「オータヴィアの復刻モデルとオリジナルモデルってどこが違うの?」
「オータヴィアの魅力や特長が知りたい」
コレクター垂涎のレーシングクロノグラフ「オータヴィア」。
オータヴィアは1960年代に人気を博した伝説のレーシングクロノグラフですが、2016年に行われた一般の時計ファンが参加できるキャンペーン「オータヴィア カップ」により、遂に復刻モデルが発売されました。
このキャンペーンの内容は現在でも熱い支持を受けているオータヴィアの中で、「どのモデルが一番復活してほしいのか」ファンに選んでもらうというもの。
キャンペーンには数万人のオータヴィアファンが参加し、最終的には1966年に発売された”Ref. 2446 Mark3″がベースモデルとして決定しました。
そんなオータヴィアの魅力や特長が知りたいという人は多いのではないでしょうか。
復刻版オータヴィアの、当時のデザイン性を現代的にアレンジしたフォルムは高い評価を受けています。
この記事ではオータヴィアの魅力や特長を、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
復刻モデルとオリジナルモデルの違いについても解説しますので、オータヴィアの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
出典:https://www.redbulletin.com/watches/en/Events/baselworld-2017-new-vintage-look-wristwatches
目次
オータヴィアとは?
タグホイヤー オータヴィアは1962年から1969年まで発表されていたレーシングクロノグラフです。
オータヴィアは製造終了してから50年が経とうとしているにもかかわらず、現在でも多くの時計愛好家に愛されているほど高い人気を誇ります。なぜそこまで支持を受けているのかというと、それはオータヴィアがタグホイヤーの歴史を大きく切り開いた伝説のクロノグラフだからです。
■初めて名前を持ったクロノグラフであること
■回転式ベゼルを初めて採用したモデルであること
■ジャックホイヤーが初めてタグホイヤーの為にデザインした腕時計であること
■レーサーの使用に特化した「完全なるレーシングデザイン」だったこと
上記のように、オータヴィアには様々な”初”によって作られたレーシングクロノグラフです。つまりオータヴィアはタグホイヤーのレーシングモデルの元祖ともいえます。
出典:https://www.tagheuer.com/ja/ニュース/an-introduction-to-the-early-autavias-1962-to-1969
復刻に選ばれたモデル Ref. 2446 Mark3 リンツ
伝説のクロノグラフともいえるオータヴィアですが、このモデルの復活が決まったのは2016年のことでした。
タグホイヤーは一般の時計ファンの投票により復刻させるモデルを決めるキャンペーン「オータヴィア カップ」の開催を決定。歴史的なオータヴィア16モデルの中から1本を復刻させることを明言します。
このキャンペーンには数万人にも及ぶ時計ファンが参加し、大いに賑わいを見せました。第一次ラウンド・第二次ラウンド・決勝という熱い戦いを経て、最終的には「Ref. 2446 Mark3」通称リンツと呼ばれるモデルの復刻が決まります。
出典:https://www.autaviacup.com/draw
出典:https://www.autaviacup.com/watches/65
このモデルはF1ドライバーのヨッヘン・リントが着用していたモデルとして人気が高く、まさに選ばれるべくして選ばれたモデルだったのです。
オータヴィア カップの終了後、タグホイヤーはすぐにRef. 2446 Mark3をベースとする新たなるオータヴィアの製造を開始します。そして、僅か1年後の2017年バーゼルワールドにて”Ref. 2446 Mark3″の復刻モデル”CBE2110.FC8226“は発表されました。
出典:https://www.tagheuer.com/ja/
当時の雰囲気を残しつつも、新型ムーブメントや高品質な素材を使い”現代的”に進化した新世代のオータヴィアはたちまち大きな話題に。ラインナップはブレスレットタイプとレザータイプの2種類が用意され、レザーベルトはオリジナルのブラックカラーではなくブラウンカラーが採用されました。
復刻モデルとオリジナルモデルの違い
2017年に見事復活を遂げたオータヴィア「Ref.2446 Mark3 リンツ」。
この復刻されたオータヴィアは”CBE2110.FC8226″と名付けられ、オリジナルモデルを現代版に進化させた時計ともいえます。
CBE2110.FC8226はオリジナルモデルであったRef.2446 Mark3をベースに様々な仕様の変更が施したモデルです。ファンの中には忠実な再現に至らなかったことを残念に思う方もいましたが、考えてみればオータヴィアは約50年も昔に発売されたモデルなので「完全なる再現」は難しかったのでしょう。
ただ、全体的な雰囲気はオリジナルモデルを見事に復刻させているため、古くからのオータヴィアファンにとっても概ね納得のいく仕上がりだったようです。
左:復刻モデル 右:オリジナルモデル
それでは、復刻モデルとオリジナルモデルの比較をしていきましょう。
まず、大きな変更点として一目でわかるのがケースサイズです。42mmケースが採用されている復刻モデルは39mmケースだったオリジナルモデルよりも3mmのサイズアップがなされており、現代のトレンドに合わせる形となりました。加えてベゼル幅も若干ですが復刻モデルの方が広くなっており、こちらも現行の流行に沿う形となっています。
ちなみにベゼルの素材にも変更が加えられており、ステンレスベゼルであったオリジナルモデルに対し、復刻モデルにはアルミニウムベゼルが使われました。
次に目がいくのはクロノグラフのデザイン変更でしょう。
オリジナルモデルでは6時位置に配されていた12時間積算計が復刻モデルでは9時位置に配されています。
それに伴い秒針のスモールセコンドもオリジナルの9時位置から復刻モデルでは6時位置に移動。さらにデイト表示も配されました。
それ以外にもベゼルやインデックス、針・インダイヤルといった部分の細かな素材も変更が加えられており、全てが現代的に進化しています。
復刻モデルは新型ムーブメントを搭載!
復刻モデルのムーブメントには自社製ムーブメントである「Cal.ホイヤー02」が採用されています。トゥールビヨンムーブメントであったCal.ホイヤー02Tからトゥールビヨン機構を取り除いたこのムーブメントは約80時間のパワーリザーブに加え288,00振動のハイビートを誇る高性能ムーブメントです。さすがにオリジナルモデルとは比較にならないほど、復刻モデルではムーブメント性能の向上が図られています。
また、Cal.ホイヤー02は部品数233個という多くのパーツが使われているにもかかわらず、厚さはわずか6.9 mm。この薄さはオータヴィアの復刻に大きく貢献しました。
しかし、手巻きから自動巻きに変更が加えられたことは賛否両論があります。せめてオリジナルモデルの「手巻き」という特徴は残しておいて欲しかったという声は、熱い支持者から聞かれます。
復刻モデルの驚異的なコストパフォーマンス
オータヴィアを復刻させた”CBE2110.FC8226″は復刻モデルとはいったものの、機能やデザイン性は非常に性能の高い現代的な一本だといえます。
そして気になる”CBE2110.FC8226″の価格は以下の通りです。
■金属ベルトタイプ 定価:555,000円(税抜き)
■レザーベルトタイプ 定価:540,000円(税抜き)
高精度クロノグラフ機構・デイト表示・100m防水・美しき伝統を引き継いだデザイン性、これだけの素晴らしさを持ち合わせている時計が50万円台で買えてしまいます。
恐るべしタグホイヤー。やはり驚異のコストパフォーマンスは健在です。
CBE2110.FC8226の主なスペック
■美しいブラックオパーリン文字盤
■ポリッシュ仕上げブラックゴールドメッキの針
■「アジュラージュ加工」が施されたスモールセコンド
■ポリッシュ仕上げの42mmスティール製ケース
■両面反射防止加工ドーム型サファイヤクリスタル
■ブラックアルミニウム製双方向回転ベゼル
■新型自社ムーブメントCal.ホイヤー02を搭載
2019年には待望の新作が遂に発売!
2016年のオータヴィアが復刻されてから3年。
バーゼルワールド2019にて遂に待望の新作が発表されました!
その名も「オータヴィア アイソグラフ」。
オータヴィアのレトロデザインを大胆にイメージチェンジした6本のモデルが新作として展開されました。
アイソグラフの特徴は 「伝説のクロノグラフ」と称されたオータヴィアからクロノグラフを取り除いたことにあります。
クロノグラフでなければ魅力が半減するのでは?と思われがちですが、逆にヴィンテージ感が際立ち、シンプルな美しさは増しました。
なお、ディスプレイからも感じ取れますが、レーシングウォッチとしてではなく、パイロットウォッチとして登場したことが見てとれます。
近年の復刻時計ブームにおいて、多くのブランドがパイロットウォッチの復刻モデルで成功していることが新作オータヴィアの方向性を決定づけたのでしょう。
タグホイヤー オータヴィア アイソグラフ WBE5112.EB0173
WBE5112.EB0173はクロノグラフを取り除き、太めベゼルや視認性を最優先させた文字盤・堅牢なケースを採用したオーヴィアの復刻セカンドモデルです。
ベゼルと文字盤が美しいブルーで統一され、3針デイトというシンプルなデザインで作られました。
アイソグラフとはタグホイヤー独自のテクノロジーで、カーボンコンポジット製ヒゲゼンマイとテーラーメイドのテンプを取り付けさせた、最先端振動子のことを指します。高い精度はもちろん衝撃や温度変化・磁気などから受ける影響が最小限にとどめられています。
国内定価も459,000円と比較的手にいれやすい価格帯のため、今後人気を博しそうです。
タグホイヤー オータヴィア アイソグラフ WBE5191.FC8276
ブロンズ製ケース×カーフスキンストラップを配した非常にシックな一本です。
オータヴィアが持つヴィンテージ感とブロンズケースの相性は抜群で、経年経過によってオンリーワンの美しさを味わうことができます。
ブロンズケースだからといって防水性に劣ることはなく、アイソグラフムーブメント搭載・100M防水というスペックは同時発売された新作オータヴィアと同等です。
タグホイヤー オータヴィア アイソグラフ WBE5110.FC8266
ステンレススティールにスモーキーブラック文字盤を合わせた新作オータヴィア。ブラックベゼルとのコントラストとは知的な印象を与え、レトロモダンな雰囲気を持ちつつも現代的に纏められたバランスのよい一本です。
幅広い年齢層に似合うデザインなので、一生の相棒としても相応しいと思います。
デザイン性・視認性・機能性、どれをとっても使い勝手が良く、新作オータヴィアの中でも1位2位を争う人気を博すことでしょう。
タグホイヤー オータヴィア アイソグラフ WBE5112.FC8266
スモーキーブルー文字盤×革ベルトの新作。ブレスレットタイプの「WBE5112.EB0173」とは異なり、シックなブラウンカラーの革ベルトが配されています。
ブルー文字盤はブレスレットに人気が集まる傾向がありますが、シンプルなデザインであることから「WBE5112.FC8266」も人気を博しそうです。
タグホイヤー オータヴィア アイソグラフ WBE5190.FC8268
オリーブグリーンの文字盤に、同色の革ベルトを配した新作オータヴィアの中でも個性が強い「WBE5190.FC8268」。ケースにはブロンズが採用され、圧倒的な存在感を放ちます。
グリーン×ブロンズの組み合わせはIWCやパテックフィリップも取りれており、現在のトレンドともいえるカラーリングです。
オータヴィアの魅力を体現しているモデルといえ、年を重ねるごとに評価が高まっていく気がします。
タグホイヤー オータヴィア アイソグラフ WBE5110.EB0173
スモーキーブラック文字盤のオールステンレスモデル「WBE5110.EB0173」。モダンなイメージとスポーティーなイメージを兼ね備える現代的な一本です。
新作オータヴィアはどれもカジュアルシーンに向いているモデルですが、このWBE5110.EB0173に関してはオンオフ問わず使用できるため、需要は高いでしょう。
復刻モデルとしての存在感を強く感じることができる上に、20代にも50代にも似合う王道デザイン。
今後ホイヤーの人気ランキング上位に食い込んでくる可能性は高いです。
2019年新作オータヴィアの主なスペック
■オータヴィアの復刻モデルでありながらもノンクロノグラフ
■40万円台で買えるリーズナブルな価格帯
■グラデーション仕様の文字盤とシンプルな3針デイト センターセコンド設計
■ポリッシュ仕上げの42mmスティール製/ブロンズ製ケース
■両面反射防止加工ドーム型サファイヤクリスタル
■ブラックアルミニウム製双方向回転ベゼル
■新型自社ムーブメント アイソグラフ を搭載
まとめ
伝説のクロノグラフとまで称されたオータヴィアは2017年に遂に復活を果たしました。当時のデザイン性を現代的にアレンジしたそのフォルムは、オリジナルモデルを知る人はもちろん、オータヴィアを知らなかった世代にも非常にカッコよく見えることでしょう。
また、2019年にはコアデザインは保ちながらも大幅にデザインチェンジされた新作オータヴィアも発売され、ますますオータヴィアに注目が集まっています。
今後タグホイヤーのフラグシップモデルとして期待されているオータヴィア。
時計ファンとしては注目せざるを得ません。
当記事の監修者
南 幸太朗(みなみ こうたろう)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン プロスタッフ
学生時代に腕時計の魅力に惹かれ、大学を卒業後にGINZA RASINへ入社。店舗での販売、仕入れの経験を経て2016年3月より銀座本店 店長へ就任。その後、銀座ナイン店 店長を兼務。現在は営業企画部 MD課 プロスタッフとして、バイヤー、プライシングを務める。得意なブランドはパテックフィリップやオーデマピゲ。時計業界歴13年。
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