「パテックフィリップ ノーチラスって何がすごいの?」
「ノーチラスの系譜や魅力について知りたい」
世界3大時計ブランドの一角を担うパテックフィリップは時計界の頂点に立つ老舗時計メーカーです。
その最高級の精度と高貴な美しさはヴィクトリア女王、ローマ教皇、アインシュタイン、ウォルトディズニー、ブッシュ大統領など数多くの偉人に愛されてきました。
パテックフィリップの定番モデルにはカラトラバ・アクアノート・ゴンドーロといったコレクションが存在しますが、その中でも近年人気が高いのは本格スポーツウォッチとして作られた「ノーチラス」です。
このノーチラスには1976年の誕生以来、数多くの著名人を虜にしてきた輝かしい歴史があります。
そんなノーチラスの系譜や魅力について知りたいという人は多いのではないでしょうか。
ノーチラス発売30周年の2006年にはフルモデルチェンジがなされ、以来ステンレスモデル以外にもゴールドやダイヤを使った様々なバリエーションが増えました。
この記事ではノーチラスの系譜や魅力について、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
画像付きで詳しく説明しますので、パテックフィリップに興味がある方はぜひ参考にしてください。
目次
ノーチラスの特徴
ノーチラスはパテックフィリップ初のスポーツウォッチとして1976年に誕生した画期的なモデルです。ケースデザインは潜水艦「ノーチラス号」の舷窓をモチーフとして製作され、素材にはステンレスが使われました。
当時の高級腕時計はゴールドのケースに革ベルトを配したドレスウォッチであることが常識。しかし、パテックフィリップはノーチラスにより、その常識を打ち破り、世界一高い最高級ステンレスウォッチを時計界に放ったのです。
また、ノーチラスのケースデザインは多くの人気ウォッチを手がけてきたジェラルド・ジェンタ氏がデザインを担当。薄型時計のデザインを得意としたジェンダ氏とパテックフィリップの技術力により、ノーチラスは生まれました。
出典:https://ja.wikipedia.org/
デザインの特徴はオリジナリティあふれるオクタゴン型(八角形)のフォルム。各辺が緩やかなカーブを描き全体が洗練されたクラシックな形をつくり出しています。
そして、もう一つの特徴は「耳」と呼ばれるケースの左右に飛び出した突起部分。この耳はノーチラスのシンボルデザインであると同時に「防水性」を高めるための構造的な理由により取り付けられました。
もともと「ウェットスーツにもタキシードにも完璧にマッチする時計」というコンセプトのもと作られたノーチラスは、スポーティでありながらも”薄さ”を保ちつつ「防水性」の向上にも取り組んだモデルです。この薄さによって実現された優れた装着感は他のブランドには決して再現できないクオリティーともいわれています。
ちなみに裏蓋は2006年に発売したモデル以降は全てシースルーバックになっており、美しいムーブメントの動きを眺めることが出来るようになりました。
驚愕の薄さと防水性
ノーチラスは120mの防水性能を誇ります。数多くのダイバーズウォッチが開発されている現代では、この数値は大したことないように思えるかもしれませんが、実はそれは大間違いです。
ノーチラスの薄さは約7.5mm。この薄さでこの耐水性を備えているのは実は驚異的なことなのです。
しかもノーチラスは手巻き式よりも厚くなりやすい自動巻きムーブメントを搭載しているのに、この薄さ!
ドレスウォッチの防水性能は30m防水程度の生活防水が一般的ですが、ノーチラスはドレスウォッチと同等もしくはそれ以下の薄さを誇りながらも、マリンスポーツにも対応できるほどの防水性能を兼ね備えています。
パテックブルーと呼ばれる美しい文字盤
ノーチラスには複数の文字盤カラーが用意されていますが、その中でも圧倒的に人気があるのが「パテックブルー」と呼ばれるこの文字盤です。
パテックブルーは煌びやかな輝きというよりシルクのようなマッドな質感をもつ文字盤です。色もグレー味の強いブルーで、光り輝く明るさというよりも、深みのある玄人好みの輝きを放ちます。
一般的なドレスウォッチを太陽に例えると、ノーチラスのパテックブルーは月のような光と表現できるでしょう。
ノーチラスの系譜
では、ノーチラスが現在までどのような系譜が紡がれてきたのか見てみましょう。ノーチラスにはダイヤを配したモデルやゴールドケースモデルといった様々なバリエーションが存在し、その全てが最高級の美しさを持ち合わせます。
パテックフィリップ ノーチラス 3700/1A
■製造年:1976年
■ケース直径:39.0mm (リューズ含まず)
■文字盤色:ブラック
高級モデルはゴールド素材で厚みを抑えたドレスウォッチであることが当たり前だった時代。そんな時代に誕生したのがパテックフィリップ初めてのスポーツウォッチとして誕生したノーチラスでした。ノーチラスのステンレススチール素材を使用した力強いフォルムは時計界に大きな衝撃を与えます。
■製造年:1981年
■ケース直径:37.0mm (リューズ含まず)
■文字盤色:ブルー
オリジナリティあふれるオクタゴン型(八角形)のケースフォルムは各辺が緩やかなカーブを描き、全体が洗練されたクラシックな形をつくり出しています。フォルムは初期モデルと変わりませんが、インデックスや針の強度は格段に向上し、ムーブメントには薄型で軽量化されたCal.330SCを搭載しました。この年代の流行に乗っ取り、若干小さめのケースサイズになっていることも特徴です。
■製造年:1980年代
■ケース直径:38.0mm (リューズ含まず)
■文字盤色:ブルー
ノーチラス3800/1Aのコンビモデル。イエローゴールドベゼルとブルー文字盤のゴージャスなコントラストが話題になりました。発売当時はまだステンレススティールの高級時計が定着していなかった時期だったため、コンビモデルの方が人気でした。
■製造年:1998年
■ケース直径: 38.0mm (リューズ含まず)
■文字盤色:ブラック
ノーチラスでは珍しいローマンインデックスが配されたレアモデル。12時の下にパワーリザーブインジケーターが備えられており、独特の存在感を放ちます。搭載ムーブメントは自動巻きCal.330。ディスクがパワーリザーブ針と連動して回転する非常に珍しい構造です。
■製造年:2005年
■ケース直径: 38.0mm (リューズ含まず)
■文字盤色:ブルー
ノーチラス30周年を記念して作られたモデル。2005年に廃盤となったノーチラスの名機「3800」の後継機として誕生しました。発売後すぐに生産終了となってしまった為、大変希少なモデルとして高い価値を誇ります。3800/1Aよりもブレスレットが若干幅広になっていることを特徴とし、更にシースルーバックが採用されていることが特徴です。
パテックフィリップ プチコンプリケーション 3712
■製造年:2005年
■ケース直径:43.0mm (リューズ含まず)
■文字盤色:ブルー
ノーチラス初のプチコンプリケーションモデルとして登場した3712。このモデルも5800/1Aと同じく発売後すぐに生産終了となったモデルであるため、希少性が高いです。翌年に発売された人気作5712に比べ、カレンダーの文字がやや小さめで作られています。
■製造年:2006年
■ケースサイズ:縦 43.0mm × 横 38.0mm
■文字盤色:ブルー
ノーチラスの一番人気モデル5711/1A。正規品での購入はほとんど不可能であり、ロレックスのデイトナと同じく新品価格を上回る中古価格が付いています。ケースは縦 43.0mm × 横 38.0mmのやや大きめなサイズでありながらも、厚みが薄く、装着感は抜群です。ムーブメントにはCal.324SCを搭載し、更に高性能になりました。ブレスレットはネジ式ブレスが採用されています。
パテックフィリップ ノーチラス プチコンプリケーション 5712/1A
■製造年:2006年
■ケース直径: 43.0mm (リューズ含まず)
■文字盤色:ブルー
ポインターデイト、ムーンフェイズ、パワーリザーブと様々な機能を付加した多機能モデルは通称「プチコン」と呼ばれます。この5712/1Aはノーチラスのプチコンモデルの中では非常に高い人気を誇る傑作です。ムーブメントにはマイクロローター採用の“Cal.240PS IRM C LU”が搭載しており、息を呑むほどの美しさを誇ります。
■製造年:2006年
■ケースサイズ:ケース:縦 43.0mm × 横 38.0mm
■文字盤色:ブラウン
ステンレスモデルと同時に発売された、プチコンのイエローゴールドモデル。基本性能はステンレスモデルと同一ですが、文字盤がブルーではなくブラウンになっていること、金属ブレスレットではなく、レザーベルトが備えられているという違いがあります。
■製造年:2006年
■ケースサイズ:ケース:縦 43.0mm × 横 38.0mm
■文字盤色:グレー
こちらもプチコンのカラーバリエーションモデル。ケースには美しく輝くホワイトゴールド、文字盤はスタイリッシュなグレー文字盤が採用されています。見た目はステンレスモデルに似ていますが、レザーベルトが備えられているため大きく印象は異なります。
パテックフィリップ ノーチラス クロノグラフ 5980/1A
■製造年:2006年
■ケース直径:縦 38.0mm × 横 43.0mm
■文字盤色:ブルー
ノーチラス待望のクロノグラフモデル。完全自社製ムーブメント“Cal.CH28-520C”を搭載し、6時位置には60分計と12時間計を同軸で統合したデュアル・サブダイヤルが備えられています。クロノグラフを搭載したことでよりスポーティーになりましたが、エレガントな雰囲気はそのまま保たれています。
■製造年:2007年
■ケース直径:直径 40.5mm (リューズ含まず)
■文字盤色:シルバー
5711/1Aの発売から1年遅れで登場したカラーバリエーションモデル。イエローゴールドケースに、スタイリッシュなシルバー文字盤を配したゴージャスな一本に仕上がっています。ただ、ゴージャスでありながらも厭らしさを感じさせないのがノーチラスの凄いところ。40代・50代の男性に人気があります。
パテックフィリップ ノーチラス プチコンプリケーション ベゼルダイヤ 5722G-001
■製造年:2008年
■ケース直径:直径 40.0mm (リューズ含まず)
■文字盤色:ブルー
ついに発売されたプチコンのダイヤモデル。ベゼルには32個のバゲットカットダイヤ(約5.7カラット)が配されており、高級感あふれる仕上がりです。ムーブメントには“Cal.CH28-520C”を搭載。6時位置には60分計と12時間計を同軸で統合したデュアル・サブダイヤルが備えられています。
パテックフィリップ ノーチラス プチコンプリケーション ベゼルダイヤ 5724R-001
■製造年:2008年
■ケース直径:直径 40.0mm (リューズ含まず)
■文字盤色:ブラウン
プチコンダイヤモデルのローズゴールドバージョン。5722シリーズとは異なり、インデックスとベルト接続部分にもダイヤが配されるようになりました。また、ローズゴールドモデルはレザーベルトもブラウンに変更されており、クラシカルな魅力に溢れています。
パテックフィリップ ノーチラス ベゼルダイヤ 5713/1G-010
■製造年:2008年
■ケース直径:直径 40.0mm (リューズ含まず)
■文字盤色:ブルー
40mmのビッグケースに48個(計1.52カラット)のダイヤモンドをセッティングしたラグジュアリーなノーチラスです。2008年から2015年にかけて発売され、男性のみならず女性にも支持されました。ケースは18Kホワイトゴールドケース。ケースバックはシースルー仕様となっています。
パテックフィリップ ノーチラス ラージ 5711/1A-010
■製造年:2010年
■ケース直径:縦 43.0mm × 横 38.0mm
■文字盤色:ブルー
5711/1Aは2006に発売された5711/1A-001のマイナーチェンジバージョンです。ケースサイズや搭載ムーブメントこそ違いはありませんが、ブレスレットがネジ式ブレスから打ち抜きピン式ブレスに変更されています。また、5711/1A-001はステンレス裏蓋モデルが存在しましたが、5711/1A-010は全てシースルーバックです。
パテックフィリップ ノーチラス アニュアルカレンダー 5726A-001
■製造年:2010年
■ケース直径:40.5mm (リューズ含まず)
■文字盤色:ブラック
5726A/-001は、Cal.324 S QA LU 24Hを搭載した初のアニュアルカレンダーモデルです。このモデルは2009年に採用された『パテックフィリップ・シール(PPシール)』の紋章がムーブメントに刻まれていることが特徴で、この刻印は時計の精度のみならず”仕上げ方や構造”でも最高品質であるという証明でもあります。
パテックフィリップ ノーチラス クロノグラフ 5980R-001
■製造年:2010年
■ケース直径:40.5mm (リューズ含まず)
■文字盤色:ブラウン
2006年に発表された5980/1Aのローズゴールドモデル。シックなブラウンも相まって非常に上品な印象を放ちます。また、5980R-001には金属ブレスレットではなく、最高品質のレザーベルトが採用されています。ノーチラスのピンクゴールドモデルは珍しいため、現在でも人気が高いモデルです。
■製造年:2012年
■ケース直径:縦 38.0mm × 横 43.0mm
■文字盤色:ホワイト
2006年に発表された5711/1Aのホワイト文字盤モデル。今作にもパテックフィリップ・シールの認定規準に準拠したCal.324SCが搭載されています。ブルー文字盤モデルよりもシンプルなモノトーンデザインなので、男性のみならず女性にもオススメの一本です。なお、5711/1Aはネジ式ブレスでしたが、今作は打ち抜きピン式ブレスに変更されています。
パテックフィリップ ノーチラス 5726/1A-010
■製造年:2012年
■ケース直径:40.5mm (リューズ含まず)
■文字盤色:ホワイト
2010年に発表された5726/1A-001のホワイト文字盤モデル。5726/1A-001はブラック文字盤にレザーベルトが備えられていましたが、今作はシンプルで上品なホワイト文字盤に金属ベルトが備えられています。ビジネスシーンにも使いやすく、誰が身に着けても似合うこと間違いなしです。搭載ムーブメントやその他のデザインに変更点はありません。
パテックフィリップ ノーチラス クロノグラフ コンビ 5980/1AR-001
■製造年:2013年
■ケース直径:直径 40.5mm (リューズ含まず)
■文字盤色:ブルー
2010年に発表された5980のコンビモデル。完全自社製ムーブメント“Cal.CH28-520C”を搭載し、6時位置には60分計と12時間計を同軸で統合したデュアル・サブダイヤルが備えられています。文字盤に配されたパテックブルーとイエローゴールドベゼルのコントラストは実に美しいです。
パテックフィリップ ノーチラス トラベルタイム クロノグラフ 5990/1A
■製造年:2014年
■ケースサイズ:縦 38.5mm × 横 44.0mm
■文字盤色:グレー
トラベルタイムとクロノグラフ機能を持つ自動巻きムーブメント(CH 28-8520 C FUS)を搭載したノーチラス。ケースサイド9時のプッシュボタンを押すことで、ローカルタイムの時間を1時間単位で調整することが出来ます。デイナイトインジケーターにより、ローカル・ホームの時間帯を直感的に把握することも可能です。
パテックフィリップ ノーチラス クロノグラフ 40周年記念 700本限定 5711/1p-001
■製造年:2016年
■ケースサイズ:縦 43.0mm × 横 38.0mm
■文字盤色:ブルー
2016年に40周年を迎えたノーチラスの世界700本限定モデル。見た目は5711/1Aにそっくりですが、ステンレスではなくプラチナがケース素材に採用されています。文字盤はブルーカラーにバケットダイアインデックスの特別仕様となっています。
パテックフィリップ ノーチラス クロノグラフ 40周年記念 限定1300本 5976/1G-001
■製造年:2016年
■ケースサイズ:直径 44.0mm (リューズ含まず)
■文字盤色:ブルー
2016年に40周年を迎えたノーチラスの世界1300本限定モデル。従来のステンレス素材ではなくホワイトゴールド素材をケースに採用したことにより、未だかつてない重量感と高級感を持ち合わせたノーチラスです。文字盤には40周年の刻印が刻まれています。
まとめ
ノーチラスは最高級スポーツウォッチとして多くの著名人や時計ファンに愛されてきた王道コレクションです。ノーチラス発売30周年を迎えた2006年にはフルモデルチェンジがなされ、以来ステンレスモデル以外にもゴールドやダイヤを使った様々なバリエーションのノーチラスがこれまでより増えました。
しかし、やはり人気なのは伝統的なステンレスケースにパテックブルーの文字盤を配した基本モデルでしょう。特に5711/1Aは発売してから10年経っても衰えしらずの人気を誇ります。
実は2006・2000・2014と4年周期で新型が発表されているノーチラス。もしかしたら2018年にも最新モデルが発表されるかもしれません。
当記事の監修者
南 幸太朗(みなみ こうたろう)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン プロスタッフ
学生時代に腕時計の魅力に惹かれ、大学を卒業後にGINZA RASINへ入社。店舗での販売、仕入れの経験を経て2016年3月より銀座本店 店長へ就任。その後、銀座ナイン店 店長を兼務。現在は営業企画部 MD課 プロスタッフとして、バイヤー、プライシングを務める。得意なブランドはパテックフィリップやオーデマピゲ。時計業界歴13年。
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