2021年7月末、世界最大級のECプラットフォームとして高名なChrono24(クロノ トゥエンティーフォー)から、2021年上半期(2021年1月1日~同年6月27日)、世界の時計ブランドランキングが発表されました。
その第四位にわが国が誇るセイコーがランクインしていたことで大きな話題となっていましたが、時計好きなら「人気ブランド」や「人気モデル」の傾向も気になるところ。
近年では高級時計市場の拡大に伴い、需要の高まりと比例するようにして実勢相場が上昇し続けている背景があります。すなわち、今年一年の人気の傾向を知ることは今後の購買計画を立てるうえで、重要なトピックです。
そこでこの記事では、Chorono24が発表した世界の時計ブランドランキングをご紹介するとともに、2022年も人気が出るであろう高級時計ブランド・モデルを予測してみました!
目次
Chrono24より2021年上半期に世界で最も人気のある高級時計ブランドを発表
Chrono24とは、2003年に設立された高級時計専門のECプラットフォームです。越境ECを行っており、その規模は世界最大級。22か国の言語に対応していることも驚きに値しますが、商品到着の14日以内であれば理由を問わず返品受付を行う,返品時にはスムーズに全額返金処理が成されるといった買手保護制度を導入していることからも、その手厚さは唯一無二の存在と言っていいでしょう。
なお、Chrono24のアプリではお手持ちの腕時計をスキャンすることで、モデルの詳細スペックを識別する「ウォッチスキャナー」や所有時計を登録することで現在の相場や購入後からの価格推移をグラフで確認できる「ウォッチコレクション」といった独自サービスも展開しており、自社の世界最大のデータベースをもとに、実際の売買のみならず時計ライフをサポートしてくれる体制もまた高い評価を得てきました。
そんなChrono24が、2021年1月1日~同年6月27日までのリクエスト数に基づき、世界で人気の高級時計ブランドランキングを作成しました。その概要を、本項ではご紹介致します。
※リクエスト数・・・ユーザーがChrono24において商品購入をリクエストした数
①世界の時計ブランドランキング、1位はロレックス!2位は?
Chrono24が発表したリクエスト数に基づく世界の高級時計ブランドランキングは、下記の通りとなりました。
※Chrono24上でのリクエスト数に基づく
なお、シェア率とは前述した商品購入リクエストで、当該ブランドが占める割合を指し示しています。
また、主要国のトップ3も発表されました。
※Chrono24上でのリクエスト数に基づく
世界全体で見ても国別で見ても、いずれも第一位はロレックスであることがわかります。
シェアを前年比で比べると若干下落してはいるものの2位以下と圧倒的な差をつけており、万国共通での人気の程が伺い知れますね。なお、国別に見てもそのシェアはほぼ3分の1となっており、日本でも32%、ドイツに至っては40%のシェア率であったとのことでした。
しかしながら2位以下を見ると、アジア圏と欧州・米国圏では様相が異なりますね。
まず、欧州圏では2位にオメガが並んでいるにもかかわらず、日本では2位にオーデマピゲ,3位にパテックフィリップと続きます。香港では2位にパテックフィリップ,3位にオーデマピゲでした。
もっともChrono24はまだまだ欧米圏のユーザーが多いこともあってか、全体ランキングでは3位のブライトリングに2倍以上のシェア率を誇る形で、オメガが2位にランクインすることとなりました。
また、わが国が誇るセイコーが第四位となったことは、大変誇らしいですね。
Chrono24は取扱い商品の3分の2が中古品となっており、またその価格帯の幅も広くなっています。歴史あるセイコーは現行品やハイエンドのグランドセイコーはもちろん、1960年代~1970年代を中心としたヴィンテージ製品も国内外で人気を集めているため、売買が活発に行われてきたのでしょう。
なお、Chrono24のサイトには常時ブランドトップ10として、ロレックス,オメガ,パテックフィリップ,オーデマピゲ,ブライトリング,タグホイヤー,IWC,ウブロ,カルティエ,セイコーが並んでいます。
②世界の時計モデルランキング、1位はロレックス デイトジャスト!2位は?
Chrono24は、モデルごとのリクエスト数ランキングも公表しました。人気ランキングは、以下の通りです。
※Chrono24上でのリクエスト数に基づく
第一位のデイトジャスト,第二位のサブマリーナは2020年と同様です。
現在、人気のロレックスと言うとスポーツモデルが挙げられますが、実は世界で最も所有率が高い高級時計と言えばロレックス デイトジャストです。1945年から続くロングセラーであること。加えてメンズ・レディース問わず幅広い年齢層から愛され続けてきていることが、大きな理由でしょう。今後もこの不動の地位は、なかなか他モデルに譲らないのではないでしょうか。
2020年には5位であったオメガ スピードマスターのランキングが3位になった点も、特筆すべきですね。
スピードマスターはオメガのフラグシップであり、もともとロレックス デイトナと並んでクロノグラフの代名詞的存在でした。また、スピードマスターはNASAの公式装備品として、アポロ計画の月面着陸に携行されていたことから、ムーンウォッチの称号をも持ち合わせます。
2019年にはアポロ11号の月面着陸から50周年ということでアニバーサリーモデルを、次いで2020年に伝説のレマニアCal.321を忠実に復刻。その後の2021年には最新世代のスピードマスターとしてマスタークロノメーター認定ムーブメントCal.3861を発表するなど、意欲的にコレクションのテコ入れを行っており、結果として注目度が格段にアップしたことも背景としてあるでしょう。
なお、Chrono24ではケース素材の人気傾向も分析されており、リクエスト数の70%がステンレススティールで、圧倒的な人気を誇ることが発表されたとともに、次いでゴールド×ステンレススティールのコンビ、第三位としてイエローゴールドがランクインする結果となったようです。
また、文字盤に関しては第一がブラックで42%のリクエストシェア率,第二位はブルーで15%,第三位がシルバーで13%とのことでした。
東京 銀座で最も人気のある高級時計ブランドとは?
最後に、東京 銀座に高級時計専門店を構えるGINZA RASINでの、2021年上半期の人気ブランドをご紹介致します。
当店でも、例年圧倒的な人気を誇るのがロレックスです。恐らくこのままいけば、2021年全体を通して第一位の座は変わらないことでしょう。
2位はウブロ,次いでオーデマピゲ,パテックフィリップが続いています。
なお、当店でも取り扱いの多いセイコーは、全体で見ると13位でした。ただしメインはグランドセイコーとなります。
モデル別に見ても圧倒的にロレックスがシェアを誇っており、第一位はデイトナ 116500LN,第二位はエクスプローラー 214270,第三位はデイトナの旧型116520となっております。
これら人気モデルは実勢相場も比較的高く、ロレックスに至っては定価の二倍以上を付けるプレミア価格となっている個体が少なくありません。一方でリセールバリュー(資産価値)も高いことから「売りやすく買いやすいモデル」として、2021年も活発な売買が見込まれることでしょう。
まとめ
世界最大の高級時計専門マーケットプレイスが発表した「世界の人気高級時計ランキング」をご紹介するとともに、その内訳や当店GINZA RASINでの人気ブランド・モデルをご紹介致しました。
文中でも言及しているように、やはりロレックスの人気は圧巻。一方で地域差も見られており、今後Chrono24がますます世界のマーケットでの重要度を増した場合、ランキングにも変化が見られるかもしれません。
いずれにせよ、腕時計の世界的な需要が過去類を見ないほど高まっている時代。もし気になる一本がある方は、早めのご決断をお勧めします!
当記事の監修者
田中拓郎(たなか たくろう)
高級時計専門店GINZA RASIN 取締役 兼 経営企画管理本部長
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
当サイトの管理者。GINZA RASINのWEB、システム系全般を担当。スイスジュネーブで行われる腕時計見本市の取材なども担当している。好きなブランドはブレゲ、ランゲ&ゾーネ。時計業界歴12年