは、フィールドワークやアウトドアでミリタリーウォッチを使用することが多いと考えられます。
使用後は最低限水洗いで汚れを落とし、付着した水分を拭き取り乾かす事を心掛けるべきです。さらに機械式時計であれば通常の時計同様に定期的なオーバーホールに出して、ムーブメント内部や防水検査も実施して貰う事が、必要になります。
同様にクォーツムーブメントのミリタリーウォッチであれば、定期的な電池交換をする事が重要です。フィールドでの電池切れはアウトドアユースでも様々な問題を引き起こすことがあります。
腕時計を使用した方角確認にも支障が出るので、電池の交換時期は忘れないようにしてください。
アウトドアでハードに使う人は、ストラップが破損したり、バネ棒が破損する事もミリタリーウォッチでは散見されます。可能であれば交換用ストラップや交換用のバネ棒も用意しておくと便利です。
まとめ
軍隊用時計として誕生したミリタリーウォッチは、現代ではアウトドア用時計やミリタリーファッション時計として、時計愛好家を始め、多くの人たちから愛されています。
かつて特殊時計と見られていたミリタリーウォッチは、近年はキャンプ愛好家を筆頭にアウトドアユースや、ミリタリーファッションを愛する人たちも使える、手軽な腕時計として人気は上昇傾向にあります。
そのためミリタリーウォッチを時計上級者向けの腕時計と決めつけないで、誰でも使えるユーティリティウォッチとして検討する事が重要です。ご自身のライフスタイルを考えて、アウトドアスポーツを楽しむ人であれば、検討に値する時計であることは間違いありません。
ぜひミリタリーウォッチも購入対象の腕時計として検討してください。
当記事の監修者
南 幸太朗(みなみ こうたろう)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン プロスタッフ
学生時代に腕時計の魅力に惹かれ、大学を卒業後にGINZA RASINへ入社。店舗での販売、仕入れの経験を経て2016年3月より銀座本店 店長へ就任。その後、銀座ナイン店 店長を兼務。現在は営業企画部 MD課 プロスタッフとして、バイヤー、プライシングを務める。得意なブランドはパテックフィリップやオーデマピゲ。時計業界歴13年。