ノモスのフラッグシップモデルとして君臨している「タンジェント」。
シンプルで美しいそのフォルムは、数々の時計ファンを魅了してきました。
しかし、ノモスの商品ラインナップを覗いていると、「タンゴマット」というタンジェントに非常によく似たモデルが存在することに気づくと思います。
ぱっと見が同じなので、どちらを買えばよいのか分からないという方も非常に多いです。
そこで今回はタンジェントとタンゴマットの違いについて解説します。この記事を読めばタンジェントとタンゴマットで迷うことはなくなるはず!
目次
①ノモスのフラッグシップモデル タンジェント
タンジェントはバウハウスデザインによって作られたシンプルで美しい時計です。
飛びアラビアインデックスと呼ばれる12・2・4・8・10が数字になっている独特なデザインは、ドイツ国内で数々のデザイン賞を受賞するなど、世界的に見ても高い評価を得ています。
モデル名:タンジェント
Ref:TN1A1W238(164)
駆動方式:MW(手巻き)
ケースサイズ:38ミリ
文字盤:シルバー色
また、タンジェントはデザインだけでなく、ムーブメントも非常に優れています。
時計をひっくり返すと、裏面はスケルトンタイプになっており、「nomos α」という機械式ムーブメントの精巧な動きを覗くことができます。
この「nomos α」はノモスが汎用品に頼らず自社開発した非常に優れたムーブメントであり、同価格帯の時計と比較してもその性能は群を抜いています。
抜群のデザイン性に加え、優れた精度を兼ね備える時計。
タンジェントはまさにドイツの高級時計作りを昇華させたといえる仕上がりです。
②もう一つのフラグシップモデル タンゴマット
続いてタンゴマットを見てみましょう。
Ref:TN1E1W2(601)
駆動方式:AT(自動巻き)
ケースサイズ:38ミリ
文字盤:シルバー色
恐らく、「あれ?全く同じ?」と思われるでしょう。
それもそのはず、タンジェントとタンゴマットは文字盤に一切違いがありません。飛びアラビアインデックスにシルバー文字盤、青針といった特徴は全て同一です。
ただ、時計をひっくり返してみると、その違いは顕著に現れます。
ムーブメントの中央にタンジェントにはなかったパーツが見えるかと思います。
このパーツは回転式ローターと呼ばれるパーツであり、左右に振れることでリューズを巻くことなくゼンマイを巻き上げます。
いわゆる”自動巻き機構”です。
つまり、タンジェントとタンゴマットの差はローターの有り無しにあり、
タンジェントは手巻き
タンゴマットは自動巻き
という決定的な違いがあります。
また、文字盤デザインもケースサイズも同じ中で、タンゴマットはローターが付属した分厚みが若干増しています。
③タンジェントとタンゴマット。どちらを買うか迷ったら
文字盤デザインは同一ながら「手巻きか自動巻き」かの違いがある両モデル。
それぞれにメリットがありますので、確認してみましょう。
タンジェントのメリット
タンジェントのメリットは何といっても価格です。
自動巻きモデルであるタンゴマットの価格が並行新品価格で238,000円なのに対し、手巻きモデルであるタンジェントは180,000円。
約5万円の差があります。
少しでも安くノモスの人気モデルを手にしたいという方はタンジェントを選ぶのがよいでしょう。
また、ローターがない分若干ケースが薄くなっていることや、視覚的なムーブメントの美しさが勝っている点も見逃せないポイントです。
タンゴマットのメリット
タンゴマットはタンジェントよりも機能的です。
自動巻きは腕に巻いて生活していれば勝手にゼンマイが巻かれるため、毎日手動でリューズを巻く必要性がなくなります。
また、常にゼンマイ残量に常に余裕が生まれるため、手巻き式よりも精度が安定していることもメリットに挙げられます。
④タンジェントとタンゴマットの人気モデルを紹介します。
最後にタンジェントとタンゴマットで売れ筋のモデルをいくつか紹介します。定番カラー以外にも様々なモデルが存在しますので、自分好みの一本を是非見つけ出してください。
基本的なデザインはそのままに38mmではなく35mmケースが採用された一世代前のタンジェント。
文字盤の面積が大きいため、小さすぎると感じることはありません。
小柄な人や女性に未だに人気があります。
ノモス タンジェント デイト パワーリザーブ TN1D1W2RD(131)
タンジェントにデイト表示とパワーリザーブ表示を追加した機能的な一本です。
後どれくらいでゼンマイがほどけるか分かるため、時計を止めてしまうことが少なくなります。
また、デイト機能は瞬時に日付を確認することができるため、非常に便利です。
価格は平行新品価格で250,000円。基盤モデルより約7万円ほど高価となります。
ノモス タンジェント ネオマティック ミッドナイトブルー TN130011BL239(142)
上品な印象を放つタンジェントのネオマティック。限りなくブラックに近いミッドナイトブルーダイヤルモデルが魅力的です。
6時位置のスモールセコンドにあしらわれたオレンジが良いアクセントとなり、オンオフ問わない使用が可能です。
タンゴマットにGMT機能を加えた画期的なモデルTN1X1W2。シンプルな美しさを損なわないように配置された絶妙なGMT窓は世界をまたにかけるビジネスマンから高い評価を得ています。
ムーブメントにはノモス自社開発自動巻ムーブメントCal.Xiを搭載。並行新品価格¥288,000にて購入することが可能です。
ルテニウムを使用したチャコールグレー文字盤が特徴的な人気作。ムーブメントには「キャリバー イプシロンε」を搭載しており、全てが高い次元でまとまったモデルだといえます。
定番カラーでは物足りないと感じている方に是非お手に取っていただきたい一本です。
価格は並行新品価格で¥210,000。決して手が届かない価格ではありません。
まとめ
手巻きのタンジェント。自動巻きのタンゴマット。
両モデルには機能性や価格といった違いがありますが、どちらを選んでもシンプルで美しいノモスの魅力を楽しむことができます。
初めての機械式時計として購入される方は勿論のこと、何本も時計を所持している時計玄人の方にもオススメです。
是非一度ご検討くださいませ。
当記事の監修者
南 幸太朗(みなみ こうたろう)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン プロスタッフ
学生時代に腕時計の魅力に惹かれ、大学を卒業後にGINZA RASINへ入社。店舗での販売、仕入れの経験を経て2016年3月より銀座本店 店長へ就任。その後、銀座ナイン店 店長を兼務。現在は営業企画部 MD課 プロスタッフとして、バイヤー、プライシングを務める。得意なブランドはパテックフィリップやオーデマピゲ。時計業界歴13年。