「ロレックス サンダーバードは高騰するの?」
「サンダーバードの魅力が知りたい」
近年のロレックスはスポーツモデルを中心に価格が高騰しており、人気モデルはどのモデルも相場が軒並み上がっています。
エクスプローラー・サブマリーナ・デイトナといったスポーツモデルを中心に、ドレスウォッチであるデイトジャストも高騰しており、その勢いは現在も続いています。
そんなロレックスですが、実は現在密かに注目が集まっているモデルがあります。
その名は「サンダーバード」。
1970年~80年頃に人気を集めた古き良き名作です。
そんなロレックス サンダーバードについて知りたいという人は多いのではないでしょうか。
18kゴールド素材で作られたサンダーバードの回転ベゼルは、他にはない美しさがあります。
この記事ではロレックス サンダーバードの魅力を、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
サンダーバードの名作の紹介もしますので、ロレックスに興味がある人はぜひ参考にしてください。
目次
ロレックス サンダーバードについて
ロレックスの中でも、独特な存在感を放つサンダーバード。
1956年にアメリカ空軍のアクロバットチーム「サンダーバーズ」隊長のドン・フェリス大佐の引退を記念し、同氏のために特注されたオリジナルモデルから、その歴史は始まりました。
サンダーバードはスポーツモデルには採用されないドレッシーな回転ベゼルを搭載しており、基本デザインはデイトジャストそのものでありながら、従来のそれとは全く異なる存在感を放ちます。
ロレックスは文字盤にそのモデル名を表記していますが、サンダーバードにはそれがありません。
あくまでデイトジャストであり、派生モデルに付いたニックネームのような立ち位置です。
サンダーバードは2018年現在、相場がそれほど高騰していません。
ロレックスは全般的に価格が高騰していますので、今購入しておくと今後の価格推移が楽しみなモデルでもあります。
もう一つの回転ベゼル搭載モデル「ターノグラフ」との違い
今でこそ回転ベゼルを備えたデイトジャストがサンダーバードと呼ばれていますが、実はサンダーバードが登場する以前にも回転ベゼルを搭載したロレックスが存在しました。
そのモデルは1953年に製造された「ターノグラフ ref.6202」です。
ターノグラフはサンダーバードと同じデイトジャストに回転ベゼルを配したモデルですが、煌びやかな印象を与えるサンダーバードとは異なり、サブマリーナの原型となったモデルであるといわれるほど、ダイバーズウォッチに寄ったデザインです。
結局ターノグラフは製造後ダイバーズウォッチの系譜に引き込まれていったため、デイトジャスト+回転ベゼルという仕様はサンダーバードを指すようになりました。
サンダーバードの特徴① 5世代に分かれる
サンダーバードは製造された時期によって5世代に分かれるモデルです。
第一世代:REF.6309 1956年頃発表
第二世代:REF.6609 1958年頃発表
第三世代:REF.1625 1962年頃発表
第四世代:REF.16250/16253 1977年発表
第五世代:REF.16264/16263 1988年発表
主に上記の製造年数によってサンダーバードは5つの世代に分類されますが、ムーブメントの変更や細かな仕様変更以外に大幅な変更点はありません。
どのモデルも等しく、一目見てサンダーバードだと分かる特徴的なデザイン性を秘めています。
サンダーバードの特徴② 豊富なバリエーション
サンダーバードの特徴は何といっても他のロレックスとは一線を画す個性的なデザインです。
ドレスウォッチのように見えますが、完全なドレスウォッチではなく、かといってスポーツウォッチかと言われるとそうでもない。
ある意味中途半端な存在ですが、その曖昧さが魅力でもあります。
左:1625 シャンパン/バー 中央:1625 ブラックミラー/リベットブレス 右:1625 シルバー/3列巻きブレス
これらのモデルは1962年頃に発表された第3世代に当たるサンダーバードですが、モデルによって文字盤デザインが大幅に異なっていることが分かります。
回転ベゼルのデザインはどれも一緒ですが、他は文字盤の色・インデックスの形、さらにはブレスレットの仕様に至るまで、様々な点が同じ世代のサンダーバードでもそれぞれ異なる個性を持ち合わせます。
デイトジャストのように見えてデイトジャストではない。
他のロレックスでは味わえないこの独創的なデザインは見れば見る程クセになります。
ロレックス サンダーバード 名作8選
1956年から約50年に渡って製造されたサンダーバードには幾つもの名作が存在します。
年代や個体によってデザインやカラーが大幅に異なるので、是非自分好みの一本を見つけだしてください。
ロレックス サンダーバードの名作① 6609
ロレックス サンダーバード 6609 ブラックミラーダイヤル
1958年頃製造されたサンダーバードの第2世代モデルRef.6609。
36mmのステンレス製ケースに強化プラスチック風防を採用したモデルです。
サンダーバードの特徴でもある両方向回転ベゼルは後期のベゼルと異なり、刻印が盛り上がっています。
ムーブメントにはロレックス独自のマイクロステラスクリューを始めて搭載したデイトジャスト機能つきクロノメーターCal.1065を搭載。ブレスを留めるラグ脚部分が長いのも6609の特徴です。
裏蓋がセミバブルのように少しふっくらとしており、ブレスレットはリベットコンビブレス仕様となっています。
流通量が非常に少ないレアモデルです。
ロレックス サンダーバードの名作② 1625
ロレックス デイトジャスト サンダーバード 1625 ブラックミラー/リベットブレス
1962年頃に製造された第3世代モデル1625。
このモデルは文字盤にミラーダイヤルが採用されており、経年変化による独特の雰囲気を堪能することが出来る逸品です。
インデックスはアンティークな趣を感じさせる楔形。時針・分針はバータイプとなっています。
ムーブメントには名機と名高い自動巻Cal.1570を搭載しています。また、ブレスは7206FF58の貴重な3連リベットブレスです。
全てにおいて希少価値が高く、こちらも市場でも評価が高騰しています。
ロレックス サンダーバードの名作③ 1625
ロレックス デイトジャスト サンダーバード 1625 シルバー/3列巻きブレス
ステンレススティールケースにイエローゴールド製両方向回転ベゼルを備える希少なRef.1625。豊富なバリエーションが存在するモデルですが、この個体は若干退色したシルバー文字盤・シンプルなバーインデックス、針・3列巻きブレスといった特徴をもちます。
ブラック文字盤のサンダーバードには力強さがありましたが、この1625はデイトジャストらしいラグジュアリーな印象が強いです。
ムーブメントには名機と名高い自動巻Cal.1570(ハック機能無し)を搭載。価格もこの年代のアンティークロレックスとしては手に入れやすい価格となっております。
ロレックス サンダーバードの名作④ 16250
1982年頃に製造されたサンダーバード。こちらは第4世代に当たります。ベゼルのデザインがシャープになっており、より使いやすくなっています。
ブレスレットはシンプルな3連巻きブレス。現行モデルにはない「ベゼルだけがゴールド」という個性も魅力的であり、ファンの間では密かに注目が集まっています。
また、ムーブメントも進化を遂げており、16250は毎時28,800振動のクロノメーター規格Cal.3035を搭載しハイビート化を果たしました。
実用性が高いため、入荷しても早い段階で売り切れてしまうことが続いています。
ロレックス サンダーバードの名作⑤ 16253
ロレックス デイトジャスト サンダーバード16253 シャンパン/バー
この個体は1988年に販売された個体であり、第4世代のモデルとしてはかなり後期に製造された個体です。
ケースはコンビ仕様で作られており、シャンパンダイヤルと相まってゴージャスな印象を与える仕上がりとなっています。
この年代の個体は、既に現行デイトジャストに雰囲気が似てきており、「ベゼルの違い=サンダーバード」という価値観がより鮮明になってきています。
コンビタイプのジュビリーブレスが高級感を放ち、バックルはシンプルなシングルバックルが採用されています。
ムーブメントは時計業界でも優れたム―ブメントとして名高いCal.3135を搭載。これにより、第4世代・第5世代のモデルは現行モデルとなんら遜色のないスペックを誇るモデルとなりました。
普通のデイトジャストじゃつまらないと感じている方から支持を受けており、その実用性の高さから近年知名度を高めています。
ロレックス サンダーバードの名作⑥ 16264
ロレックス デイトジャスト サンダーバード 16264 ホワイト/ローマ
デイトジャストらしい上品なホワイト文字盤にローマンインデックスを配した高級感のある一本。ホワイトゴールド製のベゼルは第3世代以前のデザインに近づいており、立体感が重視されています。
直径36mmというサイズ感とデザインのバランスが良く、製造終了してから10年以上経過している今尚人気を博し続けている話題作です。
ムーブメントにはクロノメーター取得のCal.3135を搭載。オールステンレススティールではなく、ホワイトゴールドとのコンビである点に、さりげない高級感が見え隠れする大人の渋い腕時計です。
ロレックス サンダーバードの名作⑦ 16263
ロレックス デイトジャスト サンダーバード 16263 グレー/ローマ
最後にご紹介するのは、珍しいグレー文字盤が採用されたシックな16263。立体的なローマンインデックスが配置されており、ラグジュアリーでありながらもシックな印象を与えます。
この個体は2003年に製造された製造終了間際のモデルであり、近年人気が急上昇しています。
ムーブメントはもはやお馴染みとなったクロノメーターCal.3135を搭載。現在は70万円前後が相場となっていますが、今後上昇する可能性が高いです。
まさに買うなら今!というべきモデルです。
まとめ
一般的なデイトジャストとサンダーバードの違いはベゼルです。18kゴールド素材で作られたサンダーバードの回転ベゼルは他のロレックスでは決して味わえない独特な美しさがあります。
また、豊富なバリエーションが存在するサンダーバードはドレスウォッチにより近い個体もあれば、スポーティーなテイストが強い個体もあります。
各々の好みによって自分にあった個体を選べることも魅力の一つといえるでしょう。
現在はまだ相場が上がり途中ですが、今後は更なる高騰が見込まれます。
手が届かなくなる前に、是非サンダーバードをその手に収めてみてはいかがでしょうが?
当記事の監修者
池田裕之(いけだ ひろゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン 課長
39歳 熊本県出身
19歳で上京し、22歳で某ブランド販売店に勤務。 同社の時計フロア勤務期に、高級ブランド腕時計の魅力とその奥深さに感銘を受ける。しばらくは腕時計販売で実績を積み、29歳で腕時計専門店へ転職を決意。銀座ラシンに入社後は時計専門店のスタッフとして販売・買取・仕入れを経験。そして2018年8月、ロレックス専門店オープン時に店長へ就任。時計業界歴17年