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バーゼルワールド2021中止決定!時計業界の2020年新作はSIHH(Watches & Wonders)の舞台へ
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100年の歴史を持つ由緒正しいバーゼルワールド。高級時計とその職人技術を格式高いサロンで魅せるSIHH。
時計業界にとって非常に重要な位置を占める両展示会ですが、今、未曾有の危機に立たされています。
当ウェブサイトでも何度か速報いたしました通り、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響が考慮され、2020年開催見送りと相成ったことが大きな原因です。
とは言えもともと、かなり大幅な変革が求められてもいました。なぜなら、主要出展ブランドの撤退が止まらないため・・・スウォッチグループ,ブライトリングに続き、日本が誇るセイコーにカシオまで2020年度の出展見合わせが報じられました。
そんなご時世、独自見本市を開催するブランドも少なくありません(そしてオメガが中心となったスウォッチグループ主催のTime to MoveのようにCOVID-19でやはり中止となるものも少なくありませんが)。
直近だと、3月2日付でブルガリのCEOジャン・クリストフ・ババン氏から、Watches & Wonders Geneve(旧SIHH)に代わり、新たなプライベートショー「Geneve Watch Days(ジュネーブ・ウォッチ・デイズ)2020」の開催が改めて公表されました。
そう、SIHHやバーゼルワールドの背景も大事ですが、私たち時計好きが気になるのは「いつ」「どのように」新作が発表されるか、ではないでしょうか。
ロレックス、チューダーにパテックフィリップにオーデマピゲ。あるいはウブロにタグホイヤー、ブライトリング・・・
各人気ブランドたちは、いったいどのように新作を発表するのでしょうか?失われた機会を、どのように取り戻すつもりでしょうか?
この記事では、2020年新作事情についてご紹介いたします!
※2020年5月現在の情報となります。
※現在COVID-19は世界的に予断を許さない状況であり、今後各ブランドのスケジュールが変更になる可能性もございます。
目次
【2020年5月7日追記】速報!バーゼルワールド2021の中止決定!
本日、バーゼルワールド主催団体MCH(MCM SWISS EXHIBITION)より、公式声明が出されました。
曰く、バーゼルワールド2021の開催中止を決定した、と。
冒頭でもご紹介したように、バーゼルワールドは新型コロナウイルスの影響で2020年開催延期を発表しておりました。本来2020年4月30日~5月5日開催だったものが、翌1月28日~開催へと変更していたのです。
しかしながらこの延期、様々な問題を呼び起こしました。
発端となったのは、次項でご紹介する「パテックフィリップやロレックスのバーゼルワールド離脱」です。
パテックフィリップ、ロレックス&チューダー等がバーゼルワールド離脱
2020年4月、ロレックス、チューダー、パテックフィリップ、シャネル、ショパールが、バーゼルワールド離脱を発表しました。
次いで、ゼニスやブルガリ、ウブロにタグホイヤーを有するLVMHも、それに追随する形となります。
この2週間ほど前には、4月30日から予定していた2020年の新作発表を延期する旨が伝えられていたばかりでした。
目下、欧州各国ではCOVID-19の猛威によって相次いで非常事態宣言が出されており、スイスでも厳格な行動制限が施行されています。
これを受けてパテックフィリップを始めロレックスやオーデマピゲなど、多くの高級メゾンの工場を停止している矢先の発表でした。
当初、ロレックスなどは4月末に公式ホームページで新作ローンチを行う予定であったようですが、いったん白紙に。無期限延期をする旨が決定されました。
もちろん「無期限」であり、今後の予定はまだわかりません。
また、パテックフィリップは2020年での発表見送りが濃厚なようで、どうも後述するバーゼルワールド2020(実際は2021年に開催延期)とタイミングをマッチさせるのではないか、と言われていました。
しかしながら、このバーゼルワールドの2021年への延期で、主催団体と出展ブランドの間で、確執ができていたようです。
それはキャンセルポリシーに関するもので、具体的には「出展料の返還」です。詳しいところは当事者のみぞ知るですが、どうも出展料の返還で、ブランド側には納得のできないプランがMCHから提示されていたようなのです。
また、ロレックス曰く、「ブランド側になんの相談もなしに2021年への開催延期が伝えられた」とのことです(これは後日、MCHが否定していますが)。
こういった確執を経たことに加えて、バーゼルワールドのような大規模展示会の必要性がインターネットの普及で低減していったことから、今のブランド離れ、ひいてはバーゼルワールド中止の事態を招いたのでしょう。
バーゼルワールドは終了するのか
繰り返しになりますが、バーゼルワールドの2021への開催延期は新型コロナウイルスの影響です。
かつてSIHHという名前でカルティエ等リシュモン系が新作見本市としてスタートさせたWatches & Wonders Geneveでも、2020年はオンラインでの開催となりました。
しかしながら「バーゼルワールド2021」の中止は、ウイルスへの脅威ではなく、間違いなくバーゼルワールド自身の問題と言っていいでしょう。
ロレックスやパテックフィリップ、ブルガリといった、多額の出展料および高い集客率を依存していたブランドが、どんどん離脱していく中で、大型展示会を催す余力が無くなったのだと思われます。
一方で「バーゼルワールドが完全に中止になったか」と言われると、そうでもないようです。代表者のミシェル・ロリス・メリコフ氏は、「1月末から開催予定であったバーゼルワールド2021の中止は決定したが、今夏までにフォローアップフォーマットを検討し、新しいコンセプトとスケジュールを告知する」と。
もちろん従来のような勢いがあるかどうかはわかりませんが、歴史あるバーゼルワールド。今後の動向を、時計愛好家たちとともに見守っていきたいと思います!
ブルガリCEOから発表されたジュネーブ・ウォッチ・デイズ2020
こういった背景から、目下の時計業界の話題は「いつ各ブランドは新作を発表するのか?」です。
そんな疑問への一つのアンサーとして、ブルガリCEOのジャン・クリストフ・ババン氏から昨日ある声明が出されました。すなわち、一部のブランドによる独立型新作見本市の開催です。
詳細は以下の通りです。
主催:ブルガリ
日程:2020年4月26日(日)~2020年4月29日(水)
場所:ジュネーブ市内のホテルなど
参加ブランド:ブルガリ,ブライトリング,ジラールペルゴ,ユリスナルダンなど
上記の詳細をご覧頂くと、ちょうどWatches & Wonders Geneveの開催時期に同期させていることがわかりますね。
イメージとしては、先だって行われたLVMH主催のドバイウォッチウィークを踏襲するようです。
ただ、ジャン・クリストフ・ババン氏によると、「この度のスイス連邦の発令(1000人以上の規模のイベント禁止)」には抵触しないとのこと。
と言うのも、一堂に会して見本市を執り行うのではなく、各ブランドが分散し、ホテル等ジュネーブ市内の各会場で自律したショーやイベントを開催する、という形式を執るためです。
そのためきわめてプライベートなショーとはなるようですが、それでもジュネーブ市内に一元化されることは「ジュネーブサロン」としての性格を踏まえていると言え、少なくとも欧州のバイヤーや各メディアは速報しやすいですね。
この度の決定はジュネーブ州も一枚噛んでいるようなので、街全体として行うのでしょう。
なお、現在はブルガリやブライトリングなど上記メーカーが名を連ねていますが、ショパールやH.モーザーとも調整中で、今後参画する可能性があるとのことです。
ブルガリもショパールも、バーゼルワールドでは非常に大きなスペースで見本市を行っていました。そのため各自分散しての開催とは言え、非常に高い注目度があることは間違いありません。
当店でも、続報が入り次第、本項でお伝えしていきます!
【2020年3月26日追記】ジュネーブウォッチデイズ2020の延期発表
2020年3月25日付で、ジュネーブウォッチデイズもまた新型コロナの影響下において、延期が決定される旨が公表されました。
新たな開催日は2020年8月26日~8月29日までとのこと。
また、それに伴い調整期間が増えたことから、15~20ほど参加ブランドを追加する方針も併せて述べられています。
現在、時計業界にはクォーツショックを超えるほどの向かい風が吹いています。
しかしながら各社の新作の魅力に変わりはありませんね。続報を待ちましょう!
その他ブランドはどのように新作を発表するのか?
バーゼルワールドおよびWatches & Wondersに参画するブランドは、ブルガリやブライトリングのみではありません。
例えばカシオは、2020年2月26日・27日の二日間、「万全の新型コロナウイルス対策」のうえで、Spring & Summer CASIO 時計新製品展示会を開催しました。そこで発表した新作G-SHOCKは計29本!!
G-SHOCK初となるGPS機能を搭載×しかもスマートウォッチの専売特許であった心拍計も付加させて、G-SHOCKファンをうならせました。
近年、G-SHOCKはただ丈夫な時計というわけではなく、高級ラインを出したり前述のような多機能機をローンチしたりと試行錯誤が繰り広げられており、私たちも例年新作が楽しみなブランドのうちの一つです。
また、ベル&ロスやシャネルは、いち早く新作を自社ホームページなどで公開しています。
こういったデジタルマーケティングを駆使して2020年の新作発表を行うブランドは少なくありません。
しかしながらロレックスにチューダー、パテックフィリップと言った大御所たちがどのように新作を発表するかは大いに気になるところ。
そのためこちらも各ブランドの動向から目を離さないようにいたします!!
SIHH・バーゼルワールドは2021年以降も続く?
冒頭でも述べたように、時計業界最大の時計見本市にあたるSIHH(ジュネーブサロン)およびバーゼルワールドですが、ここ数年の失速感は否めません。特にバーゼルワールドの凋落がその兆しであったのでしょう。
この度バーゼルワールドは2021年1月開催に延期となりましたが(しかも2020年開催分が)、果たして来年以降バーゼルワールドは続くのか?という声がないわけではありません。
実は、2017年に開幕から目玉であったエルメス・ジラールペルゴ・ユリスナルダンなどがバーゼルワールドからSIHHに移籍しました。そしてその翌年、スウォッチグループのバーゼルワールド撤退が明らかになったのです。
スウォッチグループといえば、オメガを筆頭にブレゲ、ブランパン、ハリーウィンストン、ロンジンなど、ハイエンドからエントリークラスまで有名な18ブランドを抱える時計業界の一大勢力。
バーゼルワールドにおいて、ロレックス・パテックフィリップ・LVMH(タグホイヤー、ゼニス、ウブロなど)・ショパールなどと並び「BIG5」と称され会場を盛り上げてきた立役者です。
このスウォッチグループが抜けるとは、いよいよヤバいぞ、といった印象が根付きました。なお、撤退の理由はSNSの普及などで、参加費用が高額な同見本市に参加する旨味がなくなってきた、というものです。確かにバーゼルワールドの出展費用の高額さは業界で有名です。なんせ、小さなブースを借りるだけで少なくとも数千万円、メイン会場ともなると億単位が企業の負担としてのしかかってくるのですから。
スウォッチグループ不在の中で執り行われたバーゼルワールド2019は概ね例年通りの盛り上がりを見せました。
しかしながらその後、スイス大御所ブライトリングが。そして日本が誇るセイコー(およびグランドセイコー)、カシオが2020年のバーゼルワールド出展見送りを発表・・・日本メーカーはメインホールでの出展こそないものの、同展示会では常連組。セイコーなどはその関係性が30年以上にも及びます。国内のみならず海外からの人気も高く、バーゼルワールド2019でもとても多くの顧客やメディアで混雑していました。
では、一方のSIHHが安泰かと言うとそうではありません。
オーデマピゲ、そしてリシャールミルが参加を2019年までに留めることを発表。スウォッチグループ同様、自社ホームページやSNSなど、よりコストを抑えて大きなパフォーマンスが得られる販促方法にシフトすることとなりました。
もはや新作発表の場所は莫大なお金をかけて得るという時代ではないのでしょう。
この打開策のために打ち出された、SIHH・バーゼルワールドの本気の打開策は以下の通りです。
大幅改変①SIHH・バーゼルワールドの2020年開催スケジュール
リシュモングループを中心に、例年1月にスイス・ジュネーブで開催されるSIHH。そして3月にスイス・バーゼルで開催されるバーゼルワールド。
世界で最も大きい時計と宝飾品の見本市となりますが、この二つが2020年より、開催スケジュールを同期させることが発表されました。
SIHH : 2020年4月25日(土)~4月29日(水)
バーゼルワールド : 2020年4月30日(木)~5月5日(火)
開催場所は従来通りとのことです。
今回は中止になったとは言え、この連携は当面2024年までの4年間の継続となります。
ジュネーブ・バーゼル間は電車で2時間半~3時間程度の距離感です。
そのため二つの見本市に参加していた時計業界人や時計愛好家たちは、従来のように一度本国へ戻り、期間を空けて再度スイスに来訪する、という手間がなくなりました。実際、プレスリリースではこの点のメリットが多く語られています。
日本や中国などアジア圏はスイスからかなり遠距離なので、日程同期は嬉しい限りですが、手放しで喜んでいるわけではありません。
◆SIHH・バーゼルワールド日程同期の問題点
この日程同期、確かに従来よりかは利便性が高まりますが、賛否両論―どちらかと言えば否定論多し―が噴出しました。
一番の大きな問題点は、「新作発表に4・5月は遅すぎる」というものです。
時系列が前後してしまいますが、実はブライトリング・セイコー・カシオが撤退したのは、これが理由です。もちろんスウォッチグループ同様、新作のプロモーションをウェブで力を入れていく、とは発表されていますが、直接的な原因は「遅い」といったものでした。起死回生のための打開策が、さらなるブランドの「見本市離れ」を招くとは、なんとも皮肉な話ですが・・・
また、2020年は4月23日から一か月間がラマダーンに当たります。ラマダーンとはイスラム教暦の月の一つで、この期間は日の出から日没まで飲食や喫煙、おしゃべりなどを慎む義務があります。イスラム教徒の世界的な人口を考慮すれば、この時期に見本市を行うことは妥当ではない、という意見があります。
また、今後この日程が続けば、キリスト教のイースターホリデーの時期などと被ることもあるでしょう。日本のゴールデンウィークと重なって、航空券が高騰しそうな予感がします。
大幅改変②SIHH2020が「Watches & Wonders Geneva」へ
さらに2019年10月16日、SIHHに関する新たなビッグニュースが入ってきました!
SIHH主催のFHH(the Fondation de la Haute Horlogerie:高級時計協会)より、SIHHに関する大きな改変が発表されたのです。
その改変とは、プレスリリースによると、「新しいフォーマット」「新しい名前」「新しい日付」そして「新しいオーディエンス」・・・そのコンセプトのもと、「Watches & Wonders Geneva」―時計と不思議のジュネーブ―へと名称変更まで行われたSIHH2020は、いったいどのように生まれ変わったのでしょうか。
そもそもSIHHとは、例年スイス・ジュネーブで1月に行われていた高級時計専門の展示会です(バーゼルワールドは宝飾品もあり)。正式名称はSalon International Haute Horlogerieで、日本語訳では「国際高級時計展示会」となります。
主に各時計メーカーがその年の新作を発表する見本市として機能しており、バーゼルワールドとまとめて紹介されることもあります。しかしながらSIHHはカルティエやIWC、ジャガールクルトなどが属するリシュモングループが展示会の中心であること。加えて招待制が採られており(2017年より最終日のみ一般公開)、熱気と喧騒溢れるバーゼルワールドに対してゆったりとした高級感ある会場空間を大切にしていることなどが特徴的です。
そんなSIHHは、以下のように生まれ変わると宣言されました。
◆変更点①名称変更
前述の通り、SIHHは「Watches & Wonders Geneva」へと名称変更されます。
直訳すると「時計と不思議のジュネーブ」となり、あまり聞きなれないかもしれませんが、過去、香港やアメリカ合衆国・マイアミで行われた同様の見本市で使用された名称です。
なお、この名称変更に伴い、ロゴも新たに変更となりました。
◆変更点②日程変更
実はバーゼルワールドとの日程同期が発表された当初、SIHHは2020年4月26日(日)~4月29日(水)と発表されていました。しかしながら今回の発表で1日早まり4月25日(土)からの開催に。
後述する新コンセプトのためには、どうも4日間では時間が足りないと判断されたようです。
◆変更点③「In the City」という試み
SIHHは「ジュネーブサロン」とも呼ばれるように、スイス ジュネーブで行われてきました。
会場はジュネーブ・コアントラン国際空港に隣接するコンベンションセンター「Palexpo(パレクスポ)」で、メインサロンは例年同様にこちらが使われることが決定しています。
しかしながら、新たに「In the City」と題し、ジュネーブ市全体を巻き込んでの見本市開催を今回の改変の大きな要としているようです。
「ただショーケースに時計が並んでいるだけではない」とは、FHHの責任者Fabienne Lupo氏の言葉です。
詳細はプレスリリースだけではまだわからなかったのですが、メインサロンと並行してジュネーブ市内で展示会やブティックのプレゼンテーション、時計工房への訪問や博物館のオープンハウス、果てはウォーキングツアーなどを企画しているようです。どうも若い世代を取り込むことに主眼を置いているのでは、と見られています。
さらに、彼女は「より外向きで、より体験的で、より対話的で、より繋がる」とも語っており、ただ時計を見て終わり、という見本市からの脱却が目論まれています。
◆その他
前述の通り、まだそのベールは明かされていない面があります。
しかしながら「より多くのオーディエンスに」というコンセプトも明確に宣言されていること。加えて「non-professional―非専門家―」の積極的な関与を推奨していることから、招待制は廃止となるのでしょうか。
また、昨年より始まった「The Lab」と呼ばれる、時計製造の最先端技術や新興の独立系ブランドの技法をサロン中央でお披露目する企画はそのまま継続するようですが、サロン自体の印象はどう変わるのでしょうか。
開催を待ちましょう!
大幅改変③よりユーザビリティを意識した運営へ
上記でご紹介したSIHH・バーゼルワールドの大幅改変は、より顧客(出展企業のみならず、来場するメディアや一般客含む)のユーザビリティを意識した結果です。
従来はSIHHもバーゼルワールドも、殿様商売であったことは否めないでしょう。「歴史のある見本市だから、出れて嬉しいでしょ?」そんな姿勢が透けて見えたものです。
しかしながら、インターネットの普及により、新作プロモーションの場も商談の場も、もはや自社で選べる時代です。その方がエンドユーザーにとっても便利ですよね。ちなみに出展企業が離れたことで、当然ながら客足も減少。例年バーゼルワールドには約10万人の来場客がありましたが、2019年度は8万人台に留まりました。
そこでバーゼルワールドは、各ブランドに対して出展料金を1~3割ほど下げるとともに、低価格プランも導入する旨を発表しました。また、期間中は周辺ホテルの価格が爆発的に高騰したり、来場客に対して飲食店の十分なキャパシティがなかったりすることもバーゼルワールドの「悪しき風物詩」でしたが、一体となって低価格化や充実への整備を推し進めていっています。
このように、「権威」を守るのではなく、より顧客のユーザビリティを意識した運営へとシフトしていっていることもまた、大幅改変のうちの一つと言えるでしょう。
復活なるか!?SIHH・バーゼルワールドの行く末
これまでご紹介してきた背景から、SIHHとバーゼルワールドの連携、およびこの度のSIHH大幅改変が発表されましたが、今後はどうなっていくのでしょうか。
2021年の開催は安泰なのでしょうか?
まだ来年の開催については判然とはしませんが、ただ、一つの意見として「バーゼルワールド主催団体MCH(MCM SWISS EXHIBITION)」としては、前項まででご紹介したように2020年開催は「本気」でした。
かなりギリギリまで粘っており、実際延期を決定したのもスイス連邦政府の決定があったからこそです。
両展示会はジュネーブ州全体で行っている催しであることを鑑みれば、そう簡単に中止できない、といった思惑もあるでしょう。
同時に、MCHが「バーゼルワールドを成功させたい」といった意気込みで以て来年に期待したことも事実。
そのためどのような展示会になるかはわかりませんが、バーゼルワールド2020自体は行われるのでしょう。
なお、延期後の日程は1月28日~2月2日とのこと。
とは言えSIHHとバーゼルワールドの在り方が今後も問われ続けていくことは間違いありません。
個人的にはSIHHもバーゼルワールドも、連携が功を奏してまた盛り上がりを見せる展開になってほしいものです。
各ブランド2020年新作 速報ページはこちら!
※当店ではバーゼルワールド2020の、現地レポートを予定しておりました。
展示会自体は中止とはなりましたが、各ブランドの新作を順次発表させて頂きます!
当記事の監修者
田中拓郎(たなか たくろう)
高級時計専門店GINZA RASIN 取締役 兼 経営企画管理本部長
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
当サイトの管理者。GINZA RASINのWEB、システム系全般を担当。スイスジュネーブで行われる腕時計見本市の取材なども担当している。好きなブランドはブレゲ、ランゲ&ゾーネ。時計業界歴12年