ロジェデュブイという腕時計ブランドをご存知でしょうか。
1995年創業と新鋭ながら、おしゃれなデザインと非常に高い技術力で、近年の高級腕時計人気を牽引しているブランドです。
ロレックスやオメガでは物足りない。パテックフィリップやオーデマピゲは所有したことがあるが、自分しか着けている人がいない超一流ブランドは無いかな・・。
そんな時計上級者にお勧めしたいブランドが「ロジェデュブイ」なのです。
今回は、ロジェデュブイの魅力と各コレクションをまとめてみました。
EXILE ATSUSHIさん、ガクトさん、大リーガー前田健太さん、ダルビッシュ有さん、総合格闘家小川直也さんなど、一流有名人・芸能人の愛用者も多いこのブランド。ワンランク上の高級腕時計をお探しの方に贈ります!
目次
ロジェデュブイとは
ロジェデュブイは同名の時計師とデザイナーであるカルロス・ディアスよって1995年に創業したブランドです。
斬新で本当におしゃれなデザインが特徴ですが、機械式時計としてもかなりの本格派。
実は、創業者のロジェデュブイはロンジンやパテックフィリップで働いた経歴を有し、比較的若いブランドであるにもかかわらず完全なマニュファクチュールを確立しています。時計メーカーにとって難関にして世界トップクラスの栄誉であるジュネーブ・シールを全てのモデルに取得するという老舗顔負けのこだわりっぷりなのです。
2008年にカルティエやIWC、ヴァシュロンコンスタンタンなどが属するリシュモングループの傘下に加わります。
それまでは「知る人ぞ知る」といった立ち位置でしたが、巨大資本の力を武器にスイス本国から欧州、アメリカ、そして日本へと裾野を拡大。
もちろんロジェデュブイらしい「独創性」と「品質へのこだわり」はそのままに、世界中の時計マニアとおしゃれ好きを虜にしてきました。
出典:https://www.rogerdubuis.com/ja/
ロジェデュブイの特徴
ロジェデュブイは製品特徴が大きく分けると二つあります。一つ目は「独創性」。
ロジェデュブイの腕時計を始めて見て、そのデザインにまず驚いた方もいらっしゃるかもしれません。
こういった一目見て他社とは違うデザインも特徴的ですが、加えて、供給数を限定しています。
戦略的に稀少価値を発生させると同時に、種類を多様化することで「オンリーワンの腕時計」という特別感をも発生させているのです。
近年は生産数を以前よりも多めに増やしてはいますが、新品・中古問わず依然として入荷が難しいブランドであることに変わりはありません。
そしてもう一点の大きな特徴。
ロジェデュブイの戦略であり経営理念でもあるのが、「ムーブメント」へのこだわりです。
まだ今ほど大規模ではなかった設立当初から完全マニュファクチュールを確立し、全てのムーブメントにジュネーブシール認定を獲得しているのです。
このジュネーブシールを全機で認定されていることがいかにすごいかを次項で解説いたします。
ロジェデュブイのムーブメントへのこだわり
前述の通り、ロジェデュブイのムーブメントへのこだわりは一つの経営理念となっています。
そんなこだわりをご紹介いたします!
①ジュネーブシールへのこだわり
完全なマニュファクチュールであることに留まらず、全てのムーブメントがジュネーブシール認定機なのです。
出典:https://www.rogerdubuis.com/ja/
このジュネーブシールとは、スイスジュネーブ州が制定するムーブメント規格で、工業製品に関する査定の中では最も上位に位置づけられるものです。時計職人たちにとっては、世界最高峰の栄誉とまで語られます。
有名なクロノメーター規格とはまた違った精度への厳格さに加えて、メイドインジュネーブであることが求められます。「全ての部品製造及び組み立て作業がジュネーブ州内で行わなれた」という前提のもとで査定され、加えて製造方法や仕上げ、装飾などもジュネーブの伝統に則らなくてはならず、非常に限定的な側面を持ちます。
取得しているブランドは決して多くはありません。認定ブランドはパテックフィリップやヴァシュロンコンスタンタンなど、名門がメイン。
そんな中創業わずか20年強のロジェデュブイがこの称号を得ているということ、そして完全マニュファクチュールで全てのムーブメントにジュネーブシールを取得したブランドは世界でロジェデュブイただ一つであることがいかに凄まじいか、想像に難くないでしょう。
ロジェデュブイはおしゃれなので、ただのデザインウォッチなんじゃないの?と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかしながらロジェデュブイがおしゃれ好きだけでなく、「時計マニアに愛される」「自分だけが所有できる超一流時計」などと言われるのは、このようにムーブメントへの並々ならぬこだわりがあるからなのです。
②コンプリケーションへのこだわり
加えてロジェデュブイはコンプリケーションや新技術への取り組みも意欲的です。
↑ダブルフライングトゥールビヨンを搭載した手巻き式ムーブメントCal.RD01SQ 。制作に1200時間を費やした。
(出典:https://www.rogerdubuis.com/ja/)
例えば時計マニアなら誰もが憧れるトゥールビヨンやパーペチュアルカレンダーなどのモデルも自社製でラインナップ。
ムーブメントの総数はいまや30を超えているのです。もちろん全てがジュネーブシールの認定を受けています。
③実用性へのこだわり
ただ精度の良いムーブメントを自社開発しているのではなく、日常使いできる高級時計であることがロジェデュブイの本質です。
例えばローター。自動巻きムーブメントはローターの存在ゆえ、どうしても厚みを持ちがちですが、ロジェデュブイではマイクロローター式を採用しています。
ダイバーズウォッチなどボリューミーなケースが流行りましたが、ロジェデュブイはデザインがちょい派手なので厚すぎると悪目立ちしてしまう可能性もあります。体形やライフスタイルによっては装着感が悪くなってしまう方もいらっしゃいますよね。
マイクロローター式ムーブはローターが通常のそれより小さいため、薄さを保つことに成功しました。本体を覆わないので、機械そのものの美しさを楽しむことができるメリットもあります。
パテックフィリップやランゲ&ゾーネなど高価格帯のブランドで使用されていることは納得ですね。
出典:https://www.facebook.com/pg/RogerDubuisWatches/photos/?ref=page_internal
人気のクロノグラフも、高い技術力と手間を要するコラムホイール式を採用し操作性や作動の安定性を追求するなど、全く隙のない製品開発に驚かされます。
ロジェデュブイの価格は普段使いのものとしてはやや高め。
しかし他の超高級時計と同様、一生をともにできるような品質と性能が備わり、まさに「大人のためのおしゃれアイテム」と言えるのではないでしょうか。
ロジェデュブイの代表コレクション
時計として完成された製品を製造し続けてきたロジェデュブイ。では、一体どのようなラインナップがあるのでしょうか。
ロジェデュブイは世界観も独特で、「ウォリアー(戦士)」、「プレイヤー(社交)」、「ベンチャラー(冒険者)」、「ディーバ(歌姫)」という4つの哲学をもとにコレクションを形成しています。
まずムーブメントありきの製造理念を守りつつも、ヴィジュアルや感性に訴えた個性的な外装が特徴です。
エクスカリバー
4つの世界観のうち、「ウォリアー(戦士)」にあたるコレクションがエクスカリバーです。このエクスカリバーが最もロジェデュブイの中で有名ではないでしょうか。
ロジェデュブイのアイコン的存在であり、おしゃれな高級スポーツウォッチの代名詞としても語られます。
エクスカリバー―伝説の剣―のコレクション名通り、力強くエッジがきいたベゼル、ダイナミックなローマンインデックスがまず目に留まりますね。
エクスカリバー42 マイクロローター クロノグラフ DBEX0388
近年様々なデザインのスポーツウォッチが各社からラインナップされていますが、エクスカリバーほど大胆でファッショナブルなものはあまり見られません。
自社製ムーブメントにも比類ないこだわりを持ち、アクティブなフォルムとはうらはらに非常に精密精緻、そして伝統に則った美しいムーブメントを搭載していることもポイントです。
エクスカリバー RDDBEX0179 / エクスカリバー EX45 77 9 9.71R
前述のようにロジェデュブイは供給数を調整しており、正規店が増えているとはいえ国内での知名度はまだそれほど高くないことも加えて、おしゃれで人とかぶらない、というメリットがあります。
一方で欲しい時になかなか見つからないということも。
エクスカリバーなら比較的流通していますので、気になったら時計店にまず問い合わせてみることをおすすめいたします。
モネガスク
出典:https://www.rogerdubuis.com/ja/
モネガスク クロノグラフ MG44-680-90-00/0ER01/B (DBMG0005)
「プレイヤー(社交)」にあたるモネガスクは、「モナコの人」という意味を持ち、優雅で贅沢な大人の社交をイメージさせるコレクションです。
カジノのルーレットをモチーフとしたダイアルをおさめるクッションシェイプのケースは高い作りこみがなされており、ロジェデュブイのデザイン性だけに留まらない、高い技術を感じさせられます。
モネガスクは高級時計らしく上品な薄さを有しますが、クロノグラフモデルであってもそのケース厚を保ちます。
秘訣はモネガスクだけではありませんが、搭載されたマイクロローター式ムーブメント。
一般的なローターと比べ小さく、薄さを実現するだけでなく機械全体を覆わないためムーブメントそのものの美しさを活かせることも特徴です。
パルジョン
「ベンチャラー(冒険者)」にあたる2013年からの新コレクション。
パルジョンとは、「鼓動」を意味します。
独創性とスポーティーテイストのあるデザインを保ちつつ、表裏がスケルトンとなり、美しいムーブメントの動きを楽しめるシリーズです。
直接ビス留めされた分厚いサファイアガラスがベゼル部分にまで至っており、素材感がフィーチャーされています。
こちらのクロノグラフモデルは段差あるタキメーターやインデックスが立体感とメカニカルな趣を持つ一本。
もちろんムーブメントはジュネーブシールの認定を受けているため、装飾の美しさや信頼性は随一。ロジェデュブイが時計マニアからも愛されていることが頷けます。
ベルベット
出典:https://www.rogerdubuis.com/ja/
「ディーバ(歌姫)」にあたるコレクションで、レディースラインとなります。
歌姫のように美しく、ラグジュアリーさがスポーツウォッチだけでないロジェデュブイの実力を感じられます。
段差のついた立体的なダイアルも特徴的ですが、こちらのコレクションは全てにダイヤモンドがあしらわれます。
生産数が少なく、また価格も高いのでなかなか気軽な普段使いというわけにはいきませんが、特別な一本であることに間違いありません。
オマージュ
オマージュ37 H37 57 5/C5.4 / オマージュ H37.57.0/G9.4
「オマージュ」はロジェデュブイが打ち出した最初のコレクションであり、当時は全モデル28本限定という希少性が話題となりました。
現在はリシュモングループ傘下に加わったことから、全ての商品が常時製造へと変更されています。
ロジェデュブイの中では最もオーソドックスでクラシカル。
1930年代のデザインからインスピレーションを受けました。
薄型でシンプルなモデルも多くあるため、ドレッシーな装いやフォーマルなシーンにもお使いいただけます。
イージーダイバー
イージーダイバー オートマティック RDDBSE0257 / RDDBSE0256
ロジェデュブイ唯一のダイバーズウォッチで、現在は生産終了していますが一大コレクションを築いた人気シリーズです。
ダイナミックに直接インデックスが彫り込まれた幅広ベゼル、300m防水の堅牢かつボリューミーなケース、ストラップを強く固定する3本ラグ・・・
ロジェデュブイらしい独創性の中に、クオリティの高い作りこみが見られる不朽の名作と言えます。
ロジェデュブイの価格は?
出典:https://www.facebook.com/pg/RogerDubuisWatches/photos/?ref=page_internal
ロジェデュブイは普段使いの腕時計としては、やや高価格帯となります。
リシュモン傘下となったことにより以前よりかはお求めやすい価格・流通量となりましたが、シンプルなステンレス製エクスカリバーであっても100万円以上。コンプリケーションが搭載されていたりゴールド製であれば200万円を超えるものが普通です。
中古であれば100万円以下で購入できる個体もありますが、流通量が少ないため時計専門店でも入荷は少ない現状です。
しかしながら、パテックフィリップやオーデマピゲ、ランゲ&ゾーネなど名門雲上ブランドとも遜色ないものづくりへのこだわりはロジェデュブイの大きな魅力であり真髄。
そのため、ワンランク上の高級時計や一生モノをお探しの方にとっては、決して高すぎるということのない逸品ではないでしょうか。
まとめ
いったん経営から離れたのち、再び当ブランドの顧問として復活した天才時計師ロジェデュブイ。
2017年10月、79歳でこの世を去りました。
「オンリーワン」なデザインと「ナンバーワン」な本格機械式時計製造に携わってきた氏の作品の数々、そして偉業は、紛れもなく価値あるものの一つとして連綿と受け継がれていくことでしょう。
おしゃれで大胆、でも時計マニアも納得の逸品を生み出し続けるロジェデュブイ、今後も目が離せないブランドのうちの一つです。
当記事の監修者
新美貴之(にいみ たかゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 店舗営業部 部長
1975年生まれ 愛知県出身。
大学卒業後、時計専門店に入社。ロレックス専門店にて販売、仕入れに携わる。 その後、並行輸入商品の幅広い商品の取り扱いや正規代理店での責任者経験。
時計業界歴24年