出典:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/special/60th/anniversary/
「グランドセイコー60周年記念モデルって何がすごいの?」
「グランドセイコー60周年記念モデルの魅力や特長について詳しく知りたい」
グランドセイコーは1960年、セイコーの最上位ブランドとして誕生しました。
時計産業においては、大国スイスやドイツに「追いつけ・追い越せ」だった時代、国産初の高級時計の生産が一大理念となりました。
今ではグランドセイコーは日本屈指の人気ブランドとなり、世界的にも高い評価を確立しています。
2017年からはセイコーから完全に独立し、海外出店を意欲的に展開。
アメリカや欧州に、続々と「グランドセイコーブティック」をオープンさせています。
飛ぶ鳥落とす勢いのグランドセイコーは2020年に60周年記念モデルをリリース。
いずれもこれまでの・そしてこれからのグランドセイコーを体現した名作となっております。
そんなグランドセイコー60周年記念モデルの魅力や特長について知りたいという人は多いのではないでしょうか。
グランドセイコーは「60は時計にとって基本的な数字であり、人生にとって特別な数字」であると語っているだけあり、同社にとって特別な時計と捉えられます。
この記事ではグランドセイコー60周年記念モデルの魅力や特長について、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
スペックや価格についても紹介しますので、グランドセイコーの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
目次
グランドセイコー 60周年記念モデル①9SA5搭載 ヘリテージコレクション SLGH002
出典:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/collections/slgh002
外装
型番: | SLGH002 |
ケースサイズ: | 直径40.0mm×厚さ11.7mm |
素材: | イエローゴールド |
文字盤: | シルバー |
ムーブメント
ムーブメント: | 9SA5 |
駆動方式: | 自動巻き |
パワーリザーブ: | 約80時間 |
機能
防水: | 日常生活用強化防水(10気圧) |
定価: | 4,950,000円(税込) |
まず最初にご紹介するのはヘリテージコレクション SLGH002。
グランドセイコー60周年モデルを代表する一本で、レトロな印象を与えつつも華やかな存在感を放つモデルです。
グランドセイコーらしいシンプルを基調とするデザイン性に、きめ細やかに作り込まれたディティール。
どこをとっても完成度の高い一品であり、時計ファン垂涎のアニバーサリーモデルに仕上がっています。
出典:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/special/60th/slgh002/
SLGH002のケースは18Kイエローゴールド。直径40mm × 厚さ11.7mmと日本人が好む絶妙なサイズ感となっています。
装着にこだわり抜かれていることは勿論のこと、視認性や全体的なバランスに関しても申し分ない仕上がりです。
また、一見普段通りのグランドセイコーにも見えますが、ベゼルが垂直にブラッシュ加工されていたり、ケース表面のエッジ部分が鋭いデザインとなっていたり、随所に復刻モデルらしさが垣間見れます。
出典:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/about/movement/mechanical/9sa5
SLGH002のウリはデザイン面だけではありません。Cal.9SA5が搭載されていることも大きな魅力です。
9Sキャリバーはグランドセイコーが誇るハイビートムーブメントですが、その最新型である9SA5のスペックは実に優れています。
まず、なんといってもパワーリザーブ。
これまでのメカニカルムーブメントは約55時間のパワーリザーブでしたが、9SA5は「デュアルインパルス脱進機」と「ツインバレル」により、ついにパワーリザーブ約80時間を実現しています。
出典:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/special/whitebirch/slgh005/
デュアルインパルス脱進機では独自のエネルギー伝達構造を採用し、高い効率を実現。スムーズな伝達効率を獲得し、同時にパーツ摩耗の問題も解消しています。
また、香箱を二つ持つ仕様「ツインバレル」を採用することにより、十分なゼンマイを確保することにも成功しました。
機械式時計は性能を向上させればさせるほどムーブメントに厚みが出る傾向にありますが、9SA5においては薄型化も図られています。
80時間パワーリザーブを備えながらも、ケース厚が11.7mmに収まっているのは、9SA5の薄型設計が生かされているのは言うまでもありません。
出典:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/special/60th/slgh002/
SLGH002はデザインよし、機能良し、それでいて特別感も備える贅沢なモデルです。
100m防水の防水性能も備えており、実用時計の最高峰と名高いグランドセイコーらしいハイスペックさを兼ね備えていることも付け加えておきます。
ただ、その分定価は4,950,000円(税込)と非常に高価です。数量限定100本での販売となっているため、簡単に手に入る時計ではありません。
グランドセイコー 60周年記念モデル②9SA5搭載 スポーツコレクション SLGH003
出典:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/collections/slgh003
外装
型番: | SLGH003 |
ケースサイズ: | 直径40mm × 厚さ 11.7mm |
素材: | ステンレススティール |
文字盤: | ブルー |
ムーブメント
ムーブメント: | 9SA5 |
駆動方式: | 自動巻き |
パワーリザーブ: | 約80時間 |
機能
防水: | 日常生活用強化防水(10気圧) |
定価: | 1,100,000 円(税込) |
SLGH003はスポーティーな顔立ちが印象的なスタリッシュな一本。初代グランドセイコーの意匠を組み込んでいるため、爽やかでありつつも、レトロな雰囲気も感じられるモデルです。
12時位置には金字でGSロゴ、6時位置には36,000振動のハイビートを表す印字。赤い秒針がブルーダイヤルとの豊かなコントラストを生み出しています。
直径40.0mmの程よいサイズ感も魅力的で、スーツの裾にもしっくり収まります。
出典:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/special/60th/anniversary/
搭載するムーブメントは前項でも解説した「Cal.9SA5」。パワーリザーブ約80時間を誇る実用性の高い次世代ムーブメントです。
シースルーバックを採用しているため、9SA5の魅力をふんだんに味わうことができます。
価格は1,100,000 円(税込)。数量限定1,000本で発売されています。
グランドセイコー 60周年記念モデル③エレガンスコレクション 初代復刻モデル SBGW257 / SBGW258 / SBGW259
出典:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/collections/sbgw259
外装
型番: | SBGW257 / SBGW257 / SBGW259 |
ケースサイズ: | 横 38mm × 厚さ 10.9mm |
素材: | プラチナ/イエローゴールド/ブリリアントチタン |
文字盤: | シルバー/アイボリー/ブルー |
ムーブメント
ムーブメント: | 9S64 |
駆動方式: | 手巻き |
パワーリザーブ: | 約72時間 |
機能
防水: | 日常生活用防水(3気圧) |
定価: | 4,400,000円 / 3,080,000円 / 935,000 円 いずれも税込 |
エレガンスコレクションは1960年に誕生した初代グランドセイコーを彷彿とさせるクラシカルな魅力を秘めたモデルです。日付表示すらも取り除いたシンプルなデザインとなっており、その名の通りエレガントな雰囲気を放ちます。
オリジナルの初代モデルと異なる点が幾つかあり、特に違いが目立つのはサイズです。
当モデルにおいてはオリジナルの 35.0mm から38.0mm にケースサイズがサイズアップしており、存在感のあるディティールとなっています。
また、風防もデュアルカーブサファイアガラスを採用することにより、視認性や耐久性を格段に向上させています。
初代モデルならではの良さを継承しつつも、現代的なスペックをまとっているといえるでしょう。
出典:https://www.facebook.com/grandseikojapan/photos/
ケースバックはオリジナルとは異なり、サファイアガラスによるシースルーバックを採用。
メカニカル手巻きムーブメント9S64の精密な動きをご覧いただけます。
ラインナップはプラチナ、イエローゴールド、ブリリアントハードチタンの3タイプ。
文字盤の色もそれぞれシルバー、アイボリー、ブルーと異なる個性を持ち合わせます。
定価はプラチナ 4,400,000円、イエローゴールド 3,080,000 円、ブリリアントハードチタン935,000 円。いずれも税込です。
グランドセイコー 60周年記念モデル④スポーツコレクション スプリングドライブ5DAYS SLGA001 / SLGA003
出典:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/collections/slga003
外装
型番: | SLGA001 / SLGA003 |
ケースサイズ: | 直径46.9mm × 厚さ16mm |
素材: | ブライトチタン |
文字盤: | ブルー / グリーン |
ムーブメント
ムーブメント: | 9RA5 |
駆動方式: | スプリングドライブ |
パワーリザーブ: | 約120時間 |
機能
防水: | 600m飽和潜水用防水 |
定価: | 1,265,000 円(税込) |
SLGA001、SLGA003は2004年に誕生した9Rスプリングドライブの正統進化機「スプリングドライブ 5 Days 9RA5」を搭載したハイスペックモデルです。
文字盤にはブランドを象徴する印象的な「グランドセイコーブルー」もしくは「深緑の美しいダイヤル」を採用し、特別感が演出されています。
直径46.9mm × 厚さ16mm というダイバーシリーズらしい無骨な設計は60周年記念モデルにおいても健在。
奇抜さを感じさせないオーソドックスなデザインも相まって、高い人気を誇ります。
出典:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/special/60th/springdrive5days/
今作の特徴はやはりなんといってもムーブメントでしょう。
9RA5は2つの香箱を採用することにより、最大巻上時約120時間(5日間)持続の大幅な長持続化を達成した次世代のスプリングドライブです。
パワーリザーブだけでなく堅牢性・耐衝撃性も向上しており、巻き上げ効率に関してもブラッシュアップが図られました。
また、もとより優れていた精度もさらにバージョンアップ。
ICと水晶振動子を1つの真空パッケージに封入する「パッケージIC」と呼ばれる新構造を採用し、平均月差は±10秒と圧倒的です。
価格はいずれも1,265,000 円(税込) 。SLGA001は限定700本、SLGA003は限定60本しか存在しないレアモデルとなります。
グランドセイコー 60周年記念モデル⑤ヘリテージコレクション メカニカルハイビート36000 SBGH281
出典:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/special/60th/anniversary/
外装
型番: | SBGH281 |
ケースサイズ: | 直径40mm×厚さ13.3mm |
素材: | ステンレススティール |
文字盤: | ブルー |
ムーブメント
ムーブメント: | 9S85 |
駆動方式: | 自動巻き |
パワーリザーブ: | 約55時間 |
機能
防水: | 10気圧 |
定価: | 704,000 円(税込) |
グランドセイコーは「実用時計の最高峰」「最高の普通」というブランドコンセプトがあります。
そのため製品自体に華美さや奇抜さはなく、質実剛健な印象が漂います。
それはコレクション名にも現れています。
かつてグランドセイコーはムーブメントごとに「メカニカル」「スプリングドライブ」「クォーツ」と分類されていましたが、2018年頃より「エレガンス」「ヘリテージ」「スポーツ」と名前を変えました。
そして現在では、後者の種別+ムーブメントでモデル名が表記されています。
出典:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/special/60th/anniversary/
そんなコレクションの中でも「ヘリテージ」と題されるものは、グランドセイコーのフラグシップ。
1967年に登場し、後の「セイコースタイル」の原点ともなった、「44GS」からDNAを受け継ぐ一大シリーズとなります。
1960年代当時、高級時計はユーザビリティよりも「クラス感」「ステータス」が優先されており、実用的な製品はそう多くはありませんでした。
しかしながらグランドセイコーは「国産初の高級時計」を推進するとともに、精度、耐久性、視認性といった、これまで高級時計で注目されてこなかった「実用性」にフォーカスすることで、世界のトップを目指していくこととなりました。
ある海外メディアなどは、当時リリースされた44GSを指して「時計の王様」と称しています。
そんなヘリテージコレクションからリリースされた60周年記念モデルは、同社のコーポレートカラーであるグランドセイコーブルーが美しい逸品。
セイコーお得意の「ザラツ研磨」によって歪みの無い美しいライン、平面を描いたケースは、光の加減によって優しくも美しい表情を演出します。
なお、当然ながらグランドセイコーらしく、ムーブメントも特別感の溢れる逸品。
メカニカルでお馴染みの36,000/時ハイビート9S系ムーブメントを搭載しておりますが、「85」とついた個体は2008年より展開されている名機で、メイドインジャパン初のハイビートを実現した名高い逸品です。
こちらは世界限定1,500本生産。メーカー希望小売価格は税込み704,000円です。
グランドセイコー 60周年記念モデル⑥ヘリテージコレクション クォーツモデル SBGP007
出典:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/special/60th/anniversary/
外装
型番: | SBGP007 |
ケースサイズ: | 直径40mm×厚さ10.8mm |
素材: | ステンレススティール |
文字盤: | ブルー |
ムーブメント
ムーブメント: | 9F85 |
駆動方式: | クォーツ |
パワーリザーブ: | 約55時間 |
機能
防水: | 10気圧 |
定価: | 440,000 円(税込) |
同じくヘリテージコレクションから、クォーツモデルもリリースされています。
クォーツもまた、グランドセイコーにとっては特別な一本。と言うよりも、世界的にはセイコー=クォーツの印象が強いかもしれません。
何故なら、クォーツ腕時計の市販化に成功したのはセイコーです。
1969年に「アストロン」という呼び名で発売された同時計は一気に世界に普及していき、機械式時計は存続の危機に立たされました。
そんな背景のあるクォーツ。
発売から60年以上たつ今、グランドセイコーでは9Fキャリバーとしてラインナップしています。
9Fキャリバーは1993年にグランドセイコーが開発成功した、「クォーツを超えたクォーツ」です。
出典:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/special/60th/anniversary/
従来市販されていたクォーツに比べると圧倒的な精度を誇り、「年差±10秒」(通常のクォーツだと月差±15秒ほど)の誤差に留めていることが特徴です。
さらに言うときわめて力強いトルクを持つことで機械式時計のようにダイナミックな運針を実現しており、「安っぽい」といったイメージが付きがちなクォーツにクラス感や高級感を与えました。
出典:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/special/60th/anniversary/
また、デイトのクイックチェンジ機能を持っていること、耐久性が高いことなど、ユーザビリティをより意識された仕様となっていることも、特別感に一役買っているでしょう。
なお、この度の60周年記念モデルに搭載されている9F85は、特別に作られたムーブメントであり、年差±5秒の特別精度へと昇華させていることがポイント。
グランドセイコーの本気が垣間見える一幕ですね。
こちらは世界限定2,500本生産モデル。メーカー希望小売り価格は税込み440,000円となっております。
グランドセイコー 60周年記念モデル⑦スポーツコレクション クォーツモデル SBGP015
出典:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/special/60th/anniversary/
外装
型番: | SBGP015 |
ケースサイズ: | 直径40mm×厚さ12.4mm |
素材: | ステンレススティール |
文字盤: | ブルー |
ムーブメント
ムーブメント: | 9F85 |
駆動方式: | クォーツ |
パワーリザーブ: | 約55時間 |
機能
防水: | 20気圧 |
定価: | 440,000円(税込) |
「スポーツコレクション」は、スポーツモデルをまとめた一大シリーズとなります。
文字盤のみならずベゼルにもグランドセイコーブルーをあしらっており、かつセラミックで再現されたことで傷つきづらく、また特別なツヤ感を持つこととなりました。
ちなみにベゼル素材にセラミックを用いることは、時計業界では一つの主流。
ロレックスやオメガ、タグホイヤーにウブロなど、多くの人気ブランドが採用しています。
それだけセラミックという素材が実用時計とも高級時計とも相性が良い、ということを示していますね。
出典:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/special/60th/anniversary/
なお、ケースはヘリテージコレクションに比べてエッジが効いており、スポーティーテイストが強まります。
とは言えザラツ研磨で丁寧に仕上げが行われているので、どこか上品さをも感じさせますね。
こちらにも前項でご紹介したSBGP007と同様、クォーツ9F85が搭載されております。
世界限定2,000本生産。メーカー希望小売価格は440,000円です。
まとめ
勢いの止まらないグランドセイコーが打ち出した60周年特別モデル。どれも最高品質のデザイン性と機能性を兼ね備えます。
パワーリザーブが延長されたモデルが多く、実用性が向上したことも嬉しいポイントです。
冒頭でもご紹介したように、「60」は時計業界にとって、そして私たち日本人にとっても特別な数字。そのため、グランドセイコーの本気が感じられる作品ばかりです。
日本が世界に誇るグランドセイコーは今後どのような魅力的なモデルが打ち出されるのでしょうか。
時計ファンとして、今から楽しみですね。
当記事の監修者
田中拓郎(たなか たくろう)
高級時計専門店GINZA RASIN 取締役 兼 経営企画管理本部長
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
当サイトの管理者。GINZA RASINのWEB、システム系全般を担当。スイスジュネーブで行われる腕時計見本市の取材なども担当している。好きなブランドはブレゲ、ランゲ&ゾーネ。時計業界歴12年