「IWC パイロットウォッチ マーク20って何がすごいの?」
「マーク20の魅力について詳しく知りたい」
数あるパイロットウォッチの中でも、非常に熱心なファンが多いのがIWCのマークシリーズです。
1948年にIWCが発表した、パイロットウォッチの完成型と名高いマーク11のDNAを受け継ぐマークシリーズ。
優れた視認性や耐磁性、気密性などといったパイロットウォッチに必要な機能を備えていることに加えて、この機能美が活きた外観が、アイコンとして確立している名作シリーズと言えるでしょう。
そんなパイロットウォッチ マークシリーズは何度かのモデルチェンジを経ています。
現行は2016年に誕生したマーク18でしたが、2022年、最新版としてマーク20がIWCのカタログに並ぶこととなりました。
そんなマーク20の魅力について知りたいという人は多いのではないでしょうか。
マーク20は確かな存在感をもってカタログに仲間入りを果たしています。
この記事ではマーク20の魅力について、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
価格についても紹介しますので、IWC パイロットウォッチの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
出典:https://www.iwc.com/jp/ja/home.html
目次
IWC 新作パイロットウォッチ マーク20(マークXX) スペック
スペック
外装
ケースサイズ: | 直径40mm×厚さ10.8mm |
素材: | ステンレススティール |
文字盤: | ブラックまたはブルー |
ムーブメント
駆動方式: | 自動巻き |
ムーブメント: | Cal.32111 |
パワーリザーブ: | 約120時間 |
機能
防水: | 10気圧 |
定価: | 643,500円(税込) |
IWC 新作パイロットウォッチ マーク20(マークXX)とは?
マークシリーズらしい機能美を受け継いだと思しきマーク20。
マーク18とデザイン面で大きな違いは見受けられないように思われますが、いったいどのような進化を果たしたのでしょうか。
詳細を解説いたします。
①パイロットウォッチのマークシリーズってどんな時計?
冒頭でも言及しているように、IWCのマークシリーズは1948年に誕生したマーク11から歴史を刻み始めました。
出典:https://www.iwc.com/jp/ja/company/history.html
マーク11は視認性を高めるため、アラビア数字にセンターセコンドのスタイルを採用し、文字盤12時位置には三角マークを配置。さらに初めて軟鉄製インナーケースを採用した耐磁モデルとしても知られており、コックピット内での高い磁場においても機能を損なわないことが配慮されました。つまりマーク11とは、「見やすい」「どんな環境下でも正しい時刻を読み取れる」等の特性を備えた、純然たるパイロットウォッチであったことが大きな特徴となります。
マーク11は英国空軍の飛行監視要員向けの腕時計として制式採用され、30年以上に渡って同空軍で愛用されていきました。シリーズ名の「マーク」は英国空軍が自軍の機器に用いていたナンバリングから由来していると言われています。
※余談ですが、IWCのパイロットウォッチには「マーク9」「マーク10」と呼ばれる個体も存在します。
マーク9は1936年にIWCが生み出した民間航空会社向けの製品で、本来の名前はスペシャル・パイロット・ウォッチです。軟鉄製インナーケースこそなかったものの、このスペシャル・パイロット・ウォッチには既に耐磁性脱進機が備わっておりました。さらにその後継機として誕生したW.W.W、Watch(Wrist、Water proof)がマーク10と呼ばれています。前述の通りマークは英国空軍に由来した呼称であるため、マーク9・マーク10は後年から使われた通称となります。
パイロットウォッチは人類の航空史とともに発達を遂げてきましたが、1930年代という早い時期にこういった名作を生み出していたIWCは、パイロットウォッチの黎明を担った立役者の一人と言えますね。
さて、このように英国空軍に制式採用されていたマーク11ですが、市販されていたのはごく少量であったようです。
民生市場に打って出たのは1994年。「マーク12」として発表されました。
マーク12は、マーク11で確立していた耐磁性能や気密性を有する一方で、ジャガールクルト製Cal.889をベースに改良した自動巻きCal.884/2を搭載したことで知られています。このムーブメントは薄型なことに加えて、玄人好みということもあり、生産終了した今なお中古市場で根強い人気を誇ります。
現行には少ない直径36mmという上品なケースサイズも素晴らしいですよね。
その後1999年にマーク15が登場。ムーブメントをETA製Cal.2892A2ベースとし、ケース直径は38mmへとアップサイジングされました。
※左からマーク15/マーク16/マーク17
2006年にはケース直径39mmのマーク16が、2012年にはケース直径41mmのマーク17が誕生し、2016年にマーク18の誕生へと至ります。
ケースサイズやディテールは変遷しているものの、基本的なコンセプトやデザインは大きく変えずに着々と進化を果たすところに、IWCの質実剛健さやマークシリーズの渋みが出ていますよね。
なお、マークシリーズに「13」「14」はありません。今回マーク18からマーク20へと進化したことからもわかるように、「19」も当該シリーズには存在しないこととなります。
②新作パイロットウォッチ マーク20の実力
出典:https://www.iwc.com/jp/ja/home.html
それでは新作パイロットウォッチ マーク20をご紹介いたします。上記画像は、左がマーク20、右がマーク18です。
前述の通り、画像を見るとマーク20はマーク18から大きく変わっていませんね。ケースサイズも変わらず直径40mmとなっております。
見やすいアラビア数字や12時位置の三角インデックス、そして見た目にも美しい、鋭い時分針に夜光がたっぷり施されているところも、お馴染みのスタイルです。
ケースはサテン仕上げがベースとなっており、落ち着いた雰囲気。一方でベゼルやケースエッジはポリッシュで仕上げられることで、IWCらしい立体感、すなわち高級パイロットウォッチとしてデザインが完成されていることが見て取れます。
出典:https://www.iwc.com/jp/ja/home.html
もっとも、細かい部分でモデファイされているのは、さすがIWCか。
ベゼルの鏡面部分が増えることで光沢が増し、スタイリッシュな印象に。時分針が黒からシルバーとなったことで、このスタイリッシュさはいっそう強調されているように思います。
ミニッツスケールもわずかに変更され、またカレンダーディスクが白地となり、メリハリの効いた顔立ちに仕上がりました。
ケース厚は11mmから10.8mmと薄型化しております。ラグもわずかに短くなっているため、薄型化と相まって、装着感は向上していると見て良いでしょう。
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裏蓋にエングレービングされたユンカース社製航空機Ju 52はお馴染みですが、一方で防水性は従来のマークシリーズでは6気圧であったことに対し、10気圧まで高められることとなりました。
さらに特筆すべきは、新しい自動巻きムーブメントCal.32111の存在です。
IWCの32000系は2019年に発表されました。
出典:https://www.iwc.com/jp/ja/home.html
3針用ムーブメントとして主にパイロットウォッチに搭載されており、マークシリーズにもモデルチェンジのタイミングで載せ替えられるのではないか、と言われていましたが、ついに2022年に敢行されましたね!
このムーブメント、IWCらしく堅牢性や信頼性を備えていることは言わずもがな。加えて約120時間、すなわち約5日間の十分なパワーリザーブを獲得しています。従来のETAまたはセリタをベースとした3針ムーブメントはパワーリザーブ約42時間であったため、大幅なスペックアップと言えますね!
ちなみにCal.32000系はロングパワーリザーブの実現のためにシリコン製脱進機を採用し(32000系が、IWC史上初とのこと)、高効率な稼働を可能としましたが、同時にシリコンは耐磁性能に優れており、近年では様々な人気時計ブランドが採用している素材となります。
加えて、「EasX-CHANGE」システムが搭載されていることもミソ!
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「EasX-CHANGE」システムはオーナー自身が特別な工具なしに、容易にストラップ交換できるこを実現した画期的なシステムになります。カルティエやヴァシュロンコンスタンタンなども採用している、こういった工具無しのストラップクイックチェンジシステムですが、近年ではIWCもパイロットウォッチを中心に搭載をスタートさせています。
出典:https://www.iwc.com/jp/ja/home.html
国内定価は643,500円。
ちなみにマーク18の定価が572,000円であることを鑑みると値上がりしていることになりますが、大きくスペックアップしていること。またクイックチェンジシステムが搭載される等、利便性がいや増していることを鑑みれば、高すぎるということはありませんね。
バリエーションは、今のところはブラック・ブルーのみ。マーク18で人気カラーのホワイト文字盤や、ブレスレットモデルはホームページには掲載がありません。個人的にはブレスレットモデルのマークシリーズも好きなので、追加されると嬉しいところです。
なお、従来のマークシリーズでは、ブルー文字盤はプティプランスモデルが対象でしたが、マーク20ではレギュラーモデルとしてラインナップされています。
また、現在はマーク18・マーク20ともに併載されているようです(2022年7月23日現在)。
新型マーク20はまだブティックでも入荷が少ないとのことですが、IWC屈指のロングセラーにして傑作シリーズの最新版。早く実機を手に取って、腕に乗せてみたいですね!
まとめ
IWCの大人気マークシリーズの最新版、パイロットウォッチ マーク20についてご紹介いたしました。
2022年はパイロットウォッチの年とIWCから銘打たれ、様々な新作が意欲的に発表されていますが、マーク20は実にひっそりと、しかし確かな存在感をもってカタログに仲間入りを果たしました。
また今後も、IWCのラインナップが楽しくなっていきそうです!
当記事の監修者
田中拓郎(たなか たくろう)
高級時計専門店GINZA RASIN 取締役 兼 経営企画管理本部長
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
当サイトの管理者。GINZA RASINのWEB、システム系全般を担当。スイスジュネーブで行われる腕時計見本市の取材なども担当している。好きなブランドはブレゲ、ランゲ&ゾーネ。時計業界歴12年