便利なクォーツ式腕時計が普及しているにもかかわらず、伝統的な機械式時計の市場規模もまた拡大を続けている・・・
こういったプロダクトは、腕時計を除いてそう多くはありません。
では機械式時計はなぜ我々を魅了するのか考えた時、その一つにムーブメントが挙げられるのではないでしょうか。
多数の細かいパーツが構成する精密・精緻な世界観は、数百年の歴史とロマン―そして時にアヴァンギャルド―を感じさせるものです。
このムーブメントを存分に堪能したいなら、スケルトンな腕時計がオススメです!
近年では裏蓋がシースルーになったモデルは珍しくなくなってきましたが、文字盤側もスケルトナイズすることで、ムーブメントの世界観を明け透けにしてしまう銘品の魅惑はひとしおです。
この記事では、人気ブランドのスケルトンな腕時計を21選ご紹介いたします!
価格帯別に掲載しておりますので、ご予算に合わせて至高のスケルトン腕時計を楽しんでみて下さいね。
※価格は当店GINZA RASINでの入荷個体をもとに分類しており、参考となります。
目次
精密・精緻なムーブメントを楽しむ。スケルトン腕時計の魅力
「スケルトンな腕時計」と言った時、そのデザインコードは大きく二つに分けられます。
一つ目は、文字盤の一部を肉抜きしたセミスケルトン(オープン)です。
モデルにもよりますが時計の心臓部にあたるテンプを魅せるためのデザインコードとなっていることが多いため、オープンハートなどと呼ぶこともあります。
※テンプ・・・ゼンマイがほどけるスピードを制御し、正しく時を刻む手助けをする重要パーツ。調速機とも。
もう一つは、文字盤がシースルー化されることでムーブメント全面が透け透けになったフルスケルトンです。
フルスケルトンのモデルはムーブメント自体もデザインコードとするために、パーツを支えるプレートを極限まで肉抜きしたり、プレート自体をなくしたり・・・中には文字盤から裏蓋側にかけて透過しているようなモデルも存在します。
また、ムーブメントは「魅せる」ことを前提としているため、丁寧に仕上げ・装飾が施されていることがほとんどです。
高級機ともなると見事な彫金が施されている個体もあり、まさに極上の世界観が広がっています。
一方で近年は加工技術が発達したことで、幅広い価格帯で美しいスケルトン腕時計を楽しめるのは嬉しいですよね。
なお、裏蓋がスケルトナイズされた個体はシースルーバックと称しますが、腕時計愛好家の間では「裏スケ」としても親しまれています。
画像引用:Maurice Lacroix
このスケルトン腕時計の歴史についてははっきりとはわかりませんが、1990年代半ば頃のモーリスラクロアやフレデリック・コンスタント ハートビート、2003年登場のゼニス クロノマスター オープン等を皮切りにトレンド化していったと思われます。
もっとも、「ムーブメントを鑑賞する」といった試みは古くからあり、18世紀に遡ることができます。
とりわけフランス国王ルイ16世の王妃マリー・アントワネットのために、アブラアン=ルイ・ブレゲとその弟子たちが製造したNO.160は有名でしょう。
これは1783年、マリー・アントワネットの使者と名乗る人物が「時間も費用も制限しないので、複雑機構の全てを搭載した最高の時計」をブレゲに所望したことに端を発する歴史的タイムピースです。
ケースやパーツがゴールドで作り上げられた贅沢なNO.160は、ミニッツリピーター・永久カレンダー・自動巻き機構「ペルペチュエル」・パワーリザーブ・温度計・パラシュート耐震装置などといった、複雑にして当時の最先端となる技術―その多くをブレゲが確立していますが―を存分につぎ込んだ一級品でした。
驚くべきは、このブレゲの集大成的ムーブメントを魅せるために、水晶で文字盤が作られたことです。
すなわちNo.160は、約200年も前に誕生していたスケルトン時計というわけです。
※No.160のレプリカNo.1160
画像引用:Breguet
余談ですが、このNo.160をマリー・アントワネットが実際に手にすることはありませんでした。
なぜなら1789年にフランス革命が勃発し、1792年に断頭台の露と消えたためです。
ブレゲ自身もスイスに亡命後に逝去しますが、その弟子らによって製造が続けられ、1827年にNo.160は完成することとなります。
さらに余談を続けると、No.160は幾人かのコレクターや富豪の手を経て、1960年代にエルサレムのL.A.メイヤー記念イスラム美術館に寄贈されました。
しかしながら1983年に盗難に合い、以降行方不明に。
後年、時計師のDNAを受け継ぐ現代ブレゲは当時の古い資料のみを頼りにNo.160レプリカの制作に挑み、2007年末にN0.1160の完成させました。
すると、なんとレプリカ完成と時を同じくして、行方不明だったNo.160が見つかったのです。
なんとも数奇な運命を辿った、伝説のスケルトン時計ですよね。
もっとも、こういった伝説や伝統を有することが、歴史深い機械式時計の醍醐味です。
そんな「味」を目でも楽しめるスケルトン腕時計、愛好家は一本所有しておきたいですね!
スケルトンの腕時計の選び方
ひとくちにスケルトンの腕時計と言っても、近年ではトレンド化していることもあり、非常に多くのモデルが市場に流通しています。
そこで迷ってしまうのが、どんなスケルトン腕時計を選ぶべきか、ということではないでしょうか。
スケルトン腕時計は「デザインコードとしてのムーブメント」が醍醐味の一つだと思いますので、一番は気に入った一本を選ぶことです。
しかしながら、ぱっと見ただけでは着け心地であったり、使い勝手であったり、使用シーンがすぐにはわかりづらいものです。
もし「どのスケルトン腕時計を選ぼう?」とお悩みの方は、下記のポイントをチェックしてみて下さい。
- ケースサイズ
- スペック
- 自動巻きか手巻きか
- 予算
ケースサイズは一般的に、ケースのリューズを除いた横幅が記載されています。
現代メンズウォッチのポピュラーなサイズ感は40mm前後で、これより大きいとスポーティーで存在感もたっぷりになりますね。
一方で、サイズが小さいほどクラシカルな印象になります。
アンティークの時代の腕時計や、アンティーク風のドレッシーなモデルだと、33mm~36mmといったサイズ感です。
派手さはないものの、スーツの袖口にスッキリと収まり、知的な雰囲気を醸してくれること間違いなし。
なお、好みやモデルにもよりますが、腕回りよりも大きすぎると着け心地に違和感が出てきてしまう可能性もあります。
購入前にできるだけ試着したり、手持ちの腕時計と比べてみたりしてみることをお勧め致します。
デイリーユースをお考えなら、スペックも大切です!
ここで言うスペックは、防水性や耐磁性、パワーリザーブ等を指します。
スケルトンな腕時計は防水性が低いなどといったイメージがあるかもしれませんが、近年では必ずしも当てはまりません。
とは言え、クラシックな薄型モデルなどはどうしても堅牢性が低くなりがちです。
アクティブに活動することが多いといった方は、なるべく防水性が高いモデルをご購入頂くことをお勧め致します。
ちなみにパワーリザーブをご存知でしょうか。これはゼンマイの持続時間などとも表現されるスペックで、一度フルに巻き上げてからほどけるまでのおおまかな時間を表しています。
例えばパワーリザーブ約48時間と言った場合、理論上はゼンマイをいっぱいまで巻き上げてから時計が止まるまでがだいたい2日間程度、ということです。
あくまで理論上とはなり、年式を経るに従って持続時間は短くなることがありますが、意外とロングパワーリザーブは便利です。
頻繁なゼンマイ巻き上げをしなくても良いということもありますが、ゼンマイはほどけるにしたがってトルクが弱まるため、ゼンマイがなかなかほどけきらないロングパワーリザーブは、一般的には安定して高い精度を誇る傾向にあるのです。
タイトな時間管理が必要だったり、デイリーユースとしてスケルトンな腕時計をご利用になる方は、スペックにも注目してみて下さいね。
さらにスケルトンな腕時計であれば、「自動巻き」か「手巻き」かということも気にしておきたいところ!
自動巻きはムーブメントにローターが取り付けられており、腕の振りによって回転するローターを用いてゼンマイ巻き上げを行う機構です。
頻繁に使っていれば基本的にはリューズを使って手で巻き上げる手間が格段に少なくなる優れモノです。
一方の手巻きはこのローターのついていない機械式時計のことで、定期的にリューズを使ってゼンマイ巻き上げを行います。
一見すると自動巻きの方が利便性が高いかと思われますが、手巻きはローターがない分シンプルな設計をしており、衝撃や振動に強いと言われています(もちろん自動巻き・手巻きかかわらずモデルや使い方にもよるので一概には言えませんが)。
また、ローターがないため、機械の内部構造を鑑賞しやすいといった、スケルトン腕時計ならではのメリットもありますね。
もっとも個人的にはメーカーそれぞれで様々な仕上げや装飾が施された「ローター」の意匠を楽しむのもスケルトンならではのだいご味だと思っています。
中にはローターを肉抜きして特別なモチーフを作ったり、「ペリフェラルローター」「マイクロローター」などといったように、通常のセンターローターとは違った種類のパーツもあり、自動巻きだからこそできる至高の遊び心を感じられます。
その他ではベルトの素材やご予算でも、選び方は変わってきますね。
繰り返しになりますが、スケルトンな腕時計は「ジャケ買い」が一番だと思っております。
しかしながら、どれがいいか迷った時。
ぜひ「どのように使うのか」を気にして、選定基準に入れてみてはいかがでしょうか?
60万円以下で購入できるスケルトンな腕時計
前述の通り、スケルトンの腕時計は文字盤をシースルー化したり、ムーブメント自体の特別な仕様にすることが多く、いずれも類を見ない美しさを誇ります。
しかしながら、この特別仕様ゆえに価格帯は高い傾向にあり、中には1000万円を超えるモデルも!
とは言え加工技術の発達から、昔ほどは手間・コストをかけずに美しいスケルトン腕時計が楽しめるようになってきました!
20万円前後で購入可能なモデルもあり、初めての機械式時計としてもお勧め。
まず最初に、60万円以下で購入できるスケルトンな腕時計をご紹介いたします!
ハミルトン ジャズマスター オープンハート
上質な腕時計を、ハイコストパフォーマンスで手掛けるハミルトン。
『TENET テネット』や『インターステラー』、『メン・イン・ブラック』などといった映画の中で着用される腕時計ブランドとしても有名かもしれません。
こういった背景から、初めての高級時計としてもお勧めのブランドですが、一方でアメリカの産業に大きな功績を残る歴史的時計ブランドでもあります。
1892年にアメリカペンシルベニア州ランカスターで現在の社名となったハミルトンですが、20世紀初頭には既に鉄道時計や軍用時計として名を馳せ、精密・精緻な時間運用が求められる環境下の人々を、大いに助けることとなりました。
また、革新性についても他社に先鞭をつけてきた歴史を持ちます。
とりわけ1957年、世界初のエレクトリック時計「ベンチュラ」を発表したこと。
そして1969年にブライトリングや現在のタグホイヤーなどと共同で腕時計用の自動巻きクロノグラフムーブメントCal.11 クロノマティックを発明したことは、ハミルトンを象徴するエピソードです。
現在はスイスに拠点を移しておりますが、長い歴史の中で培われてきた時計製造技術と革新性は健在です。
そんなハミルトンのスケルトン腕時計としてお勧めなのが、ジャズマスター オープンハートです。
お洒落で心地良いJAZZの世界をオマージュしたとされるコレクションで、ハミルトンで最も高い人気を誇ります。
ジャズマスターはバリエーションが本当に豊富なのですが、「スケルトン」ならオープンハートです!
文字盤が部分的に肉抜きされたセミスケルトンですが、オープンハートの名称通り、テンプの動きを楽しめる仕様となっております。
さらにジャズマスターはオープンハートだけでもバリエーションが豊富で、サイズもメンズであれば36~42mm程度と幅広く展開されています。
そのほとんどが定価20万円以下というコストパフォーマンスの高さですので、お気に入りの一本を見つけたいですね。
ジャズマスター オープンハート H32565155
型番:H32565155
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径40mm
駆動方式:自動巻き(H-10)
定価:159,500円(生産終了時)
ジャズマスター オープンハート H32575735
型番:H32575735
素材:ステンレススティール(PVDコーティング)
ケースサイズ:直径40mm
駆動方式:自動巻き(H-10)
定価:173,800円
ジャズマスター ビューマチック スケルトン ジェント H42555151
型番:H42555151
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径40mm
駆動方式:自動巻き(H-20S)
定価:185,900円(生産終了時)
ハミルトン ベンチュラ オート
ハミルトンでもう一つご紹介したいスケルトンな腕時計が、ベンチュラです!
ハミルトンの歴史でもお伝えしているように、ベンチュラは1957年に同社が発明した世界初のエレクトリック腕時計です。
エレクトリックな腕時計というと、1969年にセイコーが初めて市販化に成功したクォーツ式腕時計のイメージが強いかもしれません。
一方ベンチュラは従来の機械式時計のようにテンプとヒゲゼンマイを持ちつつ、小型の水銀電池によってこれらを稼働させる方式が採られました。
エレクトリック腕時計としてのベンチュラは4か月ほどの販売に留まったものの、ベンチュラはデザイン面での功績も非常に大きいと言えます。
画像引用:Hamilton Watch
左右非対称のケーストライアングルフォルムとなっており、とても画期的かつ特徴的です。
また、モデルにもよりますが文字盤中央にエレクトリックを思わせるようなモチーフが加えられており(今回のスケルトンモデルにはありませんが)、半世紀以上も前に作られたデザインコードであるにもかかわらず、今なお鮮烈な印象を与えますね。
ちなみに故エルビス・プレスリー氏が代表作『ブルー・ハワイ』(1962年公開)でベンチュラを着用したことから、エルヴィスウォッチなどの愛称でも親しまれています。
本項でご紹介するのは、そんなアイコニックなベンチュラの珍しいスケルトン文字盤です。
ベンチュラは出自はエレキ時計ですが、現在は様々なバリエーション展開を行っており、こちらは自動巻きムーブメントCal.H-10を文字盤側からも裏蓋側からも鑑賞できる仕様となっております。
H-10はムーブメントサプライヤーのETAとハミルトンが共同開発した自動巻きキャリバーで、パワーリザーブ約80時間、かつ耐磁性にも優れる高性能ムーブメントとなっております。
ハミルトンらしくしっかりと仕上げが施されているので、まさに「見て楽しい」「着けて楽しい」スケルトン腕時計になっていますね。
定価170,500円とハミルトンらしくコストパフォーマンスにも優れており、かつ画期的なデザインも楽しめる。
そんな人と違ったスケルトン腕時計の魅力を存分に放っております。
ベンチュラ オート H24515591
型番:H24515591
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:横34.7mm×縦53.5mm
駆動方式:自動巻き(H-10)
定価:170,500円(生産終了時)
ベンチュラ オート H24515551
型番:H24515551
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:横34.7mm×縦53.5mm
駆動方式:自動巻き(H-10)
定価:170,500円(生産終了時)
タグホイヤー カレラ ホイヤー02
次にご紹介するスケルトンな腕時計は、タグホイヤーのカレラです!
新品並行相場で60万円前後~と、やや「60万円以下」の括りから逸脱してしまいますが、中古であれば40万円台前半で購入できるモデルもある&その出来栄えを鑑みれば非常に良心的な価格設定であることから、本項でご紹介いたします!
タグホイヤーは1860年に創業した、スイスの老舗時計ブランドです。
長い歴史を有しますが、前項のハミルトンでご紹介した腕時計用自動巻きクロノグラフの一つ「Cal.11 クロノマティック」の開発に代表されるように、モータースポーツとの結びつきを感じさせる歴史を歩んできたことが大きな特徴です。
ちなみただのブランド戦略ではなく、タグホイヤーの創業者エドワード・ホイヤー氏が無類のスポーツファンであったことと関係しているのかもしれませんね。
コレクションもレーシーなデザインが多く、そんな中でも「カレラ」はタグホイヤーのフラグシップに当たります。
カレラは、伝説的なレース「ラ・カレラ・パンアメリカーナ・メキシコ」へのオマージュとして1963年に誕生しました。
エドワード・ホイヤー氏のひ孫であり、四代目CEOジャック・ホイヤー氏もまたスポーツ競技に特別な気持ちを抱いており、この伝説的かつ過酷なレースを知って、カレラの開発に至ったと言います。
ちなみにカレラはスペイン語で「情熱」「レース」を表すことにも、氏は感銘を受けたと言います。
現在ではカレラは様々なバリエーション展開によって幅広い層に愛され続けておりますが、「スケルトン」と言えばホイヤー02搭載モデルです(2019年まではホイヤー01。ほとんどデザインコードは変わりませんが、ホイヤー01の方は縦目のクロノグラフとなります)。
ホイヤー02は2019年から搭載され始めたタグホイヤーの基幹ムーブメントです。
カレラはキャリバー5やキャリバー16等、汎用ムーブメントをベースとしたバリエーションも存在しますが、ホイヤー02は自社開発機。
その特別感を醸すためか、ホイヤー02搭載カレラには基本的に、スケルトナイズされた文字盤が採用されているのです。
このカレラ ホイヤー02、クロノグラフであることがミソです!
クロノグラフは時間計測ができるポピュラーな機構ですが、3針モデルなどと比べると複雑な構造をしています。
このメカメカしいクロノグラフを可視化できるのは、機械が好きでスケルトン腕時計を求めているユーザーにとっては、非常にニーズにマッチしているのではないでしょうか。
スペックもパワーリザーブ約80時間、100m防水と申し分ないため、デイリーユースのスケルトンな腕時計として強くお勧めしたいところです。
前述の通り、新品並行相場は50万円前後~となりますが、自社製クロノグラフとしては良心的と言わざるを得ない価格帯です。
また、上質な中古モデルも豊富に出回っているため、ご予算がある方は中古市場から探すのも手ですよね。
カレラ キャリバー ホイヤー02 クロノグラフ CBG2A90.BH0653
型番:CBG2A90.BH0653
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径45mm
駆動方式:自動巻き(Cal.ホイヤー02)
定価:1,067,000円(生産終了時)
ちなみに、こちらのRef.CBG2A90.BH0653がカレラ ホイヤー02搭載モデルの中で、当店一番人気です。
ベーシックなブラック貴重にレーシーなレッドが差し色になっており、かっこいいですよね。
カレラ キャリバー ホイヤー02 クロノグラフ CBG2A11.BA0654
型番:CBG2A11.BA0654
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径45mm
駆動方式:自動巻き(Cal.ホイヤー02)
定価:957,000円(生産終了時)
カレラ キャリバーホイヤー02 GMT CBG2A1Z.BA0658
型番:CBG2A1Z.BA0658
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径45mm
駆動方式:自動巻き(Cal.ホイヤー02)
定価:1,034,000円
新品並行相場が80万円台~と少しオーバーしてしまいますが、GMT搭載のカレラ ホイヤー02も例年高い人気を誇っています。
オリス ARTELIER(アートリエ) トランスルーセント スケルトン
画像引用:ORIS
オリスは1904年にスイス ヘルシュタインで創立したブランドです。
ちなみに近くを流れる小川が「オリス」であったことに名前をちなむとのことです。
スイスメイド法に準拠した高品質な機械式時計を製造することにこだわっていることも特徴となっており、一方で優れた生産体制によってユーザーに優しい価格設定を築いていることからも、非常にファンの多いブランドとなっております。
そんなオリスの歴史と革新的技術を表現した、とオリス自身が自負するのがARTELIER(アートリエ)コレクションです。
オリスはスポーツウォッチや渋みあるパイロットウォッチ等の人気が目立ちますが、ARTELIERはクラシックスタイルが基本。
またコンプリケーション搭載モデルもラインナップされており、オリスの中でも特別な存在となっております。
スケルトンな腕時計のRef.734 7684 4051Dも、そんな特別なオリスの一つでした。
シンプルながら美しい針が添えられた文字盤は透け透けで、機械の世界観を存分に楽しめますね。
裏蓋側からはオリスのトレードマークともなっているレッドローターが鑑賞できます。
レッドローターは2002年からオリスの商標登録となっており、「手の届く金額の、高品質な機械式時計」の象徴と言います。
オリスの哲学や理念を表現した重要パーツなのですね。
現在はARTELIER トランスルーセント スケルトンは生産終了しておりますが、中古市場であれば19万円台~とお手頃なので、見つけたら絶対に買っておきたい一本です。
ARTELIER トランスルーセント スケルトン 734 7684 4051D
型番:734 7684 4051D
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径40.05mm
駆動方式:自動巻き(Cal.Oris734)
定価:280,000円(生産終了時)
モーリスラクロア アイコン スケルトン
画像引用:MAURICELACROIX
「上質な腕時計を良心的な価格設定で提供」しているブランドと言えば、モーリスラクロアも欠かせません!
モーリスラクロアは1975年に設立されたブランドです。
時計業界の中ではまだ若いと思うかもしれませんが、その創業者はデスコ・フォン・シュルテス社です。
デスコ・フォン・シュルテス社は1899年創業の貿易会社で、日本へオーデマピゲやジャガールクルトなどの舶来高級時計を早い段階から輸出していました。
そのためモーリスラクロアも時計の取り扱いには一家言持っており、1989年には時計ケースの製造工場を買収。
近年では各社がブランディングとしても推進するマニュファクチュール(自社一貫製造)を確立していき、知る人ぞ知るブランドとして世界的に名を馳せていきました。
画像引用:MAURICELACROIX
そんなモーリスラクロア人気にいっそうの火を付けたのが、アイコンでしょう。
わが国でも、アイコンファンは多いのではないでしょうか。
アイコンは、1990年代にヨーロッパで絶大な人気を誇ったモーリスラクロアのモデル「カリプソ」からインスピレーションを得て、現代的にリバイバルされた一大コレクションです。
ちなみに前述の通り、1990年代にモーリスラクロアはスケルトン腕時計の先鞭をつけていましたが、そのモデルがカリプソでした。
ケースとブレスレットが一体型となった「ラグジュアリー・スポーツウォッチ」を彷彿とさせる意匠や、視認性が高く安心してデイリーユースできる堅牢な外装はアイコンの大きな魅力です。
もっともアイコンはこれまではベーシックな機構・デザインが多かったものですが、2022年に39mmサイズでスケルトン文字盤が登場しました!
画像引用:MAURICELACROIX
アイコンらしいアイコニックなケースやベゼルはそのままに、スケルトナイズされた文字盤からは自動巻きCal.ML115が鑑賞できる仕様となりました。
ちなみにCal.ML115は、他のアイコンにも搭載されているムーブメントです。
セリタというムーブメントサプライヤーの汎用機をベースにしているのですが、文字盤からは美しくもメカニックな表情が覗いており、しっかりとした仕事がなされていることがわかります。
一方で他のアイコン同様、200m防水という高スペックが素晴らしいですね。
定価は535,700円と30万円台~が多いアイコンの中ではハイエンドですが、スケルトン腕時計ということを鑑みれば、高すぎるということはありません。
モーリスラクロア アイコン スケルトン AI6007-SS002-030-1
型番:AI6007-SS002-030-1
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径39mm
駆動方式:自動巻き(Cal.ML115)
定価:535,700円(生産終了時)
60万円~200万円程度で購入できるスケルトンな腕時計
次に、60万円~200万円程度で購入できるスケルトンな腕時計をご紹介します!
この価格帯になると、ぐっと選択肢が増えてくる印象です。
ゼニス クロノマスター エルプリメロ オープン
時計界の名機エルプリメロを、肉抜きされた文字盤から鑑賞できる仕様があったら・・・!
それを叶えたのが、エルプリメロの生みの親であるゼニスです。
2003年にこのデザインコードがゼニスより発表されて以降、同社のアイコニックな顔を担っていると言えるのではないでしょうか。
前項のハミルトンやタグホイヤーで、1969年に共同開発されたクロノマティックについて言及しましたが、この年はゼニスからもセイコーからも同機構が発表されました。
そう、腕時計用の自動巻きクロノグラフの黎明を飾った一つが、エルプリメロだったのです。
このエルプリメロはただ自動巻きクロノグラというわけではありません(むろん、その黎明を担った功績は大きいですが)。
36,000振動/時(10ビート)ものハイビート設計であり、かつ50時間以上のパワーリザーブを有しているところが、まず特筆すべき点です。
画像引用:ZENITH
振動とはテンプの往復回転のことで、一般的に振動数が高ければ高いほど細かな時間計測が可能となります。
そのため現代クロノグラフにはハイビート機が多いものですが、それでも毎時28,800振動(8ビート)がスタンダードです。
なぜならハイビート設計はエネルギー消費がしやすいためパワーリザーブが短く、またパーツ摩耗も多くなりがちであるためです。
しかしながらエルプリメロは1969年という時代に、36,000振動/時ものハイビートクロノグラフを量産品として完成させ、かつ50時間パワーリザーブを実現しました(しかもコンパクトなサイズ感で)。
画像引用:ZENITH
その後も基本設計が大きく変わらずに受け継がれたこと。
またロレックス デイトナやタグホイヤー モンツァ、パネライのルミノールなどといった名作に搭載されていったことを鑑みれば、なぜエルプリメロが伝説かがおわかり頂けるのではないでしょうか。
ちなみにゼニスは1970年代にアメリカ企業に買収され、機械式ムーブメントの生産も停止されました。
その際にエルプリメロの金型や工具、図面の破棄が経営陣から指令されましたが、技術者シャルル・ベルモ氏によって秘密裏にゼニス工房の屋根裏部屋に一時保存され、1980年代から製造が再開されました。
1999年にゼニスがLVMHグループ傘下となると、高級化路線を進むこととなります。
そんな流れの中で2003年に誕生したクロノマスター オープンは、ゼニスの知名度を一気に引き上げることとなりました。
10時~11時を肉抜きしてエルプリメロの鼓動を楽しめるという画期的なデザインは言わずもがな。
これまで性能面がフォーカスされていたエルプリメロに丁寧な仕上げや装飾を施し、鑑賞して楽しい見た目に昇華したためです。
このクロノマスター オープンもバリエーションが豊富です。
モデルにもよりますが、新品や未使用品でだいたい90万円台~100万円前後で流通しています(ゴールドが一部に使われていたり、ムーンフェイズが搭載されているようなモデルだと、もう少し高くなります)。
ただし最近はゼニスのクロノマスター スポーツやクロノマスター リバイバルのリリースが相次いだことも手伝ってか、いつも出回っているというわけではありません。
欲しい方は、見つけた時が買い時です!
クロノマスター オープン 03.3300.3604/69.M3300
型番:03.3300.3604/69.M3300
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径39.5mm
駆動方式:自動巻き(エルプリメロ)
定価:1,320,000円
クロノマスター フルオープン 03.2081.400/78.C813
型番:03.2081.400/78.C813
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径42mm
駆動方式:自動巻き(エルプリメロ)
定価:1,112,400円(生産終了時)
クロノマスター グランドデイト 03.2530.4047/78.C813
型番:03.2530.4047/78.C813
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径45mm
駆動方式:自動巻き(エルプリメロ)
定価:1,231,200円(生産終了時)
ゼニス デファイ エルプリメロ21
もう一つ、クロノマスターと並んで近年ゼニス人気を牽引するのがデファイです。
デファイは1960年代後半頃から同社で見られた名前で、挑戦するなどといった意味を持ちます。
もともとは独創的なデザインを有した本格スポーツウォッチコレクションでしたが、2017年に刷新。
独創性はそのままに、現代的にブラッシュアップされることとなりました。
エッジの立ったケースとシームレスになったストラップ・ブレスレットが、ラグジュアリー・スポーツウォッチとも新時代のスポーツウォッチとも感じられますね。
このデファイにもクロノマスター同様に様々な派生モデルが存在しますが、中でも文字盤をフルスケルトンにした「デファイ21(21世紀のエルプリメロといった意味でしょうか)」が大変高い人気を誇ってきました。
このデファイ21、エルプリメロ9004という新ムーブメントが搭載されており、これは100分の1秒までの計測が可能になった新時代のクロノグラフです。
前項でエルプリメロが36000振動/時ということを解説しました。
これも十分すさまじいハイビートなのですが、1秒間に10振動であるため、1/10秒計測がクロノグラフの計測精度でした。
しかしながらエルプリメロ9004ではクロノグフ用のビートを1秒間に100振動とすることで、100分の1秒計測が可能、と。
なお、通常の時刻運針の際は従来同様に10振動です。
一般的なクロノグラフは60秒で一回転することで秒計測しますが、エルプリメロ9004は1秒で一回転!
目にも留まらぬ高速回転するクロノグラフ針と、その奥から覗くエルプリメロの世界観は、スケルトンな腕時計でぜひ味わいたいものですよね。
スポーツウォッチゆえに防水性も高く、安心して使える逸品になっております。
定価は150万円を超えますが、並行輸入品であれば新品がおおむね130万円前後~で流通しています。
クロノグラフの「これまで」と「これから」を、存分に楽しめるスケルトンな腕時計ではないでしょうか。
デファイ エルプリメロ21 95.9002.9004/78.R590
型番:95.9002.9004/78.R590
素材:チタン
ケースサイズ:直径44mm
駆動方式:自動巻き(エルプリメロ9004)
定価:1,661,000円(生産終了時)
デファイ エルプリメロ21 95.9000.9004/78.M9000
型番:95.9000.9004/78.M9000
素材:チタン
ケースサイズ:直径44mm
駆動方式:自動巻き(エルプリメロ9004)
定価:1,793,000円
エルメス アルソー スケルトン
画像引用:HERMES
世界で最も有名と言っても過言ではない、フランスのラグジュアリーブランド・エルメス。
レザーグッズの大家であり、バーキンやケリーに憧れるファンは少なくないでしょう。
そんなエルメスは多角的な運営をしており、腕時計も手掛けています。
しかもその歴史は古く、初めて腕時計を発表したのは1920年代と言います。
その後時代を経て、1978年に本格的に時計事業に参入を果たしました。
この時計事業参入の際に販売開始したのがアルソーです。
エルメスの専属デザイナーとしてスカーフ等をデザインしていたアンリ・ドリニー氏によってデザインされました。
フォルムはオーセンティックなラウンドですが、12時側・6時側で異なるラグが大変特徴的ですよね。
アルソーはフランス語で「馬具のあぶみ」を意味しており、西洋のあぶみから着想をえているのだとか。
斜体インデックスも馬が駆け抜けるような疾走感をイメージさせられるようで、さすが馬具工房を出自に持つエルメスらしい腕時計と言えるでしょう。
現在スケルトン仕様のアルソーは生産されておりませんが、エルメスの時計史を飾る名品であることは間違いありません。
実際お問合せの多いモデルで、不朽の名作と言える逸品です。
エルメス アルソースケルトン AR6.710a
型番:AR6.710a
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径41mm
駆動方式:自動巻き
定価:840,000円(参考)
ウブロ アエロフュージョン
スケルトンな腕時計を購入しようと思った時、ウブロも大きな候補の一つになるのではないでしょうか。
ウブロと言えば、異素材や革新的なデザインコードと伝統的な腕時計を融合させることで、アイコニックな銘品を世に送り出し続ける高級時計ブランドです。
また、スポーツ界や自動車業界などといった他業種ともFUSIONすることで、時計に興味のない方でもウブロをご存知という方は少なくありません。
そんなウブロは、多彩なスケルトン仕様のモデルを抱えています。
その豊富さは、他の追随を許さないほどです。もちろん文字盤をスケルトナイズすることでムーブメントを魅せるデザインコードが主流ではあるのですが、さらに近年ではケースにサファイアクリスタルガラスを用いて、外装構造までをスケスケにするという大胆さ!
ダイナミックかつ鮮烈であるにもかかわらず、それでいてウブロのアイコニックなデザインコードや高級機としての風格を崩さないところに、ウブロの凄みがあるように思います。
ウブロのスケルトナイズ仕様というとビッグバン ウニコが最も有名かもしれません(次項でご紹介いたします)。
このビッグバン ウニコがリリースされたのは2010年。
さらにその2年ほど前からアエロバンとして文字盤を全面的にシースルー化したモデルを発売していることからもわかる通り、長い歴史の中で非常に多彩なスケルトンモデルがリリースされてきているのです。
そして本項でご紹介したいのが、アエロフュージョンです。
現在はスペシャルエディションがラインナップのメインとなりますが、並行輸入市場では根強い人気を誇ります。
アエロフュージョンは、ベースがクラシックフュージョンとなっております。
クラシックフュージョンはビッグバンと並んでウブロの顔を張る人気コレクションで、ビッグバンとは異なり、薄型でクラシカルなデザインコードを有します。
もっともクラシックフュージョンはウブロが1980年のブランドデビュー時にリリースした初代モデルを踏襲しており、「クラシカル」とは言え、当時時計業界を大いに沸かせた斬新さをも持ち合わせます。
薄型ゆえに上品さも保ちつつ、スケルトナイズされた文字盤がアヴァンギャルド。スーツの袖口から、さりげなくメカニックな世界観を楽しませてくれることでしょう。
前述の通り、現行ではスペシャルエディションがメインとなりますが、中古市場でよく流通しております。
素材やモデルにもよりますがおおむね170万円~200万円前後で購入することができ、現行ビッグバン ウニコよりも手が届きやすいのも嬉しいところです。
アエロフュージョン ブラックマジック 525.CM.0170.RX
型番:525.CM.0170.RX
素材:セラミック
ケースサイズ:直径45mm
駆動方式:自動巻き(Cal.HUB1155)
定価:2,112,000円(参考)
アエロフュージョン チタニウム ホワイト 日本限定 525.NX.0127.LR.JORL19
型番:525.NX.0127.LR.JORL19
素材:チタン
ケースサイズ:直径45mm
駆動方式:自動巻き(Cal.HUB1155)
定価:2,134,000円(参考)
アエロフュージョン ムーンフェイズ ブラックマジック 517.CX.0170.LR
型番:517.CX.0170.LR
素材:ブラックセラミック
ケースサイズ:直径45mm
駆動方式:自動巻き(Cal.HUB1131)
定価:2,112,000円円(参考)
ショパール ラウンド スケルトン
なかなか市場に出回らないのが口惜しいところですが、スケルトン腕時計の醍醐味を存分に味わえるショパールのラウンドモデルも、併せてご紹介いたします。
ショパールは1860年に誕生した、スイスの名門時計ブランドです。
1963年、経営権がドイツのジュエリー・時計製造を手掛けてきたショイフレ家に渡ったことから、至高の貴石使いや美しいデザイン性についても時計業界で頭一つ飛びぬけていますね。
ちなみにショパールはムーブメントを自社開発し続けてきたマニュファクチュールでもありますが、さらに自社でゴールドを鋳造(ちゅうぞう)を行っています。
そのためゴールドの取り扱いにかけても一家言持っており、美しく丁寧に仕上げや装飾、あるいは彫金された極上のゴールドを楽しめるのも、ショパールの大きな強みです。
そんなショパールが手掛けるスケルトン腕時計は、見ただけで息を呑む美しさです。
肉抜きされてケースの裏側まで見晴るかせる造形美もさることながら、パーツには彫金が施されており、まるで美術工芸品と言っても過言ではありません。
手巻きムーブメントゆえに、表裏からムーブメントを鑑賞できるというのも、スケルトン腕時計好きに刺さりますね。
ケース直径は30mmと小ぶりで、現代ウォッチとしてはやや小さいものの、クラシカルな着けこなしに最適です。
前述の通りなかなか市場に出回らないモデルですが、いつかは欲しい憧れのスケルトン腕時計です。
ショパール ラウンド スケルトン ベゼルダイヤ
素材:ホワイトゴールド
ケースサイズ:直径 29.0mm
駆動方式:手巻き
相場:98万円台~円(参考)
ショパール ラウンド スケルトン
素材:イエローゴールド
ケースサイズ:直径30mm
駆動方式:手巻き
相場:80万円台~円(参考)
ベル&ロス BR 05 スケルトン
画像引用:Bell&Ross
1992年に創業した、フレンチブランドのベル&ロスをご存知でしょうか。
高校時代の友人同士であったブルーノ・ベラミッシュ氏とカルロス・ロシロ氏が理想の時計を求めて立ち上げた新進気鋭のブランドで、「形は機能に従う」を理想の時計としています。
ちなみにドイツに「ジン(Sinn)」という時計ブランドがあるのですが、このブランドは「着けるための時計」として機能美を訴求した、ハードボイルド系。
そのSinnに対して私淑していたベル&ロスの創業者二人が、ヘルムート・ジン社長を訪ね、「Bell&Ross by SINN」というコラボウォッチをリリースしたことで歴史をスタートさせました。
こういった経緯からベル&ロスは、視認性や防水性といった機能を前面に押し出したモデルが多いのですが、一方でスクエア型ケースやヴィンテージ調のパイロットウォッチ等、時計好きに刺さるデザインが少なくありません。
また、ベーシックなモデルが多いながらも近年ではアヴァンギャルドな試みも進めており、その一つがスケルトン腕時計ではないでしょうか。
画像引用:Bell&Ross
このモデルは、2021年にBR05に追加された、比較的新しい世界限定500本のモデルです。
ちなみにBRシリーズはコックピットを彷彿とさせるスクエア型の顔立ちが人気のコレクションですが、2019年にBR 05としてラグジュアリー・スポーツウォッチテイストのモデルが加わりました。
画像引用:Bell&Ross
ケースと一体型になったブレスレットは流れるような優しいラインを描きつつも、BRらしい計器然とした顔立ちも健在ですね。
さらにスケルトンモデルでは、シンプルなバーインデックスと針の奥から、ツヤ消し仕上げが基調となったメカメカしいムーブメントが顔を覗かせます。
精悍な顔立ちがとにかくカッコいい!
一方でガラスに色付けすることで、オシャレな印象をも醸し出しております。
画像引用:Bell&Ross
防水性100mと実用性にも配慮されているので、オンオフ問わず着用できる逸品です。
定価は90万円台~と、他のBRの基本コレクションと比べるとハイエンドです。
しかしながら「スケルトン腕時計」と考えた時、このクラスのモデルが100万円以下で手に入るのは素晴らしいですね!
ベル&ロス BR 05 スケルトン
型番:BR05A-GN-SKST/SST他
素材:ステンレススティール他
ケースサイズ:直径40mm
駆動方式:自動巻き(Cal.BR-CAL-322)
定価:979,000円~(生産終了時)
画像引用:Bell&Ross
200万円~400万円程度で購入できるスケルトンな腕時計
さらにさらに、めくるめく機械式時計の世界観を味わうために、200万円~400万円程度で購入できるスケルトンな腕時計をご紹介いたします!
カルティエ サントス ドゥ カルティエ スケルトン
「王の宝石商 宝石商の王」などと称されるように、カルティエはフランス パリに拠点を置く高級ジュエラーです。
一方で、実は時計製造においても名を馳せており、その歴史は20世紀初頭に遡ることができます。
1904年、三代目ルイ・カルティエは友人のアルベルト・サントス=デュモンから時計の依頼を受けました。
このアルベルト・サントス=デュモン、ブラジル出身の貴族であり、発明家であり、かつ飛行家という一風変わった人物です。
曰く「飛行機の走行中、操縦桿から手を放さずに時間を確認できる時計が欲しい」と。そうして生まれたのがサントスです。
「時計を腕に巻く」という装飾品としての楽しみ方は、既に16世紀という早い段階から存在しておりました。
しかしながらサントスは懐中時計にただベルトを通すのみならず、しっかりとしたラグを備えてベルトとケースを固定し、さらに腕に巻いて美しいデザインを確立していたことが特筆すべき点です。
その後、第一次世界大戦を経て現在の腕時計が市井にも普及していくのですが、この本格的な腕時計の黎明をカルティエが担ったとも考えられますね。
時代は下って、カルティエはサントスを市販化。
オリジナルから踏襲したスクエアケースや飛行機のボディに使われるネジをイメージしたビスなどといったユニークなディテールを備えつつも、カルティエらしいエレガントなラインや文字盤デザイン、そしてポリッシュとサテンがコンビネーションされた仕上げは、いかにも高級機です。
カルティエを代表するコレクションとして、連綿と製造され続けてきました。
そんなサントスはいくつかの系譜に分かれますが、スケルトンモデルとしては、サントス ドゥ カルティエをご紹介いたします。
サントス ドゥ カルティエは2018年に刷新されて登場した新コレクションで、歴史あるサントスを、デザイン・機能に渡って現代風にリファインしていることが特徴です。
オリジナルの雰囲気はそのままに、ベゼル形状が流麗になったことが大きな特徴です。
これは、サントス100周年に打ち出されたサントス100から範が取られています。
また、クイックスイッチと呼ばれるベルト交換システムが採用されており、工具なしにベルト交換できるのも素晴らしいです。
さらにスケルトンモデルは、手巻きCal.9611 MCを存分に見晴るかせる仕様となっております。
ブリッジがローマンインデックス型となっているのも、カルティエのアイデンティティを感じさせますね。
スケルトン仕様でありながら100m防水となっており、デイリーユースとしても申し分ありません。
定価は400万円超えですが、中古であれば300万円前後~出回ります。
とは言え稀少性は高くなっており、いつも時計店に並んでいるといった代物ではありません。
これまた本当に欲しい方は、早めに手に入れておきたいスケルトン腕時計です。
サントス ドゥ カルティエ スケルトン LM WHSA0015
型番:WHSA0015
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径40mm
駆動方式:手巻き(Cal.Cal.9611 MC)
定価:4,804,800円(参考)
ブレゲ トラディション
冒頭でマリー・アントワネットのためにアブラアン=ルイ・ブレゲが製造したNo.160についてご紹介いたしました。
このアブラアン=ルイ・ブレゲは、「時計の歴史を200年早めた」「時計界のレオナルド・ダヴィンチ」などとも称される時計師です。
1775年にフランス パリで創業し、トゥールビヨンや自動巻き機構「ペルペチュエル」、永久カレンダー、耐震装置などといった、現代に続くあまたの機構を確立しました。
さらに機構に留まらず、時計の意匠にも大いなる影響を与えたことも特筆すべき点です。
コインエッジケースやクル・ド・パリ文字盤、ブレゲ針などといった時計を高級機として昇華させる意匠は、今なお現役で多くのブランドに継承されています。
そんな天才時計師の名を受け継ぐブランドがブレゲです。
もっとも厳密に言うと、ブランドとしてのブレゲはかの天才時計師以降、連綿とその意志を受け継いできた・・・というわけではありません。
アブラアン=ルイ・ブレゲの死後、ブレゲ家によって経営が続けられたものの、孫のルイ=クレマン・ブレゲは電信事業で成功し、1870年に時計製造部門をイギリス出身のエドワード・ブラウンに譲渡。
さらに時代が下って1970年に宝飾メーカーのショーメ、次いで1987年にサウジアラビアの投資会社が買収(ちなみにこの時代、オメガ等にもムーブメント供給をしていたことで高名なヌーベル・レマニアはブレゲと合併し、現在のマニュファクチュール・ブレゲとなっております)といった経緯を辿ります。
そして1999年、スウォッチグループに入ったことで偉大な時計師の遺産を復活させ、現在に至るまで同グループのプレステージ&ラグジュアリーレンジを担っております。
ブレゲが時計愛好家の所有欲をくすぐるのは、この遺産―とりわけ王侯貴族が愛した複雑機構や美しい意匠、そしてこれらを実現する作りこみの高さ―を継承しつつも、現代的な洗練も忘れていないところ。
本稿でご紹介しているトラディションも、その一つです。
トラディションは、アブラアン=ルイ・ブレゲが製造したスースクリプションで販売した懐中時計のムーブメントから着想を得て、2005年から製造されているコレクションです。
スースクリプションはフランス語で予約販売という意味です。
予約時に代金の四分の一を支払い、納品時に残金を支払う方式で、このスースクリプションで販売されたユニークな触覚時計が範となっているとのこと。
画像引用:Breguet
既にこの当時からムーブメントをデザインコードの一つとしており、懐中時計のハンターケースを開くと左右対称のムーブメントパーツが目に飛び込んでくるという仕様(上の画像は1809年に販売されたモントレ・ア・タクト No.2292)は、いつの時代も「腕時計をスケルトンで楽しみたい」魅力は抗いがたいのだな、と思わせますね。
トラディションも同様に、オフセットされた文字盤の下には透け透けのムーブメントの世界が広がっています。
もっとも現代はハンターケースではなく、サファイアクリスタルガラスによってこれを実現しているため、腕に着用しながらも透け透けの内部機構を楽しめます。
なお、トラディションはこの左右対称を実現するため、パーツ配置が独特です。
中央に大きな香箱(ゼンマイが格納された歯車)がセッティングされ、さらに4時位置にはテンプ、8時位置には2番車(60分で一周する歯車)が配置されることで、シンメトリーなデザインを完成させているのです。
また、アブラアン=ルイ・ブレゲが発明し、現在普及しているインカブロックの原型となったとも言われるパラシュート耐震装置や可変慣性テンプを搭載していることも特徴です。
ちなみに10時位置はパワーリザーブインジケーターが搭載されていますが、モデルによっては秒針や文字盤下部にレトログラード式デイト表示をセッティングした個体も存在します。
さらに自動巻きモデルであれば、裏蓋側から独特なローターを垣間見ることができ、機械式時計の面白みを感じられる一本ではないでしょうか。
もちろんブレゲらしいコインエッジ装飾やブレゲ針も健在です。
まさにブレゲの遺産と、現代的な洗練を、ともに楽しめる逸品に仕上がっております。
前述の通りブレゲは非常に高い作りこみのもとに実現された高級腕時計であるため、お値段も当然ながらハイクラスです。
トラディションも、中古であっても200万円前後~が当たり前。
また、ブレゲほどの高級機ともなると大量生産が不可能であるがゆえ、流通量にも限りがあり、いつでも豊富に出回っているというわけではありません。
だからこそ、憧れや所有欲を抱かざるをえない、至高のブランドとも捉えることができるのでしょう。
トラディション 7057BR/G9/9W6
型番:7057BR/G9/9W6
素材:ローズゴールド
ケースサイズ:直径40mm
駆動方式:手巻き(Cal. 507 DR1)
定価:4,884,000円(参考)
トラディション7597 レトログラード デイト 7597BB/GY/9WU
型番:7597BB/GY/9WU
素材:ホワイトゴールド
ケースサイズ:直径40mm
駆動方式:自動巻き(Cal.505Q)
定価:6,853,000円(参考)
トラディション オートマティック レトログラード セコンド 7097BB/G1/9WU
型番:7097BB/G1/9WU
素材:ローズゴールド
ケースサイズ:直径40mm
駆動方式:自動巻き(Cal.505 SR1)
定価:5,951,000円(参考)
セイコー クレドール シグノ
1974年に誕生した、セイコーのハイエンドブランド「クレドール」。
フランス語で「黄金の頂き」を意味するブランド名の通り、最高級の品質と特別なコンセプトを有することが特徴です(ちなみに2019年にセイコーから独立しています)。
とりわけコンセプトがメイドインジャパンの高級機としての風格を感じさせます。
曰く、「日本ならではの美意識」「時代、文化を超える普遍性」「調和の取れたプロポーション」「細部まで配慮が行き届いた精緻さ」を基調とした高級腕時計を、熟達した職人らの手作業によって実現させる、と。
なお、クレドールのロゴは「黄金の頂き」をを象徴するため、漢字の「山」と、そこから天体の三つの星に向かって伸びるクレストマークによって構成されています。
そんなクレドール、さらにいくつかのコレクションに分かれるのですが、スケルトンな腕時計としてご紹介したいのはクレドール シグノです(もっとも現行のスケルトン文字盤はArt Pieceコレクションに分類されているようですが)。
シグノはスペイン語で「しるし」を意味しています。
クレドールらしいエレガンスや高い作りこみはそのままに、洗練された独創性をも有するコレクションとなっており、大人の遊び心が感じられます。
スケルトンなクレドール シグノも、エレガントながら見事な彫金技術によって、唯一無二の存在感を示していますね。
ちなみに搭載されるCal.6899Aは超薄型手巻きムーブメントで、その厚さは1.98mm。
そのため腕時計自体も非常に小径薄型に仕上がっており、ドレッシーな印象も忘れていません。
裏蓋もしっかりと装飾が施されており、表裏で楽しい逸品となっております。
クレドールもまた作りこまれているため大量生産されておらず、なかなか市場に出回らないのが口惜しいところ。
だからこそ特別感に溢れるメイドインジャパンのスケルトン腕時計と言えるでしょう。
クレドール シグノ スケルトン GBBD969
型番:GBBD969
素材:ホワイトゴールド
ケースサイズ:直径36.6mm
駆動方式:手巻き(Cal.6899)
定価:2,376,000円(参考)
クレドール シグノ スケルトン GBBD986
型番:GBBD986
素材:イエローゴールド
ケースサイズ:直径36.6mm
駆動方式:手巻き(Cal.6899)
定価:2,530,000円(参考)
ウブロ ビッグバン ウニコ
ウブロのスケルトン腕時計で最も人気が高いのが、ビッグバン ウニコです。
「スケルトン腕時計で」と申し上げましたが、当店GINZA RASINでのウブロ全体の売上モデルの中でも圧倒的に高い人気を獲得しているコレクション。
ビッグバン ウニコはハイエンドに位置付けられる価格帯であるにもかかわらず回転よく売れており、当店でも、絶対に在庫を切らしたくないモデルとなっております。
ではビッグバン ウニコは、どのようなスケルトン腕時計なのかと言うと、2010年からラインナップされているビッグバンのバリエーションです。
ビッグバンはご存知、ウブロのフラグシップ。
多層構造や異素材の組み合わせによって、高級機らしい立体感と独創的な大胆さを両立しているコレクションで、腕元の存在感はピカイチですね。
そんなウブロはデザインだけでなく、「中身」もすごいんです!
とりわけ2010年、ウブロの自社開発クロノグラフムーブメントとして打ち出された「ウニコ」は、これを象徴しているでしょう。
ウニコはスペイン語で唯一やユニークを意味します。
クロノグラフ自体は大変ポピュラーな機構ですが、そこはウブロ。
唯一無二の存在感を放ちます。
と言うのも、ウニコ搭載のビッグバンは、文字盤側をスケルトナイズすることをデザイン基調としているのです。
さらに、ただスケルトンでムーブメントを魅せるのみならず、ウニコはあえて文字盤側にクロノグラフのメカニズムを集中させるという、とても斬新でユニークな構造をしていることも特筆すべき点です。
併せてカレンダーディスクや300超のパーツ一つひとつが、精密・精緻ながら美しいデザインの一端も担っています。
現在は薄型化されたウニコ2が主流で搭載されていますが、メカニックな世界を明け透けに楽しめる仕様は健在です。
バリエーションも豊富で、今後もウブロの、そしてスケルトン腕時計の人気を牽引していく存在であり続けることでしょう。
ビッグバン ウニコ チタニウム セラミック 421.NM.1170.RX
型番:421.NM.1170.RX
素材:チタン×セラミック
ケースサイズ:直径44mm
駆動方式:自動巻き(Cal.HUB1280)
定価:3,003,000円(参考)
ビッグバン ウニコ ブルーマジック 411.ES.5119.RX
型番:411.ES.5119.RX
素材:セラミック
ケースサイズ:直径44mm
駆動方式:自動巻き(Cal.HUB1242)
定価:3,311,000円(参考)
ウブロ ビッグバン ウニコ キングゴールド セラミック 411.OM.1180.RX
型番:411.OM.1180.RX
素材:キングゴールド ×セラミック
ケースサイズ:直径45mm
駆動方式:自動巻き(Cal.HUB1242)
定価:5,269,000円(参考)
ピアジェ ポロ スケルトン
画像引用:PIAGET
定価はSSモデルで4,928,000円と予算オーバーしていますが、二次流通市場では300万円前半~販売されていること。
また近年流行りのラグジュアリー・スポーツウォッチのテイストとエレガンス、そしてスケルトン文字盤の素晴らしさが見事融合した名作であることから、本項でピアジェ ポロ スケルトンも一緒にご紹介させて頂きます。
ピアジェは1874年に創業しました。
もともとはムーブメントのサプライヤーとして名を馳せていましたが、1943年にPIAGETを商標登録し、時計ブランドとしても活躍していきます。
こういった歴史を持つがゆえか、ピアジェの見事なムーブメントファンは多いのではないでしょうか(もちろん外装やデザイン面でも秀でたものがありますが)。
とりわけ薄型ムーブメント開発には、目を見張るものがあります。
一般的に機械式時計は、クォーツ式と比べるとパーツ数が多く、厚みが出がちです。
しかしながらピアジェは技術力と薄型化への情熱によって、これまでの常識では考えられなかったケース厚の機械式時計を生み出す偉業を成し遂げてきました。
「薄型化」という挑戦は、一見すると地味に思えるかもしれません。
しかしながら非常に難易度が高く、かつ恩恵の多い挑戦です。
薄型時計は見た目にエレガンスなのみならず、快適な着用感をユーザーに提供してくれるためです。
もっとも「ピアジェの薄型ウォッチ」と聞くと、アルティプラノの名前が挙がるかもしれません。
一方のポロは、モダンなラグジュアリーラインです。
1979年に登場し、ラグジュアリー・スポーツウォッチの黎明を担ったコレクションですが、しかしながらピアジェらしい薄型設計は健在。
とりわけ2016年に「ポロS」としてリニューアルされると、いっそう薄くエレガンスでありながら、モダンなデザインによって新たなる定番を確立しつつあります。
もっともラグジュアリー・スポーツウォッチは「スポーティーでありながら薄型ラグジュアリー」がアイコンですので、ピアジェにとっては得意分野だったのかもしれません。
画像引用:PIAGET
そんなポロの文字盤をスケルトナイズしたコレクションが、2021年に登場しました。
ケース直径42mmのステンレススティール製ケースはポロらしいフォルムを実現しつつ、極限までスケルトンとなったムーブメントからは新しい世界観が飛び出しています。
モデルによってパーツのカラーリングが異なるのも、素晴らしいですね。ちなみに2022年には、グリーンヴァージョンが登場しています。
画像引用:PIAGET
芸術的なメカニックの世界を味わえる一方で、ケース厚がわずか6.5mmに収められているのも、さすがピアジェです。
ちなみにレギュラーのポロSもケース厚10mm弱と、スポーツウォッチとしては薄型ですが、さらにこれを上回ることがわかります。
この薄さの秘訣の一つには、マイクロローターの存在があるのでしょう。
画像引用:PIAGET
自動巻きは腕の振りによってローターが回転し、この回転を利用してゼンマイ巻き上げを行う機構だと前述しましたが、一般的なのはセンターローターです。
一方でパテックフィリップやショパールなどといった高級薄型自動巻きモデルの中には、マイクロローターの採用が見られます。
これは小さなローターをムーブメントのくぼみにセットすることで省スペース化するとともに、機械を「魅せる」ことを実現する仕様です。
薄型設計には一家言持つピアジェもマイクロローターの使い手であり、新しいポロSにも存分にその技術力が用いられているのです。
なお、薄型時計はとかく磁気帯びが心配なものですが、搭載ムーブメントCal.1200S1は耐磁性にも考慮されています。
近年ラグジュアリー・スポーツウォッチと言うと、世界的に需要が過熱し、実勢相場が急騰を続けているものですが、ポロSはまだ比較的落ち着いた相場感であるのも嬉しいところ。
名門ブランドの高度な、そして最先端の技術力を味わえるスケルトン腕時計です。
ピアジェ ポロ スケルトン G0A45004
型番:G0A45004他
素材:ステンレススティール他
ケースサイズ:直径42mm
駆動方式:自動巻き(Cal.1200S1)
定価:4,928,000円
雲上ブランドが手掛ける超高級スケルトン腕時計
最後に雲上ブランドが手掛ける超高級スケルトン腕時計をご紹介して、筆を置きたいと思います。
金額としても流通量としてもなかなか気軽に入手できる個体ではありませんが、めくるめく機械式時計の世界をお楽しみ頂けることは間違いありません!
オーデマピゲ ミレネリー4101
パテックフィリップ、ヴァシュロンコンスタンタンとともに世界三大時計ブランドの一角を成す、オーデマピゲに憧れている時計愛好家は少なくないでしょう。
オーデマピゲは1875年にブランドの歴史をスタートさせて以来、創業家一族によって連綿と経営されてきた稀有なブランドです。
とりわけ複雑機構の製造にかけては一家言持ちますが、一方で老舗でありながらも革新性をも持ち合わせており、複雑でありながらもアヴァンギャルドなデザイン・機構を世に送り出す、時計業界のリーディングカンパニーの一つです。
そんなオーデマピゲはロイヤルオークやCODE11.59の印象が強いかもしれません。しかしながらスケルトンな腕時計の話題には、ミレネリーも欠かせません。
ミレネリーは1995年に登場したコレクションです。
ミレニアムイヤー5年前ということで、記念モデルとして開発されました。
現行カタログからは姿を消してしまいましたが、今なお鮮烈さを感じさせるデザインゆえか、人気の高いコレクションです。
製造期間も短くなかったため、雲上ブランドの個体の中では比較的流通していることもあり、当店GINZA RASINでもよく売買する商品です。
そんなミレネリーと言えば、オーバル型のケースが大きな特徴です。
これはオーデマピゲのデザイナー、オッタヴィオ・ガルシア氏がイタリア・ローマの「コロッセオ」からインスピレーションを得て開発したとのこと。
ひとくちにミレネリーと言っても様々なバリエーションが存在していますが、スケルトンといえばこちらのミレネリー4101です!
2011年にコレクションに加わりました。
ミレネリー4101は特徴的な文字盤とスモールセコンドがオフセットされた表情と、9時位置でテンプを鑑賞できる仕様になっております。
レイアウトが巧みゆえにゴチャゴチャした印象はなく、しっかりとテンプの動きを楽しめるというのはさすがオーデマピゲですね。
ちなみに文字盤は立体化されております。
この絶妙な作りこみによって高級機として重要な立体感を備えるとともに、斜めから覗くことでいっそう複雑な世界観を楽しめるのです。
ミレネリー4101の中でもバリエーションがあり、ムーブメントの仕上げや肉抜きがモデルによって変わっているのも憎い演出ですね。
裏蓋側からはオーデマピゲの紋章が刻まれてK22ローターが、そしてさらに奥からテンプの一端を垣間見えます。
表裏からテンプを魅せるというのが、また面白い設計です。
雲上ブランドゆえに定価設定はハイエンドとなりますが、生産終了していることもあり、中古市場で比較的お得に入手できるのも嬉しいところ。
状態やモデルにもよりますが、ステンレススティール製モデルであれば200万円前後~出回っている個体もありますので、気になる方はぜひ探してみましょう!
ミレネリー4101 15350ST.OO.D002CR.01
型番:15350ST.OO.D002CR.01
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:縦42mm×横47mm
駆動方式:自動巻き(Cal.4101)
定価:2,754,000円(参考)
ミレネリー4101 15352OR.OO.D093CR.01
型番:15352OR.OO.D093CR.01
素材:ピンクゴールド
ケースサイズ:縦42mm×横47mm
駆動方式:自動巻き(Cal.4101)
定価:7,236,000円(参考)
オーデマピゲ ロイヤルオーク ダブルバランスホイール オープンワーク
オーデマピゲを代表するコレクションとして、また現在時計業界を席捲するラグジュアリー・スポーツウォッチのパイオニアとして、世界的な人気を誇るロイヤルオーク。
前項でオーデマピゲの革新性について言及しましたが、ロイヤルオークはその象徴の一つではないでしょうか。
ロイヤルオークは1972年に誕生しました。
当時、高級腕時計と言えば、貴金属で作られた、31mm~35mm程度の小径サイズのドレスウォッチが主流でした。
しかしながらオーデマピゲはこの時代に、ステンレススティール製で、39mmものビッグサイズケースで、かつケースとシームレスになったメタルブレスレットを伴ったスポーツウォッチをリリース。
高級時計の常識を覆すなどとも称されるこの試みが成功したか否かは、その後各ハイメゾンがロイヤルオークの対抗機を続々と打ち出したこと。そして現在の熱狂を鑑みれば、一目瞭然ですね。
そんなロイヤルオーク、2022年には50周年を迎え、いっそうの盛り上がりを見せております。
50年の歴史の中で様々なバリエーションが展開されていきましたが、スケルトン腕時計として、ロイヤルオーク ダブルバランスホイール オープンワークをご紹介いたします。
ロイヤルオーク ダブルバランスホイール オープンワークは2016年にコレクションに加わったモデルです。
一目見て、これまた只者ではない存在感を放ちますね。とりわけ8時位置の大きなテンプに目を奪われます。
これはオーデマピゲの特許技術で、二つのテンプとヒゲゼンマイを重ねたパーツです。
この構造によってテンプが外乱の影響を受けづらく、かつ二つのテンプが交互に往復運動することで、安定した精度を維持することに。まさに「ダブルバランスホイール」というわけです。
このテンプを強調するかのように肉抜きされ、かつ仕上げられたムーブメント全体が美しく、それでいて力強い針じの邪魔をしていないため視認性にも優れます。
通常、一つのパーツを二つに重ねるなどすると高さがどうしても出てしまうものですが、このロイヤルオーク ダブルバランスホイール オープンワークはケース直径37mm×厚さ10mmという小径薄型に収まっているのも特筆すべき点です。
それでいて自動巻きとなっており、裏蓋側からはオーデマピゲのゴージャスなローターもご鑑賞頂けます。
近年のロイヤルオークの品薄を鑑みてもなかなか市場に出回らない逸品ですが、一度は手にして、そして二つのテンプの特別な往復運動を目にしてみたいものですね!
またオーデマピゲは「世界限定7本」という貴重な直径33mm、ボーイズサイズのロイヤルオークスケルトンも発表しています。
ロイヤルオーク ダブルバランスホイール オープンワーク 15407ST.OO.1220ST.01
型番:15407ST.OO.1220ST.01
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径41mm
駆動方式:自動巻き(Cal.3132)
定価:要問合せ
オーデマピゲ ロイヤルオーク スケルトン 14882OR.OO.0789OR.01
型番:14882OR.OO.0789OR.01
素材:ピンクゴールド
ケースサイズ:直径33mm
駆動方式:自動巻き
定価:要問合せ
ヴァシュロンコンスタンタン パトリモニー トラディショナル
ヴァシュロンコンスタンタンもまた、世界三大時計ブランドに名を連ねる名門です。
さらに1755年の創業以来、一度も絶えることなく連綿と時計製造を続けてきたという屈指の老舗でもあります。
ヴァシュロンコンスタンタンは現代ブランドとしては珍しく、スポーツラインのみならずクラシカルでエレガンスなラインも豊富に取り揃えているのは、そんな歴史と伝統を大切にしてきたからなのかもしれません。
中でもパトリモニーは、ヴァシュロンコンスタンタンを代表する「最高峰のドレスウォッチ」です。
2004年からリリースされたコレクションですが、1957年に同社が手掛けていた伝統的なドレスウォッチから範が取られています。
ドレスウォッチは、世にあまた存在します。
パテックフィリップのカラトラバやランゲ&ゾーネのサクソニア、ブレゲのクラシックなど・・・
名作は枚挙にいとまがありませんが、パトリモニーもまたその名作群を代表するモデルであり、一切の無駄がない調和のとれたプロポーションと、伝統を力強く受け継いだ正統派の魅力を抱えます。
パトリモニーのオーセンティックなラウンドケースはきわめて薄く仕上がっており、ベーシックな自動巻き3針モデルであればケース厚は8.6mm弱。
複雑機構搭載機であっても、9mm以下に収まります。
ちなみに手巻きモデルに至っては、7.65mmほどと!
控えめで上品なインデックスや針が、このドレッシーさに寄り添っており、大人のメンズウォッチといった様相です。
そんなパトリモニーを大胆にスケルトナイズしたのが、こちらのパトリモニー トラディショナル スケルトンです!
パトリモニーのクラシカルさに、アヴァンギャルドが備わります。
一方でヴァシュロンコンスタンタンらしく、伝統的な装飾技術によって実現された芸術品のようなムーブメントは、機械式時計の奥深さをも表現します。
2時位置の香箱が、マルタ十字に繰りぬかれているのも、目立ちますね。
マルタ十字は現在ヴァシュロンコンスタンタンの象徴にもなっているロゴで、マルタ騎士団に代表される宗教騎士団のシンボルマークとしても知られていますが、実は機械式時計の主ぜんまいを格納する香箱の、カバーに備わっていたパーツがこれと酷似していたことがブランドロゴとしての出自のようです。
ヴァシュロンコンスタンタンは、オーヴァーシーズのベゼルやトゥールビヨンのキャリッジ等、随所にマルタ十字を忍ばせますが、ブランドの華やかな伝統と機械式時計への情熱を感じさせるディテールと言えるでしょう。
裏蓋からも、マルタ十字をかたどったローター、そしてはるか向こうを見晴るかせる見事なムーブメントの肉抜きがお楽しみ頂けます。
ヴァシュロンコンスタンタンは「知る人ぞ知る」といった、通好みなところのあるブランドです。
しかしながらこの見事なまでのスケルトン腕時計は、世代や嗜好を超えて人々を魅了する何かがある、と思えてなりません。
パトリモニー トラディショナル スケルトン 43178/000G-9393
型番:43178/000G-9393
素材:ホワイトゴールド
ケースサイズ:直径38mm
駆動方式:自動巻き(Cal.1120SQ)
定価:9,126,000円(参考)
リシャールミル
平均単価は2000万以上、モデルによっては億超えが当たり前という衝撃プライスで非常に高名なリシャールミル。
一方でその価格帯のみならず、機構やデザイン、扱う素材に至るまでを全く新しい発想とスタイルで実現することでも知られています。
例えば非常に高い耐久性を有した複雑機構モデルやケース厚わずか1.75mmの機械式モデル等々・・・
「エクストリームウォッチ」「時計のF1」のコンセプト通り、常に鮮烈なまでの新しさで以て、時計業界を湧かせる立役者です。
そんなリシャールミル、多くのモデルが近未来的なスケルトン文字盤を採用しています。
しかも、極限まで肉抜きしていることも重要なポイント!
リシャールミル曰く「究極のスケルトン構造」によって、同社が大切にする「ムーブメントの奥行」を余すことなく伝えてくれています。
また、リシャールミルはとりわけ耐久性を意識しています。
そのため航空産業や自動車産業で使われるような素材をムーブメントパーツに用いて軽量化していますが、しっかりと仕上げを行うことでデザインや高級感を損なっていないところも、見事と言う他ありません。
ちなみに使われている素材にもよりますが、リシャールミルは見た目に反して驚くほど軽量なのは、こういった企業努力があるがゆえでしょう。
なお、リシャールミルのエクストリームな高級機というコンセプトから、リシャールミルのアンバサダーおよびオーナーにはラファエル・ナダル氏やバッバ・ワトソン氏、成田美寿々氏にや宮里優作氏などといった、アクティブに活躍する著名人が名を連ねます。
いずれのモデルも超高額ですが、時計業界のエクストリームな存在として、コレクション展開が楽しみなブランドとなっております。
バッバワトソン RM055
型番:RM055
素材:チタン・ホワイトラバー加工
ケースサイズ:縦49.9mm×横42.7mm
駆動方式:手巻き(Cal.RMUL2)
定価:13,200,000円(参考)
オートマティック RM023
型番:RM023
素材:ローズゴールド
ケースサイズ:縦45mm × 横38.3mm
駆動方式:自動巻き(Cal.RM005-S)
定価:12,210,000円(参考)
ハリーウィンストン ミッドナイト スケルトン
アメリカはニューヨーク五番街で1932年に宝石店をスタートさせてより、「キング・オブ・ダイヤモンド」の名をほしいままにしてきたハリーウィンストン。
ブライダルジュエリーで有名ですが、1980年代に時計部門を設立しており、ジュエラーとしての審美眼と職人魂が活きた銘ウォッチを世に送り出してきました。
時計事業としては、お家芸のハイグレードなダイヤモンドを活かしたジュエリーウォッチも人気ですが、機械式時計製造にも余念がありません。
さらに2013年にスウォッチグループに加入しており(余談ですが、スウォッチグループは約10億ドル、当時の日本円で約895億円にてハリーウィンストンを買収しました)、いっそう機械式時計好きの所有欲をくすぐるモデルを製造することで、新たなファン層を拡大しております。
ミッドナイト スケルトンは、そんな機械式時計好きの心をくすぐる代表モデルの一つです。
ミッドナイト自体が「時計製造の伝統を取り入れた」コレクションとなっており、オーセンティックなラウンドケースに特徴的なベゼルが、クラシカルで洗練されたドレスウォッチとなっております。
また、複雑機構や特別な装飾を取り入れたモデルも多く、アヴェニューやオーシャンとはまた違ったハリーウィンストンの表情を楽しめる逸品です。
そんな中でもスケルトンなモデルは、芸術的にメカニック!
ブリッジが各パーツを模すようにしてかたどられている様も見事ですが、さらにその奥行からは実際のパーツもお楽しみ頂ける仕様となっております。
42mmのローズゴールド製ケースの存在感が、いや増しますね。
ミッドナイト スケルトンでも、マイクロローターが取り入れられることで、薄型化といっそう精緻なメカニックの世界を実現しました。
ローターすらもデザインコードの一部となっており、どこから見ても死角のないスケルトン腕時計と言えるでしょう。
ミッドナイト スケルトン MIDAHM42RR001
型番:MIDAHM42RR001
素材:ローズゴールド
ケースサイズ:直径42mm
駆動方式:自動巻き
定価:6,963,000円(参考)
まとめ
価格別に、スケルトンな腕時計をご紹介いたしました!
近年ではサファイアクリスタルガラスの使用が主流となってきたこともあり、ムーブメントをデザインコードとして「魅せる」モデルも増えてきました。
しかしながら、やはり「魅せる」ためには美しく、メカニックで、精密精緻な世界観が必須。
そのためムーブメントにも、そしてこれを支える器の美しさにも自信を持ったブランドしか成しえないとも受け取れます。
そんな特別な一本を、ぜひ一度手にしてみませんか?
当記事の監修者
新美貴之(にいみ たかゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 店舗営業部 部長
1975年生まれ 愛知県出身。
大学卒業後、時計専門店に入社。ロレックス専門店にて販売、仕入れに携わる。 その後、並行輸入商品の幅広い商品の取り扱いや正規代理店での責任者経験。
時計業界歴24年