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グランドセイコーのダイバーズウォッチを評価してみました
最終更新日:
「グランドセイコーのダイバーズウォッチは何がすごいの?」
「グランドセイコー ダイバーズの魅力や特長について詳しく知りたい」
メイドインジャパンの誇り・グランドセイコー。
グランドセイコーはものづくりへの実直な姿勢と確かな技術力を武器に「実用時計の最高峰」としてその地位を確立してきました。
これまで「おじさん腕時計」のイメージが先行していましたが、2017年より母体となるセイコーから独立、購入層の拡大や海外市場への積極的な事業展開を進めています。
そのためか、今グランドセイコーのかっこいいスポーツモデルがとっても熱いんです!
そんな中でもスポーツウォッチの代表、ダイバーズの魅力や特長が知りたいという人は多いのではないでしょうか。
グランドセイコー ダイバーズは、ロレックスのサブマリーナやシードゥエラー、オメガのシーマスターといった有名どころにも負けないかっこよさとスペックを持っています。
この記事ではグランドセイコー ダイバーズの魅力や特長を、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
各モデルの詳細も紹介しますので、ダイバーズウォッチの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
出典:https://www.facebook.com/grandseikojapan/
目次
国産ダイバーズウォッチについて
メイドインジャパンの腕時計が本格的に市場に出回り始めたのは1950年代。 とりわけ1969年、セイコーが世界初のクォーツ腕時計“セイコークオーツアストロン35SQ”を発表し、腕時計をより人々の手に届きやすい安価な量産品にした功績は少なくありません。
国産初のダイバーズウォッチを誕生させたのもセイコー。 通称ツナ缶と呼ばれる、マリーンマスターです。
1965年にその歴史をスタートさせ、当初は150m防水、現行モデルではプロ仕様のダイバーズウォッチ―プロスペックス―にて、3000mもの飽和潜水に耐えうるものに進化しています。
セイコー マリーンマスター プロフェッショナル SBDX016
日本のものづくりのレベルの高さは言うに及ばず、マリーンマスターを始めシチズンやカシオなど、低価格帯で高スペックのダイバーズウォッチを手に入れることは比較的簡単です。
しかし、サブマリーナやシーマスターレベルの高い作り込みに品質。 高いステータス性。 加えて、スポーツモデルながら細部にまで行き渡る高級感を有した「高級腕時計」としての国産ダイバーズウォッチというのは、グランドセイコーを置いて他はないでしょう。
ここがすごい!グランドセイコー ダイバーズ
出典:https://www.facebook.com/grandseikojapan/
グランドセイコーが飽和潜水用モデルを出したのは2017年とかなり最近。 ちなみに飽和潜水とは100m以下の潜水が安全かつ長時間できるようになり、700m以上潜ることも可能となる潜水技術です。
この飽和潜水専用のスペックを持った腕時計は、製造難易度が高いため一部のブランドのみが製造しており、日常で頻繁に見るようなものでもありません。
「最高の普通」というコンセプトのもと、実用時計を堅実に作り続けてきたグランドセイコーにとってはターゲットが異なるためか、こういったオーバースペックモデルというものは存在せず、ダイバーズラインも200m防水に留まっていました。
ダイバーズウォッチというとロレックスやオメガなどスイスメイドが有名なため、住み分けをしていたのかもしれませんね。
しかし2017年にセイコーから独立したことに併せて、600m飽和潜水可能のプロフェッショナルダイバーズモデルを打ち出してきたのです。
外装スペック
出典:https://www.grand-seiko.jp/professionaldivers/
まず驚くべきはそのケース。 ケース径縦50.8mm×横46.9mm×厚さ17.0mmという圧巻のボリュームながら、重量はわずか174g、スペックは600m防水なのです。
ちなみにロレックスのシードゥエラー ディープシーはケース径43mm×厚さ18mmで195g、防水スペックは3900m。 オメガのシーマスター プラネットオーシャンでケース径43.5mm×厚さ16mmで216g、防水スペックは600m防水となっております(ステンレスモデル)。
もちろんどのブランドの腕時計も完成度が高いため一概には言えませんが、グランドセイコーの規格外の大きさでわずか174gというのがいかにダイバーズモデルの中では軽いかおわかりいただけるのではないでしょうか。
秘訣は素材。 ケース及びブレスレットにステンレススティールではなく、ブライトチタンを採用したことによってこの軽量化に成功しているのです。
ちなみにブライトチタンは軽量や強靭であるだけでなく、耐蝕性や耐紫外線に強く、経年の影響を受けづらいため長年に渡って腕時計を愛用することができます。
日本人にとってハイスペックなダイバーズモデルはどうしても重さや装着感が気になってしまうものですが、そこを克服しているところはさすがグランドセイコー。
出典:https://www.instagram.com/grandseikojapan/
さらにムーブメントを内蔵した上から独自のL字型ガラスパッキンを組み込むことにより、世界最高レベルの気密性・防水性を備えました。 この機能は、ヘリウムエスケープバルブを搭載することなく飽和潜水を可能にしているという、他ブランドにはない高い技法です。
ちなみにこの堅牢なケースに加えて、純鉄製文字盤を搭載。 このドットパターンが施されたユニークなダイアルは、高い耐磁性能を有します。
ダイバーズウォッチの象徴でもある逆回転防止ベゼルはダイビンググローブを身に着けながらもグリップしやすい独自の滑り止め加工が施されているに留まらず、固定リングなどとともに何度でも分解してメンテナンスができる構造となっています。
もちろんブレスレットもプロダイバー仕様。 軽く強いブライトチタン製はガッシリと肉厚で、アジャスター方式の中留とともにボリューミーなボディをしっかり支えます。
出典:https://www.grand-seiko.jp/professionaldivers/
ちなみに既存の200m防水のダイバーズモデルもまた、かなり高度なスペックを誇ります。 こちらはステンレススティール製とブライトチタン製の二つのラインナップで、どちらも過酷な環境下での使用を想定し、ベゼルは分解可能な構造に、そしてリューズ周りは泥が付着しづらい設計となっています。
(↑旧ダイバーズスプリングドライブモデルSBGA029)
200m防水モデルにはパワーリザーブインジケータ―も搭載されているので、ダイビングはしないけど水仕事や日常でガンガン使える実用時計が欲しい、という方にもぴったりですね。
ムーブメント
グランドセイコーが世界で戦える秘訣のうちの一つに、ムーブメントが挙げられます。 機械式腕時計はクォーツに比べどうしても精度の面で劣りがちですが、グランドセイコーのブランドコンセプトは「実用時計の最高峰」。
資産やアクセサリーとしてではなく、ビジネスなど正確時間が問われるシーンでその威力を発揮するのが同社の実力なのです。
外装スペックが重要視されがちなダイバーズウォッチでも、その哲学に変わりはありません。
2017年、グランドセイコー初となる飽和潜水用ダイバー600は、世界でも一部のメーカーしか製造することができないハイビートメカニカルムーブメントを搭載しているのです。 振動数は毎時36,000(毎秒10ビート)。
出典:https://www.grand-seiko.jp/collections/SBGH255/
ハイビートムーブメントは非常に精度が良いという特徴がありますが、一方でムーブメントのパーツにかかる負担が大きく、耐久性の面が心配されます。 そのためスペック重視のスポーツモデルでは、あえて振動数を落とすことも少なくありません。
しかし精度にこだわりぬくグランドセイコーは、堂々メカニカルハイビート36000ムーブメントを堅持しました。
出典:https://www.grand-seiko.jp/collections/SBGH255/
また新素材「スプロン610」を採用し、これによって従来のヒゲゼンマイに比べ耐衝撃性は約2倍、耐磁性能も約3倍に向上しました。
安易にパーツを増やしてハイビートを達成するのではなく、ガンギ車の前にガンギ中間車をはさみ、輪列にかかる負荷を分けるシステムを開発。 パーツ形状、寸法精度や表面の仕上を変えるなどまさにグランドセイコーの技術の集大成により、このダイバーズ600は完成しているのです。
さらに、ハイビートに絶対不可欠な動力ぜんまいも新素材を採用し、耐蝕性、耐久性、耐磁性を維持しつつパネ力を約6%、持続時間を約5時間向上させました。
腕につけている状態で日差は+8~1秒、パワーリザーブ約55時間を実現。 ここまでムーブメントにこだわったダイバーズウォッチは、なかなか真似できるものではありません。
出典:https://www.grand-seiko.jp/collections/SBGA231/
200m防水のモデルはやはりグランドセイコーが世界に誇るスプリングドライブが搭載されています。
スプリングドライブとは、ベースは機械式―自動巻き―ムーブメントでありながら、クオーツ並みの精度を誇るセイコー独自のシステムです。
仕組みは、精度を司るパーツにテンプやガンギ車が使われている自動巻きに対して、誤差の少ない水晶振動子―クオーツ―を採用したもの。 駆動原理が自動巻きのまま精度を高めることに成功したグランドセイコーだけの技術です。
また、巻き上げられたぜんまいは針を動かすと同時に発電し、水晶振動子を備えた調速機構を動作させる為、クオーツとは違い電池交換や充電が不要。
まさに自動巻きの味わい深さとクォーツ式の精度と、いいとこどりを叶えた夢のようなムーブメント・スプリングドライブ。 この機構は時計産業界に衝撃を与え、グランドセイコーの名が世界を席巻・高評価を得る大きな所以となりました。
ダイバーズに搭載される9R65はグランドセイコーのラインナップの中でもスタンダードに採用されている名機で、パワーリザーブ約72時間を実現。 耐久性やメンテナンス性に優れており、実用時計としての実力は申し分ありません。
ダイバーズ600のメカニカル(自動巻き)が2017年に廃盤となりましたが、クォーツ搭載モデルも非常に人気がありました。 クォーツというと安価なイメージを持つ方もいらっしゃいますが、グランドセイコークラスともなると異次元。高級腕時計は機械式に限る、といった通説だけでなく、これまでのクォーツの常識すら覆すとささやかれるほど、高精度かつ風格溢れるなものでした。
デザイン
出典:https://www.grand-seiko.jp/professionaldivers/
ダイバーズウォッチの魅力はスペックだけに留まらず、独特のベゼルや堅牢なケースなど、いかにも男らしいデザインにあるのではないでしょうか。 そういった意味では、グランドセイコーのダイバーズは「ダイバーズウォッチ」らしい、壮大な海にマッチした男の時計であるように思います。
シックな黒基調の逆回転防止ベゼル、視認性と精悍さを両立させた力強い針とインデックスには夜光塗料が付されます。 グランドセイコーのデザインアイデンティティでもあるザラツ研磨によって滑らかに整えられたケースは、高級腕時計らしい気品と美しさを備えました。
2017年、セイコーのロゴが消えGSのみとなるとともに、ダイバーズ600では、これまでのグランドセイコーにはない文字盤デザインが採用されました。
細かいドットパターンがあしらわれ、さらにその表面は鏡面仕上がなされます。 これによって光による視認性の妨げを防ぐだけでなく、気泡が太陽の光を受けて輝く様子や見る角度によってストライプ模様が浮かび、浅瀬から深海へと深みをたたえるイメージを彷彿とさせます。
出典:https://www.grand-seiko.jp/professionaldivers/
500本の限定モデルはブランドの象徴でもあるグランドセイコーブルーが海の色どりをよく表現しています。 ロレックスのシードゥエラーもD-ブルーカラーが非常に人気がありますので、トレンドが気になる方も必見のポイント。
4時位置のリューズも、他とは違った独創性を出していますね。
200m防水モデルは3時位置のリューズとなり、よりオーソドックス。価格も安価となります。 グランドセイコーは高級路線へとシフトしたためか、現在最も手に入れやすかったクォーツモデルは生産終了していますが、中古ですと非常にお求めやすい価格で手に入れることができます。
各モデルスペック紹介
①SBGH257 2017年新作 ダイバーズ メカニカルハイビート36000 マスターショップ限定モデル
ムーブメント:メカニカルハイビート36000ムーブメントキャリバー9S85 ケースサイズ:ケース径46.9mm×厚さ17.0mm、重量174g ケーススペック:ブライトチタン製・600m飽和潜水用防水、強化耐磁時計 その他:3針+日付表示機能搭載、パワーリザーブ約55時間、世界500本限定モデル
②SBGH255 2017年新作 ダイバーズ メカニカルハイビート36000 マスターショップ限定モデル
出典:https://www.grand-seiko.jp/collections/SBGH255/
ムーブメント:メカニカルハイビート36000ムーブメントキャリバー9S85 ケースサイズ:ケース径46.9mm×厚さ17.0mm、重量174g ケーススペック:ブライトチタン製・600m飽和潜水用防水、強化耐磁時計 その他:3針+日付表示機能搭載、パワーリザーブ約55時間
③SBGA229 ダイバーズ スプリングドライブ マスターショップ限定モデル
出典:https://www.grand-seiko.jp/collections/SBGA229/
ムーブメント:スプリングドライブムーブメントキャリバー9R65 ケースサイズ:ケース径51mm×厚さ14.0mm、重量201g ケーススペック:ステンレススティール製・200m防水、耐磁時計 その他:3針+日付表示機能、パワーリザーブインジケータ搭載、パワーリザーブ約72時間
④SBGA231 ダイバーズ スプリングドライブ マスターショップ限定モデル
出典:https://www.grand-seiko.jp/collections/SBGA231/
ムーブメント:スプリングドライブムーブメントキャリバー9R65 ケースサイズ:ケース径51mm×厚さ14.0mm、重量137g ケーススペック:ブライトチタン製・200m防水、耐磁時計 その他:3針+日付表示機能、パワーリザーブインジケータ搭載、パワーリザーブ約72時間
⑤SBGX115 ダイバーズ クォーツ マスターショップ限定モデル
ムーブメント:クォーツムーブメントキャリバー9F61 ケースサイズ:ケース径42.5mm、重量198g ケーススペック:ステンレススティール製・200m防水、耐磁時計
⑥SBGX117 ダイバーズ クォーツ マスターショップ限定モデル
ムーブメント:クォーツムーブメントキャリバー9F61 ケースサイズ:ケース径42.5mm、重量198g ケーススペック:ステンレススティール製・200m防水、耐磁時計
この他にも、グランドセイコー横浜高島屋に向けたブライトチタン製20本限定モデルなどバリエーションがあります。
まとめ
「おじさんの腕時計」というイメージが強かったグランドセイコー。 しかしそのこだわり抜かれた品質、腕時計本来の機能を極限まで突き詰める姿勢から、その支持層は非常に厚く根強いものです。
そんなグランドセイコーのものづくりへの情熱が詰まった、大人の紳士のためのダイバーズウォッチ。
ワンランク上を目指したい時、ぜひ選んでいただきたい一本です。
当記事の監修者
南 幸太朗(みなみ こうたろう)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン プロスタッフ
学生時代に腕時計の魅力に惹かれ、大学を卒業後にGINZA RASINへ入社。店舗での販売、仕入れの経験を経て2016年3月より銀座本店 店長へ就任。その後、銀座ナイン店 店長を兼務。現在は営業企画部 MD課 プロスタッフとして、バイヤー、プライシングを務める。得意なブランドはパテックフィリップやオーデマピゲ。時計業界歴13年。