2017年、グランドセイコーの文字盤から「SEIKO」の文字が消えました。
「セイコー=大衆時計」というイメージと一線を画すためグランドセイコーが新たなブランドとして独立したようです。グランドセイコー独立元年に最も相応しいモデルが復刻しました。
出典:https://www.grand-seiko.jp/thefirstgrandseiko/
目次
セイコーは世界最大のマニュアルブランド
スイスメーカーの多くは分業制の「エタブリスール」と呼ばれる方式を採用していました。
これは機械はムーブメント専門業者から、ケースは外装専門業者から仕入れて組み上げるという方法です。
時計産業が国策のスイスとは違い、日本の時計メーカーは部品一つからケースや文字盤までを自前で作らざるを
得ない環境にありました。
スイスのマニュファクチュールブランドでも、ひげゼンマイや外装部品など特殊なものは外注するところも多く、
セイコーが「真のマニュファクチュールブランド」と言われるのはそのためです。
最近流行りのチョコレート「Bean to Bar」のようなものですかね。ちょっと違うか。笑
国産時計と舶来時計の違い
純国産(メイドインジャパン)の腕時計って、それだけでちょっといい気持になりませんか?
でも時計はスイス製が一番だよ、という声が聞こえてきそうです。
歴史的に見ても、欧米の腕時計は芸術品や文化的な嗜好品として、デザインや意匠を楽しむ傾向にあります。
精度が良いだけではなく、美しさとフォルムの良さも求められます。
確かに欧米の時計は色気があるというか、何とも言えない美的センスが感じられるものが多いですよね。
一方で日本の時計は、計器や道具として精度を追求する傾向にあったことは否めません。
それはおそらく元来の日本人の几帳面さと、戦後復興の中で大衆に腕時計を供給していかなければならない
という背景があったんだと思います。
関税が高かったこともあり「高級時計=舶来。実用品=国産。」そういった時代の中で
国産時計が舶来時計よりも優れていることを手っ取り早く証明するには精度で勝るしかない、
という思いは強かったはずです。
国産時計が精度面でも舶来時計に引けを取らなくなってきたのは1958年頃からと言われています。
初代グランドセイコーの誕生
世界と渡り合えるだけの技術を身に着けてきた1960年、満を持して発売したのが「初代グランドセイコー」です。
「世界に挑戦する国内最高級の腕時計を作る」ことを念頭に、当時の技術の粋を集めて作られた初代グランドセイコー。
コンセプトは「実用時計の最高峰」で、高精度・視認性の高さ・耐久性が重視された時計でした。
出典:https://museum.seiko.co.jp/history/company/period2/index.html
スイス優秀級クロノメーター(-1秒~+10秒)に準じた検査を行い、一本一本にクロノメーター証明書を付けて
販売しました。
これは国内では初の試みで、それだけきちんと調整・検査が行われた証明でもありました。
当時の国家公務員の初任給が12000円だった時に販売価格が25000円ということを考えると、当時から相当な高級時計だったようです。
初代モデルの生産本数は3~4年で3万6千本程度ということで、今よりも裕福ではなかった時代だったこともあり、時計にそこまでお金をかけるという感覚はまだまだ薄かったようです。
しかしながら、ここからグランドセイコーはここから第一歩を踏み出し、現在にいたるまで愛され続けきました。
さらには2014年に機械遺産にも登録され、歴史的にも非常に価値の高い時計となりました。
限定復刻した初代グランドセイコー
グランドセイコーがセイコーから独立した記念すべき年に、それに相応しい復刻モデルが登場しました。
それが「初代グランドセイコー リミテッドコレクション」です。
出典:https://www.grand-seiko.jp/thefirstgrandseiko/detail01/
ステンレススチールモデル(1960本限定)、18Kモデルイエローゴールドモデル(353本限定)、
プラチナ999モデル(136本限定)の3種類がラインナップ。
今回の復刻はアンティーク好きも納得の仕上がりで、セイコーさんも相当リサーチしたのでは?と思われます。
ドーム風防の丸みをサファイアガラスで再現。それに伴ってダイヤルも丸みを帯びています。
リューズのSマークや独特なデザインの尾錠、裏蓋のライオンマークもしっかり復元されています。
針やインデックスの形もばっちりですね。
出典:https://www.grand-seiko.jp/thefirstgrandseiko/detail01/
プラチナモデルと金無垢モデルの文字盤6時側には、SD(スペシャルダイヤル)と呼ばれるマーク入り。
これはインデックスが金無垢であることを示したもので、1960年代前半までの一部のモデルでしか見られない高級仕様。
さらにプラチナモデルのみロゴが彫り文字仕様になっているあたり(初代グランドセイコーは初期がプリントロゴ、
中期は凹型の彫り文字ロゴ、後期が凸型のアップライトロゴで、初期と中期のダイヤルはかなり希少)上手いことやるなーとアンティーク好きとしてはニヤっとしてしまいますね。
また、当時の初代グランドセイコーは14金張りが基本で、金無垢モデルやプラチナモデルはごくごく少数、
受注に近い形でのみ販売していたと聞いたことがあります。
したがってアンティークのグランドセイコー1stモデルで金無垢モデルやプラチナモデルが市場に出てくると、
その希少性でとんでもない値段が付いたりします。
その相場がちょうど今回の定価設定になってるあたりも、個人的にはニヤけるポイントですね。
また、まれにステンレスモデルが市場に出てくることがありますが、ステンレスモデルは基本的に存在してない
と言われてますので、真贋はなんとも・・・
そんな中で、復刻でステンレスモデルが出たのも嬉しいところです。
なんだかんだ使い勝手がいいですからね。
ムーブメントはちゃんと手巻きCal.9S64を採用してくれました。
ここまで復刻されててムーブメント自動巻きだと萎えちゃいますからね。
流石です。
出典:https://www.grand-seiko.jp/about/movement/mechanical/9s64/
現在当店には、18Kイエローゴールドモデルがあります。
グランドセイコー 初代グランドセイコー リミテッドコレクション SBGW252
しかも未使用品ですのでどうぞお早めに。
初代グランドセイコーを現代風に解釈したらこうなった
また、この初代グランドセイコーを現代風に解釈した
「9Sメカニカル 初代グランドセイコー リミテッドコレクション2017」という時計もあります。
これは初代グランドセイコーはムーブメントのみならず、外装デザインや素材などにもこだわって作ったことから、
現代ならば初代グランドセイコーはこうなる、というオマージュ作品のような時計です。
ケース径が40.5mmと復刻モデルに比べて大きくなっており、ベゼル幅が広くなっておりダイヤルが奥まった位置にあります。
ケースにはブリリアントハードチタンという素材を使用しており、ステンレススチールよりも強度が2倍ながら軽量化を実現しています。
またシースルーバックになっており、搭載されている自動巻きムーブメントCal.9S68を楽しむことができます。
こちらも当店に在庫あります。
グランドセイコー 9Sメカニカル 初代グランドセイコー リミテッドコレクション2017 SBGR305
こちらも限定となっており生産本数968本です。
これまた未使用品ですので、お早めに。
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