「ロレックスの保護シールってはがしてあるものなの?」
「ロレックスの保護シールのルールについて知りたい」
これまでのロレックスの新品はメーカー保護シールが貼られていることが一般的でした。
しかし、今後ロレックスは正規店で販売する際に保護シールを剥がすというルールを世界的に標準化させるようです。
ロレックスの保護シールについて知りたいという人は多いのではないでしょうか。
今後、並行品の新品に関しては保護シールが付いていないのがスタンダードになります。
この記事ではロレックスの保護シールについて、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
今後の買取基準についても解説しますので、ロレックスの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
目次
ロレックスの保護シールについて
ロレックスの各モデルは時計に傷がつかないよう、本国出荷時に保護シールが貼られています。
しかし、正規店でロレックスを購入すると、この保護シールが店頭で剥がされてしまうのです。
キズをつけないための保護シールであるならば、自分で剥がさせて欲しいと思いますが、ロレックスは断固店頭で剥がします。
実はこれには理由があります。
購入時に細かい傷や不具合がないことを一緒に確認するという意味もありますが、実際は「転売防止」という意味あいが強いです。
何故シールを剥がすこととが転売防止になるのか?
ロレックスの正規店でシールを剥がす理由は、リユース市場が大きく関係しています。
ここで重要なのは「保護シールが貼られていることが、新品の基準」となっていることです。
ロレックスを売りたい方は時計店に買取を依頼すると思いますが、その際、保護シール有りと無しでは数万円もの買取差額が生じるのです。
新品ロレックスを転売する理由
ロレックスの転売が盛んな理由。それは人気モデルが定価より高い金額で販売される為です。
デイトナ・サブマリーナ・GMTマスターといったスポーツロレックスの定番人気モデルは定価より並行相場価格が高騰しています。
限定品でもないのに定価より高い並行相場価格になっているのは、ロレックスが意図的に人気モデルの生産を抑え、敢えて品切れ状態にすることでプレミア感を演出しているからです。
人は手に入らないモノやレアなモノを欲する習性があり、ロレックスはそれをうまく利用した戦略を打ち出しています。
その結果、手に入らないからこそ「定価よりも高くても買いたい!」という人たちが溢れ、需要に沿ったプレミア価格で取引が行われるようになるわけです。
現在は「保護シールが貼られていること=新品」という価値観がありますが、裏を返せば保護シールが無ければ中古または未使用と見なすことになります。
正規店で新品を購入して、そのまま買取店で売れば利益となるため、ロレックスの転売は盛んです。
しかし保護シールを剥がしてから渡せば、その時点で転売目的のユーザーは中古・未使用として時計を売るしかなくなるため、転売の抑止力になります。
これが、正規販売店がシールを剥がす理由です。
今後は保護シールを剥がすことが世界的ルールに
前置きが長くなりましたが、今回お伝えしたかった話題はコレです。
最近、ロレックスは世界各国の正規店において、「シールを剥がすことを標準ルールに定めた」といわれています。
これまでは一部の国ではシールを剥がすルールがなかった為、卸業者が保護シール有の新品を海外で買い付け、国内の並行店に卸すことができました。しかし、世界的に保護シールを剥がすルールが正式化されれば、卸業者はシール有の新品を入手できなくなります。
つまり国内に入荷される新品において「新品=保護シール有」という従来の考え方は当てはまらなくなるのです。
現在国内の正規店で人気モデルを入手することはほぼ不可能である為、手に入れたい場合は並行店で購入する以外の選択肢はありません。そのためシールがなくても並行輸入新品の需要は尽きることはないと思います。
ただ単に、保護シールが貼られた新品が出回らなくなるだけです。
買取の基準は変わる可能性が高い
じゃあ、今後は「新品」を売っても全て中古として扱われるの?
と、思われる方も多いでしょう。
この問いに対してはNOです。
今後は保護シールの有無で新品であるか判断されなくなり、キズの有無やブレスの調整痕、国際保証書の発行日付が重要になると思います。
そうなれば保護シールがなくとも新品としての基準を満たしていれば、新品として扱われるようになるでしょう。
これは買取店の方針にもよるので一概には言えませんが、シールの無い個体が増えた際には、それに伴う新しい基準が市場の中で生まれるはずです。
最後に
並行店で販売されている新品ロレックスは海外の正規店から仕入れた時計ですので、仕入れ先の国にシールを剥がすというルールがなければ、シールが貼られたままの状態で国内に輸入されます。
そして、並行店にはシールを剥がさなくてはならないというルールはないため、そのまま「シールが貼られた状態」で販売されています。
日本の正規店は保護シールを剥がすルールがあるのに、保護シールが貼られた新品が存在するのはそのためです。
ただ、今後は上記のルール変更により保護シールが貼られている新品は市場から激減していくでしょう。
そして保護シールが無い新品を並行店で購入することが、一般的な新品ロレックスの購入方法になると思われます。
当記事の監修者
池田裕之(いけだ ひろゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン 課長
39歳 熊本県出身
19歳で上京し、22歳で某ブランド販売店に勤務。 同社の時計フロア勤務期に、高級ブランド腕時計の魅力とその奥深さに感銘を受ける。しばらくは腕時計販売で実績を積み、29歳で腕時計専門店へ転職を決意。銀座ラシンに入社後は時計専門店のスタッフとして販売・買取・仕入れを経験。そして2018年8月、ロレックス専門店オープン時に店長へ就任。時計業界歴17年