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WEBマガジン, 池田裕之, ロレックス

中古ロレックスを安く買うなら「年式」「仕様」「交換パーツ」を把握せよ!

最終更新日:

「中古ロレックスを安く買いたい」
「お得に中古ロレックスを買うコツが知りたい」

長きに渡って、豊かな中古市場を形成してきたロレックス。

生産終了モデルや、現行にはない味わい深い仕様を楽しめるとあって、敢えて中古市場からご購入になる方は少なくありません。

また、現行品よりかは安く購入できるといった、予算的なメリットもありますね。

しかしながら近年のロレックス相場高騰の波に乗って、中古モデルもまた価格が右肩上がりに上昇しています。

中には現行をはるかに凌ぐ値付けが行われるものもあり、おいそれと手が出しづらいとお考えの方も少なくないでしょう。

そんな状況下で、中古ロレックスを安く買う方法が知りたいという人は多いのではないでしょうか。

三つのポイントを抑えるだけで、数万円~数十万円お安く手に入るモデルもあります。

この記事では中古ロレックスを安く購入する方法について、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。

中古ロレックスを買う際に抑えてはいけない費用についても解説しますので、ロレックスの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。

中古ロレックス 交換パーツ

※2021年9月現在の情報に基づき、執筆しております。また、時計の中古販売価格は時計の相場やコンディション,付属品の有無等、総合的に決定されることをご了承下さい

 

中古ロレックスを安く買う三つの方法

冒頭でもご紹介したように、ロレックスは一大中古市場を形成してきました。

ロレックスは数々のロングセラーを有していますが、同一コレクション内でアップデートを行いつつも、デザインは踏襲され続けることがほとんどです。また、早い段階から実用時計として最高峰技術を確立していたことも相まって経年に強く、こういった背景から中古品の売買が非常に活発に行われてきたのです。

一方で現在、過去類を見ないほどロレックス相場が高騰しています。

人気のスポーツモデルを中心に「正規店ではほぼ買えない」といったような品薄が続き、実勢相場は100万円を切る個体がなかなか見られない・・・そんな現状となっております。

現行モデルに人気が集中すると、引っ張られるようにして生産終了モデルも高騰するのがロレックスの常

しかしながら中古ロレックスであれば、予算を抑えて購入する方法がいくつか存在します。

ポイントは下記の三点です。

 

中古ロレックスを安く買う方法①低年式の個体を選ぶ

サブマリーナ 14060M

中古にしろ、ヴィンテージ(アンティーク)にしろ、基本的には高年式(製造年が新しいということ)の個体ほど価格が高くなります

例えばサブマリーナ 14060M。2000年~2011年頃まで製造されたノンデイトモデルですが、最終品番はランダムシリアル。このランダムシリアルの個体は、それ以前と比べて10万円以上の価格差が発生する場合があります。

※ロレックスの2010年頃より前の個体はシリアルナンバーである程度の製造年を特定できます。各リファレンスが生産終了(モデルチェンジ)する直前までに製造されていた個体のシリアルを最終品番と呼び、近年では体系化されています。

 

これは裏を返せば、低年式の個体は同一モデル・同一スペックであるにもかかわらずお得にお買い求め頂ける、ということ!

確かに時計は精密機器ですので、新しい個体ほど高い性能を持つ傾向にあります。

特にロレックスは実用時計の王者として常にアップデートを図っており、とりわけムーブメント変更によってリファレンスチェンジを行うことは知られていますね。とは言え同一リファレンスであれば、基本的にムーブメントは同一であり、スペックもまた変わらないことを示唆しています(パーツや機構が同一リファレンス内でモデファイされることはあります)。

ロレックス デイトナ 116520

同様の理由で、「旧型の外装仕様を選ぶ」というのも手です。

ロレックスはムーブメントのみならず外装もまたアップデートを図ってきたため、同一リファレンス内で新旧仕様の変化があります。

モデルによっても異なりますが、この仕様で代表的なところと言えば、バックルです。

ロレックス バックル

左:一枚板仕様  中央:梨地仕様 右:ポリッシュ仕様

上記画像は全て、デイトナ 116520のバックルです。116520は2000年~2016年と長きに渡って製造されたことから、数あるロレックスの中でも年代による仕様変更が非常に多いモデルでもあります。

116520は2008年頃にバックルの中板がシンプルな一枚板から留め具を兼ねた凹みある中板へと変更され、さらに2015年頃からはその凹み部分がポリッシュ仕様となりました。

このバックルは新しいものほど市場評価が高くなりますが、旧式だからと言って著しく性能が劣るということはありません。とりわけポリッシュ・梨地の仕上げの違いは「好み」による部分も多いと言えるでしょう。実際、敢えて梨地の方をお選びになるファンもいらっしゃいます。

つまり、予算を少しでも抑えてデイトナ 116520を購入しようと思った時、旧型バックルを選ぶというのが一つのポイントになってくるわけです。

 

ただし気を付けたいのが、ロレックスは往々にして「旧式の方の価値が再評価される」といった側面をも持ち合わせている、ということ。

例えば上記のデイトナ 116520のようなバックルを「オイスターロック」と呼ぶのですが、こちらは2000年代から順次スポーツロレックスを中心に採用されていきました。それ以前は1995年頃~見られるダブルロック,さらに時を遡るとシングルロックが存在しています。

ロレックス バックル

左:ダブルロック 右:シングルロック

実は現在、ダブルロックよりもシングルロックの方が市場価値が高くなります

当然、二重の留め具を持つダブルロックの方が堅牢性では軍配が上がるのですが、中古―とりわけヴィンテージやポストヴィンテージと呼ばれる年代―製品は性能以上に「オリジナル性」が評価基準の肝となります。また、現行にはない味わいと言うのもまた中古品の大きな魅力の一つですよね。

同様の理由で、夜光塗料も1999年頃から採用されたルミノバより、1960年代~1999年頃まで使用されていたトリチウム夜光の方が評価が高くなると言う現象が。

とりわけ文字盤・針は交換されやすい箇所であるため、トリチウム夜光が現存した個体は価格も高くなる傾向にあります。

ちなみにシングルバックル・オールトリチウム(文字盤・針ともにトリチウム夜光)は、近年のポストヴィンテージロレックスを購入するうえで、一つのキーワードにもなっているほどです。

こういった、往年の仕様ゆえに価値が上がるロレックスならではの現象も知っておきたいですね。

 

ロレックス ラグ穴 仕様

左:旧仕様 ラグ穴あり 右:新仕様 ロレックス ラグ穴なし

とは言え基本的には低年式・旧型仕様ほど安くなるのもまた事実。

バックル以外ですとラグの横穴有無や、ルーレット刻印,また保証書のタイプなどが挙げられます。とりわけ保証書はかつての紙タイプや2007年頃~2013年頃まで使われていた旧型カードが比較的お求めやすい価格となりますので、ぜひチェックしてみましょう。

詳細は下記の記事がご参考になれば幸いです。

中古ロレックスを安く買う方法②敢えてのギャラなし・ボックスなし

ロレックス 付属品

ロレックスに限らず、中古品はメーカー付属品が揃っていないことが往々にしてあります。

ロレックスは付属品もまた年代によって仕様が分かれているため、有無だけでなく時計の年代と相違がないかどうかも市場評価に関わってきます。

もっとも、ボックスや保証書ケースであれば、単体で数千円~売買されています。

しかしながら保証書(ギャランティ)は個体に一つのみ。この保証書が付いているか付いていないかだけで、販売価格が数万円~10万円超の差となって出てくるケースも見受けられます。

ロレックス ギャラなし個体

とは言え「安く買う」ことが目的であれば、このギャラ無し個体はむしろチャンス!

裏を返せば、保証書が付いていないだけで個体自体は変わらないにもかかわらずかなりお得に入手できることを示唆しているためです。

ちなみに「保証書がないと、メーカー保証で不利になるのでは?」といったお問合せを頂くことがあります。確かにメーカー保証期間対象内の時計であれば、保証書の重要性はいや増します。

しかしながら中古品や並行輸入品(正規ルート以外で販売された製品)がメーカー保証対象となるかどうかは、メーカー判断となります。そのため保証書があったからと言ってメーカーの保証で必ず得をするわけではない、と。ちなみにメーカーメンテナンスは、保証書の提示をせずとも受けられます。

売却時に保証書がないとその分マイナス査定とはなるものの、手放す気はない方にとっては特にこだわりがない限り、保証書の有無は購入時の絶対条件にはなりえないということを意味します。

なお、詳細は後述しますが、保証書の付属しないロレックスを購入する際は信頼できる店舗選びが重要になってきます。前述の通り保証書は「個体に一つ」発行されるものであり、真正品であることの証明にもなるためです(もっとも近年の精巧なコピー品の中には、保証書をも巧みに偽造するようなものも見受けられます)。

また、信頼できる時計店であれば中古ロレックスにもしっかりとした自社保証を設けているため、例えメーカー保証がなくとも何かあった時に対処してもらえたり、永く愛用していくうえでメンテナンスをお任せできたりと、何かと安心です。

中古ロレックスを安く買う方法③交換系モデルをチョイスする

ロレックス パーツ交換

最後に安くロレックスを購入する方法としてお勧めしたいのが、「パーツ交換された個体」を選択する、というものです。これは、年式の古いモデルであるほど有効です。

①でもご紹介したように、ロレックスは長い歴史の中でアップデートを行い続けてきており、同一リファレンス内でも仕様が異なってきます。

新しい仕様ほど性能(主に堅牢性)がチューンアップされていきますが、一方で「年式を経てなおオリジナル性を保つ」ということは、性能を凌ぐ評価を得ていることも事実です。

その代表格が文字盤・針です。

ロレックス トリチウム

前述の通り、ロレックスは1997年頃まで夜光塗料にトリチウムを用いていました。その後、根本特殊化学株式会社が開発したスーパールミノバを、そして2008年頃からクロマライトを採用していますが、新しい塗料ほど発光が強く長持ちするもの。一方トリチウムは経年で発光機能が劣化していくため現存する中古ロレックスで夜光塗料としての性能を発揮する個体はほぼありません。

しかしながらトリチウム夜光という「当時のオリジナル」が守られていること。またトリチウムならではの、経年でほどよく焼けた風合いが非常に評価されており、往年のこの仕様の方が価値が高い傾向にあるのです。

ロレックス トリチウム

※トリチウム夜光が使用されていた当時の文字盤には、「SWISS-T<25」といった表記が見受けられます。

これは放射線量が25マイクロキュリー以下ということ。トリチウムはしばしばその放射線量が問題視されますが、この25マイクロキュリー以下というのは、きわめて微量。レントゲン等で使われるそれよりも少ない量となります。

 

しかしながら日本ロレックスではオーバーホールの際、この文字盤や針に劣化が見られたら、強制的に交換対応することとなります。見積もり時に交換パーツが明記され、これに承諾しない限りはオーバーホールを受けられない、ということです。

かつて今ほどロレックスのオリジナル性が求められなかった頃は、この交換も結構気軽に行われていました。そのため、今なお文字盤・針ともにトリチウム夜光(前述したオールトリチウム)を有した個体は稀少性が高く、販売価格も右肩上がりに高騰している状況なのです。

 

そこでお勧めなのが、あえて交換された個体を選ぶ、ということです。

文字盤または針,あるいはそのどちらもが交換された個体はオールトリチウムに比べてお安く販売価格が設定される傾向にあるため、予算を抑えたい方にはもってこい。また、交換されていればまだ自発光してくれるため夜間の視認性を確保できる,あるいはトリチウムのように衝撃で剥がれ落ちる懸念が低減されるといった、実用上のメリットをも有します。

文字盤や針の交換だけで数万円かかっていることを鑑みれば、なかなかお得ですよね。

中古ロレックス 年式

なお、文字盤や針のみならずケースやベゼル,ブレスレットといった外装パーツ全てが交換された個体を「オールニュー」と称することがあります。発売から数十年が経過した個体であるにもかかわらず当時の新品のように扱えるといった利点から、市場評価にかかわらず根強い人気を誇るジャンルです。

とは言え外装パーツは文字盤・針以上に交換費用がかかる部分とはなりますので、販売金額も高くなる傾向にはあります。

中古ロレックスを買う際に「抑えてはいけない費用」

中古時計 メンテナンス

これだけロレックス相場が上がってしまうと、少しでも安く買える方法を模索するものですよね。

ただし、激安すぎる個体は要注意!

抑えてはいけないイニシャルコストの一つに、「メンテナンス代金」があります。

いくらロレックスが伝統的に高性能な実用時計を生産していたからとは言え、メンテナンスを施さなくては永く愛用することはできません。きちんとした時計専門店であれば、中古ロレックスは販売前にメンテナンスをしっかりと施すこととなります。機械点検やランニングテストをしっかりと行い、必要であれば外装研磨やオーバーホールを受ける・・・こういったメンテナンス代金を価格に反映させて、販売することとなります。

あまりにも安すぎるお店は、このメンテナンスを行っていない可能性があります。また、ネットオークション等のCtoC取引も、この傾向がありますね。メンテナンス代金が上乗せされていない分、中古ロレックスの販売価格が安く設定されているのです。

信頼できる時計修理店と懇意にしている、と言うのではない限り、こういったところで中古ロレックスを購入するのはお勧めできません。

安く買ったはいいけど結局自分でオーバーホールが必要となり、思わぬ出費を余儀なくされたといった話は、枚挙にいとまがありません。

中古ロレックス 購入

信頼できる時計専門店であれば独自保証や独自のアフターサービスを設けており、何かあった時の安心感が違います。こういった店舗は磁気抜きやブレスレット調整はサービスでやってくれるところも多いので、長い目で見ればお得なことも多々あります。

市場が拡大するにつれてロレックス取扱い店は、かつてに比べて格段に増えていますが、ぜひ中古ロレックスは信頼できる専門店から、しっかりとメンテナンスされた個体をご購入するようにして下さいね。

まとめ

中古ロレックスを安く買うために知っておきたい三つのポイントについてご紹介致しました!

個体によって大きな価格差が出るロレックスだからこそ、ちょっとの工夫でお得に買う方法があります。もちろんオリジナルや高年式に寄り添った「こだわり」も大切ですが、「売却せずに使い倒したい」「安く買えるロレックスを探している」といった方は、ぜひ本項でご紹介したポイントに目を向けてみてくださいね。

なお、繰り返しになりますが、中古ロレックスはお店選びが何よりも重要になります!口コミや取扱実績,創業年。あるいはアフターサービスがどのように行われているのかをしっかりとチェックしたうえで購入を決めるようにしましょう!

当記事の監修者

池田裕之(いけだ ひろゆき)

(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン 課長

39歳 熊本県出身
19歳で上京し、22歳で某ブランド販売店に勤務。 同社の時計フロア勤務期に、高級ブランド腕時計の魅力とその奥深さに感銘を受ける。しばらくは腕時計販売で実績を積み、29歳で腕時計専門店へ転職を決意。銀座ラシンに入社後は時計専門店のスタッフとして販売・買取・仕入れを経験。そして2018年8月、ロレックス専門店オープン時に店長へ就任。時計業界歴17年

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