おしゃれな大人の男女から絶大な支持を誇るフランクミュラー。
独創的で洗練されたデザインはもちろん、あっと驚く奇抜な機構で、常に時代の一歩先へ行く存在のブランドです。
そんなフランクミュラーが展開するコレクション「コンキスタドール」は20年以上続くロングセラーですが、その派生モデル「コンキスタドール グランプリ」をご存知でしょうか。
レーシングスピリッツにインスパイアされた、とにかく存在感抜群のカッコイイ一本ですが、最先端のテクノロジーが駆使された、時計業界でも非常に評価の高いモデルです。
今回は、機能美を極限まで追求したコンキスタドール グランプリについてご紹介したいと思います。
目次
1.「コンキスタドール」コレクションとは
フランクミュラーの象徴とも言うべきトノーカーベックスの進化形として、1994年に発表されたのがコンキスタドールコレクションです。
トノーカーベックスの遺伝子を継承しながら、トノーカーベックス以上に立体美と独創性を持つことでも定評があります。
その秘訣は、ベゼル部分にさらにステップを付け二層構造としたこと、また、クラシカルテイストの多いトノーカーベックスのダイアルデザインを、現代的に、そしてスポーティーに仕上げたこと。
左:トノーカーベックス 右:コンキスタドール
スペイン語で「征服者」という意味を持つコンキスタドールは、「前人未踏の時代を切り開く」というブランドの理念が込められて生み出されました。
高級腕時計という分野に一石を投じ、新しい可能性を切り開く。まさに、そんな征服者のような存在として、他社製品とは一線を画しています。
その名が示す通り、適度にボリューミーでダイナミックな存在感がありますが。それにもかかわらず、優美でしなやかな曲線が調和しており、スポーツウォッチの成熟を感じさせるモデルです。
2004年にはスクエアケースが特徴の「コンキスタドール コルテス」、2009年には当記事で紹介する、フランクミュラー初のスポーツラインかつハイテクノロジーを駆使した「コンキスタドール グランプリ」が誕生しました。
他の腕時計とは一線を画す一大コレクションとして、フランクミュラーウォッチの中でも異彩を放っています。
2.コンキスタドール グランプリとは
フランクミュラー初のスポーツラインとして2009年に誕生したコンキスタドール グランプリ。
前年に開催されたF1シンガポールグランプリに敬意を表したシリーズで、レーシングテイストに加え、さらにダイナミックにスポーティーになったデザインから、「新世代のスポーツウォッチ」として一世を風靡しました。
まず目に入るのがダイアルデザイン。
フランクミュラーの象徴でもあるビザンインデックスをはじめ、各パーツが巧みに組み合わさり、立体的なフェイスを表現しています。
ベースとなるのはヌーベルバーグ(サンレイギョーシェを波打つようにデフォルメしたもの)がエングレービングされたダイアル。
これにより立体感が際立つとともに、どの時計とも違った個性を持つに至りました。
一部を肉抜きした大ぶりの針や、ミニッツインデックスを配したベゼルもまた、コンキスタドール グランプリの独創性を際立たせるのに一役買います。
シンプルな三針モデル、クロノグラフ、そしてトゥールビヨンの三種がラインナップされています。
スクエアケースのコンキスタドール コルテスも人気があります。
3.コンキスタドール グランプリに見る最先端技術~エルガ~
そしてさらにもう一点特筆すべきことは、コンキスタドール グランプリが最先端技術、とりわけ航空業界などで採用されつつある新素材を腕時計に採用したハイテクウォッチである点です。
ベーシックなコンキスタドール グランプリに取り入れられる事が多い赤いケース。
F1レーシングカーのカラーリングを彷彿とさせ、ブラックを基調としたデザインに差し色としてインパクトを加えるアクセントですが、これは、六種類の金属―マグネシウム、チタニウム、アルミニウム、コッパー、シルバー、ジルコニウム―の合金である「エルガ」という新素材なのです。
主にF1マシンや航空機に用いられ、極めて軽量でありながら非常に堅牢、耐久性・耐衝撃性に優れた素材です。
腕時計にこのエルガが採用されたことは、コンキスタドール グランプリが持つ話題性と相まって、非常に高い注目を集める事となりました。
エルガの表面には摩擦と消耗を防ぐため、アルマイト(陽極酸化処理)加工が施されます。これによりアルミニウム表面に酸化被膜が生成され、いつまでも本来の色味を保つことができるのです。
エルガには実用性のみならず、着色しやすく艶感を持つという特徴もあり、フランクミュラーのデザインアイデンティティとよく合致した素材です。
コンキスタドール グランプリには、エルガの他にもチタンやブラックチタンなどが素材として採用されています。また、それらとゴールドを上手に組み合わせることで高級感のあるモデルが誕生しています。
外観の美しさやスポーティーさを醸すだけでなく、機能美をも追求する姿勢に、妥協を許さないフランクミュラーの信念を感じます。
出典:https://www.franckmuller-japan.com/collection/watch/category/grandprix/
因みに、コンキスタドール グランプリでラインナップされているトゥールビヨンですが、非常に複雑なため、組み立てのできるブランドは限られています。
フランクミュラーは、新しさだけでなく、スイス時計製造の伝統が大切に培ってきた美技をも誠実に守り続けるブランドのうちの一つではないでしょうか。
4.フランクミュラー コンキスタドール グランプリのお勧めモデル
フランクミュラー コンキスタドール グランプリ エルガ 8900CCJ ER
コンキスタドール グランプリが持つコンセプトを体現した、オーソドックスなモデル。
赤いケースは、前述したハイテク素材のエルガです。
クロノグラフモデルのため、格好良さが際立つ一本です。
6時位置には日付表示、軽量で強靭なチタンベゼルの採用により、日常で使いやすいフランクミュラーウォッチに仕上がっています。
同じくチタン×エルガケースのグランプリで、手巻きトゥールビヨン搭載モデルがラインナップされています。
出典:https://www.franckmuller-japan.com/collection/watch/category/grandprix/9900TGPER-103/
両モデルとも100m防水。
フランクミュラー コンキスタドール グランプリ 8900SC DT GPG
コンキスタドール グランプリの、シンプルな3針モデル。100m防水。
軽量なオールチタン製ケースは、日常使いの邪魔をしません。
クロコストラップのステッチのカラーが差し色と同じ色が採用されている点もお洒落です。
③フランクミュラー コンキスタドール コルテス グランプリ 10800SC DT GPG ER
出典:https://www.franckmuller-japan.com/collection/watch/category/grandprix/10800SCDTGPGER-308/
エルガを採用したコンキスタドール コルテス。
コルテスシリーズの特徴であるスクエアケースが、独創性あるスポーツウォッチに仕上がりです。
ラバーストラップによって、より現代的なテイストを醸しています。
こちらは、オールチタンのモデルRef.10800SC DT GPG FTTも人気があります。
いずれも日常生活防水。
フランクミュラーの他のコレクション同様、多彩なデザインや限定モデルなど、豊富にラインナップされています。
まとめ
フランクミュラーは時計業界の中では比較的歴史が浅いブランドにも関わらず、幅広い層から支持を得ているブランドです。
それはスイスの時計製造の伝統を踏襲しつつ、最新技術や革新的なデザインに果敢に挑戦してきたからこその評価と言えるでしょう。
そんなフランクミュラーの軌跡が垣間見えるかのようなコンキスタドール グランプリは、他に類を見ないデザインですので、かっこいいスポーツウォッチをお探しの方は一度検討してみてはいかがですか。
当記事の監修者
新美貴之(にいみ たかゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 店舗営業部 部長
1975年生まれ 愛知県出身。
大学卒業後、時計専門店に入社。ロレックス専門店にて販売、仕入れに携わる。 その後、並行輸入商品の幅広い商品の取り扱いや正規代理店での責任者経験。
時計業界歴24年