「同じロレックスなのに価値が違うのはなぜ?」
「ロレックスの価値が高い仕様ついて知りたい」
ロレックスはリファレンスナンバーが同一のモデルであっても、バックル・夜光塗料・刻印・保証書など、仕様の違いによって価値が大きく変わります。
ロレックスの価値が高い仕様について知りたいという人は多いのではないでしょうか。
最新の仕様であればあるほど相場は上がる傾向にあります。
この記事ではロレックスの価格に差が出る仕様の違いを、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
パーツごとに詳しく解説しますので、ロレックスの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
目次
価格に差が出る主な仕様
ロレックスは同じ型番でも製造年によって仕様が異なる個体が多く存在します。
そして、その仕様の差が価格の差に直結するケースも珍しくありません。
今回紹介するのは価格に違いが表れやすい「スポーツロレックス」に共通する仕様の違いです。
モデルや個体によっては該当しないものもありますが、大半のモデルで当てはまりますので是非知っておきましょう。
価格に差が出る仕様の違い① シングルロック・ダブルロック
ロレックスのブレスレットやバックルは幾度も仕様が変更されてきましたが、大きくわけると「オイスターロック」「ダブルロック」「シングルロック」の3種類のバックルが存在します。
それぞれデザイン性や機能性が異なり、見た目の違いも顕著であることから、中古ロレックスを購入される方に重要視されています。
オイスターロック
↑オイスターロック式
オイスターロックは現行のスポーツロレックスに採用されているバックルタイプで、最新技術により強度と洗練を兼ね備えた設計で作られています。最新仕様だけあり、安心性も抜群。価値もダブルロックと比較すると高い相場となっています。
ちなみにこのオイスターロック、2015年頃から中板に仕様変更が行われました。
中板が従来の梨地仕様から、ポリッシュ仕上げに変更されたのです。
左:旧梨地仕様 / 右:ポリッシュ仕様
デイトナ 116520やサブマリーナ 116610LNまたは116610LV等、同一リファレンス内でこの二種のオイスターロックが共存しているモデルがあります。
116520等はポリッシュ仕様の方が稀少性が高く、相場もその分高くなる傾向にあります(当然、新しいポリッシュ仕様の方が製造から経年が少ないという理由もありますが)。
ただし、現行にはない梨地仕上げの質感もまた、味わい深いものです。
ダブルロック
↑ダブルロック式
ダブルロックはブレスレット留め金の構造がシングルロックよりもより頑丈になっており、タフな設計となっています。スポーツロレックスにのみ見受けられるバックルであり、バックルの表面にはタイル状の模様と刻印が刻まれています。
「稀少価値」という意味では3つのバックルの中では最も低い評価となっているため、お安くお買い求め頂けます。
シングルロック
↑シングルロック式
シングルロック式は1995年よりも前につかわれていたシンプルな設計のバックルです。堅牢度ではダブルバックルに劣りますが、シンプルなデザイン性から近年は再評価されており、現在ではダブルバックルよりもシングルバックルの方が価値が高いという逆転現象が起こっています。
バックルはロレックスの仕様としては非常に目立つ部分。また、時計の着用感をも左右します。そのため稀少価値で決める、というのも一つの選び方ではありますが、基本的には好みにあったバックルを選ぶのがオススメです。
機能性を重視したいのであれば現行のオイスターロック、安さにこだわるならダブルロック、希少価値を求めるならシングルロックを選ぶ、といったところでしょうか。
価格に差が出る仕様の違い② ルミノバ・トリチウム
ロレックスに使われている夜光は年代ごとに異なり、大きく分けると「ルミノバ」「トリチウム」そして現行の「クロマライト」に分類されます。
ただし、価値の話をする時は、「ルミノバ」「トリチウム」がメインとなってきます。
実用性が高いのはルミノバで、価値・評価ともにトリチウムより上です。
ただ、トリチウムは経年変色するという特徴があり、綺麗に焼けたトリチウムはルミノバを凌駕する高い評価を得ています。
また、トリチウム夜光・シングルロックという2つの特徴をもつ個体は近年価格が急高騰しており、こちらも注目を浴びています。
↑ルミノバが使われたインデックス
トリチウムからルミノバに切り替わった時期は1999年頃であり、以降に発売された個体に関してはルミノバが夜光塗料として使われています。
ルミノバは主原料がセラミックスのため経年劣化がほぼなく、自発光塗料と異なり半永久的に使用できるという特徴を持つため、実用性を求めるユーザーにとってはルミノバを選ばない手はありません。
従来の発光塗料より10倍明るく、従来の蛍光塗料より発光時間が10倍長いです。
2000年には時計産業によるシェア率100%を占め、時計の夜光塗料=ルミノバという価値観は今尚定着しています。
↑トリチウムが使われたインデックス
夜光としての実用性はルミノバの圧勝ですが、トリチウムには経年経過による独特な味わいがあります。トリチウム夜光は綺麗に焼けると写真のようなヴィンテージ感溢れる表情を見せ、アンティークファンから絶大な支持を集めています。
もし、アンティーク時計に興味があれば、是非検討してみてください。
ちなみにクロマライトはロレックスが独自開発・特許を取得した夜光塗料で、2007年頃からオイスターパーペチュアルを中心に用いられ始めました。
ルミノバのさらに倍の約8時間という発光時間を有し、またルミノバが緑色に光ることに対しクロマライトはブルーです。
前述の通り、クロマライトは稀少価値という観点ではあまり取沙汰されません。最初に採用された個体がオイスターパーペチュアル等、大きく価格高騰しているモデルでなかったことも大きいでしょう。
しかしながらロレックスの高度な時計製造技術が詰まった夜光塗料であることは間違いなく、実用性は随一となっております。
価格に差が出る仕様の違い③ ラグの横穴なし・横穴あり
以前のロレックスにはケースとブレスレットを繋ぐバネ棒を通す穴がラグに存在していましたが、2000年を過ぎた頃からこの穴が見えないような仕様に変更されています。
左:旧仕様 ラグ穴あり 右:新仕様 ロレックス ラグ穴なし
こちらは、1989年~2010年まで製造された、サブマリーナ 16610です。
左が1990年代の個体、右が2002年頃の個体です。明らかに横穴の仕様変更が行われていますね。
ちなみに、稀少価値は穴の無い個体の方が高いです。
ただし、5桁リファレンスのモデルはよっぽどのレア仕様でない限り、基本的にはコンディションによって価格が決まります。同程度のコンディションや付属品を持った個体であれば、穴の有無によって相場が変わってくるでしょう。
価格に差が出る仕様の違い④ ルーレット刻印の有無
ロレックスにはケース内側一周に”ROLEX”と刻まれたルーレット刻印がある個体とない個体が存在します。
2007年頃から登場し、現在ではどのスポーツロレックスにおいても採用されている定番の仕様となりました。
2007年~ 刻印あり
2007年以前 刻印なし
刻印があるものと無いものでは、「刻印あり」の方が価値があります。
ただ、シンプルさが際立つ刻印なしの個体も人気があり、かつ安価で購入することができるので、意外とオススメです。
価格に差が出る仕様の違い⑤ 保証書の違い
ロレックスの保証書は年代によって大きく3つに分類されます。
現行は「緑と白のツートンのカード」。1世代前は「濃いグリーンのカード」。それ以前は「紙」です。
旧デザインのカード保証書は2007年頃に誕生し、2013年頃まで発行されていました。
対してホワイトとグリーンのツートンとなった現行のカード保証書は情報がシンプル化され、シリアルナンバーが確認できるQRコードが記載されています。
価値に関しては現行デザインのカードタイプが最も高く、そこから旧カード保証書、紙の保証書と続いていきます。
少しでも安くロレックスを買いたい方であれば、現行デザイン以外の保証書が付属している時計を選ぶと良いでしょう。
なお、2020年に入り、さらに新型の保証書が出回るようになりました。
緑一色のカードタイプで、フチはゴールドに彩られています。
さらに従来までカードに記入してあった購入者や購入店舗がなくなり、リファレンス・シリアル・購入日の記載のみとなりました。
国内並行市場には2020年6月頃から出回り始め、また、国内ブティックでは7月以降の購入個体に対し即時発行するようになったとのこと。
そのためまだ流通しきっておらず、物珍しさから稀少価値の高い新保証書となっております。
価格に差が出る仕様の違い⑥ クラウンの有無
2017年に発表された最新シードゥエラー 126600。初代シードゥエラーの一部個体に見られた赤い「SEA-DWELLER」のロゴを採用したことから、赤シードの愛称でも親しまれていますね。
まだ発表から間もないですが、ロレックスが全体で行った仕様変更によって、126600は「同じロレックスなのに価格が違う」現象が発生しています。
それは、6時位置の「SWISS MADE」表記。
2018年頃から、この表記のSWISSとMADEの間には王冠マークがあしらわれるようになったのです。
左:クラウン無し 右:クラウン有り
つまり、2017年に発表されたシードゥエラー 126600には、初期型のノークラウンと現行のクラウン有が混在しています。
今後126600の製造期間がどれくらいになるかはわかりませんが、現状明らかにノークラウン個体の稀少性が高くなります。そのためこのノークラウンを「マークIダイアル」と呼び、海外マーケットを中心に相場がジワジワと上がっているのです。
現在、ノークラウン個体はクラウン有と比べて、10万円~20万円ほど価格に差が開いております。
年数を経るごとにどんどんノークラウンの稀少価値は高まっているため、気になる方は早めに買っておきましょう!
まとめ
「同じロレックスなのに、価格が違う!?」その理由となる製造年代や仕様について解説いたしました。
最新の仕様であればあるほど相場は上がる傾向にあります。
もっとも「仕様が古いこと=劣っていること」ではなく「仕様が古い=現行にはない個性」と考えれば、古いモデルを購入しても愛着が持てるでしょう。
ただし、アンティークロレックス(1980年代以前に製造された個体)まで古くなると価格が一気に高くなるので注意が必要です。
当記事の監修者
池田裕之(いけだ ひろゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン 課長
39歳 熊本県出身
19歳で上京し、22歳で某ブランド販売店に勤務。 同社の時計フロア勤務期に、高級ブランド腕時計の魅力とその奥深さに感銘を受ける。しばらくは腕時計販売で実績を積み、29歳で腕時計専門店へ転職を決意。銀座ラシンに入社後は時計専門店のスタッフとして販売・買取・仕入れを経験。そして2018年8月、ロレックス専門店オープン時に店長へ就任。時計業界歴17年