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WEBマガジン, 田中拓郎, グランドセイコー

9SA5搭載 グランドセイコー本気のSLGH003を時計専門店が徹底レビュー!

最終更新日:

グランドセイコー SLGH003

グランドセイコーは2020年、渾身といえる最高のムーブメント、キャリバー9SA5を生み出しました。そして最高峰キャリバー9SA5を受け止めるべく、最高の外装を携えたSLGH003を堂々リリースしたのです。

根強いファンの多いグランドセイコーの最高峰ともいえる腕時計、9SA5搭載 グランドセイコー SLGH003が当店GINZA RASINにも入荷しました!

早速そのムーブメントの凄まじさ、こだわり抜かれた外装の素晴らしさを、徹底レビューしていきます。

 

グランドセイコー渾身の9SA5を搭載したSLGH003とは?

①スペック

グランドセイコー SLGH003

グランドセイコー メカニカルハイビート36000 グランドセイコー60周年記念限定モデル SLGH003

素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径40mm × 厚さ11.7mm
文字盤:ブルー
ムーブメント:自動巻き Cal.9SA5
パワーリザーブ:約80時間
防水性:日常生活用強化防水(10気圧)
定価:1,100,000 円(税込)

 

②概要

SLGH003は、グランドセイコー60周年を記念して2020年にリリースされました。グランドセイコー60年の歴史の集大成的存在と言っても過言ではありません。

そんなグランドセイコーの歴史を振り返ると、初年とされているのは1960年。初代グランドセイコーが発売された年です。そのコンセプトは、「国産時計の最高峰」。このコンセプト通り初代グランドセイコーは、1960年当時のスイスクロノメーター規格にパスするレベルの品質を誇る、高精度な国産高級腕時計でした。1967年には伝説の名機「44GS」がローンチされます(詳細は後述)。

その後クォーツ時計の席捲によって長らく獅子は眠りについたと思われましたが、1990年代に入るとグランドセイコーは9Fシリーズ―クォーツを超えたクォーツ―を皮切りに、機械式の優れたムーブメントを続々と開発しました。2004年には、グランドセイコーにスプリングドライブを搭載した9R6シリーズが登場し、ますます勢いを加速させます。

そして今回のSLGH003に搭載されているハイビートキャリバー9SA5の基礎ともいえる、メカニカルハイビート36000の初代機は2009年に登場しました。

 

グランドセイコー 9S ハイビート36000

※ハイビート36000ムーブメント9S8を搭載した個体(画像出典:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/about/history#section-2000)

いわゆる「ハイビート」とは、テンプの振動数が高速であることを指します。ここが高振動であればあるほど高精度を叩き出しますが、一方でパーツ摩耗が避けられず、高度な時計製造技術を有したブランドにのみ許された仕事。そのため36,000振動/時(1秒間に10回振動する)を実現できるグランドセイコーが、いかに高精度にこだわりぬいてきたかが伝わるのではないでしょうか。もっとも1968年には「61GS」で国産初となる10振動ハイビートを実現していたことも、グランドセイコーの歴史を彩る重大なストーリーではないでしょうか。「最高の普通」を標榜してきたグランドセイコーだけありますね。

 

そして2017年、グランドセイコーは親会社であるセイコーから飛び立ち、独自のブランディングをスタートさせます。

高い実用性と日本の技術力ならではの高級感は、海外でも高い評価を得ました。

迎えたグランドセイコー60周年の年である2020年に、SLGH003は数量限定1,000本で販売されたのです。

 

 

グランドセイコー 9SA5搭載SLGH003を実機レビュー!

グランドセイコー60周年記念限定モデル SLGH003、当店GINZA RASINでも入荷いたしました!

さっそくグランドセイコー大好きなスタッフが、ちょっと熱めのレビューをお届けします!

 

①外装

グランドセイコー SLGH003

グランドセイコー60周年記念限定モデル SLGH003は、グランドセイコー伝説の名機「44GS」で体現された「セイコースタイル」を継承する、由緒正しきデザインです。セイコースタイルは3つのデザイン方針と、それを実機に落とし込んだ9つのデザイン要素で、今に至るまでグランドセイコーのデザインの基礎となっています。

これまでもグランドセイコーの「高精度」は、世界の高級メゾンと充分対抗できるものでした。しかし一流ブランドとしては何かが足りないと感じた当時のデザイナーは、腕時計が放つ「輝き」に思い至ります(ちなみに当時のデザイナーとして高名な田中太郎氏は、44GSを生み出すまでに足繁く時計店に通って海外ブランド時計を研究したとか!)。

こういった背景のもと、「燦然と輝くウォッチ」という高級感を求め、構築されたデザインロジックが、セイコースタイルなのです。

グランドセイコー60周年記念限定モデル SLGH003は、44GSで現実のものとなったセイコースタイルを守りつつ、当時よりはるかに優れた技巧もたっぷりと凝らしています。

さらに60周年を記念して、「世界の頂点に立てる高精度・高性能・高品質な高級腕時計」を目指した初代グランドセイコーも意識したデザインとなりました。

そこでより分かりやすいよう、セイコースタイルを追いながらSLGH003の外装―計算され尽くし、職人たちによる技術の粋を極めた仕事ぶりが光るデザインをレビューします。

 

まず、個人的に目についたのが風防からラグにかけての美しさ。

グランドセイコー SLGH003

風防のサファイアクリスタルはボックス型に仕上げられ、ケースとのつなぎ目ギリギリまで張り出しています。

ケースとクリスタルのつなぎ目にある面、ケースとラグをつなぐ面、それを受けるケース面はすべてザラツ研磨で歪みのない鏡面仕上げ。ステンレススティールが極限まで輝き、しかも角がきりりと立った鋭く堅牢な印象は、一切手を抜かない職人技の粋と高級感を漂わせます。

グランドセイコー ヘリテージコレクション SLGH003

ケースサイドとベゼル外周の接線サイドラインは、無駄のない、しかし柔らかいギリギリの曲線を描いています。

この曲線が直線と平面でできた腕時計の鋭すぎる印象をやわらげ、なめらかな美しいラインとなって腕にフィットしているというわけです。

さらにベゼル側面とケース側面は逆斜面になっており、影部分がエッジとなって表面の輝きを一層際立たせるのです。これが、光と影を活かした味わいの真髄ではないでしょうか。確かにSLGH003は、どこから見ても美しさを湛えていますが、こういった時計を構成するラインが秀逸だからこそでしょう。

 

グランドセイコー SLGH003

ちなみに薄さを際立たせるため、ミドルケースはラグを短く切り、5つの面を寸分の狂いもなく4本揃えています。

ラグ部分は鏡面仕上げとヘアライン仕上げを組み合わせており、金属加工とは思えないほどの滑らかさ。ラグが短くなったことで、SLGH003は11.7mmという驚異の薄さを、見た目でも感じることができることとなりました。

 

グランドセイコー SLGH003

薄さはもちろん、低重心のケース,そして幅広コマが備わったメタルブレスレットが、装着感をも高めています。

実際腕に着けてみると、40mmというケースサイズを感じさせない軽やかさでしたね(もっとも、私自身が普段はベル&ロスの大きい時計を愛用していることも、こういった感想に繋がっているかもしれません)。

②顔立ち

グランドセイコー60周年記念限定モデル SLGH003は、とにかくイケメンです。私自身、メーカーから新作として発表された画像を見た時、外装はもちろんその顔立ちがまず目に飛び込みました。

グランドセイコーだから生み出せる、日本人が「カッコいい」と感じる要素が散りばめられたフェイスと言えるでしょう。

鋭さ,なめらかさ,頑強さ,繊細さ,大胆さと美しさを構成するすべての要素が、完璧なバランスで詰め込まれています。

 

SLGH003は構想段階からデザイナーが積極的に関わることで、実用性と美しさを見事に両立させたモデルなのです。

それでは、顔立ちも外装と同じように、セイコースタイルを追いながら、SLGH003のイケメンぶりを確認していきましょう。

 

グランドセイコー メカニカルハイビート36000 グランドセイコー60周年記念限定モデル SLGH003

まず特筆すべきは、インデックスと多面カットの太いシルバーカラーの時分針が最高に際立つよう、文字盤は計算されつくしたフラットダイヤルです。

面を活かしながらダイヤモンドカッティングを施したシルバーカラーのインデックスは、光を受けて輝き、かつ視認性を高めています。また12時位置の幅広いインデックスは王冠のごとくきらめき、威厳と存在感を放つデザインです。

さらに文字盤は、グランドセイコーのブランドカラーであるブルーを採用、サンレイ加工を施しました。光を集めて太陽光のように放っていることが見てとれます。

ダイヤモンドカットの針は太く、重い針を正確に回すことができるSLGH003の地力の強さを如実に表す証です。

なお、SLGH003ではインデックスと時分針の隙間を詰め、より高級感を高めました。

加えて針を赤にすることで華やかな差し色とし、絶妙なバランスで3時位置にデイト窓を配置しています。

 

グランドセイコー SLGH003

グランドセイコー60周年記念限定モデル SLGH003が、美しいボディとイケメンな顔立ちという完璧なデザインを備えたのは、究極のモデルとして誕生したため。腕に着けると、そのスペシャルなコンセプトを十二分に感じられます。

初代グランドセイコーの夢を現実のものとし、名機44GSのデザインを踏襲し、さらに極めたSLGH003。

これからご紹介する究極のムーブメントとともに、今後グランドセイコーを代表する銘品となることは間違いありません。

 

③ムーブメント「9SA5」

グランドセイコーでSLGH003を語るなら、キャリバー「9SA5」こそ主役!

実機レビューとはちょっと異なりますが、グランドセイコーが「本気」を魅せたムーブメント、キャリバー9SA5をたっぷり語らせて頂きます。

グランドセイコー SLGH003

SLGH003、グランドセイコー「60周年記念限定モデル」ヘリテージコレクション メカニカルモデルは、SSモデルとして初めてキャリバー9SA5を搭載しました。

ではキャリバー9SA5が何かと言うと、2020年に発表されたグランドセイコーの新世代ムーブメント。当時、同時発表されたキャリバー9RA5スプリングドライブ 5 Daysと並び、世界の度肝を抜きました。グランドセイコーのコンセプトの一つ「実用腕時計の最高峰」を具現化したキャリバー9SA5は、ハイビート36000でありながら、80時間のパワーリザーブを実現しました。

グランドセイコーは9Sメカニカル、9Fクォーツ、9Rスプリングドライブと、優れたムーブメントを展開してきました。今回のキャリバー9SA5は9Sメカニカルシリーズの、現時点における最高峰と言って過言ではありません。

キャリバー9SA5の凄さを、ポイントに分けて見ていきましょう。

 

■驚異のハイビート36000

キャリバー9SA5の最大の特徴のひとつが、ハイビート36000という驚異の振動数です。

これはジラール・ペルゴが打ち立て、その後ゼニスのエルプリメロが代名詞ともなったハイビートの振動数で、時計業界に大いなる衝撃を与えました。

ハイビート36000は1秒間に10振動します。機械式時計は1秒間に6振動~8振動が一般的なので、かなりのハイビートであることが分かります。

グランドセイコー キャリバー9SA5

前述の通り、腕時計の振動数は上がれば上がるほど高い精度が出やすいとされています。振動が速いほどビートが安定するためです。

実際にキャリバー9SA5の精度は平均日差+5秒~-3秒を誇ります。これはクロノメーター規格よりも厳しいグランドセイコー独自の規格に適合するもの。

またハイビートであるほど外的な衝撃等の影響を受けにくくなるため、携帯精度も高まります。

グランドセイコーのハイビート36000自体は、2009年に登場したキャリバー9S85が初で、それから幾多の改良を重ねてキャリバー9SA5への開発へとつながりました。

■80時間のパワーリザーブ

ムーブメントはハイビートになるほどトルクが強くなりますが、回転する力がすべて動力として使用されるわけではありません。

ゼンマイの力はテンプに伝達して動力となりますが、ハイビートになり振動数がアップするほどガンギ車やアンクルの動きが追い付かなくなり、効率が悪くなってしまうのです。

また主たる動力となるゼンマイの持つパワーリザーブは40~50時間前後が限界で、それ以上の時間動き続けることは不可能でした。

しかしデュアルインパルス脱進機とツインバレルを採用することで、キャリバー9SA5は80時間ものパワーリザーブが可能となったのです。

 

■機械式時計の常識を覆すデュアルインパルス脱進機

キャリバー9SA5は、36000というハイビート,80時間パワーリザーブ.そして非常に高い精度を備えるため、一度機械式時計の脱進機における常識を設計図から排除したとか

基本的に脱進機はガンギ車が直接テンプに力を伝える直接衝撃のデテント脱進機タイプと、間接衝撃のレバー脱進機タイプに分かれます。直接衝撃のデテント脱進機タイプは力のロスが少なく効率が良い、大変歴史ある脱進機です。しかし衝撃に弱く安定性に欠け、衝撃を受けてテンプが止まってしまっても自己起動性がないため、そのまま腕時計に使うことはほぼありません。

間接衝撃のレバー脱進機タイプは、ガンギ車とテンプの間にアンクルを設置したもので、衝撃に強く現代の定番になっています。そこでブランド各社は安定性の良いレバー脱進機をベースに、さまざまな折衷脱進機を作成してきました。

デュアルインパルス脱進機

出典:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/about/movement/mechanical/9sa5

キャリバー9SA5はこれまでに各社で開発されてきた折衷脱進機とは、全く異なる理論によって設計されています。

まず、デテント脱進機の欠点である「自己起動性がない」という点を改善するため、レバー脱進機ではありえない「片振り(ビートエラー)」を持たせています。精度調整をする際に自己起動しやすい片振り量を超微調整し、脱進機の作動角を0.8度と0.4度に分けました。

この点は、秒針の動きが一定ではないことで文字盤からも知り得る技術革新です。

 

またテンプの振動速度を調整するヒゲゼンマイも、常識を覆しました。

ヒゲゼンマイは同心円状に広がるように設置することが、今の時計業界の常識です。しかしキャリバー9SA5の設計チームは8万通りものシミュレーションを行い、ヒゲゼンマイが同心円状である必要性をひっくり返したのです。

キャリバー9SA5

出典:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/about/movement/mechanical/9sa5

8万通りを超える形状の中から見つけ出した、外端カーブを巻き上げる特殊な巻上ヒゲを採用、これも無数の組み合わせから最適な構造を探り出しました。

 

そしてもうひとつ、クリアすべき問題が軽量化でした。36000ハイビートではガンギ車とアンクルの軽量化が重要になります。

キャリバー9SA5は半導体の製造技術を応用したMEMSという技術で、ニッケル素材で中空のガンギ車とアンクルを作成し、頑強さを保ちながら軽量化に成功しました。さらにガンギ車の歯先には保油構造も作られており、整備しやすくなっています。

この結果、一般的なレバー脱進機の駆動効率が30%前後とされる中で、40%を超える駆動効率を実現したのです。

 

■ふたつの香箱を並べたツインバレル

キャリバー9SA5の大いなる特徴のひとつ、80時間のパワーリザーブを可能にした構造が、ふたつの香箱を並べるツインバレルです。

香箱にはゼンマイが収められていますが、それを2つ搭載することで大きなトルクと香箱1つでは絶対に実現できない80時間ものパワーリザーブを実現しました。

さらに主ゼンマイのトルクを抑え、回転速度を上げることで歯車をはじめとする機械類の摩耗も防いでいます。

キャリバー9SA5 ツインバレル

出典:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/about/movement/mechanical/9sa5

香箱を2つ備え、地力アップを果たしたため、36000ハイビートでは難しかった重い針を回すトルクも生み出せるようになりました。

しかし、香箱を2つ備えると、時計は普通重く、分厚くなってしまいます。その点をクリアさせた技術が、後述する水平輪列構造です。

 

■水平輪列構造

キャリバー9SA5

出典:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/about/movement/mechanical/9sa5

キャリバー9SA5は、ツインバレル構造でありながら、厚みはたったの5.18mmしかありません。その秘訣は前述の通り、水平となった輪列構造にあります。

デュアルインパルス脱進機は星型のガンギ車がほぼテンワの上に収まる形状をしています。さらに小型化された自動巻き機構をすべて同じ階層に並べることで、薄さを実現しました。

 

■世界初の機能を持つグランドセイコーフリースプラング

キャリバー9SA5を作るにあたり、グランドセイコーは自社の名前を冠した機構をもうひとつ生み出しています。

耐衝撃性の高い、グランドセイコーフリースプラングです。

キャリバー 9SA5 フリースプラング

出典:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/about/movement/mechanical/9sa5

テンプの振動速度を調整するヒゲゼンマイは、腕時計の精度を維持するために重要な役割を担っています。ヒゲゼンマイが高い等時性を持つことで、腕時計の精度が高く保たれるためです。

ヒゲゼンマイに等時性を持たせる機構は、緩急針とフリースプラングという2種類に分けられますが、グランドセイコーはこれまで緩急針を採用してきました。フリースプラングは慣性を利用する方法で非常に細かい精度調整ができますが、調整が大変難しいためです。

しかしキャリバー9SA5では8万通りから導き出したヒゲゼンマイが、この点もクリアすることになりました。と言うのも、一定の角度に固定したヒゲゼンマイのヒゲ持ち(ヒゲゼンマイを固定する部品)を回転させると、等時性が変化することを発見したのです。

そこでヒゲゼンマイの巻出し位置を、微調整された角度で固定、そこからヒゲゼンマイを成形し、ヒゲ持ちをねじりました。

驚くべきことに開発チームは、実に8万通り以上のヒゲゼンマイのマッチングから始まり、等時性の変化に関する発見を経て、等時性の安定的な調整まで可能にしたのです。

 

緩急針が必要なくなったため、ヒゲゼンマイの耐久性がアップし、高精度を長期間にわたり持続することができるようになったのです。

さらにグランドセイコーたる頑強さを保つため、調整ネジの埋め込み部分にはスリットを切っています。

ちなみに、開発チームの飽くなき探求だけが、素晴らしい技術を開発したわけではありません。長年にわたり正確無比な部品を製造してきた技術者たちの真摯な仕事ひとつひとつが、新技術開発と実用化を支えているのです。

この全く新しい、等時性調整可能なフリースプラングに、同社は「グランドセイコーフリースプラング」と堂々名付けました。

 

■瞬間日送り機構

キャリバー9SA5には、9Sシリーズで初めて瞬間日送り機構が搭載されています。

そのために、可動式の日送り爪を新しく開発、カレンダーがより美しく瞬間的に切り替わるようになりました。

さらに日付修正の実用性もアップしているというわけです。

 

 

キャリバー9SA5

出典:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/about/movement/mechanical/9sa5

これまでにご紹介した新開発のデュアルインパルス脱進機やグランドセイコーフリースプラング、ツインバレルを搭載した上に、瞬間日送り機構も組み込んでいるキャリバー9SA5。

それでも5.18mmという薄さを維持し、グランドセイコーの誇りである実用的な頑強さをあわせ持つ、世界の度肝を抜いたムーブメントです。

受けはメンテナンスをより容易にするため、分割されています。

 

キャリバー9SA5の故郷は、グランドセイコースタジオ雫石です。

雫石の山や川など美しい自然からインスピレーションを得たという見た目も、キャリバー9SA5の特徴のひとつ。コートドジュネーブやペラルージュをほどこし、滑らかに磨き抜かれ、渓谷のような隙間からツインバレルやテンプが見えるようになっています。

穴石(軸受けのルビー)も立体的になり、ますます美しさに磨きがかかりました。

気持ちよく動き続けるハイビートの鼓動とともに、ぜひスケルトンケースバックからご堪能ください。

 

 

グランドセイコー 9SA5搭載SLGH003の定価と実勢相場

グランドセイコー 9SA5搭載SLGH003の定価は、税込1,100,000円です。

しかし当店のSLGH003は、状態の良いものであることもありますが、中古にして1,198,000円と定価超えの値付けを行いました

グランドセイコー、国内ブランドの腕時計としては珍しい定価超えの相場となっている理由を探ってみました。

・1000本限定モデルである
・威厳さえ感じさせるデザインの素晴らしさ
・搭載しているキャリバー9SA5の凄さ
・実用機として最高水準の腕時計であるという事実

 

グランドセイコー 9SA5搭載SLGH003が、国内ブランドにも関わらず中古でも定価超えの相場となっている理由。それは、グランドセイコー 9SA5搭載SLGH003を構成するすべての要素が魅力となり、多くの人々に認知されているからと言えるでしょう。

中古価格が定価を超えているということは、リセールバリューも高めということです。

 

現在、SLGH003の買取相場は状態の良いもので70万円前後となっています。

SLGH003は60周年記念の1000本限定モデルであるため、中古でも状態の良いものに出会えたら買っておきたい1本です。

高級時計 中古店

 

なお、キャリバー9SA5自体は今後量産化されていくことが予測されます。

すでに2021年の新作として発表された、SLGH005「白樺」にも、キャリバー9SA5が搭載され、衆目を集めました。

またプラチナ950のボディに、ブラックを基調とした流水紋のダイアルが美しいSLGH007「大樹」にも、キャリバー9SA5が搭載されています。

いずれも最高級モデルとしてローンチされたため高価ですが、今後の量産モデルへのキャリバー9SA5搭載が待たれるところです。

 

 

まとめ

グランドセイコー 9SA5搭載SLGH003は、とにかく「一目見れば恋に落ち、中身を知って惚れ直す」腕時計でした。

グランドセイコーには雪白をはじめ、新作の「二十四節気」GMTなど、目を奪われる美しいモデルがそろっています。

中でもセイコースタイルを体現し、グランドセイコーブルーをまとったSLGH003は、内部に秘められたムーブメントの素晴らしさを予測させます。

そして予測通り、現時点で最高レベルと言えるキャリバー9SA5もまた、語れば尽きることのない至高のムーブメントとなりました。

たった1000本の本作は、まさに至宝です。出会えるチャンスは逃さないようにしたいものです。

※掲載する定価や相場は2021年5月現在の情報となります。

当記事の監修者

田中拓郎(たなか たくろう)

高級時計専門店GINZA RASIN 取締役 兼 経営企画管理本部長
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター

当サイトの管理者。GINZA RASINのWEB、システム系全般を担当。スイスジュネーブで行われる腕時計見本市の取材なども担当している。好きなブランドはブレゲ、ランゲ&ゾーネ。時計業界歴12年

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