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ジラール・ペルゴってどんなブランド?

最終更新日:

ジラールペルゴは時計愛好家に根強い人気を誇る高級時計ブランドです。ロレックス・オメガのような知名度はありませんが、とても優れた技術力を持つ超一流時計ブランドとして知られています。

また、セイコーと同時期にクォーツの開発に成功するなど、他のスイスブランドとは一味違う拘りを持つことも魅力です。

是非この機会に、ジラールペルゴのことを知ってみてはいかがでしょうか?

 

出典:https://www.girard-perregaux.com/

①ジラールペルゴの歴史

ジラールペルゴは数少ない完全自社生産のマニファクチュールブランドとして有名なブランドです。自社で開発したムーブメントを数多くのブランドに提供するなど、その信頼性の高さと確かな技術力は、時計界から高い評価を受けています。

一言でジラールペルゴを表現すると「玄人好みの技術屋」といったところでしょうか?

 

世界で4番目に古い時計ブランド

ジラールペルゴは若干12歳にして時計技師としてのキャリアをスタートさせた「ジャン・フランソワ・ボット」によって創業されたスイスの時計ブランドです。ブランドとして本格始動したのは1791年のこと。ジャンフランソワが21歳の時に作ったオリジナルモデルがブランドの始まりとされています。

尚、1791年に創業されたジラールペルゴは世界で4番目に古い時計ブランドであり、この時点ではジラールペルゴという名ではなく、ボット社という名で時計製造を行っていました。

ジラールペルゴ

出典:https://www.girard-perregaux.com/

 

ボット社はスイスのジュネーブに工房を構え、時計の量産体制を整えます。当時の時計界では腕時計の量産を行ったメーカーは存在しておらず、史上初めて腕時計の量産を行ったメーカーとしても、ジラールペルゴ(ボット社)は有名です。

創業当時のボット社は薄型懐中時計を武器に、イギリスのビクトリア女王や名だたる貴族に時計を提供し、名声を獲得していきます。1837年に創業者であるジャン・フランソワ・ボットが死去したのちは血族にて家族経営を進め、懐中時計の普及に努めます。

その後、同じくスイスの時計職人であるコンスタン・ジラールが1852年に時計ブランド「ジラール」を設立。そして、そのジラールがマリー・ぺルゴと結婚したことをキッカケに1856年に夫婦の姓を組み合わせた時計ブランド「ジラール・ペルゴ」を設立します。このジラールペルゴが「ジャン・フランソワ・ボット」の工房を引き継ぎ、ボット社の伝統を受け継いだ新生”ジラールペルゴ”が誕生しました。

ジラールペルゴ

出典:https://www.facebook.com/girardperregauxwatches/

同時に製造拠点をジュネーブから ラ・ショー=ド=フォンに移転。生産数を大幅に上げ、最高品質のムーブメント製作を本格的に開始します。

 

ジラールペルゴは高度な技術により数多くの歴史的ムーブメントを生み、1867年のパリ万国博覧会においては”スリー・ゴールド・ブリッジ付きトゥールビヨン”が金賞を受賞するなど、世界中から賞賛される時計ブランドへと上り詰めます。

 

また、ジラールペルゴの時計は創業者一族の一人「フランソワぺルゴ」によって日本の江戸時代に輸入された”日本初めてのスイス時計”でもあり、日本の時計史とも深い関わりがあります。もし彼が日本にスイス時計を持ちこまなければ、今の時計界の勢力図も大きく変わっていたかもしれません。

 

関連記事:日本に初めてスイス時計を正規輸入した男 フランソワ・ぺルゴ

 

クォーツムーブメントの開発に成功

20世紀に突入しても、ジラールペルゴの勢いは留まることを知りません。

最高の技術によって作られた時計たちは、懐中時計から腕時計の時代になっても人々に評価され続けました。

1945年には後に「ヴィンテージ1945」と呼ばれるようになるフラッグシップモデルを発表。斬新な角形腕時計として、時計愛好家の心を見事に射止めます。

ジラールぺルゴ ヴィンテージ

出典:https://www.facebook.com/girardperregauxwatches/

さらに1969年には機械式のみならず、クォーツ時計の製造に成功。スイスでは初となるクオーツ時計の量産を行いました。

ただ、同時期に日本のセイコーが発表したクォーツモデルの方が大きく普及してしまったため、クォーツ時計を作り上げたもう一つのブランドとしての事実は多くの人の記憶から消えてしまうことになります。

よくクォーツムーブメントはセイコーが世界で初めて作り上げたとされていますが、初のクォーツ腕時計の商品化はジラールペルゴともいわれています。また、現在のクォーツムーブメントの周波数『32,768Hz』を定めたのもジラ―ルぺルゴです。

 

近年のジラールぺルゴ

セイコークォーツの普及により、同じクォーツ開発技術がありながらもジラールペルゴは経営難に陥ります。

そんなジラールペルゴを窮地から救ったのは時計販売会社のトラデマでした。イタリアとの繋がりが深かったトラデマはジラール・ペルゴのエージェントとなり、当時絶大な人気を誇っていたフェラーリとのコラボレーションモデルの開発に臨みます。

デザインを担当したのは元レーサーという異例の肩書をもつトラデマの社長、ルイジ・マルカーソ。のちにジラールペルゴの社長となる彼が打ち出したコラボウォッチは瞬く間に人気を博し、倒産に追い込まれてもおかしくなったジラールペルゴを見事に復活させました。

1992年にはルイジ・マルカーソ氏が正式にジラールペルゴの社長に就任。ファラーリとのブランドライセンス契約、ジュネーブサロンへの出展、ケリンググループとの提携といったブランド展開を行いました。

尚、2010年にルイジ・マカルーソ氏が死去したことにより、現在は息子のステファノ・マカルーソが社長に就任しています。

ジラールペルゴ

出典:https://www.facebook.com/girardperregauxwatches/

 

②フラッグシップモデル「ヴィンテージ1945」

ジラールペルゴを知るうえで、避けて通れないのが「ヴィンテージ1945」。ヴィンテージ1945はアールデコスタイルにて直線基調や幾何学模様を多用したデザインの時計です。

ロレックスのエクスプローラーやオメガのスピードマスターのように普遍性が非常に強く、いつまでの色褪せない伝統的な美しさが最大の魅力といえます。

 

ジラールペルゴ ヴィンテージ
25932.1.11.615 / 25990.0.11.8186

上品で落ち着いた長方形デザインが魅力的なヴィンテージ1945は、現代的な耐久性や防水性を備えながらも70年以上前のヴィンテージ感溢れるデザイン性も持ち合わせる個性的な逸品です。角型の時計というとフランクミュラーのロングアイランドやタグホイヤーのモナコにが有名ですが、通な時計愛好家はヴィンテージ1945の方を評価する方が多いです。

 

ジラールペルゴ ヴィンテージ
25990.0.11.8186
ケースサイドから見ると、鋭角的にデザインされたラグの美しさが目立ちます。ケースも腕にフィットするよう”手首に沿ってカーブした作り”となっており、装着感は抜群です。

 

ジラールペルゴ ヴィンテージ1945
25932.1.11.615
ムーブメントには自社製ムーブメントを搭載。見かけはヴィンテージ感溢れるデザインですが、中身はハイスペックです。

 

気になるヴィンテージ1945の評価

日本での知名度はロレックスやオメガに比べるとかなり低いというのが現状です。

しかし、ホンモノ志向の男性からの評価はすこぶる高く、特に40代以上の男性から支持が大きいです。

ヴィンテージ1945は多機能ムーブメントではありませんのでパーツ数が特段多いという訳ではありません。
特筆すべきはその仕上げの美しさです。

ムーブメントに施されたペルラージュ仕上げ、ローターに施されたコートドジュネーブ。
そのすべてが職人の手作業で仕上げられています。
仕上げの美しさというとオーデマピゲに定評がありますが、ジラールペルゴも引けを取らないと思います。

華美な装飾や主張はない。
しかし着実に自分の道を歩む、そんな大人の顔をのぞかせるブランドです。

ジラールペルゴ ヴィンテージ1945

出典:https://www.girard-perregaux.com/

ヴィンテージ1945は国内外の芸能人や著名人にも愛用されています。派手さはありませんが、身に着けることで確実に「格」が上がる時計だと思います。

 

③スポーツウォッチとして人気を博している ロレアート

ロレアートはポリッシュ仕上げの八角形ベゼルと一体型ブレスレットを備えたスポーティなコレクションです。

ジラールペルゴの歴史を肌で感じることができるのは「ヴィンテージ1945」ですが、現代においてはスポーツウォッチであるロレアートも人気を博しています。

ジラールペルゴ ロレアート

出典:https://www.girard-perregaux.com/ja/

ロレアートは1970年代に誕生したモデルですが、2016年にジラール・ペルゴ創業225周年モデルとして復活するまで、長らくその存在は歴史に埋もれていました。

しかし、2017年にジラールペルゴはロレアートを正式コレクションに採用。

八角形ベゼルという特徴はそのままに、次世代フラグシップモデルとして新たなる歴史を開きました。

ジラールペルゴ ロレアート

出典:https://www.girard-perregaux.com/ja/

ロレアートは45mm、42mm、38mm、34mmの4サイズ展開。

どのラインナップも優れた機能性とデザイン性を誇ります。

 

④ジラールペルゴはレディースモデルも人気

ジラールペルゴ レディース

出典:https://www.girard-perregaux.com/

ジラールぺルゴはレディースモデルも人気があります。ベゼルダイヤ、ダイヤインデックス、シェル文字盤。高級時計には極上の美しさを誇るレディースモデルが無数に存在します。

装飾を何よりも重視するレディースモデルはクォーツムーブメントが搭載されていることが多く、本格的な機械式レディースモデルを開発しているブランドはごく僅かです。

しかしながらジラールペルゴが作り上げるレディースモデルのほとんどが機械式。

楕円形でゴージャスなフォルム・丸みを帯びた可愛らしいインデックス・個性的な文字盤デザイン・装飾の美しさといった最上級のエレガンスを持ち合わせながらも、ムーブメントも最高品質の自社ムーブメントが搭載されています。

ジラールペルゴ レディース

出典:https://www.girard-perregaux.com/

一番見ていただきたいのはケースバックから覗ける精巧なムーブメントです。

ジラールペルゴ レディース

出典:https://www.girard-perregaux.com/

ジラールペルゴのムーブメントには「GP」 のロゴが繊細に刻印されたゴールド製ローターと、ペルラージュ装飾が施された煌びやかな地板の輝きを楽しめます。

 

⑤ジラールペルゴの代表的なモデルをご紹介

伝統と不変性を兼ね備えたジラール・ペルゴのモデルは、世界でも限られた人の手に巻かれ、明確な上品さによって存在を際立たせます。この記事の締めくくりとして、ジラールペルゴの代表的なモデルを紹介いたしますので、是非ご覧ください。

 

ジラールペルゴ ヴィンテージ 1945

ジラールペルゴ ヴィンテージ 1945 XXL 25840.0.53.6056

ヴィンテージ1945は1945年に誕生したオリジナルモデルを復刻したクラシカルなコレクション。アールデコのデザインを取り入れているため、非常に気品のある雰囲気を放ちます。

縦36.0mm × 横37.0mmという小ぶりな角型ケースに、美しいブラックダイヤル。シックでありながらもスタイリッシュなヴィンテージ1945は、”通な時計愛好家”が選ぶ玄人好みの時計として人気を博しています。

 

ジラールペルゴ ヴィンテージ 1945

ジラールペルゴ ヴィンテージ1945 25990.0.11.6786

平坦なインダイアルと中央に盛り上がったダイアルが織りなす立体感が印象的な“ヴィンテージ1945・クロノグラフ”。スケルトンハンド、差し色として使われたレッド、○と□の調和など芸術的な息吹を感じさせるタイムピースです。

 

ジラールペルゴ フェラーリ クロノグラフ 8020

ジラールペルゴ フェラーリ クロノグラフ 8020

こちらのモデルはフェラーリとのコラボモデルです。尾錠とダイアル12時位置にはフェラーリの跳ね馬ロゴが配されています。爽やかなブルー文字盤にクロノグラフ、デイト表示と機能性も充実。ブライトリング、パネライ、タグホイヤーもフェラーリとのコラボモデルを発売していますが、その中でもRef.8020はとても上品なデザインだと思います。

 

ジラールペルゴ 1966 49539-52-151-BK6A

ジラールペルゴ 1966  49539-52-151-BK6A

ジラール・ペルゴがジャイロマティック技術を元に、ハイビートムーブメントを初めて発売した年にちなんで名付けられた“1966”コレクション。こちらは文字盤外周にタキメーターインデックスを備えたクロノグラフです。クロノ秒針とインダイアル針のブルースティールが、シルバーダイアル上で差し色として効果的に使われています。ムーブメントはCal.3080を搭載。コラムホイールを文字盤側に置いた特殊な構造です。

 

ジラールペルゴ 1966フルカレンダー

ジラールペルゴ 1966フルカレンダー 49535-52-151-BK6A

フルカレンダーを搭載したK18ローズゴールドモデルです。ヌシャテル天文台100年祭において、ジラールペルゴがクロノメーター部門で100年記念賞を受賞したのが1966年。その40周年を記念して2006年にラインナップされたシリーズです。 ムーブメントにはGP033M0-AL1GAを搭載しています。パワーリザーブ約46時間。30m防水。クラシカルで上品なデザインです。

 

まとめ

ジラールペルゴは世界で4番目に古い時計ブランドであり、その時計の数々からは伝統と歴史を感じ取ることができます。決して目立つブランドではありませんが、ムーブメントの製造技術や気品のあるデザイン性は世界一級品だといえるでしょう。

パテック・フィリップやブレゲといった雲上時計を狙うのも良いですが、敢えて玄人好みのジラールペルゴを選ぶのも粋だと思います。

是非一度ご検討してみてはいかがでしょうか?

 

当記事の監修者

新美貴之(にいみ たかゆき)

(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 店舗営業部 部長

1975年生まれ 愛知県出身。
大学卒業後、時計専門店に入社。ロレックス専門店にて販売、仕入れに携わる。 その後、並行輸入商品の幅広い商品の取り扱いや正規代理店での責任者経験。
時計業界歴24年

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