世界最高峰の超高級時計を製造するドイツブランド「ランゲ&ゾーネ」。
ドイツ時計産業の英知を結集したような美しい銘品の数々は、憧れの存在です。一部の時計愛好家からは、世界で唯一パテックフィリップに追随できるブランド、とも語られています。ロレックスやオメガなどと比べると知名度は高くありませんでしたが、近年の歴史的周年モデルのリリースによって、その存在感は高まるばかりです。
この記事では、ランゲ&ゾーネの歴史やなぜ「凄すぎる」のか、同社の魅力を余すことなくご紹介いたします。
また、ランゲ1を筆頭にサクソニアやダトグラフ,最新作のオデュッセウスといった同社の人気シリーズも併せてご紹介いたしますので、ぜひ至高の時計の一端に触れてみてください。
目次
ランゲ&ゾーネとは?
ランゲ&ゾーネはドイツ・グラスヒュッテで創業された世界5大腕時計の一角をなすメーカーです。
「ランゲとその息子たち」という意味をもつメーカー名には、連綿と続いてきた時計師一族の重みがあります。
しかしながらその歴史は、決して安泰と言えるものではありませんでした。
歴史
創業者はフェルディナント・アドルフ・ランゲ氏です。
1845年、ドイツはグラスヒュッテに工房を構えました。
グラスヒュッテは今でこそノモスだ、グラスヒュッテ・オリジナルだ、モリッツ・グロスマンだとご当地有名時計メーカーが少なくありませんが、実はその礎はランゲ&ゾーネが築いていたことをご存知でしょうか。
当時、山々に囲まれ辺鄙な場所に位置していたグラスヒュッテは、産業奨励を大きな課題としていました。
かつて栄えた銀鉱山が枯渇しており、街全体が貧困に直面していたためです。
そこでアドルフ・ランゲ氏が時計工房をつくることで、ドイツ時計製造の中心地に成長させていくこととなります。
その後、アドルフは二人の息子に恵まれます。
父親譲りの職人魂と経営手腕を持った長男リヒャルト・ランゲ氏および次男ミール・ランゲ氏が工房に加わった1868年、現在にも続くA.ランゲ&ゾーネ―ランゲとその息子たち―の名称が誕生しました。
ドイツの好景気に後押しされ、ランゲ&ゾーネは黄金時代を過ごします。
その時代、普仏戦争(プロイセン=フランス戦争)によってフランスに勝利したドイツは、これまでフランスに後塵を拝していた軍事・経済両面で大きな飛躍を遂げることとなり、加えて第二次産業革命が追い風となり、ヨーロッパ全土が華やかな空気に包まれていたのです。
※1902年に製造されたグランド・コンプリケーションNo.42500。チャイミング機構,ラトラパンテ・クロノグラフ,フドロワイヤント(1秒で針が1回転する仕様のこと),ムーンフェイズ,永久カレンダー等が搭載された、ランゲ&ゾーネ史上最も複雑なムーブメントと言われているが、20世紀初頭から既にこれだけの超絶機構を製造していたのだから恐れ入る
画像引用:A. Lange & Söhne
しかしながら第一次世界大戦での敗北とその後のファシズム台頭により、黄金期は終焉します。
第二次世界大戦下ではランゲ&ゾーネの時計工房(そしてランゲ&ゾーネ以外のドイツ時計メーカー)は軍需工場となり、かつソビエト連邦からの空襲によって焼失してしまいます。
もっともドイツ時計産業は既に円熟を迎えていたため、軍用時計としてドイツ軍をよく助けることとなりました。
さらに戦後、東ドイツ側に与したグラスヒュッテの各種産業は国営会社となったことから同工房もグラスヒュッテ国営時計会社に統合。
当主であった4代目ウォルター・ランゲ氏は西側に亡命し、ランゲの名は時計市場から姿を消していきました。
※このグラスヒュッテ国営会社(GUB)が後に民営化し、グラスヒュッテ・オリジナルとなった
新生ランゲ&ゾーネの誕生
二つの戦火によって、一時は消滅してしまったランゲ&ゾーネ。
しかしながらウォルター・ランゲ氏は、着々と復活の機会を窺っていました。
1989年にベルリンの壁が崩壊し、翌年にドイツ悲願の東西統一が果たされるやいなや、ウォルター・ランゲ氏はグラスヒュッテに舞い戻ります。
そして、ランゲ&ゾーネ(当初はランゲ時計株式会社)の名で、時計工房を再設立しました。
なお、この復活に一役買ったのが、当時IWCおよびジャガールクルトのCEOを務めていた故ギュンター・ブルームライン氏です。
氏は、後年ランゲ&ゾーネのCEOにも就任しました。
たまたまIWCが加わるマンネスマン・グループでウォルター・ランゲ氏が働いていたため、お声がかかった、と言います。
画像引用:A. Lange & Söhne
新生ランゲが誕生した1990年代はクォーツショックがひと段落し、再び機械式時計が返り咲きつつあった時代でした。
そこでウォルター・ランゲ氏は、同ブランドが伝統的に大切にしてきた「繊細な手作業」「グラスヒュッテ様式」をブランド製品の哲学とし、1994年にランゲ&ゾーネの名前を復興。
同時に「ランゲ1」「サクソニア」「アーケード」「トゥールビヨン“プール・ル・メリット”」の4モデルをローンチしました。
それらの新モデルは約50年も休眠していたとは思えないほどの出来栄えで以て、プレスリリースの場に集まった取材陣や業界人を圧倒させました。
とりわけランゲ1は―その魅力は後述するとして―94年当時から今に至るまで、ランゲ&ゾーネの顔として愛好家からは認知されています。
現在のランゲ&ゾーネ
画像引用:RICHEMONT
現在のランゲ&ゾーネは、リシュモングループ傘下となります。
2000年、IWCとともにグループに加わりました。
リシュモングループ下の企業の多くがラグジュアリーブランドで、カルティエやジャガールクルト、ヴァシュロンコンスタンタンなどが名を連ねますが、その中でもランゲ&ゾーネは異彩。
後述しますが、ムーブメントにも外装技術にも驚かされるほど強いこだわりを持つ、あらゆる産業と比較しても稀有なブランドと言えます。
現在、時計製造にもオートメーション化の波が来ており、昔ながらの機械式時計でも大量生産がある程度は可能になってきました。
しかしながらランゲ&ゾーネはあくまで職人たちの手作業にこだわり、しかもグラスヒュッテ伝統技法(こちらも後述)を逸脱しません。
もうこれは、工芸品とか美術品とかいった類の話です。
パテックフィリップに次ぐ超高級時計メーカーと言われる由来がわかりますね。
現行は復活時に発表したシリーズの他(レディースラインであったアーケードは現在では生産終了)、シンプルで洗練された「1815」(1995年~)、そして2019年、同社初のステンレススティール製スポーツウォッチラインとして登場した「オデュッセウス」などを柱に製品展開を行っています。
世界最高のクロノグラフと名高い「ダトグラフ」は(1999年~2020年)、2020年に惜しまれつつ生産終了となりました。
ランゲ&ゾーネの価格と中古市場
製造本数に限りがあること。
加えて一本いっぽんにコストがかかることから、ランゲ&ゾーネはやはり価格帯が高め。
定価は300~600万円は当たり前、複雑機構搭載モデルであれば、2000万円をゆうに超えるモデルも存在します。
一方で中古であれば、状態や付属品の有無,モデルにもよりますが価格を抑えることが可能です。しかしながら200万円を切る個体はほとんどないと言ってよく、中には高級車一台買えるレベルのものも!
当店GINZA RASINで販売したランゲ&ゾーネの主要シリーズの、平均中古価格を調べてみました。
- ランゲ1…598万円
- サクソニア…317万円
- ランゲマティック…※147万円
- 1815…364万円
- ダトグラフ…1298万円
※入荷数が著しく少ないモデルは除く。ランゲマティックの価格は5年前までのものです。
また、前述の通り、状態や付属品の有無で中古価格は大きく上下します。
ランゲ&ゾーネは時計愛好家から絶大な支持を集めるツウ好みのブランドですが、時計好き以外の認知度はそれほど高くありません。
そのため、パテックフィリップやオーデマピゲに比べ、実勢相場が抑えられる傾向にあります。
サクソニアや1815ならば300万円前後で購入することができるため、品質を加味すると雲上系の中では価格メリットの大きいブランドであると言えるでしょう。
また、ランゲ&ゾーネはドイツブランド最高峰の時計らしい「質実剛健」な作りを持つことから、ムーブメントの堅牢性が高く、状態の良い個体が多いのも特徴です。
外装に関しても一貫して手作業で仕上げを行なっているため、質感も非常に優れています。
一生モノの時計としても高い評価を得ており、中古購入における満足感の高さは、他のブランドを圧倒しています。
高価格帯にもかかわらず、ランゲ&ゾーネに憧れてファンになる時計好事家たちは後を絶ちません。
各モデルの魅力は次項にて解説しますが、時計好きであれば間違いなくその芸術性の虜となることでしょう。
「いつかは持ちたい」「一度持ったら手放せない」そんな風に言われることもしばしばです。
2019年には新生ランゲ&ゾーネが「ランゲ1」「サクソニア」など4モデルをリリースし、本格的に復活を果たした25周年の節目ということもあり、数々のアニバーサリーモデルが輩出されました。
わずか25年でランゲ&ゾーネは時計業界トップクラスのハイブランドとして認知されることとなりましたが、その勢いはまだ止まりそうにもありません。
ランゲ&ゾーネのおすすめモデル一覧
ランゲ&ゾーネが作る時計は唯一無二の最高級の時計ばかり。
最も有名なモデルはランゲ&ゾーネの復活の象徴”ランゲ1″ですが、その他にもランゲの魅力が詰まった素敵な時計が数多く存在します。
ここではランゲが誇る”7つの人気モデル”を是非ご覧下さい。
おすすめ①ランゲ1
ランゲ1は1994年に発売された”ランゲ復活”としての記念碑的なモデルです。
発表から30年弱。当時から今に至るまでランゲ1はランゲ&ゾーネの顔であり、2019年の25thアニバーサリーモデルでも大きな話題を呼びました。
画像引用:A. Lange & Söhne facebook
ランゲ1とは、かつてアドルフ・ランゲが師匠であるグートケスと共に作った「ドレスデンのオペラハウス」に設置されている5分時計をモチーフに作られた「歴史と伝統」を重んじる時計でもあります。
しかしながら何よりの特徴と言えば、その文字盤にもあるでしょう。
よくあるセンター3針ではなく、大胆に文字盤をオフセットした、アシンメトリー(非対称)構成がまず目に飛び込んできます。
1時位置のアウトサイズデイトがまた個性を発揮していますね。
これは、黄金比を用いて緻密にレイアウトされているとのこと。
メインダイアル・スモールセコンド・アウトサイズデイトの中心点が正三角形を成しており、アウトサイズデイト表示の寸法も、黄金分割比に従う均整のとれた構成になっています。
この左右非対称に配置された斬新な文字盤は、発表当時世界に鮮烈な衝撃を与えました。
なお、通常時計の画像は針が10時10分を指した状態で撮影されます。
これが時計を美しく見せ、かつ文字盤の全体像をつかみやすいと言われている時分針の位置であるためです。
しかしながらランゲ&ゾーネでは、自社製品を反対の1時51分で撮影しています。
なんでも、それが自社製品を最も美しく、最もバランス良く見せる位置とのことです(ランゲ1に限らず)。
さらに言うとランゲ&ゾーネははただ新作ムーブメントを製造するだけでなく、既存ムーブメントのブラッシュアップにも力を入れています。
ランゲ1初代の基幹ムーブメントはL901.0でしたが、2015年より新式のL121.1が搭載されるようになりました。
この新世代にしてランゲ50機目となる次世代ムーブメントは、3/4プレートが本格的に一枚岩になったことが特徴です。
画像引用:A. Lange & Söhne
また、ユーザビリティも向上しており、テンプが大型化され偏心錘搭載となったこと。
かつ緩急針ではなく自社製フリースプラング式となったことも特筆すべき点です。
この偏心錘搭載テンプでは、偏心錘を回転させることによって調整を担うヒゲゼンマイへの負担を少なくし、かつテンプの片振をなくすため左右の振り角が均等になります。
つまりどういうことかと言うと、振り角が均等になることで微妙な精度差を調整し、高いレベルでの正確性を確保できる、というわけです。
また、瞬時日送り機能が追加され、これまで30分ほどかかっていたデイト切り替えがアップデートされる,そしてパワーリザーブが約72時間に延長されるなど、より実用性を意識した造りになったことは間違いありません。
※L901.0
とは言え、L121.1搭載モデルはまだ製造期間6年ほどと、そう多く流通しているわけではありません(もともとどの製品も製造本数が著しく少ないこともありますが)。
ランゲ&ゾーネの製品は高価格帯であることから中古でお求めになる方もいらっしゃるでしょうが、そういった方は旧式L901.0搭載モデルをお選びになることも少なくないでしょう。
でも、ご安心ください。25年以上経つ今なお名機として名を馳せており、同社の至高の技術力を味わえることはどちらの機械であっても変わりはありません。
なお、現在ランゲ1にはいくつかのラインナップがあるので、一部を以下でご紹介いたします。
ランゲ1
型番:191.032(LS1914AD)
素材:ゴールドまたはプラチナ
ケースサイズ:直径38.5mm×厚さ9.8mm
文字盤:シルバー,ブルーなど
駆動方式:手巻き(L121.1・旧式はL901.1)
ランゲ1の基幹モデルです。
グランドランゲ1
型番:117.032(LS1174AA)
素材:ピンクゴールド
ケースサイズ:直径 40.9mm×厚さ約8.8mm
文字盤:シルバー
駆動方式:手巻き(L095.1)
ランゲ1をアップサイジングしたモデルです。
ランゲ1 ムーンフェイズ
型番:109.032(LS1094AD)
素材:ゴールドまたはプラチナ
ケースサイズ:直径38.5mm×厚さ約8.8mm
文字盤:シルバー,ブラックなど
駆動方式:手巻き(L121.3・旧式はL901.5)
ランゲ1のムーンフェイズ搭載モデルも高い人気を誇ります。
ちなみにグランドランゲ1の同機能搭載モデルだと、時分針のインダイアルにインジケーターを持ちます。
これらの他、タイムゾーンやトゥールビヨンなどを搭載したコンプリケーション、あるいはケース直径36.8mmにダウンサイジングしたボーイズのリトルランゲ1などがラインナップされています。
②サクソニア
サクソニアは、ランゲ1とともに1994年に復興初コレクションの一つとして発表された歴史あるモデル。
調和のとれたエレガントな文字盤デザインで、無駄を一切省いたシンプルさが魅力です。
よくパテックフィリップのカラトラバと比較されることもありますね。
名称の由来はドイツの「ザクセン」。
グラスヒュッテが位置する州であり、かつて19世紀~20世紀まで栄華を誇ったザクセン王国もまた有名です。
ラテン語でザクセンをサクソニアと呼ぶことから、こう名付けられました。
サクソニアのケース素材には、18Kのイエローゴールド、ホワイトゴールドおよびピンクゴールドが使用されており、リューズやバックル、そして文字盤もすべて無垢製となっています。
ムーブメントには”L941.1″が使用されており、かつ3/4プレートの“グラスヒュッテ・ストライプ仕上げ”は、まさに芸術品とも云えるデザイン。
画像引用:A. Lange & Söhne facebook
なお、サクソニアはランゲ&ゾーネのエントリーモデルとしても評価されています。
モデルにもよりますが機能がシンプルなためランゲ&ゾーネの中では低価格帯であること(それでも中古で300万円超えが当たり前ですが・・・)。
加えて自動巻きモデルがレギュラーとしてラインナップされるなど、使いやすいモデルが多いことが理由です。
そのためランゲ&ゾーネが欲しいけど、予算や実用面が心配。そんな方々はぜひサクソニアを選んでみてくださいね。
サクソニアシリーズの中の、ラインナップの一部をご紹介いたします。
サクソニア
型番:219.032(LS2194AD)
素材:ピンクゴールド
ケースサイズ:直径35mm×厚さ約7.5mm
文字盤:シルバー
駆動方式:手巻き(L941.1)
2針+スモールセコンドのみ、という、本当にシンプルなサクソニアです。
サクソニア フラッハ
型番:211.033(LS2114AG)
素材:ピンクゴールド
ケースサイズ:直径40mm×厚さ約5.9mm
文字盤:シルバー
駆動方式:手巻き(L093.1)
超薄型キャリバーL093.1を搭載し、非常にドレッシーに仕上がったフラッハ(flach:独語で薄い、という意味)です。
サクソニア オートマチック
型番:380.032(LS3804AD)
素材:ピンクゴールド
ケースサイズ:直径38.5mm×厚さ約7.8mm
文字盤:シルバー,ブラウンなど
駆動方式:自動巻き(L086.1)
2011年に発売した使いやすい自動巻きモデルです。
サクソニア アウトサイズデイト ムーンフェイズ
型番:384.031(LS3844AP)
素材:ピンクゴールド
ケースサイズ:直径40mm×厚さ約9.8mm
文字盤:ブラック
駆動方式:自動巻き(L086.5)
アウトサイズデイト×ムーンフェイズ搭載のサクソニアです。
これらの他、デュアルタイムやアニュアルカレンダーなどコンプリケーションモデルがラインナップされています。
おすすめ③オデュッセウス
画像引用:A. Lange & Söhne
2019年10月、ランゲ&ゾーネから唐突に発表されたスポーツモデル。
これまでの同社のラインナップとは全く異なる新作ということで、時計業界ではかなり大々的に報じられました。
もちろん「初」はスポーツウォッチである、というだけではありません。
レギュラーモデルとしては初となるステンレススティール素材、ねじ込み式リューズ、12気圧防水・・・何もかもが革新的で、非常に驚かされたものでした。
とは言えランゲ&ゾーネの「理念」が生きた、全く同社らしいスポーツウォッチである、とも言えます。
画像引用:A. Lange & Söhne
同社は「一つのモデルのために一つのムーブメント」という理念を持ちます。
そのため、当然ながらこのオデュッセウスにも新機械が搭載されているのですが、これがまた精度・美しさにこだわりぬくランゲ&ゾーネならではの逸品。
L155.1 DATOMATICと名付けられ、振動数28,800/時のハイビート設計×パワーリザーブは約50時間を誇ります。
ちなみにダトマティックとは独語で日付を意味するデイト+オートマティックを組み合わせた独自用語です。
片方向巻上げ式プラチナ製分銅ローターや同社らしいコート・ド・ジュネーブ装飾の美しさもさることながら、特筆すべきは新開発のテンプです。
通常、ハイビートモデルは高精度を叩き出す代わりにどうしてもパーツの摩耗が多くなってしまうなど、耐久面が弱くなりがち。
しかしながら4個の埋込み式調整用ビスが取り付けられたことで、高振動の悩みの種である「乱流」を抑え、耐振動性・耐衝撃性・安定性を獲得しました。
ランゲ&ゾーネ オデュッセウス Ref.363.179
型番:363.179(LS3635BA)
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径40.5mm×厚さ約11.5mm
文字盤:ダークブルー
駆動方式:自動巻き(Cal.L155.1 DATOMATIC)
このように、ただ真新しさだけではない。
ランゲ&ゾーネの伝統に則った仕様であることも、オデュッセウスが高い注目を浴びる所以でしょう。
なお、2020年にはオデュッセウスにホワイトゴールドモデルが追加されました。
ケース構造や後述するムーブメントなど、基本的なスペックはステンレススティール製オデュッセウスと同一です。
しかしながら革ベルトまたはラバーベルトが付属されることとなり、また違った様相を見せることとなります。
ラバーベルトもまた、同社初の試みです。
もっともラインナップが追加されたとは言え、オデュッセウスを市場で見かける機会はそう多くありません。
ブティックでの予約は購入履歴に条件があるようで、話題性の高さは発売から5年が経過する今なお健在です。
④ダトグラフ
ダトグラフは、世界最高のクロノグラフと言われています。
サクソニアの派生モデルとして登場し、2020年までは一つのコレクションとして、ランゲ&ゾーネの銘品の中でも特別な存在感を放ってきました。
ダト(デイト)を備えたクロノグラフ、という名前で1999年よりローンチされた当モデル。
「傑作」と言われる所以は、多機能ながら端正な文字盤デザインにあります。
通常のクロノグラフは文字盤内にタキメーターやサブダイアルを配さなくてはならないため雑然としがち。
そこにデイト表示まで入れるとなると、視認性の確保が大変難しくなります。
しかしランゲ&ゾーネが手掛けるこの傑作のすごさは、寧ろ端正なまでの文字盤レイアウトです。
最も特徴的でありランゲ&ゾーネの象徴とも言うべきは12時位置のアウトサイズデイト。
アウトサイズデイトとはランゲ&ゾーネ特許取得のデイト表示機能で、大型窓が12時位置に君臨します。
一般的なクロノグラフのサブダイアルは3時と9時位置にあしらわれますが、ダトグラフでは4時8時位置、と若干下げられた配置に。
これにより、アウトサイズデイトの斬新な特徴が活きるだけでなく、デイト、二つのダイアルが三角を成し、調和のとれたシンメトリックを実現したのです。
また、2012年には”ダトグラフ アップ/ダウン”の名でリニューアルし、ゼンマイ巻上げのパワーリザーブ表示機能が追加されました。
A.ランゲ&ゾーネらしい気品もあわせて備わり、スポーティーテイストの強いクロノグラフに「高級」という価値を与えるに至ったことがよくわかる側面ですね。
熟練の職人が手作業でエングレービングを施した美しいムーブメントをシースルーバックから覗く事ができます。
ただし、価格帯は非常に高額。流通量もランゲ&ゾーネの中でさらに少ないので、なかなか実機を拝む機会がないかもしれません。
それでも、ただダトグラフがある。それだけでランゲ&ゾーネの時計製造へのこだわりを知ることができる、時計業界にとって大変意義深いモデルであると言えるでしょう。
2020年に惜しまれつつ生産終了していますので、欲しいという方は中古市場からお探しください。
⑤1815
1815は1995年から展開されているコレクションです。
1815とは、創業者フェルディナント・アドルフ・ランゲ氏の誕生年。
アドルフ・ランゲ氏が愛したアラビアンインデックスやレイルウェイサークルを採用していることが同シリーズの特徴です(青焼き針も特徴的ですが、こちらは2009年頃から採用されています)。
もっとも、復興コレクションのプール・ル・メリットから文字盤転用がなされたようです。
発表当時はシンプルでオーソドックスなモデル、といった立ち位置でした。
なぜなら2針+スモールセコンドオンリーの機能となっていたためです。
1994年当時の発表コレクション以来、オーソドックスな3針モデルをランゲ&ゾーネは持ちませんでした。
サクソニアも当時はアウトサイズデイトが取り付けられています。
新生ランゲのローンチから一年、ブランドは販路の拡大を視野に入れ、こういったベーシックスタイルをコレクションに取り入れたのかもしれませんね。
この目論見は功を奏します。
ランゲ&ゾーネの顔と言えばランゲ1やサクソニア,ダトグラフがまず取り上げられたものですが、1815の「ドレスウォッチの範」といったシンプルさ,そして扱いやすさは高い人気を呼び、ランゲ&ゾーネのファンを増やしていくこととなりました。
もっとも現在はコレクションの幅を広げ、シンプルなスモールセコンドモデル以外にも、4時位置にスモールセコンド・8時位置にパワーリザーブインジケーターを配したアイコニックな「アップ&ダウン」,クロノグラフ,超複雑機構搭載モデル等、多岐に渡る1815をお楽しみ頂けます。
1815 206.032
型番:206.032
素材:ゴールド
ケースサイズ:直径36mm
文字盤:シルバー
駆動方式:手巻き(L941.1)
1815の処女作。ちなみにこのモデルから、同社でシースルーバックが採用されるようになりました。
1815 アップ&ダウン 234.026(LS2343AJ)
型番:234.026(LS2343AJ)
素材:ゴールド
ケースサイズ:直径39mm
文字盤:シルバー
駆動方式:手巻き(L051.2)
⑥リヒャルト・ランゲ
画像引用:A. Lange & Söhne
リヒャルト・ランゲは、19世紀から20世紀にかけてアドルフ・ランゲが製作した科学研究用デッキウォッチの伝統を受け継ぐモデルです。
視認性と時計の精度を優先に作られたモデルで、クラシック感溢れるシンプルな文字盤が魅力の時計。
また、アドルフ・ランゲの長男であり、時計技術の研究に大きな功績を残した時計師リヒャルト・ランゲ氏に捧げられたモデルでもあります。
ムーブメントには高精度を追求し、高度な調整を可能とした”L041.2″が搭載されています。
表側から見ると美しきローマンインデックスがクラシカルテイストを醸し、裏側からは至高のメカを鑑賞できる・・・
サクソニアなどにも言えることですが、奇抜さとか派手さは一切無いのに、一目で他とは一線を画す上質さが見て取れますね。
個人的にはこのリヒャルトランゲが一番好きなのですが、なかなか出回らないのが悲しいところ。
ただ、シンプルゆえコンディションにもよりますが中古なら300万円以下で購入できるものもありますので、気になる方は出会った時に買いましょう!
リヒャルトランゲ
型番:232.032(LS2324AD)
素材:ゴールド
ケースサイズ:直径40.5mm×厚さ約10.5mm
文字盤:シルバー
駆動方式:手巻き(L041.2)
■リヒャルトランゲの銘モデル
リヒャルトランゲの基幹モデルはシンプルなのですが、派生モデルには多くの複雑時計が存在します。
例えば時刻表示が三つのダイヤルに分割されているリヒャルト・ランゲ・トゥールビヨン「プール・ル・メリット」。
ドレスデンの名時計師として活躍したヨハン・ハインリッヒ・ザイフェルトが製作した高精度クロノメーターからインスピレーションを得て作られたランゲ&ゾーネ最高級モデルの一つです。
定価は23,892,000円と恐ろしい額です、、、、。
画像引用:A. Lange & Söhne
この時計は複雑機構であるトゥールビヨン、文字盤とムーブメントに施された裝飾美術を融合させた究極のモデルです。
ムーブメントにはL072.1が組み込まれています。
画像引用:A. Lange & Söhne
ムーブメントL072.1は洋銀製4分の3プレートに施された、らせん模様サンバースト仕上げ、そして秒針車の受けとトゥールビヨンの受けを飾る手の込んだ浮き彫りが見えます。
Lo72.1の特徴は非常に珍しい複雑機構のチェーンフュジー(鎖引き)が見えること。
ゼンマイを巻き上げると、636個のパーツからなる細いチェーンがフュジーに巻き取られてゆく様子を観察することができます。
⑦カバレット
1998年に発表されたランゲ唯一のレクタンギュラーケースモデル”カバレット”。
ランゲ&ゾーネはラウンドフォルムのケースが多い中、かなり異色の存在と言えるでしょう。
とは言えこちらもランゲ&ゾーネらしさは満載です。
シンプルながら絶妙なバランスで配されているアウトサイズデイト表示とスモールセコンド付の美しき文字盤もその「らしさ」のうちの一つですが、それをレクタンギュラー型で完成させたキャリバーL931.3の存在が至高中の至高。
よく丸形ムーブメントを無理やりレクタンギュラーケースに収める場合がありますが、やはり効率の良いものではありません。
ランゲ&ゾーネのコンセプトである「一つのモデルに一つのムーブメント」を堅持し、カバレット専用のムーブメントが開発されました。
なお、残念ながらカバレットは現在生産終了しており、中古市場からお探しいただくこととなります。
こちらも製造本数は少なかったためなかなか市場に出回りませんが、今なお時計愛好家たちから絶大な支持を得ており、同社製品が時代に左右されない魅力を有していることを改めて証明してくれると言えるでしょう。
ランゲ&ゾーネの「凄すぎる」こだわりと魅力
ランゲ&ゾーネの沿革もドラマチックですが、なぜ同社は一時廃業の憂き目に遭いながらも、わずか25年強でここまでの成功を収めるに至ったのでしょうか。
また、なぜ世界五大時計ブランドに数え上げられ、パテックフィリップに追随すると言われてきたのでしょうか。
その理由の一つは、他社にはない凄すぎるこだわりにあります。
とりわけ一切の妥協のないムーブメント製造にかけては時計業界屈指と言って過言ではありません。
この項では、ランゲ&ゾーネの凄すぎるこだわりの一端をご紹介いたします。
ひとつのモデルにひとつのムーブメント
画像引用:A. Lange & Söhne facebook
今でこそマニュファクチュールを謳うブランドは増えてきました。
一つの付加価値としてブランディングに使うことも多々見受けられます。
しかしながらムーブメント設計・ムーブメントのパーツ(とりわけ製造が難しいとされているヒゲゼンマイ含む)製造・ムーブメント組み立て・外装製造の一手を担っているメーカーはそう多くはありません。
ランゲ&ゾーネは、そんな完全マニュファクチュールを確立している、大変稀有なブランドです。
※ヒゲゼンマイ…テンプの構成パーツの一つ。ヒゲゼンマイが伸縮を繰り返すことでテンプは回転運動を行い、1秒間に1回針を進めるための振動を輪列から歯車へと伝える。ヒゲゼンマイは時計の精度を司る超重要パーツであることに加えて繊細で、温度変化や磁気帯びにきわめて弱い。
なお、ニヴァロックス・ファー社というヒゲゼンマイ製造専門メーカーに依存するブランドは少なくないが、ランゲ&ゾーネ,パテックフィリップ,ロレックス,グランドセイコー等の完全マニュファクチュールメーカーは自社製造を可能としている。
ちなみにランゲ&ゾーネがヒゲゼンマイ製造に着手したのは2003年~。
画像引用:A. Lange & Söhne
そんな完全マニュファクチュールにも驚かされるものですが、さらにランゲ&ゾーネのもう一つの稀有な理念として、「ひとつのモデルのためにひとつのムーブメント」が挙げられます。
これは言葉通りにモデルごとにムーブメント製造をする、といった意味ですが、簡単なことではありません。
機能が同じであれば、ムーブメントは使いまわす、といったところは多いです。むしろそれが普通です。
例えばロレックスのシードゥエラーとデイトジャスト41はCal.3235が搭載されていますし、オメガのシーマスター300M クロノグラフはスピードマスター レーシングと同一のCal.9900です。
また、キャリバーナンバーは異なったとしても、ベースは同一であることが少なくありません。
しかしながらランゲ&ゾーネは、ランゲ1にはランゲ1の、サクソニアにはサクソニアのムーブメントをイチから作成しています。
この手法、当然ながら開発期間とコストが莫大になります。
しかしながら「新作ムーブメントあっての新作モデル」というランゲ&ゾーネの姿勢は多くの時計メーカーのお手本として尊敬されてきました。
余談ですが、ブランド任意の文字盤デザインを採用するには、それに合わせたムーブメントがなくてはなりません。
逆を言うと、通常ムーブメントによってある程度の文字盤デザインが決められてしまいます。
しかしながらランゲ&ゾーネの強みは「一つのモデルに一つのムーブメント」。
まずムーブメントありきで新作が決まるため、ブランドの好きなように文字盤設計ができる、という強みを抱えています。
グラスヒュッテ様式を遵守した機能美
画像引用:A. Lange & Söhne
「グラスヒュッテ」様式という用語、時計好きの方なら耳にしたことがあるかもしれません。
この名の通りグラスヒュッテの時計ブランドたちが手掛けるムーブメントを指しますが、いくつかの様式を持ちます。
ちなみにグラスヒュッテ様式を確立したのも、フェルディナント・アドルフ・ランゲ氏です。
もともとはドイツらしい頑丈なムーブメントを指していましたが、同氏が懐中時計の品質規格として定義づけた1A・1B・1Cクォリティの中でも、最上位の1Aをランゲ&ゾーネが復刻させ、現代の時計産業でも一つのムーブメント指標として語られることとなりました。
そんなグラスヒュッテ様式、下記の四つが代表的です。
まず一つ目が、洋銀製の3/4(4分の3)プレート。
シースルーバックはメカ好きにはたまらない機能ですが、同じ自動巻きでもスイス製とドイツ製で外観が大きく異なります。
その最たる所以が、ドイツ製に見られる3/4プレートと言えるでしょう。
これは、歯車を一枚の大きな受け板によって押さえるもので、耐久性や精度の安定性を大幅に向上させます。
歯車が動かず、またゴミなどの侵入を防げる非常に合理的な製造手法ですが、一枚板でいくつもの歯車を押さえなくてはならないため、組み付けに高い技術と根気が必要とされます。
同じく大きな受け板でパーツを支えるムーブメントはIWCやパネライなどが実践していますが、これは何枚かのプレートによって構成されているため、難易度はいくぶん容易になります。
しかしながらランゲ&ゾーネでは、一貫した3/4プレートが採用されています。ここにも同社の凄すぎるこだわりが垣間見えますね。
※IWC ポートフィノのプレート。一枚板ではないことがわかる
ちなみにこの3/4プレート、時計のムーブメントや文字盤でおなじみの真鍮(銅と亜鉛の合金)素材ではなく、洋銀を用いていることもグラスヒュッテ様式の勘所。
洋銀はジャーマンシルバーやニッケルシルバーなどと呼ばれる素材です。
かなりデリケートで、指紋やちょっとした傷がついただけで再びは使えなくなってしまう、と言います。
酸化しやすいことから手の油脂とすぐに反応して、変色が目立ってしまうためです。
しかしながら見た目も美しく強度に優れていることから、製造難易度が上がったとしても、グラスヒュッテ様式では洋銀を伝統的に用いることとなりました。
なお、洋銀は経年で褐色へと変色していくのですが、その味わい深い風合いはグラスヒュッテ様式ならではと言っていいでしょう。
二つ目は、グラスヒュッテストライプ。
3/4プレートに、美しい縦じま模様が見受けられますね。
これこそがグラスヒュッテストライプで、スイスではコート・ド・ジュネーブと呼ばれています。
ただの縦じまではなく僅かに凹凸が施されており、光の加減によってその表情を変えてくれます。
ちなみに前述の通り洋銀の加工はきわめて難易度が高いことからも、グラスヒュッテ様式が数あるブランドにだけ許された製造方法であることがおわかり頂けるでしょう。
三つ目は、ゴールドシャトンです。
画像引用:A. Lange & Söhne
「シャトン」とはムーブメントに軸受けのために取り付けられた石を、しっかりと固定するための金属リングです。
この金属リングが18Kゴールド製のものは特別に「ゴールドシャトン」と呼ばれます。
グラスヒュッテ様式でもゴールドシャトンは定義づけられており、さらにランゲ&ゾーネでは、シャトンを青焼きされたステンレススティール製ビスで留められていることが見て取れますね。
これは長らく時計業界では「最高級ムーブメント」と認識されている仕様です。
もっとも近年は人工ルビーの開発や加工精度の向上でシャトンの実用性は薄まり、代わりに装飾的な意味合いが強くなっています。
四つ目は、丁寧なエングレービングが施されたテンプ受けです。
画像引用:A. Lange & Söhne
テンプ受けはテンプを支えるためのブリッジですが、グラスヒュッテ様式では洋銀製、しかもエングレーバーらが手作業で丁寧かつきわめて美しいエングレービングを施します。
ランゲ&ゾーネはエングレーブに花柄の伝統的モチーフを採用しており、この美しき装飾のおかげで、一つとして同じムーブメントは見られません。
ランゲ&ゾーネの熟練したエングレーバーは、装飾を見て「誰が彫ったか」がわかるとか!
ところで上記画像のエングレービングされた板のうえに、スワンネック緩急針が見てとれるかと思います(白鳥の首のような形状をしていることから、この名がついた)。
緩急針は精度調整(ヒゲゼンマイの長さ調整)のために用いられるパーツの一つですが、スワンネックは超高級機にのみ見られる仕様。
ランゲ&ゾーネでは懐中時計の時代から連綿とスワンネックを採用していることも特筆すべき点です。
以上が代表的なグラスヒュッテ様式であり、ランゲ&ゾーネはこの様式美の中でも特上と言っていいでしょう。
ちなみにグラスヒュッテ製の時計には、 上記のようなロゴが見受けられます。
これは原産地証明で、「ムーブメント原価の50パーセント以上が、グラスヒュッテでの製造・手間であること」を条件に認定されるものです。
アドルフ・ランゲによる時計産業勃興から2020年で175年を迎えることとなりましたが、今では「グラスヒュッテ」が時計製造のメッカとして認識され、付加価値に昇華されていることがわかりますね。
一次組立に次ぐ二次組立
画像引用:A. Lange & Söhne
熟練した職人たちが手作業で、緻密な設計のもとに組み立てたムーブメント。
しかしながら、ランゲ&ゾーネではこれを分解し、再び組み立て直すという工程を踏んでいます。
ランゲ&ゾーネ曰く、「一時組み立てでは完璧ではない」、とのこと。これは、超絶複雑機構であろうとシンプルな3針モデルであろうと、変わりはありません。
と言うのも、前述の通りランゲ&ゾーネはムーブメントのパーツの一部に洋銀を使用しています。
洋銀は見た目が非常に美しく一般に用いられる真鍮よりも強度に優れた素材ですが、一方でとてもデリケート。
指紋やちょっとした傷がついただけで再びは使えなくなってしまう、と言います。
酸化しやすいことから手の油脂とすぐに反応して、変色が目立ってしまうためです。
加えてその他パーツにも、微細な傷すら許されません。
すなわち一次組み立てにおいて、何らかの支障が出ている可能性がある。
そう考えて一度分解して洗浄のうえ、二次組み立てで完璧な装飾と調整を施すようにしているのです。
まとめ
ランゲ&ゾーネの時計はどれも最高級の技術で作られた「超高級腕時計」です。機械式ムーブメントを美術品といえるほどにまで昇華した超一流の技術は世界中で称賛され続けています。
また、普及モデルやクォーツモデルといったラインナップは一切持たず、最高の時計しか作らない徹底したブランド展開もランゲ&ゾーネの価値をさらに高めています。
いつかは手に入れたい憧れのブランド。ランゲ&ゾーネはそんなロマン溢れる最高の腕時計です。
当記事の監修者
新美貴之(にいみ たかゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 店舗営業部 部長
1975年生まれ 愛知県出身。
大学卒業後、時計専門店に入社。ロレックス専門店にて販売、仕入れに携わる。 その後、並行輸入商品の幅広い商品の取り扱いや正規代理店での責任者経験。
時計業界歴24年