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速報!2023年ウブロ新作モデルを発表!by Watches & Wonders Geneve
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ダイナミックなデザインと革新的な機構によって、「新しい腕時計」を続々と打ち出してきたウブロ。毎年、見た目にも機構としても驚かされるようなモデルを意欲的に発表しているブランドでもあります。
2023年は、いったいどんなタイムピースで時計業界を沸かせてくれるのでしょうか。
この記事では、ウブロの最新作についてご紹介いたします!
目次
2023年ウブロ新作①MP-13 トゥールビヨン バイ-アクシス レトログラード
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スペック
外装
ケースサイズ: | 直径44mm |
素材: | チタニウム |
文字盤: | スケルトン |
ムーブメント
駆動方式: | 手巻き |
ムーブメント: | Cal.HUB6200 |
パワーリザーブ: | 約96時間 |
機能
防水: | 3気圧 |
定価: | 20,218,000円 |
ウブロのコンセプトモデルである、MP(マスターピース)シリーズ。高度な時計製造技術とアヴァンギャルドな発想で以て、マスターピースと呼ぶにふさわしい超絶コンプリケーションや超絶デザインの特別なウォッチをラインナップする、一大シリーズです。
例えば14日間の超ロングパワーリザーブを実現するために7個の香箱(ゼンマイを格納している歯車のこと)をセッティングするのみならず、これら香箱をダイアルに対して垂直に並べ、腕時計と思えないデザイン性を獲得したMP-11等が近年の有名どころとして挙げられます。
2023年には、最新版のMP-13が登場しました!なんと、2軸トゥールビヨン(バイ-アクシス)×デュアルレトログラード表示の、スーパーコンプリケーションです!
常に新しさを追求する、ウブロらしいコンプリケーションだと思います。
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トゥールビヨンとは、機械式時計の精度を司る調速機と脱進機をキャリッジにまとめて、キャリッジごと回転させるコンプリケーションです。その動きから、フランス語で渦を意味するトゥールビヨンと名付けられました。トゥールビヨンは世界三大複雑機構にも数え上げられており、製造の複雑さや難易度の高さも相まって、超高額となることも珍しくありませんでした。近年では加工技術の発達から多くのブランドが手掛けるようになり、量産も可能となりましたが、ウブロはこのトゥールビヨンにおいて、それぞれ別の速度を持つ機構を重ねてのけたのです。
どういうことかと言うと、1軸が1分間に一回転し、もう一方の1軸が30秒間に一回転する、と。
これは2021年に発表された、MP-09 トゥールビヨン バイ-アクシスで既に採用されていました。
通常のトゥールビヨンの動きも素晴らしいものがありますが、それぞれ異なる速度で回転する多軸トゥールビヨンというのは、めくるめくといった表現が正しい世界観です。
MP-13では、アッパーブリッジをなくしています。また各パーツをそぎ落とすことで光の透過を妨げず、トゥールビヨン周りのスペースを開放するなどといった構造的デザインで、透明感と浮遊感を備えたトゥールビヨンをも実現しています。なお、MP-09でも見られた手法ですが、6時位置がカーブされることでトゥールビヨンが強調されているのも特筆すべき点です。外装については後述しますが、硬度の高いサファイアクリスタルガラスやチタンをこのように複雑な形状にするのにも、当然ながらきわめて高度な時計製造技術が求められます。
さらにMP-13では、この2軸トゥールビヨンが、デュアルレトログラードが組み合わされているのだから驚きを禁じえません。
レトログラードは表示形式の一種ですが、複雑機構に分類されることもあります。一般的には文字盤を一周する針ですが、レトログラードでは扇形のインジケーターが文字盤上に設置されており、針が始点から出発。時を刻んで終点まで到達すると、針が始点にフライバック。また終点に向かって針が進んでいくという機構です。パワーリザーブインジケーター等でポピュラーな機構とはなっているものの、時分でデュアルレトログラードにするという発想、さすがウブロと言うべきでしょう(しかも2軸トゥールビヨンとの組み合わせ)。
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新作では文字盤のフランジの内周側に時間を、外周側に分のためのレトログラードを設置。時針は12時間でインジケーター終点まで到達してフライバック。分針の方は60分で終点まで到達してフライバックというわけです。
ちなみに分針は通常のそれのように少しずつ動きますが、時針の方は次の時間から次の時間へと瞬時にスキップされるとのこと!時間の見やすさに配慮した機構です。
そう、コンセプトモデルは精密精緻な世界観を楽しむといった側面があるため視認性は二の次だったりしますが、太く力強い針に、同じく大きく見やすいアラビアンインデックスを採用しているのは、ウブロが複雑機構の実用性をこれまで大切にしてきたゆえでしょう。なお夜光が塗布されているので、暗所での視認性も確保されています。
文字盤をスケルトナイズして機構を見せつけてくれるのも、ウブロらしい手法ですね。
ちなみに3時位置のリューズで時刻合わせをしますが、これは一つのポジションで一方向にしか巻き上げられないように設計されています。なぜならレトログラードは針を逆回しにできず、オーナーが誤ってこれを行ってしまい、故障の原因になることが多いため。そもそもこの故障が起こらないという設計にしたところに、繰り返しになりますがウブロの実力を感じます。
なお、これらの面白くも複雑な世界を実現するのは、ウブロの自社製手巻きムーブメントHUB6200です。
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374個のパーツで構成されており、21,600振動/時のビート数。さらに2軸トゥールビヨンやレトログラードなどといったエネルギーを消費しがちな機構を備えつつも、96時間(4日間!)のロングパワーリザーブを実現しています。シースルーバックからの眺めも壮観です。
高度なムーブメントに高度に作りこまれた外装が整っているのも、さすがウブロです。
前述の通りトゥールビヨンを強調するため6時側ケースがガラスごとカーブがかっているのですが、不自然なところはなく、ビッグバンらしいアヴァンギャルドと高級機としての立体感を保ちます。ビッグバンらしいサテン仕上げとポリッシュ仕上げのコンビネーションが施されており、スポーティーなのに美しさを損ないません。ちなみに通常のビッグバンはベゼルに6つのビスが留められていますが、MP-13では6時位置は省略されて5つとなっております。
国内定価は20,218,000円。
世界限定50本生産とコンセプトモデルのためなかなか一般市場には出回らないでしょうが、ウブロをまた一歩有名にする2023年新作であることは間違いありません。
2023年ウブロ新作②スクエア・バン サファイア
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スペック
外装
ケースサイズ: | 直径42mm |
素材: | サファイアクリスタル |
文字盤: | スケルトン |
ムーブメント
駆動方式: | 自動巻き |
ムーブメント: | Cal.HUB1280 |
パワーリザーブ: | 約72時間 |
機能
防水: | 5気圧 |
定価: | 12,133,000円 |
2022年にウブロから発表された、新コレクション「スクエア・バン」。
従来のビッグバンが大切にしてきた多層構造や、素材の融合といったコンセプトはそのままに、大胆なスクエアケースを採用したことがスクエア・バンの大きな特徴です。ウブロのCEOリカルド・グアダルーペ氏曰く「全くユニークなタイムピースを製作するために」、スクエア・バンを作り上げたのだとか。
ビッグバンの多層構造はきわめて複雑で、ウブロの素晴らしい点は、そんな複雑さの中でも丁寧な仕上げや計算されつくした造形で、高級感を損なっていないところです。そして、より難易度の高いスクエアケースにおいても、そのテクノロジーは健在だったことにスクエア・バンの登場時、驚かされたものでした。
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2023年は、さらにウブロお得意のサファイアクリスタルで、新バリエーションをリリースするに至ります。発売からわずか一年で驚異的な新バリエーションを投入してくる。そんなところにウブロのブランディングの巧みさを感じますね。
サファイアクリスタルを時計のガラスや裏蓋に使うこと自体は、今では珍しくありません。
しかしながら、このモース硬度9のきわめて硬く傷つきづらく、反面、一方向の力で割れやすい(かけやすい)素材を、時計の外装として用いる挑戦は、ウブロらしいというかウブロならではというか・・・と言うのもサファイアクリスタルガラスはこの硬さの特区性ゆえに加工が難しく、ガラスをドーム型やボックス型にするだけでコストがかかります。にもかかわらず、ウブロではビッグバンという複雑な構造をサファイアクリスタルガラスで製造する試みを、2016年から続けてきました。
スクエア・バンでもこのコンセプトが息づいており、ケースの造形は他素材のモデルと遜色ありません。
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サファイアクリスタルは堅牢で傷つきづらいというのもありますが、何よりブラックボックスになりがちな時計の構造を「スケスケ」にしているというのが素晴らしいですよね。文字盤をスケルトナイズしたデザインコードで一家言持ってきたウブロだからこその技法でしょう。
搭載するムーブメントはウニコ2とも呼ばれる、Cal.HUB1280です。既存のスクエア・バンやビッグバンでもおなじみですね。
2018年に小径薄型なムーブメントとしてローンチされており、パワーリザーブ約72時間という高い実用性と信頼性を兼ね備えた名機です。サファイアクリスタルとのデザインと調和する、グレーがかったパーツの仕上げが見事です。
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防水性の確保が難しいとされるスクエアケース、しかもサファイアクリスタルのモデルで50m防水を実現しているのも、特筆すべき点です。
もっとも多くのウブロのサファイアクリスタルモデル同様、国内定価は12,133,000円という超高額なことに加えて世界限定250本生産。大量生産が難しいため、致し方ないのでしょう。
2023年ウブロ新作②スクエア・バン ブラックマジック/ホワイトセラミック
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スペック
外装
ケースサイズ: | 直径42mm |
素材: | セラミック/td> |
文字盤: | スケルトン |
ムーブメント
駆動方式: | 自動巻き |
ムーブメント: | Cal.HUB1280 |
パワーリザーブ: | 約72時間 |
機能
防水: | 10気圧 |
定価: | 3,366,000円 |
2023年新作スクエア・バンから、セラミック製も登場しております!ビッグバンでおなじみの「ブラックマジック」と「ホワイトセラミック」です!こちらは数量限定ではないのが嬉しいですね。
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繰り返しになりますが、ただでさえ難易度の高いビッグバンまたはスクエア・バンの多層構造。セラミックもまた、ただでさえ加工や仕上げが難しい素材の一つです。にもかかわらずスクエア・バンの複雑な造形が実現されており、かつマイクロブラスト加工によるツヤ消しとポリッシュ仕上げによって、高級機として陰影の効いたデザインに仕上がっています。
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ビッグバンから受け継がれるチタン製のビスや、力強い針、切り立ったインデックスも健在です。
なお、新作スクエア・バンのセラミックモデルは、100m防水を堅持しています。
前項でも何度か言及しているように、スクエアケースで高い防水性というのは難しいものなのですが、実用性と美観を両立してきたウブロならではの配慮がなされました。
ムーブメントは同じくウニコ2。
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表裏から、丁寧な仕事が垣間見れることでしょう。
国内定価はどちらも3,366,000円です。
なお、チタン×ダイヤモンドセッティングモデルとキングゴールド×ダイヤモンドセッティングモデルも同時リリースされています。
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ラグジュアリーな一本をお求めの方にとって、良い選択肢になるのではないでしょうか。
2023年ウブロ新作④クラシックフュージョン クロノグラフ オーリンスキー チタニウム
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スペック
外装
ケースサイズ: | 直径41mm |
素材: | チタン |
文字盤: | スケルトン |
ムーブメント
駆動方式: | 自動巻き |
ムーブメント: | Cal.HUB1153 |
パワーリザーブ: | 約42時間 |
機能
防水: | 5気圧 |
定価: | 1,881,000円/2,332,000円 |
2023年も、クラシックフュージョンから新しいオーリンスキーモデルが登場してます!
2022年に3針モデルで追加されましたが、2023年新作では、待望のクロノグラフです!オーリンスキーエディションらしいジュエリーのように美しい外装とクロノグラフが、上手に融合した名品ではないでしょうか。
オーリンスキーエディションは、2017年から行われているフランス人彫刻家のリチャード・オーリンスキー氏とのコラボモデルです。
リチャード・オーリンスキー氏の作風の最大の特徴は、多面カット。ウブロではこのリチャード・オーリンスキー氏の作風に経緯を表紙、さながら宝石のカッティングのように巧みなファセットと優れたフォルムを持った、スペシャルエディションを例年意欲的に発表しているのです。
2022年にはクラシックフュージョンでオーリンスキーモデルが打ち出されたのですが、これがまた、エレガントなクラシックフュージョンとの相性が抜群!
クラシックフュージョンは多層構造なビッグバンと異なり、上品な薄型ケースを記帳としています。もちろん高級機らしい立体感は健在なのですが、あくまでシンプルな薄型となっており、ドレッシーとスポーティーが融合しています。ウブロはここをキャンバスにオーリンスキー流ファセットを施すことで、上質なジュエリーのような腕時計を生み出したと言えるでしょう。
2023年のクロノグラフモデルでも、このジュエリーのような美しさと輝きは十二分。
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アイコニックな外装はもちろんのこと、 文字盤も多面カットが施されており、やはり鋭く加工された針・インデックスと相まって、遠目に見ても存在感を放つ高級腕時計となっていることでしょう。
ちなみにチタンもまた、加工が難しい素材の一種です。近年では腕時計によく使われるようにはなってきたものの、ここまで複雑精緻な形状に面取りされ、かつ美しいポリッシュで仕上げられるというのは、ここにもウブロの実力のほどを感じざるをえません。しかも、ある程度量産できるというのだから。
なお、ラバーストラップとメタルブレスレットモデルが2023年新作としてラインナップされました。
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ブレスレットのH型のリンクはウブロのロゴも想起させ、ブランドのレガシーと革新の姿勢が込められているように思えます。
搭載するムーブメントは自動巻きCal.HUB1153。クラシックフュージョン クロノグラフ等で既に搭載されている、信頼性高いムーブメントですね。オーナーはシースルーバックからご鑑賞頂けます。
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防水性は多くのクラシックフュージョン同様に、5気圧防水が確保されているため、日常使いにも最適です。
定価はラバーストラップモデルが1,881,000円。フルチタンモデルが2,332,000円。
非常に作りこまれているため大量生産とはいきませんが、オーリンスキーモデルはスペシャルエディションの中では比較的よく出回るので、欲しい方は要注目ですね!
2023年ウブロ新作⑤ビッグバン インテグレーテッド トゥールビヨン フルカーボン
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スペック
外装
ケースサイズ: | 直径43mm |
素材: | カーボンファイバー&テキサリウムのアッパーレイヤー |
文字盤: | スケルトン |
ムーブメント
駆動方式: | 自動巻き |
ムーブメント: | Cal.HUB6035 |
パワーリザーブ: | 約72時間 |
機能
防水: | 3気圧 |
定価: | 16,181,000円 |
冒頭で超絶コンプリケーションをご紹介しましたが、併せて軽量かつ堅牢なビッグバン インテグレーテッド トゥールビヨン フルカーボンも2023年新作として発表されました!
ケース・ブレスレット・文字盤・・・どこから見ても特別な一本であることを物語る逸品ですね!
新作ビッグバンの大きな特徴は、なんといってもカーボンファイバーをテキサリウムでコーティングしたケースでしょう。2021年にも同様のコンセプトで100本限定ビッグバンがリリースされていましたが、2023年にはインテグラル―ケースと一体型になったブレスレット―で登場しました!もちろんブレスレットもフルカーボン&テキサリウム。圧巻のビッグバンに仕上がっております。
テキサリウムが何かと言うと、アメリカ カリフォルニア州のHexcel社が開発した繊維強化プラスティックです。シルバーカーボンなどとも呼ばれる新素材で、グラスファイバーにアルミを蒸着させて製造されます。カーボンファイバーやグラスファイバーと比べて堅牢性に優れることに加えてアルミ繊維由来の美しい外観を実現していることから、自動車産業やスポーツ用品等に用いられます。
ウブロの2023年新作でも、軽量かつ堅牢。しかしながら独特の仕上げを施すことで、美しさをも有するビッグバンとなっております。まさにウブロが理念としてきた「フュージョン」を感じさせるのではないでしょうか。
ちなみに何度か言及しているように、ビッグバンは多層構造をしているため、どうしてもケースに厚みが出がちです。しかしながらこういったカーボンやチタンなどといった軽量な素材を用いることで、快適な装着感を実現しています。もっとも新作ビッグバンはケース直径43mm×厚さ14.15mmと常識的なサイズ感に収まっているため、着けづらいとかいったことはないでしょう。
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また、特筆すべきはスケルトナイズされた文字盤です。
6時位置のトゥールビヨンも象徴的ですが、さらに巧みに肉抜きされた各パーツがそれだけでデザインコードを形成しており、唯一無二の存在感を示します。
さらに12時位置にマイクロローターが望めるのもミソ。
一般的な自動巻きのローターと言えば裏蓋側から望めるセンターローターです。一方でセンターローターは厚みが出てしまったり、ムーブメントが隠れてしまったりといった側面があります(個人的にはメーカーの様々なセンターローターを眺めるのも好きですが)。そこでパテックフィリップやショパール、ピアジェなどといった一部の高級腕時計ブランドでは、ムーブメントの窪みを利用して小さなローターを埋め込む「マイクロローター」を採用しています。これによってムーブメントの外観を損ねることなくゼンマイの自動巻き上げを可能としているのですが、このマイクロローターも通常は裏蓋側に設置されます。しかしながらウブロはこの新作ビッグバンで(そして2021年のビッグバンで)、12時位置にマイクロローターをセッティング。さながら文字盤上に記されるロゴ代わりとしても採用することとなりました。
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ウブロはビッグバン ウニコ(ウブロの自社製クロノグラフのこと)のリリースにおいて、文字盤をスケルトナイズするデザインコードを採用しましたが、この際にクロノグラフにまつわる機構を文字盤側に持ってきました。ビッグバン ウニコでは、クロノグラフの制御の様子が文字盤側からみられるというい、時計好きにはたまらない仕様となり、ウブロ人気を高める大きな要因となりましたが、このマイクロローターにも同じことが言えますよね。
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代わって裏蓋側からは、創刊なブリッジとトゥールビヨンの裏側を透けて見せるデザインを楽しむことができ、どこから見ても死角のないビッグバンと言えるでしょう。
もっともこちらも国内定価は16,181,000円、世界限定50本生産と、なかなか実機を手に取るのが難しそうなレアモデル。
とは言え時計好きとして、一度は手にしてみたいものです!
なお、ウブロを始めとするLVMHグループは、Watches & Wonders Geneveに先駆けてグループでの新作見本市を行っておりました。その際に発表された2023年新作モデルも併せてご紹介いたします。
2023年ウブロ新作⑥クラシックフュージョン オリジナル
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スペック
外装
型番: | 542.NX.1270.RX.MDM他 |
ケースサイズ: | 直径42mm/38mm/33mm |
素材: | チタンまたはイエローゴールドまたはセラミック |
文字盤: | ブラック |
ムーブメント
ムーブメント: | Cal.HUB1110 |
駆動方式: | 自動巻き(33mmはクォーツ) |
パワーリザーブ: | 約42時間 |
機能
防水: | 5気圧 |
予価: | 1,056,000円他(税込) |
「クラシックフュージョン オリジナル」として登場したのは、ウブロの最初期作をリバイバルした逸品です!
舷窓をイメージしたデザインに漆黒の文字盤が、今なお「鮮烈な新しさ」を感じさせますね。
ウブロの誕生について簡単に解説すると、1979年にイタリア人のカルロ・クロッコ氏によって創業されたブランドです。
その翌1980年に、処女作となる高級スポーツウォッチをバーゼルワールドで発表しました。ちなみにウブロは創業当初は「MDMジュネーブ」という社名であったようで、初代モデルにはMDMのロゴが見受けられます。
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この処女作は、当時高級時計では珍しかったラバーストラップをゴールドケースに合わせるという大胆さ。そして舷窓(船体の、採光用の小窓)を彷彿とさせるベゼルのビス留めやエレガントなフォルムが、非常に傑出していた逸品です。
1970年代にオーデマピゲ ロイヤルオークから勃興したラグジュアリー・スポーツウォッチは「舷窓」がデザインコンセプトの一つとして挙げられますが、ウブロはこれを取り入れつつも、独自のエレガンスをも極めていることが見て取れます。ちなみにブランド名のウブロ(HUBLOT)は、フランス語で舷窓を意味しています。
この初期のモデルを2008年にリバイバルしたのがクラシックフュージョンです。
ベゼルのビス留めは少なくなり、ケースも薄型ながら洗練された印象をまといました。また、バーインデックスが付されているのも特徴となります。また、初期モデルはクォーツのみでしたが、現在は自動巻きムーブメントもメインで搭載し、シースルーバックによって機械を鑑賞できるのが大きな特徴であり魅力となっております。
そして2023年、いっそうオリジナルに回帰しつつ、現代的なウブロらしさを取り入れた新作「クラシックフュージョン オリジナル」がリリースされました。
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ケースサイズは42mm・38mm・33mm。
いずれもイエローゴールド・チタン・ブラックセラミック素材でそれぞれラインナップされています。この多彩さも、ウブロらしさですね。
オリジナルより少ない「H」フォルムのビスがベゼルに打たれており、またケースはポリッシュ仕上げとサテン仕上げのコンビネーションによって立体感を有します。
インデックスを持たないブラックラッカー文字盤はデイト窓もブラックで統一されているのが、オシャレさを引き立てます。
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とりわけブラックセラミック製の「ブラックマジック」は、トレンドのオールブラックとして刺さるファンが多いのではないでしょうか。
ちなみにウブロは創業当初はイタリア市場を中心に人気を博していましたが、その後2004年にジャン・クロード=ビバー氏がCEOに就任し、2005年「ビッグバン」をリリースして以降、世界的な人気ブランドへと成長していきます。そしてビッグバン人気を大いに押し上げることとなったのが、2006年発表の「オールブラック」です。つまりブラック使いには、ウブロは一家言持っているというわけです。
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搭載しているムーブメントは42mmおよび38mmは自動巻きHUB1110。33mmサイズはクォーツHUB2913です。
自動巻きHUB1110はムーブメントサプライヤーの「セリタ」製SW300-1をベースとしており、既存のクラシックフュージョン Ref.542.NX.1171.LRなどにも搭載されてきた信頼性高い機械です。パワーリザーブ約42時間と、実用性にも優れていますね。
シースルーバックからは「HUBLOT」のロゴを備えたローターをご鑑賞頂けるでしょう。
※ムーブメント画像は既存モデルより
定価はイエローゴールド製42mmサイズモデルが3,091,000円、38mmサイズが2,629,000円、33mmサイズが2,288,000円。
チタン製42mmサイズモデルが1,056,000円、38mmサイズが1,012,000円、33mmサイズが836,000円。
ブラックマジック42mmサイズモデルが1,287,000円、38mmサイズが1,100,000円、33mmサイズが935,000円。
クラシックフュージョンはビッグバンよりもお得な価格帯なのが嬉しいですね!これはまた人気が出そうです!
2023年ウブロ新作⑦ビッグバン トゥールビヨン オートマティック イエローネオン SAXEM
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スペック
外装
型番: | 429.JY.0120.RT |
ケースサイズ: | 直径44mm |
素材: | SAXEM |
文字盤: | スケルトン |
ムーブメント
ムーブメント: | Cal.HUB6035 |
駆動方式: | 自動巻き |
パワーリザーブ: | 約72時間 |
機能
防水: | 3気圧 |
予価: | 26,961,000円(税込) |
創業以来、伝統的な高級時計と革新性をFUSION―融合―させることで、新境地を切り開いてきたウブロ。
高級時計×ラバーストラップでスタートした同社の精神性は、今なお進化の手が止まることはありません。
この精神性の最先端を表した2023年新作が、ビッグバン トゥールビヨン オートマティック イエローネオン SAXEMです。
一目見て、只者ではないと感じる鮮烈なデザインが飛び込んできますね。
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美しい半透明のイエローケースは、SAXEM(サクセム)によって形成されています。
SAXEMとは、酸化アルミニウムと希土類鉱物のサファイア(Sapphire Aluminium oXide and rare Earth Mineral)の略称です。
合金で、サファイアの基本成分である酸化アルミニウムに、ツリウムやホルミウムなどの希土類元素とクロムを加えているとのことです。
SAXEMは人工衛星にも使用されている素材で、きわめて高い耐久性とダイヤモンドのような輝きを両立します。
ウブロは2016年以降、サファイアクリスタルの開発・製造に注力し、同素材で構成された美しきシースルーウォッチをリリースしてきましたが、2020年にグリーンエメラルドのSAXEM製ビッグバンをリリースして、大いに時計業界を湧かせました。
SAXEM第二弾は、イエローで表現されたというわけですが、内部構造を可視化させる構造に輝くイエローが相まって、新時代をも感じさせる出来栄えとなっております。
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ちなみに、サファイアクリスタルにせよSAXEMにせよ、こういった高硬度の素材を時計に転用するのは技術力を要します。言うまでもなく、硬い素材は加工が難しいためです。
近年では加工技術の発達によって風防のメイン素材として使われるようになったとは言え、ビッグバンのような複雑な多層構造を実現させるというのは、ウブロがただ「奇抜」「新しいもの好き」などではなく、理想を実現させる確かな技術力を有していることを示唆しますね。
搭載するムーブメントも、機械式時計の醍醐味を感じられる傑作機です。
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そう、自動巻きトゥールビヨン Cal.HUB6035です。
トゥールビヨンは機械式時計の複雑機構(コンプリケーション)の一つで、簡単に言うと脱進機をキャリッジ(籠)に収めて回転させる仕様です。トゥールビヨンの目的の一つは時計の姿勢差による精度への影響を最小限にするためとも言われますが、現代では実用面というよりも、その渦のよな動きの美しさや複雑精緻な世界観を楽しめることから、非常に人気の高い機構となっております。なお、トゥールビヨンはフランス語で渦を意味します。
6時位置にセッティングされたキャリッジの動きは、スケルトナイズされた文字盤・裏蓋側から存分にお楽しみ頂けることでしょう。
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ちなみに自動巻きながらマイクロローター(通常のセンターローターよりも小さく設計されたローター)を採用しているため、機械全体を裏蓋側からも鑑賞できるのも、ウブロらしい配慮です。
3日間のロングパワーリザーブを備えているので、実用面にもウブロが手を抜かなかったことがわかります。
国内定価は26,961,000円。世界限定50本生産とのことでなかなか市場には出回らないでしょうが、間違いなく2023年を代表する新作です。
2023年ウブロ新作⑧ビッグバン インテグレーテッド キングゴールド レインボー
出典:https://www.hublot.com/ja-jp
スペック
外装
型番: | 451.OX.1180.OX.3999/456.OX.0180.OX.3999 |
ケースサイズ: | 直径42mm |
素材: | キングゴールド |
文字盤: | スケルトン |
ムーブメント
ムーブメント: | Cal.HUB1280/HUB1710 |
駆動方式: | 自動巻き |
パワーリザーブ: | 約72時間/約50時間 |
機能
防水: | 10気圧 |
予価: | 21,571,000円/20,218,000(いずれも税込) |
ビッグバン誕生15周年に当たる2020年、ウブロからビッグバン インテグレーテッドが発表されました。
ラバー等のストラップとの組み合わせが印象的なウブロですが、ビッグバン インテグラルはメタルブレスレット。インテグレーテッド「統合された」「完全な」のコレクション名通り、ケースとブレスレットがシームレスに一体化しており、現在時計業界のトレンドであるラグジュアリー・スポーツウォッチの要素も取り入れることとなりました。
このビッグバン インテグラルに、ウブロが「大胆で、輝かしい功績」と称するような、大変ゴージャスな新作が二種追加されました。
それが、ビッグバン インテグレーテッド キングゴールド レインボーです。
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キングゴールド製のケース・ブレスレットにはレインボーカラーに彩られた貴石がこれでもかとセッティングされており、息を吞むような美しさと楽しさを円sひゅつしています。
ちなみにキングゴールドはウブロの特殊合金で、従来の18Kピンクゴールドよりも赤みを備えつつ、プラチナを加えることで丁寧なポリッシュ仕上げ・サテン仕上げを可能としていることが特徴です。ウブロのハイエンドモデルに採用されてきましたが、高価格帯であるにもかかわらずキングゴールド製モデルは本当によく売れます。
また、2023年に登場したゴージャスなビッグバン インテグレーテッド キングゴールド レインボーは、「タイムオンリー」も含まれました。
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「タイムオンリー」は2022年にビッグバンに加わったコレクションです。
これまでビッグバンはクロノグラフをメインに搭載してきましたが、シンプルな3針機能となっており、まさに「タイムオンリー」!クロノグラフがない分、すっきりとしたシンプル・エレガンスが引き立ちます。
国内定価はクロノグラフモデルが21,571,000円、タイムオンリーが20,218,000円。
こちらもハイエンドでそう活発に出回るモデルではありませんが、ウブロが誇るラグジュアリー・スポーツウォッチの最上機種のような立ち位置。ぜひ一度は手にしてみたいところです!
2023年ウブロ新作⑨ビッグバン ウニコ SORAI
出典:https://www.hublot.com/ja-jp
スペック
外装
型番: | 421.FX.8099.NR.SOA23 |
ケースサイズ: | 直径44mm |
素材: | セラミック |
文字盤: | スケルトン |
ムーブメント
ムーブメント: | Cal.HUB1280 |
駆動方式: | 自動巻き |
パワーリザーブ: | 約72時間 |
機能
防水: | 10気圧 |
予価: | 3,091,000円(税込) |
様々な業界やジャンルとFUSIONすることでも知られるウブロ。
こちらの2023年新作は、SORAI―Save Our Rhino Africa India―をオマージュしたモデルです。
SORAIはウブロのアンバサダーを務めてきたクリケットの元選手ケビン・ピーターセン氏が設立した団体で、密漁によって絶滅に瀕するサイの保護活動のための団体です。
ウブロは2019年からSORAIを支援し、何度か特別モデルをリリースしましたが、2023年に第三弾が公開されました。
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グレーのセラミックケースに暖色がメインとなったインデックスやインダイアルのスケールが、なんとも渋みのあるデザイン。これは、サイが夜間に危険にさらされることから、アフリカのサンセットをイメージしたカラーになっているとのこと。
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9時位置のサイのモチーフが、なんとも愛らしいですね。絶妙な色合いを有するファブリックストラップが、全体のデザインをいっそう華やかにスポーティーにさせています。
搭載するムーブメントは、ウブロの自社製ウニコ2「Cal.HUB1280」。
出典:https://www.hublot.com/ja-jp
ウニコは2010年にリリースされ、これが搭載されたモデルは裏蓋のみならず文字盤側もシースルー化されていることが特徴です。ただシースルーにするのみならず、ムーブメントも文字盤側にクロノグラフ機構を集中させており、「クロノグラフを存分に楽しめる」メカニックな機構が素晴らしいですね。
2018年には小径薄型化を果たしたウニコ2が登場しましたが、このビッグバン SORAIにはウニコ2が採用されることとなりました。
国内定価は3,091,000円。100本の売上の一部が、SORAIに寄付されるとのことです。
2023年ウブロ新作⑩スピリット オブ ビッグバン トゥールビヨン
出典:https://www.hublot.com/ja-jp
スペック
外装
型番: | 645.QL.5117.RX/645.JM.0120.RT |
ケースサイズ: | 直径42mm |
素材: | カーボン/サファイアクリスタル |
文字盤: | スケルトン |
ムーブメント
ムーブメント: | Cal.HUB6020 |
駆動方式: | 手巻き |
パワーリザーブ: | 約115時間 |
機能
防水: | 3気圧 |
予価: | 12,815,000円/26,290,000(いずれも税込) |
ダイナミックな角型ケースがとにかくカッコいい!スピリット オブ ビッグバンより、トゥールビヨンモデルが二種発表されました!
トゥールビヨンは扱うパーツ数が多くなるため、どのブランドも製造できるという代物ではありません。製造難易度が上がることはもちろん、キャリッジに高さが出るためケースが分厚くなってしまったり、あるいはトゥールビヨンの消費エネルギーによって安定したパワーリザーブが得られなかったりするためです。
確かに近年では加工技術の発達によって、これらの課題を克服し、コンプリケーションモデルをラインナップするブランドは格段に増えてきました。しかしながら製造コストはどうしても上がるため、やはり全てのブランドが使いこなせるわけではないというのは変わらないでしょう。
そこへきてウブロは、多層構造の複雑なケースにトゥールビヨンを収めるばかりか、さらにムーブメントのパーツやデザインを巧みに構成することで、唯一無二のコンプリケーションを製造し続けてきたのだから、やはり同社への畏敬の念は堪えません。
2023年新作も、肉抜きされたパーツにスカイブルーカラーが彩られ、さながらアートのようなトゥールビヨンウォッチに仕上がりました。
出典:https://www.hublot.com/ja-jp
特筆すべきは、ケース素材です。
この独特のパターンを楽しめるケースは、カーボンにスカイブルーマイクログラスファイバーが入ることで実現されているとのこと!
カーボン製ゆえに軽量であるにもかかわらず、堅牢性をも持ち合わせているのが素晴らしいですね。
なお、サファイアクリスタル製モデルも同時リリースされております。
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SAXEM製トゥールビヨン搭載ビッグバンでもご紹介した通り、ケース自体を半透明素材とすることで、時計の構造を可視化させるこの逸品。パープルカラーの妖艶さと相まって、特別な存在感を示してくれますね。
カーボンもサファイアクリスタルガラスも扱いが難しい素材。ウブロだからこそ、魔法のようにこれらを高級腕時計として昇華してくれたのでしょう。
搭載するムーブメントは手巻きHUB6020。
出典:https://www.hublot.com/ja-jp
パワーリザーブ約115時間を誇るこの名機、手巻きゆえにローターがないため、裏蓋から存分にご鑑賞頂けることでしょう。
国内定価はカーボンスカイブルーが12,815,000円。パープルカラーのサファイアクリスタルが26,290,000円。
2023年の幕開けから、ファンの心を鷲掴みにしてくる新作ですね!
まとめ
ウブロがWatches & Wonders Geneveで公開した、2023年新作モデルについてご紹介いたしました!
MP-13や新しいスクエア・バン等、いずれもウブロの伝統と最先端が詰まった新作となっており、2023年もウブロの勢いは止まらないことを示唆しています。
当店でも、2023年もウブロを追っていきたいと思います!
当記事の監修者
新美貴之(にいみ たかゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 店舗営業部 部長
1975年生まれ 愛知県出身。
大学卒業後、時計専門店に入社。ロレックス専門店にて販売、仕入れに携わる。 その後、並行輸入商品の幅広い商品の取り扱いや正規代理店での責任者経験。
時計業界歴24年