「グランドセイコーのGS規格って何?」
「グランドセイコーのGS規格について詳しく知りたい」
クロノメーターやジュネーブシール、マスタークロノメーター。
時計には様々な規格が存在しますが、日本が世界に誇る時計メーカー グランドセイコーにも独自規格が存在します。
その名は「GS規格」。
スイス高級時計メーカーがスイス公認クロノメーター規格の検査に合格することを目標としているのに対し、グランドセイコーはさらに厳格なGS規格をクリアすることを自社製品に義務付けています。
そんなグランドセイコーのGS規格について詳しく知りたいという人は多いのではないでしょうか。
新GS規格の精度基準は日差-3~+5秒以内とクロノメーターを遥かに凌駕し、一流スイスブランドを超える品質を確立しています。
この記事ではGS規格について、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
GS規格とクロノメーターの違いについても解説しますので、グランドセイコーの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください
目次
GS規格(グランドセイコー規格)について
シンプルながら美しい外装、視認性の高い文字盤、そしてムーブメントの精度。
グランドセイコーは高い品質と信頼性持つブランドとして、世界中から厚い支持を集めている人気ブランドです。
スイスですら数少ない完全マニュファクチュールを確立しており、精度に対する拘りは他のどんなブランドよりも強いといえます。
GS規格が誕生した背景にはクロノメーターの存在が強く影響しています。
グランドセイコーが誕生したのは1960年代ですが、この当時のグランドセイコーには文字盤にクロノメーター表記が印字されていました。
ただ、「クロノメーター」を名乗っていたものの、スイス公認試験を直接受けていない製品がクロノメーターを名乗ることにスイス側から批判があり、安易にクロノメーター表記を記載できなくなります。
そこでグランドセイコーは公認クロノメーター規格よりさらに厳しい検査基準を制定。その独自規格を「グランドセイコー規格」(GS規格)とし、以降のモデルはGS規格にもどづいた製造、調整を図るようになりました。
クロノメーターを名乗れなくなったことがキッカケに生まれたGS規格ですが、グランドセイコーがクロノメーターに合格するだけでは時計の精度は不十分と考えたことも事実です。
1998年には「新GS規格」を打ち立て、機械式時計における精度をさらに追求します。
新GS規格の精度基準は日差-3~+5秒以内とクロノメーターを遥かに凌駕しており、ロレックスやブライトリングといった一流スイスブランドを超える品質を確立しました。
このように、グランドセイコーの品質は厳しい検査基準を持つGS規格によって作られており、特に精度に関しては今なお世界を牽引していたといっても過言ではありません。
GS規格とクロノメーターの違い
クロノメーター規格の検査は5姿勢にて行われますが、GS規格は12時上位置を加えた合計6姿勢で行われます。
これは時計を全方位で検査することを意味しており、時計の検査としては苛酷すぎるほどの厳しさです。
しかし、この厳しさこそが「ユーザーがどんな使用状況下でも、グランドセイコーとして誇れる精度と安定性を提供する」というグランドセイコーの理念の証でもあります。
なお、GS規格とクロノメーター規格には以下のような差があります。
【検査期間】クロノメーター15日 GS規格17日間
【姿勢差】クロノメーター5姿勢 GS規格 6姿勢
【精度】クロノメーター 日差-4~+6秒 GS規格 日差-3~+5秒以内
検査期間に関してはクロノメーターよりも2日間長く、姿勢は1つ多い6姿勢、精度に関しては±1秒規定が厳しくなっています。
クロノメーターもGS規格も3つの温度下に置いて実施され、全ての検査基準を満たした時計のみが合格とみなされます。
出典:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/support/complete
GS規格が行われるのはチリやホコリをシャットアウトしたクリーンルーム工房。
ムーブメントや文字盤などをケースに組み付ける過程「ケーシング」の前に検査は実施され、20人にも及ぶ熟練の技術者によって繊細かつ厳密に行われます。
現在グランドセイコーのメカニカルシリーズは全てGS規格をクリアしたモノだけが市場に並ぶようになっており、初期不良が100%なし、という驚異的な品質を保っています。
品質にかけては他の追随を許さない日本企業・グランドセイコー。
その根底にはGS規格による厳しすぎる品質管理があることは間違いありません。
上位企画 GSS規格(グランドセイコー スペシャル規格)
GS規格はクロノメーターを超える厳密な品質規格ですが、さらに驚くべきことに、グランドセイコーには「グランドセイコースペシャル(GSS)規格」と呼ばれる規格もあります。
検査期間や姿勢差はGS規格と同一に貼りますが、この基準で許される日差は-2~+4秒以内。
機械式時計としてはまさに最高品質の証明となります。
GSS規格をパスしたモデルは文字盤6時位置にSPECIALと印字が加えられます。
この印字を持つモデルであれば、グランドセイコーが持つ圧倒的な精度をこれでもかと堪能することができるはずです。
GSS規格合格モデル グランドセイコー メカニカル ハイビート36000 マスターショップ限定 SBGH043
【材質】ステンレススティール
【ケースサイズ】40mm
【文字盤】ホワイト
【ムーブメント】Cal.9S85
【防水性】日常生活用強化防水(10気圧)
【定価】756,000円(税込)
SBGH043はメカニカルハイビートのブライトチタンモデルです。
視認性に優れる美しいダイアルに美しいブルースティールを配した上品な仕上がりになっています。
モデルの特徴としては従来のモデルよりインデックスが細く長いインデックスを配していること。
非常にスッキリとした印象を与え、ビジネスシーンに最適な一本として人気があります。
搭載ムーブメントはメカニカルハイビートキャリバー9S85。こちらはグランドセイコースペシャル(GSS)規格に合格したハイスペックムーブメントであり、圧倒的な精度に加え、どんなシーンにおいても活躍できる安定性を持ち合わせます。
定価756,000円と高価なモデルにはなりますが、並行新品であれば50万円代で購入することも可能です。
2016年発売モデルですが、いまだに需要が高まり続けています。
GSS規格合格モデル グランドセイコー メカニカルハイビートGMT マスターショップ限定SBGJ013
【材質】ステンレススティール
【ケースサイズ】40mm
【文字盤】シルバー
【ムーブメント】クォーツ式9F86
【防水性】日常生活用強化防水(10気圧)
【定価】341,000円(税込)
GMTは現在地の他にGMT針を用いて、第二時間帯の同時表示を可能とした機構です。
グローバル化が進む昨今においては非常に需要の高い機構の一つとなっており、グランドセイコーにおいても人気があります。
SBGJ013はハイビートシリーズのGMTモデルとして製造され、ブラックダイアルに施されたストライプ模様はブライトチタンの持つ「軽量」という素材特徴を表現しています。
ハイビートキャリバー“9S86”は高い機能性を誇る次世代のGMTムーブメントとして期待されており、GMTモデルの中でも特に売れ筋です。
当記事の監修者
新美貴之(にいみ たかゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 店舗営業部 部長
1975年生まれ 愛知県出身。
大学卒業後、時計専門店に入社。ロレックス専門店にて販売、仕入れに携わる。 その後、並行輸入商品の幅広い商品の取り扱いや正規代理店での責任者経験。
時計業界歴24年