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「チューダー ブラックベイ 58って何がすごいの?」
「チューダー ブラックベイ 58の魅力について詳しく知りたい」
チューダー(チュードル)はロレックスのディフュージョンブランドとして誕生した歴史がありますが、今やロレックスとはまた違った独自路線を突き進む、一大人気ブランドです。
とりわけ本家ロレックスにはないアグレッシブなデザインや多彩なバリエーション,そしてハイレベルな製品にもかかわらず良心的な価格設定は、その魅力の大きい部分を支えます。
そんなチューダーの中で、今最も熱い人気コレクションとして名前がまず挙がるのが、ブラックベイ58ではないでしょうか。
2021年にはさらにバリエーションを拡充したことで、既存のチューダーファンもそうでない方も虜にすることとなりました。
そんなチューダー ブラックベイ 58の魅力について知りたいという人は多いのではないでしょうか。
ブラックベイ58は、チューダーの古き良きダイバーズウォッチの系譜を再現しながらも、新しいチューダーを担うような人気コレクションです。
この記事ではブラックベイ 58の魅力について、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
実勢相場についても解説しますので、チューダーの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
目次
チューダー ブラックベイ58ってどんなモデル?
①基本スペック
まず始めに、ブラックベイ58の基本モデルについて解説致します。
チューダー ブラックベイ58
型番:79030/79010他
ケースサイズ:直径39mm
素材:ステンレススティール他
文字盤:ブラック他
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.MT5402(79060N,79030B) / Cal.MT5400 (79010SG,79018V)
防水性:200m
②ブラックベイ58とは?
ブラックベイ58は、2018年に登場したチューダーのダイバーズウォッチです。
チューダーダイバーズのアイコンであるスノーフレーク針(イカ針)を持ち、ロレックスダイバーズの特徴であるリューズガードを持ちません。
そして適度なヴィンテージ感とともに愛されるポイントが「39mm」という絶妙なサイズ感。これまでヘリテージ ブラックベイは、ロレックスのサブマリーナなどと同じ、41mmサイズでした。
しかし近年の主流となっていた大きめフェイスの腕時計では「大きすぎる」と感じる方も少なくありません。さらにユニセックスモデルとして36mmも展開していましたが、41mmと比較するとかなり小さく感じられます。
そういうわけで、39mmは細身の男性や小柄な男性、またブラックベイを愛する女性など、体格やジェンダーにとらわれず、身につけられる丁度良いサイズです。
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チューダーは、よく知られているようにロレックスの販促廉価ブランドとして誕生したという経歴を持っています。
ロレックスは当時本社を置いていたイギリスでの知名度アップを狙い、イギリス王家のひとつ、チューダー家と同名のブランド名をつけました。
さらにロレックスと同じ部品を使い、既成のムーブメントを搭載することで価格を抑え「ロレックスのパーツを使っているのにお買い得なブランド」として売り出したのです。
このキャンペーンは当たり、ロレックスの知名度もチューダーの人気もアップしました。
こうした出自から、チューダーはロレックスの弟分として扱われてきました。
しかし近年では、独自の路線を確立し、ロレックスの翼の下から飛びたつようなモデルも続々誕生しています。
ブラックベイ58もまた、そんな「チューダー独自のチューダーらしさ」を追求したモデルと言えます。
なお、ブラックベイ58の「58」は、1958年に登場したRef.7924「ビッグ クラウン」にちなみます。
ビッグ クラウンはチューダーのダイバーズウォッチで、初めて200mの防水性能を持ったモデルであり、39mmという独特なサイズのケースを採用していました。
※ビッグクラウン(画像出典:出典:https://www.tudorwatch.com/)
ブラックベイ58はビッグ クラウンに敬意を表し、機能やサイズ、ドーム型ダイアルなどを踏襲しつつ、新たなダイバーズウォッチのスタイルを切り拓くモデルなのです。
ブラックベイ58が発表された2018年は、ビッグ クラウン誕生60周年の節目の年でした。
ちなみに、チューダーは日本で長らく「チュードル」と呼ばれていました。
奇しくもブラックベイ58がリリースされたのと同年、日本に上陸を果たしましたが、その際に国内名称が「チューダー」へと改められます。
もっとも、往年のファンはチュードル呼びが馴染んでいるかもしれませんね。
上陸以降はまさに飛ぶ鳥落とす勢いで市場での存在感を高めており、当店でも長らくチューダーの取り扱いを行ってきましたが、ファンが非常に増えたと感じ、嬉しく思う日々です。
チューダー ブラックベイ58のバリエーション
次に、チューダー ブラックベイ58の各モデルを、さらに深掘りしてご紹介していきます。
①ブラックベイ58
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径39mm
文字盤:ブラック
ムーブメント:自動巻き Cal.MT5042
パワーリザーブ:約70時間
防水性:200m
チューダー ブラックベイ58 79030Nは、2018年に登場した58シリーズの記念すべき第一弾です。
2018年のバーゼルワールドで発表された新作でもあり、この年日本初上陸を果たしたチューダーのフラッグシップモデルともなった1本です。
ブラックベイ58 79030Nは、ブラックの文字盤にブラックベゼル、アワーマーカーと針はオフホワイトです。
ベゼルに刻まれた数字はゴールドで、頂点にはレッドが差し色に入っており、ヘリテージ ブラックベイのヴィンテージ感が好きという方にはたまらないデザインになっています。
出典:https://millenarywatches.com/tudor-mt5402-caliber-guide/
ブラックベイ58 79030Nに搭載されたムーブメントMT5402は、COSCクロノメーター認証を受けた自社製です。39mmのボディに合わせて小径化されています。パワーリザーブは70時間で、視認性の高さやムーブメントの精度とともに実用性にも富んでいます。
またブラックベイ58 79030Nのベルトはステンレスブレスレットの他にもレザー・ファブリックストラップが展開されています。
ステンレスブレスレットは、昔ながらの武骨さがファンの心をくすぐるリベットブレス。使いこむことで味わいが出るレザーベルトも、リベットブレスに負けず劣らずレトロな風情をまとった仕上げになりました。ファブリックストラップもチューダーらしさが溢れています。
ブラックベイ58 79030Nの文字盤エンブレムは「盾」ですが、リューズには「チューダーローズ」が刻印されています。
秒針にもちょこんとついたスノーフレークが愛らしく、使えば使うほど愛着のわくタイムピースです。
なお、79030Nの価格はスチールブレスレットモデルが税込399,300円。レザーストラップモデルが税込365,200円、ファブリックストラップモデルも税込365,200円です。
②ブラックベイ58 79030B
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径39mm
文字盤:ネイビーブルー
ムーブメント:自動巻き Cal.MT5042
パワーリザーブ:約70時間
防水性:200m
ブラックベイ58 79030Bは、2020年新作として発表された、ファン待望のフィフティーエイト2作目です。
チューダーの腕時計を象徴するカラーでもある、チューダーブルーと呼ばれるネイビーブルーが特徴です。
79030Bは、長らく海軍に信頼され採用され続けたチューダーの歴史を物語るがごとき重厚さと、海風が薫るような爽やかさを備えたデザインとなりました。
ブラックベイ58シリーズということで、ビッグ クラウンのリバイバルとして39mmサイズも引き継いでいます。
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チューダーブルーは、ロレックスとはまた違った象徴的なカラーでもありますね。
もともとブラックベイは、チューダーサブマリーナのオマージュとして誕生したという経緯があります。
チューダーサブマリーナは、その名からも明らかなように、ロレックスのサブマリーナが原型になっています。ロレックスのサブマリーナがブルーを採用したのは1980年代ですが、チューダーサブマリーナがブルーを採用したのは1960年代。手に入りやすいステンレススティールモデルに、ブルーは使われていました。
そのため、長らく本家ロレックスでは手に入らない、チューダーのダイバーズウォッチを象徴するカラーでもあったのです。
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こういった背景もあってか、ブラックベイ58の中でも79030Bは、よく晴れた日の穏やかな海を思わせます。短針と秒針のスノーフレーク(イカ針)が映える、すっきりとしたデザインも素晴らしいですね。
バリエーションはリベットのステンレスブレス、ネイビーブルーにホワイトステッチが清々しいレザーストラップ。そして、ネイビーブルーにホワイトラインのファブリックストラップの3種類です。
ちなみに、2020年は、チューダーがファブリックストラップを採用して10周年という記念の年でした。
ブラックベイ58が採用するファブリックストラップには、フランスのサン・テティエンヌ地方で150年以上もの間受け継がれてきた、ジャガード織技法が活かされています。
ジャガードは細い糸を大量に使用した、高密度で模様も織り込まれた肌触りの良い織物。
一般的なファブリックストラップとは、格段に違う着け心地を実感できるでしょう。
価格はスチールブレスレットモデルが税込399,300円、レザーストラップモデルが税込365,200円、ファブリックストラップモデルも税込365,200円です。
③ブラックベイ58 79010SG
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スペック
外装
型番: | 79010SG |
ケースサイズ: | 直径39mm |
素材: | シルバー925 |
文字盤: | トープ色 |
ムーブメント
ムーブメント: | Cal.MT5400 |
駆動方式: | 自動巻き |
パワーリザーブ: | 約70時間 |
機能
防水: | 200m |
予価: | 467,500円(税込) |
ブラックベイ58 79010SGは、Watches & Wonders Geneve2021で発表された、新たなブラックベイ58のうちの1本です。素材にシルバー925を採用したことでファンたちを唸らせました。
シルバーは一般的に加工しやすい代わりに柔らかく、すぐに酸化して黒ずんでしまうと言われています。もっとも、シルバー925を用いた装飾品はかなりポピュラーです。
このシルバー925と言うのは、銀の含有量が92.5%の銀素材で、スターリングシルバーと呼ばれることもあります。チューダーのブラックベイ58でも、この含有量が採用されています。残り7.5%にさまざまな合金を使用することで、シルバー自体の強度を高めたり、変色を防いだりする試みが近年、各社で進んでいます。
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ブラックベイ58 79010SGの文字盤カラーはトープ。フランス語で「モグラ色」という意味になり、ブラウンを含んだ温かみのあるグレーになります。
何ともいえない上品なカラーが、チューダーの歴史の重みを語り掛けるようなタイムピースとなりました。
ブラックベイ58 79010SGのアワーマーカーやスノーフレーク(イカ)針がアクセントになっており、ラグのシルバーが光の加減で織りなす陰影と柔らかく馴染みます。
文字盤には盾、リューズにはチューダーローズが刻印されています。
さらに、ブラックベイ58 79010SGは、ブラックベイ58で初のシースルーバック仕様を採用したモデルでもあります。
透かしの入ったローターなど、チューダー渾身の自社製ムーブメントMT5400が裏蓋部分から観察できますよ。
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ブラックベイ58 79010SGにセットされるベルトは2タイプです。
チューダーの誇るジャガード織技法を活かしたファブリックストラップは、ベゼルや文字盤とかなり近いトープがかったグレー。
中央に織り込まれたホワイトのラインが、アワーマーカーや針のホワイトと一体感を生み出し、ファブリックの「安っぽさ」を払拭しています。
ブラックベイ58 79010SGのために織られたストラップである、ということがひと目でわかる組み合わせです。
レザーベルトは、よく耕された黒土のように豊潤なダークブラウンに、ホワイトでステッチを入れています。
これも温かみのあるブラックベイ58 79010SGのトープカラーのベゼルや文字盤と、極上の調和を生み出すカラー配置ですね。
ブラックベイ58 79010SGはファブリックストラップモデル、レザーストラップモデルの価格ともに税込467,500円です。
④ブラックベイ58 79018V
出典:https://www.tudorwatch.com/ja
スペック
外装
型番: | 79018V |
ケースサイズ: | 直径39mm |
素材: | 18Kイエローゴールド |
文字盤: | グリーン |
ムーブメント
ムーブメント: | Cal.MT5400 |
駆動方式: | 自動巻き |
パワーリザーブ: | 約70時間 |
機能
防水: | 200m |
予価: | 1,823,800円(税込) |
ブラックベイ58 79018Vは、Watches & Wonders Geneve2021に発表された、2本の新作ブラックベイ58のうちの1本です。
2021年はグリーンの当たり年でした。ロレックスをはじめ、パテックフィリップ、オーデマピゲ、ジャガールクルト、H.モーザー、IWC、ブライトリングなど数多くのメゾンがグリーンの腕時計を発表したのです。
チューダーのブラックベイ58もそのひとつ。
シルバー925を使用したトープカラーのブラックベイ58 79010SGと同時に発表したモデルが、グリーンのブラックベイ58 79018Vです。
ブラックベイ58 79018Vはイエローゴールド製のケースに、マットなモスグリーンの文字盤・ベゼルを合わせています。
リーズナブルな路線が基本のチューダーとしては珍しい、金無垢ケースとなりました。
金無垢といっても兄のロレックスのゴールド使いとはまた異なった魅力が、チューダーらしさを表現しています。
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ブラックベイ58 79018Vはイエローゴールドの明るさをかなり抑え、落ちついたレトロ感あふれるゴールドに仕立てられました。
ブラックベイ58 ならではの、むき出しのリューズとの相性もぴったりです。
ブラックベイ58はドーム型の文字盤とドーム型のサファイアクリスタル風防が、立体的に見せる点が特徴です。上から見ると文字盤とベゼルの間に、クリスタルの環がはめ込まれているようにも見えます。この意匠がブルーモデルをアクアリウムのように見せるのですが、モスグリーンの同機はよく手入れされたテラリウムのよう。
ブラックベイ58 79018Vは古き良き、優しい輝きを放つイエローゴールドのケースと、温かみのあるモスグリーンもパーフェクトなバランスです。
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また2021年新作ということで、ブラックベイ58 79010SG同様にシースルーバック仕様となっており、MT5400を裏側から鑑賞できます。
ブラックベイ58 79018Vの価格は金無垢素材ということで、チューダーではかなり異例な税込1,823,800円です。
その代わり、他のブラックベイ58シリーズではモデルごとにベルト素材が違っていましたが、ブラックベイ58 79030Nではレザーとファブリックのストラップがセットになっています。
レザーは深みのあるダークブラウンのアリゲーターレザーストラップ。
ファブリックストラップはグリーンがベースでゴールドのラインが入ったデザインです。
チューダー ブラックベイ58の実勢相場
チューダー ブラックベイ58の実勢相場をチェックしてみましょう。
チューダーはロレックスのパーツを用いた弟分として誕生しましたが、ディフュージョンブランドということもあり、30万円~40万円が中心的な価格帯です。(それだけに、金無垢モデルとして誕生したブラックベイ58 79018Vの価格がいかに特別なのかがハッキリ分かりますね。)
プライスレンジが30万円~40万円というブラックベイ58シリーズですが、人気の高いモデルについては実勢相場が定価を超えてきています。
もっとも高い時期には、50万円を上回りました。
路線を変えてきても、ロレックスと血を分けた兄弟、というところでしょうか。
初代ブラックベイ58として2018年にリリースされた79030N(ブラック)のスチールブレスレットモデルは、リベットブレスの人気もあり中古価格が定価を超えてきています。
そのため今や正規店ではなかなかお目にかかれないレアモデル。これに比例して実勢相場は上昇ラインを描いており、ブラックベイ58 79030Nは、状態の良い個体だと中古であっても40万円台後半という高値が付けられることに、
また2020年に登場した79030B(チューダーブルー)モデルも、中古であっても定価超えの40万円台~という相場感です。
出典:https://www.facebook.com/tudorwatch/photos/
ちなみに5月に発表された最新のセラミック素材ブラックモデルは、58シリーズではないもののブラックベイでした。
また4月のW&W2021で発表されたブラックベイ58シリーズの新モデルも、シルバー925やイエローゴールド&グリーンと、注目の素材・カラーを使っています。
もともとアイコンウォッチとして人気の高かったチューダー ブラックベイですが、2021年一気にラインナップが拡充され、多くのメディアにも取り上げられました。
今後ますます注目度が高まることが確実なモデルと言えるでしょう。
注目度に合わせて、実勢相場の変動もチェックしていきたいところです。
まとめ
ブラックベイ58は、チューダーの古き良きダイバーズウォッチの系譜を忠実に再現しつつ、新しいチューダーの進む方向性も考えさせる、まさに分岐点にあるモデルです。
チューダーらしいレトロ感や落ち着いた風情、リベットブレス、さらに重厚なファブリック遣いなどは、チューダーファン垂涎のラインナップ。
しかし進化を続けるムーブメントやどんどん美しさを増すカラーバリエーション、新素材の導入や絶妙なサイズ感など、新たに刮目すべき点も満載です。
2018年に生まれ、2020年、2021年とコロナ禍に負けず拡充を続けるブラックベイ58シリーズの今後に、更なる期待が高まります。
当記事の監修者
新美貴之(にいみ たかゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 店舗営業部 部長
1975年生まれ 愛知県出身。
大学卒業後、時計専門店に入社。ロレックス専門店にて販売、仕入れに携わる。 その後、並行輸入商品の幅広い商品の取り扱いや正規代理店での責任者経験。
時計業界歴24年