「IWCのオーバーホールは正規修理と一般修理どっちを選んだら良い?」
「IWCのオーバーホールについて詳しく知りたい」
オシャレ時計の最先端として高い評価を集めるIWC。
ポルトギーゼ・パイロットウォッチ・ポートフィノなど、どのモデルも魅力的なラインナップが並びますが、これらの時計を末永く使うためには定期的なオーバーホールが必要です。
機械式時計は繊細な歯車が絡み合うことで動く精密機械であるため、数年に一度分解してメンテナンスを受けなければなりません。
IWCの腕時計はどこでオーバーホールするのがお得なのか知りたいという人は多いのではないでしょうか。
総合的なコストパフォーマンスは優良修理業者に依頼するのが高いといえます。
この記事ではIWCのオーバーホールを行う際の正規修理と一般修理の違いについて、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
オーバーホールの周期についても解説しますので、IWCの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
目次
IWCのオーバーホール周期
ポルトギーゼ・パイロットウォッチといった人気コレクションの殆どは「機械式時計」のため、定期的なオーバーホールが必要です。
テンプ、ヒゲゼンマイ、アンクル、ガンギ車。
機械式時計は細かなパーツが精密に組まれて動く仕組みの為、メンテナンスを怠ると次第に各パーツは劣化し、正確に動作しなくなります。
ご使用状況によってオーバーホール周期は異なりますが、IWCは4~5に1回オーバーホールを受けることを推奨しており、ユーザーはこの期間内にオーバーホールを受けることが求められます。
そして、このオーバーホール代がIWC所有者に掛かる「ランニングコスト」となります。
なお、IWCの主な修理先は以下の2つです。
・IWC 正規修理サービス
・民間修理業者のメンテナンス
それぞれにメリットデメリットがありますので、より自分に合った選択をするとよいでしょう。
IWCのオーバーホールは正規修理と一般修理どっちに依頼する?料金は?
選択肢① IWC正規修理「コンプリートサービス」に依頼をする
IWCが誇る優れた正規修理サービス。それがコンプリートサービスです。このサービスでは、1流の時計技術者が最先端の設備を備えたアトリエで、あらゆる時計の修復を行います。
ムーブメントを一つひとつのパーツに分解し、そのすべてを丁寧に清掃して汚れやオイルをきれいに除去。正規修理ならではのパーツの豊富さを利用し、摩耗が強いパーツや不具合の原因となりそうなパーツを新品の純正パーツに交換してくれます。
出典:https://www.facebook.com/pg/IWCWatches/photos/
正確な技術によって検査された歯車達は精密機構を微調整しながら再組立され、潤滑剤を使ってすべての回転部や軸受の動きをスムーズにします。
尚、コンプリートサービスで実施された作業と交換されたパーツに対しては2年の保証が与えられるため、万が一不具合が生じても安心です。
コンプリートサービスのメリットは何よりも安心感があること。民間業者のメンテナンスは店舗や職人によって技術にバラツキがありますが、正規修理はIWC直属時計技師の熟練した目で修理が施されるため、仕上がりの品質が保証されます。
また、IWCは永久修理・メンテナンスを謳っているため、どれだけ古いモデルであっても修理対応してくれます。パーツの保有期間がなく、柔軟な交換対応も可能です。
【IWC コンプリートサービスの価格】
IWCのコンプリートサービスは質が高く、安心安定のクオリティーを誇りますが、他ブランドと同じく修理費用は割高です。
オーバーホールにかかる費用は以下の通りとなります。
※掲載している価格は税込みとなります。
ポートフィノ(レザーベルト/メタルブレス)のオーバーホール料金
駆動方式 | 金額 |
---|---|
3針+デイト | 56,160円/66,960円 |
クロノグラフ | 69,120円/79,920円 |
ムーンフェイズ | 79,920円/90,720円 |
手巻き・エイトデイズ | 92,880円/103,680円 |
ポルトギーゼのオーバーホール料金
駆動方式 | 金額 |
---|---|
クロノグラフ | 69,120円 |
ハンドワインディング(手巻き) | 79,920円 |
自社製オートマティック | 92,880円 |
ヨットクラブ | 92,880円 |
パーペチュアルカレンダー | 159,840円 |
グランド・コンプリケーション | 287,280円 |
アクアタイマー(レザーベルト/メタルブレス)のオーバーホール料金
駆動方式 | 金額 |
---|---|
3針+デイト | 56,160円/66,960円 |
クロノグラフ | 69,120円/79,920円 |
クロノグラフ・スペシャルエディション | 92,880円/103,680円 |
インジュニアのオーバーホール料金
年式によるが、通常モデルは56,160円~90,720円程度。コンプリケーションは159,840円~
パイロットウォッチ(レザーベルト/メタルブレス)のオーバーホール料金
駆動方式 | 金額 |
---|---|
3針+デイト | 56,160円/66,960円 |
クロノグラフ | 69,120円/79,920円 |
他、年式や機構によって79,920円~103,680円程度
納期に関しては、見積もり了承後4週間程度が目安となっています。
ただしパーツを本国から取り寄せたり、メンテナンスが本国対応となった場合は数か月に及ぶ可能性もあり、修理には時間がかかると思った方がよいでしょう。
尚、IWCは正規品と並行品で保証内容や修理代金に差をつけていないため、並行品を購入した方がお得です。
正規修理依頼をするには
IWCのコンプリートサービスを受けるには、IWCのブティック、もしくは全国の正規販売店の窓口にて修理やオーバーホールの依頼が可能です。
もし近隣に正規店がないという場合は郵送を受付しているサービスセンターへ時計を郵送すれば受付してもらえます。
ただ、郵送で時計修理・オーバーホールを依頼する場合は配送料金が自己負担となるのでご注意ください。
出典:https://www.swatchgroup.jp/
選択肢② 民間の時計修理業者に依頼をする
IWCの時計は多くの民間修理業者でもメンテナンスを受けつけてくれます。
リーズナブルな価格でオーバーホールを行ってくれるため、毎回コンプリートサービスに依頼するのはコストがかかり過ぎると感じている方にオススメです。
修理業者によって料金は様々ですが、概ね正規コンプリートメンテンスの半額~7割ほどの価格が相場です。機械式時計のオーバーホールは4~5年に一回発生するランニングコストですが、この毎回のコストを削減できることは大きなメリットだといえます。
尚、民間修理会社に頼むのが心配だという声もよく聞きますが、IWCの時計は流通量が多いことからパーツが入手しやすく、それゆえメンテナンスもしやすいです。
よほどの複雑機構モデルでなければ、民間の修理業者でも問題なく修理してくれるでしょう。
ただし、いくら安いからといって「安さだけ」で選ぶのは考え物です。
メーカーの正規修理とは違い、修理業者によって技術や品質にバラツキがあります。
利益ばかりを追従し、クオリティーにこだわらない業者も中には存在します。
そのため、民間の修理業者でオーバーホールを受ける場合は「技術力に定評のある優良業者」を選ぶことが必須です。
また、正規修理では型の古いモデルや廃盤品もオーバーホールを受付してもらえますが、民間修理ではモデルによってはオーバーホールをしてもらえない時計もあります。
近年発売されたモデルであれば概ねオーバーホール可能だと思いますが、マニアックな個体をお持ちの方は一度修理店に問合せた方が確実です。
優良業者を選ぶポイント
■企業ページではなく、口コミを参考にすること
■規模が大きく、1級技能士によって対応されること
修理業者に依頼する際に最も重視したいのは口コミです。時計修理やサービスの質は口コミサイト等にすぐに投稿され、良い業者は高い評価を、逆に悪い業者はそれ相応の評価を受けます。
オーバーホール料金と口コミを照らし合わせ、良心的な価格で適正なサービスを提供してくれる業者を選ぶのがポイントです。
また、小規模でも高い技術力を持つ業者もありますが、修理業者を選ぶ際には企業としての規模の大きさも重要視した方が良いでしょう。
時計修理には高額な機材がいくつも必要となります。ある程度の規模を誇る業者を選ぶ方が、設備面でも安心です。
加えて、注目したいのが「1級時計修理技能士」がオーバーホールを担当しているか否か。
見逃しがちな項目ですが、これも民間修理業者を選ぶうえで重要な項目となります。
時計技能士は3級~1級まである国家資格であり、1級所持者は高い知識と技能を持っていることを証明する資格です。優良業者であれば1級時計修理技能士が修理を担当しますが、極端にオーバーホール代が安い業者は1級時計修理技能士がそもそも在籍していない可能性があります。
WEBページ上でチェックすれば、どのような職人が修理を担当するか見ることができますので、依頼する際には一度確認してみてください。
優良時計業者が施すオーバーホールは正規メンテナンスと殆ど遜色がないため、総合的なコストパフォーマンスは大変優れているといえます。
あえてデメリットを挙げると、保証期間が正規修理よりも少し短いことが多いことでしょうか。正規修理の保証期間は2年間ですが、民間修理の保証期間は大半の業者が1年間です。
オーバーホール代のことを考えると大きな差には思えませんが、とにかく安心感が欲しいという方は注意しておかなければなりません。
まとめ
IWCのオーバーホールの選択肢はメーカーで正規修理を受けるか、民間の修理業者に依頼するかの2択です。
それぞれにメリット・デメリットがありますが、総合的なコストパフォーマンスは優良修理業者に依頼するのが高いといえます。
正規修理でないと安心できない。という方でない限りは、検討してみてはいかがでしょうか?
当記事の監修者
廣島浩二(ひろしま こうじ)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチ コーディネーター
一級時計修理技能士 平成31年取得
高級時計専門店GINZA RASIN 販売部門 ロジスティクス事業部 メンテナンス課 主任
1981年生まれ 岡山県出身 20歳から地方百貨店で時計・宝飾サロンで勤務し高級時計の販売に携わる。 25歳の時時計修理技師を目指し上京。専門学校で基礎技術を学び卒業後修理の道に進む。 2012年9月より更なる技術の向上を求めGINZA RASINに入社する。時計業界歴19年