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速報!ロレックス・パテックフィリップそしてLVMHがバーゼルワールド離脱へ
最終更新日:
速報です。
ロレックスとチューダー、パテックフィリップ、シャネル、そしてショパールが、バーゼルワールド離脱を発表しました。代わって2021年4月に、独自の新作見本市を開催する、と。
なんとその独自見本市、どうもカルティエやIWCなどのリシュモン系が中心になって執り行うWatches & Wonders Geneve(旧SIHH)と同期するようなのです。
さらに4月17日、上記ブランドに続いてLVMHグループもバーゼルワールドから去ることを表明しました。すなわち、ウブロ,ゼニス,タグホイヤーそしてブルガリが離脱、ということを意味します。
この記事では、長らくバーゼルワールドの主要展示ブランドとして活躍してきた各社からの発表の詳細をお届けいたします!
目次
ロレックス,チューダー,パテックフィリップ,シャネル,ショパールが独自見本市設立へ
バーゼルワールドは、世界最大の時計・宝飾品の新作見本市です。
いや、「でした」と言った方が正確かもしれませんが、例年3月にスイスはバーゼルで開催されている展示会で、名だたるラグジュアリー・メゾンが一堂に会し、その年の新作発表を行ってきました。
とりわけロレックス・パテックフィリップ・オメガ・LVMHグループ(ウブロやタグホイヤー、ゼニスにブルガリなど)・ショパールはバーゼルワールドの「BIG5」と称され、非常に大きな存在感を示します。
しかしながら2018年にオメガやブレゲ、ハリーウィンストン属するスウォッチグループがバーゼルワールドを離脱。その後くしの歯が欠けるように続々と各社がバーゼルワールドを去っていきますが、「とりあえずロレックスとパテックフィリップがいれば大丈夫だろう」的なコメントを、国内外の掲示板などで見かけたものです。
そして事態は一変。
この度、冒頭でもご紹介しているように、ロレックスとチューダー、パテックフィリップ、シャネルにショパールがバーゼルワールドを離脱し、独自見本市の設立へと動き出していることが判明しました。ロレックスが主導となっているようです。
詳細はこちらです。
日程:2021年4月上旬
会場:スイス ジュネーブ Palexpo(パレクスポ)
参加ブランド:ロレックス,パテックフィリップ,チューダー,ショパール,シャネル(今後、他社が参画する可能性あり、とのこと)
センセーショナルなのが、どうもFHH(the Fondation de la Haute Horlogerie:高級時計協会)が主催する高級時計の新作見本市「Watches & Wonders Geneva」と、日程や会場を同期するようなのです。
このPalexpoという会場はバーゼルではなくジュネーブのコアントラン国際空港に隣接するコンベンションセンターで、例年SIHHが行われてきた伝統的な会場でした。
そう、Watches & Wondersは、もともとSIHHと呼ばれていた見本市です。
カルティエやIWC、ランゲ&ゾーネにジャガールクルトといったリシュモン系列の時計ブランドやオーデマピゲ、リシャールミルなどの高級ブランドが中心になって参画しており(ただしオーデマピゲとリシャールミルは2020年以降は離脱)、バーゼルワールドの熱気と喧騒溢れる雰囲気とは真逆の、ゆったりとした高級感あるサロンとして話題です。
バーゼルワールドとは長らく「一線を画す」ような空気すらあり、バーゼルワールドが3月開催であるにもかかわらずSIHHは1月開催。そもそもカルティエが「ホットドッグを食べながら高級時計の商談ができるか」と言って1991年にバーゼルワールドを離脱し、SIHHを開催したのが発端だとか。
しかしながら2020年より日程を同期させ、小売業者やプレス関係者、そして一般の時計ファンにもよりその年の新作をカジュアルに親しめるよう、といった取り組みが行われてきました。バーゼルワールド・SIHH双方ともに出展企業離れ、ひいては商談の場としての魅力が低減してしまうことを恐れたのでしょう。
そんな矢先に、現在世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルスの影響で、両展示会ともに2020年の開催が見送られることとなりました。
ただ、Watches & Wondersの方は明確に「中止」として打ち出した一方で、バーゼルワールドは「2021年1月開催に延期」と決定します。
さらにこの決定は、各出展企業(ロレックスやパテックフィリップ含む)と協議されず、どうもゲリラ的に発表されたようなのです。加えてキャンセルポリシー―とりわけ出展料の返還―なども、あまり納得できるような内容ではなかった、と。
これを受けてロレックス(およびチューダー)がバーゼルワールド離脱を決意し、パテックフィリップなどが追随することとなりました。
どのような形態になるかはまだ判然としませんが、旧SIHHのように小売業者やプレス関係者、そしてVIPを対象とするようなので、もしかしたら招待制が採用されるのかもしれません。
ただ、SIHHは近年では完全招待制を廃止し、最終日のみ一般公開を行っていました。
ロレックスもパテックフィリップも、バーゼルワールドのように一般のエンドユーザーが新作展示を楽しめるような仕様とするのが望むところのようにも思いますが、これに至ってはロレックスからの発表を待つ他ありません。
なお、ロレックスは1939年からバーゼルワールドに参画してきました。
CEOのジャン・フレデリック・デュフール氏は、「議論を重ねたうえで決定した」と語ります。
パテックフィリップのCEOティエリー・スターン氏も同様に、決して簡単な判断ではなかった、と述べています。ロレックスと話し合いを繰り返し、決定に至った、と。
前述の通り、この二社こそがバーゼルワールドの命運を握っていたようにも思います。そのため、二社にとってもまた苦渋の決断であったことは間違いないでしょう。
今後のバーゼルワールドについては、主催のMCH(MCM SWISS EXHIBITION)から、この記事を執筆している時点ではまだ何も発表は出ていません。
続報が入ったら、同記事内でお伝えしていきます。
【4月17日追記】ウブロ・ゼニス・タグホイヤー・ブルガリもバーゼルワールド離脱を表明
さらに速報が入ってまいりました。
恐らくロレックスやパテックフィリップに続くブランドは少なくないだろう、とは思っていましたが、なんとLVMH-ゼニス,ウブロ,タグホイヤーそしてブルガリ―が、いち早くバーゼルワールド離脱を表明したのです。4月17日のことでした。
前述の通り、LVMHは「BIG5」の一角として、バーゼルワールドの大黒柱を担っていました。とりわけブルガリの占有スペースはきわめて広大で、恐らくバーゼルワールドが同社から得ていた出展料はトップクラスで多額であったのでしょう。
ただ、LVMHグループはロレックス等とは異なりバーゼルワールドの独断やキャンセルポリシーにクレームを出しているわけではなく、バーゼルでの時計フェアに参画する意義が弱まったため、としています。
代わって、時計のメッカであるジュネーブへシフトしていく、と。
確かに、正直バーゼルは例年3月のフェア以外は特筆すべきイベントがあるかと言うとそうではありません(もちろん魅力的な土地ではありますが)。だからこそ町を挙げてバーゼルワールドを盛り上げてきた歴史があるのでしょうが・・・
一方のジュネーブはご存知時計のメッカですし、加えてパレクスポなどは国際空港に隣接しており、どう見ても利便性という面では軍配が上がってしまうでしょう。
ただ、LVMHグループがリシュモン系のサロンと連携することは考えづらいです。
LVMHは年明けすぐにドバイで独自の見本市を行い、また開催は未定ですが、ブルガリが「ジュネーブ・ウォッチ・デイズ」を立ち上げた経緯があります。
そのため、LVMHはLVMHで、何か独自見本市を考えているのかもしれません。
こちらも、続報を待ちましょう!
ロレックスやチューダー 2020年の新作発表はどうなる?
ロレックス主導で取り決めたバーゼルワールド離脱、そして独自見本市開催は理解しましたが、では2020年の新作発表はどのように行われるのでしょうか。
と言うのも、新型コロナウイルスの世界的な蔓延や各国での緊急事態宣言あるいは同等の声明を受け、ロレックス・チューダー・パテックフィリップは2020年の新作発表を延期する決断を下しました。
パテックフィリップは2020年の発表自体を延期したのですが、ロレックス・チューダーは無期限延期としています。
つまり、新型コロナウイルスが収束すれば、年内あるいは2021年明けてすぐに新作公開する可能性がありますが、4月には2021年新作発表となると、かなり忙しない日程になってしまうでしょう。
恐らくロレックスは2020年の新作発表を取りやめることは考えづらいので、SNSや公式ホームページ等で早い段階で公開するのでしょうか。
これまたロレックスから詳報が入りましたら、お伝えいたします。
当記事の監修者
池田裕之(いけだ ひろゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン 課長
39歳 熊本県出身
19歳で上京し、22歳で某ブランド販売店に勤務。 同社の時計フロア勤務期に、高級ブランド腕時計の魅力とその奥深さに感銘を受ける。しばらくは腕時計販売で実績を積み、29歳で腕時計専門店へ転職を決意。銀座ラシンに入社後は時計専門店のスタッフとして販売・買取・仕入れを経験。そして2018年8月、ロレックス専門店オープン時に店長へ就任。時計業界歴17年