時計のDバックルをご存知でしょうか。
革ベルトと、金属ブレスの良いところを併せ持つとても便利なものです。
便利なDバックルですが、慣れていないお客様にとっては、取付に迷われる事もあると思います。
今回は一般的なタイプのDバックルの取り付け方、簡単な仕組みとメリットについてご紹介します。
目次
一般的なDバックルの取り付け方
Dバックルはブランドによって多種多様のタイプが存在しますが、今回は一般的な三つ折れタイプのDバックルの取り付け方をご紹介します。
物により構造が異なる場合がありますが、概ね応用が利くはずです。
最初の状態がコチラ。
片側が完全に外れており、そのままではベルトを通すことができませんので、不安に思う方も多いかもしれません。
Dバックル側の写真です。
箱状のパーツの中に、つく棒(ベルトの穴に通す部分)があります。
今回のDバックルでは、つく棒部分が可動するようになっておりますので、指を使いつく棒を下げます。
ベルトを通していきます。
素材によっては固く通しにくい場合もあります。
垂直に力を入れて通していくのがポイントです。
付く棒の付いたパーツを押し込み、ベルトの穴に通します。
カチッと音が鳴るまで押し込みます。
ここで腕回りの大きさが決まります。
最後に定革(ていかく)と遊革(ゆうかく)に、ベルトを通せば完了です。
腕回りがきつい、緩い場合は、前の工程に戻り、穴の位置をかえて調整してみてください。
新品や新しい物の場合、ベルト・バックルが硬いことも多く、調整が難しい場合もあります。
不安であれば、信頼できる時計店へお持ち込み下さい。
Dバックルの仕組み
Dバックルは、革ベルトの留め具部分、尾錠、つく棒が、革ベルトを固定した状態でそのまま開閉するようになるとお考え下さい。
取付、取り外しの際にベルトの穴につく棒を通す必要がないため、金属ブレスの様に開閉することが可能です。
Dバックルは云わばいわば革ベルトと金属ベルトの良いところをとったハイブリッドのような性能で、着脱が楽になるだけでなく、時計が常にリング状に繋がったままのため、滑落防止につながります。
便利なDバックルですが、Dバックルのタイプによっては専用のベルトが必要な場合もあります。
ご不明の際は時計店へご相談ください。
Dバックルを使用するメリット
取付、取り外しが簡単に行える。
一番のメリットは、着脱の快適さだと思います。
革ベルトは取付、取り外しの際に、付く棒を穴に通す必要があるので、慣れていないとどうしても時間がかかってしまうことがあります。
その点Dバックルは片手でも簡単に取り外しが行えますので、着脱時のわずらわしさがなくなります。
ベルトの負荷が減り、長持ちする。
革ベルト装着時の、穴に付く棒を通すという動作が必要ないため、擦れや伸びが起こりにくくなり、寿命が延びます。
尾錠タイプの場合着脱時に、どうしてもベルトを引っ張ってしまうので、ベルトに負荷がかかりやすく、使い方によっては、傷みが早くなる事もあります。
タイプによって、微調整が行える。
カルティエやタグホイヤーのDバックルは、穴につく棒を通すのではなく、折り返す、挟み込むことでベルトの位置を固定しています。
そのため、通常と違いミリ単位での調整が可能です。
折れ跡、挟み跡はついてしまいますが、調整方法をご存知であれば、ご自身でも微調整が可能なので、快適なサイズで時計を使うことができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
Dバックルは気軽に時計を使えるだけでなく、時計にも優しい構造となっておりますので、とてもお勧めです。
気になる方は是非ご相談ください。
当記事の監修者
廣島浩二(ひろしま こうじ)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチ コーディネーター
一級時計修理技能士 平成31年取得
高級時計専門店GINZA RASIN 販売部門 ロジスティクス事業部 メンテナンス課 主任
1981年生まれ 岡山県出身 20歳から地方百貨店で時計・宝飾サロンで勤務し高級時計の販売に携わる。 25歳の時時計修理技師を目指し上京。専門学校で基礎技術を学び卒業後修理の道に進む。 2012年9月より更なる技術の向上を求めGINZA RASINに入社する。時計業界歴19年
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