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WEBマガジン, 田所孝允, オメガ, タグホイヤー, グランドセイコー, セイコー, シチズン, アンティーク時計

レトロでフューチャー!1970年代のヴィンテージ時計まとめてみました

最終更新日:

オメガ スピードマスター マークII

トランジスタによってコンピューターが開発されたことで、大きく生活や経済活動が様変わりした1970年代。

当時は米ソ東西で宇宙開発競争の真っただ中にあったことも影響して、数々のSF作品が生み出されました。人々が、思い思いに明るい未来を描いていた時代です。

この世相はプロダクトにも反映され、スぺ―シー(宇宙的)で近未来的なデザインが流行することになりました。

当時のこういったデザインは「レトロ・フューチャー」と称され、今、再び耳目を集めつつあります。

そこでこの記事では、1970年代に生み出された、レトロ・フューチャーな時計をまとめてみました!

この時代のデザインは本当に独特。それ以前とも、以後とも全く異なる世界観を作り上げており、好きな方には刺さること間違いなしの銘品揃いとなっております。

 

1970年代のヴィンテージウォッチ①オメガ スピードマスター

オメガ スピードマスター マークII

出典:https://www.omegawatches.jp/

現代でも抜群の人気を誇るオメガですが、1970年代の名作もまたよく知られています。

とりわけ1965年、NASAの公式装備品として宇宙開発に携行されたスピードマスターは、スぺ―シーの代名詞的な存在となりました。

とは言えベーシックモデルに当たるムーンウォッチ(スピードマスター プロフェッショナル)は、初代から一貫してデザインコードを踏襲しており、そこまでの奇抜さはありません。

 

注目したいのが、スピードマスターの派生モデルです。

これはオメガだけに限った話ではありませんが、1969年にクォーツ式時計がセイコーから発売されると、1970年代はいわゆる「クォーツショック」の時代に突入することとなりました。量産しやすく高精度を出しやすいクォーツ式時計の誕生は、機械式時計からシェアをどんどん奪っていくことになります。

1950年代~60年代の機械式時計黄金時代とは打って変わって苦戦を強いられるメーカーも出てきます。オメガもまた決して楽観できる状況下ではなく、一時はセイコーからの買収話が上がったとか。

一方で力強い未来を描ける時代でもあったことから、各社がこれまでとは全く違った挑戦に果敢に取り組んだ時代でもあったのです。

オメガ スピードマスター ヴィンテージ

出典:https://www.facebook.com/pg/omega/photos/?ref=page_internal

実はオメガもクォーツ式時計の開発に取り組んでおり、セイコーとタッチの差となる1970年のバーゼルワールドでクォーツアナログウォッチを発表していました。

加えて伝統的な機械式時計も連綿と作り続けており、1970年代はまさにレトロフューチャーな個性派クロノグラフをリリースしたり、レトロフューチャーなうえに600m防水を誇るプロフェッショナルモデルを開発したりと、試行錯誤の結果生まれた名作を味わうこともできるのです。

比較的流通していることからも、1970年代のヴィンテージウォッチを買おうと思った時、まずオメガを候補に上げる方も少なくないでしょう。

この人気ゆえに市場価値がジワジワ高騰しており、高くなる前に買っておきたいヴィンテージウォッチでもあります。

オメガ スピードマスター ヴィンテージ

なお、この年代に限らずオメガのヴィンテージウォッチが人気である理由の一つに、年式を経てなお普段使いに耐えうる高い性能、というものがあります。

オメガは1970年代、既にその時計製造技術を熟成させていました。ムーブメントの信頼性の高さはもちろん、ケースやブレスレットの堅牢性,取り回しの良さは、屈指と言って良いでしょう。

前述の通りよく流通しているということはそれだけメンテナンスノウハウも出回っているため、何らかの不具合があった時に購入店や時計修理店で対応できるケースが少なくありません。こういった「普段使いできる安心感」は年式の古い個体を購入するうえで、重要なポイントとなってきます。

前置きが長くなりましたが、まずオメガのフラグシップ・スピードマスターの中でも、1970年代を代表する名作で、かつレトロフューチャーな逸品をご紹介致します。

 

スピードマスター プロフェッショナル マークII ST145.014

スピードマスター プロフェッショナル マークII Cal.861 ST145.014

素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径42mm
駆動方式:手巻き
ムーブメント:Cal.861
製造期間:1969年頃~1972年頃

これぞレトロフューチャー!1970年代に沸いた、宇宙への憧れの体現!そんな思いに駆られるのが、こちらのスピードマスター マークIIです。

スピードマスターは1957年に誕生しています。

前述の通り「ムーンウォッチ」として高名ですが、もともとはモータースポーツをコンセプトに開発されました。

1940年代~1960年代は各社でクロノグラフ製造が盛んに行われたこと(レースに計時は欠かせない)。加えて1950年代はF1世界選手権がスタートし、かつ今なお名が残るスーパーカーが輩出され、人々がスピードに沸いた時代であったことからも、時計にレーシーなデザインが採用されるに至ります。

スピードマスターも御多分に漏れず、なのですが、レーシー・デザインがレトロフューチャーと相性が良かったのか、1970年代のスピードマスターはクロノグラフと近未来的テイストが融合した、銘品揃いと言って過言ではありません。

オメガ スピードマスター プロフェッショナル マークII Cal.861 ST145.014

中でもマークIIモデルは、ふんわりとした流線型ケースフォルムに計器然とした文字盤が、本当にイケてますよね。誕生当初はレーシングモデルではなく、パイロットウォッチのコンセプトであったようです。

流線型ケースは少なくありませんが、ラグを持たないためこの独創性を獲得しているのでしょう。

ちなみに1970年代以降は派生スピードマスターを始め、オメガは数々のコレクションを世に送り出すこととなりますが、その先駆けとなったのがこちらのマークIIと言われています(プロフェッショナルモデルがマークIの位置づけ)。

もっとも、マークIIモデル人気に火が付いたのは、結構最近です。当時はデザインが最先端すぎたか、3年ほどで生産終了しています。
ではなぜ今になって人気が出ているのか。

近年では「クラシック回帰」が多くの業界でトレンドの一つとなっていますが、これを受けて歴史あるブランドは、往年の名作のリバイバルに取り組んでいます。オメガでは、このマークIIのデザインを2014年、Ref.327.10.43.50.06.001として復刻させました。

これが大受けしたことで、オリジナルモデルにも人気が集まっていると言うわけです。

スピードマスター マークIIダイアル

※上記画像は復刻したRef.327.10.43.50.06.001

ちなみに今回、1970年代のヴィンテージモデルとしてスピードマスター マークIIモデルを真っ先にご紹介したのは、理由があります。それは、よく出回っている手巻きCal.861を搭載しているため。

第五世代のスピードマスター プロフェッショナルにも搭載されたことから信頼性高く、またメンテナンス性にも優れているため、初めてこの年代の時計をご購入になる方にとっても、選択しやすい一本ではないでしょうか。

 

とは言え僅か3年の製造期間ゆえに、市場の流通が限られており、お探しして必ずしもご希望の状態の個体に出会える、というわけではありません。
そのため本当に欲しい方は、見つけて、それが条件に合えば、すぐご決断されることをお勧め致します。

実勢相場は状態にもよりますが、だいたい30万円~50万円程度。年々高騰している個体でもあります。

 

オメガ スピードマスター プロフェッショナル マークII ST145.014

画像:スピードマスター プロフェッショナル マークII ST145.014

また、ベーシックな黒文字盤のモデルも存在します。

こちらはグレー×オレンジモデルよりかはお求めやすい価格帯で販売されていることも多いです。

 

②スピードマスター プロフェッショナル マークIII ボルケーノ ST176-002

スピードマスター プロフェッショナル マークIII ボルケーノ ST176-002

素材:ステンレススティール
ケースサイズ:縦52mm×横41mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.1040
製造期間:1970年代

オメガ初の自動巻きクロノグラフとして誕生したのが、スピードマスター マークIIIです。

マークIIよりもさらにさらにダイナミックなケースフォルムにまず目を惹かれますが、これは同時代(1969年~)に製造されていたフライトマスターと同様のケースを使っています。

フライトマスターはスピードマスターの派生コレクションで、パイロットウォッチシリーズです。

横から見ると、そのボリュームがよくおわかり頂けるでしょう。このフォルムから、ボルケーノ(火山)の愛称でも親しまれています。

スピードマスター プロフェッショナル マークIII ボルケーノ ST176-002

初の自動巻きCal.1040とは言え、ベースは前項でご紹介したCal.861となっています。

1974年頃にCal.1045が開発され、モデルは「スピードマスター オートマティック」へと変遷していきますが(型番は同様に ST176)、それまではこのCal.1040がオメガの自動巻きクロノグラフ人気を支えることとなりました。

実勢相場は状態にもよりますが、30万円前後~40万円台程度。

しかしながらマークIIIもまた決して市場流通量は多くはなく、今後さらにジワジワと高騰していくことは想像に難くありません。

 

③スピードマスター 125周年 Cal.1041 378.0801

スピードマスター 125周年 Cal.1041 378.0801

素材:ステンレススティール
ケースサイズ:縦51mm×横42mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.1041
製造期間:1973年

1973年、オメガ創業125周年を記念して2000本のみ特別製造された、スピードマスター125です。

スクエアフォルムのケースにかなり大振りなコマを有したブレスレットが、他のスピードマスターとは全く異なる独創性を有しますね。

このレトロフューチャーなデザインもさることながら、周年モデルと言うことで、Cal.1040をチューンアップしてクロノメーター認定機としたCal.1041が搭載されることとなりました。なお、これは世界初クロノメーター認定自動巻きクロノグラフともなります。

外装デザイン、ムーブメントの両面からもアニバーサリーモデルとして堂々たる風格を持っていると言えますね。
ちなみにソ連側の宇宙飛行士もスピードマスターを愛用していたと言われていますが、そのうちの一人ウラジーミル・ジャニベコフ氏がこのスピードマスター125を着けていたとか。

2000本限定生産であったことからなかなか市場には出回りませんが、1970年代ヴィンテージファンとしてもオメガファンとしてもチェックしておきたい逸品です。

1970年代のヴィンテージウォッチ②オメガ シーマスター

オメガ シーマスター プロプロフ

出典:https://www.omegawatches.jp/ja/

1957年、前項でご紹介したスピードマスター,そしてレイルマスターとともに誕生したのがシーマスターです。現在ではスピードマスターと並んで、オメガ屈指の人気コレクションとなっていますね。

とは言えそのプロトタイプは1948年に既に出来上がっており、第二次世界大戦下の連合国軍側の要請のもとに製造した軍用ダイバーズウォッチ「マリーン」がもとになっていると言われています(ちなみにさらに遡って1932年、防水仕様の角型ケースを持つドレッシーな「マリーン」は既に製造されていましたから、オメガの当時から完成された時計製造技術には目を見張るものがあります)。

とは言えオールド・オメガのシーマスターは現在の「スポーツモデル」と言うよりかは、アクティブにもタウンユースにも用いることのできる一本として販売されていました。そのため薄型3針といったベーシックなデザインが多くラインナップされていました。

一方でやはり1970年前後になると、派生モデルが展開されていったのはスピードマスターと同様です。また、宇宙だけではなく深海等の人類未踏の地へのチャレンジが果敢に行われた時代であったことから、より深い水圧での使用を想定した高防水・高耐久モデルもリリースされます。

1970年代を彩る、レトロでフューチャーなシーマスターをご紹介致します。

 

①シーマスター クロノグラフ 176.007

オメガ シーマスター クロノグラフ 176.007

素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径39mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.1040
製造期間:1970年代

スピードマスター マークIIIで「オメガ初の自動巻きクロノグラフ」としてご紹介したCal.1040ですが、後にシーマスターにも搭載されることとなりました。それが、こちらの176.007です。

ケース直径39mmとマークIIIに比べるとボリュームは抑えられているものの、やはり独特なフォルムと文字盤レイアウトが、1970年代ヴィンテージならではの味わいを感じさせますね。

ちなみに9時位置は24時間デイ・ナイト表示が搭載されていますが、青とグレーに色分けされているため、視覚的にもわかりやすいですね。

実勢相場は20万円台~となっておりますが、やはり稀少性はきわめて高いため、見つけた時が買い時です。

 

②シーマスター 120 ディープブルー 166.073

シーマスター 120 ディープブルー 166.073

素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径41mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.565
製造期間:1969年~1970年代

「シーマスター120」と聞くと現行アクアテラの系譜を引くエレガントな、1980年代のモデルを思い浮かべる方も多いかもしれません。
しかしながらそれ以前は、120m防水を持つシーマスターといった意味合いで、多種多様な派生モデルが存在していました。

そんな120m防水シーマスターの一つが、こちらのモデルです。
「ディープブルー」の文字通り、深みのあるブルーの文字盤・ベゼルカラーが印象的な一本ですね。

120m防水を堅持するケースは肉厚で、それがまたレトロフューチャーな顔立ちに一役買っていますね。

高い防水性を有するということはそれだけムーブメントが守られていることを示唆しており、経年の影響が非防水モデルと比べて少ない傾向にあるのも嬉しいところ(当時と全く同じ防水性を有するわけではありませんが)。

実勢相場は40万円台~50万円超となっており、やはり年々相場を上げていっています。

 

③シーマスタープロプロフ600m ST166.0077

シーマスタープロプロフ600m ST166.0077

素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径55mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.1002
製造期間:1970年~

現行オメガの中で屈指の防水性1200Mを誇る、プロプロフのオリジナルは1970年に製造されました。
それが、こちらのST166.007系です。

現在のプロプロフに続く肉厚ケースにリューズガード,そして2時位置の逆回転防止ベゼル用の制御ロックが本当にアイコニックですよね。ちなみにこのリューズガードやロック式回転ベゼルは現行にも引き継がれています。

プロプロフは、かの有名なCOMEX(コメックス)とダイバー用に共同開発されました。
COMEXとはフランスの潜水作業専門会社で、ロレックスのシードゥエラー開発も担ったことで知られていますね。

プロプロフの名前は、仏語のPLOngeur PROFessionnel(英語だとProfessional Diver in French)にちなんでいるとのことです。

潜水中の視認性に考慮した巨大なベゼルや針が、力強い1970年代を感じさせます。

1970年代のヴィンテージウォッチ③タグホイヤー(ホイヤー)

タグホイヤー ヴィンテージ

出典:https://www.tagheuer.com/jp/ja/

1860年の創業以来、技術開発には一家言持ってきたタグホイヤー(当時はホイヤー)。

1887年、振動ピニオンを発明し、その後のクロノグラフ史に大きく貢献することとなりました。そしてこのクロノグラフこそが同社のアイデンティティの一つとなり、また1970年代のレトロフューチャーなヴィンテージモデルに華を添えることとなります。

※振動ピニオン・・・クロノグラフのスタート・ストップ制御のためのパーツで、当時の制御方式をよりシンプルにできないか模索した結果生まれた機構。振動ピニオンによってクロノグラフ製造の量産やメンテナンス性は大いに向上しました。なお、この振動ピニオンは今なお用いられており、同社でもキャリバー1887で採用しています。

 

20世紀初頭は計時技術への要請が高まったことから、各社がクロノグラフの開発・量産化に熱心に取り組んでいた時代です。

当時から時流を読むことに長けていたタグホイヤーもまたクロノグラフ開発を意欲的に行っていき、1911年の「タイム・オブ・トリップ」(車両のダッシュボードに搭載できる高精度クロノグラフ),1916年の「マイクログラフ」(1/100秒計測が可能なクロノグラフ。価格が抑えられたことも話題となった)等、名機の数々を世に送り出していきました。

タグホイヤー ヴィンテージ

出典:https://www.redbulletin.com/watches/en/Events/baselworld-2017-new-vintage-look-wristwatches

早い段階からクロノグラフに注力していた同社は、1960年代からは本格的にシリーズ化を図っていきます。
1962年には冒険家のためのツールとして「オータヴィア」を、1963年にはスペインのモーターレース「カレラ・パンアメリカーナ・ラリー」をリスペクトした「カレラ」シリーズを展開していくことに。

1969年にはハミルトン・ブライトリングらと共同してマイクロローター搭載自動巻きクロノグラフCal.11を発表。同時に世界初角型防水ケースに収められたクロノグラフモデル「モナコ」をリリースします。

※ラウンドケースのモデルは防水時計が出回っていましたが、角型はタグホイヤーが先鞭をつけました。角型ケースはどうしても角部分の防水が甘くなり、また丸型と異なり裏蓋のねじ込みが行えなかったためです。

 

このように秀逸なクロノグラフモデルによって人々を魅了していったタグホイヤー。

1970年代に製造されたモデルをご紹介致します。

なお、現在の社名は1985年以降です。

TAGグループからの資金援助を受け、タグホイヤーへと変更することとなりました。

 

①カリキュレーター クロノグラフ 110.633

カリキュレーター クロノグラフ 110.633

素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径46mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.12
製造期間:1970年~

ダイナミックな肉厚ケースに、計器然とした顔立ちがレトロフューチャーなカリキュレーターがこちらです。
カリキュレーターとは計算機のことで、ベゼルと回転ベゼルの両方に単位換算用のメモリが記されていることが大きな特徴となります。

直径46mmと1970年代製品としては非常に大型となりますが、だからこそ当時もまた「人と被らない」唯一無二のデザイン性を獲得していたことがわかりますね。

搭載するムーブメントはCal.12。

前述したクロノマチック Cal.11をチューンアップした機械で、従来19,800振動/時であったビートを21,600振動/時へと高速化させました。

 

タグホイヤー カリキュレーター クロノグラフ 110.633

画像:タグホイヤー カリキュレーター クロノグラフ 110.633

なお、文字盤にカラーバリエーションがあるため、お好みの一本を選びやすいですよね。

もっとも、当該モデルもまた稀少価値は年々高まっており、状態が良い個体は60万円を超える値付けとなることも。
貴重な1970年代ヴィンテージウォッチの一つと言えるでしょう。

 

②シルバーストーン 110.313

タグホイヤー シルバーストーン 110.313

素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径42mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.12
製造期間:1974年

あまりの人気から、1983年・2010年の二度に渡って復刻モデルがタグホイヤーから製造された「シルバーストーン」のオリジナルです。

スクエアケースにシンプルながらメカニックなインダイアルを備えており、まさに1970年代を代表する名作の一つとなっております。

ちなみにシルバーストーンとはイギリスにあるレースサーキットのことです。

ハイビート化されたCal.12を搭載しており、1970年代の性能への訴求を感じられる名機でもあります。

1970年代のヴィンテージウォッチ④セイコー

セイコー プロスペックス

出典:https://www.seikowatches.com/jp-ja/special/heritage/

1970年代の国産時計は、本当に面白いと言わざるを得ません。

1969年、クォーツ式腕時計をセイコーが市販化したことを皮切りに時計業界を大きく変えていくことになりますが、それは国産時計ブランドが「オートメーション化」「電子化」ノウハウに非常に長けていたためです。

そしてその流れを牽引したのが、セイコーでした。

 

セイコーは1881年に創業します。もともとは服部時計店として輸入時計の販売や修繕を行っていましたが、1892年より時計製造工場「精工舎」を設立。以降、精巧な腕時計を製造していき、国産時計の礎を築き上げることとなりました。

第二次世界大戦後、舶来品の輸入が一時ストップし、一方で市場の腕時計のニーズは高まります。

また、1964年の東京オリンピック開催に向けて、国産メーカーが計時技術を磨く時代に突入すると、セイコーは優れた生産ラインをいち早く確立して、ますますウォッチ製造に注力していくこととなります。

そうして1969年に世界初量産型クォーツ式時計「アストロン」を発売すると、以降はクォーツや電子ウォッチを中心に、多彩なコレクション展開を行っていくこととなりました。

セイコー クォーツ 初代アストロン

画像:初代セイコークォーツ アストロン

1970年代に限らず、オールド国産時計の嬉しいポイントは、国内市場であるがゆえによく出回り、舶来品と比べると価格高騰が著しくないところでしょう。

もちろんかつてに比べればジワジワと相場が上がっていますが、数万円ほどで購入できる人気個体もまだあり、ねらい目と言えますね。

また、当時から既に高い性能を誇っていたがゆえに、グッドコンディションの個体を見つけやすいというメリットもあります。

それではそんなオールド・セイコーの、1970年代ヴィンテージウォッチをご紹介致します。

 

①プロフェッショナルダイバー 600 6159-7010

セイコー プロフェッショナルダイバー 600 6159-7010

素材:チタン
ケースサイズ:直径50mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.6159
製造期間:1975年~

現在もセイコー屈指のスペックと人気を誇る、プロスペックス マリーンマスター。「ツナ缶」の愛称でも親しまれていますが、そのオリジナルは1975年に製造された、こちらのプロフェッショナルダイバー 600にまで遡ることができます。

ご存知の通り、セイコーは国産初のダイバーズウォッチを世に送り出したことでも知られています。

1965年、150m防水仕様として打ち出されたファーストモデルは、当時から視認性の良い60分表示式回転ベゼルやふんだんに塗布あれた夜光を備えており、まぎれもない名作でした。

しかしながら「現在市販されているダイバーズウオッチは国産品も輸入品も300m以上の深海潜水において、高圧ヘリウム混合ガスを呼吸気体として用いる飽和潜水システムには耐えられない」といった指摘を受けて1975年に登場したのが、こちらの600m防水モデルであったというわけです。

セイコー プロフェッショナルダイバー 600 6159-7010

ダイナミックな外銅プロテクタを持つがゆえに「ツナ缶」と呼ばれることとなりますが、そのアイコニックなデザインに加えて、世界で初めてチタン素材を使用した量産型ダイバーズウォッチであることも大きな特徴です。
ステンレススティールに比べて軽量なチタン製ゆえ、その重量は120g弱に抑えられることとなりました。
ダイナミックな外装からは思いもよらない軽量感ですよね。

ムーブメントは、当時からハイビート自動巻きムーブメントとして名高いCal.6159を搭載。驚くべきことに36,000振動/時を備えており、きわめて高い精度を誇りました。

なかなか市場に出回らないレアモデルとはなるものの、実勢相場はまだ20万円台~30万円程度。
堅牢性にも優れているため、初めての1970年代ヴィンテージウォッチとしてもお勧めできる逸品です。

②グランドセイコー 61GS VFA 6185-8021

グランドセイコー 61GS VFA 6185-8021

素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径37mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.6185
製造期間:1969年~1972年

1960年、「国産時計の最高峰」「最高の精度」を志してセイコーが打ち立てたグランドセイコー。現在ではセイコーから独立しており、国内外で快進撃を続けていますね。

1970年代はクォーツ式時計が機械式時計からシェアを奪っていた時代でもあり、高級機械式時計がラインナップのメインであったグランドセイコーも、一時休眠するに至りました。しかしながら1970年前後は、機械的にも、デザイン的にも、非常に秀逸な銘品が生み出されていました。

1960年代はそのコンセプトからベーシックモデルが多かったものの、1970年前後になるとレトロフューチャーを感じさせるデザインがいくつか採用されます。
61GS V.F.A.も、そのうちの一つではないでしょうか。

グランドセイコー 61GS VFA 6185-8021

独特のエッジと優美なフォルムで形成されたケース,細やかで装着感を考慮された設計となったブレスレットを持つこちらのモデル。
国産初の自動巻きハイビートムーブメント搭載モデルとして1968年に登場していた61GSを、さらに精度面で追い込んだ特別調整品(ery Fine Adjusted)となります。

文字盤に記されたVFAの文字が誇らし気ですね。

国産初ハイビートモデルであり、かつスイスをも圧倒する高精度モデルというコンセプトは、長らく「スイスに追いつけ、追い越せ」であった国産時計産業にとって、明るい未来を描いた渾身の名機であったことでしょう。

 

③KSバナック

セイコー KSバナック

出典:https://vintageseiko.nl/store/product/king-seiko-vanac-56236-723a-sold

素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径36mm
駆動方式:メカニカル
ムーブメント:Cal.56系や52系等
製造期間:1973年~1975年頃

グランドセイコーと並んで国産高級機のメインどころを張った、キングセイコー。

グランドセイコー同様に1960年代はベーシックなモデルがほとんどですが、1970年代に入ると時勢を呼んだ、レトロフューチャーなバナックとしてリニューアルを遂げました。

ムーブメント自体は従来のキングセイコーですが、カットガラスを用いたり様々なカラーバリエーションモデルをリリースしたり、その文字盤カラーもグラデーションを効かせて独特であったり・・・

セイコー KSバナック

出典:https://vintageseiko.nl/blog/king-seiko-vanac-glitz-from-the-seventies

セイコー自身も、カラフルでオシャレな腕時計として大々的に宣伝しました。

製造期間はそう長くはないものの、まだ10万円以下で購入できる個体もあることから、人気の1970年代ヴィンテージウォッチとなっております。

1970年代のヴィンテージウォッチ⑤シチズン

シチズン ヴィンテージ

出典:https://citizen.jp/locus/

最後にご紹介するのは、セイコーと並んで1970年代、国産腕時計市場を牽引したシチズンです。

シチズンの創業は1918年と、セイコーよりも後発です。

しかしながらセイコー同様、自社で生産体制をいち早く敷き、上質な懐中時計・腕時計製造を連綿と続けてきました。ちなみに社名の由来は「永く広く市民に愛される」という志から由来しています。

 

とりわけ1970年代に入ると電子腕時計を中心に、その才能は存分に開花されていくこととなります。

例えば1970年代初頭に開発したコスモトロン。

これは電磁テンプ式時計と呼ばれるように、駆動力には電池を用いるものの、制御には伝統的なテンプを持つ、といった方式の時計です。

また、1976年には世界初となる太陽電池充電式のアナログ式クォーツ腕時計を(エコドライブの原点ですね)、少し時代は後になりますが1993年には世界初電波腕時計の開発に成功しました。

X-8 コスモトロン クロノメーター

出典:https://citizen.jp/titaniumtechnology50th/index.html

ちなみに前項のセイコー プロフェッショナルダイバー600で「世界初チタン製の量産型ダイバーズウォッチ」とご紹介致しましたが、シチズンこそがチタン製腕時計のパイオニアです。
1970年、「X-8 コスモトロン クロノメーター」で世界初となるチタン製腕時計の市販化に成功しました。

以来、チタンは同社にとって非常に特別な素材となっています。

このようにセイコーと並んで1970年代の国産時計市場を牽引したシチズンもまた、流通量が比較的多く、ヴィンテージウォッチとしてはねらい目の一大ジャンルとなっております。

 

①コスモトロン スペシャル

シチズン コスモトロン スペシャル

出典:https://citizen.jp/locus/product/057.html

素材:ステンレススティール
ケースサイズ:モデルによる
駆動方式:電磁テンプ式
ムーブメント:Cal.7801等
製造期間:1972年~

シチズンが1972年に開発した、世界初時報合わせ機能搭載の電磁テンプ腕時計です。
時報に合わせて8時位置のプッシャーを押すと、±3分以内のズレであれば、針位置が自動修正される、というもの。

こちらは非常に稀少性の高い一本ですが、コスモトロンは実に様々なモデルが展開されており、中には数万円で入手できるものも。
「電子と伝統的な機械式時計を融合」させた、まさにレトロでフューチャーな機構と言えるでしょう。

 

②チャレンジタイマー クロノグラフ

シチズン チャレンジタイマー クロノグラフ

出典:https://citizen.jp/locus/product/061.html

素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径38mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.8100系
製造期間:1973年~

シチズン初となる本格的自動巻きクロノグラフモデルです。
頭部分から飛び出たプッシャーが本当に独創的で、「ツノクロノ」の愛称でも親しまれています。

シチズンは機械式時計のイメージがあまりないかもしれません。しかしながら1970年代に同機構の銘品は多く、こちらのCal.8100系ムーブメントも高い評価を得ています。

ちなみにこのツノクロノは、2021年にリバイバルされました。

1970年代の、多彩なデザイン時計の中でも埋もれない、類まれな独創性を発揮しています。

終わりに:1970年代の時計を買ううえで知っておきたいこと

最後に、まとめに代えて、1970年代のヴィンテージウォッチを買ううえで知っておきたいことについてお話致します。

時計は精密機器であるため、基本的には新しい個体ほど良い性能を有します。
一方で時計はメンテナンスを施せば半世紀、あるいはそれ以上が経過してなお普段使いできる個体が少なくないことも事実です。それは機構面であったり、あるいは当時の高級機であるがゆえに大切に扱われてきた経歴があったり・・・

しかしながら、今後使っていくうえでメンテナンスや修理時の対応は不可欠です。
とは言え、メーカーが当時の個体の修理を必ず受け付けてくれるとは限りません。

そこでお勧めしたいのが、よく出回っているモデルを探す、というもの。
よく出回っているということはそれだけ修理ノウハウが広まっている可能性が高く、購入店や民間の修理工房で何かあった時に対応してもらえるケースがぐっと増えます。

また、購入店はアンティーク・ヴィンテージウォッチの取り扱いに長けた、信頼できるところを選択するというのも大切です。
こういったお店は提携工房を持ち、何かあった場合の修理対応をしてくれることがほとんどです。

さらに年式の古い個体は水や磁気に弱いため、適切な取り扱いも欠かせません。

なお、本稿で何度か言及しているように、近年は復刻ブーム。
そのため最先端技術で1970年代のレトロフューチャーモデルを復刻した個体を買うというのも手でしょう。

ぜひご自分に合った1970年代テイストの腕時計を手に入れてみて下さいね。

当記事の監修者

田所 孝允(たどころ たかまさ)

(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 販売部門 営業物流部長/p>

1979年生まれ 神奈川県出身
ヒコみづのジュエリーカレッジ ウォッチメーカーコース卒業後、かねてより興味のあったアンティークウォッチの世界へ進む。 接客販売や広報などを経験した後に店長を務める。GINZA RASIN入社後は仕入れ・買取・商品管理などの業務に従事する。 未だにアンティークウォッチの査定が来るとついついときめいてしまうのは、アンティーク好きの性分か。
時計業界歴18年。

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