2月11日、電撃的に発表されたブルガリのバーゼルワールド2020出展見送り。さらに2月24日、シチズンもまた取り止めの報告がなされました・・・!!
2019年末、セイコーやカシオといった日本を代表する人気腕時計メーカーが相次いでバーゼルワールドへの撤退を表明する中、シチズンだけは「2020年も出展」の意向を固めていました。しかしながら、この度コロナウイルスの猛威を理由に、断腸の思いで見送りを決断したとのこと。
シチズンを始め、日本メーカーはバーゼルワールド会場で決して大きなスペースを確保しているわけではありませんでしたが、そのブースは各国の時計ファン・時計メディアで例年賑わっておりました。セイコー・カシオ・シチズンの撤退は、その喧騒がなくなってしまうことを意味します。
さらに、LVMH系の時計ブランド―ブルガリ、ウブロ、ゼニス、タグホイヤー―の中でも、メイン会場で大きな存在感を示していたブルガリもまたいなくなるとあって、どうなるバーゼルワールド2020!?
この記事では、この度のシチズン・ブルガリ等からの発表について詳報をお送りいたします。
目次
シチズン バーゼルワールド2020出展見送り
2020年2月24日付けで、シチズンがバーゼルワールド2020への出展を見送る旨が公表されました。
冒頭でも述べたように、もともと日本三大時計メーカーの中でもシチズンだけは変わらずバーゼルワールドに参加する旨を確約していたのですが、やはり近年猛威を振るっているコロナウイルスの影響を無視できなかったようです。
ただし、シチズンの取締役の一人・竹内則夫氏は、今回の取り決めは「完全な撤退」ではなく、バーゼルワールド2021以降、変わらず同展示会とのパートナーシップは今後も築かれていくことを改めて強調しました。
なお、シチズンはいくつかの時計メーカーを傘下に加えており、その一つであるブローバも中止を見送りました。
しかしながら同じくグループに名を連ねるフレデリック・コンスタントおよびアルピナは特に表明を行っておらず、今のところ変わらず参加すると思われます。
ブルガリもバーゼルワールド2020出展見送り
2020年2月11日付で、バーゼルワールド主催団体より、ブルガリの2020年度の同展示会への出展見送りが公表されました。
ただし同時に、その他のLVMHに所属する大手時計メーカーであるウブロ、タグホイヤー、ゼニスに関しては、バーゼルワールド2020へ参加する旨が、改めて強調されました。
ブルガリのCEOであるジャン-クリストフ・ババン氏は、この度の参加見送りの理由として、以下の点を挙げています。
一つに新型肺炎「コロナウイルス」が猛威を振るっていること。そしてもう一つ、先のLVMHの独自見本市「ドバイ・ウォッチ・ウィーク」が成功をおさめ、十分にブルガリ渾身の2020年新作情報を世に広められたことです。
また、ブルガリもまたシチズン同様、完全にバーゼルワールドにさよならを告げるようなものではなく、あくまで今年の決断である、ということも述べられています。
バーゼルワールド2021への参加については前向きで、今年の6月末までには参加・不参加どちらにせよ、意思決定をしたい、とのことでした。
このように、シチズンもブルガリは決してバーゼルワールド自体を否定しての出展見送りではありません。
また、バーゼルワールド主催者側も強調しているように、LVMHの時計部門自体は変わらず参加となっています。
しかしながら、オメガやハリーウィンストン属するスウォッチグループが2018年に脱退して以降、ブライトリングにセイコー、カシオにグッチと櫛の歯が欠けるように出展を取りやめる企業が相次いでいるのは事実・・・会場の大きい部分を占めていたブルガリが脱退することで、ますますバーゼルワールドの華やぎは欠けていきそうです。
どうなる?バーゼルワールド2020の開催
新型コロナウイルスによって、続々と世界的な見本市が中止や延期の施策を採っています。
例えばスウォッチグループの独自見本市Time To Move(タイム・トゥ・ムーブ)。グランドセイコーの東京サミット。時計業界以外でも、アートバーゼル香港やスペイン・バルセロナで開催予定であった世界最大のモバイル展示会MWCバルセロナ2020などが相次いで中止に見舞われています。
また、ブルガリのみならず、グッチも同様にコロナウイルスを理由にバーゼルワールドへの出展見合わせを発表しました。
バーゼルワールドは5月開催ですので(日程同期したWatches & Wonders Geneveは4月末~)、まだ先のこととはなります。しかしながらコロナウイルスは春以降、さらに猛威を振るうなんて説もあって、バーゼルワールドはどうなるのか、といった声が業界内でも上がっていることは事実です。
さらに、コロナウイルス抜きにしても、バーゼルワールド自体が大きな変革を迫られている背景もありました。デジタルマーケティングが主流となった今、高額な出展料を支払ってまでバーゼルワールドなどの合同見本市に出展する旨味がブランド側にはない、というのが主な理由です。
そのため、バーゼルワールドはありとあらゆる策を講じてブランドや来場客を呼び戻そうと様々な改革を行ってきましたが、コロナウイルスが向かい風となっていることは言うまでもありません。
バーゼルワールドは、バーゼル市を挙げてのイベントとなります。そのため2020年度の完全中止は恐らくないだろうと思われますが、バーゼルワールド2021以降が開催されるかは不明・・・
一方で、バーゼルワールドから去るブランドばかりではありません。
例えばドルガバの略称でも知られるドルチェ&ガッバーナがバーゼルワールド2020より、初参加することが公表されています。また、世界で最も高名と言っても過言ではないフィリップス・オークションも、2020年より同展示会に、個人のコレクターから借り受けた貴重な時計を特別に展示するとのことです。
暗い話題ばかりでもないバーゼルワールド。
当店では現地レポートも行いますので、今年も盛り上がってほしいものです!
バーゼルワールド・WWGの2020年開催見送りについて
【2020年2月29日 追記】
バーゼルワールド2020およびWatches & Wonders Geneve(旧SIHH)は開催見送りとなりました。
なお、ロレックスやチューダー、パテックフィリップ、ウブロ、タグホイヤー、ゼニス等各ブランドの2020年新作発表は、順次お伝えしていきます。
当記事の監修者
南 幸太朗(みなみ こうたろう)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン プロスタッフ
学生時代に腕時計の魅力に惹かれ、大学を卒業後にGINZA RASINへ入社。店舗での販売、仕入れの経験を経て2016年3月より銀座本店 店長へ就任。その後、銀座ナイン店 店長を兼務。現在は営業企画部 MD課 プロスタッフとして、バイヤー、プライシングを務める。得意なブランドはパテックフィリップやオーデマピゲ。時計業界歴13年。