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海外旅行好き必見!パテックフィリップ ワールドタイムを徹底解説
最終更新日:
「パテックフィリップ ワールドタイムって何がすごいの?」
「パテックフィリップ ワールドタイムについて知りたい」
旅行好きな人や仕事で海外に行く人にとって非常に役立つ機械式時計の機能「ワールドタイム」。
ワールドタイムはパテックフィリップが作り上げた機械式時計の複雑機構であり、「世界各国の主要都市の時間が一目でわかる」という非常に実用的な機能を備えています。
パテックフィリップ ワールドタイムについて知りたいという人は多いのではないでしょうか。
ワールドタイムはパテックフィリップによって作られた機能です。
この記事ではパテックフィリップ ワールドタイムについて、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
搭載モデルの紹介もしますので、パテックフィリップに興味がある方はぜひ参考にしてください。
目次
ワールドタイムとは?
ワールドタイム機能とは住んでいる国の時間以外にも「世界の主要都市の時刻」を知ることができる便利な機能です。文字盤一面に広がる都市名はデザイン的にも個性があり、高い人気があります。 ワールドタイムはメインとなる通常時刻表示の針と連動し、外周のダイヤルが動く仕組みです。 上記画像を例にすると、この画像の針(通常時刻表示)は10時8分を指しています。この時刻はダイヤルの「TOKYO」と連動しており、「TOKYO」を指す▲(三角マーク)は10時を少し過ぎた時点を示しているのが分かるはずです。つまり、この時針・分針はTOKYOと連動している状態になっています。
連動都市に対しての各国主要都市の時間が分かる
連動させる都市さえ決めておけば、あとは文字盤を一目見るだけで各国主要都市の時間が分かります。 東京の約10時10分を基準とすると、ハワイは15時過ぎ、ニューヨークは20時、パリは2時過ぎ、ドバイは5時過ぎ…といった具合に文字盤に書かれている都市の現在時刻は一目瞭然。 旅行が好きな方はもちろん、グローバルな仕事で活躍する人や為替に精通している人にも非常に人気があります。
ワールドタイムはパテックフィリップによって作られた
高級腕時計において、最もワールドタイムの製造に力を入れているのはパテックフィリップでしょう。むしろワールドタイムはパテックフィリップ無しに語ることはできません。 ワールドタイムが生まれたのは1930年代のこと。それまで現在時刻と別の場所の時間を同時に表示させるのには「GMT」機能が使われていましたが、航空網の発達や文明の進化により、世界各主要都市の時間がすぐにわかる腕時計の開発が求められていました。 そこで開発されたのがワールドタイムというわけです。
上記画像は世界初のワールドタイムモデル「1415-1 HU」。このモデルはジュネーブの時計師ルイ・コティエ氏が開発したワールドタイム機構をパテックフィリップが腕時計として商品化したものです。 ルイ・コティエ氏が発明した「ワールドタイム」機構は現在のワールドタイム機構とほとんど変わりはありません。中央時計部分の外側に「24時間で1週するリング」を配置し、このリングの数字と各国主要都市名を対応させることにより、各都市すべての時刻を同時に表示できるようにしました。 この機構は「ルイ・コティエ式 ワールドタイマー」と呼ばれるようになり、現在の時計界ではワールドタイムのスタンダードとされています。 どの複雑機構よりも実用的であるワールドタイムはすぐに世界的に大ヒットし、パテックフィリップは以後、数々の傑作を世に放っていきました。また、この当時のパテックフィリップは機構の進化にも取り組み、ワールドタイムモデルの操作性を向上させていきます。
■1938年に開発した「542 HU」からは手動で回す回転ベゼル式を採用、針を回して都市の時刻に合わせる手間を軽減
■1953年に開発した「2523 HU」からは9時位置の第2リューズを使用し、各国主要都市の名称が刻まれたディスクを回転操作するように進化。
■1962年に開発した「2597HS」にはボタンを1回押すと1時間ズレるプッシュボタンを搭載。現在のプッシュボタンの基盤を作る
ワールドタイムの劇的進化
パテックフィリップのワールドタイムが更なる進化を遂げたのは2000年のこと。新世代のワールドタイマーとして発表されたワールドタイマー5110系には、これまでにない画期的な機構が組み込まれていました。 それはプッシュボタンの改良です。 これまでのワールドタイムにおけるプッシュボタンの機能は、ボタンを押すと“時針が1時間ずれる”という設計で作られたもの。ボタンを押すだけで時差設定を変更できるシンプルな操作性は非常に重宝されました。 ですが、今回の改良ではその操作性が劇的に向上します。
進化の内容としては、ケース左のプッシュボタンを押すだけで、中央の12時間時計の変更、24時間表示回転リングと都市名リングの移動が、すべてが連動して行うことが可能となりました。(動画1:00付近を見ると、どのように動くかご覧いただけます) ちなみに動画は最新モデルの5230系ですが、2000年発売の5110系以降は全てこのような動きをするプッシュボタンを搭載しています。
操作方法
操作方法は非常にシンプル。プッシュボタンを必要な回数だけ押し、現在自分がいる都市を12時位置にもってくるだけで、その都市を軸とした世界各主要都市の時間が分かるようになるのです。 例えばニューヨークに旅行や出張へ出かけた場合、プッシュボタンを使って12時位置にニューヨークが来るように合わせれば、すぐにニューヨークを軸とした世界各主要都市の時間が分かるように各針・リングが調整されます。 加えて、この操作は時計が動いていても使えます。この実用性は時計界で高く評価されました。
ワールドタイムを搭載したモデルを紹介
現在世に出回っているパテックフィリップのワールドタイムは主に以下の3種類となっています。 1.2000年発売 5110系ワールドタイム 2.2006年発売 5130系ワールドタイム 3.2016年発売 5230系ワールドタイム ケース径や装飾・デザインなど細かな違いはありますが、全てにワールドタイム用ムーブメント”Cal.240HU”が搭載されているため使用感に大きな違いはありません。そのため、生産終了してしまっている5110系・5130系も未だに根強い人気を誇ります。
パテックフィリップ ワールドタイム 5110系
パテックフィリップ ワールドタイム 5110J-001 2006年に生産が終了した5110系ですが、その人気は現在も衰え知らず。文字盤外周の内転リングには24の主要都市名がプリントされており、10時位置のプッシュボタンを操作することで容易にホームタイムとローカルタイムの設定が可能です。文字盤の中心部は緻密なギョーシェ彫りが施されており、高級感のある仕上がりとなりました。
パテックフィリップ ワールドタイム 5110P プラチナ素材のみに採用されるシルバーと幾何学的なブルーギョーシェの組み合わせダイアルが特徴で、5110系の中でも特に人気のあるモデルです。6時位置のケースサイドには、プラチナ素材を使用しているモデルを示すようにダイヤモンドがセッティングされています。
パテックフィリップ ワールドタイム 5110G 18金ホワイトゴールドを使用したケースにはギョーシェ彫りを施したオパーリン文字盤が配されており、上品で気品溢れるデザインに仕上がっています。ブラックレザーベルトとのコントラストが美しいことも魅力です。5110系は2000年以降のワールドタイムの中で1番ケースサイズが小さい37mmなので、現在でもこのサイズ感を求める人も数多くいます。
パテックフィリップ ワールドタイム 5130系
パテックフィリップ ワールドタイム 5130G-001 世界を飛び回る旅行者のために製作された時計「ワールドタイム」。ムーブメントには22金マイクロローターを採用し、高い巻上げ効率を誇る自動巻きCal.240HUを搭載しています。1つ前のモデルRef.5110は36mmケースでしたが、今回は39.5mmとなりダイヤルに彫られたギョーシェにも違いがございます。
パテックフィリップ ワールドタイム 5130P-001 5130系でもプラチナケースが使われたブルーギョーシェモデルの人気は健在です。全体的には前作と比較すると大きな変更点はありませんが、時針のデザインは円をモチーフとした新しいデザインとなっており、好みが分かれるポイントとなりました。ちなみに発売当時の定価は6,652,800円と超高額。さすがはパテックフィリップです。
パテックフィリップ ワールドタイム 5130/1R-011 2012年に発売された5130系の派生モデルは、ワールドタイムとして非常に珍しいブレスレットモデル。ケース、ブレスレットともに18Kローズゴールドが使われており、気品溢れる存在感を放ちます。裏蓋はシースルーバックになっており、キャリバー 240HUの美しい動きを眺めることが可能です。
パテックフィリップ ワールドタイム 5230系
パテックフィリップ ワールドタイム 5230G-001 2016年に発表された新作ワールドタイムは1960年代のスタイルを彷彿させるスタイリッシュなデザインです。10年ぶりのモデルチェンジにより、ラグやケースの形状・針が大きく変わり、新たなるワールドタイムの誕生を印象付けました。ケースは5130系よりもほんの少し小さな38.5mmホワイトゴールを採用。ムーブメントには全ての系列に共通しているキャリバー 240HUを搭載しています。 鏡のように反射する美しいホワイトゴールドケースとグレーを基調とした文字盤の組み合わせは身に着けても非常にスタイリッシュです。スーツとの相性も抜群によく、まさにビジネスマンの為のワールドタイムといえます。
まとめ
ワールドタイム搭載モデルといえば、やはりパテックフィリップ。1930年代に開発されたワールドタイムは機能を改良しつつも、大きくフォルムを変えることなく現代の時計界に君臨しています。そして、2000年以降に発売されたワールドタイムはどの系列のモデルもそれぞれに個性があり、製造終了モデルでありながらも未だに熱い支持を得ている名作揃いです。 個性的な複雑機構モデルをお探しの方に一度手に取って頂きたい逸品。それがパテックフィリップのワールドタイムです。
当記事の監修者
南 幸太朗(みなみ こうたろう)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン プロスタッフ
学生時代に腕時計の魅力に惹かれ、大学を卒業後にGINZA RASINへ入社。店舗での販売、仕入れの経験を経て2016年3月より銀座本店 店長へ就任。その後、銀座ナイン店 店長を兼務。現在は営業企画部 MD課 プロスタッフとして、バイヤー、プライシングを務める。得意なブランドはパテックフィリップやオーデマピゲ。時計業界歴13年。
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