スイスきっての名門オーデマピゲ。パテックフィリップ、ヴァシュロンコンスタンタンと並び、世界三大時計ブランドとして名を馳せています。
そしてオーデマピゲと言えば、フラグシップの「ロイヤルオーク」がまず挙がりますね。あらゆる面で完成されたロイヤルオークは、高級スポーツウォッチという概念を時計界に植え付けました。
ロイヤルオークの基幹モデルはステンレススティールの3針モデルです。でもそれ以外にも実はバリエーションが豊富に存在しています。
さらにオフショアという派生を持ちますが、ロイヤルオークとはまた違った魅力で人々を惹きつけており、甲乙つけがたい存在です。
そこでこの記事では、オーデマピゲ ロイヤルオークの代表モデルを体系だててご紹介するとともに、それぞれの魅力や機能、価格、資産価値などの面から選び方を解説いたします。
たくさんのロイヤルオークを知って、ぜひご自分だけの一本に出会っていただきたいと思います。
目次
オーデマピゲ ロイヤルオークとは
ロイヤルオークは今でこそオーデマピゲのフラグシップとして、世界中の男性陣の憧れとなっています。
実際時計業界の中でもその評価は抜群に高く、バイヤーなどによく選ばれている一本です。
しかしながら1972年の誕生当初、万人受けしていたかと言うとそうではありません。
なぜなら、デザイン、コンセプト、機能・・・あらゆる面において斬新すぎる仕上がりであったためです。
この斬新さは、今ではロイヤルオークの強みですが、当初はキワモノ扱い。これは同社自身も認めているところです。
ロイヤルオークがなぜ斬新すぎたか。
まず、オーデマピゲほどの超高級ブランドが、ステンレス製のスポーツウォッチを出したこと。
1970年代当時、だんだんと時計の低価格化が進んでいましたが、まだ高級時計=ゴールドと言う時代です。
また、ドレスウォッチが主流で、31mm~35mm程度のラウンド小径ケースこそ至高と考えられていました。
そこにいきなり降臨した、直径39mmのステンレス製スポーツウォッチです。
※1972年、1000本限定でファーストデリバリーされたうちの一つ・5402ST。デザインコードがほとんど変わっていないことがわかる
斬新な点はこのコンセプトだけではありません。そのデザインもまた、当時は新しすぎました。
エッジが効いたオクタゴン(八角形)ケース、ベゼルのビス、タペストリー文字盤・・・さらに独特の形状のコマがケースとシームレスに繋がっているなど、従来は考えられなかったデザインでした。
このデザインを手掛けたのは、巨匠ジェラルド・ジェンタです。
パテックフィリップのノーチラス、オメガのコンステレーション Cライン、セイコーのクレドール、IWCのインジュニアにダヴィンチ・・・ジェンタによって生み出された名作の数々は、今なお色褪せない魅力があります。
ジェンタデザインの特徴は、パッと見は奇抜なのに、実はよく計算されていて、むしろ正統を逸脱していないところにあります。
例えばベゼルのビスの溝は全て文字盤中心に対角を成すよう置かれていたり、タペストリー文字盤でスポーティーな中にも上品さを取り入れていたり、ブレスレットはコマを小さくして柔軟性に富ませることで、スムーズな装着感を実現していたり・・・
また、ケース直径やブレスレット自体は大振りなのに、あくまで薄型であることなどもロイヤルオークのクラス感に一役買っていますね。
サテンとポリッシュ仕上げの使い分けも見事と言う他ありません。
この意匠はやがて市場で高い人気を博すようになり、今では所有者にとってはロイヤルオークを選ぶ大きな動機となっています。
様々なデザインの時計が各ブランドから輩出されたこと、消費者の目が肥えたこと、高級スポーツウォッチという概念がオーデマピゲによって持ち込まれ、定着したことなどもロイヤルオークを席捲させた大きな社会的背景でしょう。
なお、後年、多くのブランドがこのロイヤルオークへの対抗機をぶつけてきます。
前述したパテックフィリップのノーチラスやヴァシュロンコンスタンタンのオーヴァーシーズなどが良い例でしょう。
つまり、オーデマピゲは時代の先を行っていて、後年になって時計業界全体がようやく追いついてきた、ということを意味します。
ロイヤルオークの派生シリーズ・オフショアとは?
ロイヤルオーク人気を受けて、1993年にオーデマピゲは新たに「ロイヤルオーク オフショア」をコレクションに追加します。
ちなみにやはりオフショアも、誕生当初はなかなか受け入れられませんでしたが、今ではロイヤルオークと並んで非常に人気の高いシリーズです。
オフショアは、パッと見てわかるように、ロイヤルオークを「男性的」かつ「パワフル」にしたスポーツウォッチ。「オフショア―沖」の名の通り、高い防水性・堅牢性のために、ケースにボリュームを出すこととなりました。
さらにオフショアの中でもシリーズが「クロノグラフ」と「ダイバー」に分かれますが、そのいずれもスポーティーな魅力に溢れていますね。
ちなみにデザインはエマニュエル・ギュエ氏という、当時若干22歳のデザイナーが手掛けました。
氏はロレックスのチェリーニなども後年デザインしています。
画像引用:Audemars Piguet
ロイヤルオークに比べてケースサイズ42mmまたは44mmに加えて厚み・ベゼル・タペストリーなど全てが大きめな設計で作られており、ややごつごつした印象があります。
オクタゴンのベゼルやケース、ビスなどを打ったところはロイヤルオークと一緒ですが、そこかしこをアップサイジングするだけでかなり印象が異なりますね。
また、オフショアはステンレス以外の素材やカラーを積極的に取り入れており、派生モデルの多さがコレクターズアイテムとしても注目度を浴びる大きな理由です。
こういったオフショアそのものの魅力に加えて、「正統派な時計」のみならず「個性的な時計」に市民権を与える時代へとシフトしていき、オフショアの存在でオーデマピゲに新たな購入層を引き入れることとなりました。
ちなみにオフショアの方がロイヤルオークに比べて定価が高く、ハイエンドという位置づけです。
詳細は後述しますがその相場が現在は逆転しつつあるのですが、オフショアも熱狂的ファン多し。
オフショアの中にもプレミアモデルが存在しており、その人気のほどが伺えます。
「ロイヤルオーク」と「オフショア」のディテールの違いで選ぶ
見た目が大きく違うロイヤルオークとオフショアですが、画像を使ってディテールを比較していきます。
①ケースの違い
ロイヤルオークと、オフショアクロノグラフには、ケースに明確な違いがあります。
左から 15400ST / 26470ST
写真左のロイヤルオーク”15400ST”のケースサイズは41mmですが、写真右のオフショアクロノグラフ”26470ST”は42mmです。
大きさは同じくらいですが、オフショアはケース径よりもダイナミックに見えます。
理由としてはオフショアは定番モデルよりも文字盤が小さくベゼルが大きいからです。
加えて角ばったリューズガードと大型リューズもオフショアの力強さをより一層強めています。
横から見るとオフショアの力強いデザインがわかりやすいです。15400STの厚みが9.8mmなのに対して、26470STの厚みは14.55mm。ほぼ1.5倍の厚みとなっています。
また、オフショアの特徴として「ベゼルの幅が太く、厚みも太い」という点が挙げられます。
ケースバックを見てもロイヤルオークとオフショア クロノグラフのデザイン性は大きく異なります。ロイヤルオークでは普通の八角形の形をした裏蓋でしたが、オフショアクロノグラフでは八角形の裏蓋に溝ができていて、”ROYAL OAK OFFSHORE”と彫られているのが特徴です。
②タペストリー装飾の違い
オフショアクロノグラフの文字盤は複数の種類があるため、単純にロイヤルオークとオフショアクロノグラフとでは比較ができません。
ただ、「タペストリー装飾」に関しては、明確な違いがあります。
タペストリー装飾はロイヤルオークの象徴ともいえる文字盤装飾ですが、オフショアクロノグラフではタペストリーに配さた正方形をビックサイズにした「メガタペストリー」が配されています。
ロイヤルオークの定番モデルは上の写真のような細かな正方形を敷き詰めたタペストリー装飾です。
この装飾は”ラモレイヤージュ”と呼ばれる技巧に基づき、伝統的な機械を使って施されます。
この技巧によって作り出される均一で美しい「正方形の区切り」は上品な光の反射を演出し、ロイヤルオークの文字盤に輝きを与えます。
一方、オフショアでは正方形がダイナミックな大きさになっており、存在感が非常に強いです。
サイズアップした凸部分には「細かな網目模様」、凹部分には「点状の装飾」が見受けられ、オーデマピゲの高い技術力と拘りを垣間見る事ができます。
③ブレスレット
ロイヤルオークは革ベルトモデルもありますが、メタルブレスレットが主流です。
先ほどロイヤルオークの解説でも言及しましたが、コマが段階で分かれることによって細かな調整が可能となり、結果としてユーザーにとって心地よい装着感を実現しました。
ちなみにコマ表面にもケース同様エッジが立っているので、遠目から見てもかなりカッコイイ印象です。
一方のオフショアは、やはり革ベルトタイプもありますが、ラバーベルトが主流です。
ラバーベルトはウブロなどが積極的に使用することで高級時計という分野にも浸透していきましたが、世界の高級時計御三家に入るオーデマピゲがやってのける、というのは、かなりアヴァンギャルドな挑戦でした。
とは言えオフショアのコンセプトはよりアクティブに、よりスポーティーに、です。
そのため、オーデマピゲにとっては、ラバーベルトという選択は必然だったのでしょう。
またラバーそのものや革ベルトのステッチなどをカラフルにして、遊び心を全面に押し出しているのもオフショアの特徴です。
ロイヤルオークのシリーズで選ぶならこれ!
ロイヤルオークは大きく分けると、以下の7シリーズとなります。
- 基幹モデルにあたるオートマティックの3針+デイト
- クロノグラフ
- エクストラシン
- コンプリケーション(コンプリカシオン)
- オープンワーク
- フロステッドゴールド
- クォーツ
※ショップ限定モデルを除く
メンズで代表的なものをご紹介いたします。
①ロイヤルオークの基幹モデル
自動巻きムーブメントを搭載した、3針+デイトのみのシンプルなロイヤルオークが、基幹モデルとなります。
初代意匠とパッと見は大きく変わりませんね。
とは言えこの中でも素材、文字盤カラーにバリエーションがありますが、基本は現行の15400ST、2019年に新作として追加された15500ST、そして一世代前の15300STです。
ロイヤルオーク 15400ST
型番:15400ST
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径 44.0mm
文字盤:ブラック・シルバー・グレー・ブルー
駆動方式:自動巻き(Cal.3120)
ロイヤルオークの基幹モデルであり、最も有名なオーデマピゲウォッチと言えばコレ!あまりにも有名なモデルなため、俳優の三浦翔平さんやピースの綾部さんなど芸能人の所有者も目立ちます。
発表から7年経過するのにずっと人気のモデルで、ずっと品薄。
正規店では予約すら受け付けておらず(昔は行っていたが、現在はスポーツ系は全て予約不可)、並行店でもなかなか流通しません。ロレックスのデイトナやパテックフィリップのノーチラスと並んで「欲しい。でも手に入れられない」時計の代表格です。
後述する15500STが2019年に新作として登場しましたが、現在は併売されている状態となり、ディスコンでないことに胸をなでおろしたファンもいらっしゃるでしょう。
初代から続いてきた39mmケースを初めてアップサイジングしたモデルで、41mmとやや大きめ。
しかしながら厚みは10mm以下という超薄型ですので、非常にドレッシーな印象が強くなりますね。
搭載するムーブメントは長らくオーデマピゲのあらゆるモデルで活躍してきた名機Cal.3120。
3120が登場したのは2003年なのですが、当時から60時間におよぶロングパワーリザーブや操作性の高さなどには驚きを禁じえません。
ジャガールクルト社製ムーブメントがベースになっているのですが、10年以上経っても色褪せない魅力があります。
また、22金という極めて純度の高いゴールド製ローターは、オーデマとピゲの紋章がエングレービングされており、とても基幹ムーブメントと思えないほどコストがかかっていることがわかります。
現在このロイヤルオークは非常に相場を上げており、色によって上下はありますが、500万円~。特にブティック限定の青文字盤(15400ST.OO.1220ST.03)の価格高騰が凄まじく、700万円近い相場になっています(しかもまだ上がっている)。
中古でも定価を割ることはめったになく、本当に勢いを感じるモデルです。
価格が上がりすぎると普通は売れなくなりますが、なおロイヤルオークは入荷するとすぐに売れてしまい、15500STの存在でいつ生産終了するともわからない今、欲しい方は見つけた時に即買った方が良いでしょう。
ロイヤルオーク 15400OR / 15400SR
ちなみにオール金無垢モデルやコンビモデルも高い人気を誇ります。
オーデマピゲが誇る上質かつ純度の高いゴールド(18金)が使われていますので価格自体は高くなりますが、こちらは定価超えはしておらず、革ベルトタイプのシルバー文字盤などはまだ370万円台~とお得感が強いので、SSモデルの相場につられてさらに値上がりする前に買っておくべき・・・なんて声も聴かれます。
ロイヤルオーク 15450SR
15450SR.OO.1256SR.01は、2016年にリリースされたロイヤルオークの37mmモデルです。特徴的な八角形ベゼルや「グランド・タペストリー」文字盤を備え、18Kピンクゴールドとステンレススチールの組み合わせがエレガントな印象を与えます。
50m防水と普段使いに適した仕様に加え、自社製ムーブメントCal.3120を搭載。60時間のパワーリザーブや美しいシースルーバックも魅力です。実用性とラグジュアリーが見事に融合した、時計愛好家に理想的なモデルです。
ロイヤルオーク 15500ST
型番:15500ST
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径41mm×厚さ約10.4mm
文字盤:ブラック・グレー・ブルー
駆動方式:自動巻き(Cal.4302)
こちらが2019年SIHHで発表された、15400STの後継機に当たる15500STです。
パッと見の違いはほとんどありません。
日付の位置が変わったとか、インデックスが太く短くなったとか、文字盤のAUTOMATIC表記がなくなったとか、その程度です(シルバー文字盤がなくなったのは大きいかもしれませんが)。
しかしながらムーブメントが違います。
搭載されるCal.4302は、オーデマピゲが「開発に5年の歳月をかけた」と言う次世代型ムーブメントです。
2019年に「CODE11.59」という新コレクションが発表されているのですが、そこで使われたCal.4302がそのままロイヤルオークにスライドした形です。
Cal.3120は21,600振動/時(6振動/秒)の比較的ロービートですが、Cal.4302では28,800振動/時(8振動/秒)のハイビートに。
この振動はテンプの振動数を指しますが、高ければ高いほど時計の精度は高まります。
でも、耐久性は低くなります。
高振動によってパーツ同士の摩耗が激しくなるためです。
ハイビートを採用するブランドはそう多くはなく、ゼニスやグランドセイコーなど、一部に留まります。
オーデマピゲはこの度、そのハイビートに踏み込みました。
ちなみに気をつけてほしいのが、ロービートのCal.3120の精度が悪いかと言うとそうではありません。
高度な技術力できちんと調整されています(ジャイロマックステンプあるいはフリースプラグと呼ばれる機構による)。
長年名機であり続ける機能性は伊達ではありませんね。
ただ、パワーリザーブもさらに10時間延長されていることを見ると、今後はCal.4302をメイン機械にしていくのでしょう。
まだ今年出たばかりなので15500STは十分に出回っていませんが、相場は15400STと同等ほど。
当店でも何本か入荷しましたが、すぐに売り切れてしまいました。
外装がほとんど変わっていないので、ともにオーデマピゲ人気を牽引していくのでしょう。
なお、入荷前は15400STと比べて若干厚みがあるのが相場に影響するかと思っていましたが、実機を触ってみるとその違いはほとんど気づかない程度でした。
さらに流通してきたら、また相場が変わるかもしれませんね。要注目のロイヤルオークです。
ロイヤルオーク 15300ST
型番:15300ST
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径39mm×厚さ約9.4mm
文字盤:ブラック・ホワイト・ブルー
駆動方式:自動巻き(Cal.3120)
2005年に誕生したロイヤルオークの定番モデルです。
既に生産終了してから年月が経っていますが比較的流通しており、中古市場で根強い人気を誇ります。
やはり昔ながらの39mmケースでなくては、という方が多いことも関係しているでしょう。
事実、最近ではデカ厚ブームから小径ケースへとトレンドがシフトしつつあるので、あるいはさらに人気が沸騰するかもしれません。
年々市場価格を上げており、状態の良い個体は15400STに肉薄する相場となっています。
スペック自体は15400STと大きく変わらないので、通好みにはこちらをお勧めしております。
②ロイヤルオーク クロノグラフ
クロノグラフは近年非常に人気の高い機能ですが、やはりロイヤルオークにもその図式が当てはまります。
とりわけ2008年以降のモデルはベースカラーとインダイアルカラーを変えてパンダ顔にすることで、ロイヤルオークにまたひとしおのかっこよさが加わりました。
さらに現行では41mmサイズが展開されていましたが、2019年に入って38mmサイズがコレクションに追加。
生産終了した39mmモデルは「使いやすいクロノグラフ」として非常に高い人気を誇っていましたが、またこの人気を加速しそうです。
ロイヤルオーク クロノグラフ 26331ST
型番:26331ST
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径41mm×厚さ11mm
文字盤:ブラック・シルバー・ブルー
駆動方式:自動巻き(Cal.2385)
こちらが現行を代表するロイヤルオーク クロノグラフです。
もともと同サイズ・同ムーブメントで26320STが存在していましたが、2017年にマイナーチェンジされ、パンダで生まれ変わりました。
ちなみにベーストーンよりインダイアルカラーの方が濃い個体をパンダ、インダイアルの方がトーンが薄くなる個体を逆パンダと呼びます。
ロレックスのデイトナやタグホイヤーのオータヴィア、ブルガリのディアゴノなど、パンダ顔の人気は多くの時計専門家が墨をつけるところです。
実際、単調になりがちなフェイスにパンダ顔でメリハリが効くことで、スタイリッシュに生まれ変わります。
ちなみにタレントの稲垣吾郎さんは、前世代の26320STを愛用しているようです。
搭載するムーブメントはCal.2385。こちらも長年オーデマピゲの基幹クロノグラフとして、様々なモデルで活躍してきました。
26331STの新品並行相場は700万円~。その人気のほどが伺えるかとおもいます。
さらに言うとやはりクロノグラフもまた青文字盤が人気で、こちらに至っては既に800万円前後の価格となっております。
ロイヤルオーク クロノグラフ 26331OR
なお、ロイヤルオーク クロノグラフは、ハイエンドにあたるゴールドモデルもステンレススティールと並ぶ人気、という異色のシリーズでもあります。
普通は、安価で使いやすいSSモデルの方に需要が傾き、その売上差は歴然となります。
しかしながらそこはラグジュアリーブランド・ロイヤルオーク。
「成功者が身に着ける」「経営者が愛する」などとも言われているため、購入層がそもそもハイエンドを求めているのでしょう。
ピンクゴールドモデルも同様に人気があります。
ゴールドのモデルはインダイアルもゴールドが使われており、遠目から見ても金の美しさを味わえることが特徴的。
ただ、お値段は高く、中古×革ベルトであっても1045万円前後~。メタルブレスレットともなると1344万円する個体もありますが、男心をくすぐって止みません。
ロイヤルオーク クロノグラフ 26315ST
型番:26315ST
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径38mm×厚さ11mm
文字盤:シルバー・グレー
駆動方式:自動巻き(Cal.2385)
2019年にコレクションに追加された38mmサイズ。
ムーブメントは同一ですので、スペックは26331と変わりません。
しかしながら昔ながらのオーデマピゲファンいとっては、「小径ケースが戻ってきた」といった喜びもひとしおでしょう。
文字盤バリエーションがやや変わり、シルバー×ブルーのパンダと、グレーの二色がSSモデルでは追加されることとなりました。
画像引用:Audemars Piguet
ファーストロットで何本生産されたかは定かではありませんが、まだ日本国内はあまり流通していません。一部店舗にのみ留まっています。
しかしながら前述の通り、現在は小径ケースが流行っています。そのため人気は必至。私も早く実機が見たくてたまりません。
画像引用:Audemars Piguet
ちなみに26315にもピンクゴールドモデルが追加されました。
デザイン自体は26331ORと大きく変わりませんが、やはりこちらも38mmというサイズ感が効いて、ファンを増やしそうです。
③ロイヤルオーク ジャンボ エクストラシン
画像引用:Audemars Piguet
ロイヤルオーク 15400STもなかなかのプレミア価格を記録していますが、さらにその上をいくモデルがあるとしたら―?
それが、こちらのエクストラシンです。
2012年、ロイヤルオーク誕生40周年を記念してブティック限定で発売されたアニバーサリーモデルですが、本数限定ではありません。
それにもかかわらずなかなか市場に出回らず、しっかりカタログに名を連ねてはいるものの、いつ何本製造されているのか・・・誰にもわからない、ファン泣かせの一本となります。
誕生40周年と言う節目に出された当モデルは、初代5402STをリバイバルする、というコンセプトのもと生み出されました。
実際には1990年代に製造されていた同サイズのロイヤルオークを踏襲しているようですが、初代と同様にCal.2121が搭載されています。
なぜ「ジャンボ」と付いているかと言うと、ロイヤルオークが誕生した当初は異例の大きさで、ジャンボの愛称で親しまれたことに由来します。
画像引用:Audemars Piguet
この初代意匠を復刻、というのもエクストラシンを高名たらしめる要素ですが、さらに特筆すべきはその薄さにあります。
3針+デイト表示と15400STなどと同機構であるにもかかわらず、厚さはわずか8.1mm。
時計ファンから熱視線を送られる大きな要素となっています。
2012年に発表されたSSモデルのあまりの人気が功を奏してか、2018年にチタンモデルとホワイトゴールドモデルが新たにローンチされましたが、こちらも市場で全く姿を見かけないレアモデルに。
このレア度がさらに注目を集め、レアになる・・・というスパイラルを描いています。
ロイヤルオーク エクストラシン 復刻40周年記念モデル 15202ST.OO.1240ST.01
型番:15202ST.OO.1240ST.01
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径39mm×厚さ8.1mm
文字盤:ブルー
駆動方式:自動巻き(Cal.2121)
こちらが2012年に発表されて以来、ずっとレアモデルとして澤が割れているジャンボ エクストラシンです。
現在の新品並行相場は900万円前後。
ステンレススティールであるにもかかわらずこの値段は、いかにこのモデルが人気かおわかりいただけるでしょう。
ちなみにまだまだ上がる気配を見せている、という意見もあります。実際、ここ2年ほどで400万円近く相場高騰しています。
ロイヤルオーク エクストラシン 15202IP.OO.1240IP.01
画像引用:Audemars Piguet
ケースサイズ:直径39mm×厚さ8.1mm
素材:チタン
文字盤:青
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.2121/パワーリザーブ約40時間
防水性:50m
定価:4,015,000円
製造期間:2018年~
2018年に追加されたチタンモデルのエクストラシンです。
ただ、こちらは250本の限定生産であったこともあり、ほとんど市場に流通していません。
SSモデルよりもやや深みのあるブルーが美しいと話題で、レギュラーで生産されないかな・・・と思っているファンも多いでしょう。
ロイヤルオーク オフショアのシリーズで選ぶならこれ!
次に、ロイヤルオーク オフショアの代表モデルをご紹介いたします。
オフショアは前述の通り、「クロノグラフ」「ダイバー」を二本柱に展開しており、さらにそのハイエンドにコンプリカシオンがラインナップされている、という様相です。
しかしながら素材・カラーでバリエーションが本当に多く、どれがなんだかわからない、と言ったお声をいただくこともあります。
そこで、それぞれの魅力と、人気モデルについてご紹介いたします。
①ロイヤルオーク オフショア クロノグラフ
1993年、若手デザイナーであったエマニュエル・ギュエ氏が生み出した初代オフショアは、クロノグラフモデルでした。
ロイヤルオークにクロノグラフが追加されたのは1997年ですから、オフショアクロノの方が先輩となります。
しかしながら初代ロイヤルオークと同じように、オフショアは誰もが売れないと考えていました。
実際あまり受け入れられなかった、と言います。
ちなみに2019年に出たCODE11.59も賛否両論が取り巻いており、ある業界人は「誰に向けて作ったんだろう」(ターゲットがハッキリしない)と語っていました。
奇抜すぎるモノを生み出し、後から消費者に納得させる―むしろファンにさせる、というのは、オーデマピゲのお家柄なのかもしれません。
さて、そんな前途多難もあったロイヤルオーク オフショア。ロイヤルオークが定着しつつあった時だからこそ、批判の方が大きかったとも言います。
確かにロイヤルオークの全てがアップサイジングされている様は、まだデカ厚ブームが到来していなかった時計界においては、奇異に見えたことでしょう。
42mmというサイズ(当時はロイヤルオークは39mmサイズのみ)、ベゼルも、ケースも、ブレスレットもとても肉厚になり、しかもそこにクロノグラフが付いている。スッキリしたロイヤルオークとは対照的でした。
しかしながらデカ厚ブームによって人気モデルにシフトしたことはご存知の通りです。
実際、クロノグラフと言うとゴチャゴチャした印象が強くなりますが、ビッグサイズのタペストリーが施された文字盤にインダイアルが端正にセッティングされており、パワフルなものの武骨さは全くありません。
このオフショア クロノグラフは、2017年にモデルチェンジされます。
モデルにもよりますが、シースルーバックが採用されるようになりました。
また、プッシャーがラバーコーティングからセラミックへと変更に。
ラバーは「擦れる」という悩みがありましたが、セラミックを採用することで見事克服するに至りました。
その他にもタペストリーやインデックスの仕様が若干変わっているのですが、多くは実用面でのスペックアップが主流となります。
ラグジュアリーブランドの中には、実用面が二の次になっているところも稀に見られます。
しかしながら144年の歴史の中で、高い時計製造技術を培ってきたオーデマピゲ。時計そのものの質を高める、という理念に死角はありません。
なお、オフショアはハイエンドとなるため、定価自体がロイヤルオークに比べて数十万円~高くなります。
しかしながらまだ相場を上げ切っていないモデルも少なくなく、お得感の強いモデルを選ぶのも一つの手です。
そんな中で人気があり、かつお勧めのオフショア クロノグラフをご紹介いたします。
ロイヤルオーク オフショア クロノグラフ 26470ST
型番:26470ST
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径42mm×厚さ14.21mm
文字盤:グレー・アイボリー・ブラックなど(現行はブルー・ブラック・ブラウン)
駆動方式:自動巻き(Cal.3126/3840)
2017年にモデルチェンジしたオフショア クロノグラフで、現在オフショアの中で基幹モデルの立ち位置になるのがこちらです。
現行だけだと三色ですが、二年の間に非常に多彩なカラーリングのモデルがラインナップされていることも特徴で、明るいブルー、アイボリー、グレーなど、かなり違った面のオーデマピゲを楽しむことができるでしょう。
ちなみにオフショアはラバーベルトが主流と書きましたが、26470系は革ベルトも大変よくマッチします。
直径42mm×厚さ14.21mmというケースサイズで、ロイヤルオークに比べるとかなり大振りに感じられるかもしれませんが、それこそがオフショアの魅力。
むしろ、クロノグラフも付いていて、このボリューム感がたまりません。
一方で実機を手に取ってみるとわかるのですが、ロイヤルオークと同じように丁寧な仕上げが施されているため、画像で見るよりスタイリッシュな印象が強くなります。
ぜひ一度、試着してみてほしい一本です。
定価は高いものの、相場はまだ上げきっておらず、だいたい400万円前後が新品並行品の価格帯となります(モデルによる)。
15400STの青文字盤が400万円超えしている事態を見ると、そのお手頃感がおわかりいただけるでしょう。
とは言えオフショアの方が人気がない、というわけではなく、派生モデルが多いので需要が分散しやすいことが相場をあげきらない要因と考えられます。
また、中古だとさらにお得に手に入れることができ、個体やモデルにもよりますが300万円をきるものもあります。
ロイヤルオーク 26470OR
ちなみにピンクゴールドモデルもステキです。
ロイヤルオーク オフショア クロノグラフ 26401RO
型番:26401RO
素材:ピンクゴールド×セラミック
ケースサイズ:直径44mm×厚さ14.4mm
文字盤:ブラック・ブラウン
駆動方式:自動巻き(Cal.3126/3840)
アップサイジングして44mmにしたオフショア クロノグラフです。
オーデマピゲでなくとも、かなり大きいケースであることがおわかりいただけるでしょう。
厚さもガッシリしており、ともすれば着ける人を選ぶとも言われるデカ厚の象徴のような存在。
それにもかかわらず、ずっとオフショアの中でナンバーワン人気を誇ります。
42mmサイズよりも人気がある、ということです。
しかも、過去チタンモデルが輩出されていますが、それを抑えてピンクゴールドの方が人気が高くなる稀有な存在でもあります。
画像引用:Audemars Piguet
オール金無垢ではなく、ベゼルにセラミックを使っていることもミソ。金はやわらかいためどうしても傷つきやすくなります。ベゼルであればなおさらですね。
そこでセラミックを上手にあしらうことで実用面の向上を図るだけでなく、デザインにメリハリを加えることに成功しました。
裏蓋から覗くローターも黒く仕上げられているという細かい芸もポイントです。
オフショアのダイナミックさを、高級時計として上手に昇華している一本と言えるでしょう。
新品並行相場は700万円前後。
ロイヤルオーク オフショア クロノグラフ 26400IO
型番:26400IO
素材:チタン×セラミック
ケースサイズ:直径44mm×厚さ14.4mm
文字盤:グレー
駆動方式:自動巻き(Cal.3126/3840)
44mmサイズの、チタン素材を使ったロイヤルオーク オフショアクロノグラフです。
ステンレススティールやゴールドを使った26400系のロイヤルオークはもともとありましたが、チタンモデルは2017年にコレクションに追加されました。
ロイヤルオーク オフショアらしく、これだけダイナミックであるにもかかわらず、軽量なチタンを使うことで重量はわずか150gほど。
グレーの文字盤もシックで、発表するやいなやオフショア人気を一気に押し上げることとなりました。
新品並行相場は500万円前後~。チタンはステンレスよりも高額になるためその分相場も上がりがちですが、お値段以上の価値ある一本と話題です。
ロイヤルオーク 26400SO/26400AU
ちなみにステンレスやカーボンモデルもラインナップされており、同様に人気です。
②ロイヤルオーク オフショア ダイバー
画像引用:Audemars Piguet
クロノグラフと並んでロイヤルオーク オフショアの双璧を成すのが、ダイバーです。
2010年にコレクションに追加されるやいなや、瞬く間に人気を博すこととなりました(限定モデルとしては2007年~)。
ダイバーズウォッチとは、ご存知ダイビングに特化したプロフェッショナルウォッチ。高い防水性・気密性でもって、深海の圧にも負けない堅牢性を所持する、正真正銘の「強い」時計です。
実際にダイビングでダイバーズウォッチを使う、という方はそう多くはないかもしれません。
しかしながらこの「デザイン」が好き、という方が非常に多く、加えて日常でもアウトドアシーンでもガンガン使える利便性から、今や時計の一大分野として多くのブランドがラインナップに加えるようになっています。
そうなってくると、「ただダイバーズウォッチにデザインを似せて、防水性はそこまで高くない」という製品も出てきます。
それはそれで悪くありません。
あくまでコンセプトの一環としてリリースしているためです。
特に高級時計だと、実際にダイビング中やウォーターアクティビティに使用するのは勇気がいるため、デザインだけで十分、というニーズは少なくありません。
しかしながらオーデマピゲは違います。オフショアダイバーにおいては、全てのモデルが300mと言う防水性を備えています。
つまり、ダイビングが可能です。
もちろん深海で時刻確認ができるよう、インデックスと針に夜光塗料が塗布されています。
正直、この事実だけで驚きです。普通、オーデマピゲクラスのラグジュアリーブランドとなると、そう高い防水性を持たせることはなかなかありません。どうしても厚みが出てしまったり、ブランドコンセプトと乖離してしまったりするためです。
しかしながらラグジュアリーブランドとしてスポーツウォッチを生み出し、次いでオフショアで一世を風靡してきたオーデマピゲ。
その辺にもまた死角はなく、オフショアのダイナミックなケースを活かして至高のダイバーズウォッチを生み出すことを実現しました。
画像引用:Audemars Piguet
もちろん外装はまごうことなきラグジュアリーウォッチです。
ロイヤルオーク同様、エッジの効いたケースにサテンとポリッシュ仕上げが巧みに共存しており、クラス感は最高レベル。
ロイヤルオークユーザーから、よく「光の下で見るとより目立つ」という声をいただきますが、そんなラグジュアリーな存在感は完成された仕上げによる仕事でしょう。
当然ながらムーブメントも超一流で、300m防水にもかかわらずシースルーバックが採用された裏蓋からは見事な意匠を鑑賞することができます。
画像引用:Audemars Piguet
ちなみにロイヤルオークらしい外観を強調するためか、オフショア ダイバーにアウターベゼルは備わっていません。
ダイビングタイムを計測する回転ベゼルは、インナーに取り付けられ、10時位置のねじ込み式リューズで操作が可能です。
オフショアダイバーはクロノグラフ以上にファンキーカラーやデザインの遊び心を取り入れたモデルも多く、好きな一本を選べるバリエーションも嬉しいところ。
ラインナップは42mmまたは37mm、基本の3針+デイトモデルの他、クロノグラフ搭載機や、ダイヤモンドをセッティングしたゴージャスなモデルも存在します。
なお、前述の通りオフショアはハイエンドです。そのためクロノグラフよりかは低価格ですが、定価は220万円~。
どのメディアも「ダイビングウォッチとしては高価」と言っているのを目にします。確かにそれは間違いではありません。
でも、そのダイビングウォッチが、海から上がってそのまま高級ディナーを食べにいける風格を備えているとしたら―?ここぞと言うときのビジネスシーンで真価を発揮するとしたら―?
そんな側面が受けてか、オフショアダイバーはきわめて高い需要を誇っており、多くのモデルの新品並行相場が定価超えを果たしています。
中古だと若干価格を抑えることが可能ですが、それでも270万円前後は見た方がいいでしょう。
ロイヤルオークに肉薄するような人気で、正規店でもなかなか姿をみかけなくなってきました。
そんなオフショア ダイバーの人気モデルをご紹介いたします。
ロイヤルオーク オフショア ダイバー 15710ST.OO.A002CA.02
型番:15710ST.OO.A002CA.02
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径42mm×厚さ14.1mm
文字盤:シルバー
駆動方式:自動巻き(Cal.3120)
2015年からオフショア ダイバーでもシースルーバックが採用されるようになりましたが、その一号機にあたるのがこちらのモデルです。現在では生産終了していますが比較的流通量が豊富で、中古市場で根強い人気があります。
ステンレススティール製ケースにシルバー文字盤、ブラックラバーベルトと、多彩なカラーリングモデルが多いオフショアダイバーの中ではシンプルラインですが、それが逆に使いやすい・あるいはロイヤルオークらしいクラス感を楽しめる、と言った層から高い需要を誇っているのでしょう。
実際、スーツの袖口にもすんなり馴染むエレガンスは、大切なビジネスシーンでユーザーをワンランク押し上げてくれるでしょう。
相場は状態にもよりますが、500万円前後~。
ロイヤルオーク 15710ST
なお、2017年にリリースされた同スペックの白やファンキーカラーモデルも大変高い人気を誇ります。
こちらはまだラインナップされており、定価209万円/新品並行相場350万円前後。
ロイヤルオーク オフショアダイバー 26703ST.OO.A070CA.01
型番:26703ST.OO.A070CA.01
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径42mm×厚さ14.1mm
文字盤:オレンジ
駆動方式:自動巻き(Cal.3124/3841)
クロノグラフを搭載したオフショア ダイバーです。
奥行きのある文字盤はベースオレンジにブラックがアクセントカラーとしてあしらわれており、高級感のみならず個性を獲得した一本です。
ちなみに同年にグリーン、ブルー、イエローの他3種もラインナップされており、コレクターズアイテムとしても注目度の高い逸品。
既に生産終了しているので欲しい時にすぐ見つかるモデルではありませんが、見つけたら買いの一本ですよ!
ロイヤルオーク オフショア ダイバー 15703ST.OO.A002CA.01
型番:15703ST.OO.A002CA.01
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径42mm×厚さ14.1mm
文字盤:ブラック
駆動方式:自動巻き(Cal.3120)
一世代前のオフショア ダイバーも、実は根強い人気があります。
スペック自体は大きくは変わりませんが、裏蓋がソリッド式になっており、より堅牢性が高いイメージですね。
さらに一世代前のモデルが人気の理由。それは、現行に比べるとリーズナブルであること!
現在ロイヤルオーク人気が爆発している状態で、相場もそれに伴いぐんぐん上がっています。しかしながら一昔前のモデルに目を向けてみると、意外とリーズナブルなものも。
こちらの15703STも、状態や付属品の有無にもよりますが、だいたい160万円前後~の価格帯で流通しています。
オフショア ダイバーは堅牢なため経年による劣化が少ない時計でもあるので、中古から状態の良い一本を買う、というのアリですよ!
ロイヤルオークとオフショアどちらを買うべきか?
これまでオーデマピゲのロイヤルオークとロイヤルオーク オフショア、それぞれに分けて代表シリーズや人気モデル、そしてそれぞれの魅力を解説してきました。
では、このどちらを買うべきなのでしょうか。
人気という側面では、ロイヤルオークの方に軍配が上がります。むしろ、オフショア人気すら引っ張っていっている感があります。
オーデマピゲ=ロイヤルオーク感が強いこと、加えてロイヤルオークがあまりにも完成されており、世界中のファンを増やし続けていることが何より大きいでしょう(オフショアも、もちろん完成されているが、デカ厚は人を選ぶことがある)。
オーデマピゲの年間製造本数は40,000本ほどと言われています。その中でさらにロイヤルオークに絞ると、生産量はそう多くはありません。
つまり、増え続ける中国やインドといった大国の需要をまかなうのに、全く供給が追い付いていないことを意味します。
そんな品薄がロイヤルオークのプレミア感を押し上げ、さらに人気が高まる・・・何度か言及しているように、このような図式を描いている状態ですが、それもこれもロイヤルオークが万人受けする魅力を有しているためと言えます。
一方でこの人気のせいで、ロイヤルオークが手に入りづらく、これもまた本稿で何度か述べているように、ハイエンドであるはずのオフショアの方がお得に買える、という現象も起きています。
オーデマピゲは、もともと正規価格と並行輸入店での価格差が大きいブランドでもありますので、なおさらオフショアのお得感は強いと言えます。もっとも、オフショア自体もジワジワ相場が上がっており、だんだんとロイヤルオークのようなプレミア相場を築きつつありますが・・・
リセールバリューの観点から見るとロイヤルオークの方が相場と合わせて上ですが、オフショアも非常に高い資産価値を有しており、多くの時計店で積極的に高額買取を行っています。
オフショアは堅牢な設計となっていること。
また、カーボンなど傷がつきづらい・目立ちづらい素材を使ったモデルが多いことなどから、オフショアの方が経年による使用感や劣化が目立ちづらい、と語る業界人もいます。
ロイヤルオークの仕上げやエッジは、どうしても強い衝撃が加わると目立つ傷になってしまい、リセール時の妨げになる可能性があります。
こう考えると、やはり最後は「好み」「欲しいもの」で選ぶのが一番ではないでしょうか。
デザインや、試着してみた感じでこれだ!と思うものをご購入ください。
まとめ
オーデマピゲが誇るロイヤルオーク、そしてロイヤルオーク オフショアについて徹底解説いたしました!
ロイヤルオークは初の高級スポーツウォッチとして、時計業界に大きな衝撃を与えたこと。
続くオフショアでは、賛否両論ありながらも見事市民権を獲得し、現在ではロイヤルオークに肉薄する需要を誇っていること。
どちらもオーデマピゲが長い歴史の中で培ってきた、至高の時計製造技術があますことなく使われていることをご理解いただけたでしょうか。
スポーツウォッチの最高峰を、ぜひ一張羅のスーツやパーティースタイル、あるいはジャケパンなどのカジュアルファッションに合わせて、町に繰り出しましょう!
当記事の監修者
新美貴之(にいみ たかゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 店舗営業部 部長
1975年生まれ 愛知県出身。
大学卒業後、時計専門店に入社。ロレックス専門店にて販売、仕入れに携わる。 その後、並行輸入商品の幅広い商品の取り扱いや正規代理店での責任者経験。
時計業界歴24年