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池田裕之, ロレックス

アンティークロレックスで資産価値が高くなりやすい時計の特徴は?資産価値を下げないための対策も解説

最終更新日:

アンティークロレックス 資産価値

「アンティークロレックスの資産価値について知りたい」
「自分の持っているアンティークロレックスの価値はどれくらい?」

アンティークロレックスは、現行品にはない独特の味わいが楽しめるとして、アンティーク時計愛好家を中心に需要が高まる傾向にあります。

そして、人気の高まりとともにその資産価値についても、注目が集まっているのです。

資産価値が高いアンティークロレックスについて知りたいという人は多いのではないでしょうか。

アンティークロレックスは、オリジナルに近い個体や流通量の少ないレアモデルが資産価値が高いとされています。

この記事ではアンティークロレックスの中で資産価値が高いとされる個体の特徴について、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。

アンティークロレックスの資産価値を下げないための対策も説明していますので、中古ロレックスの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。

資産価値が高くなりやすいアンティークロレックスの特徴

アンティークロレックスの資産価値はものによってさまざまで、古ければ価値が高いまたは低いというものではありません。

資産価値が高いとされるアンティークロレックスの特徴には、以下のようなものがあります。

  • 製造、販売された時のオリジナルに近い状態
  • レア個体の場合
  • 経年による特殊な外見変化がある場合
  • ダブルネームモデル
  • 時代を超えて愛され続けるモデル

次の項目から、それぞれの特徴について詳しく解説します。

製造、販売された時のオリジナルに近い状態

製造、販売された時のオリジナルに近い状態のアンティークロレックスは、高値で取引される傾向があります。

その理由は、ロレックスが純正モデルの部品を保管している期間を30年としていることが関係しています。30年を過ぎてから修理に出した場合、現行モデルのパーツと交換されてしまうため、オリジナルの状態からはどんどん遠ざかってしまいます。そのため、古いモデルであればあるほどオリジナルの状態を維持するのは難しく、価値が高いと判断されるのです。

同じモデルのアンティークロレックスでも、見た目が綺麗で部品が変わっているものより、多少の汚れや傷があってもオリジナルに近いもののほうが、高値で取引される可能性があります。場合によっては、販売当時よりも高値がつく可能性もあるのです。

たとえば、1960年頃〜1990年代後半までに製造された古いロレックスは、文字盤にトリチウムという発行塗料が使用されていました。

ロレックス トリチウム

トリチウムは約12年で効力が失われるため、オーバーホールに出すことが一般的ですが、その場合はルミノバなどの半永久的に効力が続く素材を使用した新しい部品に交換されてしまいます。

しかし、このトリチウムには紫外線や湿度などの影響により経年によって変色を起こしやすいという特徴があり、この変色がアンティークロレックスの魅力の1つとされています。個体差はありますがトリチウムの部分が飴色に変色し、いわゆる「焼けた状態」になると、新品よりも味が出るとして、あえて焼けた状態のアンティークロレックスを好む愛好家もいるのです。

レア個体の場合

限定版や生産数が少なかったモデルなどのいわゆる「レア個体」と呼ばれるモデルも、高い価値を持つと判断されることが多いです。

なぜなら、レア個体は通常モデルに比べて市場での流通量が少ない一方で需要は高めのため、希少性が生まれて価格が上昇する傾向にあるからです。通常モデルの2倍以上の値がつけられることも珍しくなく、パーツや部品の違いはもちろんのこと、インデックス部分のロゴの大きさや表記がほんの少し違っただけで、数百万円単位で価格が変動することもあります。

なお、レアモデルを購入する際には、正規品であるかどうかを慎重に判断するようにしてください。流通量の少ないレアモデルは真贋の判断材料となる情報も少ないケースが多いため、信頼できる販売元から購入することが重要です。

経年による特殊な外見変化がある場合

通常、経年劣化したものというのは価値が下がることが一般的ですが、アンティークロレックスの場合は経年による特殊な外見変化があると、逆に価格が上昇することがあります。

とくに、文字盤(ダイヤル)部分に特徴的な変化が見られるものは、高値で取引される傾向があります。高値がつく可能性の高いアンティークロレックスの特徴は、以下のとおりです。

  • スパイダーダイヤル
  • トロピカルダイヤル

スパイダーダイヤルとは、ミラーダイヤルの文字盤がクモの巣のようにひび割れた状態を指します。ひび割れの形によって価格が変動し、より美しく独創的な形のものほど高値で取引されるのです。

また、トロピカルダイヤルとは、ミラーダイヤルが紫外線や湿度などの影響により経年によって茶色く変色した状態を指し、これも資産価値が非常に高いと考えられています。

ロレックス エクスプローラー cal.1560 1016 ブラウン トロピカル 11番 アンティーク メンズ
ロレックス エクスプローラー cal.1560 1016 ブラウン トロピカル 11番 アンティーク

型番:1016
ベルト素材:ステンレススティール
ケース素材:ステンレススティール
ケースサイズ:36mm
文字盤:ブラウン
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:cal.1560
その他:オールトリチウム、1964年頃の製造と推察

他にも、アンティークロレックスの価値を高める経年変化にはさまざまな種類があり、自分なりの魅力を探すのもアンティークロレックスならではの楽しみ方といえるでしょう。

ダブルネームモデル

ロレックスには有名ブランドとのコラボモデルが数多く存在し、これを「ダブルネームモデル」といいます。ダブルネームモデルは流通量が非常に少なく、希少価値の高さから価格が高騰し、通常モデルの何倍もの高値で取引されるケースも珍しくありません。

ダブルネームモデルは、企業の宣伝やロレックスの知名度を高めるために作られたもので、文字盤にはロレックス以外のブランド名や店舗名が記載されています。

ロレックスの有名なダブルネームモデルには、有名ジュエリーブランドであるティファニーとコラボしたものがあり、他にもカルティエやフェラーリ、ドミノ・ピザ、コカ・コーラ、コメックスなど、さまざまなブランドとのダブルネームモデルが製造されています。

なお、ダブルネームモデルを購入する際には、偽物に注意してください。希少性が高く高値で取引されるダブルネームモデルには、文字盤だけ乗せ替えた偽物が多く存在します。

なかには証明書まで偽装されてしまうケースもありますので、購入を検討する際は信頼できるショップを利用するようにしましょう。

時代を超えて愛され続けるモデル

時代を超えて愛され続けるモデルを選ぶのも、資産価値の高いアンティークロレックスを持つうえで重要なポイントです。

ロレックスの中には販売が開始されてから長い年月が経っているのに、ずっと高い人気を保ち続けているモデルがいくつかあります。このようなモデルは古いものでも安定した需要があり、それゆえに高値で取引される可能性があるのです。

具体的には、サブマリーナーやデイトナ、GMTマスターなどがこれにあたります。これらのモデルは機能性・デザイン性が優れていることから、長く愛用する時計として購入を検討されている方には、間違いなくおすすめできる商品といえるでしょう。それだけでなく、新品市場はもちろん中古市場でも将来にわたって安定した需要が見込めるため、投資目的でロレックスを購入しようと考えている方にもおすすめの商品といえます。

アンティークロレックスの資産価値を下げないための対策

アンティークロレックスは、現行品と比べて資産価値の維持が難しいと考えられています。なぜなら、オリジナル性や機械としての品質など、現行品ではそこまで考える必要のない項目についても、慎重に管理しなければならないためです。

そこで、ここからはアンティークロレックスの資産価値を下げないための対策について紹介します。具体的には、以下の7つです。

  1. 交換パーツを見極める
  2. ブレスレットを酷使しない
  3. 付属品の価値も理解する
  4. 保管場所に気を付ける
  5. 適切な取り扱いと定期メンテナンスの重要性
  6. ただし売却前のオーバーホールは不要なことがほとんど
  7. 売却は信頼できる時計専門買取店を選ぶ

次の項目から、それぞれ詳しく解説します。

①交換パーツを見極める

アンティークロレックスの機械としての品質を維持するために、必要に応じて劣化したパーツを交換することは大切です。しかし、交換するパーツによってはアンティークロレックスの資産価値を著しく損なう恐れもあるので、慎重に判断しなければなりません。

ロレックスのような高級時計は、パーツ一つひとつが作り込まれているため経年に強く、定期的なメンテナンスをおこなうことで長く愛用できることが一般的です。とはいえ、使い続けていくうちに交換が必要となるパーツはどうしてもでてきます。

具体的な例としては「ゼンマイ切れ」などが挙げられるでしょう。もし、これらのパーツを交換しないで放置した場合、時計として使えなくなってしまう恐れもあるのです。

この避けては通れない「パーツ交換」が、時計の資産価値を下げるという考え方があります。その理由は、ロレックスは年式が古くなれば古くなるほど「オリジナリティ=製造当時の仕様に近いこと」が重要視される傾向にあるからです。

アンティークロレックスは製造から半世紀以上が経過しているものも少なくありません。長い歴史の中でしばしば一部のパーツはより機能性の高い素材に交換され、その一方で製造当時のパーツで構成された個体はどんどん少なくなっていき、希少性が高まっていきました。

そのため、オリジナルを維持し続けている個体は市場での評価が高く、それに伴って資産価値も高騰しているのです。近年ではロレックスファンによって年代による仕様が体系化されたことで、いっそう「オリジナルのパーツがどれくらい使われているか」が重要視されるようになりました。

パーツは一切交換しないほうがよいというわけでもない

では、パーツは一切交換しないほうがよいのかというと、そうではありません。重要なのは「交換パーツを見極める」ことです。

つまり、パーツの中には交換によって資産価値に大きな影響を及ぼすものとそうでないものがあり、交換パーツを見極めることで資産価値と時計としての価値の両立を図ることが大切ということです。

次項から、交換によって資産価値に大きな影響を及ぼすパーツとそうでないパーツについて、詳しく紹介します。

ムーブメントのパーツは交換しても問題ない

交換しても時計の資産価値にほとんど影響を与えないのが、ムーブメントのパーツです。

ムーブメントのパーツは、使い続けているうちに摩耗していくため、オーバーホール時には交換されることがほとんどです。しかし、これは時計を末永く使用していくうえでは欠かせない過程なので安心してください。

ただし、修理工房によっては純正品以外のパーツに交換するところもあり、こうなってしまうと「改造品」扱いとなってしまうため注意が必要です。

改造品は、市場での価値が著しく下がってしまう可能性があるため、修理はメーカーや信頼できる修理店に依頼するようにしましょう。

ムーブメントとは

腕時計の駆動をつかさどる部分。車でいうところのエンジンともいえる。

「ダイアル」「針」はなるべく交換しないほうがよい

一方で、資産価値を下げないためになるべく交換しないほうがよいパーツとしては「ダイアル(文字盤)」「針」が挙げられます。「ダイアル」「針」の交換がアンティークロレックスの資産価値に影響を与える理由は、夜光塗料が現行品と異なるためです。

ロレックスは1960年代〜1997年頃まで、トリチウムを夜光塗料として使用していました。その後は根本特殊化学株式会社が開発したスーパールミノバを、そして2008年頃からクロマライトを採用しています。

しかし近年、トリチウムが使用されている個体の市場評価が非常に高まっています。トリチウムは経年劣化で発光しなくなるため、夜光塗料としての性能はほとんどありません。また、衝撃で剥がれ落ちてしまうこともあるのです。しかしながら、トリチウムが使用されているというオリジナル性や、日焼けによって独特の風合いが生まれることなどが、便利な性能に勝るとも劣らない魅力を内包していると考えられています。

トリチウムは現在では使われていないため、トリチウムが使用されている個体の価値が年々高まり、ダイアルのパーツ単体で数万円〜数十万円の値がつけられることもあるほどです。

なお、文字盤だけ交換されて針はトリチウム、あるいはその逆の個体も存在します。そのためどちらも交換されていない個体を「オールトリチウム」と称することがあります。

メーカーでオーバーホールすると強制的に交換対象となる恐れも

「修理はメーカーや信頼できる修理店に」と前述しましたが、ロレックスにおけるメーカーとは日本ロレックスのことです。

日本ロレックスではオーバーホール時、ダイアルや針などの外装パーツ含め、劣化のため交換が必要と判断したパーツは強制的に交換がおこなわれることとなるので注意してください。(オーバーホールとセットになるといった意味です)そして、この交換の際には、製造当時に使われていたものではなく新しいパーツとなってしまう場合がほとんどです。

ロレックスではパーツの保有期間を25年としており、それを超えて交換が必要になったものは新型パーツへ付け替えることになります。くわえて、ロレックスでは夜光の剝がれや文字盤劣化をよしとせず、ほぼ強制的に交換対象となってしまいます。

もっとも、アンティークロレックスの中にはメーカーで修理受付終了となってしまったものも少なくありません。

スイス本国へ送付すれば対応してくれるようですが、その場合の修理金額は新品が一本買えてしまうほどで、納期も一年となることがほとんどです。また、現在は新型コロナウイルスによって海外との行き来が制限されている状況を鑑みれば、国外に時計を持ち出すことは得策とはいえないでしょう。

「ベゼル」はコンディションにまず注意

近年ではベゼルも細かく仕様が体系化されており、そのオリジナル性を重要視する傾向が高まってきました。

かつては気軽にベゼル交換がおこなわれており、傷や退色が顕著に出やすい箇所ということもあって黒ベゼルが圧倒的な人気を誇っていました。なかには、黒ベゼルに敢えて交換して販売するお店もあったほどです。

黒ベゼルが人気を博した時代は、現行モデルと異なりリファレンスでベゼルカラーの区別まではされていなかったため、交換個体が著しく資産価値を落とすとは限りません。

ただし、リファレンスが4桁の時代の個体に関しては注意が必要です。リファレンスや仕様によってはベゼル単体で20〜30万円、ベゼルシールだけで10万円超の値がつく場合も多々あります。

ロレックス GMTマスター 1675 ブラック フクシアベゼル
ロレックス GMTマスター 1675 ブラック 8割れ フクシアベゼル 26番 アンティーク

型番:1675
ベルト素材:ステンレススティール
ケース素材:ステンレススティール
ケースサイズ:40mm
文字盤:ブラック
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.1570

なお、アンティークロレックスのベゼルで交換以前に気を付けたいのがコンディションです。そもそも、交換が必要となるような状態にならないよう、モノにぶつけたり擦ったりしない努力もある程度は必要になってきます。

とくに「傷」は注意が必要です。なぜなら、一部のモデルを除きベゼル部分は外装研磨ができないことがほとんどだからです。

ベゼルは外装研磨ができないにもかかわらず、目立ってしまう箇所でもあるので、取り扱いには十分注意したいですね。(とは言え、ベゼルの傷もまたアンティークロレックスの魅力の一つといえるでしょう)

リファレンスとは

1つのモデルに対して付与された番号のこと。例えばサブマリーナーだと、Ref.126610LNなどで表記される。

外装研磨とは

ケースやブレスなど外装の傷がついた部分を「バフ(バフモーター)」と呼ばれる研磨専門の機械で磨くこと。

「ケース」は交換費用も高額なので要注意

ケース交換にも注意が必要です。

なぜなら、ケースを交換するとシリアル印字部分が変わってしまうからです。

現行品は文字盤外周部にシリアルが印字(いわゆるルーレット刻印)されていますが、2010年頃より前(シリアルG番以前)は、ケース6時側の側面にシリアルが印字されていました。

ロレックス シリアル

交換されたケースは、このシリアル部分に44から始まるナンバーが記載されるため、オリジナルと仕様が変わってしまうことになります。このことが、時計の資産価値を大幅に下げる要因となるのです。

そもそも、ケースを交換しなくてはならないというのはよほど外観を損ねるような傷や腐食が生じたときですので、雑な取り扱いをしないことがまずもって重要です。

加えて、ケース交換には莫大な費用がかかりますので注意しましょう。

アンティークロレックスのオリジナル性を守るためにも、思わぬ出費を避けるためにも、やはり適切な取り扱いが大切になってきますね。

なお、今後アンティークロレックスの価値基準が変遷していく中で、オリジナル性が重要視されるパーツとそうでないパーツが変わっていく可能性もあります。こうした変遷もまた、ロレックスならではと言えるでしょう。

②ブレスレットを酷使しない

ブレスレットは基本的に消耗品ですが、このブレスレットもまた、アンティークロレックスのオリジナル性、そして資産価値を維持するのに重要な部分となります。

まず、ロレックス含めアンティークの腕時計は「当時のブレスレットである」というだけで驚くほどの高値がつくこともあるのです。

なお、ブレスレットにはシリアルは記載されませんが、年代によって仕様が異なり、ブレスレットの番号で管理することが可能です。(クラスプ部分に印字されていることから、クラスプコードと呼ばれます)

ちなみに、アンティークロレックスに装着されていたブレスレットなら、単体で20万円以上することが一般的です。さらに、ポールニューマンモデルなどと称される手巻きデイトナに搭載されていた7835-71Nブレスなどは、100万円の値がつくこともあります。

アンティークロレックスの資産価値を守るうえで、ブレスレットがオリジナルである、ということに加えてブレスレットのコンディションもまた、極めて重要となってきます。

と言うのも、アンティーク時代のブレスレットは現行品ほど堅牢ではなく、ヨレてしまったり伸びてしまったりしているものがほとんどなのです。ヨレたり伸びたりしたブレスレットは、使えないわけではありませんが、どうしても装着感が悪くなってしまう傾向にあります。

また、ゴールド素材が使われたブレスレットは傷や凹みが生じているケースが多く、これも資産価値が下がる原因となります。

そのため、ブレスレットの状態が良いアンティークモデルはそれだけで貴重だとされ、市場価値もまた高くなるのです。

ブレスレットのコンディションを維持するために

アンティークロレックスの資産価値を落とさないためには、ブレスレットを酷使せず現状維持することが大切です。

アンティーク時計愛好家の中には当時のブレスレットは温存して、NATOストラップや革ベルトに付け替えて楽しむ方も少なくありません。ただし、交換の際には時計そのものに傷をつけないよう、細心の注意を払う必要があります。

とくに、年式の古い個体はバネ棒が固くなって外しづらくなっているため、不安な方は信頼できる修理店や購入店で相談しましょう。

③付属品の価値も理解する

ロレックス 付属品

高級時計は付属品もまた楽しみの一つ。ブランドごとに個性があって面白いですよね。

ロレックスの時計は、付属品の有無によって売却時の査定額が大きく異なります。人気モデルの場合は付属品の有無だけで50万円以上の差がついてしまうことも珍しくありません。

アンティークロレックスともなると、その傾向は顕著です。なぜなら数十年が経過してなお現存する付属品はそれだけで貴重だからです。

付属品にもまた年代やモデルによる仕様の違いがあり、古い個体だとボックスや保証書ケースがモデル違いとなっていることも珍しくありません。とは言え、ボックスや保証書ケースであれば、一部の特別モデルを除いて数千円ほどで売買される場合がほとんどです。

付属品の中でとくに重要なのは保証書

付属品の中でとくに重要なのが、保証書(ギャランティ)です。保証書は各個体に一つずつ付いており、再現性がないため(ロレックスは保証書の再発行をしていません)、アンティークロレックスにおいて、保証書の有無はきわめて重要なポイントとなります。

2006年以前はペーパータイプの保証書が発行されていましたが、もしこれが付属した個体を所有されているなら、(その他付属品とともに)保証書を大切に保管するようにしましょう。

メーカー保証は当然ながら切れてしまっていますが、アンティークロレックスのオリジナル性といった意味で考えると、保証書の有無はきわめて重要となります。

ちなみに、2020年以降に現行の保証書が使用されるようになりましたが、それより前に発行されたものには発行国が明記されていました。また、ペーパータイプの保証書の中には、日本独自のデザインのものも存在します。

ロレックス 保証書

この日本独自の保証書が付属した個体は、資産価値が落ちるといった噂を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?結論からいうと、この噂は事実と言える部分もあります。と言うのも、海外市場において日本発行の保証書が付属する個体は、敬遠される場合があるためです。

その理由は、日本ロレックスでは早い段階から保証書へ購入者を明記することが徹底されていたためと考えられます。日本発行の保証書には、基本的に最初のオーナーの名前と住所が記載されているのです。

再販される際は、個人情報保護の観点から、これらの情報はマジックや修正テープなどを用いて見えないようにされることが一般的です。このことが「加工」と捉えられる傾向があり、この加工が海外市場では評価が下がる一因となっています。

とはいえ、アンティークロレックスの場合、保証書が付属していること自体が奇跡のようなものです。また、国内での売却であれば加工が施されていても資産価値に影響がないことがほとんどですので、保証書が残っているという方は大切に保管することをおすすめします。


④保管場所に気を付ける

アンティークロレックスは現行品以上に保管方法に注意が必要です。誤った保管方法は個体のコンディションを悪化させ、資産価値を落とす原因となります。

理想は、時計ケースや購入時に付属されてきたボックスを用いて、枕をしっかり固定した状態にして保管することです。

避けるべき保管場所の例

窓際や浴室に近い部屋など、温度変化や湿気が多い場所での保管は避けましょう。

アンティークロレックスは、たとえオイスターケースであったとしても、当時の防水性を保っているとは言い難いです。(もっとも、オーバーホール時には防水テストが行われますが)

そのため、湿気のある場所に保管しておくと内部に水気が侵入し、文字盤が劣化したり、内部機器にダメージを与えてしまう可能性があります。

かと言って乾燥剤や脱臭剤がある箪笥やクローゼットに保管すると、機械の潤滑油が乾燥してしまうので注意してください。

タンスの中にありがちな防虫剤にも注意が必要です。よく使われる樟脳という成分がオイルなどを変質させてしまう恐れがあります。

また、直射日光も変色の原因となるので、暗所に保管することが基本です。

時計を直接横置きしたり平置きしたまま放置することも、できれば避けたいところです。(一時的に置く分には問題ないことがほとんどです)ブレスレットがへたってしまったり、その状態で衝撃を受けた際に裏蓋やラグ部分に大きな傷を受けてしまう可能性があります。

落下や強い衝撃を受ける可能性のある場所も避けましょう。その他、スマートフォンやマグネットが発する磁気も避ける必要があります。

ちなみに、付属品も資産価値の一部であることは前述したとおりです。こちらも時計同様に高温多湿や直射日光を避け、大切に保管してください。

⑤適切な取り扱いと定期メンテナンスの重要性

ロレックスを代表する機械式時計は、メンテナンスを施しつつ大切に扱うことで末永く愛用できます。その証拠に、アンティークロレックスは数十年の時を超えて、我々の手元に届いているのです。

一方で、不適切な取り扱いは不要なパーツ交換を招き、資産価値を下げる原因となってしまうため注意してください。資産価値を守りつつ長く使用するためには、日々機械式時計にふさわしい取り扱いを心掛けることが大切です。

ふさわしい扱い方の例としては、衝撃や強い振動を与えない、水気や磁気に近づけないといったことが挙げられます。

アンティークロレックスは現行品と比べて、堅牢性や防水性、耐磁性能はそう強くありません。日常的にアンティークロレックスを使用するのであれば、機械式時計にとって優しい取り扱いを心掛けることが、資産価値の維持に繋がっていきます。

定期的にオーバーホールを受けると良い

時計を日常使いしているうちは、定期メンテナンス、すなわちオーバーホールも受けるようにしましょう。

ロレックスは実用時計を製造してきた長い歴史があり、時を経てなお実用性を担保する個体も存在します。

そのため、長い間オーバーホールをしなくとも目に見える症状が出ない場合が多いのです。

しかしながら、長く使用していると内部の油が切れてしまい、そのことが機械の摩耗を促進し、結果として交換パーツが発生したり修理費用が高くついたりすることもあります。使用環境にもよりますが、4〜5年に一度は定期メンテナンスをおこなうとよいでしょう。

なお「交換パーツ」の項でも述べているように、日本ロレックスはアンティーク個体の修理を受け付けない場合があります。そのため、まずは購入店に相談するとよいでしょう。

また、オーバーホールは外装研磨がセットになることがあります。外装研磨をおこなえば、外装表面を削ることで小傷を目立たなくできますが、一方でケース痩せも誘発してしまいます。

過度な研磨はアンティークロレックスの資産価値を損なう原因となり得るため、研磨が必要ない場合もしっかりとメンテナンス時に伝えるようにしたいですね。

ちなみに、一つの個体で推奨される研磨の回数は、最大で5〜6回程度と言われています。

⑥売却前のオーバーホールは不要なことがほとんど

前項で解説したように、アンティークロレックスには定期的なオーバーホールは欠かせません。

しかしながらこれは普段使いする場合であって「売却前に査定額を少しでも高くしたい」という目論見でオーバーホールを施すことはおすすめできません。

確かにオーバーホール後の個体、とりわけメーカーの修理明細書が付属された個体は査定がプラスとなるケースも少なくありません。しかしながらそのプラスがオーバーホール代金を上回ることは、ほとんどないのです。

これには、ロレックスは比較的修理ノウハウが出回っていることが背景として大きいでしょう。

ただし、長年オーバーホールされてこなかった個体は、査定が大幅に減額される可能性が高いので、時計のコンディションを見つつ慎重に検討することが重要です。

⑦信頼できる時計専門買取店で売却しよう

せっかく市場価値の高いアンティークロレックスを所有していたとしても、その価値を適切に評価してくれる売却先でなければ、買い叩かれてしまう可能性があります。

アンティークロレックスは、現行品以上に真贋やオリジナル性の判定が難しいため、適正な鑑識眼を有する売却先を慎重に検討する必要があります。

おすすめなのは、アンティークロレックスの取り扱い実績が豊富なところで、なおかつ販売店舗も併設しているところが理想的です。そういった店舗は販売ルートをしっかりと確保しているため、業者価格ではなく一般ユーザーに向けた市場価格で買取査定するところがほとんどだからです。

また、販売ルートを持っているということはメンテナンス体制がしっかりしているということでもあります。個体のオーバーホール代金を多めに引いたりせず、適切な査定価格を提示してくれるでしょう。

まとめ

アンティークロレックスは、製造当時のオリジナルに近い個体や流通量の少ないレアモデルの場合、とくに資産価値が高いとされています。ただし、そのようなモデルは偽物も多く出回っているため、購入する際は慎重に検討する必要があります。

また、オリジナルに近いものが資産価値が高いからといって、劣化しているパーツも交換しないほうがよいとは限らず、資産価値と時計としての価値の両立を図ることが重要です。

末永く愛用していくためには、日頃から時計を丁寧に扱い、定期的なメンテナンスを怠らないことが重要と言えるでしょう。

当記事の監修者

池田裕之(いけだ ひろゆき)

(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン 課長

39歳 熊本県出身
19歳で上京し、22歳で某ブランド販売店に勤務。 同社の時計フロア勤務期に、高級ブランド腕時計の魅力とその奥深さに感銘を受ける。しばらくは腕時計販売で実績を積み、29歳で腕時計専門店へ転職を決意。銀座ラシンに入社後は時計専門店のスタッフとして販売・買取・仕入れを経験。そして2018年8月、ロレックス専門店オープン時に店長へ就任。時計業界歴17年

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