機械式と比べ安価でお求めやすいクォーツ式のクロノグラフ。実際にクロノグラフ機能を使う事は少なくても、プッシュボタンやインダイヤルがアクセントとなり、デザイン性でも人気です。
さて、このクロノグラフの針が、変なところで止まってしまって戻らない……というご相談を頂くことがございます。故障のように見えて故障ではないこの状態。実は簡単な操作で元に戻すことができます!
今回は「ゼロ位置修正」「ゼロ位置合わせ」等と呼ばれるこの操作について、それから、実際本当に不具合が出ている場合との見分け方についてご説明いたします。
今回は「ハミルトン ジャズマスター クロノ クォーツ H32612555」を例にご紹介。
尚、ゼロ位置修正の操作方法については、搭載されているムーブメントによってバリエーションが存在します。ご参考までにご覧くださいませ。
目次
まずはこちらの写真をご覧ください。クロノ針が見やすいよう、時針と分針は6時付近に来るよう時刻を調整してみました。6時側インダイヤルはスモールセコンド(秒針)ですので、リューズを2段引きにするか電池が切れるまでは常に動き続けています。
3つの赤い〇印。只今1時の位置を指している長い針がクロノ秒針、2時側インダイヤルが12時間積算計、10時側インダイヤルが30分積算計です。
それぞれゼロ位置(まっすぐ12時側)からは微妙にズレた位置で止まっていますが……こちら、クロノストップ中ではなく、ストップ後にリセットボタンを押した直後の状態です。普通ならリセットボタンを押せば全てのクロノ針がゼロ位置に戻る筈ですが、ズレてしまっているようです(今回は、意図的に目盛り5つ分ほどズレた状態を作っています! 全てのクロノ針が同じくらいズレるという事はそう無いかと思います)。
このままでは計測に支障が出ますし、何より落ち着かないので、全てゼロ位置に戻していきましょう。
まず、リューズを一段引き(日付変更ができる状態)にします。
Aボタン(2時側プッシュボタン)を押します。
すると、(写真ではお伝えできないのですが)一番長いクロノ秒針がくるっと一周し、先ほどの位置に戻ります。もう一度Aボタンを押すと、今度は12時間積算計がひとりでに一周し、元の位置に。そしてもう一度Aボタンを押すと、30分積算計が一周。
この一周する動きが、「今、ゼロ位置修正の操作対象として選択されている針」を意味します。
デジタル時計を買って日付時刻合わせをするとき、月・日・時・分……という感じで順番に点滅する個所を現在時刻に合わせていくかと思いますが、これと同じイメージで、Aボタンを押して一周した部分の針をこれから操作できる、という事になります。一周したのと別の針を操作したい時は、もう一度Aボタンを押して選択していくわけですね。
Bボタン(4時側プッシュボタン)を押します。
すると……
先ほどAボタンを押して1周したばかりの針を、1目盛りずつ進める事ができます! 長押しをすると一気に進んでいきます。
クロノ秒針がゼロ位置に戻りました! 少し落ち着きますね。
再びAボタンをプッシュ。写真でお伝え出来ませんが、12時間積算計がくるっと一周しました。操作可能な合図ですね。
そこでBボタン。12時間積算計が1目盛りずつ進みます。
ゼロ位置です!
もう一度Aボタンをプッシュ。30分積算計が回ります。
Bボタンを押していくと……30分積算計が進んでいき……
ゼロ位置!
操作は以上です。クロノ秒針、12時間積算計、30分積算計全てのクロノグラフ針がゼロ位置に戻りました! 綺麗ですね。
ちなみに分針を見ると7分ほどで完了しているようですが、今回一生懸命写真を取りながら進めていますので、実際には2~3分でできる作業かと思います。
操作後、必ずリューズを戻すという事を忘れないようお気を付けください!
→上記のゼロ位置ズレについては、起点となる部分がズレているだけですので、クロノグラフを作動させてリセットした際には毎回同じ位置に戻ります。戻る位置がバラバラな場合は、クロノ針にゆるみが出ている可能性があります。
→時計内部の電気系統に不具合が生じている可能性があります。
一見手軽に見えるクォーツ式クロノグラフですが、針ズレの対処方を知らない方は意外と多いです。
また、もともとが安価なため”壊れてしまった・・”と勘違いされる方も中にはいます。そんな時は是非この記事をご参考ください。本当に故障していなければちゃんと元に戻ります。