「人と被らないロレックスってある?」
「ロレックスチェリーニの魅力について知りたい」
ロレックスといえばデイトナやサブマリーナ、エクスプローラーシリーズなど、スポーツウォッチが主流となっています。
一方のチェリーニはドレスウォッチとして製造されてきた、エレガンス×クラシカルシリーズ。
とりわけそのデザイン性で高い評価を獲得していますが、スポーツの影に隠れがちなことも事実です。
しかしながらチェリーニを手にして、ひとたびその虜になった方は少なくありません。
ここぞと言う時に着けていけるドレッシーな一本を探している。
人と被らないロレックスを探している。
そんな需要を満たしてくれる、ロレックスチェリーニの魅力について知りたいという人は多いのではないでしょうか。
チェリーニは2014年にフルモデルチェンジを行い、ますます美しく洗練され、さらに使いやすく進化しています。
この記事ではロレックスチェリーニの魅力について、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
人気モデルの紹介もしますので、人と被りにくいロレックスをお探しの方はぜひ参考にしてください。
目次
ロレックス チェリーニとは?
冒頭でもご紹介したように、チェリーニはロレックスの歴史あるドレスウォッチラインです。
とは言えロレックスの王道売れ筋モデルは、デイトナやエクスプローラーなどのスポーツモデルかもしれませんね。しかしチェリーニは、誕生から今に至るまで一貫して、ドレスウォッチとして孤高の存在であり続けました。
実は長い歴史を持つ、伝統的なドレスウォッチ・チェリーニの歴史や魅力について語らせて頂きます。
①チェリーニの歴史
ロレックス チェリーニは1928年~1929年頃に誕生しました。
その名前はイタリア・ルネッサンス期の彫金・彫刻家として知られる「ベンヴェヌート・チェッリーニ氏」にちなみます。ベンヴェヌート・チェッリーニ氏はエレガントで美しい作風で知られており、ロレックスはそんな氏の作品のようなコレクションを志向してチェリーニをスタートさせたのでしょう。
そんなチェリーニの初代モデルは、チェリーニ プリンスです。後述しますが、2000年にリバイバルされています。
※リバイバル後のチェリーニ プリンス
この初代チェリーニ、何よりもまずレクタンギュラー(長方形)ケースであることに驚かされるものです。なぜならロレックスは基本的にラウンドフォルムのオイスターケースがラインナップの主流であり続けてきたためです。
もっともオイスターケースが発明されたのは1926年とされており、ほぼ同時代。そのため懐中時計から腕時計へと変遷を遂げていた当時の多くの製品と同じように、非防水のまさにドレッシーなウォッチであることが特徴でした。また、当時の主流であったスモールセコンドを採用していることも現代ロレックスとは大きく異なる点です(センター3針が広まったのは、ロレックス デイトジャストがきっかけと言われている)。
このプリンスを皮切りに、チェリーニは様々なモデルを発信してきました。後項で取り上げますダナオスやチェリニウムをはじめ、可動式ラグを搭載したチェステロや蘭の花という意味で金無垢ケースモデルに名づけられたオーキッドなどが存在しています。
とは言え今ほどまだ各シリーズが体系立っていなかったこと。加えて1970年代にスイス時計業界を襲ったクォーツショックの影響等からそこまで製造数が多くはなかったこと。こういった様々な時代背景が絡み合い、当時のモデルの稀少性はきわめて高いものがあります。
しかしながらデイトジャストやオイスターパーペチュアル,サブマリーナにエクスプローラーといった主流とは一線を画すコレクション展開のもと、確実にロレックス史にその名を刻み続けてきました。
なお、チェリーニはオイスターケース×パーペチュアル機構(自動巻き機構)が確立した後も、非防水ケース×伝統的な手巻き機構が採用されていたことも、ドレスウォッチとしてのアイデンティティを語る一端ですね。
なお、ロレックスは2014年のバーゼルワールドで、チェリーニのフルモデルチェンジを行います。
自動巻きのクロノメーター認定ムーブメントを搭載したチェリーニタイム・チェリーニデイト・チェリーニデュアルタイムです。
2014年にデビューした新たなチェリーニは、文字盤やインデックス・カラーなどを変えながら基本スタイルが今も継承されています。
②チェリーニのコンセプトと現行モデルの特徴
チェリーニのコンセプトは「クラシシズムと不変のエレガンス」。現代のロレックスとはかなり違った路線であることがここでも分かります。
チェリーニの名前の由来となっている彫刻師、ベンヴェヌート・チェッリーニは自叙伝も記した人物で、当時のイタリア風俗が自由奔放に記されています。
その破天荒な人生はベルリオーズによってオペラにも描かれました。
ロレックスのチェリーニは、そんなチェッリーニの名を冠するに相応しいデザインが特徴です。
チェリーニの魅力は華やかで感性に訴えかける美しさに満ちた意匠と、力強くきらめく個性。素晴らしい作品を残したチェッリーニや、彼を描いたロマン派のオペラそのものです。
チェリーニはロレックスより「時の守護者」「偏在する時の贈り物」という称号を得ています。クラシカルな優美さは、現代解釈されて今もしっかりと引き継がれています。
びっしりとサンビーム状にギョーシェ彫りが施された文字盤や、まっさらなダイアルにぽっかりとムーンフェイズディスクをのせるなど、現行モデルの美しさは芸術品に値します。
ちなみに現行モデルのベゼル形状はドーム×フルーテッドのダブルとなっており、チェリーニ独自のラグジュアリーさを奏でます。
なお、ロレックスといえばオイスタースチールですが、チェリーニはゴールドやプラチナといった貴金属製です。心とろかすようなつやめきは貴金属ならではのものでしょう。
ストラップにもチェリーニ独自の特徴があります。チェリーニはステッチ入りヘリ返し仕立てのアリゲーターストラップが使用され、バックルはケースと同じ素材のゴールドです。
③ロレックスの中でチェリーニにしかない魅力とは
ロレックスの中でも、「知る人ぞ知る」魅力にあふれるチェリーニ。ではそんなチェリーニならではの魅力とは、いったいどのようなものなのでしょうか。
まずはスポーツロレックスと決定的に違う、文字盤に注目してみましょう。
スポーツロレックスはクロノグラフでもシンプルなものでも、必ずロレックスのエンブレムとロゴのほかに、デイトナなどのモデル名が入ります。さらにオイスターパーペチュアルやスーパーレイティブ・クロノメーター、オフィシャリー・サーティファイドなど細かな文字がたくさん入ります。
一方のチェリーニの文字盤はとてもシンプル。ロレックスのエンブレムとロゴ、チェリーニというモデル名しか入らないことが一般的です。ドレスウォッチとして存在するチェリーニは、文字盤も美しさを強調するアイテムです。
ギョーシェ彫りやムーンフェイズを最高のポジションに設置するにあたり、スポーツロレックスのような細かな文字はデザインの邪魔になってしまうでしょう。
シンプルにこだわるのは、引き立てるに値する至高の品格があるから。
名前を言えば誰もがうなずくスポーツロレックスとは違っても、チェリーニはまさしくロレックスが誇る最上のドレスウォッチモデルなのです。
洗練されたエレガンスなデザインは、機能美を追求したスポーツロレックスとは明らかに異なる路線であることがひと目で分かります。
また価格の点でもチェリーニには大きな魅力があります。
現在、スポーツロレックスは並行相場の高騰がちょくちょく取沙汰されていますが、チェリーニは相場がそれほど上がりすぎないというメリットがあります。
現行品も中古であれば150万円以下、生産終了モデルであれば100万円以下の相場で取引される個体も多く出回っています。ステンレススティールモデルが100万、200万といった相場感である昨今、比較的入手しやすいと言えるでしょう。
何よりの注目ポイントは、スポーツロレックスと異なり、あまり人と被ることが無いモデルという点です。
個性も際立つデザイン性やクラシカルな中にも鮮烈なアイデアがあふれる感性は、ドレスウォッチならではの魅力ではないでしょうか。
ロレックス チェリーニ 現行バリエーションを一挙公開!
次に、現行モデルとして展開されている、チェリーニのバリエーションをその詳細とともに解説致します。
①チェリーニ デイト
ケースサイズ:直径39mm×厚さ12.5mm
素材:エバーローズゴールド,ホワイトゴールド
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.3165/パワーリザーブ約48時間
防水性:5気圧
定価:1,886,500円(税込)
チェリーニデイトはチェリーニの顔とも言える腕時計です。
最大の特徴は、文字盤とデイト機能。
文字盤はサンビームのギョーシェ彫りが施されており、針が留められている中心部分から外周に向けて光のラインが伸びています。
出典:https://www.rolex.com/ja/watches/cellini/m50515-0008/magazine.html
チェリーニデイトはいくつかのバリエーションを持ちます。ホワイトゴールドケースとブルー文字盤、ブルーのアリゲーターストラップの組み合わせ。あるいはエバーローズゴールドとシルバー文字盤、タバコブラウンのアリゲーターストラップの組み合わせ…いずれも文字盤と同じ色のロゴ・ブランドマーク・インデックスがセットになっています。
※エバーローズゴールド…ロレックスが独自開発した18Kゴールド素材で、一般的にはピンクゴールドと呼ばれる色合いのひとつです。よく知られているように、金はとても柔らかい金属で、硬度を高めるために他の金属を混ぜ込みます。腕時計でよく使用される18Kは75%純度の金で、残り25%に他の金属を加えて加工することで、イエローゴールドやホワイトゴールドなどの色味が出ます。ピンクゴールドには一般的に銅を配合しますが、銅は酸化しやすくきれいなピンク色が持続しにくいというデメリットがありました。そこでロレックスではごく少量のプラチナなどを配合し、これまでよりも発色がよく変色しにくいエバーローズゴールドを生み出しました。「色あせることのないバラ色」のゴールドは、どんなファッションにも優美かつ美しく映えます。
また、ポインターデイト機能を採用していることもミソ。
3時位置にサブダイヤルとして設置されており、スポーツロレックスで目にするサイクロップレンズ付きデイト窓とは異なりますね。サブダイヤルの内部にまで細かなサンビームが彫られている細やかさも、ドレスウォッチラインならではでしょう。
②チェリーニ タイム
ケースサイズ:直径39mm×厚さ12mm
素材:エバーローズゴールド,ホワイトゴールド
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.3132/パワーリザーブ約48時間
防水性:5気圧
定価:1,609,300円(税込)
チェリーニの中でもチェリーニタイムは非常にシンプルな文字盤レイアウトを使用しています。
チェリーニの文字盤は円周のひとまわり内側に目盛りが刻まれるタイプで、チェリーニタイムはローマ数字も印字されている点が特徴です。チェリーニ全般を通じてインデックスは細く長く、目盛りがインデックスの中央を貫いています。
出典:https://www.rolex.com/ja
一方で高級機らしくファセットカットされた時分針は力強い太さ・長さを有します。まばゆい華やかさをまとったチェリーニに加えられた、視認性を高めるためのスタイリッシュな工夫です。
なお、チェリーニタイムに搭載されたCal.3132は該当シリーズには珍しくスポーツモデルとの共有ムーブメントです。そう、かの有名なエクスプローラーI 214270でも搭載されていますね。Cal.3132はパラフレックス耐震装置が備わっていることも特筆すべき点です。
パラフレックス耐震装置とはロレックスが独自開発・特許取得している装置で、腕時計の心臓・テンプを衝撃から守ります。
ドレスウォッチは繊細な機械式時計であり、ある程度の強度が要求されるスポーツウォッチと比べてもセンシティブです。
そのためこれまではスポーツウォッチやアウトドアウォッチを使用していたという方が、初めてドレスウォッチをセレクトする場合にも使いやすい、おすすめの一本と言えます。
③チェリーニ デュアルタイム
ケースサイズ:直径39mm×厚さ13mm
素材:エバーローズゴールド,ホワイトゴールド
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.3180/パワーリザーブ約48時間
防水性:5気圧
定価:2,053,700円(税込)
チェリーニデュアルタイムの最大の特徴は、2つのタイムゾーンを表示できる点です。6時位置にあるサブダイアルには12までのアラビアインデックスが打たれ、8と10の間には窓があけられています。
窓には太陽と月が描かれ、いずれが表示されているかによって、優雅に昼か夜かを示してくれるのです。
出典:https://www.rolex.com/ja
なお、デュアルタイムモデルもまた他のチェリーニ同様にフルーテッドベゼルがドレスの裾を彩るシルクのフリンジのようにきらめきます。
エレガント、優雅という言葉を腕時計で表したら、こんな形になるだろうと思わせるほど、クラシカルさと最先端技術が見事に融合したデザインと言えるでしょう。
④チェリーニ ムーンフェイズ
ケースサイズ:直径39mm×厚さ13.5mm
素材:エバーローズゴールド
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.3195/パワーリザーブ約48時間
防水性:5気圧
定価:2,830,300円(税込)
チェリーニ ムーンフェイズは、シリーズで唯一ムーンフェイズ機能を搭載したモデルです。2017年、新たにラインナップに追加されました。
月相がひと目で分かるムーンフェイズは非常に美しく、幻想的でドレスウォッチの搭載機能として相応しいもののひとつでしょう。ボディは永遠のバラ、エバーローズゴールドを使用し、ポリッシュ仕上げでつややかに仕立てられています。
文字盤はホワイトラッカーでシンプルかつなめらかに仕上げられており、6時位置にムーンフェイズがとりつけられています。
ムーンフェイズディスクはブルーエナメル仕上げで、シルバーで新月と星々が、そして満月はメテオライトがアップリケされています。
出典:https://www.rolex.com/ja
メテオライトは隕石の総称で、地球上では確認されていない物質が含まれていることもしばしばあると言われます。満月を隕石で表現するとは、なんともロマンティック。ドレスウォッチとして、華やかな場に相応しい話題も提供してくれそうですね。メテオライトの表面は複雑な模様を描き出しており、腕時計の唯一性とクレーターに覆われた神秘的な月影をうまく表現しています。
チェリーニ ムーンフェイズには、もうひとつ大きなポイントがあります。
それは、ポインターデイト。サブダイヤルやデイト窓ではなく、さすまたのような独特の形をした針で日付を示す古風なデイト機能です。
ポインターデイトは、文字盤の最も外側に位置する場所に31日までの日付が打たれており、長いポインター針の先にあるさすまた状の印で日付を示します。
文字盤にムーンフェイズ以外の窓を一切設けず、純白の盤にブルーエナメルの宇宙を落とし込むことで、一層メテオライトの月が放つ神秘性が強調されるデザインです。
チェリーニのムーンフェイズモジュールは特許を取得しており、122年もの長きにわたり天文学的正確性を維持することが可能です。
生産終了したロレックス チェリーニもたまらない!~プリンス,チェリニウム等~
歴史のあるロレックス チェリーニには、すでに生産終了してしまった廃盤モデルも存在します。
チェリーニ プリンス
チェリーニ プリンスは「歴史」の項でもご紹介致しました。1928~1929年ごろに製造が開始され、1950年代まで製造されていた初代チェリーニのレクタンギュラーモデルでしたね。
チェリーニの廃盤モデルの中でも特に人気が高く、知名度もある時計で2005年には100周年記念メモリアルモデルとして復刻しています。
プリンスにはさまざまな特徴があり、ひとつは文字盤が大きく上下に分かれていることが挙げられます。上部には2針の時計、下部には存在感のあるスモールセコンドが配されたアールデコ調のデザインです。
スモールセコンドが脈取りに便利だったため医師に人気があり、ドクターズウォッチという異名も持っていました。
手巻きの70時間ムーブメントを搭載した復刻版は、ロレックス唯一のシースルーバックということでも好事家に注目されています。
現在はリバイバルモデルも生産終了となりましたが、2016年前後まで売買されていた経緯から流通量は少なくなく、欲しい方はぜひ中古市場を探してみましょう!
チェリーニ ダナオス
チェリーニ ダナオスは、クッション型のふっくらとしたケースが特徴です。
ピンクゴールドとブラック、ホワイトゴールドとブラックなどツートンカラーの同心円状文字盤や、6時だけアップリケした文字盤など、さまざまなデザインの文字盤が存在します。
アラビア文字とバーインデックスが交互に使用されている面白い意匠や、イエローゴールドやホワイトゴールドのケースも印象的なデザインとなっています。
現在のチェリーニコレクションとは一線を画す形状ですが、ロレックスのエンブレムも入っており、珍しいアイテムとして注目されるのではないでしょうか。
チェリーニ チェリニウム
チェリニウムはプラチナケースを使用した、チェリーニのハイエンドモデルでした。2針で6時位置にスモールセコンドを持つ、優美なデザインが特徴です。
文字盤は今も人気の高いアイスブルーやマザーオブパールなど色も輝きも美しい素材を使用しており、チェリーニがドレスウォッチであることを強く実感させてくれます。
ロレックス独自の「プラチナケースである」証、アイスブルー文字盤は今なお高い人気を誇ります。
まとめ
100年近い歴史を誇るロレックス チェリーニについてご紹介致しました。
2014年にフルモデルチェンジを行い、ますます美しく洗練され、さらに使いやすく進化を遂げました。
スポーツロレックスにはない繊細で品格漂うマーベラスなデザイン、貴金属とアリゲーターレザーストラップが織りなす独特の高級感が、強い個性を感じさせます。
チェリーニには、誰もが知るロレックスとは全く違う、しかし確実で崇高な価値があります。
せっかくロレックスを所有するのであれば、ロレックスが極めた美の結晶・チェリーニをセレクトしてみてはいかがでしょうか。
当記事の監修者
池田裕之(いけだ ひろゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン 課長
39歳 熊本県出身
19歳で上京し、22歳で某ブランド販売店に勤務。 同社の時計フロア勤務期に、高級ブランド腕時計の魅力とその奥深さに感銘を受ける。しばらくは腕時計販売で実績を積み、29歳で腕時計専門店へ転職を決意。銀座ラシンに入社後は時計専門店のスタッフとして販売・買取・仕入れを経験。そして2018年8月、ロレックス専門店オープン時に店長へ就任。時計業界歴17年