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バーゼルワールド2019新作!ロレックス ヨットマスター42 226659を徹底解説!
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バーゼルワールド2019で最も注目された新作はどれでしょうか?
ロレックスのGMTマスターII?パテックフィリップの新型カラトラバ?グランドセイコーのスプリングドライブ20周年記念モデル?
いずれも希代の名作であることに変わりはありません。
でも、バーゼルワールド2019で現地リポートを行った弊社スタッフが「最も記憶に残った」と語るのは、今回ご紹介する新型ヨットマスターでした。
ヨットマスターはスポーツロレックスのハイエンドラインとなります。
もともとエレガントでデザイン性の高い一大シリーズですが、2019年の新作は一味も二味も違います。
この記事では、バーゼルワールド2019で登場した新作ヨットマスター42 226659について徹底解説いたします!
出展:https://www.rolex.com/ja
目次
バーゼルワールド2019 新作ヨットマスター42 226659 スペック
まず初めに、新型ヨットマスターのスペックをご紹介いたします。
型番:226659
モデル:ヨットマスター42
素材:ホワイトゴールド
文字盤:黒
ケースサイズ:42mm
ムーブメント:キャリバー3235
パワーリザーブ:約70時間
防水性:100m
ヨットマスターは、ロレックスのマリン系モデルです。
「マリン」と言っても、サブマリーナやシードゥエラーなどのようなダイバーズウォッチではありません。
ヨットクルージングなど遊び心溢れるマリンスポーツを楽しむ「セレブリティ」をターゲットに開発された、ハイエンドラインとなります。
ヨットマスターにはヨットマスターIとヨットマスターIIがあり、Iが3針+デイト表示のみのシンプルタイプ。IIがレガッタクロノグラフを搭載した、ヨットレース向けのコンプリケーションとなります。
バーゼルワールド2019で新作が出たのはヨットマスターIから。
従来はロレジウム(SS×プラチナ)、エバーロレゾール(SS×エバーローズゴールド)、エバーローズゴールド製の、ケースサイズ37mmおよび40mmがラインナップされてきました。
この度は、ホワイトゴールド製ケース、そして42mmにアップサイジングされた新型226659が誕生した運びとなりますが、これがまた男心をくすぐる銘品なのです!
詳細を次項よりご紹介いたします。
バーゼルワールド2019 新作ヨットマスター42 226659の特徴
新作ヨットマスターの特徴を端的に挙げるとすれば、「完成された外装」「ロレックス独自のオイスターフレックス」です。
それぞれをご紹介いたします。
特徴①完成された外装
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新作ヨットマスター42 226659は、バーゼルワールド開催の数日前から公式HPの前宣伝として、シークレッド動画が流れていました。
そのチラ見せからはサブマリーナかな?と思いましたが、まさかヨットマスターだったとは・・・
その全容が公開されて、改めて驚かされました。
これまでよりケースサイズが42mmにアップサイジングされたこと。
もちろんこれも結構驚きました。サブマリーナですとか、エクスプローラーIですとか、ロレックスのシンプルモデルには40mmサイズが多いのに思い切ったな、と。40mm以下の小径ケースが流行っている現在ではなおさら驚きの変化です。
加えてホワイトゴールドケースを追加したこと、そして艶を消したマットなブラックセラミックベゼルを採用していることで、これまでのどのヨットマスターとも異なった表情を見せてくれています。
前述したように、ヨットマスターはハイエンドラインなので、SSモデルはありません。
そしてロレジウムという、ステンレススティール×プラチナのコンビを指すロレックスの造語がありますが、このロレジウムがヨットマスターでは一番人気となります。
特にダークロジウム文字盤のRef.116622は常時品薄。
ちなみに少しややこしいですが、ダークロジウムは「ロジウム」という白金族系の貴金属をロレックス独自の合金で暗めカラーに仕上げたものです。
※ロレジウムヨットマスター40 116655 ダークロジウム文字盤
そのため、当初は新作はロレジウムなのかな?と思いましたがホワイトゴールド。
しかも、近年スポーツロレックスを中心に搭載されているセラクロムベゼルやこれまでヨットマスターに多く採用されてきた貴金属性ベゼルではなく、マットなブラックセラミックベゼルです。
この良い意味で肩透かしを食わされた感がたまりません。
このマッチングによって、これまでラグジュアリーに寄りがちだったヨットマスターに、いっきに精悍さが加わりました。
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ちなみに2015年に発売されたエバーローズゴールド製の116655でも同様の意匠がなされましたが、ローズゴールドは華やか、ホワイトゴールドはエレガント、といったように上手にすみ分けされています。
新作ヨットマスター42に派手さはありません。
でも、オーソドックスなデザインだから光るエレガンス、そして他とは一線を画す「粋」が感じられ、本当に完成された一本として仕上がりました。
特徴②オイスターフレックス
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2015年、先ほどご紹介したヨットマスター 116655(および268655)で初めて登場したオイスターフレックスをご存知でしょうか。
パッと見はラバーベルトですが、一般的に販売されているラバー素材とは異なり、ロレックスが独自開発した「ブラック エラストマー」という、豊かな弾性を持つゴム状の高分子物質がコーティングされています。
ちなみにエラストマーもまたロレックスの造語で、「erastic(弾性のある)」+「polymer(重合体)」の組み合わせとなります。
ブラックエラストマーによってコーティングされたラバーはメタルブレスレット並みの堅牢性や防水性が確保されており、従来のラバーベルトにありがちだった「切れやすい」「傷つきやすい」といった弱点が解消されました。
さらに、「縦方向クッションシステム」と呼ばれるパーツが内蔵されており、快適な装着感を実現しています。
このオイスターフレックスはデイトナ 116519LNにも搭載されるなど、近年ロレックスのラインナップで目玉的な立ち位置を占めています。
確かに3列のオイスターブレスレットも良いですが、オイスターフレックスが搭載されることによってスポーティーさやカジュアルさがいや増しています。
そんなオイスターフレックスが、ヨットマスター42で搭載されました!
3列タイプはなくラバータイプのみですので、やはり従来のヨットマスターとは一線を画しているのでしょう。
マットブラックセラミックベゼル同様、116655などでヨットマスター×ラバーのかっこよさは証明されてきました。
そのため、ホワイトゴールドの控えめな気品にも、思った通りマッチしていますね。
特徴③その他
外装面の他にも、従来のヨットマスターに比べて随所がアップデートされています。
例えばムーブメント。
近年ロレックスが開発を進める新世代ムーブメントCal.3200番台をご存知でしょうか。
70時間にも及ぶロングパワーリザーブや、「COSC(クロノメーター)相当」からその二倍へと飛躍した高精度、それらを実現する省エネ設計のクロナジーエスケープメントが搭載された新型名機です。
また、パラクロムヒゲゼンマイやパラフレックスショック・アブソーバなどを採用することによって、耐衝撃性や耐磁性を獲得しました。
このムーブメントは2015年にデイデイト40で発表されて以来、続々と搭載が進められてきており、この度ヨットマスターにもメスが入れられました。
ちなみにヨットマスター40も外装などは大きく変わりませんが、新ムーブ・新型番で再登場しています。
ヨットマスター42に搭載されるのはCal.3235。
これは、デイトジャストやシードゥエラーなどにも使われています。
見た目だけでなく、より高くなった実用性も楽しめる新作と言えるでしょう。
バーゼルワールド2019 新作ヨットマスター42 226659の相場動向は?
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例年ロレックスの新作が出るたび気になるのが相場動向。
新作は入荷してしばらくは高値が続くものですが、ロレックスはその勢いがなかなか止まなかったり、多少安定しても定価を大きく上回っていたりといったことが珍しくありません。
しかしながら気をつけたいのが、ヨットマスター42はゴールドモデルだということ。
現在世界的なスポーツモデルブームで、ステンレススティールモデルの方が高騰しやすい傾向にあります。
そのため、ロレックスのゴールドモデルの新品並行相場は定価をやや上回る程度で、ステンレスモデルより安く買えるものもある、といった貴金属市場を無視した逆転現象が起きているのです。
さらに言うと、ゴールドモデルは中古であれば新品価格より数十万円安い場合があり、このことからもプレミアより「お得感」といった印象の方が強くなりますね。
とは言え、やはりヨットマスターの、他社のゴールドモデルにはあまり見られないスポーツとラグジュアリーの見事な融合は目を見張るものがあります。他のゴールドモデルとは一緒にできません。
そのため、価格動向も一緒くたに考えることはできないでしょう。
例えば、先ほどもご紹介した当シリーズ一番人気の116622の、発売が中止されたプラチナ文字盤は高値傾向という、生産終了ステンレス製ロレックスと同じような道筋をたどっています。
また、オイスターフレックスが初めて搭載された、と前述した116655(今年からムーブメントが変わってRef.126655に型番チェンジ)も、需要の高いゴールドモデルのうちの一つです。
※新型ヨットマスター40 126655
加えて、今回バーゼルワールドで発表された新作ヨットマスター42はホワイトゴールド製です。
「いかにも金無垢!」といった感じがありません。
また、42mmという大きめのサイズやオイスターフレックスがラグジュアリーよりスポーティーの方に寄ったスタイルとなっています。
ビジネスシーンでも違和感なく使える(イエローゴールドなどはビジネス向けとしては嫌う方も多い)デザインを持っているので、ホワイトゴールド製デイトナ 116519LNのように高い人気を誇ると思われます。
こういった数々の要素を鑑みると、ステンレスモデルと遜色ない高騰を遂げるかもしれません。
なお、新作ヨットマスター42の予価は27,800米ドルと発表されています。
日本円にすると約295万円。国内入荷は例年通りですと、5月~6月頃となり、その際国内定価が発表されます。
まとめ
バーゼルワールド2019で発表された新作ヨットマスター42、226659についてご紹介いたしました。
大きな派手さはないモデルですが、ヨットマスターの一モデルである、ということを考えると、これまでとは全く異なるテイストを感じられること。また、オイスターフレックスやマットなブラックセラミックベゼルなどが人気スポーツロレックスを彷彿とさせるかっこよさで、2019年新作の中でも非常に気になる存在と言えます。
2019年のロレックス相場にどのような影響を与えるのでしょうか。
今年もロレックスから目が離せません!
当記事の監修者
南 幸太朗(みなみ こうたろう)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン プロスタッフ
学生時代に腕時計の魅力に惹かれ、大学を卒業後にGINZA RASINへ入社。店舗での販売、仕入れの経験を経て2016年3月より銀座本店 店長へ就任。その後、銀座ナイン店 店長を兼務。現在は営業企画部 MD課 プロスタッフとして、バイヤー、プライシングを務める。得意なブランドはパテックフィリップやオーデマピゲ。時計業界歴13年。