「サブマリーナ5513のロリポップって何?」
「ロレックス サブマリーナ5513について詳しく知りたい」
アンティークロレックスとして絶大な人気を誇るサブマリーナ Ref.5513。
5513は1962年~1989年という非常に長期間に渡って製造されたサブマリーナであり、約30年の間に幾度もマイナーチェンジを繰り返したモデルとしても有名です。
そんなロレックス サブマリーナ5513について知りたいという人は多いのではないでしょうか。
5513の中でも特に個性が強い「フチなし個体」は現代でも高い人気を博しています。
この記事ではサブマリーナ5513の変遷や特長を、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
サブマリーナ 5513についての基本的な情報も説明しますので、サブマリーナの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
目次
ロレックス サブマリーナ Ref.5513についてのおさらい
まずはサブマリーナ Ref.5513がどんなモデルであるのかについて、おさらいしていきましょう。
サブマリーナ Ref.5513は1959年に製造されたRef.5512のデュフュージョンモデルとして1962年に誕生したモデルです。サブマリーナの第4世代に分類されるモデルであり、40mmケース・200m防水・リューズガードを備えます。
5512は希少価値が高く、滅多に市場に出回ることはありませんが、今回紹介する5513に関しては30年間製造されていたことから比較的流通量が多く、それに伴いファンも多いです。
また、Ref.5513は幾度なく行われたマイナーチェンジにより、同じリファレンスナンバーでありながらも製造年によってそれぞれ異なる個性を持ちます。
基本的に古ければ古いほど価値が上がる傾向にあり、最初期のモデルはまさにファン垂涎の一本です。
サブマリーナ Ref.5513 フチありとフチなしの違い
5513を分類するにあたり、最も重要なのはインデックスのフチにあるメタル枠の有無です。
左:フチなし 右:フチあり
インデックスにフチがない「フチなし」は5513の前期ダイヤルに当たり、ミラーダイヤル・ミニッツサークル・メーターファーストといった非常にレアな個体が存在します。
コレクター要素が非常に強いため、アンティークロレックスファンにとっては「フチなし」が人気です。
逆に1985年頃から出回るようになったインデックスにフチがある個体は「フチあり」と呼ばれ、後継機種Ref.14060に近いデザインとなっています。
こちらも人気がありますが、フチありと比べるとやや個性が弱いです。
フチなし個体の5つの個性
1963年~1985年頃まで製造されたモデルはフチなしモデルですが、フチなしモデルは大きく分けると「5つ」の種類に分類されます。
それぞれに固有の呼び名がついており、5513を購入する際にはどの特徴を持っているのかで大体の製造年がわかるようになっています。
個体名称 | 年代 | 備考 |
---|---|---|
ミニッツサークル | 1963年頃 | ミラーダイヤル・メーターファースト含む |
ミラーダイヤル | 1965年頃 | メーターファスト含む |
メーターファースト | 1967年前後 | マットダイヤル(前期)の特徴 |
フィートファースト | 1967年前後 | マットダイヤル(中期)の特徴 |
ロリポップ | 1970年代後半 | マットダイヤル(後期)に見受けられる |
サブマリーナ Ref.5513 ミニッツサークル
5513 ミニッツサークルは1963年頃に製造された最初期の5513です。
特徴はインデックス外周の目盛部分に沿う形で円を描くようなラインが入っていることで、強い個性があります。
尚、ミニッツサークルは後述するミラーダイヤルも兼ね備えているため、ミニッツサークルであれば無条件でミラーダイヤルです。レアポイントが2つ同時に楽しめるだけあって、市場で絶大な人気を誇ります。
状態のよい個体であれば、その価値は500万円にも及ぶでしょう。
しかし、滅多に出回らない個体であるため、実際に手にできることは稀です。
サブマリーナ Ref.5513 ミラーダイヤル
ミラーダイヤルは1967年位までに製造されたアンティークロレックスに度々用いられた「鏡のような輝き」を持つ文字盤です。独特の艶があり、文字盤に書かれたロゴや文字がゴールドでペイントされています。
ミラーダイヤルは経年経過によって変色するという特徴をもち、個体によっては鮮やかなブラウン色に文字盤が変貌を遂げます。綺麗にヤケていればいるほどその価値は上がり、ミニッツサークルと同じく数百万の市場価値となることも珍しくありません。
尚、ミニッツサークル=ミラーダイヤルですので、ミニッツサークルではないミラーダイヤル採用モデルが一般的に5513 ミラーダイヤルと呼ばれます。
サブマリーナ Ref.5513 メーターファースト
ミラーダイヤルからマットダイヤルに切り替わった直後に誕生した個体「メーターファースト」。市場でも人気が高く、探し求めてる方が多いです。
特徴は「200m=660ft」表示の下に「SABMARINER」の文字が配されていること。
防水表記がメートル/フィートの順になっていることから「メートルファースト」と呼ばれています。
ちなみに、ミニッツサークル・ミラーダイヤルもメートルファーストですが、それよりも個性的な特徴があるため、メートルファーストが強調されることはありません。
そのため一般的にはマットダイヤルでメートルファースト表記となっている個体がメーターファーストと呼ばれます。
サブマリーナ Ref.5513 フィートファースト
メートルファーストは「200m=660ft」表示の下に「SABMARINER」の文字が配されていましたが、フィートファーストは「660ft=200m」表示の下に「SABMARINER」の文字が配されています。
この特徴をもつ5531はマットダイヤルの中期に製造された個体であり、「フィートファースト」と呼ばれたり、「下サブ」と呼ばれたりします。
メートルファーストほどの価値はありませんが、それでも人気は絶大です。
サブマリーナ Ref.5513 ロリポップ
ロレックス サブマリーナ 5513 フチなし ロリポップダイヤル
ロリポップダイヤルはマットダイヤル(後期)に見受けられるレア個体です。
この時期の個体には「マキシダイヤル」と呼ばれるドットインデックスが通常より大きい文字盤が存在しますが、ロリポップダイヤルはその中でも特にインデックスが大きい個体を指します。
ご覧の通り、ロリポップダイヤルは目盛とインデックスが殆どくっついています。形がロリポップ(棒が付いた手で持って舐める飴)に見えることから、このような名が付けられました。
また、マットダイヤルの後期から、6時位置の文字が上段「SUBMARINER」下段「660ft-200m」となっており、以降5513の文字表記はこの形で定着します。
サブマリーナ Ref.5513 フチあり
1985年頃出回るようになったインデックスにフチ取りがある後期モデルです。リューズがツインロックからトリプルロックに変更されており、ブレスレットもハードブレス+フラッシュフィットに進化しています。
レアリティはフチなしに劣りますが、実用性に関してはフチありの方が上です。文字盤デザインもスタイリッシュな印象を持つので、現在でも人気を博し続けています。
サブマリーナ Ref.5513 フチあり スパイダーダイヤル
ロレックス サブマリーナ 5513 フチあり スパイダーダイアル
フチありモデルにはレア個体が存在しないと思われがちですが、実はスパイダーダイアルという個性的な特徴をもつ個体が存在します。
スパイダーダイヤルはその名の通り「蜘蛛の巣」のようなにヒビが入った文字盤の事を指します。このダイアル劣化はこの時期だけに見られる特殊な劣化で、クラックがたくさん入ることが特徴です。
何故、この時期だけに見受けられる特徴なのかは定かではありませんが、美しくクラックが入ったモデルであればあるほど価値が高くなります。
その価値は100万円以上になることも珍しくありません。
まとめ
サブマリーナ 5513は30年にも及ぶ製造期間の中で、幾つものマイナーチェンジを繰り返してきたアンティークロレックスの定番モデルです。
特に個性が強い「フチなし個体」は現代でも高い人気を博しており、どの年代の個体もファン垂涎の逸品として崇められています。
製造年が古いほど価値は上がり、さらに状態のよい個体は数百万の価値を持つことが5513の魅力です。ミニッツサークル・ミラーダイヤルの個体は500万円を超えることもあります。
5513の独特な存在感は実物を見てみなければ分からないと思いますので、是非一度時計店に出向いて試着だけでもしてみてください。
きっとその魅力の虜になってしまうはずです。
当記事の監修者
田所 孝允(たどころ たかまさ)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 販売部門 営業物流部長/p>
1979年生まれ 神奈川県出身
ヒコみづのジュエリーカレッジ ウォッチメーカーコース卒業後、かねてより興味のあったアンティークウォッチの世界へ進む。 接客販売や広報などを経験した後に店長を務める。GINZA RASIN入社後は仕入れ・買取・商品管理などの業務に従事する。 未だにアンティークウォッチの査定が来るとついついときめいてしまうのは、アンティーク好きの性分か。
時計業界歴18年。