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徹底分析!ロレックスの価格推移 その「傾向」と「対策」
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高級腕時計の相場は為替レートや様々な要因によって日々めまぐるしく変化しています。
相場の高い時期に買っても、相場の安い時期に買っても、同じ腕時計には変わりないので、どうせなら安い時期に買いたいと思うことはとても自然なこと。
しかし、ベストの「買い時」を探るのはハッキリいって至難の業です。そこで今回は買いのタイミングを少しでも予測できるように「相場を変動させる7つの要因」をまとめてみました。
この要因を覚えることで、ある程度高騰する時期を予測することができるようになるでしょう。
目次
相場を変動させる要因① 為替の変動
高級腕時計の相場に一番影響するのは、間違いなくこの「為替レート」によるものです。
高級腕時計のほとんどはスイスメイドなので、輸入されて国内に流通するようになります。そのため「為替レートの変動」を受けやすい商品といえるでしょう。
特にロレックスは高額商品であるため、少しレートが上がっただけでも何万円もの相場アップが起こってしまいますし、逆に、安いレートで仕入れたロレックスは、安い価格で販売することが可能です。
つまり基本的には円安だと時計は高くなり、円高だと時計は安くなります。ただし、全てのモデルが相場通りというわけではありませんので、注意が必要です。
常に為替レートをチェックするのが理想といえば理想ですが、それはもはや時計ファンの守備範囲を完全に超えてしまいます。
ただ、そこまでしなくても世界経済がどのような動きをしているのかぐらいは把握しておくと、相場の動きが多少は読みやすくなるでしょう。
相場を変動させる要因② 流通量
高級腕時計はどれも高額です。売値が高額という事は、仕入れ値も高額になることは容易に想像できます。そのため、在庫が多くなれば多くなるほど店舗としては在庫リスクが大きくなります。
しかし、在庫が少なすぎると時計店としての魅力を失ってしまうので、一定の在庫は保ちつつ在庫をうまく「回転させる」ことが重要です。
上記を踏まえると、在庫が多い時計は値段が下がりやすい傾向が見受けられます。
在庫を抱えたくない店舗は、在庫を減らすために他店よりも魅力的な価格で時計を放出します。その価格を基準に他店も値段を下げていくため、価格競争が発生し薄利多売の原理を生む。これが在庫の多い時計の特徴です。
ただし、次項で説明する「人気の高いモデル」は在庫が多くてもすぐに売れていってしまうため、必ずしもこの原理は当てはまりません。
相場を変動させる要因③ 人気があるモデルほど高くなる
ロレックスのエクスプローラーやデイトナのような人気モデルになると、日本から海外並行輸入業者に対して大量のオーダー行われます。入荷さえすれば間違いなく売れる時計なため、多くの業者が”売れるモデル”を手に入れようと争うからです。
しかし、需要があればあるほど海外の並行輸入業者は徐々に値段を釣り上げていきます。価格を高くしてもオーダーが止まないため、可能な限り値段を上げようとするのは当然のことです。
その結果、仕入れ値は高騰し、販売価格も跳ね上がることになります。現にロレックスの人気モデルは国内の正規新品よりも高い相場で販売が行われています。
また、ロレックスの時計はプレミアム感を失わせないよう製造本数を一定に調整しているため、どうしても仕入れ値が高騰しやすいのが特徴です。
相場を変動させる要因④ 季節によって売れ行きが違う
多くのファッションアイテム同様に、腕時計も季節によって売れ行きが変わります。その最たる例がロレックスのサブマリーナやシードゥエラーのようなダイバーズウォッチです。
これらのモデルは春先から徐々に売れ行きが上昇し、夏前には1年で1番の高騰を見せます。
ダイバーズウォッチだから夏に売れると言えばそれまでですが、実はダイバーズモデル以外のモデルも夏になると価格の高騰が見受けられます。その理由は露出度の違いです。
冬は長袖を着ているため、時計の存在が目立ちません。そのため、1年の間で最も時計が安くなる時期となります。逆に夏は半袖やTシャツを着ることになるため、手元につける時計の存在感は冬と比較にならないほど強くなります。
時計が人目に付きやすい季節だからこそ、カッコいい時計が欲しくなるのでしょう。
相場を変動させる要因⑤ モデルチェンジ・生産終了の情報
現代は情報社会なため、日々数多くの時計に関する情報が流れています。その中でも、相場に影響を与える情報が「モデルチェンジ」と「生産終了」の情報です。
■モデルチェンジの場合
モデルチェンジが行われる場合は新作の相場が上がり、旧作の相場が下がることが一般的。特に新作に人気が集まると旧作の相場がより下がります。そのため、最新型に拘りがない方は、このタイミングで買うと安く買うことも可能です。
上記はどちらもエクスプローラーRef.214270ですが、2016年にマイナーチェンジされたことにより、同一リファレンスでありながらも最新型と旧型に分かれています。この場合”最新型よりも旧型の方が安い相場”になるため、とにかく安価に買いたい人にとって旧型はお買い得になるでしょう。
■生産終了の場合
生産終了が発表された場合はさらに大きく相場が動きます。生産終了の場合”レアリティ”が上がることが想定され、相場が上昇する傾向が強いです。特に新作が発表されても尚人気を保っていたモデルは特に高値になることが予想されます。
例えば旧デイトナのRef116520は生産終了前から非常に高い人気を誇っていたモデルですが、2016年に製造が終了しました。しかし、その後も人気は衰えず価格はさらに上昇。現在もデイトナの中でトップクラスの人気を保っています。
また、コレクション自体が生産終了になった場合、生産終了が決定した途端に”その最終モデル”が急激に高騰するのも大きな特徴です。いつか幻のコレクションとしてプレミア価格になる可能性もあるため、たとえ不人気コレクションだったとしても価値は急上昇します。
相場を変動させる要因⑥ 価格競合による手引き合戦
どんな商品にもいえることですが、競合店が増えれば増えれるほど価格競争は激しくなり価格は値下がりします。それは当然時計業界にも当てはまり、特に競争の激しい都内やネット通販などは値下げ合戦が顕著です。
ただ、どの店舗も為替レートに基づく仕入れ値で入荷をしているため、どこまで安くできるかは企業努力や資本の差次第とも言えます。中でもロレックスのエクスプローラー・サブマリーナ・デイトナといった人気コレクションは、その人気から相場が日々上下しつづけているのが特徴です。
相場を変動させる要因⑦ 発売直後の品薄
発売されたばかりの新作モデルはかなりの価格高騰が見受けられます。その理由はとても簡単、在庫が少ないからです。
ただでさえ新作モデルは個体数が少ないのに、いち早く新作を欲しがる時計ファンによってすぐに在庫はなくなっていきます。そして生まれるのが、爆発的に値上がりした相場です。
ただ、この相場は長くは続かないことも特徴。何か月か経過し、徐々に在庫が潤ってくると為替レートに基づいた相場に戻っていきます。
しかし、稀にデイトナのように価格が落ちずに「高騰したまま」のモデルも存在するのが難しいところです。
まとめ
為替レートは刻々と変動するため、いつが「買い時」だったかは、何年後かに振り返ってみなければ分かりません。しかし、いつ「買い時」が訪れても、その好機を逃さないように、日ごろから「準備」をしておくことは非常に重要です。
大切なことは軍事金を必ずキープしておき、店舗やWEBサイトをマメにチェックすること。そして、社会情勢にも目を向けておくとよいでしょう。
今回紹介した要因を考慮しつつ、お得に買えるタイミングを是非見計らって下さい。
当記事の監修者
田中拓郎(たなか たくろう)
高級時計専門店GINZA RASIN 取締役 兼 経営企画管理本部長
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
当サイトの管理者。GINZA RASINのWEB、システム系全般を担当。スイスジュネーブで行われる腕時計見本市の取材なども担当している。好きなブランドはブレゲ、ランゲ&ゾーネ。時計業界歴12年