レディースウォッチの金字塔・カルティエ。
一方でフラグシップであるタンクを始め、サントス,パシャやロードスターといった数々の傑出したメンズモデルをも手掛けてきました。
イブ・サン=ローラン氏やアンディ・ウォーホル氏など、歴史的著名人の愛用者も少なくありません。
そんなカルティエが、2010年に初めて「メンズ専用」と謳ってローンチしたコレクションがカリブル ドゥ カルティエです。
これまでのイメージを一掃し、力強いシルエットとタフなケース、そしてカルティエ悲願の自社製自動巻きムーブメントを搭載…
こういったアイデンティティから、メンズ新定番となるのに時間はかかりませんでした。
2020年に唐突に生産終了となりますが、メンズカルティエ中古市場では、今なお大人気モデルとして君臨します。
この記事ではこれからカリブル ドゥ カルティエをご購入される方に向けて、魅力や人気モデル,現在の実勢相場を徹底解説致します。
目次
カリブル ドゥ カルティエとはどのようなモデルか?
カリブル ドゥ カルティエは、2010年に誕生しました。
それまでのカルティエは、同一コレクション内でいくつかのサイズ展開を行うことがほとんどでした。
つまりメンズ・レディースでコレクションを区別せず、中性的で上品なデザインによって、男女どちらからも親しまれる製品をラインナップしていた、ということになります。
この傾向は今も大きくは変わっていません。
しかしながらカリブル ドゥ カルティエは、公式で「メンズ専用」と謳われた、同社にとって非常に珍しいコレクションでした。
さらにこれまでのカルティエとは大きく異なるイメージ…
そう、力強いシルエットとリューズガード,そして太めのラグから感じ取れるタフネスを備えていたことから、鮮烈なインパクトを与えたモデルでもありました。
もっとも最大の特徴であり、その後のメンズカルティエ人気を下支えすることとなったのは、カルティエ悲願の自社製自動巻きムーブメントが搭載されていたことにあるでしょう。
量産用としてマニュファクチュール・ムーブメントを打ち出したのは、カルティエにとっては初のことでした。
本項にて、その詳細をご紹介致します。
①自社製自動巻きムーブメントの搭載
現行カルティエでは自社製自動巻きムーブメント搭載モデルがメンズを中心に幅広く展開されていますが、その原点となったのはカリブル ドゥ カルティエです。
カリブル ドゥ カルティエは同社初のメンズ専用コレクションかつ本格派マニュファクチュールとしてスタートしました。
マニュファクチュールには色々な定義がありますが、最近ではムーブメントを自社製造しているメーカーを指します。
当時のカルティエでは意欲的に「本格派マニュファクチュール」を進めており、2001年にはムーブメント製造拠点となる「カルティエ マニュファクチュール」をスイス ラ・ショード=フォンに設立。
2008年にジュネーブシール取得ムーブメントの発表,2009年に「オート オルロジュリー」コレクションをスタートさせるといった道のりを歩んできました。
※オート オルロジュリー(Haute Horlogerie)…直訳すると高級時計という仏語だが、リシュモングループを中心に2005年設立された同名財団では高級機械式時計の製造に関するノウハウ伝道・後継の育成・研究活動を行っている。カルティエでは同名コレクションを2009年からスタートさせ、量産品とは異なる、複雑機構を中心とした至高の高級時計モデルを公開してきた。
そし2010年、ついに自社製自動巻きムーブメントの発表・量産に至ります。
仏語でキャリバー(ムーブメントの型番のこと)を意味する「カリブル」を製品名とした同コレクションでは、キャリバー1904 MCが搭載されました。
ちなみに1904はかの有名なサントスが誕生した年に、そしてMCは「マニュファクチュール・カルティエ」に由来します。
※サントス…カルティエ三代目のルイ・カルティエが、友人であったブラジル出身貴族かつ発明家兼飛行家アルベルト・サントス=デュモンの依頼を受けて製造した腕時計。サントスが誕生した当時は懐中時計が主流であったが「飛行機操縦中、操縦桿(そうじゅうかん)から手を放さずに時間確認できる時計」を所望されており、ルイ・カルティエはしっかりしたラグを備えてベルトとケースを固定するとともに、腕に巻いて美しいデザインとしての「腕時計」を誕生させるに至った。
腕時計の始まりについては諸説あるものの、現代に続く男性用の本格腕時計はサントスがその黎明を担ったと言って良いだろう。
キャリバー1904 MCについて特筆すべきは、その完成度の高さです。
2006年にジャガールクルトが、カルティエのために製造したCal.8000系をベースに、非常に優れたムーブメントに仕上げることとなりました。
振動数は毎時28,800振動(1秒間に8振動)、そしてツインバレルと呼ばれる主ぜんまいが格納された香箱を二つ備える仕様とし、約48時間のパワーリザーブとエネルギーの安定供給を獲得しました。
また、両方向自動巻きローターにはセラミック製ボールベアリングを搭載しており、高い巻き上げ効率と耐久性を両立しています。
※ボールベアリング…自動巻きのローター軸に用いられる玉軸受。現代自動巻きモデルの多くに採用されている。
ムーブメント直径は25.5mm、厚さ4mm。
この一般的なサイズ感とツインバレルによる高い馬力で、汎用性の高さをも兼ね備えたのが、1904 MCのもう一つの特徴です。
これによって1904 MCは、カリブル ドゥ カルティエ以外のコレクション―タンクMCやパシャ等―でも活躍していくとともに、クロノグラフムーブメントの開発にも成功しました。
ちなみにカルティエやジャガールクルト属するリシュモンでは、グループ内でムーブメント設計の共有化を行っており、1904 MCも同一グループ属する名門ヴァシュロンコンスタンタンのベースともなっています。
そんなキャリバー1904 MCを搭載するカリブル ドゥ カルティエは基本的にシースルーバックを採用しており(ダイバーズウォッチはソリッドバック)、カルティエ渾身のムーブメントをご鑑賞頂くことができます。
②これまでのカルティエにはなかったデザイン
カリブル ドゥ カルティエがリリースされた時、あるいは初めてその実機を目にした時、デザインに圧倒された方も多いのではないでしょうか。
従来カルティエと言えば、独創性あるデザインの一方で、中性的かつ控えめな上品さが光る製品群が多かったように思います。
しかしながらカリブル ドゥ カルティエは力強いシルエット、のびのびとしたローマンインデックス、タフなのにスタイリッシュなケース…
かっこいいの一語に尽きますね。
サントスやパシャ、ロードスターはスポーツモデルですが、ここまでスポーティーテイストを全面に押し出したのは、カリブルが初でしょう。
しかしながら、ジュラ―としてのスタイリッシュさ・美しさも決して損なわれていません。
上記のようなスポーティーさに加えて、左右対称でバランスを取ったデザインの中にカルティエならではのローマンインデックスや調和のとれた文字盤デザインなど、クラシカルな趣が融合します。
モデルにもよりますが、文字盤にギョーシェ装飾が施されたタイプは、美しさを感じさせますね。
また、ベゼルやラグ形状、リューズガードが立体的な構造となり、特別感・高級感を醸し出していることもカルティエならでは。
ケースの立体感は、おしゃれな腕時計にはマストの要因!
手の込んだカッコよさと言えるでしょう。
厚みが抑えられており、見た目の美しさと快適な装着感を実現しているのも、長年時計製造で一家言持ってきたカルティエらしさですね(通常モデルで厚さ9mm,ダイバーでは11mm,クロノグラフでは12.6mmほど)。
このように内外ともに完成されており、現役時代、そして生産終了後も不動の人気を維持し続けることも納得の傑作カルティエと言えるでしょう。
③カリブル ドゥ カルティエのラインナップ
カリブル ドゥ カルティエは主に機能でバリエーション分けすることが可能です。
- 2針+スモールセコンド
- クロノグラフ
- ダイバーズウォッチ
ちなみにクロノグラフモデルは2013年に、ダイバーズウォッチモデルは2014年にリリースされました。
とりわけダイバーズウォッチの専用ラインはカルティエ初。
300m防水の本格派で、カリブル ドゥ カルティエの中でも最も人気の高いラインとなります。
ケースサイズは基本が42mm,ただし2015年に2針モデルに38mmが追加されました。
素材はステンレススティール,またはステンレススティール×ピンクゴールドのコンビネーション,ピンクゴールド。
メタルブレスレットまたはストラップタイプ(通常は革,ダイバーズはラバー)からお選び頂けます。
前述の通り生産終了とはなっているものの、一部を除いてどのモデルも比較的よく市場に出回っています。
カリブルドゥカルティエ 人気モデルTOP5
カリブル ドゥ カルティエの中でも、当店GINZA RASINで非常によく売れる人気の上位5モデルをご紹介致します。
カリブル ドゥ カルティエ W71000165
型番:W71000165
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径42mm×厚さ約9mm
文字盤:ブラック
駆動方式:自動巻き(Cal.1904-PS MC)
ブラック文字盤が精悍な一本です。
流通量が豊富と言うこともありますが、非常によく売り買いされるモデル。
回転も速く、当店では在庫を切らしたくないカルティエのうちの一つです。
なお、他のムーブメントと区別するため、キャリバーナンバーには「スモールセコンド」を意味する「PS」が付けられました。
カレンダーディスクが前後2日も窓から覗くスタイルで、独創性の溢れるデザインも魅力ですね。
カリブル ドゥ カルティエ ダイバー W7100057
型番:W7100057
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径42mm×厚さ約11mm
文字盤:ブラック
駆動方式:自動巻き(Cal.1904-PS MC)
2014年に誕生したカリブル ドゥ カルティエのダイバーズウォッチモデルです。
300mという高い防水機能に加えて、視認性の高い太めの逆回転防止ベゼルが付加されています。
ベゼルはもちろんインデックス・針にも夜光塗料スーパールミノバが塗布されているので、暗闇でも時刻確認ができるでしょう。
なお、ベゼルはステンレススティール製ですが、ADLCコーティングが施されているため精悍なブラック基調のダイバーズウォッチに仕上がってもいます。
ISO6425のダイバーズウォッチの国際標準規格に適う技術力とカルティエが誇る審美性が見事に融合したタイムピースです。
ちなみにラバーストラップタイプも、同じくらいの人気を誇ります。
カルティエ カリブル ドゥ カルティエ ダイバー W2CA0004
型番:W2CA0004
素材:ステンレススティール×ピンクゴールド
ケースサイズ:直径42mm×厚さ約11mm
文字盤:ブラック
駆動方式:自動巻き(Cal.1904-PS MC)
随所にピンクゴールドをあしらった、オシャレなカリブル ドゥ カルティエ ダイバーです。
ちなみにこちらも、ブルー文字盤タイプも同率で人気モデルに君臨していました。
ブルーは2016年に新カラーとして追加されましたが、ダイバーズウォッチにマッチした爽やかさを強調しています。
ちなみにこちらも、ベゼルはステンレススティールの上からADLCコーティングを施しています。
カリブル ドゥ カルティエ クロノ W7100045
型番:W7100045
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径42mm×厚さ約12.6mm
文字盤:シルバー
駆動方式:自動巻き(Cal.1904-CH MC)
自社製自動巻き1904-CH MCを搭載した2つ目クロノグラフのカリブルです。
インダイアルとデイト窓が整然と並び、スポーツモデルなのに非常にクラシカル。
一目見てカルティエとわかるブランドアイデンティティを携えており、カルティエの時計が欲しい方にはうってつけではないでしょうか。
カリブル ドゥ カルティエ W2CA0002
型番:W2CA0002
素材:ステンレススティール×ピンクゴールド
ケースサイズ:直径38mm×厚さ約9mm
文字盤:シルバー
駆動方式:自動巻き(Cal.1904 MC)
2015年に追加された、38mmモデルです。
38mmモデルの方はデイト窓がスタンダードな1枠になっており、正統派のイメージが強くなりましたね。
ベゼルにピンクゴールドが使われているため、さりげないラグジュアリー感を演出してくれるでしょう。
カリブル ドゥ カルティエの実勢相場と中古購入に際して
何度か言及しているように、カリブル ドゥ カルティエは2020年に同社のカタログから消え、生産終了となりました。
しかしながら10年という長きに渡って製造されてきたことから、中古市場には比較的まだものが出回っています。
また、カリブル ドゥ カルティエは堅牢な外装,そして歴史としては新しいものの完成されたムーブメントを用いていたことから状態の良い個体も多く、信頼できるお店からであれば、安心して中古モデルを求められるのではないでしょうか。
実勢相場も大きく上昇はしておらず、ステンレススティール×2針モデルであれば50万円台~70万円台。
ダイバーズウォッチは人気ラインということもありステンレススティール製で80万円前後~。
クロノグラフモデルは60万円台後半~といったところがだいたいの実勢相場となります。
きわめて状態が良い個体や、ゴールドを用いた個体はその分価格が上がってきます。
なお、カルティエに限らず中古で時計をご購入になる際は、状態や付属品の有無,購入店舗の保証体制をしっかり確認しましょう。
また、現在は市場に豊富に流通しているとは言え、年を経るごとに良質な個体は少なくなっていくことが予測されます。
必ず欲しい個体がどのお店にも置いてあるかと言うとそうではないので、コレ!というモデルに出会ったら買っておきたいカルティエのうちの一つです。
※2024年7月現在の情報となります。
カリブルドゥカルティエのベルトは革?ラバー?ステンレスどれがいい?
カリブルはステンレスブレスレット、革ベルト、ラバーベルトのラインナップから選ぶことができます。
専門店に行けばベルトの交換をすることが可能で、革ベルトの色を変えたり、ラバーベルトから革ベルトに替えたり、ブレスレットから革ベルトに替えたり・・・
かなり雰囲気が変わるのでとってもおすすめ。
まるで、新しい時計を買ったみたいになります!
たとえばこちらを比較してみましょう。
カリブル ドゥ カルティエ W7100041とカリブル ドゥ カルティエ W7100016
全然雰囲気が変わりますよね!
付けてみるとこんな感じ。
ちなみに、ブレスレットから革ベルトに交換する場合は、カルティエではモデルによって金額が異なります。
販売終了しているモデルに関しては追加で料金が発生する場合もあります。
また革ベルトのモデルからブレスレットにしたい場合は、ブレスレットのコマ×料金がかかってしまうため割高。
もともとブレスレットのモデルを購入して、革ベルトに交換した方がお得です。
店頭にある革ベルトがそのままお客様がお持ちの時計にマッチングしないモデルもございますので、お気軽に当店お問い合わせ下さいませ!
まとめ
メンズの定番・カリブルドゥカルティエについてご紹介致しました。
誕生から10年以上が経つものの、ますますの勢いを見せております。
今をときめくスポーツモデルなのに、ジュエラーらしくおしゃれでどことなく上品・・・
他社にはないアドバンテージをたくさん有するカリブルドゥカルティエを身に着けて、おしゃれな男を演出してみませんか。