「セイコー プロスペックス SBDX019・SBDX017・SBDX001って何がすごいの?」
「SBDX019・SBDX017・SBDX001の魅力や特長について知りたい」
日本発ダイバーズウォッチと言えば、セイコー プロスペックスのマリーンマスターです。
ダイバーズウォッチに必要な機能はもちろんのこと、独創性やセイコーらしい実直さを味わえるとあって、国内外できわめて高い評価を誇ってきました。
そんなプロスペックスですから、時計専門店のスタッフや時計バイヤーで、所有している人々も目立ちます。
その中でもSBDX019・SBDX017・SBDX001の三本は、特に欲しがる方が少なくありません。
そんな3つのモデルの魅力や特長について知りたいという人は多いのではないでしょうか。
この記事ではSBDX019・SBDX017・SBDX001の魅力や特長について、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
プロが欲しがる理由についても紹介しますので、ダイバーズウォッチの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
出典:https://www.seikowatches.com/jp-ja/news/20170323_01
目次
セイコー プロスペックス マリーンマスターとは?
セイコーが誇るスポーツラインがプロスペックスです。「陸」「海」「空」「走」4つのプラットフォームで、それぞれの機能に特化した本格時計をラインナップしていますが、「海」に位置するのがマリーンマスターとダイバースキューバです。
とりわけマリーンマスターの原点は1965年。
本邦初のダイバーズウォッチでありながら、誕生の時点で既に150m防水×自動巻きという本格機能を有しておりました。
出典:https://www.seikowatches.com/jp-ja/news/20170323_01
また、1968年には「現在国内外問わず市販されているダイバーズウォッチは、実際のダイビングに耐えられる造りではない(飽和潜水に耐えられない、ということ)」という指摘をプロダイバーから受け、世界最高峰のプロフェッショナルダイバーズウォッチ「6159-022」を1975年にローンチしました。そのスペックは600m防水。
ちなみにそれ以前にロレックスから610mを誇るシードゥエラーが生み出されていますが、セイコーは1978年に世界初の600m防水クォーツ式ダイバーズをリリースするなど、決して技術的に負けてはいません。
そんな歴史とロマン溢れるマリーンマスターは、その外装面でも他を圧倒します。
ツナ缶などと呼ばれるダイナミックなケースフォルムはご存知の方も多いでしょうが、実はケースの仕上げ・装飾には「セイコースタイル」と呼ばれる独自の丁寧な仕上げが施されており、ただスポーティーなだけでなく、高級機として遜色のないクラス感を有しています。
また、一見すると奇抜な印象ながらも初代から大きくデザインを変えておらず、普遍的な魅力に溢れます。
こういった点が、何本も高級時計を所有しているような年季の入った時計好事家たちを魅了してやまないのでしょう。
前述の通りマリーンマスターにはいくつかの派生がありますが、今回ご紹介する三傑はハイエンドラインとなります。
セイコーの中では高価格帯ですが、生産終了していることも相まってかなかなか市場に流通しておらず、時計のプロたちの間でも「誰が手にするか」話題になるほどなのです。
時計のプロが本気で欲しいセイコー プロスペックス①SBDX019
セイコー プロスペックス SBDX019
ケースサイズ:直径39.9mm×厚さ14.1mm
素材:ステンレススティール
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:メカニカルムーブメントCal.8L35
パワーリザーブ:約50時間
防水性:200m
それでは時計のプロが欲しがるセイコー プロスペックス マリーンマスターをご紹介いたします。
まず一本目は、セイコーが本邦初ダイバーズウォッチとしてリリースした1965年の処女作をリバイバルした逸品です!
2017年に世界限定2,000本で製造されましたが、ファーストデリバリーの段階で爆発的な人気を誇るという、非常に注目度の高かったモデルです。
ちなみに近年、時計業界は復刻ブームの真っ只中にあり、多くのブランドから様々なリバイバル製品が輩出されていますが、これほどの注目度を集めるのはとても稀有。日本国内のみならず、世界的なセイコーの人気を感じさせる一幕ですね。
出典:https://www.seikowatches.com/jp-ja/news/20170323_01
もちろん話題性だけでは終わりません!
SBDX019が、時計のプロも欲しがる理由は、何といってもヴィンテージ感溢れる外装にあります!
あえてツヤ消しした武骨なケース、シンプルながら輝くチャコールグレー文字盤、古き良きボックス型ガラス、操作性の良い大きめリューズ・・・
ちなみにこのデザイン、リバイバルにあったって、小杉修弘氏が監修を行ったとのこと。
小杉氏は時計デザイナーとして数々の実績を積んでおり、数々の銘セイコー,銘グランドセイコーを輩出してきました。例えば1960年に誕生した初代グランドセイコー、1967年に44GS、V.F.A.などがこれに当たります。ちなみに「時計界のアカデミー賞」とも言われる「ジュネーブ・ウォッチ・グランプリ」にて受賞した作品も少なくありません。
早い段階からセイコー,グランドセイコーに携わってきただけあり、1965年当時のオリジナルの意匠はそのままに(とは言え当時の図面や資料はない状態とのことですが・・・)、スペック面では現代風にリファインされていることがミソです。
ダイバーズウォッチの標準規格であるJIS(日本工業規格)に準拠しており、防水性は200m。もちろんねじ込み式リューズや逆回転防止ベゼルなど、ダイバーズウォッチに求められるスペックは全て出そろっております。
ちなみにベルトはシリコン製のラバーベルトが取り付けられているため、海に潜らずとも、水仕事が多い方などにもお勧めできます。
なお、耐磁性能を備えているのも嬉しいところですね。
外装のみならず、内部にまでこだわりぬくのがセイコーのすごいところ。
ムーブメントはダイバーズウォッチ専用のメカニカルムーブメントCal.8L35を搭載しており、平均日差+15秒~-10秒を実現しております。
これだけ特別感が込められた一本ですので、発売当初はセイコーのショップから次々と姿を消しました。
当店でもなかなか入荷してこず、ようやく実機を手にしたのは発売から約一年が経過した頃です。
ちなみにその一本も、すぐに完売してしまいました。
1965年のオリジナルはオークションでレアモデルとして高値で取引されています。そこまでの希少価値はつけてはいないものの、SBDX019も今なお高い相場であることは記しておかなくてはなりません。
現在相場は、そう多く出回っているわけではないので一概には言えませんが、美品であれば50万円前後~で出回っております。
定価が税込378,000円であったことを鑑みると、プレミアがついていることがおわかりいただけるでしょう。
付属品も特別仕様となっているので、もし今所有していて、時計のご売却も検討されている方は大切にしましょう!
時計のプロが本気で欲しいセイコー プロスペックス②SBDX017
セイコー プロスペックス SBDX017
出典:https://www.fratellowatches.com/hands-seiko-mm300-sbdx017-review/
ケースサイズ:直径44.3mm×厚さ14.6mm
素材:ステンレススティール
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:8L35
パワーリザーブ:約50時間
防水性:300m
時計のプロが本気で欲しいセイコー プロスペックス、二本目はSBDX017です!
SBDX017も、セイコーファンにとってはお馴染みですね。
冒頭でもご紹介したように、セイコー プロスペックスは「国産初のダイバーズウォッチ」として1965年に誕生した経緯があります。
その50周年にあたる2015年に登場したのがこちらのSBDX017です。
ただ、もともとはSBDX001と呼ばれるモデルがあり、その後継機といった形です。
出典:https://www.fratellowatches.com/hands-seiko-mm300-sbdx017-review/
SBDX001もファーストモデルを活かし、オリジナルを踏襲したデザインをとっていますが、さらにスペックアップしたのがSBDX017と言って良いでしょう。
どう変わったかと言うと、まずケースにダイヤシールドが施されたところ。
ダイヤシールドとはセイコーが独自に開発した表面加工であり、非常に高い耐傷性を保ちつつも美しさを損なわない技術を指します。
また、夜光のルミブライトがスペックアップされて残光時間が延長されたりと、より使いやすく、よりかっこよくなった印象です。
ちなみに300m防水を有していることから、海外ではMM300(マリーン・マスター300)の相性で親しまれているようです。
とは言え、50周年記念モデルとしてリリースされたプロスペックスはSBDX017だけではありません。
それでいてなおプロが欲しがる理由、それは、稀少性にあると思います。
実はSBDX017の後継機としてSBDX023が2018年に誕生しており、SBDX017は廃盤。
製造期間は実質3年ほどであり、なかなか市場で見かけないレア個体となっているのです。
今回も、本来ならばSBDX017を余すことなくご紹介したかったところですが、実機が出回っていない関係で画像をたくさん用意することができませんでした。
いつかは実機を手にしてみたい。そんな一本がSBDX017と言えます。
なお、こちらもダイバー専用のメカニカルムーブメント8L35が搭載されております。
時計のプロが本気で欲しいセイコー プロスペックス③SBDX001
セイコー プロスペックス SBDX001
ケースサイズ:直径44.3mm×厚さ14.6mm
素材:ステンレススティール
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:8L35
パワーリザーブ:約50時間
防水性:300m
最後にご紹介するのは、SBDX001です!
前述したSBDX017の先代であり、2000年~2015年にかけて長い間セイコー プロスペックス「マリーンマスター」の顔を張った歴史深いモデル。
これまでご紹介してきたSBDX019やSBDX017のように稀少性はありませんが、年々状態の良い個体が減っていることもあり、マニア―そして時計のプロたち―の間ではなかなか目が離せない一本となっております。
外装自体は大きくは変わりません。
と言うかSBDX001こそが、後に続くMM300の原点です。
ただ、2000年当時の時計業界のトレンドを反映しているからか、今のセイコーモデルと比べると非常に肉厚。
重量もずっしりとしており、高級ダイバーズウォッチらしいずっしり感があります。
男らしくも、クラス感に溢れる逸品ですね。
ちなみに15年の製造期間の中でファンを多々増やしており、人によっては「ロレックスのサブマリーナより良い」というほど。
もちろん好みが分かれるところですが、内外ともにセイコーらしいスペックが楽しめること。加えて前述の通りそこまで価格高騰していないことから、若年層から年季の入ったセイコーファンまでを魅了し続けていることは間違いありません。
もし気になる方は、まだ相場を上げ切っておらず、比較的状態の良いモデルが流通している今が狙い目ですよ!
まとめ
時計のプロが本気で欲しい、セイコー プロスペックス三傑~SBDX019,SBDX017,SBDX001~をご紹介いたしました。
文中でもご紹介したように、プロスペックスは国産初のダイバーズウォッチとして誕生した、わが国にとっても意義深い製品と言えます。
そのため国内外で人気が止まず、時計のプロですら本気で欲しい。そんな熱視線を集めて止まないのです。
当記事の監修者
南 幸太朗(みなみ こうたろう)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン プロスタッフ
学生時代に腕時計の魅力に惹かれ、大学を卒業後にGINZA RASINへ入社。店舗での販売、仕入れの経験を経て2016年3月より銀座本店 店長へ就任。その後、銀座ナイン店 店長を兼務。現在は営業企画部 MD課 プロスタッフとして、バイヤー、プライシングを務める。得意なブランドはパテックフィリップやオーデマピゲ。時計業界歴13年。