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天才技師「フランソワ・ポール・ジュルヌ」(F.P.JOURNE)の華麗なる時計
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知る人ぞ知る最高級腕時計ブランド「F.P.ジュルヌ」。
このブランドは天才時計技師フランソワ・ポール・ジュルヌによって創立された時計ブランドで、彼が持つ独創的な技術によって作り上げられる時計は多くの著名人や時計愛好家たちに親しまれてきました。
そんなF.P.ジュルヌが生み出す時計の最大の特徴は「華麗なる美しさ」です。
彼のクオリティに対する拘りは並々ならぬものがあり、ケース素材・文字盤デザイン・ムーブメントといったあらゆる項目で最高の質を追い求めています。
目次
フランソワ・ポール・ジュルヌという人物
フランソワ・ポール・ジュルヌは1957年にフランス・マルセイユに生まれました。アンティークウォッチの修復師である叔父をもち、幼いころから時計に慣れ親しんだ彼は14歳の時に地元の時計学校に入学し、時計制作を学びます。卒業後はマルセイユからパリに出て、叔父のアトリエにて時計技師としての腕を磨いてきました。
この頃から既に天才的な技術は開花の兆しを見せ、20歳の時には独自のトゥールビヨンを開発するなど、超一流技師としての道を歩みはじめます。
その後、独立し工房を構えたジュルヌ氏は本格的に時計の開発や製造をスタート。1987年からは選ばれし時計師だけが入会することができる独立時計師アカデミーに所属し、次々と画期的な機械式時計の開発に携わりました。
そして1996年にはスイス ジュネーブにてモントル・ジュル社を設立し、自身の名を冠した時計ブランド「F.P.ジュルヌ」を立ち上げます。
「F.P.ジュルヌ」ブランドが創立された翌年の2000年にはレゾナンス技術を応用した”クロノメーター・レゾナンス”を発表し、大きな話題を生みました。その後もジュルヌ氏は独創的なムーブメントを配したモデルを発表し、時計界に衝撃を与え続けます。
■2004年:アシンメトリーのデザインが美しい「オクタ・リュヌ」を発表
■2005年:マリンクロノメーターからインスピレーションを得た「クロノメーター・スヴラン」を発表
■2006年:ソヌリ機能とミニッツリピーターを組み合わせた「ソヌリ・スヴレンヌ」を開発
■2008年:100分の1秒まで測定できるクロノグラフ「サンティグラフ・スヴラン」を開発
ジュルヌ氏の時計は独特なデザインでありながらも、視認性という時計の基本的な要素が重視されています。加えて、オクタシリーズには”腕から外した状態で120時間のロングパワリザーブを誇る”世界初の機械式ムーブメントを搭載し、高度な実用性の証明に成功しました。
現在もジュルヌ氏は「独創性と革新へのあくなき探求」で知られる独立時計師として、最高品質の時計を開発し続けています。
出典:https://www.fpjourne.co.jp/
F.P.ジュルヌ ムーブメントへの拘り
独創的なムーブメントを多数開発してきたことから、複雑機構で注目されることが多いF.P.ジュルヌのムーブメント。確かにジュルヌ氏は複雑機構ムーブメントの開発に力を入れていますが、それ以上に「美しさ」にも強い拘りを持っています。
その象徴が18kゴールドで作られたムーブメントです。マニュファクチュールを掲げている同ブランドは2004年からムーブメントに18kゴールドを採用していることがポイントで、作り出される全ての時計に18kゴールドが採用されています。
また、F.P.ジュルヌのムーブメントは美しさだけでなく、超高精度であることも大きな魅力です。
フランソワ-ポール・ジュルヌは独創的なムーブメントを作る時計師として有名ですが、実は誰よりも時計の実用性に対して熱い想いをもっています。
「高級な時計とは時を計る行為をどれだけ真摯に愛することができるか」
彼はこのような言葉を残しており、実用時計への拘りが強く伺えます。
その証拠に2002年から2010年まで、ジュネーブ・ウォッチ・メイキング・グランプリにおいて様々な部門賞を受賞。複雑時計でありつつも、実用と信頼性を兼ね備えた時計として世界的に高い評価を得ました。
F.P.ジュルヌ ケースに対する拘り
F.P.ジュルヌがもつケースの基本理念は「薄いケースこそエレガント」だということ。つまり、最高のドレスウォッチであることを常に求めています。
一般的に腕時計のケースは薄くなればなるほど製造が難しくなり、その分コストが上がるのが当たり前です。なので、多くの時計メーカーはコストとの兼ね合いである程度の大きさにケースサイズを納めています。
しかし、F.P.ジュルヌが追求するのは何よりも「美しさ」。コストは度外視し、とにかくエレガントであることを求めました。
ただ美しいだけではなく、耐久性や強度を重視していることも見逃せないポイントです。F.P.ジュルヌでは機構を極限までシンプルに設計することで、故障を減らしています。
F.P.ジュルヌ 文字盤への拘り
F.P.ジュルヌが文字盤のデザインで最も拘っているのはバランスです。通常薄型ケースのドレスウォッチはシンプルなデザインであることが多いですが、ジュルヌが追い求めるのは独創的な文字盤。シンプルなデザインは確かに壊れづらく、耐久性も高いです。ですが、それではありきたりなデザインになってしまいます。
そこでジュルヌは緻密な研究を重ね、絶妙なバランス感で構築される文字盤デザインを確立。美しさを最大限に生かしながらも、視認性・精度や強度といった時計としての実用性も兼ね備えた時計製造に成功しました。
F.P.ジュルヌ 日本での取扱いについて
F.P.ジュルヌは日本での取り扱いが非常に少なく、正規店としては南青山にある東京ブティックと兵庫の正規店の2店舗しか存在しません。ただ、東京ブティックはF.P.ジュルヌが世界で初めて開設した直営店としてしられており、時計愛好家の間ではとても有名です。ジュルヌ氏は日本のモノつくりに対する姿勢に強い共感をもっており、”時計”という工業製品の価値を理解してもらえることを期待して東京に最初の直営店を開店したといわれています。
ちなみに、パテックフィリップやヴァシュロン・ロレックスといった数多くの正規店が並ぶ銀座ではなく南青山という立地を選んだ理由は「誰からも邪魔をされない落ち着いた環境で時計と選んでほしい」という思いから。そのため、来店は予約制となっています。
正規店以外では並行輸入店や中古時計店でF.P.ジュルヌの時計が購入できますが、年間生産数が少ない為なかなか流通しません。そのため生産終了モデルを買うには、見かけた即決するくらいの思い切りの良さも必要になります。
F.P.ジュルヌ 一部のモデルをご紹介
F.P.ジュルヌの時計は年間製作数約850本という限られた数しか製作されていません。そのため希少価値が高く、コレクターズアイテムとしても魅力です。ここでは真の時計愛好家が最後に行き着く時計とも呼ばれる逸品たちを一部ですが紹介します。
フランソワ ポール ジュルヌ オクタ スポーツ チタニウム ARS
フランソワ ポール ジュルヌ オクタ スポーツ チタニウム ARS
スイス・ジュネーブの最高級マニュファクチュールブランド「F.P.JOURNE」。こちらのオクタシリーズはスポーティーなデザインと軽量化に成功した画期的なモデルです。文字盤とムーブメントにはアルミニウム合金が使用され、現在流通している時計に比べ超軽量化を実現させました。ケースサイド、ブレスレット、リューズにはラバーが装着され、クッション性を持たせることにより、衝撃にも強くなっております。
フランソワ ポール ジュルヌ クロノメーター スヴラン F.P.JOURNE
フランソワ ポール ジュルヌ クロノメーター スヴラン F.P.JOURNE
手巻き(Cal.1304)18Kローズゴールドムーブメントを搭載したF.P.JOURNEの傑作がこの”スヴラン”。ツインバレルを採用し、高精度と56時間のパワーリザーブを獲得しています。オフセンターに配置されたインデックスや細かいギョーシェ彫りを施した文字盤などF.P.JOURNEの魅力が凝縮されている逸品です。
フランソワ ポール ジュルヌ オクタ パワーリザーブ
22金ゴールド製ローターを備えたオクタ・ムーブメントCal.1300は、世界初となる自動巻き120時間パワーリザーブを備えています。F.P.ジュルヌの特徴でもあるオフセンターにセットされたインデックスなど、F.P.ジュルヌの世界観を存分に感じさせてくれる逸品です。
フランソワポールジュルヌ オクタカレンダー
フランソワ ポール ジュルヌ オクタカレンダー F.P.JOURNE
生産本数の少ないF.P.ジュルヌのオクタ・カレンダー。革新的なオートマッチックムーヴメントであるCal.1300、そして洗練された美しいデザインが魅力の逸品です。
まとめ
独立時計氏F.P.ジュルヌ。彼の名を冠したこの時計ブランドは年間製作数約850本という極端に限られた数しか作られません。故に、真の愛好家向けの腕時計として知られています。
数々の画期的な機構を開発してきた功績からムーブメントの独創性に注目を集めることが多いブランドですが、実は「実用性」と「美しさ」いう時計本来のあり方に強い想いを持っているブランドでもあります。
世界中に多くの愛好家を持つブランドにしてはまだまだ数が限られている”F.P.ジュルヌ”の時計。時計マニアが持つ時計として最適なのではないでしょうか?
当記事の監修者
南 幸太朗(みなみ こうたろう)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン プロスタッフ
学生時代に腕時計の魅力に惹かれ、大学を卒業後にGINZA RASINへ入社。店舗での販売、仕入れの経験を経て2016年3月より銀座本店 店長へ就任。その後、銀座ナイン店 店長を兼務。現在は営業企画部 MD課 プロスタッフとして、バイヤー、プライシングを務める。得意なブランドはパテックフィリップやオーデマピゲ。時計業界歴13年。