ロレックスの兄弟ブランドとして知られるチューダー。
しかしながら近年ではロレックス譲りの高性能のみならず、チューダーならではのデザインやブランディング。そして良心的な価格設定によって、独自ファンを大いに増やしていることでも有名です。
そんなチューダー、例年粒ぞろいの新作を意欲的に発表しており、これを楽しみにしているファンも多いのではないでしょうか。
2023年もロレックスとともにWatches & Wonders Geneveに参画するチューダーですが、一足先にGINZA RASINで、新作モデルを予想してみました!
目次
2023年チューダー新作予想①ホワイトゴールド製ブラックベイ クロノでカラーダイアルが登場
【新作予想】デイトナ60周年に合わせて、ホワイトゴールド製ブラックベイ クロノを初リリース
※合成画像のベースはステンレススティール製モデルとなっております。
ロレックスとはまた違った独自路線を歩むチューダーですが、コレクションにはロレックスとの関係性を強く感じさせるデザイン・コンセプトのモデルが少なくありません。
例えば2018年、ロレックスが新型GMTマスターII 126710BLROを発表した同年、チューダーではブラックベイに同じくGMT機能を搭載するとともに、赤青ベゼルをデザインコードとしたRef.79830RBをローンチ。また2022年には初代エクスプローラーIIを思わせるような、ブラックベイ プロ Ref.79470をラインナップに加えました。
このようにロレックスとのWネームを感じさせつつ、独自の伝統やスポーティーなデザインを融合させることで、ファンの心をつかんできたチューダー。2023年もまた、そんなロレックスとの絆を活かした何らかのモデルが出ることが予想できます。
そして2023年という年に目を向けると、ロレックスではデイトナ60周年。
モデルチェンジや特別モデルの発表が期待されるところですが、チューダーからも何らかのデイトナリスペクトモデルが出ると、やはりワクワクさせられるものです。
そこでチューダー新作予想として、ホワイトゴールド製ブラックベイ クロノの、カラーバリエーションモデルが出るのでは、と予想します!
冒頭でも述べたように、チューダーは良心的な価格設定が魅力の一つです。
一方でゴールドとのコンビモデルやイエローゴールドモデルなどといったラグジュアリーなラインも最近は追加しており、ツールウォッチメーカーらしさと高級腕時計ブランドらしさを両立します。
つまり、チューダーが新作コンセプトをデイトナ60周年に合わせてくるとなれば、やはりスペシャルな金無垢ブラックベイ クロノなんかを期待してしまうのではないでしょうか。
ブラックベイ クロノには既にイエローゴールドとステンレススティールのコンビモデルは存在します。しかしながら、金無垢となればまた違った顔立ちが見られること、間違いなし!
2021年にブラックベイ58でリリースされた初の金無垢モデルRef.79018Vはイエローゴールド製でしたが、ブラックベイ クロノではホワイトゴールドに期待します。デイトナ同様に、金無垢モデルはタキメーターベゼルがメタル製になることを願って。
なぜかと言うと、メタルベゼルのクロノグラフと言えば、往年のクロノタイム Ref.79280を彷彿とさせるためです。さらに、近年の時計業界でトレンドとなっている、グリーン文字盤やブルー文字盤などといった、カラーバリエーションで復刻となったら・・・昔ながらのチューダーファンにも堪らないレガシーモデルとなるのではないでしょうか!
カラフルなチューダーのクロノグラフと言えば2015年に発表されたファストライダークロノも良いですが、デイトナに合わせてくるなら、やはり基幹コレクションのブラックベイを拡充するのではないかと思います。
なお、クロノタイムがどのような時計かと言うと、1976年にチューダーが発表した、自動巻きクロノグラフコレクションです。その後、約30年に渡って製造されていきました。
※ちなみにクロノタイム発表前夜の1970年、手巻きクロノグラフがチューダーからローンチされております。この、手巻きのオイスターデイト クロノグラフをインスパイアしたコレクションが、現行ヘリテージ クロノです。カジノのルーレット盤を想起させることからモンテカルロの名前でも知られるブルー×シルバータイプが特徴的ですが、1971年にこのデザインコードが確立されて初めてチューダーはブルーをアイコニックなカラーとして定着させていきました。
当時のロレックス デイトナをリスペクトしたデザイン、そしてロレックスとの共有パーツを用いつつも汎用ムーブメント(バルジューCal.7750)を搭載させることで、価格を抑えたクロノタイム。もっとも現在では世界的な需要の高まりによって市場価格は上昇を続け、100万円を超える個体も多々見られます。
当時のロレックス デイトナ同様にホワイトまたはブラック文字盤を基調に、メタルベゼル・アルミベゼルの2種がラインナップされましたが、一方でケースは分厚く切り立ったカマボコケースが採用されていたり(第二世代まで)、文字盤にバリエーションがあったりと、この時代から既にチューダーらしさを存分に発揮した一大コレクションでもありました。
クロノタイムは初期・第二世代・第三世代に分類されますが、今回新作予想のベースに考えたのは第三世代のRef.79280です。
こちらの画像が、クロノタイムRef.79280。タイガーウッズモデルであるため、12時位置にTIGERが印字されております。
メタルベゼルに直接印字されたタキメーターが、チューダーの精悍な印象をさらに強調していますね。
2006年頃に生産終了となりますが、Ref.79280は今なお中古市場で高い人気を誇る名品であることは、ご存じの通りです。
このRef.79280には、タイガーウッズモデルを始め、カラフルな文字盤バリエーションが存在しました。
現行ブラックベイ クロノにはシャンパンカラーは存在しますが、もしRef.79280のブルーやグリーンが復刻し、ラインナップされたら・・・ロレックス デイトナ Ref.116509のブルー文字盤やRef.116508のグリーン文字盤のように、また市場を騒がせるかもしれません!
2023年チューダー新作予想②ノースフラッグ39がマスタークロノメーター認定で復刻
【新作予想】2015年にぺラゴスとともにチューダー初の自社製ムーブメント搭載モデルとして発表されたぺラゴスが、マスタークロノメーターに
次に新作予想として挙げたいのが、ノースフラッグの復刻です!
2022年にレンジャーが復活した折から、「次はノースフラッグが復刻してほしい」と密かに願っていたものです。
ノースフラッグは2015年にチューダーからラインナップされた、ツールウォッチコレクションです。
ツールウォッチはダイバーズウォッチやパイロットウォッチのように、目的に特化して製造された腕時計で、多くの場合は堅牢かつ高性能です。チューダーではかつて、前述したブラックベイやレンジャーのようなヘリテージラインと、ツールウォッチラインとを二本柱に製品展開を行っていました(過去形なのは、現在ではヘリテージ等のくくりがなくなったためです。現在もツールウォッチには変わらず一家言持つのが、チューダーと言えるでしょう)。
ヘリテージラインだとオリジナルのデザインを踏襲していることが特徴となりますが、ツールウォッチはチューダーらしいデザインとハイスペックを存分に味わえるのが、大きな特徴です。
そんなツールウォッチの一つとして2015年に発表されたのが、ノースフラッグです。ヘリテージではないとは言え、ロレックス エクスプローラーIをイメージさせる堅牢なケースにアラビア数字が、アイコニックですね。
一方でエッジの立った外装やケース・ブレスレットがシームレスに一体化した様は、現在流行りのラグスポも抑えており、2021年に生産終了して以来、復活を密かに待ち望んでいた次第です。
※ラグスポ・・・ラグジュアリー・スポーツウォッチの略。決まった定義はないが、ラグジュアリーメゾンが製造するスポーツウォッチで、薄型かつケース・ブレスレットが一体化した仕様が多い。チューダーが2020年に発表したロイヤルも、ラグスポらしさを的確に捉えていると言えます。
そんなノースフラッグが復刻したら、やはりトレンドの39mmサイズを採用するのでは、と予想します!
かつて製造されていたノースフラッグ Ref.91210Nは、ケース直径40mmでした。
もちろん40mmから39mmに変わってもわずかな差異とはなるものの、チューダーの最近の人気の火付け役は「39mm」ではなかったでしょうか。
例えばブラックベイ58、あるいはぺラゴスFXDと、これに続くぺラゴス39・・・スーツの袖口にも収まりやすいアンダー40mmの腕時計を求めているビジネスマンは少なくないはずです。
さらに言うと、マスタークロノメータームーブメントが搭載される、とも予想いたします!
マスタークロノメーターとは、オメガとMETAS(スイス連邦計量・認定局)が共同で2014年に開発した認定制度です。マスタークロノメーターでは、C.O.S.C.(クロノメーター)認定機を対象に8つの厳格なテストが課されることとなります。
このテストは防水性や精度等、腕時計に求められる機能・性能がメインとなりますが、とりわけ業界トップレベルで秀でているのが耐磁性能。なんと、15000ガウスもの磁場下での、ムーブメントの機能維持を求めているのです。
腕時計の不具合で、磁気帯びはとても多い原因の一つです。スマートフォンやノートパソコンのスピーカー部分、磁気ネックレスや肩こり磁気製品、あるいはバッグのマグネット部分・・・現代は身の回りに磁気発生源が溢れております。機械式時計はこれらに近づくとパーツが磁化してしまい、正常な動きが妨げられてしまうことに繋がります。一度磁気帯びすると、専用の脱磁機で磁気抜きしなくてはならないといった煩わしさもあり、近年ではブランド側も腕時計の耐磁性能に力を入れるようになってまいりました。
マスタークロノメーターもまた、腕時計の「耐磁」といった面で非常に注目されている規格です。
ちなみにJIS(日本産業規格)では、1種耐磁時計を4,800A/m、2種耐磁時計を16,000A/m以上と規定しています。一方のマスタークロノメーターは、1,200,000A/m(15,000ガウス)をテスト項目に加えている、と・・・!まさに規格外の耐磁性能ですよね。
このマスタークロノメーターの認定は、テストが過酷すぎたか、長らくオメガの独擅場でした。オメガは現行の機械式ラインナップのほとんどをマスタークロノメーター化しており、オメガの実用性にもブランディングにも大きく寄与したことでしょう。
しかしながら2021年、チューダーがフラグシップモデルのブラックベイで、マスタークロノメーター認定のマニュファクチュールムーブメント搭載モデルを堂々リリースしたのです。
※2021年に発表された、マスタークロノメーター ブラックベイ 79210CNU。セラミックによるオールブラックなデザインもカッコイイ
実質、オメガの専売特許であったマスタークロノメーターをチューダーが採用した。
ブラックベイ 79210CNUがリリースされた当時は、時計業界では大きな話題となったものでした。
2023年、チューダーはこのマスタークロノメーターモデルを拡充し、そしてその役者に選ばれるのはノースフラッグではないか。このように予想いたします!
なぜなら、2015年にチューダーが初のマニュファクチュールムーブメントMT5621を搭載させたのが、ノースフラッグであっためです。
MT5621はCOSC認定の約70時間のパワーリザーブ、そしてシリコン製ヒゲゼンマイによって耐久性のみならず磁気帯びにも配慮された自動巻きムーブメント。ロレックス譲りの優れた実用性を誇る、チューダーならではの名機であると言えます。
前述の通り、チューダーは汎用ムーブメントを各モデルに搭載させてきました。
一方で近年の時計業界では、各ブランドが自社でムーブメントを発表する傾向にあります。チューダーでも各モデルに順次自社のマニュファクチュールムーブメントを搭載させておりますが、その初号機となったのがノースフラッグとペラゴスでした。
なお、初出当時も今も言えることですが、マニュファクチュールムーブメント搭載モデルをハイエンドと位置付けるブランドが多い中で、チューダーは相も変わらず良心的な価格設定を貫いていることも、付け加えておきます。
ノースフラッグが復刻するとしたら、2015年当時のように、何か特別なムーブメントを持ってくるのではないか。そして近年のトピックである、マスタークロノメーターが有力なのではないか。
ちなみにブラックベイはオールブラックの外装に合わせて、マスタークロノメータームーブメントもブラック基調となりました。ノースフラッグへの搭載であれば、一般的な仕上げになることが予測できます(恐らく従来通りシースルーバックが採用される)。
もしマスタークロノメーターの耐磁性能がノースフラッグに備われば、いっそう卓越したツールウォッチとなることは間違いありません。
2023年チューダー新作予想③ぺラゴス 1220m防水でさらにマスタークロノメーター化
【新作予想】3年連続ペラゴス祭り開催!マスタークロノメーター化と1220m防水の超スペックモデルに
チューダーのハイスペックダイバーズウォッチとしてラインナップされているのが、ペラゴスです。
誕生は2012年となるものの、その出自は往年の「イカサブ」!ファンにとっては、堪らないコレクションとなっていることをご存知でしょうか。
ペラゴスの出自についてさらに解説を加えると、1969年にチューダーが製造していたサブマリーナー Ref.7016およびRef.7021(前者がノンデイト、後者がデイト付き)から、デザインの範が見て取れます。
何度か言及しているように、チューダーはロレックスのディフュージョンブランドとして誕生しており、ロレックスの外装パーツを共有してきた歴史があります。そんな中でロレックスのコレクションをオマージュするようなモデルも散見されます。
その一つが、サブマリーナーです。
サブマリーナーは1954年にチューダーから公式発表されたモデルで、2000年にハイドロノートがリリースされるまでラインナップされました。
かつてはチューダーの正規店が日本になく(1970年代の一時期を除く)、チューダー サブマリーナーの取り扱いも非常に限られた店舗のみでしたが、現在ではチューダー人気と相まって、ヴィンテージ市場を代表するモデルとなっております。
このサブマリーナー、ロレックスの同名コレクションのデザインを踏襲しつつも、チューダー独自のデザインやバリエーションを取り入れていることも、人気の秘訣。ペラゴスのデザインの範が取られたRef.7016およびRef.7021のイカ針(海外ではスノーフレークとも)やスクエアインデックスが、その最たるものではないでしょうか。
出典:https://www.tudorwatch.com/ja
上の画像が、イカ針です。
ロレックスのサブマリーナーだと初期モデルを除いてベンツ針が採用されていますが、チューダーのサブマリーナーにはイカ針の他、ベンツ針やロリポップ針(タコサブなどと呼ばれる)が存在しています。バリエーションの豊かさがまた、面白いですよね。
チューダーはサブマリーナーを生産終了させた後も、レガシーとしてイカ針の意匠をブラックベイ等で取り入れていきました。
しかしながらペラゴスは、このイカ針のみならずスクエアインデックスもリバイバルしており、さらにチタン素材を用いたこと。加えて500m防水を基準としたことから(現行には200m防水モデルもあり)、ヘリテージモデルとしてもツールウォッチとしても死角のないチューダーウォッチが完成されました。
もっとも、ペラゴスは従来は定番モデルではありませんでした。
しかしながら2021年、フランス海軍マリーン・ナシオナル―Marine Nationale―とのパートナーシップを記念したモデル「ペラゴスFXD」が。次いで2022年にケース直径39mmサイズの小径薄型な「ペラゴス39」(基幹モデルは直径42mm)がリリースされたことから、一躍大人気コレクションに!
この流れを受けて、3年連続ペラゴスの新作が出るのでは、と予想します!
そしてこの新作は、マスタークロノメーター化に加えて、ロレックスのシードゥエラーを踏襲した1220m防水にスペックアップするのでは、と!
なぜマスタークロノメーター化か。
前項のノースフラッグでマスタークロノメーターの偉大さについてお伝えしておりますが、ノースフラッグの復刻と合わせた規格認定を挙げた理由に、チューダーにとって初のマニュファクチュールムーブメントを搭載させたモデルが同機種だったから、とお話しました。
2015年のMT5621発売時、実はペラゴスもまた、ノースフラッグと並んでマニュファクチュールムーブメントが搭載されております(ペラゴスのキャリバーはMT5612)。
すなわち、2015年を踏襲してノースフラッグ・ペラゴスでダブルマスタークロノメーター化なのではないか、と!
さらにシードゥエラー並みの防水性のスペックアップ予想も、理由があります。
冒頭でご紹介したブラックベイ クロノの項で「ロレックスとの絆を活かした何らかのモデルが出る」と予想いたしました。
すなわちペラゴスのスペックアップも、この「絆」に由来します。
と言うのも2021年、ロレックスからディープシー チャレンジとして、11,000m防水ものモンスタースペックのダイバーズウォッチが新たに登場しました。しかも、チタン素材を伴って!Watches & Wondersでの新作発表とは別途、11月1日にゲリラ的に登場した当新作に驚かされたファンも少なくないでしょう。
ロレックス ディープシーが同社にとっての上位ダイバーズウォッチであるように、ペラゴスもまたチューダーにとっての上位ダイバーズウォッチ。しかもペラゴスはチタン製であることを鑑みれば、ディープシー チャレンジへのオマージュとして、ペラゴスにも特別モデルが発表される・・・!?
そんな予想に繋がるのではと、推測します!
ペラゴスの赤いロゴが、そもそもロレックスの往年の赤シードや赤サブを思わせますよね。
2021年は、ロレックスのディープシー チャレンジのみならず、オメガのシーマスター プラネットオーシャン ウルトラディープや、タグホイヤーのアクアレーサー プロフェッショナル1000 スーパーダイバー等、ハイスペックなダイバーズウォッチが業界を湧かせました。
我らがチューダーが、ここに切り込んでいけば、いっそうダイバーズウォッチ市場は面白くなっていくことでしょう!
2023年チューダー新作予想④ブラックベイでアドバイザーが再びの復刻
【新作予想】アラームモデルの復刻第二弾はブラックベイで登場
アドバイザーをご存知でしょうか。
1957年にチューダーから発表されたモデルですが、機械式アラーム機能を備えていることが大きな特徴となります。
クロノグラフやGMT以外のコンプリケーションをあまり搭載させないチューダーにとって、珍しいモデルの一つです。
出典:https://www.tudorwatch.com/ja
アラームはその名の通り、任意の時間帯にアラームを鳴らす機能です。
今でこそデジタルウォッチやスマートフォンでその機能を賄いますが、実は機械式時計には古くから名作の数々が存在します。ジャガールクルトのメモボックスやシチズン アラーム、IWCのGSTアラーム等々、枚挙にいとまがありませんね。
このアラームは、時刻とは別に独立したアラーム用のゼンマイ(香箱)を搭載させることが一般的です。そして、時針と対になるアラーム時刻設定用の針(またはディスク)を任意の時間帯にセッティングし、時針がこの時刻まで回ると組み込まれたカムが作動してストッパーを解除します。するとアラーム用ゼンマイのエネルギーが解放され、ハンマーが振動してピン(またはゴング)を叩き、音を生じさせるというのが、仕組みの一例です。
ハンマーやゴングの存在によって、アラーム機構を小型化するのは非常に高い難易度となります。また、限られたスペース内での振動は精度を乱してしまったり、密閉されたケース内で音が思ったよりも響かないなどといった障壁もあり、腕時計サイズの実用化には非常に時間がかかったと聞きます。
一方でアラームの趣深い「ジリリリリリ」といった音色は、同じ鳴り物でもミニッツリピーターなどとは違った、懐かしさと機械式時計に対するワクワクを想起させるものですよね。
アドバイザーもまたそんな趣深いアラームとなりますが、実は2011年にヘリテージコレクションで復刻しています。
※復刻したアドバイザー Ref.79620TN
オリジナルが34mmのケースサイズであったことに対し、2011年の復刻モデルでは42mmとモダンにアップサイジング。また、チタン製ケースによって軽量化が図られたことも大きな特徴です。
さらに復刻アドバイザーは、オリジナルよりも多機能であることがわかります。
2時位置のリューズでアラーム機構を、4時位置のリューズで時刻操作を制御しており、また8時位置はアラームのオンオフボタンが搭載されております。
文字盤レイアウトもメカニックで、アラーム機能の他、6時位置にはポインターデイト、9時位置にはアラーム機能のオンオフ、3時位置にはアラームのパワーリザーブインジケーターが配置されました。
当時のアドバイザーの実勢価格は30万円台後半~40万円台と、多機能機でありながら手の届きやすい価格帯であったのは、さすがチューダーですね。
2011年当時はヘリテージコレクションと銘打たれており、防水性は100m。
もし現代で復刻するなら、シンプルなブラックベイ41やブラックベイ36をベースに、150m防水を備えてくるのではないか。このように予想いたします。
近年、自社のレガシーを意欲的に、そして効果的に復刻するチューダー。
2022年にもレンジャーが復刻されており、次はアドバイザーに来てほしい。ファンとして、強い期待を込めて予想いたしました(ノースフラッグでも同様の期待を込めておりましたが)!
2023年チューダー新作予想⑤ロイヤルにカラフルな文字盤バリエーションが追加
【新作予想】ロイヤルにカラフルなバリエーション文字盤が追加でいっそう華やかに
最後に予想したいのは、カラフルなロイヤルです!
ロイヤルは、2020年にチューダーのカタログに加わったコレクションです。
「スポーツウォッチ」のカテゴリにいるものの、薄く細やかなブレスレットや華やかなベゼルは、ドレスウォッチにも通じる上品さを感じさせます。
ラグジュアリー・スポーツウォッチの勘所を抑えた、チューダーらしいブランディングの巧みさを感じる逸品です。
このロイヤルにはブラックやブルー、ホワイトシェルなどと他のスポーツモデルとは違ったバリエーションを既に抱えていますが、2023年は、さらにピンクやオレンジにグリーン、あるいはターコイズブルー文字盤等が加わるのではないか。このように予想いたします!
なぜならラグスポ同様に、カラフルな文字盤も近年の時計業界を熱くするトピックの一つであり、かつロレックスが既にオイスターパーペチュアルで大きな成功を収めているバリエーションであるためです。
なぜカラフルな文字盤がトピックたりうるのか。
かつて、腕時計の文字盤と言えば、ブラックやホワイト、シルバーなどといったオーソドックスな色合いが製品の多くを占めておりました。実際に人気文字盤というと、こういった定番色に軍配が上がったものです。一方で近年ではファッションや嗜好が多様化し、様々なカラーが受け入れられ、むしろユーザーから積極的に選ばれているといった傾向もあります。
加えて、時計ブランドの時計製造技術が向上し、カラフルながらも高級感を損なわないような。ハイセンスでファッショナブルであるような。そんな文字盤のラインナップが可能となってきたことが、カラフル文字盤のトレンドを大いに後押しすることとなりました。
この波を受けてか、ロレックスからも2020年にカラフルなオイスターパーペチュアルが多彩にリリースされたことを、記憶に新しい方も多くいらっしゃるでしょう。
もともとオイスターパーペチュアル、他社とは一線を画したバリエーションを楽しめる一大コレクションでした。しかしながらヴィヴィッドなコーラルレッドやイエロー、愛らしいピンクやターコイズブルーなどといった、これまでのロレックスでは考えられないようなバリエーションが2020年にコレクションに追加され、大きな話題に―色合いの美しさも、そして市場での熱狂的な需要も―なったものです。
そこでチューダーも、ロイヤルでカラフルなバリエーションを楽しませてくれるのではないか。このように予想してみました!
なお、ロレックスのオイスターパーペチュアルで、特に狂騒的な市場価格を描いてきたのがターコイズブルーです。
翌年に、パテックフィリップもノーチラスで、ターコイズブルー文字盤をぶつけてくるほど(もっともパテックフィリップはティファニーとの関係性を寿いだ記念モデルであったため、文字盤カラーはティファニーブルーと称されますが)。
このターコイズや、愛らしいキャンディピンクがロイヤルでも採用されることになったら・・・絶対にロイヤルのラグジュアリー・スポーティーにマッチしますよね!
ロイヤルはサイズ展開が豊富で、メンズ・ボーイズ・レディースをお楽しみ頂けます。
そのためカラーバリエーションの追加は話題性のみならず、幅広い客層に新しい提案をしてくれることとなります。
もちろんオイスターパーペチュアルを踏襲したカラーでなくとも、ロイヤルの拡充は望むところです。
まとめ
チューダーの2023年新作を、一足先に予想してみました!
チューダーは例年面白く、そして欲しくなってしまうモデルを続々リリースしてくるため、新作予想にも胸躍らされるものです。
なお、冒頭でもご紹介しているように、2023年もチューダーはロレックスなどとともにWatches & Wonders Geneveで新作発表を行います。
日程は3月27日(月)から。
2023年も、当サイトではチューダー新作を速報していきたいと思います!
■チューダー(チュードル)ってどんなブランド?その魅力を調べてみた!
■チューダー「ヘリテージブラックベイ」が時計ファンを魅了する理由
■時代はレンジャー!チューダーが打ち出した新作モデルの実力とは?
当記事の監修者
田中拓郎(たなか たくろう)
高級時計専門店GINZA RASIN 取締役 兼 経営企画管理本部長
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
当サイトの管理者。GINZA RASINのWEB、システム系全般を担当。スイスジュネーブで行われる腕時計見本市の取材なども担当している。好きなブランドはブレゲ、ランゲ&ゾーネ。時計業界歴12年