「ロイヤルオークとノーチラスって似てない?」
「ロイヤルオークとノーチラスどちらを選んだら良い?」
スポーツウォッチでありながらラグジュアリー。
このコンセプトを見事体現しているモデルがあります。
それは、オーデマピゲ ロイヤルオークと、パテックフィリップ ノーチラス。
いずれも世界三大時計ブランドにランクインする超老舗高級ブランドですね。
そんなロイヤルオークとノーチラスの魅力について知りたいという人は多いのではないでしょうか。
この2つの人気コレクションは一人の天才デザイナーである、ジェラルド・ジェンタ氏によって生み出されました。
この記事ではロイヤルオークとノーチラスの魅力について、GINZA RASINスタッフ監修のもと比較しながら紹介します。
ムーブメントや派生モデルの紹介もしていますので、雲上ブランドの時計に興味がある人はぜひ参考にしてください。
目次
1.比較モデル紹介
オーデマピゲ ロイヤルオーク
1875年の創業以来、スイスの老舗一流時計ブランドとして名を馳せてきたオーデマピゲ。
古くから自社工房を有し、とりわけミニッツリピーターやムーンフェイズと言った、今なお製造に技術を要する複雑機構を搭載したモデルを製造し続けてきました。
そんなオーデマピゲが1972年に発表したロイヤルオークは世界中に衝撃を与えます。
伝統的な一流ブランドがスポーツウォッチ、しかもステンレススチールを採用するという革新的すぎるモデルであったためです。
従来高級時計とは貴金属を使ったドレスウォッチが常識であったにもかかわらず―
デザイナーは数々の名作を世に送り出した故ジェラルド・ジェンタ氏。
八角形のベゼル周りに埋め込まれたビスやタペストリー模様のダイアルと、そのデザインも大胆かつ斬新で、瞬く間に人気と注目を集めます。
ロイヤルオークは現行でも初代モデルのデザインを受け継ぎながら、全く古さを感じさせません。
オーデマピゲのフラグシップとして、世界中の男たちの憧れを集めています。
パテックフィリップ ノーチラス
同じくスイスに居を構え、雲上ブランドとして君臨するパテックフィリップ。
創業1839年、複雑機構はもちろん品格あるドレスウォッチを連綿と製造し続ける熟達した職人技が名高い老舗です。
ノーチラスは1976年に誕生します。
デザイナーは同じくジェラルド・ジェンタ氏。
誕生はロイヤルオークに追随する形となりましたが、ジェラルドの持ち味であった薄型ケースに、パテックフィリップの薄型ムーブメントは非常にマッチしました。
八角形のフォルムに、各辺しなやかな曲線を描いているケース形状は斬新ながら、パテックフィリップが大切にしてきたクラシカルを備えます。
「ウェットスーツにもタキシードにも完璧にマッチする時計」というコンセプト通り、シーンや年代を選ばない、トップクラスの定番モデルではないでしょうか。
2.徹底比較!ロイヤルオークVSノーチラス
①ケース
ロイヤルオークとノーチラスを最も特徴づけているもの、それはケースフォルムにあります。
一目見てそれとわかるアイデンティティは、ステータス性が重要視される高級時計には必要不可欠。
さらに、同じデザイナー・同じ八角形フォルムと言えどこれだけそれぞれの個性を演出している理由は、「ライン使い」にあるように思います。
ロイヤルオーク Ref.15400ST.OO.1220ST.01
オーデマピゲはエッジというエッジを効かせ、直線を活かしたシャープなフォルムが特徴的。さながらスタイリッシュな男性的要素が全面にあります。
ベゼル周りに打たれた8本のビスやしっかりとしたリューズがスポーティーテイストをより強めていますが、計算された設計によりゴツくはないので高級感も健在。
防水性は50m。
ノーチラス Ref.5711/1A-010
一方ノーチラスは、ゆるやかな曲線がフォルムを形作り、優美で女性的な印象を持ちます。
ノーチラスは現行ではゴールドモデルも多くラインしていますが、当モデルが持つ品や伝統性によく映える素材使いではないでしょうか。
また、「耳」と称されるケースの左右に飛び出した突起部分。
これは、ノーチラスのシンボルデザインであると同時に、防水性を高めるために取り付けられました。
そのためノーチラスのメンズモデルは120mの防水性を誇ります。
出典:https://www.audemarspiguet.com/jp/watch-collection/royal-oak/15202ST.OO.1240ST.01/
出典:https://www.patek.com/en/mens-watches/nautilus/5711-1A-011
上記画像は上からロイヤルオーク、ノーチラスですが、両モデルともに8~9mm台の薄型であるところは、雲上ブランドらしいスタイリッシュでラグジュアリーな特徴。
スポーツシーンにもスーツスタイルにも対応できるモデルです。
②ベゼル
出典:https://www.audemarspiguet.com/jp/watch-collection/royal-oak/15400ST.OO.1220ST.02/
両モデルとも、サテンとポリッシュと異なる仕上げを融合させたベゼルを持ちます。
とりわけロイヤルオークほど独特のベゼルはあまり見ません。
八角形ベゼルを固定するビスはさらに六角形を成し、すべて同心円状にあしらわれることにより立体的なフェイスを実現します。
出典:https://www.patek.com/en/mens-watches/nautilus/5711-1A-011
ノーチラスも緩やかなカーブを描くことにより立体感を演出。
そこかしこにジェラルド・ジェンタ氏のセンスが光ります。
③ダイアル
多くの時計でダイアル上に様々な工夫がこらされますが、オーデマピゲとパテックフィリップはさながら芸術品のような仕上がりに定評があります。
ロイヤルオークのダイアルは、タペストリー模様という装飾が施されています。
12時または6時位置のAPのロゴと合わせて、一目でロイヤルオークと分かる一因に。
ケース径はメンズモデルで35~44mm。シンプルなバーインデックス・時分針が視認性と高級感を両立します。
ノーチラスはお馴染みの水平エンボス加工が装飾として施されていますが、これはただの横線ではなく、浮彫になっているためノーチラスが持つ立体感をより強調します。
ダイアルカラーも光の加減によって色味が変化するグラデーションに。
ケース径はメンズモデルで37~43mm。視認性はもちろんエレガントなダイアルへのこだわりがよく見てとれます。
オーデマピゲはケースとは裏腹に細めインデックスと時分針なことに対し、ノーチラスは力強さを感じさせるインデックス・針で、視認性を確保したと言えるでしょう。
④ブレスレット・装着感
出典:https://www.patek.com/en/mens-watches/nautilus/5711-1A-010
スポーツウォッチにして薄型・快適な装着感を持つノーチラス、他社では再現できないとまで言われるほどです。
ケース・ベゼル同様サテンとポリッシュ仕上げを融合させており、この部分でもまた他のスポーツウォッチと一線を画するところ。
革ベルトもラインしているため、フォーマルウォッチとしても申し分ないコレクションです。
出典:https://www.audemarspiguet.com/jp/watch-collection/royal-oak/15202BA.OO.1240BA.01/
ロイヤルオークは全体がサテン仕上げで、やはり男性らしいしっかりとした印象を与えます。
コマ同士の繋ぎ目も独特で、小さめの連なりにより装着の際腕まわりにフィットし、かつ地味めのスーツにも映える精悍な意匠。
現行では、ノーチラス同様革ベルトおよびラバーベルトをラインしています。
ムーブメント編
機械式時計の心臓であり魅力の真髄とも言うべきムーブメント。
各社様々なこだわりを持ちますが、オーデマピゲとパテックフィリップは歴史あるマニュファクチュールにより自社製のムーブメントを搭載、モデルにもよりますが、その精緻な傑作機をシースルーの裏蓋から鑑賞することができます。
出典:https://www.audemarspiguet.com/jp/watch-collection/royal-oak/15202BA.OO.1240BA.01/
ロイヤルオークの自動巻きムーブメントは、かつてはジャガールクルト社製をベースにしたCal.2121が主流でしたが、現行の基本は完全自社製であり旗艦機でもあるCal.3120を搭載しています。
裏蓋から美しいローターを見ることができますが、この22kゴールドはオーデマピゲのロゴと、創業者二人の両家の紋章が彫刻されています。
ロイヤルオークは3針のみのシンプルなモデルですが、内部には並々ならぬこだわりと歴史の重みを感じさせる逸品。
パワーリザーブは約60時間、振動数21,600/時。
対するパテックフィリップも、ムーブメントに一切の妥協はしていません。
現行モデルの基本となるのは、自動巻きとは思えない薄さのCal.324 S C。
21Kゴールドのローターにはブランドロゴがあしらわれ、地板の両面にはペルラージュ、さらに受けにはコート・ド・ジュネーブ装飾が施されます。
パワーリザーブは約45時間、振動数28,800/時。
いずれも工芸品のように美しいムーブメントですが、精度という面ではノーチラスにやや軍配があがるようです。
派生モデル編
ロイヤルオーク、ノーチラスともに基本モデルは3針・デイト表示のみの、使い勝手が良いシンプルウォッチです。
しかしいずれも各ブランドのフラグシップであり、ロングセラーでもあるため、魅力的な派生モデルを豊富にラインナップ。
まずより派生モデルの多い、ロイヤルオークからご紹介いたします。
Ref.15451ST.ZZ.1256ST.01 / Ref.15305OR.OO.D088CR.01 / Ref.26120ST.OO.1220ST.01
現行モデルでケース径は33、37、39、41、44mmとボーイズからメンズでもかなり大きめと幅広いサイズ展開が成されます。
また、ゴールド素材やダイヤをあしらったラグジュアリー路線を強めたものから、トゥールビヨンや永久カレンダーなど超複雑機構を搭載したものも。
33mmモデルのみクォーツを採用しており、比較的リーズナブルなためプレゼントにもおすすめ。
Ref.26470ST.OO.A027CA.01 / Ref.26401RO.OO.A002CA.02 / Ref.26400IO.OO.A004CA.01
ロイヤルオークのスポーティーテイストをより強めたオフショアシリーズでは、セラミックやチタンなど現代的な素材を採用したモデル展開をしています。
対してノーチラス、外装に関して基本的には初代から大きな変更点はありませんがバリエーションは豊富です。
Ref.5980/1A-019 / Ref.5712/1A-001 / Ref.3800/1J
旧型ながら未だ人気が衰えないRef.3800/1Aの37mmサイズから、現行モデルでは40㎜台が主流となっています。
パテックフィリップが他社と一線を画するコンプリケーション―複雑機構搭載ウォッチ―では、43mmサイズのものも。
素材もステンレスかゴールドをメインとしており、上品なドレスウォッチを彷彿とさせるモデルも人気です。
レディースでは、メンズと同じくCal.324 S Cを搭載した自動巻きムーブメント搭載型もラインナップしており、クォーツが主流のレディースであっても機械式時計の醍醐味に触れられるでしょう。
総評
同じ出自を持つ両モデル。
では、実際にどちらがおすすめかと言えば、どちらにもそれぞれ魅力があり、好みやシーンで分かれてくるのかな、と思います。
ただ、ロイヤルオークは多くの派生モデルを持つため希少性という意味では低く、人気も分散しやすいのが実情。
対してノーチラス、とりわけ現行モデルで最も人気のあるRef.5711/1Aは正規店で普通に購入することはまず困難。
近年パテックフィリップ全体で定価上昇の傾向にあること、国内外でノーチラスの人気が急上昇していることから、中古市場ではプレミア価格がつき、低価格のものでもゆうに車一台買えるような額で取引されています。
どちらも品質・ステータス性申し分ない高級ブランドですので、ぜひ一度実際にお手にとってお気に入りを見つけてみるのが一番かもしれません。
まとめ
高級スポーツウォッチの二大巨頭とも言うべきオーデマピゲとノーチラス。
一人の天才デザイナーによって生み出された傑作は、甲乙つけがたい魅力をそれぞれが有しています。
車にも匹敵する雲上ブランドの高級時計ではありますが、「一生に一本」を考えた時、このいずれかを選ぶ方も多いのではないでしょうか。
当記事の監修者
新美貴之(にいみ たかゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 店舗営業部 部長
1975年生まれ 愛知県出身。
大学卒業後、時計専門店に入社。ロレックス専門店にて販売、仕入れに携わる。 その後、並行輸入商品の幅広い商品の取り扱いや正規代理店での責任者経験。
時計業界歴24年