ブライトリングといえば「空」のコレクションが有名です。その中でも忘れてはならないのが、アベンジャーシリーズではないでしょうか。
ブライトリングの歴史を受け継ぎつつも、「空」コレクションの中で最もモダンが魅力の当シリーズ。さらにはブライトリングらしいハイスペックさをも持ち合わせます。
また2019年にはコルトとアベンジャーⅡが統合し、新たなコレクションとして生まれ変わったことも特筆すべき点です。ナイトミッションやシーウルフなど、これまでにない、新たな魅力が加わりました。
この記事では、ブライトリングアベンジャーの魅力や歴史を解説するとともに、おすすめの人気モデルをご紹介します。
出典:https://www.breitling.com/jp-ja/
目次
ブライトリング アベンジャーはどのようなモデルか?
まずブライトリングアベンジャーがどのようなモデルなのかを解説していきます。
①概要
そもそもブライトリングとは、1884年、クロノグラフに特化した時計ブランドとして創業されました。19世紀末からクロノグラフは産業界や軍隊、スポーツの分野で需要が伸びていたためです。創業当初から既に高品質な懐中型のクロノグラフとストップウォッチで名声を得ていた同社は数々の賞を獲得する等、華やかなストーリーを経てきました。
20世紀を迎えると各国で帝国主義が進み、クロノグラフの軍需が格段に高まります。
そこでブライトリングは1938年、ユイット・アビエーション部門を設立し、軍事航空や民間航空の厳しい条件に適した時計に着手し始めます。
そうして1952年、現在もブランドの代名詞になっている航空クロノグラフ「ナビタイマー」が登場しました。
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1979年にはブライトリング一家から、時計経営に成功していたアーネスト・シュナイダー氏に経営権が移ります。当時クォーツショックにより多くの伝統的機械式時計メーカーが経営難に陥っており、ブライトリングも例外ではありませんでした。
シュナイダー氏は周囲からクォーツ式の時計へとシフトするように言われていましたが、彼はクォーツブームの真逆をいく自動巻き式のクロノグラフ「クロノマット」を生み出したのです。このクロノマットもまた、ナビタイマーと並んで今ではブライトリングを代表する航空クロノグラフの名機の一つとなっております。
このようにブライトリングの歴史には、航空時計である空のコレクションが密接に関わってきました。
そして2001年に新たに誕生したのが、アベンジャーコレクションでした。やはり空のための時計となります。
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アベンジャーはブライトリングの中では、いわゆるミドルレンジと呼ばれる価格帯を採ります。しかしミドルレンジとは言えど、ケースの堅牢さや防水性能など、ハイエンドモデルに劣らないスペックを搭載していることが特徴です。また、かなり大振りのケース(生産終了・現行含め最大サイズは48mm!)を扱っているにもかかわらず、優れた装着感や高い操作性でも高い評価を得てきました。
2009年以降はブライトリングで人気デザインのライダータブを装備するモデルへ。2013年には「アベンジャーII」と銘打たれ、よりハイスペックに、しかしながらケースサイズは45mm⇒43mm、厚みは約1mmダウンサイジングされ、よりスタイリッシュに変貌を遂げました
さらに2017年、現CEOのジョージ・カーン氏が就任すると、アベンジャーに限らずブライトリングの既存コレクションの整理が開始されます。
これまで空のコレクションだったクロノマットが、陸(ランド)コレクションへと移行されたことで、空のフラッグシップはナビタイマーとアビエイター8の2つになりました。ここにコルトとアベンジャーⅡが統合し、新たなコレクションとして生まれ変わったアベンジャーが加わりました。
なお、中価格帯ゆえに基本的に搭載ムーブメントは自社製のB01ではなくB13やB17が用いられますが、いずれもCOSC認定の高精度&ハイスペック機であることに変わりはありません。
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②アベンジャーの考え抜かれたデザイン
初代アベンジャーのデザインに大きく貢献した人物として、エディ・ショッフェル氏は外せません。
エディ・ショッフェルは、タグ・ホイヤーのリンクをデザインした人物であり、ブライトリングでは特徴的な斜めのブレスレットのデザインを手掛けています。
それまでは、筒を重ねたようなデザインのルーローブレスレットが多く用いられてきましたが、ひねりの力に弱く破損しやすい欠点がありました。ショッフェル氏は、この欠点を克服するべく、ブレスレットのコマを細かく分割した上で、隙間をもたせることで、着け心地と可動性、そしてデザイン性を兼ね備えた優れたものへと昇華しました。
そのショッフェル氏が初めて、ブレスレットだけではなくケースや文字盤など、全てのデザインを手掛けたのが、アベンジャーコレクションだったのです。
当時アベンジャーと同じ「空」のコレクションのフラッグシップモデルだったクロノマットに対して、どのような違いを見せるのかが大きな課題でした。
アベンジャーとクロノマットの大きな違いは、ライダータブとラグ,そしてリューズの3点です。
左:アベンジャー / 右:クロノマット
当時のクロノマットのライダータブは、イタリア空軍のパイロットの要望を受けて特別設計されたオリジナルを活かしていました。ライダータブを入れ替えられるよう、ネジ式が採用され、脱着可能だったのです。しかしアベンジャーのライダータブはベゼルと一体型にすることで、クロノマットとの大きな違いを生み出しました(クロノマットの派生の中にはライダータブが存在しないモデルもあります)。
また、クロノマットのラグはパイロットの袖に引っかからないように、短く真っ直ぐに伸びていますが、アベンジャーのラグは腕に装用に湾曲しています。
リューズもまた、アベンジャーの方がスタイリッシュな印象です。
ここからクロノマットがプロパイロット仕様なのに対し、アベンジャーは、より普段使いに寄り添ったモデルとして製作されたことがわかります。
③バリエーション
アベンジャーの現行のバリエーションは、6つのモデルに3種類のサイズ、素材、カラーから成り立っています。
サイズは48mm、45mm、43mmの3種類。
コレクションの中でもっとも大きくタフで存在感のある48mmは、「スーパー アベンジャー クロノグラフ 48」と「スーパー アベンジャー クロノグラフ 48 ナイトミッション」の2つのモデルを展開しています。この二つもまた、2019年にコレクションに加わりました。
※スーパーアベンジャー48(画像出典:https://www.breitling.co.jp/)
※スーパーアベンジャー48 ナイトミッション(画像出典:https://www.breitling.co.jp/)
「スーパー アベンジャー クロノグラフ 48」はステンレス素材、「スーパー アベンジャー クロノグラフ 48 ナイトミッション」は耐久性と軽量性に優れたDLCコーティングが施されたチタン素材です。ナイトミッションの特徴である「ケースを黒くする」という技法は、もともと暗闇での軍事作戦の際、ケースを黒くすることで反射を防ぎ、敵から発見されずに行動できたことからきています。
もっとも種類が豊富なのが45mmのケースで、クロノグラフのみならずGMTやダイバー仕様のシーウルフ、センター3針モデルがラインナップされています。
※GMT搭載アベンジャー45
※アベンジャー45 シーウルフ
「アベンジャー オートマチック 45 シーウルフ」は、空コレクションのアベンジャーのなかでも3,000m防水という優れた防水性能を持っています。こちらもステンレスとチタン素材があります。
日本人の腕に一番なじむサイズの43mmには、「アベンジャー クロノグラフ 43」と「アベンジャー オートマチック 43」がラインナップ。それぞれブルーとブラックの文字盤と、レザーストラップとステンレス製ブレスレットが選択できます。
※アベンジャー クロノグラフ43(画像出典:https://www.breitling.co.jp/)
④生産終了したアベンジャーⅡも楽しい
アベンジャーコレクションを語る上で外せないのが、アベンジャーⅡ。前述の通り2013年にアベンジャーコレクションが刷新した際に登場しましたが、2019年に新生アベンジャーに生まれ変わったことで生産終了となりました。
短い期間での生産だったため今後値上がりする可能性もあり、こちらも目が離せません。
ちなみに新生アベンジャーにはない点として、ポリッシュ(艶あり)仕上げが多用されていることにあります。そのため現行品とはまた違った上品な高級感を醸し出しています。またインダイヤルも、また、ベゼルも新生アベンジャーには、15,30,45分のライダータブのみにアラビア数字が施されていますが、アベンジャーⅡにはライダータブ以外にも5分間隔で、アラビア数字が施されています。
アベンジャーIIのラインナップは43mmと48mmのサイズ展開で、オートマチック、クロノグラフ、GMTがあります。
中古相場はモデルによって異なりますが、30万円~40万円と手が届きやすいのも嬉しいポイントです。
人気のブライトリング アベンジャー5選
次にブライトリングアベンジャーの中でも、当店GINZA RASINで特に人気のモデルを5つご紹介します
アベンジャー オートマチック43 A17318101C1A1(A17318)(300)
ケースサイズ:直径43mm×厚さ12.2mm
素材:ステンレススティール
文字盤:ブルー
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.13/パワーリザーブ約40時間
防水性:300m
定価:447,700円(税込)
アベンジャーコレクションのなかでは、クリーンで落ち着いた印象のモデルです。
ステンレス製のケースに深みのあるブルーの文字盤が使われ、シンプルな3針と日付表示が配置されています。逆回転防止ベゼル付きラチェット式ベゼルや、スーパールミノバ蓄光が塗布されたインデックス・針など利便性にも優れています。
43mmのケースサイズで、スーツやジャケットといったビジネススタイルから、カジュアルなプライベートまで、幅広く合わせられるのも嬉しいですね。
ムーブメントは、ETA製キャリバーをベースにチューニングしたブライトリング自社開発のキャリバー17を搭載しています。
最低限の機能を搭載した、シンプルでエレガンスな時計を求める方におすすめの1本です。
アベンジャー オートマチックGMT45 A32395101C1A1
ケースサイズ:直径45mm×厚さ12.31mm
素材:ステンレススティール
文字盤:ブルー
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.32/パワーリザーブ約42時間
防水性:300m
定価:513,700円(税込)
センターの時針、分針、秒針に、セカンドタイムゾーンの時間を表示するGMT針が加わったモデルです。ステンレス製の45mmケースと大きめのサイズ感でシンプルながらも、しっかりと印象に残ります。深いブルーの文字盤に赤いGMT針が映えるデザインになっています。
針とインデックスには、スーパールミノバ蓄光塗料が塗布されているため、暗闇でもしっかりと視認できます。
ムーブメントは、ブライトリングキャリバー32を搭載。約42時間のパワーリザーブで、世界中飛び回るアクティブなスタイルの方にピッタリの時計です。
アベンジャー オートマチック45 シーウルフ A17319101I1A1
ケースサイズ:直径45mm×厚さ18.39mm
素材:ステンレススティール
文字盤:イエロー
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.17/パワーリザーブ約38時間
防水性:300m
定価:513,700円(税込)
アベンジャーコレクションのなかで、優れた防水能力を持った2019年の新作シーウルフ。45mmのケースに特徴的なイエローの文字盤、マットな仕上がりのケースと、ひと目で印象に残る1本です。
ヘリウムガス放出バルブや、ラチェット式逆回転防止ベゼル、ねじ込み式リューズ、3000m防水など、プロダイバー仕様の機能をすべて搭載しています。ケースやブレスレットもマット仕上げのため、傷が目立ちにくくアクティブに楽しむ方には、嬉しいポイントです。
ブライトリングキャリバー17を搭載。
マリンスポーツを楽しむ方や、印象に残る時計を求める方におすすめです。
アベンジャーII A13381111B1A1(A13381)
ケースサイズ:直径43mm×厚さ16.48mm
素材:ステンレススティール
文字盤:ブラック
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.13/パワーリザーブ約48時間
防水性:300m
定価:671,000円(当時)
2013年発表のクロノグラフ機能を搭載したアベンジャーⅡモデル。43mmの合わせやすいケースサイズに、ブラック文字盤と普段使いしやすいデザインです。
スモールセコンドとセンターの秒針には、アクセントとなる赤色の塗料が使われているのもポイント。人間工学に基づいて設計されたベゼル一体型のライダータブは、機能性とデザイン性を両立しています。エレガンスなスタイルからカジュアルなスタイルまで、幅広く活用できる時計です。
ムーブメントは、ブライトリングキャリバー13。高名なETA7750をベースにしたクロノグラフムーブメントで、精度が高くメンテンナンスが容易というメリットがあります。このETA7750をブライトリングが独自にチューニングしキャリバー13へと昇華させています。
こちらは生産終了品であるため、今後入手しづらくなることが予想されるため見つけたらお早めのご購入がおすすめです。
アベンジャーII GMT 日本限定 A3239011/C930(A32390)
ケースサイズ:直径43mm×厚さ12.2mm
素材:ステンレススティール
文字盤:ブルーシェル
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.32/パワーリザーブ約42時間
防水性:300m
定価:517,000円(当時)
日本限定販売のGMTモデルで、生産終了品ながら今なお非常に人気の高い一本です。
24時間表示のインデックスが刻まれたベゼルを操作することで、同時に3つの時間帯を知ることができる機能や、300mもの防水性など、優れた機能を搭載しています。
またそのような豊富な機能を持ちながら、ケースサイズ43mm、厚さ12.2mmと日本人に合わせやすいサイズなのが嬉しいポイント。他素材では出せない、美しいマザーオブパールの文字盤は、ひと目で印象に残ります。
ムーブメントは、42時間のパワーリザーブを搭載したブライトリングキャリバー32です。
まとめ
ブライトリングアベンジャーの歴史や魅力を、人気のモデルとあわせてご紹介しました。アベンジャーは、ブライトリングの航空時計としての意匠を受け継ぎながら、モダンなスタイルを貫くコレクションです。
2019年には、新生アベンジャーとしてリニューアル。さらにデザインを洗練させ、現代に求められるスタイルに生まれ変わっています。
誰にも流されない、自分だけのスタイルを貫きたい。そんな方はぜひアベンジャーを試してみてください!
当記事の監修者
田中拓郎(たなか たくろう)
高級時計専門店GINZA RASIN 取締役 兼 経営企画管理本部長
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
当サイトの管理者。GINZA RASINのWEB、システム系全般を担当。スイスジュネーブで行われる腕時計見本市の取材なども担当している。好きなブランドはブレゲ、ランゲ&ゾーネ。時計業界歴12年