2017年、ルイヴィトンがスマートウォッチ事業に参入しました。
ルイヴィトンと言えば、世界ナンバーワンの知名度とステータスを誇るラグジュアリーブランド。バッグや財布など本当に上質かつ美しい製品をラインナップに持ち、世界中のセレブリティに愛されてきました。ベッカム夫妻やジェイソン・ステイサムさん、EXILEのATSUSHIさんなどパッと思いつくだけでも大物のユーザーが目立ちますね。
2000年代からは腕時計製造もスタートしており、巨大資本を武器にやはり上物ばかりを世に送り出し続けています。
そんなルイヴィトンが手掛けるスマートウォッチ。
ガジェットとしてのルイヴィトンってどうなの?
アップルウォッチとかIT企業の製品の方が機能性ありそう。
価格がお高いんでしょう?
このような疑問が散見します。いったいどのように評価されているのでしょうか。
そこでこの記事では、ルイヴィトンのスマートウォッチ「タンブール ホライゾン」とはどのような時計か、その魅力や機能、評価、価格などをご紹介いたします。
出典:https://jp.louisvuitton.com/jpn-jp/stories/tambour-horizon#the-campaign
目次
ルイヴィトンのスマートウォッチ「タンブール ホライゾン」とは?
ルイヴィトンのスマートウォッチは「タンブール ホライゾン」としてリリースされました。2017年のことです。
スマートウォッチと言うと、AppleやSONYなどが思いつくかもしれませんね。
事実、こういったウェアラブルデバイスは、腕時計と言うよりガジェットの側面が強いこと。また、近年ではBluetoothを搭載してスマートフォンとの連動が前提となっていることから、ITや電子機器に特化した企業を中心に発展していくこととなります。
しかしながら2015年にアップルウォッチがリリースされるとそのシェアが爆発的に拡大。それを契機に、ファッションブランドが続々と事業参入を果たしました。エンポリオ・アルマーニやマークジェイコブスなどがその一例ですね。
そして時計メーカーもまたご多分に漏れず。タグホイヤーやウブロ、ブライトリングなどが独自のスマートウォッチを製品化し、時計ファンのみならずデジタルデバイスに慣れ親しんだ世代を購入層に加え、より高い人気を誇るようになりました。
出典:https://www.facebook.com/LouisVuitton/?ref=page_internal
時計メーカーのスマートウォッチは、やはりIT企業やファッションブランドのそれとは異なります。特に高級時計ブランドともなればなおさらです。
と言うのも、機能面ではIntelやGoogleなどと協業することも少なくないのですが、こと外装に関しては非常に高度な時計製造技術が活かされており、他業種とは一線を画した出来栄えを誇るためです。それぞれのメーカーが既存のシリーズの中からスマートウォッチを輩出したことも、「完成された時計」として打ち出せた大きな要因でしょう。既にシリーズとして出来上がっているため、余計な手を加えずにトップクラスの品質・デザインを備えることができたのです。
ルイヴィトンもまた、既存のフラグシップ「タンブール」からスマートウォッチをリリースしました。
つまり、外装はタンブールをそのまま踏襲しています。
出典:https://jp.louisvuitton.com/jpn-jp/stories/tambour-horizon#the-campaign
そのため一目でルイヴィトン製品だとわかるアイデンティティを手に入れたこと。加えてルイヴィトンは皮革事業がメインとは言え、ゼニスやウブロと言った時計メーカーを多く抱えるLVMHグループが背景にあるため、時計メーカーと遜色ない高級感やクラス感を獲得したことは容易に想像できますね。
なお、ルイヴィトンはブランドコンセプトの一つに「旅」があります。旅行用トランクメーカーからその歴史が始まったため、スマートウォッチにもまたその根幹には旅の存在があります。
次項でその魅力を詳しく解説いたします。
ルイヴィトンのスマートウォッチの魅力
ルイヴィトンのスマートウォッチの魅力は、大きく分けると三つ。
そのいずれも、ルイヴィトンならではの強みです。
魅力①ユニークかつ利便性高い機能
スマートウォッチは、従来のアナログ腕時計では難しい機能を持たせられ、それぞれのメーカーの「味」を出せることが魅力の一つです。
そして、ルイヴィトンの「味」は旅!
「タンブール ホライゾン」は、旅に特化した様々な機能を搭載した、ユニークさで人々を圧倒しました。
まず、「My Flight(マイ・フライト)」というフライト管理システムが搭載されていることがそのユニークさに挙げられます。
これはご自身が搭乗するフライト(飛行機)のあらゆる面をサポートするための機能です。例えばフライト時刻および現在時点からの時間を報せてくれることはもちろん、空港内のターミナルや搭乗ゲート、残り時間をも文字盤上で確認できるという優れもの。ちなみに随時情報更新されているので、遅延情報やゲート変更などにも対応します。
出典:https://jp.louisvuitton.com/jpn-jp/stories/tambour-horizon#the-campaign
また、「City guide(シティ・ガイド)」も旅に便利な機能となります。
これは同名のアプリをルイヴィトンが運営しているのですが、それをそのままタンブール ホライゾンに落とし込んだもの。ロンドンやニューヨークなど、29都市の観光名所のガイドブック機能を果たします。
GPS機能が搭載されているので、お目当てのショップやカフェまでの距離を教えてくれたり、Androidユーザーであればスマートフォンの電話と連動し、通話アプリを立ち上げてくれたりします。
さらに2019年からは、ご自身の旅の一連の情報をまとめて管理できる「My travel(マイ・トラベル)」機能も追加。予約したフライトやホテルなどの情報を手元で一度に確認することができるので、次の予定はどうだったっけ?ホテルの名前なんだっけ?などと言うことがなくなりますね。
出典:https://jp.louisvuitton.com/jpn-jp/stories/tambour-horizon#the-campaign
なお、当然ながら旅のみならず、スマートウォッチとしても十分な機能性を誇ります。
電話やメールの通知、アラーム、歩数計などのヘルス機能、位置情報、お天気情報などなど・・・タグホイヤーやウブロなどと同様に「Wear OS by Google」を搭載しているので、Google Play Storeからアプリをダウンロードすれば、機能を拡張してより利便性を高めることも可能です。
ちなみに2019年にはルイヴィトンのスマートウォッチはバッテリーの持ちが延長されたことも大きなポイント。高機能な時計はどうしてもすぐに電池が切れがち。しかしながらタンブール ホライゾンなら、一度の充電で十分なバッテリーを確保できることはもちろん、バッテリー残量が15パーセントを切ると、「タイムオンリー機能」と呼ばれる時刻表示のみを行うシステムが立ち上がり、そこからなんと5日間も使用可能、と言うのです。
ルイヴィトンはネームバリューばかりが取沙汰されがちですが、実は実用性をどこまでも大切にしているブランドです。
その特性はスマートウォッチにも表れており、多くの人々の様々なライフスタイルをサポートできる、至高の機能性を誇ると言えるでしょう。
魅力②ルイヴィトンならではの外装デザイン
前述の通り、ルイヴィトンのスマートウォッチはタンブールの外装を踏襲しています。
タンブールはフランス語で「太鼓」の意味を持ち、16世紀にドイツで初めて作られた寸胴ケースの旅行用小型携帯時計「ドラムウォッチ」から着想を得ています。
そのためパッと見は太鼓のような外観なのですが、外周にLouis Vuittonのロゴが一周していること。加えてスマートウォッチでは「タンブール ムーン」と呼ばれる、ケースがくびれて立体感を醸し出す仕様になっていることから、「奇抜なのにスタイリッシュ」「斬新なのに上品」といった評価を獲得してきました(現在はボリュームのある無印タンブールでもラインナップ)。
出典:https://www.facebook.com/LouisVuitton/?ref=page_internal
そんな銘ウォッチ・タンブールのデザインである、ということも当スマートウォッチを購入する動機となることかと思いますが、さらにすごい魅力。それは、液晶ディスプレイ(文字盤)のデザインが選択可能というところです。
文字盤を変えられる、というのは今ではスマートウォッチにとってはそこまで珍しくない機能なのですが、そこはルイヴィトン。アイコンであるモノグラムやダミエ(2019年版~)、あるいは高名なデザイナーが手掛けたグラフィック、GMTやクロノグラフなどと言ったアナログ時計らしい機構まで、非常に多彩かつ上質な文字盤デザインを豊富に用意しているのです。
カスタマイズは簡単で、ルイヴィトンの公式アプリ「Louis Vuitton PASS」をスマートフォンにダウンロードし、同期するだけ。
ちなみに、このデザインは年々バリエーションを豊富にしていっています。
出典:https://jp.louisvuitton.com/jpn-jp/stories/tambour-horizon#the-campaign
さらに、ベルト交換も特別な工具なしにワンタッチで行えるため、約30種類におよぶ革ベルトやラバーベルトから、気分に合わせてその日の一本を選ぶことができます。
これまた現在では結構多くのメーカーが備えているシステムなのですが、やはりルイヴィトンは一本抜きんでています。と言うのも、もともとルイヴィトンは皮革メーカー。そのため見た目も装着感も優れた革製ストラップには定評があったのですが、ただ単調に革ベルトを製造するだけでなく、そこにモノグラムやダミエなどのロゴをあしらい、ルイヴィトンだけの唯一無二のストラップを消費者へ提供しています。
ルイヴィトン製品を買うなら、やはりどうしてもこのロゴを身に着けたい、という方は少なくないように思います。もちろん無地タイプもよく売れますが、同社ならではのロゴでステータスを感じられる、というメリットがありますね。ラバーベルトでも同様のモノグラム、ダミエ製品をラインナップしています。
出典:https://jp.louisvuitton.com/jpn-jp/stories/tambour-horizon#the-campaign
まだスマートウォッチの存在は知られていなくても、「ルイヴィトン」を着けてる・・・それだけで「良いものを知っている」と認知してもらえることでしょう。
なお、ルイヴィトンのスマートウォッチは、メンズレディースの区分がありません。ケースサイズは42mm前後とやや大きめですが、兼用でお使いいただけるボーイズです。
そのためパートナーとシェアしたり、お揃いで着けたりすることが可能です。
魅力③高級スマートウォッチの中ではお手頃価格
ルイヴィトンはラグジュアリーブランドですので、その製品はどうしても高価格帯です。
そのうえメーカー側では値下げやアウトレットセールを一切行わないことでルイヴィトン=高級品というイメージを保っているため、安く手に入れるには中古か腕時計であれば並行輸入品、と言ったように、選択肢が限られてきます。
出典:https://jp.louisvuitton.com/jpn-jp/stories/tambour-horizon#the-campaign
しかしながらルイヴィトンのスマートウォッチを「高級時計」というくくりで見ると、ミドルクラスに位置します。
事実、Applewatchでも最新スペックで、高級仕様のものは10万円台~。タグホイヤーのコネクテッドウォッチが定価20万円台後半~。ウブロに至っては60万円台です。かなり良い値段ですよね。
ルイヴィトンのスマートウォッチの定価は30万円台~50万円台と、決して非常識に高額なわけではありません。
それでいてルイヴィトンのステータス、ワンランク上の品質・外装デザインを楽しめることを考えれば、コストパフォーマンスに大変優れていると言っていいでしょう。
まとめ
フランス発・世界屈指のラグジュアリーブランド「ルイヴィトン」が手掛ける、スマートウォッチ「タンブール ホライゾン」についてご紹介いたしました。
同社がもともと手掛けていたタンブールも名作ですが、それを見事にIoT化し、さらに旅をフィーチャーしたスマートウォッチは、グローバル社会において、ますますの人気を博していくことでしょう。
「スマートウォッチが欲しい」と言う方はもちろん、ルイヴィトンファンや、「少し変わった腕時計が欲しい」と言った方にもお勧めの一大コレクションです。
当記事の監修者
南 幸太朗(みなみ こうたろう)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン プロスタッフ
学生時代に腕時計の魅力に惹かれ、大学を卒業後にGINZA RASINへ入社。店舗での販売、仕入れの経験を経て2016年3月より銀座本店 店長へ就任。その後、銀座ナイン店 店長を兼務。現在は営業企画部 MD課 プロスタッフとして、バイヤー、プライシングを務める。得意なブランドはパテックフィリップやオーデマピゲ。時計業界歴13年。