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「ジャガールクルトのレベルソって何がすごいの?」
「ジャガールクルト レベルソの歴史や魅力について知りたい」

ジャガー・ルクルトは1833年に創業されたスイスの高級時計ブランドです。

現在はスイス ル・サンティエに拠点を置き、ケースからムーブメントまで自社一貫製造を行うマニュファクチュールメーカーとして最高品質の時計を製造しています。

これまで1,000種類以上のムーブメントを開発してきたジャガールクルトですが、一番有名なモデルといえば真っ先に1931年発表のレベルソが挙げられるでしょう。

そんなジャガールクルト レベルソの歴史や魅力について知りたいという人は多いのではないでしょうか。

ジャガールクルトは機械式時計の歴史に大きく貢献した「技術屋」と表現されるブランドです。

この記事ではジャガールクルト レベルソの歴史や魅力を、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。

レベルソのケースの表面と裏面についても紹介しますので、ジャガールクルトに興味がある方はぜひ参考にしてください。

ジャガールクルト レベルソ

 

ジャガールクルトの歴史

ジャガールクルトは1833年に『アントワーヌ・ルクルト』によって創立された老舗時計ブランドです。同ブランドは最初から華やかな活躍を成したブランドではなく、ル・サンティエ村の小さな時計製造アトリエとしてスタートしました。

元々ルクルト氏は時計技師というよりは、優れた部品製造技術を持つ「発明家」。そのため、ルクルト氏は数々の画期的な機構やデザインを発明しながら時計製造の腕を磨いていった、時計技師としては異色の人物でもあります。

そんなルクルト氏に転機が訪れたのは19世紀前半のこと。彼が発明した「ミリオノメーター」と「竜頭巻き時計」が時計界に多大なる影響を与えたのです。

アントワーヌ ルクルト

出典:https://www.hautehorlogerie.org/jp/brands/brand/h/jaeger-lecoultre/

 

ミリオノメーター

ルクルト氏は1844年に「ミリオノメーター」という画期的な計器を開発し、独自の時計生産システムを構築します。これが、ジャガールクルトの栄光を支えた原点となりました。

ミリオノメーター ジャガールクルト

出典:https://www.hautehorlogerie.org/jp/brands/brand/h/jaeger-lecoultre/

「ミリオノメーター」はミクロン単位を測定できる史上初の計器として発明された革命的計器です。このミリオノメーターが作られたことにより、ジャガールクルトは他社と比べものにならないほど精密な部品製造を可能としました。

そして、のちにこの発明は時計製造の歴史を変えた発明とも言われるようになります。

 

竜頭巻き時計

1847年には初の竜頭巻き時計を開発。この発明も時計の歴史を大きく変えることとなりました。

鍵無し懐中時計 ジャガールクルト

出典:https://www.hautehorlogerie.org/jp/brands/brand/h/jaeger-lecoultre/

当時の懐中時計は文字盤に穴が開いており、この穴に鍵を入れる事でムーブメントを巻き上げるシステムが主流。しかし、ルクルト氏が開発した竜頭巻き機構は「鍵の代わりに竜頭と小さなボタンを用いるシステム」であり、鍵の必要性をなくしました。

開発から4年後、この機構を使った懐中時計は1851年のロンドン万国博覧会で金賞に輝き世界トップの技術力を証明します。

 

留まることを知らないジャガールクルトの発明と技術

時計機構の発明といえば真っ先にブレゲが浮かびますが、アントワーヌ・ルクルトもブレゲに引けをとらないほど時計の歴史に大きく貢献したといえるでしょう。トゥールビヨンやパーペチュアルカレンダーといった華やかさはありませんが、ルクルト氏の発明は時計の精度を決める細かな部分で多大な力を発揮しました。

「ミリオノメーター」と「竜頭巻き時計」の開発後、ルクルト氏は1866年に息子のエリーとスイス ジュウ渓谷にマニュファクチュールブランド「LeCoultre & Cie 」を創設し、ムーブメントの量産体制を整えます。1881年にルクルト氏はその生涯を終えますが、その魂は息子エリーと500にも及ぶ従業員に受け継がれていきました。

以降、LeCoultre & Cieは数々の発明を次々と発表。1900年までに約350種類以上のムーブメントを作り上げました。もちろんその時計の中にはクロノグラフモデルやミニッツリピーターといった複雑機構モデルも含まれています。

ジャガールクルト ムーブメント

出典:https://press.jaeger-lecoultre.com

20世紀に入ってからは、世界3大時計ブランドである「パテックフィリップ・オーデマピゲ・ヴァシュロンコンスタンタン」にムーブメントを供給し、まさしく世界トップの技術力を誇るムーブメントメーカーへと成長を遂げます。

また、この時代には半永久的に動く機械式時計「アトモス」、世界で最も小さい機械式ムーブメント「キャリバー101」、そして世界で最も薄い機械式ムーブメント「キャリバー145」を開発し、レベルソ誕生の礎を築きました。

ジャガールクルト 薄型ムーブメント

出典:https://www.hautehorlogerie.org/jp/brands/brand/h/jaeger-lecoultre/

キャリバー145の製造を切っ掛けにLeCoultre & Cieの取締役であったアントワーヌ・ルクルトの孫『ジャック・ダヴィド・ルクルト』は『エドモンド・ジャガー』と協力体制を取る事を決め、1937年に『ジャガー・ルクルト』 ブランドが正式に誕生しました。

 

レベルソの誕生

時計界最高の技術屋としての地位を確立したジャガールクルトは1931年にフラッグシップモデル「レベルソ」を開発します。

レベルソは世界で最も古い歴史をもつスポーツ競技「ポロ」の競技者が”衝撃に耐えうる腕時計”を要望したことにより製造されたモデルです。この当時のガラスはまだサファイヤガラスが採用されておらず、プラスチック風防が使用されていました。そのため、馬に乗って駆け回る過酷なスポーツであるポロでの仕様に耐えるためには「完全に風防を守る」必要があったのです。

そこで、ジャガールクルトが考案したのが現在のレベルソでも採用されている”文字盤を180度回転させる”という前代未聞のデザインでした。

ジャガールクルト レベルソ

レベルソはラテン語で「回転させる」という意味を持ち、ケースの表裏に別の文字盤を持つことで知られている特長的なモデルです。ケースを180度回転させて文字盤を保護するというアイデアによって作られたレベルソは、これまでの常識では考えられない発明であり、時計界に大きな衝撃を与えました。

ジャガールクルト レベルソ

出典:https://www.hautehorlogerie.org/jp/brands/brand/h/jaeger-lecoultre/

また、レベルソはケースや文字盤だけでなく、ベルトやバックルにも工夫が施されていることも見逃せないポイントです。

例えば、バックル。

ポロは馬に乗ってスティックで球を打つ激しいスポーツのため、とにかく時計が腕から落ちないことが求められました。そこで、採用されたのがDバックルです。

レベルソ Dバックル

Dバックルは着脱が簡単で、尚且つ時計を落とす危険も少ないということで、コチラが採用されました。

ちなみにモデルによってはラバーストラップが採用されているものもあり、そのラインナップは豊富です。加えてメンズモデルだけでなく、レディーサイズもありますので男女を問わずご利用頂けます。

 

超薄型ムーブメント

1931年から現在まで、レベルソに搭載されているのは180度回転させるために設計された超薄型の四角形ムーブメントです。ムーブメントには第2時間帯を刻めるGMT機能を備えたモデルや8日間パワーリザーブ機能、ゴージャスなダイヤモンドの装飾など多彩なラインナップが用意されており、その全てが極薄なことは実に驚異的。

 

■手巻きムーブメント Cal.822系

822系

出典:https://www.jaeger-lecoultre.com/jp/jp/watches/reverso.html?JLCclick=MyJLCSubHome

パワーリザーブ約42~45時間、振動数21,600/時。

 

■手巻きムーブメント Cal.853系

853

出典:https://www.jaeger-lecoultre.com/jp/jp/watches/reverso.html?JLCclick=MyJLCSubHome

一つのダイアル上に時分、日付、曜日、月、ムーンフェイズを表示するトリビュートカレンダー機能搭載。
パワーリザーブ約42時間、振動数21,600/時。

 

■手巻きムーブメント Cal.944

944

出典:https://www.jaeger-lecoultre.com/jp/jp/watches/reverso.html?JLCclick=MyJLCSubHome

ミニッツリピーター搭載ムーブメント。
パワーリザーブ約35時間、振動数21,600/時。

 

■1000時間の品質検査

1992年からジャガールクルトでは全てのムーブメントに1000時間の品質検査を施しています。例え莫大なコストをかけて作った高性能ムーブメントであろうとも独自の非常に厳格な1000時間品質検査を通らなかったものは商品化しません。そして、その基準はクロノメーター規格を上回る厳格なものとして知られています。

この品質への拘りこそ、ジャガールクルトが多くの時計ファンに愛されている理由なのでしょう。

 

レベルソの表と裏を並べてみました

レベルソは文字盤が180度回転するという画期的な機構が組み込まれていますが、実はモデルによって「裏面」が異なるユニークな特徴が隠されています。

そこで、レベルソの代表的なモデルの表・裏をまとめてみましたのでご覧ください。あなたはどのタイプの裏面がお好みでしょうか?

 

裏面がシースルーバック

ジャガールクルト グランド レベルソ ジャガールクルト グランド レベルソ

ジャガールクルト グランド レベルソ カレンダー Q3758420

こちらはジャガールクルト自社製手巻きムーブメント843を搭載したモデルです。時、分、日付、月、曜日のほかにムーンフェーズを搭載しています。ケースがシースルーバックになっていますので、レベルソらしい角型のムーブメントをお楽しみいただけます。実用性とクラシカルな美しさを備えたモデルです。

 

裏面がデイ/ナイトの文字盤

ジャガールクルト レベルソ デュオ ナイト&デイ  ジャガールクルト レベルソ デュオ ナイト&デイ

ジャガールクルト レベルソ デュオ ナイト&デイ 270.8.54 シルバー/ブラック

表面と裏面で違う表情を見せるレベルソだけの独創的なモデルがこの”デュオ”。昼と夜をイメージして作られた文字盤は美しい2面性を表現します。いつの世でも色褪せない普遍性の高さも大きな魅力です。

 

裏面をシンプルにした耐久性重視タイプ

ジャガールクルト レベルソ ウルトラスリム ジャガールクルト レベルソ ウルトラスリム

ジャガールクルト グランド レベルソ ウルトラスリム Q2788520

時を越えて愛される崇高な逸品“レベルソ”。こちらのモデルは製造当初の「ポロ競技中の衝撃からダイアルを守る」というコンセプトを忠実に守った作りとなっており、裏面には何も配していません。ムーブメントには自社製手巻きCal.822を搭載し、確かな精度を保証しています。

 

裏面がまるで違うデザイン

ジャガールクルト グランドレベルソ ジャガールクルト グランドレベルソ

ジャガールクルト グランドレベルソ レディ ウルトラスリム デュエットデュオ Q3308421

女性用モデルであるレベルソデュエットは、ナイト&デイと比較すると文字盤のデザインが大幅に違います。表面こそシルバーダイヤルのシンプルなデザインとなっていますが、裏面はダイヤとシェル文字盤を配したとても華やかなデザインです。

 

まとめ

ジャガールクルトは機械式時計の歴史に大きく貢献した「技術屋」とも呼べる時計ブランドです。知名度こそロレックスやオメガといった定番ブランドに劣りますが、実は時計愛好家に根強い人気を誇る玄人向けの人気ブランドとして知られています。

ジャガールクルトが長い歴史の中で積み重ねた特許は約400件。これだけの技術が支持されないわけがありません。

ステータス性よりも時計のメカニカルな部分に魅力を感じる人にこそ、ジャガールクルトの時計は似合うのではないでしょうか。

 

当記事の監修者

南 幸太朗(みなみ こうたろう)

(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン プロスタッフ

学生時代に腕時計の魅力に惹かれ、大学を卒業後にGINZA RASINへ入社。店舗での販売、仕入れの経験を経て2016年3月より銀座本店 店長へ就任。その後、銀座ナイン店 店長を兼務。現在は営業企画部 MD課 プロスタッフとして、バイヤー、プライシングを務める。得意なブランドはパテックフィリップやオーデマピゲ。時計業界歴13年。

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