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ソーラー時計は光エネルギーを動力にして動く、環境にも経済的にもやさしい腕時計です。
この記事ではソーラー時計を扱う上での注意点や充電方法について解説致します。
ソーラー時計を既にお持ちの方は勿論、これからソーラー時計を購入される方に是非ご一読いただきたい内容です。
目次
ソーラー時計の利点と弱点について
ソーラー時計は光エネルギーを電気エネルギーに換えて動く時計のことを指します。
文字盤裏にソーラーパネル(太陽電池ユニット)が備えられており、文字盤が受けた光の一部が電気エネルギーに変換されます。
電気エネルギーはムーブメントに備えられた二次電池に蓄えられ、時計を動かすエネルギーとして使用されます。
充電と放電を繰り返しながら針を動かすソーラー時計は、従来のクォーツ時計とは異なり、電池交換を必要としません。
光にあてている限り電池切れを心配しなくてよいため、手間が少ない時計としてビジネスパーソンを中心に厚い支持を集めています。
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二次電池の寿命はモデルによって異なりますが、多くのモデルで10年以上電池交換が必要ありません。
しかしながら、ソーラー時計には弱点があります。
それは光が当たらないと充電が行われず、時計が止まってしまうことです。
ソーラー時計の充電方法とは?
ソーラー時計の充電方法は非常にシンプルです。
文字盤に光エネルギーを当てれば動きます。
もっとも有効な光エネルギーは太陽光なので、時計を身につけて出歩くと良いでしょう。
なお、秋から冬の日照時間の少ない季節は充電切れを起こしやすいので、こまめに充電するのがお勧めです。
袖に時計が隠れていると充電が行われないことがあるので、意識的に光に当てるようにしてください。
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また、休日にしか時計を身につけないという方は、充電が足りなくなることがあります。
その場合は日光の当たる窓際などに時計を半日ほど置きっぱなしにしておきましょう。
充電効率はモデルによって異なりますが、月に1〜2回ほど充電すれば時計が止まることはあまりありません。
メーカーによっては蛍光灯の光で充電可能なモデルもあるため、購入の際は充電機能のスペックをよくご覧いただければと思います。
なお、ソーラー時計は止まる前に「二秒運針」という予兆があります。
二秒運針は秒針が2秒毎に動く現象で、充電が不足してくると、スキップするかのような動きをします。
この症状が現れたら充電がもうすぐなくなる合図なので、日に当てて充電を行ってください。
効率よく屋内で充電するには?
ソーラー時計の充電効率はモデルによって異なるため、日の光が弱い場合、思うように充電ができないことがあります。
このようなときは、ソーラー時計用のLED充電器を使うのがおすすめです。
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LED充電器は文字盤に合わせた円形のパネルに12個のLEDライトが埋め込まれてあります。
パネルの上にソーラー時計を乗せておくと、LEDライトの光によって充電が行われます。
日の当たる置き場所がなくても充電することができるので、必要あれば購入を検討されてはいかがでしょうか?
商品によって光の強さは異なりますが、3万ルクス前後の商品が多く、「曇りの日中」くらいの照度を時計に浴びせることができます。
環境ごとの充電時間の目安
充電されるスピードは「光の強さ」によって変わるめ、環境ごとの充電時間の目安が異なります。
直射日光と蛍光灯では充電時間が全く異なるので、充電する際には注意が必要です。
環境/照度lx(ルクス) | 充電時間 |
---|---|
屋外(晴天) 【明るさ 100,000lx】 | 1日分:5分 停止状態から正常な動作まで:40分 充電切れからフル充電まで:16時間 |
屋外(曇天) 【明るさ10,000lx | 1日分:12分 停止状態から正常な動作まで:1.5時間 充電切れからフル充電まで:40時間 |
30 W蛍光灯 20 cm下 【明るさ3,000lx】 | 1日分:40分 停止状態から正常な動作まで:3時間 充電切れからフル充電まで:150時間 |
屋内照明 【明るさ500lx】 | 1日分:4時間 停止状態から正常な動作まで:14時間 充電切れからフル充電まで:-時間 |
晴天時であれば1日分の充電は5分で行われますが、屋内照明で充電を行った場合は1日分の充電に約4時間かかります。
メーカーやモデルによって必要な充電時間は異なりますが、屋外と屋内では光エネルギーの量がまるで違うことは知っておいた方が良いでしょう。
充電しても不具合がある場合は
ソーラー時計は充電により繰り返し使用することができます。
ただ、半永久的に使用し続けることはできません。
ソーラー時計に埋め込まれている二次電池は長期的に使用を続けることで、充電効率が低下していきます。
電池の劣化が進むと光エネルギーを電気エネルギーに換えることが難しくなり、最終的には機能停止してしまうこともあり得ます。
もし充電が行われない場合は、オーバーホール(分解掃除)に出しましょう。
オーバーホールは機械式時計だけのイメージがありますが、クォーツ時計やソーラー時計にも行われます。
太陽電池ユニットやムーブメントの不具合が伴う場合は10,000円〜。
二次電池の劣化だけなら3,000円前後で新しい電池に交換することが可能です。
メーカー毎に部品保有期間が異なる
ソーラー時計の故障や電池の劣化にはオーバーホールが有効ですが、製造からある程度時間が経ってしまったモデルはオーバーホールを依頼するのが難しくなります。
その理由は、メーカーごとに部品保有期間が定められているからです。
部品保有期間は概ね7年〜10年となっており、メーカーによる修理対応ができなくなった時計は、その時が寿命ということになります。
※セイコー7〜10年、シチズン7〜10年、カシオ7年
20万円以上の高級ソーラー時計はパーツ部品保有期間が長めに設定されることもありますが、低価格のモデルはムーブメントの切り替えが早いです。
ソーラーと電波ソーラーの違い
ソーラー時計はソーラーパネルで充電する時計です。対して電波ソーラーは時計が電波を受信して時刻を合わせてくれる「電波受信機能」を持つ時計のことを指します。
光を取り込んで充電する仕組みはどちらも同じですが、電波ソーラーは時刻合わせがいりません。
ソーラー時計よりもさらに利便性が上がっており、手間要らずで便利です。
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電波ソーラーはメリットしかないと思われがちですが、デメリットもあります。
それは電波が届かない場所だと正確な時間が刻めないことです。
電波の受信局はたいてい日本・中国・アメリカ・ヨーロッパに限られているので、そこからズレると時間が受信できなくなります。
また、電波ソーラーは価格が高いです。
カシオ G-SHOCKやシチズン エコドライブの上位モデルの多くは電波ソーラーであり、中には20万円を超える高額モデルも存在します。
価格で選ぶならソーラー時計、機能で選ぶなら電波ソーラー。
用途や予算に応じた時計選びをするとよいでしょう。
まとめ
ソーラー時計は充電をすることで繰り返す使えるエコな時計です。
充電方法は簡単で、文字盤に太陽光を当てることで二次電池にエネルギーが充電されます。
充電が行われない場合は故障や寿命の可能性が高いので、時計修理店にオーバーホールを依頼してください。
なお、安価なモデルは時計の価格よりも修理代金の方が高くなることがあるので、その場合は時計の買い替えも検討すると良いでしょう。
当記事の監修者
新美貴之(にいみ たかゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 店舗営業部 部長
1975年生まれ 愛知県出身。
大学卒業後、時計専門店に入社。ロレックス専門店にて販売、仕入れに携わる。 その後、並行輸入商品の幅広い商品の取り扱いや正規代理店での責任者経験。
時計業界歴24年