せっかく高価な腕時計を購入したのだから、できるだけ長持ちしてほしいと願うもの。しかしセルフケアを怠ると、汚れが悪影響を及ぼして遂には故障の原因になることもある。だからこそセルフメンテナンスは覚えなければならない。身近なモノを使って簡単にできる掃除術を写真付きでレクチャーするので、ぜひ実践して頂きたい。また腕時計に関する基礎用語も集録。これさえ押さえておけば、あなたも今日から腕時計ツウだ!!
メンテナンス編
今日からできるセルフケア
一見、きれいに見える腕時計でも着用することで皮脂や汗、ホコリなどの汚れが付着してしまう。それらはサビの原因にもなるし、見た目も気持ちよくはない。だから使い終えたらクリーニングして清潔さをキープしよう。それが一生時計として付き合う近道といえる。
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歯ブラシ・綿棒・つま楊枝 -
乾いたタオル -
日用品を
掃除アイテムとして
使用今回は細かい箇所を掃除するのに歯ブラシ(柔らかめ)、綿棒、つま楊枝を使い、全体の拭き取りようとしてきれいなタオルを使用する。もちろん購入時にショップがプレゼントしてくれる時計専用のクロスでもOKである。
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完璧に仕上げるなら
この2つも用意さらに丁寧なクリーニングを目指すなら、「セーム革(鹿やヤギなどの皮の銀面を落として油なめしした革)」と、ストラップを外すための「バネ棒外し」を用意すると便利である。それぞれの使い方は
コチラ
を参照。
セーム革-
バネ棒外し
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日用品を
掃除アイテムとして
使用 -
歯ブラシ・綿棒・つま楊枝 -
乾いたタオル -
今回は細かい箇所を掃除するのに歯ブラシ(柔らかめ)、綿棒、つま楊枝を使い、全体の拭き取りようとしてきれいなタオルを使用する。もちろん購入時にショップがプレゼントしてくれる時計専用のクロスでもOKである。
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完璧に仕上げるなら
この2つも用意
セーム革-
バネ棒外し -
さらに丁寧なクリーニングを目指すなら、「セーム革(鹿やヤギなどの皮の銀面を落として油なめしした革)」と、ストラップを外すための「バネ棒外し」を用意すると便利である。それぞれの使い方は
コチラ
を参照。
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想像以上に汚れは付着している
パッと見では気づきにくいが、注意して見てみると各所に汚れが付着している。ホコリ、皮脂、汗、水アカがその主な原因である。とくにケースの角張ったキワ、複雑なフォルムを構成するパーツ 同士の間、リューズ周辺に汚れは溜まりやすく念入りなクリーニングでなければ除去できない。手間のかかる掃除だが、コツさえ覚えてしまえば日課になるし、愛機のためなら苦にならない。
ケースの掃除
ステップを追って掃除すれば見違えるような美しさに!!
目に見える部分はもちろんのこと、ケースの繋ぎ目の部分やエッジの立ったディティールにはとくに汚れが付着している。これらをきれいに除去する術は、順を追ってクリーニングしていくしかない。とりわけ直接肌と触れているケースの裏側は、入念なチェックが必要だろう。掃除は紹介した日用品を使ってできるので、大きな出費がなくてできるのだが、愛情はもって取り組もう。
職人御用達アイテム
キズミ(時計用ルーペ)
本来は時計師がムーブメントを組み上げたりする際に使う拡大レンズ。細かい汚れを確認できるほか、施された装飾を鑑賞するときにも役立つ。拡大の倍率にもよるが1000円程度~
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STEP1 汚れを浮かせる
ケースとベゼルの間などのエッジが立った部位は、拭き取りでは汚れを落としきれない。つま楊枝で汚れを浮かせる必要がある。
ケースの裏側はどうしても皮脂が溜まりやすい。汚れは時間が経つと固まってしまうので、こまめに除去することを心がけよう。
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STEP2 汚れを取り除く
汚れを浮かしたら乾いた歯ブラシでかき出す。強く擦るとケースを傷つけてしまうので要注意。
リューズなどの細かい箇所も入念に。歯ブラシは使い古したものでもOKで、歯先が細く柔らかいものがお勧め。湿らせるのはNG。
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STEP3 汚れを拭き取る
①清潔なクロスやセーム革を使って全体の汚れを拭き取る。力を入れて擦りすぎないように。
②ガラス部は汚れとの摩擦で傷がつきやすいため、特に優しく拭かなければならない。
③仕上げに綿棒を使い、細部の汚れを取り除こう。
ブレスレットの掃除
しっかりと汚れを落として水分を拭き取ることが大切
直接肌に触れているブレスレットは汚れがこびりついてしまう。そのためケース同様に小まめなクリーニングが必要で、汚れたまま使っているとやがて黒ずんで見た目も悪く、肌荒れの原因にもなりかねない。コマの数が多かったり、複雑なデザインのブレスレットもあって掃除は骨が折れることだが、注意深くセルフメンテナンスすることでブレスレットに長持ちさせることができる。
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STEP1 汚れを浮かせる
ケース同様、つま楊枝を使ってコマとコマの間に付着している汚れをはがす。もしもつま楊枝の先端が隙間に入らなかったら、カッターで削って細かくし、隅々まで掃除を施す。
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STEP2 濡らしたティッシュを巻く
①ティッシュペーパーを数枚重ね、霧吹きなどで軽く湿らせる。これをブレスレットの長さに合わせて折り畳み、ブレスレットに通す。
②ティッシュペーパーをブレスレットに巻きつける。
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STEP3 ティッシュに汚れを移す
ブレスレットのコマを前後左右に動かし、ティッシュと擦りあわせる。するとティッシュに汚れが移るので、黒ずみがなくなるまでティッシュを替えて繰り返す。ティッシュが破れないように行う。
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STEP4 汚れが落ちるまで繰り返す
クロスなどで水分をしっかりと拭きとる。どうしてもコマ間に汚れが残ってしまうので、仕上げに乾いた歯ブラシなどでかき出す。こちらもケースと同じく、傷つけぬよう慎重に。
職人御用達アイテム
マイクロファイバー
汚れや水分んを拭き取るときは、一般的なタオルよりも繊維が細かく、吸水性にも優れているマイクロファイバーが実用的。実際、時計職人の実用例も多い。
レザーストラップのお手入れ
高級革を使ったストラップは使用後のケアが必須である
結論からいうと、レザー製ストラップは消耗品であって、いつかは交換しなければならない。だが簡単なセルフケアで大きく寿命が延びるので、実践することを強く勧めたい。とくに直接肌に触れている内側の革は、汗や皮脂が付着するため傷みやすく、そのままの状態で放置すると雑菌が繁殖して臭いの原因にもなる。革ストラップのお手入れは、肌荒れ防止や消臭の効果も得られるのだ。
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STEP1 乾いたタオルで優しく拭く
レザーベルトを裏返し、付着している汚れや汗を乾いたきれいなタオルで優しく拭き取る。使い終えた時点での拭き取りが望ましいが、汗のかきやすい季節は小まめな拭き取りを心がけよう。
STEP2 日陰で自然乾燥
日光の当たらない、風通しの良い安全な場所で自然乾燥させる。レザーストラップは毎日使用せず、休みをはさみながら使うのが長持ちさせるテクニックのひとつ。交換用のスペアがあると安心だ。
気候に合ったストラップへと交換して消耗を低減させよう
夏はレザーストラップにとって厳しいシーズン。裏側が汗を吸収し、お手入れをしていないと写真のように汗染みができてしまう。やがて表側にも影響が及び、見た目も損なうの注意だ。汗をかきやすい季節は、ラバー製やラバー加工されたストラップを使用するのも選択肢のひとつといえる。
念入りなお手入れなら…
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STEP1 固く絞ったタオルで拭く
防水加工しているレザーアイテムだとしても、基本的にはレザーを水につけるのはNG。どうしても落ちない汚れは、軽く湿らせたうえに固く絞ったタオルを汚れの部分にあて、吸い取らせるように拭う。けっして強く擦らないように。
STEP2 専用の消臭スプレーを使用
レザーストラップ用の消臭スプレーを直接肌に触れている裏面にかけ、同じように風通しの良い日陰で自然乾燥させる。一般的ならば、週2回ほどのスプレーを利用することで、レザー部分の消臭と除菌の効果が期待できる。
職人御用達アイテム
革ベルト消臭スプレー
時計修理士も使っている、レザーストラップ専用の消臭スプレー。オーガニック製法で作られているため安心・安全で、一度の使用に3~4回吹きかけるだけで臭いを抑え、除菌の効果も得られる。1000円程度。
バネ棒の使い方
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STEP1 セロテープでラグを保護
バネ棒が飛び出すとラグ周辺を傷つけてしまうことがある。これを防ぐため、あらかじめラグのサイズに合わせてカットしておいたセロハンテープを、ラグ全体を覆うように貼って保護する。セロハンテープはきれいに貼ること。
STEP2 バネ棒外しを挿し込んでバネ棒を縮込ませる
ラグ内側とストラップの隙間に、二股に分かれている「バネ棒外し」を写真のように挿し込む。バネ棒の両端にある伸縮する箇所に「バネ棒外し」をひっかけ、押し下げてバネ棒を縮込ませる。ラグやベルトを傷つけぬよう慎重に。
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STEP3 バネ棒をラグの穴から外す
「バネ棒外し」で先端を縮込ませたバネ棒を、そのままゆっくりとずらしてラグの間から取り出す。腕時計によってはラグとストラップの隙間が極端に狭いものもあるので、「バネ棒外し」での取り外しが難しい場合は作業を避ける。
STEP4 バネ棒をストラップから取り出す
バネ棒をラグから外せば、もう片方も外せてストラップを外せる。反対側も同じように作業。ストラップのケース側には穴が空いており、そこに小さなバネ棒は通されている。ストラップを外せばお手入れもしやすいので覚えよう。
気軽に交換ができる「イージークリック」
最近はユーザーが「バネ棒外し」を使わないでストラップ交換ができる「イージークリック」を備えるストラップが増加している。写真の丸囲みのレバーを引くことで簡単に取り外すことができるのだ。流行はカジュアルウォッチから始まり、現在ではパテックフィリップやフランクミュラーなどの高級ブランドも一部で使用している。