「ロレックスの手巻きモデルに興味を持ったが、詳しい情報が見つからない」
「ロレックスの手巻きモデルの魅力や具体的なモデルが知りたい」
ロレックスの腕時計は機械式時計にも関わらず精度が高く、一度時刻調整を終えたらその後の調整は殆どする事無く使えることが魅力です。
また、黎明期のロレックスのムーブメントは同じ機械式であっても手巻き式が主流でした。
この記事では、「ロレックスの手巻きモデル」に興味を持った人に役立つ情報を幅広く紹介します。ぜひ参考にしてください。
目次
ロレックスの手巻きモデルは何がある?
ロレックスの現行モデルは全て機械式時計ですが、手巻き式ムーブメントを搭載したモデルは無く全て自動巻きです。
ただこれまで一度も手巻き式モデルを発売していなかった訳ではありません。
ブランドの黎明期は当然ですが全て手巻き式でした。ただ早い段階からロレックス手巻き式ムーブメントの自動巻き化にも取り組んできました。
人気モデルの殆どは、自動巻きモデルですが、少なからずロレックス手巻きの人気モデルも存在します。
少数派の手巻き式ムーブメントですが、その良さが最近見直され、手巻き式ムーブメントの新作を発表するブランドも増加中です。
具体的に以下で、代表的なロレックスの手巻きモデルを解説します。
オイスターデイト
オイスターデイトは、1950年代から80年代にかけて製造されたロレックスの手巻きモデルです。
ref.6094から始まり、ref.6694が代表的なモデルとなり、ref.6294などいくつかのモデルがあり、34㎜ケースの小ぶりなケースサイズになっています。
この頃あたりから、密閉性の高いオイスターケースをロレックスは採用していたため、当時としてはかなり高い防水性を誇っていました。手巻きゆえにケース厚は薄く、自動巻きモデルよりも、ジャケットの袖に収まりやすくなっています。
現代社会においてもこのサイズ感であれば、ビジネスユースはもちろん、フォーマルウォッチとして活用する事も十分できる腕時計です。
幅広いシーンに対応できる時計を探している人には、ぜひ検討してほしいロレックスの手巻き式モデルになります。
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チェリーニ
チェリーニは惜しまれつつ2023年にディスコンとなったコレクションです。
ロレックスの正統派ドレスウォッチですが、防水ケースであるオイスターケースを採用していなかった事でも、異彩を放っていました。
1970年代から続く息の長いラインナップで、実用性より、宝飾性を重視していた事が特徴です。そのためケース素材もゴールド素材を多用して、美しさを最優先にした仕上げが施されています。
もしかしたらディスコンになった理由は、その辺りにあったかも知れません。
チェリーニの中でも人気のあるモデルはref.3805です。このモデルはロレックスではあまり見られない、横長のクッション型ケースになります。
シンプルで飽きのこないバーインデックスのダイアルで1970年代から1980年代にかけて、製造されたモデルです。1970年代らしいサイケな外観にも好感が持てますが、薄く仕上げた外装ケースにも好感が持てます。
ロレックスの代名詞でもある防水性の高いオイスターケースを採用していない事で、一般的なロレックスと異なる位置付けをしている専門家も存在します。しかし、チェリーニはロレックスを代表する手巻きモデルとして、覚えておくべきです。
アンティークのデイトナなど
アンティークのクロノグラフも、ロレックスの代表的な手巻きモデルになります。
ロレックスの手巻き式クロノグラフは「①デイトナ以前」と「②デイトナ以降」に分かれます。
①の「デイトナ以前」の手巻き式クロノグラフは、1920年代頃から1960年代前半位までの腕時計です。この頃の手巻きクロノグラフはトリプル・カレンダーを組みわせた、コンプリケーション(複雑時計)的な造りのモデルが多く散見されます。
ムーブメントも自社製造では無く、ヴァルジューやレマニア製のエボーシュ(半製品ムーブメント)をロレックス仕様(改造)にするモデルが大半だった事が特徴です。この頃のロレックスはムーブメントの自動巻き化を進めていきます。
しかし、当時クロノグラフの自動巻き化は全く進んでいませんでした。そう言った背景もあって手巻き式クロノグラフには魅力的なモデルが多く生まれたのかも知れません。
そうした中、生まれたref.2508、ref.6036、ref.6236といったモデルはエレガントなクロノグラフに仕上がっている事が特徴です。
中でもref.6036、ref.6236はフランスのスキー選手ジャン・クロード キリーが愛用していた事から「キリーモデル」と呼ばれるコレクターズモデルになります。
現在のデイトナには無い、トリプルカレンダークロノグラフで、気品溢れる外観は時代を超えて通用するモデルです。しかしこの頃のクロノグラフはオイスターケースでは無く、非防水ケースになります。
1926年にはオイスターケース、1931年にはオイスターパーペチュアルを既に発表して防水性と自動巻き化に成功しているにも関わらず、クロノグラフだけなぜか、ロレックスの最新の技法が採用されていない事がムーブメントとケースからも伺い知れます。
クロノグラフは、ロレックスが最後まで自動巻き自社製ムーブメントを導入できなかったカテゴリーです。
自動巻きクロノグラフの開発が遅れたのは、手巻き式のクロノムーブメントの自社開発ができなかった事も背景にあったのではと考えたくなります。
手巻きデイトナも魅力的な一本
ロレックスの手巻き式の中で人気が高いのが、1963年に「コスモグラフ・デイトナ」として登場した腕時計です。
デイトナはそれ以前のクロノグラフと違い、オイスターケースを採用した事で、防水性と耐久性も従来のクロノグラフよりも大幅にアップしました。
アメリカフロリダのデイトナビーチで行われる、名門サーキットの名前をそのまま冠したモデルは、外観もスポーティーに仕上げ耐久性と防水性を加えたクロノグラフとして、世界を席巻します。
現在もオークションハウスのセールスで高値で落札される手巻き式デイトナですが、スポーティーな外観でベゼルにもタキメーターを備えましたが、発売当初はそれほど人気はありませんでした。
しかし、ハリウッド俳優であったポールニューマンが自身の保有していたデイトナRef.6239を装着した写真が出た後(年代不明)にイタリアでブームになったという説が有力です。
1988年にはオークションで約225万円(当時)で落札された記録があります。
今やロレックスを代表する手巻き式モデルといえば、デイトナです。
手巻きゆえにケース厚を薄く仕上げている事も多くの人を惹きつける魅力の一つです。
カメレオン
カメレオンは手巻きロレックスの中で、正統派のレディース用のドレスウォッチです。
ロレックスの公式HPにも情報が掲載されていない、ミステリアスなモデルになります。
1950年代から1970年代にかけて製造されて、特徴としてはストラップが交換可能で、ケースサイズも極めて小さく、15㎜から17㎜前後になります。視認性も決して良く無く、実用性は乏しいモデルです。
しかし、前述したように交換用ストラップがあり、専用ケースに複数本備えて色も様々でカラフルな色あいの物を備えています。ケース素材は基本貴金属でベゼルもオーバル(楕円形)で、貝殻を連想させる造形です。
その他アンティークモデル全般
その他の手巻きのアンティークモデルとしては、Ref.1016エクスプローラがあります。Ref.1016エクスプローラ初期のモデルには、まだ手巻きムーブメントが搭載されていました。
Ref.1016は、製造期間が長く流通量も多い個体ですが、手巻きモデルだけに着目すると限られた期間だったため、希少性のあるモデルです。
もし世界中に流通しているRef.1016の中に手巻きがあれば、ぜひ検討する価値があると思います。
ロレックスの手巻きモデルはいつまで?
自動巻きムーブメントをブランド黎明期から積極的に導入してきたロレックスが、いつまで手巻きムーブメントを搭載してきたかといえば、プロフェッショナルモデルでは1988年のデイトナが最後でした。
1960年代から1970年代にかけてロレックスはムーブメントの自動巻き化を進めていきます。しかし、クロノグラフムーブメントの自動巻き化だけはどうしても進みません。ちょうどクォーツショックの時期と重なったことも影響したかも知れません。
最終的にはゼニスのムーブメントを借りて、ロレックスは手巻きムーブメントからの脱却に成功するのです。その後2000年から自社製ムーブメントの開発に成功します。
一方、プロフェショナル以外に目を向けると、チェリーニは2000年代まで手巻き式が製造されていました。このチェリーニがロレックス最後の手巻きモデルです。
ロレックス手巻きモデルの魅力
完全に自動巻き化になったロレックスにとって、手巻きモデルは過去の遺物かも知れません。
しかし、愛好家の間ではそうではありません。
むしろ全てのムーブメントが自動巻きになった事で、特に手巻きモデルは人気となります。
自動巻きモデルには無い、手巻きモデルのスリムさが魅力
手巻きモデルの魅力は、自動巻きモデルでは決して仕上げることができない薄い「ケース厚」です。
近年の自動巻きモデルはかつてよりも薄く仕上げていますが、手巻きムーブメントの薄さには叶いません。
自動巻きムーブメントはローターがある分、物理的にムーブメント自体は厚くなります。一般的に腕時計は高級なモデルほど、薄いのが定説です。そのため愛好家ほど手巻き式時計を愛する人が多いと言われます。
近年各ブランドは、ケースの薄さを競い合うようにケース厚保の薄型競争が過熱中です。構造的にムーブメントを薄く仕上げられる手巻き式の魅力は、薄さへの探求がもたらした事も要因だと考えられます。
希少性がもたらす魅力
もう一つ挙げるとすれば、ロレックスの手巻き式モデルに希少性が生まれて、資産的価値が出てきた事も見逃せません。
中古市場を見渡しても、流通量は少なく実際にロレックスの手巻き式モデルは、オークションハウスで高値で落札されています。
デイトナの「ポールニューマンダイアル」、「キリ―モデル」などは最たる例で、近年はコレクター相場を超えた投機的な需要の増加によって、相場が上昇している事は間違いありません。しかし最終的には投機的な相場は一時的な物に過ぎません。
2019年頃からの時計バブルも現在は沈静化しており、これからは手巻きデイトナも少し落ち着いた価格で購入できると推測されます。
ロレックス手巻きモデルをあえて選ぶ理由は?
ロレックスの手巻きモデルを敢えて選ぶ人たちの理由は、手巻きムーブメント自体が本来持つ、機械的な魅力も忘れてはいけません。
日常生活中にゼンマイが自動的に巻き上がる自動巻きムーブメントは確かに便利です。
しかし、機械式時計を好む愛好家やよりマニアックな好事家(こうずか)たちはムーブメントの歯車の動きや音といった、触感的な物に楽しみを見出します。
彼らが最終的に機械式ムーブメントの原点である、手巻き式に回帰する事も自然の流れです。
手巻き式ムーブメントは、時計と対話できるともよく言われます。
オールドファンで50代から60代以上の人たちは幼少期に父や祖父たちが持つ、手巻き式時計に触れた方も多いと思います。その父や祖父から「ゼンマイを巻き過ぎるな、ゼンマイが切れる」と指摘された人も居るでしょう。
手巻き式時計は、ムーブメントが持つ本来の暖かみを体感できる腕時計であることは間違いありません。
ロレックス手巻きモデルおすすめピックアップ
数多くあるロレックスの手巻きモデルの中から、どれを選んだら良いかわからない人のために具体的なおすすめのロレックス手巻きモデルを紹介します。
手巻きロレックスは全て中古モデルになるため、選ぶ時販売店は専門知識のある販売店で購入することがおすすめです。
ロレックス オイスターデイト プレシジョン 6694

素材:ステンレススティール / SS
ケース:直径 34mm (リューズ含まず)
駆動方式:手巻き / Hand-Winding
ロレックス オイスターデイト プレシジョン 6694は、シルバーのダイアルにシンプルで飽きのこないモデルです。現行モデルに多い38㎜から40㎜のモデルより小ぶりで、ケースも薄いためシャツの袖口にすっと収まります。
長袖のシャツやスーツ姿でもスマートに使え、デザインもシンプルで幅広い年齢層で使える事も魅力です。またオイスターケースを採用しているので、防水性が期待できます。
風防も現行品には無いドーム型のプラスチック製の風防で、サイクロップレンズも現行品とは異なり全体的に丸みを帯びている事が特徴です。ヴィンテージ感の強い外観が、このモデルの魅力になります。
ロレックス デイトナ 6263

素材:ステンレススティール / SS
ケース:直径 37mm (リューズ含まず)
駆動方式:手巻き / Hand-Winding
近年希少性が高まっていると言われるデイトナ6263になります。黒のダイアルに白の3カウンターモデルで、スポーティーな装いがこのモデルの魅力です。
37㎜というケースサイズも現行モデルより、ひとまわり小さく日本人の手に合うサイズ感になります。
夜光塗料もトリチウムの独特のやや薄暗い発光が、魅力的なモデルです。ダイアルのヤケがヴィンテージ感を一層増幅させてくれます。
ロレックス チェリーニ 5112/8

素材:イエローゴールド / YG
ケース:直径 32mm (リューズ含まず)
駆動方式:手巻き / Hand-Winding
正統派ドレスウォッチであるチェリーニシリーズの中でも、この 5112/8はシンプルかつエレガントさを兼ね備えた、魅力的な一品である事は間違いありません。ドレスウォッチの不文律である2針のこの時計は、現在では希少なモデルです。
しかし、決して過去の物と感じさせないタイムレスな美しさを兼ね備えたこの時計は、持っていて損はありません。
ドレスウォッチは使う機会が少ない気がする時計かも知れません。しかし、冠婚葬祭を含めると使えるシーンはおのずと増えてくるはずです。
日常使いの時計ではありませんが、あると重宝する時計だと思います。
ロレックス チェリーニ プリンス 5440/8 シャンパン

素材:イエローゴールド / YG
ケース:縦 38mm × 横 28mm
駆動方式:
手巻き / Hand-Winding
ロレックス チェリーニ プリンス 5440/8は、ロレックスでは珍しいレクタンギュラーケースを採用しており、スケルトンバックを採用している事でも希少なモデルです。また、このモデルは往年の名作「プリンス」を復刻させた物になります。
「プリンス」の初代モデルは1928年に製造されたモデルです。この珍しい長方形のレクタンギュラーケースは1926年にスイスの知的財産庁にモデルの意匠登録されています。
スモールセコンド時計ですが、秒針が分針と時針と比較すると大きく、見た目では2つの時計が上下に配されているような印象を受けます。当時は「ドクターウォッチ」とも呼ばれ、研究者や医師から愛された時計でした。
元々は富裕層向けに製造されたと推定され、基本的にはケース素材はゴールドでしたが、1934年からはスティール製のモデルもリリースされます。
このチェリーニ プリンス 5440/8は、イエローゴールド製で、初期のモデルを復刻させたモデルです。
クル・ド・パリの装飾を施したクラシックなダイアルから、ピュアなドレスウォッチを連想しますが、視認性も良くオリジナルモデルのパワーリザーブは、58時間を誇る実用性の高い時計でした。
このプリンス 5440/8は2000年代に入ってから復刻されたモデルゆえ、手巻きムーブメントは当時よりも向上している筈です。フォーマルなシーンで活躍できる時計になります。
ロレックス手巻きモデルはオーバーホール料金目安は?
ロレックスの手巻き式モデルのオーバーホール費用の料金目安はどれ位になるかといえば、30,000円から40,000円位です。
手巻き式の時計のオーバーホールは、ムーブメントの構造がシンプルなため作業の工数は減る傾向にあり、料金も低く抑えられます。
時計職人さんの間では、ロレックスは修理しやすい時計だと言われています。修理業者へ最も多く持ち込まれるブランドで、同社の時計に対するノウハウは職人さんは豊富です。
さらに手巻きムーブメントは構造がシンプルであることを忘れてはいけません。
手巻き式ムーブメントは、自動巻きやクロノグラフに比べて比較的容易にオーバホールできます。ただオーバーホールの過程で部品交換が必要と判断された場合は、費用が高額になる場合が多いです(オーバーホールは部品交換が無い分解掃除である)。
ロレックスの正規メンテナンスは部品の永久ストック(在庫)を謳っていません。そのためパーツの入手は、時計修理業者が独自ルートで調達する必要があります。
部品が比較的容易に入手できるモデルでは作業は全く問題ありません。
入手が困難なモデルは、部品入荷まで時間がかかるか、修理不可となる事も考えられます。
日本ロレックスの正規メンテナンスでは部品の永久保管が無いため、リファレンスが4桁モデルの多くは、受託停止です。ロレックスは受託停止モデルを公表していませんが、4桁のロレックスは正規では受託停止と考えて間違いありません。
そのため、手巻き式モデルのオーバーホールは時計修理専門業者に任せる方が安心です。
まとめ
ロレックスの手巻きモデルを総括すると、機械式時計が元来持っている魅力を存分に堪能できるモデルだと言えます。
自動巻き時計では決して味わえない、リュウズを通じて直接時計と対話できる機能を持ち合わせていることが特徴です。
また、ロレックスの手巻き式時計は、ロレックス黎明期に技術の歴史と進化を見届けたモデルであり、礎となった事も忘れてはいけません。
自動巻きムーブメントの基礎である手巻き式がしっかりとしていたからこそ、現代のロレックスがあるのです。
ぜひ、中古時計販売店でロレックスの手巻き式モデルを見つけてください。