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田中拓郎, ヴァシュロンコンスタンタン

10分でわかるヴァシュロンコンスタンタン。歴史や代表シリーズ,人気モデル10傑を網羅する

最終更新日:

名門中の名門として語られる時計メゾン・ヴァシュロンコンスタンタン。パテックフィリップ、オーデマピゲとともに世界三大時計ブランドに名を連ねます。加えて創業から269年と、時計界きっての経営年数を持つことでも有名ですね。

ヴァシュロンコンスタンタンの時計は不変にして普遍の美しさを有します。製品一つひとつに、歴史の重みが凝縮されているように感じます。かつて、わが国で同社の知名度は決して高いものではありませんでしたが、むしろその「わかる人にはわかる値打ち」こそが、愛好家の所有欲を満たしたものです。

もっとも近年では時計市場の広がりによってヴァシュロンコンスタンタン人気もいや増しており、お求めになるお客様も非常に多くなりました。

一方でヴァシュロンコンスタンタンはスポーツラインのオーヴァーシーズの他、クラシカルなパトリモニーやトラディショナル、比較的新しいラインとなるフィフティーシックス等、コレクションが多岐に渡っており、そのどれがご自身に合っているのか決めかねているといったご相談も少なくありません。

そこでこの記事では、ヴァシュロンコンスタンタンの歴史や製品の特徴、代表シリーズをご紹介するとともに、東京 銀座の高級時計専門店GINZA RASINで人気のモデル10本をまとめてご紹介致します。

ヴァシュロンコンスタンタン

ヴァシュロンコンスタンタンとは?

ヴァシュロンコンスタンタンは1755年にスイスで創業した老舗時計ブランドです。ちなみに同じく世界三大時計ブランドに名を連ねるパテックフィリップが創業1839年、オーデマピゲが1875年ですから、歴史では頭一つ飛びぬけていると言えるでしょう。

現在ではカルティエやIWC、ランゲ&ゾーネ等とともに、リシュモングループ傘下に加わります。

同社は創業以来、世界大戦やクォーツショックといった荒波の中にあっても一度として経営を絶やしておらず、このことから世界最古の時計メゾンの一つとしての呼び声も高いですね。

まず始めにそんなヴァシュロンコンスタンタンの歴史と、製品特徴についてご紹介致します

①歴史

ヴァシュロンコンスタンタンの創業者は、時計師ジャン=マルク・ヴァシュロン氏です。前述の通り、1755年に工房をスイス ジュネーブに開設したことから、その歴史は始まりました。

ヴァシュロンコンスタンタンはしばしば「キャビノティエ」の系譜を引くと言われていますが、氏もまたそんなキャビノティエと称される凄腕時計職人の一人だったのでしょう。

スイス ジュネーブ

キャビノチェとは18世紀、屋根裏部屋(キャビネット;キャビノティエ)を工房として時計製造に打ち込んだ時計職人らを指します。

彼らは時計職人の中でもとりわけ優れた技術やノウハウ,深い知識を有しており、特別な顧客たちから特別な注文を受け、複雑機構や彫金・装飾技法を贅沢に使用した希代のタイムピースを製造していました。

そんな彼らに敬意を込めて、キャビノティエの総称が定着したのでしょう。

ちなみに現在ヴァシュロンコンスタンタンでは「レ・キャビノティエ」として、ジュネーブ伝統の時計製造技術を正統に受け継ぐビスポークサービス工房を展開しています。

この工房では一般市場には出回らない、超絶複雑機構を搭載した稀少なタイムピースを製造しています。

ヴァシュロンコンスタンタン

画像引用:VACHRON CONSTANTIN

その後、ジャン=マルク・ヴァシュロン氏の孫ジャック・バルテルミー・ヴァシュロン氏が経営を引き継いでいた1819年、フランソワ・コンスタンタン氏が経営に参画し、現在の社名「ヴァシュロン&コンスタンタン」が時計業界に誕生することとなりました(&がブランド名から抜けたのは1970年)。

さらに1839年、機械技師ジョルジュ=オーギュスト・レショー氏が経営に加わり、「パンタグラフ」を開発したことで生産体制が盤石のものになります。

パンタグラフ

画像引用:VACHRON CONSTANTIN

このパンタグラフとは機械式時計のパーツを機械的に複写できる機器です。

これまでは手作業で製造しているがゆえにどうしても同一性を欠いていたパーツ類をパンタグラフによって高精度で複数生産できるようになり、生産効率が格段にアップすることとなりました。

当時のヨーロッパでは産業革命が円熟し、機械工業が急速に普及していた時代であったことも、ヴァシュロンコンスタンタンの生産体制を整えるのに良い追い風となっていたのでしょう。

ヴァシュロンコンスタンタンは以降も類まれな時計製造技術惜しみなく発揮した製品群により、万国博覧会や天文台コンクールで数々の賞や新記録の獲得を成し遂げ、その名声を確実に世に広めていくこととなりました。

ちなみに、現在ヴァシュロンコンスタンタンのブランドの象徴にもなっているマルタ十字は1880年に誕生したようです。

マルタ十字

このマルタ十字はマルタ騎士団に代表される宗教騎士団のシンボルマークとしても知られていますが、実は機械式時計の主ぜんまいを格納する香箱の、カバーに備わっていたパーツがこれと酷似していたことからブランドロゴとして採用に至ったとか。

なお、ヴァシュロンコンスタンタンが評価されるのは、こういった伝統や華やかな歴史はもちろんのこと、その伝統に裏打ちされた高度な時計製造技術が背景としてあります。

とりわけ数ある時計メーカーの中でも特別な存在である複雑機構(コンプリケーション)ウォッチを1790年というかなり早い段階で製造しているだけあり、このジャンルには一家言持ってきました。

またクロワゾネ・エナメルや彫金・貴石を用いた工芸品・宝飾時計の製造も得意としており、ヨーロッパの王侯貴族を中心に愛され続けていくこととなりました。

エングレービング

画像引用:VACHRON CONSTANTIN

20世紀に入り、時代が二つの世界大戦、そしてクォーツショックを経るようになっても、ヴァシュロンコンスタンタンの経営が断絶することはありませんでした。

※第二次世界大戦後の1955年に行われたジュネーブ平和会議(いわゆる4巨頭会談)にて、アメリカ・旧ソ連・イギリス・フランスの各国首脳に記念品としてヴァシュロンコンスタンタンの時計が贈られた逸話がある。

※クォーツショックとは、1969年にセイコーが「アストロン」として世界で初めてクォーツ腕時計を市販化したことに端を発する一連の時代。
精度を出しやすくかつ大量生産可能なクォーツ式腕時計に機械式時計のシェアが奪われたことで、既存時計メーカーが苦境に立たされたことから「ショック」と称される。

1996年には現在のリシュモングループ傘下となります。

ちなみにわが国で同社はバセロン・コンスタンチンの名で親しまれていましたが、このリシュモングループに参画したあたりからじょじょにヴァシュロンコンスタンタンの名前が広まることとなりました。

現在では時計市場の広がりとともに人気を高める一方で、現行ブランドでは珍しくエレガンス・ラインの層が厚く、通な時計愛好家から根強い支持を集めます。

ヴァシュロンコンスタンタンが随一の歴史・屈指の時計製造とともに評価されるもう一つの理由として、「老舗でありながら今なお革新的」ということが挙げられます。

その事例は枚挙にいとまがありませんが、象徴的な偉業は2015年には創業260年を記念し、「世界一複雑な機械式懐中時計」として実にパーツ数2826個・57もの複雑機構を搭載させたRef.57260を発表したことではないでしょうか。

その後も複雑機構に関しては他の追随を許さない発展を遂げ、2019年には「振動数の異なるテンプを二つ搭載させ、使用に応じて切り替えを行える」という驚くべきツインビート・パーペチュアルモデルを発表しました。

ヴァシュロンコンスタンタン3200T 000P B578

画像引用:VACHRON CONSTANTIN

これは「永久カレンダーの実用性を担保するために、約65日間のロングパワーリザーブを実現」することが目的でしたが、その壮大な革新性とそれを実現してしまう設計力・技術力に、時計業界が騒然となったことは言うまでもありません。

また、2018年には「モダンなのにクラシック」なフィフティーシックス、2020年にはレディース専用ラインとなるエジェリーを発表

老舗の名に甘んじることなく攻めの姿勢を崩さないのが、ヴァシュロンコンスタンタンのヴァシュロンコンスタンタンたる所以でしょう。

②ヴァシュロンコンスタンタンの時計製造の実力

ヴァシュロンコンスタンタン オーヴァーシーズ クロノグラフ 5520V/210A-B148

ヴァシュロンコンスタンタン製品は至高と評価されます。なぜか。

それは外装・ムーブメントともに非常に凝った、最上級レベルの品質が実現されているからに他なりません。

「良い時計」の定義は様々だと思います。

しかしながらヴァシュロンコンスタンタンのような、中古であっても100万円超えが当たり前といったような雲上時計には、まず何より外装技術が求められるのではないでしょうか。

その点ではヴァシュロンコンスタンタン製品はまず間違いなく「至高」。

ヴァシュロンコンスタンタン パトリモニー 85180 000R 9232

惚れ惚れするような仕上げが施されていることはもちろん、ケースの表面は平滑で、歪みは見受けられません。

これは、パトリモニーやトラディショナルといったベーシックなコレクションのフォルムでこそ顕著でしょう。

よく言われることですが、こういったシンプルな時計の方が装飾でのごまかしが効かない分、高い作り込みが求められます

文字盤もまた平滑で歪みがなく、非常に美しい出来栄えです。針やインデックスの厚みは十二分で、立体感も申し分なし。

ヴァシュロンコンスタンタン パトリモニー 85180 000R 9232

近年では加工技術の発達で、低価格帯の製品でもこういった仕上げが施された「良い時計」は結構少なくありません。

しかしながらヴァシュロンコンスタンタンレベルの「美しい時計」は、業界広しと言えど多くはなし。

まだヴァシュロンコンスタンタンの時計を手にとったことがない方は、ぜひ一度実機を触ってみて、その「特別感」を肌で感じてほしいと思います。

また、歴史ある時計ブランドらしく、ムーブメントに関してもやはり「至高」です。

ヴァシュロンコンスタンタン パトリモニー 85180 000R 9232ムーブメント

「良いムーブメント」も色々な考え方があろうかとは思いますが、やはり高級機であるからには妥協のない仕上げ・装飾が欲しいところ。

その点ヴァシュロンコンスタンタンは最高峰。

丁寧な仕上げ・面取りはもちろんのこと、ペルラージュやコート・ド・ジュネーブといった伝統装飾が美しく施されており、こういったムーブメントへのこだわりに所有欲を刺激される愛好家も少なくないでしょう。

このムーブメントの美しさは、手巻きを中心とした自社製キャリバーであろうと、リシュモンキャリバーであろうと、お楽しみ頂けます。

現行では基本的にシースルーバックが採用されており、裏蓋側からこの美しきキャリバーを鑑賞できるというのもまた、嬉しいところですね。

※リシュモンキャリバー…リシュモングループ内で共有されている汎用ムーブメント。傘下のムーブメント専業メーカー「ヴァル・フルリエ」社による。フィフティーシックスを中心に採用されている。

ジュネーブ・シール

画像引用:VACHRON CONSTANTIN

なお、ヴァシュロンコンスタンタンのムーブメントを語るうえで、ジュネーブ・シールの存在は欠かせません。

ジュネーブ・シールとは、時計に関する工業規格です。

時計の規格はクロノメーター始め種々存在しますが、ジュネーブシールは中でも最高峰の呼び声高い一方できわめて厳格。

スイス ジュネーブ州で組み立てられたムーブメントであることを前提に、精度やパーツの仕上げ、素材等を多岐に渡って審査します。まさにキャビノティエのDNAが受け継がれているかどうかを判断する試金石。

取得しているブランドはパテックフィリップ(2009年より自社独自規格へ)やショパール、ロジェデュブイといった時計製造に定評のある名門ばかりです。

ヴァシュロンコンスタンタンは1901年の取得以来、ジュネーブ・シールと非常に密接に関わっており、現行モデルでも173に及ぶ製品で認定を獲得しています。

③知っておきたい永久修理

「コモディティ(代替可能なモノ・コト。日用品)」ではなく、一生ものであるためには、製品購入後のメンテナンスは欠かせません。そして、一流ブランドこそ、メンテナンスがしっかりしているものです。

ヴァシュロンコンスタンタンはこの点でも最高峰と言っていいでしょう。なぜなら時計業界でもそう多くはない、「永久修理」を掲げているためです。

永久修理は文字通り、創業から今に至るまで販売した自社製品の修理を、今後も永続的に請け負う、というサービスです。この永久修理を採用するブランドはパテックフィリップやオーデマピゲ等、名門中の名門に限られます。

ヴァシュロンコンスタンタン修理の様子

画像引用:VACHRON CONSTANTIN

通常、メーカーには「パーツ保有期間」が存在し、この期間を過ぎた製品の修理を受け付けないということは珍しくありません(もっとも、実際はパーツ保有期間が過ぎてもオーバーホールは問題なく行えたり、民間修理会社で非純正パーツで対応したりと、末永く使う道は様々ですが)。

しかしながらヴァシュロンコンスタンタンではこの期間を設けておりません。

すなわち現在購入した商品を、ご自身はもちろん子どもや孫へと受け継いだ後も、メンテナンスしながら代々受け継いでいけることを示唆しています。

今でこそサスティナビリティやリセールバリューといった観点からメンテナンスに注目度が集まり、メーカー自身も戦略としてアピールするようになってきました。

しかしながら早い段階で一貫して永久修理を掲げていたヴァシュロンコンスタンタンからは、老舗の矜持を伺い知ることができますね

なお、ヴァシュロンコンスタンタンでは現行モデル以外のヴィンテージやビスポーク品は、専用の工房でメンテナンスを請け負うとのこと。

自社製品が「一生もの」であることを理解しているがゆえの、盤石のアフターサービスです。

④ヴァシュロンコンスタンタンの価格帯

オーヴァーシーズオートマティック4520V 210A-B128

画像引用:VACHRON CONSTANTIN

ヴァシュロンコンスタンタンは雲上ブランドにあたるため、価格帯は高めです。

ステンレス製のシンプル3針オーヴァーシーズであっても、定価は300万円をゆうに超えます。

しかしながら現在、高級時計市場は急速に拡大し、特にステンレス製スポーツウォッチの価格が高騰。

定価を大きく上回る相場を記録してきました。

同じ世界三大時計ブランドであるオーデマピゲのロイヤルオーク、パテックフィリップのノーチラスなどはその影響が特に大きいと言えます。

例えばロイヤルオークで需要が集まっている現行15500ST、定価は3,465,000円ですが、新品の実勢相場は2024年7月現在600万円を超えそうな勢いです。

ノーチラスの5711/1A-010(青文字盤)に至っては、生産終了の影響もあってか定価3,872,000円ですが、1500万円を大きく超える実勢相場に・・・!

そんな中、オーヴァーシーズもまた価格高騰の煽りを受けており、青文字盤のRef.4500V/110A-B128は定価2,662,000円のところ、中古であっても400万円超という実勢相場を描いています。

一方で上記の2ブランドほどは急騰しておらず、とりわけ白・黒文字盤の4500V系であれば350万円台~。

もちろん腕時計の中では高級品ですが、これだけ雲上級のブランドの、今を時めくスポーツウォッチ(いわゆるラグジュアリー・スポーツウォッチ)であることを鑑みれば、高すぎることはありません。

オーヴァーシーズ 4500V110A B126

また、詳細は後述しますがオーヴァーシーズは現行は第三世代となり、過去の世代であれば100万円台の個体も少なくなく、雲上ブランドとしてはなかなか嬉しい価格帯ではないでしょうか。

2024年現在、本当に多くのブランドが実勢相場を上げています。

例えばロレックスはかつてミドルクラスといった立ち位置でしたが、今の相場は200万円以上が当たり前となっています。

こういった流れを鑑みれば、ヴァシュロンコンスタンタンも今後相場を上げていく可能性があります(実際オーヴァーシーズは、ここ2年ほどで100万円以上急騰しました)。つまり、相場が上がり切っていない現在は、まさに買い時。

なお、300万円台という価格は、40代・50代以上の方が「ワンランク上の高級時計を購入しよう」と思った時に、決して非現実的な金額ではないと思います。

「今」買うべき高級時計を挙げるなら断然ヴァシュロンコンスタンタンではないでしょうか。

グランド レディ・キャラ

画像引用:VACHRON CONSTANTIN

なお、比較的お値打ちだからと言って、ステータスが弱いとかそんなことはありません。

実際、その顧客はそうそうたるメンツばかり。

歴史的にはエジプト王族やフランスのナポレオン皇帝に女優のエリザベス・テイラー。

また、チャールズ皇太子が故ダイアナ妃にヴァシュロンコンスタンタンのハイジュエリーウオッチにあたるレディ・キャラの特別モデルを贈った逸話は時計好きにはおなじみです。

日本でもイチロー選手や秋元康さん、林修先生といった、渋い大人の男性陣に愛され続けてきました。

ヴァシュロンコンスタンタンの代表シリーズ①オーヴァーシーズ

ヴァシュロンコンスタンタン オーヴァーシーズ 4500V 110A B128

それでは次に、ヴァシュロンコンスタンタンの代表的なシリーズをご紹介致します。

まず最初は、スポーツラインのオーヴァーシーズ。
1996年に誕生しました。

エレガンス・クラシックの多いヴァシュロンコンスタンタンの中では、唯一スポーティーデザインなシリーズとなります。

前項でも言及していますが、近年雲上ブランドが手掛けるスポーツウォッチは「ラグジュアリー・スポーツウォッチ」「ラグスポ」と称され、一大ジャンルとしての地位を確立しています。

そんなラグスポに先鞭をつけたのがオーデマピゲ ロイヤルオークで、初出は1972年。

次いで1976年にパテックフィリップのノーチラスが続きました。そう考えると、オーヴァーシーズは三大時計メーカーの中ではかなり遅いスポーツウォッチのラインナップと思うかもしれません。

しかしながらもともとは1977年、ブランド創設222周年を祝して限定500本で製造されたRef.222をベースに生まれたスポーツウォッチとなります。

Ref.222

※1977年に誕生したRef.222コレクションのうちの一つ。SSモデル。ちなみにロイヤルオーク,ノーチラスのデザインはジェラルド・ジェンタ氏だが、222はドイツ人のヨルグ・イゼック氏が手掛けたと言われている

1970年代~1990年代と言うのは、高級スポーツウォッチという分野が時計業界に生まれ、飛躍的に伸びた一時代です。

そんな中でヴァシュロンコンスタンタンもまたスポーツラインを打ち出していくのですが、そこは歴史的ブランド。

ちょっと他社とは一線を画します。

どういうことかと言うとオーヴァーシーズは、同社ならではの伝統と高い設計力をふんだんに発揮しつつも、強烈な個性をも有するのです。

最もその個性が顕著に表れているのがデザインです。

オーヴァーシーズは「マルタ十字をアレンジしたベゼルおよびブレスレット」を持っていることが何よりの特徴ですが、よく見ると、ブランドのアイデンティティがそのまま時計に姿を変えているとも捉えられるわけです。

ヴァシュロンコンスタンタン オーヴァーシーズ 4500V 110A-B128

なお、オーヴァーシーズはスポーティーすぎるとも取られがちなエッジの効いた外装をしていますが、実はケースは優美なラインを描いており、ラグがブレスレットとシームレスになっていることで、流れるような曲線美を堪能できることも魅力。

非常に薄型であるため、きちんと「ラグジュアリー・スポーツ」の王道にのっとっているのです。

これはまさに40代・50代以上の、成熟した大人のための時計だと考えられます。

ちなみにオーヴァーシーズは1996年の誕生以来、第三世代までのアップデートを遂げました。

オーヴァーシーズ Ref.42042

※1996年登場のオーヴァーシーズ Ref.42042。第一世代

オーヴァーシーズ Ref.47040

※2004年登場のオーヴァーシーズ Ref.47040。第二世代

オーヴァーシーズ Ref.4500

※2004年登場のオーヴァーシーズ Ref.4500。最新世代

オーヴァーシーズは世代を経るごとにどんどん評価が高くなり、最新世代で人気に火が付いたと大きく取り沙汰されました。

しかしながら第二世代の8葉ベゼルや(現行は6葉)、現行オーヴァーシーズの礎となった薄型かつ洗練されたフォルムも根強い人気があり、相場高騰からは一呼吸置いていることからも、非常にお勧めできる一本です。

なお、「ヴァシュロンコンスタンタンのムーブメントを見たい!」という方は、第三世代以降を選択しましょう。

ヴァシュロンコンスタンタン オーヴァーシーズ 4500V 110A B128裏面

第三世代よりシースルーバックが採用され、その美しいジュネーブ・スタイル・ムーブメントを眺めることができるのも嬉しいポイントですね。

とは言え第二世代までの裏蓋も、好きな方には堪りません。「海を超える」というシリーズ名通り、帆船が裏蓋にエングレービングされており、「トラベルウォッチ」としてのアイデンティティも持ち合わせます。


ヴァシュロンコンスタンタンの代表シリーズ②パトリモニー

パトリモニー81180/000R-B518

画像引用:VACHRON CONSTANTIN instagram

ドレスラインのパトリモニーもヴァシュロンコンスタンタンを代表する一大コレクションで、かつ「最高のドレスウォッチ」と名高い代物です。

パテックフィリップのカラトラバやランゲ&ゾーネのサクソニア、ブレゲのクラシックなど、至高のドレスウォッチは世にあまた存在しますが、パトリモニーもまた「一切の無駄がない、調和のとれたプロポーション」「伝統を力強く受け継いだ正統派」と言われています

40代・50代以上の男性であれば、ドレスウォッチが一本欲しい、という方もいらっしゃるでしょう。
そんな方々にとって、パトリモニーは良い選択肢となりえます。

パトリモニー81180/000R-B518

画像引用:VACHRON CONSTANTIN

パトリモニーは2004年に発表されましたが、1957年に同社が手掛けていた伝統的ドレスウォッチをリバイバルした、とのこと。

2000年代に入ってヴァシュロンコンスタンタンは意欲的に過去の銘品たちの再解釈を行い、現代の製法をまとって復刻させてきましたが、これもまた老舗に許された特権。

そんな中においてもパトリモニーが特別な存在感を放っているのは、非常に「クラシカル」を大切にしている、ということ。

近年の復刻モデルにおいて、完全に当時のデザインを再現した・・・というものはそう多くはありません。

パトリモニーもまた、40mm前後とケースを現代に合わせて大径化しています。

しかしながら、伝統的なドレスウォッチでは必須項目である「薄型」にあくまでこだわっており、ベーシックな自動巻き3針モデルであればケース厚は8.6mm弱

複雑機構搭載機であっても、9mm以下に収まります。ちなみに手巻きモデルに至っては、7.65mmとのこと。

パトリモニー81180/000R-B518

画像引用:VACHRON CONSTANTIN

控えめながら美しく仕上げられたケースや針,インデックスは、大人の男性にうってつけの一本です。

なお、パトリモニーは全ラインで金無垢またはプラチナモデルをリリースしていますが、中古であれば200万円を切る価格帯で販売されている個体も少なくありません

思い切ってドレスウォッチを買うなら、ぜひパトリモニーを一度試着してみましょう。

ヴァシュロンコンスタンタンの代表シリーズ③トラディショナル

パトリモニー トラディショナル82172 000G 9383

トラディショナルは2007年、パトリモニーの中の派生モデルとして誕生しました。

パトリモニーが古典の再解釈であるとするなら、トラディショナルは古典の再現。

ドレッシーで上品な薄型ケースに加え、古典的なレイルウェイサークルやドーフィン針、直線的なラグといったより伝統的な要素を盛り込みます。

2014年にコレクションとして独立して以降、前述した「ツインビート パーペチュアルカレンダー」といったグランドコンプリケーション,トゥールビヨン等を先鋒に、多彩なコレクション展開を行ってきました。

ヴァシュロンコンスタンタン パトリモニー トラディショナル 82172 000R 9382

ムーブメントも畢生の出来栄えで、裏蓋はもちろん文字盤側をシースルー化した個体も発表。

トラディショナルはエレガンスであるにもかかわらず、華やかさをも有しており、見ているだけでも楽しめる逸品が多いことも特徴です。

とは言えパトリモニーと比べても流通量はそう多くはありません

稀少性が高く、家宝ともなるべき存在です。

ヴァシュロンコンスタンタンの代表シリーズ④フィフティーシックス

フィフティーシックスオートマティック4600E 000R B441

画像引用:VACHRON CONSTANTIN instagram

フィフティーシックスは2018年に登場した、ヴァシュロンコンスタンタンにとって新しいシリーズです。

オーヴァーシーズのようなスポーティーさはなく、かといってパトリモニーのようなクラシカルテイストともまた違った独創的な顔立ちに、まず目を奪われるのではないでしょうか。

これは、1956年に発表されたRef.6073に範を取ったデザインとのこと。

Ref.6073が製造された1950年代は「機械式時計の黄金時代」。

各社が精度はもちろん、デザイン性においても類まれな才能を発揮していた時期であり、そんな中で生まれたRef.6073の洒脱さは、今なお色あせません。

Ref.6073

画像引用:VACHRON CONSTANTIN

そんな傑出したRef.6073をモチーフにしたとあって、ヴァシュロンコンスタンタンきっての粋なデザインと言えるのではないでしょうか。

ちなみに特徴的なラグは、マルタ十字の4枝から着想を得ているとのことです。

ボックス型サファイアクリスタルガラスやセクターダイアルも、1950年代の往年の味わいを思い起こさせることでしょう。

ヴァシュロンコンスタンタン フィフティーシックス オートマティック 4600E 000A B487

なお、フィフティーシックスは実用性を重視したラインであり、全てのモデルで自動巻きが採用されています。

また、ベーシックな3針モデルはリシュモンキャリバーとなる1904 MCムーブメントがベースとなっているため、信頼性は抜群。

定価180万円台~とヴァシュロンコンスタンタンの中では比較的手を出しやすいかと思いますので、初めてヴァシュロンコンスタンタンをご購入される方にとって、非常に良い選択肢になるのではないでしょうか。

その他工芸品のようなメティエダール、アンティーク調が美しいヒストリークなどが存在し、いずれもヴァシュロンコンスタンタンならではの傑作シリーズとなっております。

人気のヴァシュロンコンスタンタン10傑

それではヴァシュロンコンスタンタンの中で、当店で人気が高く、40代・50代以上の男性にお勧めしたいモデルを10選ご紹介いたします。

オーヴァーシーズ 4500V/110A-B126

ヴァシュロンコンスタンタン オーヴァーシーズ 4500V 110A B126

型番:4500V/110A-B126
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:41mm
文字盤:シルバー
駆動方式:自動巻き(Cal.5100)

オーソドックスなシルバー文字盤が美しいこちらのオーヴァーシーズが、当店の一番人気であり、ヴァシュロンコンスタンタンの中でも特にお勧めしたい一本です。

と言うのも、文中で何度かご紹介しているようにオーヴァーシーズは過去二度のモデルチェンジを果たしているのですが、こちらは2016年に発表された最新世代。そのため、同社の最先端の技術を楽しむことができるのです。

従来型に比べて文字盤が広げられ、視認性と解放感を確保すると同時に、ケースフォルムをラウンドとして印象づけるためにベゼルの下に大きなディスクを取り付けました。

モダンで、洗練された印象もまた強まりましたね。

もちろん前世代もかっこいいのですが、ケースも1mmダウンサイジングされ、現代的な装いです。


さらに特筆すべきはブレスレットに新たに搭載されたインターチェンジャブル・システムです。

最新世代から始められたこのシステムは、備え付けのフックを指で簡単にスライドさせるだけでケースからの取り外しが可能で、付属の革ベルトやラバーベルトへ容易に、そしてすぐに交換することができるのです。

気分やファッションによって付け替えもできるので、スーツの着こなしの幅を広げたい方にとっては嬉しいポイントですね。

中古相場は300万円前後~。

こういった最先端技術に加えて、シルバー+3針というシンプルさは、ビジネスシーンにうってつけです。

40代・50代以上の男性は重要な商談や会合なども増えてくるでしょう。

そんな時、ビジネスの黄金律に則ったこの一本があれば。どんな相手であっても重厚なビジネスマンを演出できますね。

オーヴァーシーズ クロノグラフ 49140/423A-8790

ヴァシュロンコンスタンタン オーヴァーシーズ クロノグラフ 49140 423A 8790

型番:49140/423A-8790
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:40mm
文字盤:シルバー
駆動方式:自動巻き(Cal.1137)

オーヴァーシーズの初出は1996年ですが、その3年後の1999年にクロノグラフモデルが登場しました。

その後3針同様にモデルチェンジされていますが、こちらはそんなクロノグラフのファーストモデルにあたる一本です。

40mmという、現行の42.5mmに比べると小径なケースがよりクラシカルな印象で、あえてこちらを選ぶ、という方が今なおいらっしゃいます。

確かにパワーリザーブなどは現行に比べると短くはなりますが、15気圧防水というスポーツモデルとして十分なハイスペックさやスタイリッシュな外観は変わりません。

なお、オーデマピゲのロイヤルオークは5気圧防水、パテックフィリップのノーチラスは12気圧防水ですので、堅牢性という面ではオーヴァーシーズが抜きんでていることがおわかりいただけるでしょう。

ヴァシュロンコンスタンタン オーヴァーシーズ クロノグラフ 49140 423A 8790

また、現行のオーヴァーシーズ クロノグラフモデルにはない仕様の一つとして、裏蓋がステンレスで帆船のモチーフがエングレービングされています。

もともと「OVER SEAS」というシリーズ名通り、大海原に向かう旅をイメージして製造されたコンセプトを体現するようなディテールですね。

クロノグラフはスポーティーすぎる、と思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかしながらこちらもシルバーというビジネスユースにオーソドックスな文字盤カラー、そして40mmというスーツの袖口から大きくはみ出さないサイズ感ですので、ビジネスはもちろん、ちょっとしたパーティーシーンなんかにもお使いいただける意匠となります。

生産終了しているため中古からお探しいただくこととなりますがまだ相場が上がり切っておらず、200万円~300万円で手に入れられる個体がほとんどです

とは言えほんの3年前と比べると150万円ほども高騰しており、流通量も減っています。

欲しい方は、早めにチェックしておきましょう!

オーヴァーシーズ クロノグラフ 49150/000R-9338

ヴァシュロンコンスタンタン オーヴァーシーズ クロノグラフ 49150 000R 9338

型番:49150/000R-9338
素材:ピンクゴールド
ケースサイズ:42mm
文字盤:グレー
駆動方式:自動巻き(Cal.1137)

40代・50代を越えて渋みが増してきた今、ゴールドモデルに挑戦しようと思っている男性は多いのではありませんか?

ゴールドはその輝きが美しく、またステンレススティールにはない質感やずっしりとした重みで人々の有史以来親しまれてきた貴金属ですが、あまりにギラギラしすぎると「金満家」といったイメージがついてしまうこともあります。

その点オーヴァーシーズであれば、そこは雲上ブランド。

ゴールド素材の取り扱いも心得ており、非常にスタイリッシュに仕上がりました。

しかも、ピンクゴールドという日本人に人気の高い色合いは、優美で上品の一言に尽きますね。

 ヴァシュロンコンスタンタン オーヴァーシーズ クロノグラフ 49150 000R 9338

こちらは第二世代にあたるクロノグラフモデルなのですが、42mmというボリューミーなケースサイズのため存在感は抜群です。

ゴールド素材ですのでお値段は中古であっても高めにはなりますが、その分資産価値は落ちづらくなります。

オーヴァーシーズ 4500V/110A-B128

ヴァシュロンコンスタンタン オーヴァーシーズ 4500V 110A B128

型番:4500V/110A-B128
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:41mm
文字盤:ブルー
駆動方式:自動巻き(Cal.5100)

先ほど最新世代の3針オーヴァーシーズをご紹介いたしましたが、同じく最新型で、かつ人気の高い青文字盤モデルがこちらです。

青文字盤は近年本当に流行っている色合いで、オーデマピゲのロイヤルオーク、パテックフィリップのノーチラスでも黒やシルバーなど定番の色と比べても特に高い人気を誇ります。

IWCのポルトギーゼ、ブレゲのマリーンなんかもブルーが有名ですね。

一口に青と言っても濃淡や仕上げの種類などでブランドによって個性があります。

ヴァシュロンコンスタンタンのブルーは、ベースとフランジ(ベースからはみ出た部分のこと)で異なる仕上げを組み合わせたことによって独特の美しさを醸し出します。

オーヴァーシーズ 4500V 110A B128

青文字盤は、黒や白・シルバーが主流であったビジネスユースの腕時計の中では、近年の変わり種といった印象です。

しかしながら非常にスタイリッシュで、それでいてスーツの邪魔もしない。

死角のないファッショナブルな色合いと言っていいでしょう。

なお、こちらも最新世代ということで、最先端のムーブメント、およびインターチェンジャブル・システムなどが搭載されています。

現在の中古相場は500万円台前後~。

シルバータイプより高くなりますが、青文字盤の近年の凄まじい人気ぶりを鑑みれば、致し方なし。

オーヴァーシーズ デュアルタイム 47450/B01A-9226

ヴァシュロンコンスタンタン オーヴァーシーズ デュアルタイム 47450/B01A-9226

型番:47450/B01A-9226
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:42mm
文字盤:シルバー
駆動方式:自動巻き(Cal.1222SC)

デュアルタイムはオーヴァーシーズ10周年を祝して2006年に発売されたコンプリケーションで、第二時間帯表示、昼夜表示、パワーリザーブ表示といった便利機能を兼ね備えたモデルです。

もちろん便利さも嬉しいところですが、特筆すべきは文字盤の配置。

これだけ情報量が多いとどうしてもごちゃごちゃしてしまって、視認性が損なわれてしまうことがあります。

しかしながらこのオーヴァーシーズはそういった弱点は見当たらず、むしろスッキリと端正な面持ちです。

文字盤のベースにギョーシェ彫があしらわれ、マットなインダイアルと上手なコントラストを描いていることも大きな要因でしょう。

ヴァシュロンコンスタンタン オーヴァーシーズ デュアルタイム 47450/B01A-9226

もう一点特筆すべきは、42mmというサイズ感

現在デュアルタイムもモデルチェンジが行われ、41mmという小径サイズになっています(機能もGMTに変更)。

42mmというと大きいと思う方もいらっしゃるかもしれませんし、かつ多機能なので厚みが13mmに及びます。でも、さすがヴァシュロンコンスタンタン。

全く厚みを感じさせない、スタイリッシュな外観に仕上がりました。

こちらは生産終了していますので、中古市場からお探しいただくことになりますが、品質に定評のあるヴァシュロンコンスタンタンですので、状態の良い個体をお探しいただければ末永く安心して使い続けていけるでしょう。

オーヴァーシーズ クロノグラフ 5500V/110A-B148

ヴァシュロンコンスタンタン オーヴァーシーズ クロノグラフ 5500V/110A-B148

型番:5500V/110A-B148
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:42.5mm
文字盤:ブルー
駆動方式:自動巻き(Cal.5200)

ブルーが美しいクロノグラフのオーヴァーシーズです。

こちらも最新世代で、現行のオーヴァーシーズ クロノグラフになります。

何度か触れているように、最新世代のオーヴァーシーズは優美なラインが特徴的で、従来のものより丸みを帯びた仕様となります。

そのためスポーツウォッチでありながらも、ヴァシュロンコンスタンタンらしい上品さや高貴さを備えることとなりました。

確かにエッジのきいたタイプもステキですが、ちょっとしたパーティーやワンランク上のスーツを着こなしたい時。

優美なオーヴァーシーズがより良い演出をしてくれそうですね。

オーヴァーシーズ クロノグラフ 5500V/110A-B148

42.5mmと、数あるスポーツウォッチの中でもやや大きめですが、デュアルタイム同様にボリュームを感じさせない上品さがありますね。

現在の中古相場は500万円前後~。

高価格帯ではありますが、それに見合った至高のスポーツウォッチと言えるでしょう。

ヒストリカルクロノグラフ 47101/000J-4

ヴァシュロンコンスタンタン ヒストリカルクロノグラフ 47101/000J-4

型番:47101/000J-4
素材:イエローゴールド
ケースサイズ:36mm
文字盤:シルバー
駆動方式:自動巻き(Cal.1140)

これまでオーヴァーシーズをメインにご紹介しておりましたが、もちろんクラシカルなラインも老舗らしく風格を感じさせる逸品がラインナップされています。

こちらのヒストリカル―歴史―は、文字通りヴァシュロンコンスタンタン、そして時計製造の歴史を感じさせる逸品です。

37mmと現在の時計ブランドではあまりメンズで採用しない小径ケースに、2つ目クロノグラフという、どこまでもクラシカルなスタイルが目に飛び込んでくるでしょう。

手巻きを採用したことによって上品な薄さとなり、ドレスウォッチのお手本のようなスタイルを獲得しました。

ちなみにシースルーバックで、手巻きの精密な造りを存分に鑑賞できるのは時計愛好家にとって垂涎のポイントです。

ヒストリカルクロノグラフ 47101/000J-4裏面

もちろんただのオーセンティックなドレスウォッチで終わりません。

ラグ形状や段差を着けたベゼルが高級感の中にスタイリッシュさを演出しており、ヴァシュロンコンスタンタンのデザインアイデンティティを感じさせます。

こちらも生産終了しているため中古市場からお探しいただくこととなります。

また、ゴールド素材×ヴァシュロンコンスタンタン渾身の手巻きモデルということで価格は高めとなりますが、スポーツモデルに比べれば相場は安定していますので、雲上ブランドのドレスウォッチが欲しい、という方はぜひ候補の一本にしてみてください。

パトリモニー トラディショナル 82172/000G-9383

パトリモニー トラディショナル 82172/000G-9383

型番:82172/000G-9383
素材:ホワイトゴールド
ケースサイズ:38mm
文字盤:シルバー
駆動方式:手巻き(Cal.4400AS)

同じくドレスウォッチから、パトリモニーをご紹介いたします。

先ほど少し触れましたが、パトリモニーもオーヴァーシーズ同様にヴァシュロンコンスタンタンを代表する一大シリーズです。

通な時計愛好家の中には、「ドレスウォッチはパトリモニー」という方もいらっしゃいます。

初出は2004年ですが1957年に同社が手掛けたドレスウォッチのリバイバルで、260年以上もの歴史を誇るヴァシュロンコンスタンタンの伝統を強く受け継いだという、同社らしさがふんだんに詰まった正統派コレクションです。

ピンクゴールドやイエローゴールドも高い人気を誇りますが、こちらは控えめな上品さと高貴な美しさから高い評価を得ているホワイトゴールドモデルです。

2針+スモールセコンドというシンプルさ、そしてドルフィン針や端正なバーインデックス、はしご目盛りなどが、どこまでもクラシカルテイストですね。

パトリモニー トラディショナル 82172/000G-9383

外装はクラシカルですが、内部はもちろん最先端。

ここにもヴァシュロンコンスタンタンらしさが出ています。

搭載するムーブメントCal.4400系は見た目の美しさはもちろん、高い機能性が自慢の一品。

しかも、パワーリザーブ約65時間という嬉しい長さを持っています。

パワーリザーブの長さは「巻かなくていい」という利便性もありますが、トルクが安定しやすく、高い精度が保たれるということにも繋がります。

もちろん65時間というのは決して長い持続時間とは言えないかもしれません。

現在の主流は72時間ですし、手巻きも3日間を誇る製品は今では普通と言っていいでしょう。

しかしながらこのパトリモニーは薄さわずか7.77mm。

ロングパワーリザーブはゼンマイを長くしたり香箱を二つ備えるツインバレル機構にしたりするので、どうしてもムーブメントに厚みが出てしまいます。

ヴァシュロンコンスタンタンであれば、さらに長いパワーリザーブは可能であったでしょう。

しかしながらパトリモニーの「ドレスウォッチ」のコンセプトを守るために、あえて65時間に留めました。

便利と上品を両立したドレスウォッチ。

40代・50代以上の男性必携の一本ではないでしょうか。

パトリモニー トラディショナル スケルトン 43038

ヴァシュロンコンスタンタン パトリモニー スケルトン 43038

型番:43038
素材:イエローゴールド
ケースサイズ:直径 44.0mm
文字盤:スケルトン
駆動方式:自動巻き(Cal.920)

一目見るだけでハッと息をのむような、まるで工芸品のような。

そんな美しさを備えたパトリモニーの表裏スケルトンモデルがこちらです。

もちろんオーヴァーシーズも素晴らしい時計であることに変わりはありませんが、時計製造技術の集大成と言えばこちらに軍配が上がるでしょう。

実際、クラシカルなパトリモニーの中で、さらに「トラディショナル」の名前を冠します

このモデルのため、装飾技術を極めた技術者によって両面スケルトン加工をあえてムーブメントに施し、どこから眺めても息を呑むかのような美しさを堪能することができます。

ヴァシュロンコンスタンタン パトリモニー スケルトン 43038裏

ローターもスケルトン加工されているので、歯車の一つひとつに至るまで存分に鑑賞することができますね。

ちなみにただ美しいだけでなく、「薄く美しいムーブメントを実用する」というコンセプトのもと開発された経緯があるため、ゼンマイを巻き上げるローター外周にレールを設け、高い耐久性や巻き上げ効率を誇ります(ローター外周の4つのルビーがそれにあたる)。

こういった美しい時計は、えてして普段使いには適さない、というものが多いです。

しかしながらヴァシュロンコンスタンタンの時計は鑑賞するだけでなく、実際に使うことを目的としている。ここに、さすが老舗と言うべき実力を感じます。

なお、パトリモニー トラディショナルは現行モデルでもラインナップしておりますが、こちらは今はない33mmモデル。

決して製造本数が多いモデルではないので、気になる方は時計専門店で見つけたら即決することをお勧めします。

ヒストリーク クロノメーターロワイヤル 86122/000R-9362

ヴァシュロンコンスタンタン ヒストリーク クロノメーター ロワイヤル1907 86122 000R 9362

型番:86122/000R-9362
素材:ローズゴールド
ケースサイズ:39mm
文字盤:ホワイト
駆動方式:自動巻き(Cal.2460 SCC)

先ほどご紹介したヒストリカルの後継シリーズとして登場したのがヒストリークです。

同様に1755年以来のヴァシュロンコンスタンタンの歴史を体現するものですが、ヒストリークでは過去の銘品を復刻し、「現代風に解釈」したとのこと。

そのため、同シリーズ内でも時代時代によって様々なタイプのモデルが存在し、その一つひとつを見ているとヴァシュロンコンスタンタンの年表を開いているかのように感じられます。

こちらのヒストリーク ロワイヤルは1907年に製造されていた同名モデルの復刻です。

1900年代初頭は世界的に好景気で、ヴァシュロンコンスタンタンも初のブティックを出店したりジュネーブシールの取得に向けて本格的に動き出したりと、意欲的な時代でした。

そんな中で生まれたこちらのヒストリーク ロワイヤル。

ヨーロッパを始めとした富裕層に向けて作られたことが一目でわかる、高貴で美しい一本です。

ヒストリーク クロノメーターロワイヤル 86122/000R-9362

エナメル文字盤にシンプルかつ美しくアラビア数字のインデックスが並び、ケースと同素材のロースゴールド製時針があしらわれました。
華美さはありません。

それどころかシンプル一辺倒。なのに、ただ事ではない気品が漂います

裏蓋はシースルー仕様となっておりますが、そこからもヴァシュロンコンスタンタンの技術力を表す至高の自動巻きムーブメントを垣間見ることができます。

定価は500万円超えと、なかなか気軽に購入できるものではないかもしれません。

しかしながら一生ものにふさわしい、あるいは家宝と呼べるような銘品であることに間違いありません。

まとめ

40代・50代以上の男性から根強い支持を集める、ヴァシュロンコンスタンタンについてご紹介致しました。

これまでロレックスやオメガを使ってきたけど、雲上ブランドに手を出してみたくなった。ワンランク上の時計が欲しい。でも、何百万円もはちょっと出せない・・・そんな時に選択肢に入れていただきたいのがヴァシュロンコンスタンタンです。

かっこよくて今人気の高い一本が欲しいならオーヴァーシーズ。フォーマルシーンにも使えるドレスウォッチをお探しであればパトリモニー。オンリーワンを大切にする方はヒストリークなどがいいでしょう。

文中でも述べたように、ヴァシュロンコンスタンタンは超老舗時計ブランドでありながら、今なお最先端を走る進化のブランドでもあります。
実際、2024年の今年も意欲的なトゥールビヨンを発表して時計界を沸かせました。

こういった姿勢はヴァシュロンコンスタンタンの魅力に繋がります。そのため、人気がさらに高まり需要が集中し、いつ今より価格が急騰するともわかりません。
気になっている方がいらっしゃいましたら、今のうちにぜひご検討ください!





当記事の監修者

田中拓郎(たなか たくろう)

高級時計専門店GINZA RASIN 取締役 兼 経営企画管理本部長
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター

当サイトの管理者。GINZA RASINのWEB、システム系全般を担当。スイスジュネーブで行われる腕時計見本市の取材なども担当している。好きなブランドはブレゲ、ランゲ&ゾーネ。時計業界歴12年

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