「ロレックスの文字盤って交換できるの?」
「ロレックスの文字盤交換のルールについて知りたい」
ロレックスでは修理やオーバーホールなど、時計に関する様々なサービスが行われています。
文字盤交換もその中の一つであり、ロレックスオーナーに利用されることの多いサービスです。
そんなロレックスの文字盤交換について知りたいという人は多いのではないでしょうか。
ロレックスの文字盤交換をすれば、自分の時計にさらに愛着が持てるでしょう。
この記事ではロレックスの文字盤交換に関するルール、費用や期間について、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
民間修理会社の対応についても紹介しますので、ロレックスをドレスチェンジさせたい人はぜひ参考にしてください。
目次
ロレックス 文字盤交換の仕組み
どんな時計であれ、長年使い続けているとデザインに飽きが生じてきます。そんな時に活用したいのが文字盤交換です。
文字盤交換のメリットは新鮮な気持ちで時計を手にすることができることだけでなく、経年変化などでキズついた文字盤を新しいモノに変えることで、視認性を甦えらせることにも繋がります。
ただし、ロレックスの文字盤交換には幾つかのルールがあります。それに該当するモデルでなければ交換することはできません。
まずはロレックスの文字盤交換に関する条件について確認していきましょう。
条件
■カタログに掲載されている(いた)デザインであること
ロレックスの文字盤交換は全てのモデルで、自由自在に行えるわけではありません。
上記はロレックスの文字盤を交換する上でのルールであり、これを満たすモデルだけが文字盤を交換することができます。
ロレックスの文字盤交換において、可能となるのは現在カタログに存在しているデザイン、もしくは存在したことがあるデザインのみです。
カタログに掲載されている同一型番(リファレンス)の時計の範囲であれば、他カラー・タイプの種類への交換が可能となります。
つまり、同じリファレンスで白と黒の2色が存在する場合、白⇔黒の交換は可能ですが、青文字盤を付けることはできないのです。
また、既にメーカーが供給をストップさせた文字盤も、交換対応はできなくなります。
さらに言うと、「人気カラー」についても交換不可対応となりつつあります。
例えばこちらのスカイドゥエラー 326934。
現行ロレックスのラインナップとしては黒・白・青文字盤の三種となりますが、青文字盤がとりわけ人気が高いことから、現在黒・白文字盤からの青文字盤への変更は不可能とされています(青文字盤から黒または白文字盤への交換は可能です)。近年のロレックスは何かと「転売」の対象になりやすいため、メーカー側が制約を設けるようになったことが、その背景にあります。
なお、文字盤を交換する場合は文字盤の色に合わせて針の交換が必要になることもあります。
「カタログに存在したデザイン」というのは針やベゼルも含めているので、文字盤を交換する場合はその仕様に合わせて、他のパーツも交換することになる可能性が高いです。
5年間の保証期間中は文字盤交換ができない
2022年5月21日に行われたサービス改訂により、新たに購入した商品に対し、保証期間内(5年)は文字盤交換不可という新ルールが施行されました。
これにより、文字盤交換を前提に購入することができなくなりました。
以前であればオイスターパーペチュアルをブラックで購入し、その後任意のカラーに変更することができました。
しかし、新ルールが適応されたことにより、保証期間が終わるまでは文字盤の交換ができなくなります。
とはいえ、今回のサービス改訂は基本的には新規購入に対する措置です。
中古での購入の場合、保証書日付によっては新品を買うよりも早く文字盤交換を行える場合があります。
人気カラーをお求めの場合は、状態の良い中古をあえて選ぶのも賢い選択と言えるでしょう(ただし、ロレックスに希望の文字盤在庫が必ずあるとは限らず、生産数が稀少なバリエーションに関しては今後、交換対象外となる可能性もあります)。
出典:https://www.rolex.com/ja
今回の改訂の対象は文字盤交換が可能だった全モデルです。
新品で購入した場合、5年間は同じ文字盤を使い続けることになります。
文字盤交換が出来なくなった分、カラーを慎重に選ぶことが重要となります。
ロレックス 文字盤交換の依頼先
文字盤交換の依頼は日本ロレックスのサービスセンター、またはロレックスブティックなどを通して行います。
時計を持ち込み、見積り後に交換作業に取り掛かるのが一般的な流れです。
近隣にサービスセンターがない場合は郵送でも依頼できます。
ちなみに元々ついていた文字盤に関しては文字盤の返却料を支払うことで返却されるようになっています。
以前は文字盤交換を行った後に元々の文字盤が返却されるシステムでしたが、2021年からは返却に費用が発生するようになっています。
文字盤を手元に残しておきたい場合は別途費用がかかることは覚えておきましょう。
※同一の文字盤に交換した場合は返却されません。
※返却の可否にはメーカー独自のルールがあるため、全ての文字盤が返却されるわけではありません。
ロレックス 文字盤交換の費用と納期
費用
ロレックスの文字盤を交換する際にかかる費用は以下の通りです。
・文字盤の費用
・工賃
・文字盤の返却料(2021年〜)
・必要に応じた針の交換
・オーバーホール代
工賃自体は24,000円程度〜ですが、文字盤の費用に加え、オーバーホールや針の交換なども行われると、意外と高額になります。
時計の状態によってはオーバーホールをしなくて済む場合もありますが、オーバーホールもセットとなることが多いです。「ついでにオーバーホールも済ませておこう」くらいの気持ちでいると良いですね。
最終的な費用は変更したい文字盤の種類や時計の状態にもよりますが、概ね10万円〜の費用がかかる場合が多く、ダイヤ付き文字盤に交換する場合はさらに高額となります。
気軽に文字盤の交換を楽しめるのが理想ですが、なかなかコストがかかるのが現実です。
尚、日本ロレックスでは2021年から文字盤の返却費用が別途かかるようになります。
例えばバーインデックス,ローマンインデックス,アラビアインデックスといった通常の文字盤から通常の文字盤に変更する場合、文字盤の返却を希望する場合は返却料として交換代金の40%が別途請求されます。
また、シェル文字盤やダイヤ文字盤といった特殊な文字盤から通常の文字盤に変更する場合も同様に交換代金の40%が請求されます。
ただし、通常の文字盤からシェル文字盤といったバージョンアップに当たる文字盤の変更には文字盤の返却料はかかりません。
■例:文字盤交換 白バー→黒アラビア 5万円の場合
文字盤返却を希望した場合の費用:5万円+2万円(5万円の文字盤の40%)=7万円
少しややこしいのですが、上記の通り、これまで使っていた文字盤を返してもらう場合は費用がかかるようになりました。
ちなみに、この変更によって交換不可モデルが増えたり、文字盤の交換費用が変わるモデルも発生するとのこと。
文字盤交換を検討されている方は、どれくらいの費用がかかるか日本ロレックスに確認をとることをお勧め致します。
※特殊文字盤(シェル・ダイヤ等)→特殊文字盤への交換の場合は別途返却費用はかかりません。ただし、旧文字盤の返却がなされない場合は文字盤交換の費用が30%OFFになるようです。
※デイトナのメテオライト、ターコイズ文字盤に関しては、交換受付が不可能となりました。(以前は可能でしたが、現在は受付不可に変更されています。)また、デイデイトもオニキス文字盤へ交換受付不可となっております。
交換が不可能になった文字盤は希少価値が高まるため、相場は上昇傾向にあります。最近デイトナ116519、116509系の相場が上がっていますが、この件が影響しているといえるでしょう。
納期
納期はオーバーホールが不要で約2週間です。オーバーホールが必要な場合は約1ヶ月。国内に文字盤の在庫が無い場合には3ヶ月ほどかかるようです。
文字盤交換は民間修理会社でも受け付けている?その費用は?
ロレックスの文字盤交換は民間修理会社でも依頼することができるのでしょうか。
答えは、「文字盤の在庫さえあれば可能」です。
民間の修理会社であればメーカーよりリーズナブルな価格で文字盤交換を行ってくれます。
ただ、民間修理会社もまた文字盤交換の際にはオーバーホールが必須となる会社が多いです。
文字盤はムーブメントに接するとても繊細なパーツです。
小さな歯車を交換する時と同様に慎重な作業を要するため、万が一を踏まえ、オーバーホールを行うのが基本となります。
もしオーバーホールをせずに不具合が生じた場合、例え文字盤交換に問題がなかったとしても文字盤交換による故障が疑われてしまいます。
それを避けるために、例え数日前にオーバーホールを行った時計であっても、いったんオーバーホールを行ってから文字盤を交換するというわけです。
また、民間修理会社での文字盤交換は在庫により交換の可能・不可能が大きく異なります。さらに一度民間修理会社が手を加えた個体は、「純正以外の手が加わった」として正規メンテナンスができなくなる場合があります。
民間修理会社に依頼するメリット・デメリットをよく把握しておきましょう。
ベゼルディスクも交換可能
同じリファレンス番号でベゼルディスクのバリエーションが複数あるものはベゼルディスクの交換も可能です。
例えばRef.16700の場合は、黒、青/赤が存在しますが、文字盤同様にベゼルディスクの交換を依頼することができます。
しかし、ベゼルが一色しか存在しないモデルに関しては、他の色に交換はできないので注意が必要です。
飽くまで「カタログに存在したデザインであること」「同一リファレンス」というルールの上で、ベゼルディスクの交換は行われます。例えば116610LV(緑ベゼル)、116610LN(黒ベゼル)はベゼル以外同一の個体ですが、リファレンスが異なるので緑⇔黒の変更は不可となります。
なお、一度ベゼルを変更した個体を元に戻す場合は、前回交換した際に外した文字盤や針を持参する必要があります。
これは1本の時計に対して同じ部品を2つは付けないというロレックスのルールがあるためです。
以前はリファレンスが変わらないのであれば交換は可能でしたが、ベゼル交換によってベゼルのみを集める時計ファンが急増したことから文字盤や針を持参しなければならなくなりました。
ちなみにベゼルディスクの交換に関しては文字盤とは異なり、オーバーホールをしなくても基本的には大丈夫です。
まとめ
ロレックスの文字盤交換は、新たなデザインに変えることで、時計にさらに愛着が持てる素晴らしいサービスです。
この機会にドレスチェンジをしたい。オーバーホールのついでに文字盤も変えたい。
このように思われた方はぜひ一度ロレックスの文字盤交換を検討されてみてはいかがでしょうか?
当記事の監修者
廣島浩二(ひろしま こうじ)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチ コーディネーター
一級時計修理技能士 平成31年取得
高級時計専門店GINZA RASIN 販売部門 ロジスティクス事業部 メンテナンス課 主任
1981年生まれ 岡山県出身 20歳から地方百貨店で時計・宝飾サロンで勤務し高級時計の販売に携わる。 25歳の時時計修理技師を目指し上京。専門学校で基礎技術を学び卒業後修理の道に進む。 2012年9月より更なる技術の向上を求めGINZA RASINに入社する。時計業界歴19年